JP4893667B2 - ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法 - Google Patents

ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4893667B2
JP4893667B2 JP2008064081A JP2008064081A JP4893667B2 JP 4893667 B2 JP4893667 B2 JP 4893667B2 JP 2008064081 A JP2008064081 A JP 2008064081A JP 2008064081 A JP2008064081 A JP 2008064081A JP 4893667 B2 JP4893667 B2 JP 4893667B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
main surface
coating
coating liquid
window glass
sol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008064081A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009221026A (ja
Inventor
創一 公文
滋生 濱口
佳則 赤松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP2008064081A priority Critical patent/JP4893667B2/ja
Publication of JP2009221026A publication Critical patent/JP2009221026A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4893667B2 publication Critical patent/JP4893667B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Description

本発明は、アルコキシド化合物を加水分解及び重縮合する工程を有する方法を経て形成された膜、すなわちゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法に関する。
車両用窓ガラスは、大寸法のガラス板から所定の形状に切断して得られる。切断された直後のガラス板の端部には、端面に微細なクラック、凹凸が存在し、特に端面の角部が鋭利な状態となっている。そのため、ダイヤモンドホイール等を用いて端面を研磨し、特には形状を略半円状に加工する等して、鋭利な状態をなくしている。ただし、研磨処理された端面は、白濁化した外観を呈しており、とりわけ、ガラス板が緑色や濃緑色等の有色の場合、研磨処理された端面の白濁感は際立ったものとなる。こうした背景のもと、特許文献1は、端面の白濁がなく、良好な外観を有する車両用窓ガラスを得るために、ガラス板の端面にガラスフリットを含む焼成体からなる透明被覆層を形成することを開示している。
特開2002−12024号公報 国際公開2007/58016号のパンフレット
本出願人は、特許文献2で、ゾルゲル膜の一種である熱線遮蔽膜を開示している。ここで、ゾルゲル膜とは、アルコキシド化合物などを加水分解及び重縮合反応を進めオリゴマーを有する塗布液を形成し、これを基材に塗布、そして乾燥させる等の工程を経て形成された膜のことである。ゾルゲル膜は、光学的、電気的、化学的に機能を生じせしめることが可能な機能性材料を導入することが可能なので、様々な用途での使用、提案がなされている。特に、0.5μmを超える膜厚をもつゾルゲル膜は、光学的、化学的な機能を付与することを考えた場合、有用性が高い。
特許文献2での熱線遮蔽膜を得るための塗布液は、塗布液を部材に保持させ、該部材をガラス板に接触させる手段、所謂手塗り塗布にてガラス板上に塗布できるものであり、少量の塗布液で効率良くガラス板に塗着させることができるものとなっている。
塗布液をガラス板の主面だけでなく、ガラス板の端部にも塗着させてゾルゲル膜を形成させると、ガラス板端部の白濁感が解消されるので、良好な外観を有する車両用窓ガラスを提供できる。
手塗り塗布にて、ガラス板の主面だけでなく端面にも塗着させようと、主面に塗布液を塗り広げる塗布方式を、端面にも適用すると、前記主面とは反対側の主面に塗布液が廻り込み、外観品質の低下をもたらす。
本発明は、良好な外観を有する車両用窓ガラスを提供することを目的とし、手塗りによる塗布液の塗布にて、端面が研磨されたガラス板の主面と端面とにゾルゲル膜を形成する方法を提供することを課題とする。
すなわち本発明の車両用窓ガラスの製造方法は、可視化可能な端面を有する車両用窓ガラスの製造方法であり、該方法は、
端面が研磨されたガラス板を準備する工程、
該ガラス板の主面及び研磨された端面の少なくとも可視化可能な端面にゾルゲル膜を形成する工程
を有し、ゾルゲル膜を形成する工程は、ゾルゲル膜を形成するための塗布液を保持した保持材をガラス板に接触させて塗布する工程を有し、保持材からの塗布液の吐出状態を、主面への塗布と端面への塗布とで異なったものとなるように調整することを特徴とする。
主面には塗布液を塗り広げることに適した塗布方式、端面には、前記主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がらない塗布方式を適用することで、前記主面とは反対側の主面に塗布液が廻り込み、外観品質の低下をもたらすことを防止せしめる。尚、前記の可視化可能な端面とは、車両用窓ガラスが車両に組み込まれたときに、窓ガラスの昇降作業や、開閉作業でガラス板の端面が露出され、人により観察可能な状態にさらされることのある端面部位を指す。このような状態を呈する窓ガラスとして、車両の側面に組み込まれる窓ガラスや、天井に組み込まれる窓ガラス等がある。
主面には塗布液を塗り広げることに適した塗布方式、端面には、前記主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がらない塗布方式を適用する方法としては、主面に塗布する塗布液と、端面に塗布する塗布液とを異なったものとすることが好ましい。例えば、主面に塗布する塗布液は、レベリング性が高い方が好ましいため、その粘度は25℃で1mPa・s〜7mPa・sが好ましく、さらには2mPa・s〜6mPa・sが特に好ましい。一方、端面に塗布する塗布液は、前記主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がりにくいものが好ましいため、その粘度は25℃で3mPa・s〜30mPa・sが好ましく、さらには4mPa・s〜30mPa・sが特に好ましい。
また、主面には塗布液を塗り広げることに適した塗布方式、端面には前記主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がらない塗布方式を適用する他の方法としては、主面に接触させる保持材への塗布液の保持率と、端面に接触させる保持材への塗布液の保持率とを調整することで、保持材からの塗布液の吐出状態を主面への塗布と端面への塗布とで異なったものとすることが好ましい。特には、主面に接触させる保持材の塗布液の保持率を大きいものとすることが好ましく、この保持率は、例えば、端面に接触させる保持材への塗布液の保持率に対して1.5倍〜200倍、好ましくは2倍〜100倍となるように調整することが好ましい。
本発明において主面及び端面に形成されるゾルゲル膜は、好ましくは0.1μm〜5μmの膜厚を有する膜のことで、好ましくは酸化ケイ素オリゴマーを経て得られた酸化ケイ素化合物を有する膜のことで、該ケイ素化合物がシロキサン結合を介して基材と結合して形成された膜のことを言う。
このようなゾルゲル膜を形成する塗布液として、特に主面に塗布する塗布液としては、固形分と溶媒を有し、該固形分はアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解及び重縮合することで得られる酸化ケイ素オリゴマーを有し、該酸化ケイ素オリゴマーはポリスチレン換算の数平均分子量が500〜6000、好ましくは500〜4000であり、さらに前記塗布液に対する固形分の割合は8〜40重量%、好ましくは、8〜30重量%であり、さらに該固形分に対する酸化ケイ素オリゴマーに由来する固形分の割合は10重量%以上のものが好ましい。尚、ここでいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析において、ポリスチレン換算で計算される数平均分子量を示す。
酸化ケイ素オリゴマーが8重量%未満では、塗布液のハジキ欠陥が生じやすい。また、固形分が40重量%超では、得られるゾルゲル膜が厚くなってクラックが生じやすくなる。同様に、酸化ケイ素オリゴマーの数平均分子量が6000超になると、得られるゾルゲル膜が厚くなってクラックが生じやすくなる。また、アルコキシシランの加水分解反応が進行する条件では、同時に重縮合反応も進行するため、数平均分子量は500未満に制御することは難しい。本発明では、主面用塗布液と端面用塗布液は同じものを使っても良い。
ただし、本発明のように塗布液を保持した保持材をガラス板に接触させることによって塗布液を塗布する方法では、主面用塗布液に対してより高いレベリング性がある方が好ましい。そして、レベリング性に影響を与える要因しては、塗布液の溶媒の揮発速度、塗布液の粘度、塗布液中の固形分濃度などがあり、25℃における塗布液の粘度を7mPa・s以下とするとレベリング性が高くなるので好ましい。
そのような塗布液としては、固形分と溶媒を有し、該固形分はアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解及び重縮合することで得られる酸化ケイ素オリゴマーを有し、溶媒は沸点が100℃以上、かつ25℃における粘度が3.5mPa・s以下、好ましくは2.5mPa・s以下の有機溶媒、さらには酸性水溶液を有するものとすることが好ましい。また、レベリング性の観点から、塗布液中の固形分の濃度を、30重量%以下、好ましくは20重量%以下とすることが好ましく、さらに酸化ケイ素オリゴマーの分子量を4000以下とすることが好ましい。
本発明の車両用窓ガラスの製造方法は、手塗りによる塗布液の塗布にて、ガラス板の主面と研磨された端面とにゾルゲル膜を効率良く、良好な外観を有する車両用窓ガラスを提供することに奏功する。
本発明の車両用窓ガラスの製造方法を詳細に説明する。本発明の車両用窓ガラスの製造方法は、可視化可能な端面を有する車両用窓ガラスの製造方法であり、該方法は、
端面が研磨されたガラス板を準備する工程、
該ガラス板の主面及び研磨された端面の少なくとも可視化可能な端面にゾルゲル膜を形成する工程
を有し、ゾルゲル膜を形成する工程は、ゾルゲル膜を形成するための塗布液を保持した保持材をガラス板に接触させて塗布する工程を有し、保持材からの塗布液の吐出状態を、主面への塗布と端面への塗布とで異なったものとなるように調整することを特徴とする。
塗布液が塗布されるガラス板は、好ましくは大寸法のガラス板から所定の形状に切断されて得られる。切断されたガラス板の端部には、端面に微細な割れやカケが存在するためガラス板は割れやすく、さらに端面の角部は鋭利な状態となっているため、端面を研磨(シーミング)し、特には形状を略半円状に加工する等して、鋭利な状態をなくしている。この研磨方法としては、ダイヤモンドホイールや研磨ベルトやサンドペーパーなどを用いて機械もしくは手で研磨する方法、あるいは、それらの併用などの各種研磨方法が適宜採用し得る。
次いで、主面にゾルゲル膜を形成するための主面用塗布液、あるいは、端面にゾルゲル膜を形成するための端面用塗布液を保持材に保持させ、保持材をガラス板の主面、あるいは、端面に接触させることによって主面用塗布液、あるいは、端面用塗布液を塗布する(以降、主面用塗布液と端面用塗布液の両方を指すときに「塗布液」と記載することがある)。該保持材を基材に接触させる手段、塗布液を引き延ばす手段は、人手によるもの、ロボットや機械などによるものなどがある。保持材に塗布液を保持させる方法としては、保持材をガラス板に接触させる前に保持材に塗布液を保持させる方法だけでなく、ガラス板の表面に塗布液を給液して、次いで保持材をガラス板に接触させて保持材に塗布液を染み込ませながら塗布液をガラス板に塗り広げる方法、塗布液を保持材に給液しながら保持材をガラス板に接触させる方法、あるいは、それらの組合せがある。ただし、ガラス板の端面に端面用塗布液を給液するのは難しいので、端面を塗布する場合は、ガラス板に接触させる前に保持材に端面用塗布液を保持させる方法、端面用塗布液を保持材に給液しながら保持材をガラス板に接触させる方法が好ましい。
主面用塗布液を保持する部材としては、布、紙、不織布、刷毛、ブラシ、ガーゼ、スポンジ、フェルトなどが挙げられる。
一方、端面用塗布液を保持する部材としては、布、紙、不織布、ガーゼ、スポンジ、フェルトなどが挙げられる。刷毛やブラシは、端面を塗布するときに塗布液を塗布する主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がり易いので好ましくない。また、端面と接触したときに、端面が保持材に深く沈み込んでしまうような保持材を用いると、塗布液を塗布する主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がる可能性が高くなるので好ましくない。例えば、端面と接触させる面を上にした状態で保持材を固い台の上に置き、該保持材の上に200g/cmの荷重となる重石を置いたときに、重石の沈み込む量が10mm以下のものであれば、塗布液を塗布する主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がる可能性が低いので好ましい。
また、ゾルゲル膜を得るための塗布液は、固形分と溶媒を有し、該固形分はアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解及び重縮合することで得られる酸化ケイ素オリゴマーを含むことが好ましい。アルコキシシランとしては、トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。アルコキシシランのアルコキシ基は、加水分解および重縮合反応によって強固なシロキサン結合を形成する。テトラアルコキシシランは、ケイ素原子に結合する4つの官能基が全てアルコキシ基であり、加水分解および重縮合反応によって緻密なシロキサンネットワークを形成するため、膜強度を向上させることに奏功する。また、トリアルコキシシランから形成される固形分は、シロキサンネットワークが密に形成されず柔軟性に優れたものとなるので、膜形成時の乾燥過程で生じる応力が上手く緩和でき、クラックの発生を抑制することに奏功する。そして、実用上十分な膜の耐摩耗性を有し、さらに膜厚が0.1μm、特には0.5μmを超えるようなものを得る場合には、トリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを使うことが好ましい。
トリアルコキシシランには、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、イソブチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン等の炭化水素基を持つトリアルコキシシラン、あるいは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−オキセタニルプロピルトリエトキシシラン等の反応性有機基を有するトリアルコキシシラン、が使用できる。
前記テトラアルコキシシランには、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランなどを使用することが可能である。そして、前記トリ及びテトラアルコキシシランは、それぞれ単独種の化合物を使用してもよいし、複種の化合物を使用してもよい。
また、塗布液の固形分として、微粒子を含ませても良い。このとき、微粒子が塗布液中で凝集することなく、均一に分散していることが好ましい。前記微粒子は、あらかじめ分散媒に分散させて分散液を形成した後、塗布液と混合させても良いし、また塗布液中で分散を行っても良い。微粒子の分散には、ボールミル、ジェットミル、ビーズミル、サンドミル、超音波分散法などの方法を用いる事ができる。
さらにまた、塗布液に含まれる溶媒は、酸性水溶液と有機溶媒を有する。酸性水溶液は、用いられるアルコキシシランのアルコキシ基の加水分解速度に応じて、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、フタル酸、コハク酸などの有機酸等の酸触媒を有する水溶液が選択できる。そして、アルコキシシランの加水分解及び重縮合時の溶液、すなわち、酸化ケイ素オリゴマーを有する溶液中でのpH値が1乃至5となるように酸触媒が添加されることが好ましい。
また、アルコキシシランの加水分解は、十分な量の水と酸触媒を添加し行うことができ、その反応は十分に進行させる必要がある。一方、加水分解反応が起こると同時に、加水分解物は脱水反応である重縮合反応を起こす。塗布液の粘度や膜の耐摩耗性の観点から、重縮合反応の進行は好ましくないため、加水分解反応は進行するが、重縮合反応は進行しにくいように、反応開始前に水をアルコキシシランの5モル倍以上、好ましくは7モル倍以上とすることが望ましい。
ここで、2種以上のアルコキシシランを用いた場合、加水分解反応は別々に行い、後で混合しても良いし、一緒に行っても良い。なお、他の加水分解反応をさせる方法としては、上記のようなアルコキシシランを溶媒で希釈したものと、溶媒で希釈した酸性水溶液を徐々に混合する方法がる。この例は、急激な反応を避けることができ、より均質な反応が得られやすい。
前記有機溶媒は、沸点が100℃以上、粘度が3.5mPa・s以下のものからなることが好ましい。そのような例としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
さらに、塗布液に加える酸性水溶液と良く混ざり合うため、前記有機溶媒は水との相溶性が高ければ好ましく、水への溶解性が無限大の溶媒であればより好ましい。沸点が100℃以上、粘度が3.5mPa・s以下、かつ水への溶解性が無限大の溶媒の例として、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
さらにまた、前記酸化ケイ素オリゴマーを、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランの加水分解および重縮合によって形成される酸化ケイ素オリゴマーとする場合、テトラアルコキシシランから形成される固形分とトリアルコキシシランから形成される固形分の重量比が55:45〜85:15とすることが好ましい。テトラアルコキシシランから形成される固形分が55重量%未満の場合、ゾルゲル膜の機械的強度が低くなる傾向があり、キズが生じやすくなる。一方、85重量%超の場合、ゾルゲル膜にクラックが生じやすくなる。
さらにまた、前記固形分に、微粒子を含ませることによってゾルゲル膜に機能を付与することができる。そのような微粒子として、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ITO、ATOなどの酸化物微粒子、あるいは、鉄、金、銀、銅などの金属微粒子などが使用できる。また、その平均粒径は200nmであれば、ゾルゲル膜の透明性は低下しないので好ましい。ただし、10nm未満になると微粒子の比表面積が大きくなって耐久性が低下するため好ましくない。なお、ここで言う微粒子の平均粒径とは、動的光散乱法により、液体中の数平均の粒子径を測定することで得られる。
特に、微粒子の中でもITOは波長が1000nm以上の近赤外線を効率的に遮蔽するため有用である。このとき、該錫ドープ酸化インジウム微粒子と前記ケイ素オリゴマーの固形分との重量比は35:65〜70:30とすることが好ましい。該錫ドープ酸化インジウム微粒子が35重量%未満であれば、十分な赤外線遮蔽性能が得られず、さらに70重量%超であれば、バインダー量が少なくなって導電性酸化物微粒子を十分強固に保持できなくなり、結果、膜強度が低下するので好ましくない。
また、本発明において、ガラス板の端面にゾルゲル膜を形成させるのは、端面の凹凸を小さくして白濁感を軽減させることが目的であり、赤外線遮蔽性能は必要としない。錫ドープ酸化インジウムは非常に高価な材料であることから、端面用塗布液は錫ドープ酸化インジウム微粒子を含まないものを用いることがコスト的には好ましい。
そして、本発明の塗布液の被塗布対象である車両用窓ガラスは、特に限定されるものではないが、例えば、フロ−ト板ガラス又はロ−ルアウト法で製造されたソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス等無機質の透明性がある板ガラスを使用できる。当該板ガラスには、無色のもの、着色のもの共に使用可能で、他の機能性膜との組み合わせ、ガラスの形状等に特に限定されるものではない。
基材の形状は、平板、曲げ板を問わず、さらには、風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の各種強化ガラスの他に網入りガラスや合せガラスも使用できる。さらには、ホウケイ酸塩ガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス、低膨張結晶化ガラス、ゼロ膨張結晶化ガラス等の各種ガラス基材を用いることができる。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂等の樹脂基材を使用してもよい。
そして、調製された塗布液をガラス板に塗布し、乾燥する。乾燥雰囲気は、室温で乾燥してもよいが、より高い耐摩耗性や硬さが必要であれば、50〜300℃で熱処理すればゾルゲル膜の機械的強度が向上するので好ましい。
以下に本発明の実施例について説明する。
〔塗布液の評価方法〕
(1)塗布液A
テトラエトキシシラン(TEOS):7.28g、メチルトリエトキシシラン(MTES):2.39g、1−エトキシ2−プロパノール(1E2P):4.23g、0.5N酢酸:6.10gを混合し、30℃で16時間攪拌して、塗布液Aを得た。塗布液Aの酸化ケイ素オリゴマー成分量は15重量%、粘度は5.6mPa・sであった。
(2)塗布液B
塗布液A:10gと平均粒径60nmのITO微粒子が分散された溶液(ITO超微粒子の含有量30重量%、溶媒:イソプロピルアルコール;三菱マテリアル社製):5gとを混合して塗布液Bを得た。塗布液の酸化ケイ素オリゴマー成分量は10重量%、粘度は5.4mPa・sであった。
〔車両用窓ガラスの準備〕
矩形ガラスから所定の形状に切断し、端面の全てを研磨し、曲げ強化加工を行って作製した車両用のフロントドアガラス(UVグリーンガラス)の車内面(面積0.5m)を研磨液で研磨し、水洗及び乾燥し、ガラス板とした。なお、ここで用いた研磨液は、ガラス用研磨剤ミレークA(T)(三井金属鉱業製)を水に混合した2重量%のセリア懸濁液である。
実施例1
車両用窓ガラス板の車内面に塗布液A:9gを給液し、手作業で不織布(商品名:ベンコット、品番:AZ−8、メーカー:小津産業株式会社製)をガラス板に接触させて、塗布液を該窓ガラスの主面全面に引き延ばした。さらに塗布液A:1gを別の不織布(ベンコット)に染み込ませて端面塗布用の塗布材を得た。次に、端面塗布用の塗布材をガラス板の端面に接触させ、全周囲を払拭して、塗布液を端面に塗布した。このとき、主面と端面の塗布に用いた2つの塗布材には、面積で約1/3の部分に塗布液が染み込んでいた。その後、200℃で10分間焼成し、室温まで冷却させてゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスを得た。本実施例では、塗布液Aを主面用塗布液と端面用塗布液の両方に用い、主面を塗布後に端面を塗布した。得られた車両用窓ガラスの端面は、全面が黒く、良好な外観であった。
実施例2
塗布液B:1gを不織布(ベンコット)に染み込ませ、さらに車両用窓ガラスの車内面(主面)に塗布液B:10gを給液し、手作業で不織布(ベンコット)をガラス板に接触させて、塗布液を該窓ガラスの主面全面に引き延ばした。次に、塗布液A:1gを不織布(ベンコット)に染み込ませ、不織布を窓ガラス板の端面に接触させ、全周囲を払拭して、塗布液を端面に塗布した。その後、200℃で10分間焼成し、室温まで冷却させてゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスを得た。すなわち、本実施例では、塗布液Bを主面用塗布液、塗布液Aを端面用塗布液に用い、主面を塗布後に端面を塗布した。得られた車両用窓ガラスの端面は、全面が黒く、良好な外観であった。
実施例3
塗布液A:1gを不織布(ベンコット)に染み込ませ、不織布(ベンコット)をガラス板の端面に接触させ、全周囲を払拭して、塗布液を端面に塗布した。次に、塗布液B:1gを不織布(ベンコット)に染み込ませ、さらに車両用窓ガラスの車内面(主面)に塗布液B:9gを給液し、手作業で不織布(ベンコット)基材に接触させて、塗布液を該窓ガラスの主面全面に引き延ばした。その後、200℃で10分間焼成し、室温まで冷却させてゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスを得た。すなわち、本実施例では、塗布液Bを主面用塗布液、塗布液Aを端面用塗布液に用い、端面を塗布後に主面を塗布した。得られた車両用窓ガラスの端面は、全面が黒く、良好な外観であった。
比較例
実施例1乃至3において、端面塗布のための材を用意せず、主面に塗布液を塗りひろげる塗布を端面への塗布にまで拡張した以外は、各実施例と同様の手順を実施し、車両用窓ガラスを得た。結果、各例とも、該主面の反対側面にまで塗布液が廻り込み外観品質が低下した。

Claims (4)

  1. 可視化可能な端面を有する車両用窓ガラスの製造方法であり、該方法は、
    端面が研磨されたガラス板を準備する工程、
    該ガラス板の主面及び研磨された端面の少なくとも可視化可能な端面にゾルゲル膜を形成する工程
    を有し、ゾルゲル膜を形成する工程は、ゾルゲル膜を形成するための塗布液を保持した保持材をガラス板に接触させて塗布する工程を有し、保持材からの塗布液の吐出状態を、主面への塗布と端面への塗布とで異なったものとなるように、主面には塗布液を塗り広げることに適した塗布方式、端面には、前記主面とは反対側の主面に塗布液が塗り広がらない塗布方式を適用することを特徴とする車両用窓ガラスの製造方法。
  2. 主面に塗布する塗布液と、端面に塗布する塗布液とを異なったものとすることで、保持材からの塗布液の吐出状態を主面への塗布と端面への塗布とで異なったものとすることを特徴とする請求項1に記載の車両用窓ガラスの製造方法。
  3. 主面に接触させる保持材への塗布液の保持率と、端面に接触させる保持材への塗布液の保持率とを調整することで、保持材からの塗布液の吐出状態を主面への塗布と端面への塗布とで異なったものとすることを特徴とする請求項1又請求項2に記載の車両用窓ガラスの製造方法。
  4. 主面に塗布する塗布液は、固形分と溶媒を有し、該固形分はアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解及び重縮合することで得られる酸化ケイ素オリゴマーを有し、溶媒は沸点が100℃以上、かつ25℃における粘度が3.5mPa・s以下の有機溶媒と該酸性水溶液を有し、該酸化ケイ素オリゴマーはポリスチレン換算の数平均分子量が500〜4000であり、さらに該塗布液に対する固形分の割合は8〜30重量%であり、さらに固形分に対する酸化ケイ素オリゴマーに由来する固形分の割合は10重量%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用窓ガラスの製造方法。
JP2008064081A 2008-03-13 2008-03-13 ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法 Expired - Fee Related JP4893667B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008064081A JP4893667B2 (ja) 2008-03-13 2008-03-13 ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008064081A JP4893667B2 (ja) 2008-03-13 2008-03-13 ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009221026A JP2009221026A (ja) 2009-10-01
JP4893667B2 true JP4893667B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=41238227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008064081A Expired - Fee Related JP4893667B2 (ja) 2008-03-13 2008-03-13 ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4893667B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5680952B2 (ja) * 2010-12-22 2015-03-04 株式会社ブリヂストン 熱線遮蔽ガラス、及びこれを用いた複層ガラス

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000264679A (ja) * 1999-03-17 2000-09-26 Central Glass Co Ltd 緑色被膜ガラス基板及びその製造方法
JP2002012024A (ja) * 2000-06-30 2002-01-15 Asahi Glass Co Ltd 車両用窓ガラス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009221026A (ja) 2009-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5471441B2 (ja) 手塗り可能なゾルゲル膜形成用塗布液
JP4872549B2 (ja) 熱線遮蔽膜形成基材の製法
JP6823141B2 (ja) 防曇膜つき透明物品
JP4957926B2 (ja) 化学床保護用可撓性付与常温硬化型無機質コーティング剤
KR101085311B1 (ko) 차량용 열선 차폐 유리 및 그의 제조방법
JP2003202406A (ja) 反射防止フィルム及びディスプレイ装置
JP5572803B2 (ja) 撥水撥油防汚性ガラスとその製造方法並びにそれらを用いたガラス窓、太陽エネルギー利用装置及び光学機器
JP2008247699A (ja) 撥水撥油防汚性反射防止膜とその製造方法およびそれを形成したレンズやガラス板、ガラス、およびそれらを用いた光学装置および太陽エネルギー利用装置、ディスプレイ
JP2012140533A (ja) 透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材
JP6112753B2 (ja) 透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材、および疎水性金属酸化物粒子の製造方法
JP4409169B2 (ja) 着色顔料粒子を含む塗料、可視光遮蔽膜付基材
JP2015232083A (ja) 研磨剤、研磨剤セット及び基体の研磨方法
JP2008247700A (ja) 撥水撥油防汚性反射防止膜およびその製造方法ならびにレンズ、ガラス板、ガラス、光学装置、太陽エネルギー利用装置およびディスプレイ
JP4893667B2 (ja) ゾルゲル膜が形成された車両用窓ガラスの製造方法
JPWO2016121404A1 (ja) 低反射コーティング付ガラス板、低反射コーティング付基材を製造する方法、及び低反射コーティング付基材の低反射コーティングを形成するためのコーティング液
JP6187115B2 (ja) シリカ多孔質膜
JP2007136362A (ja) 複合被膜構造及び塗装外装材
JP2010031188A (ja) 手塗り可能なゾルゲル膜形成用塗布液
JP2009084476A (ja) コーティング用組成物及びその製造方法、並びに該コーティング用組成物からなる塗膜
JP2003202960A (ja) タッチパネル
CN116133843A (zh) 层积体和坯布涂层用组合物

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100325

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100326

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111018

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4893667

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees