JP4892856B2 - 女性ホルモンバランス調整剤 - Google Patents
女性ホルモンバランス調整剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4892856B2 JP4892856B2 JP2005119010A JP2005119010A JP4892856B2 JP 4892856 B2 JP4892856 B2 JP 4892856B2 JP 2005119010 A JP2005119010 A JP 2005119010A JP 2005119010 A JP2005119010 A JP 2005119010A JP 4892856 B2 JP4892856 B2 JP 4892856B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- kakkon
- yellow
- powder
- sue
- rats
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
葛根乾燥エキス 110 g (500g)
熟地黄乾燥エキス 192 g (480g)
当帰乾燥エキス 150 g (600g)
芍薬乾燥エキス 85.8g (600g)
川キュウ乾燥エキス 142.8g (600g)
アビセル−PH01 192 g
コンスターチ−JP 513 g
エロジール−200 90 g
HPL−L−微粉 90 g
上記組成の粉体1466.6gの混合末にアルコールを適量添加後、バーチカルグラニュレータ(パウレック社製)で湿式造粒し、流動層乾燥機(フロイント社製)で乾燥した。24メッシュの篩で分級し、篩残はスピードミル(岡田精工社製)で粗砕した。これにビタミンB6 10g、エロジール−200 9g、ステアリン酸マグネシウム 9gを添加して混合し、打錠用顆粒を得た。この打錠用顆粒を8.5mm径2段R面の杵を使い、コレクト19型打錠機(菊水製作所製)で打錠し、1錠重量200mgの錠剤を得た。
葛根末 500 g
山帰来末 250 g
熟地黄末 550 g
ビタミンB2 50 g
ビタミンB6 150 g
乳糖 500 g
トウモロコシデンプン 245 g
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 32.5g
軽質無水ケイ酸 37.5g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 50 g
ヒドロキシプロピルセルロース 50 g
上記組成の粉体1567gをバーチカルグラニュレータで湿式造粒し、流動層乾燥機で乾燥した。24メッシュの篩で分級し、篩残はスピードミルで粗砕した。これにステアリン酸マグネシウム20g及びタルク30gを添加して混合した。得られた顆粒を400mgずつ1号カプセルに充填し、カプセル剤を得た。
実験材料:エストラジオール、葛根水抽出エキス(P−W)、葛根30%エタノール抽出エキス(P−A)及び葛根95%エタノール抽出エキス(P−E)を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:子宮重量を指標としたエストロゲン効果測定試験
子宮重量を指標としたエストロゲン効果測定試験は石見らの方法(Y.Ishimiら、Endocrinology、140巻、p.1893、1999年)に準じて実施した。すなわち、無菌環境下において、ラットをペントバルビタール麻酔下、背部を切開し、卵巣を摘出した(以下、「OVX」と称する)。OVX4日後から、葛根水抽出エキス(P−W)、葛根30%エタノール抽出エキス(P−A)、葛根95%エタノール抽出エキス(P−E)(それぞれ0.5%カルボキシルメチルセルロース・ナトリウムに懸濁、0.2mL/100g体重)を1日1回13日間連続経口投与した。最終経口投与1日後、ペントバルビタール麻酔下にて、開腹後、子宮を摘出し、その内容液を除去した後、子宮重量を測定した。なお、正常(疑似手術)群は、上記と同様に背部を切開、擬似的に卵巣を処理し、体内に戻した後、縫合した。正常群及び対照群は0.5%カルボキシルメチルセルロース・ナトリウムを0.2mL/100gの投与割合で投与した。抽出方法の異なる葛根エキスの投与量は、エストロゲン様作用を有する主成分のプエラリン含量を一律にして効果を比較するため、P−W、P−A、P−Eの投与量はプエラリン7.9mg/kg相当量としてそれぞれ132、80、50mg/kg、プエラリン19.8mg/kg相当量としてそれぞれ330、200、125mg/kgとした。
正常(疑似手術)群に比較し、OVXを施したラットの子宮重量は有意に減少した。これに対して、P−A及びP−Eはともに、卵巣摘出による子宮重量低下を有意に抑制し、エストロゲン様作用が観察され、葛根がエストロゲン様作用を発揮するためには抽出溶媒のアルコール含量が30%以上であることが好ましいことが明らかとなった。一方、エストラジオールは0.1mg/kgの投与量において子宮重量の低下を抑制した(図1参照)。
実験材料:エストラジオール、葛根30%エタノール抽出エキス、熟地黄40%エタノール抽出エキス及び乾地黄40%エタノール抽出エキスを用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:子宮重量を指標としたエストロゲン効果測定試験
実験は試験例1に準拠して行った。なお、検体は葛根30%エタノール抽出エキス120mg/kg、熟地黄40%エタノール抽出エキス200mg/kg及び乾地黄40%エタノール抽出200mg/kgを単独あるいは併用投与した。
正常(疑似手術)群に比較し、OVXを施したラットの子宮重量は有意に減少した。これに対して、葛根30%エタノール抽出エキス120mg/kg単独投与は有意に抑制した。この葛根エキスに作用の認められない熟地黄40%エタノール抽出エキス200mg/kgを併用投与するとそのエストロゲン様作用は有意に増強された。一方、乾地黄40%エタノール抽出200mg/kgは葛根の作用に影響を及ぼさなかった(図2参照)。このことから、熟地黄は葛根のエストロゲン様作用を促進する働きを有しているが、修治の異なる乾地黄にはそのような働きがないことが分かった。
実験材料:エストラジオール、葛根末及び山帰来末を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:子宮重量の低下を指標としたエストロゲン効果測定試験
実験は試験例1に準拠して行った。なお、検体は葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kgを単独あるいは併用投与し、投与用量は10mL/kgで行った。
正常(疑似手術)群に比較し、OVXを施したラットの子宮重量は有意に低下した。これに対して、葛根末及び山帰来末は、単独投与では1000mg/kgの投与量で有意なエストロゲン様作用を発揮し、子宮重量の低下を抑制するが、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kgでは、卵巣摘出による子宮重量の低下を抑制しなかった。これに対して、この投与量の葛根末と山帰来末とを併用投与すると子宮重量低下を有意に抑制し、有意なエストロゲン様作用が発現され、葛根と山帰来の併用効果が明らかとなった。エストラジオール0.1mg/kg経口投与はその低下を抑制した(図3参照)。
実験材料:エストラジオール、葛根30%エタノール抽出エキス及び熟地黄40%エタノール抽出エキスを用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:ホットフラッシュ発現を指標としたエストロゲン効果測定試験
前記試験例1に示した方法にて卵巣を摘出し、検体を21日間連日経口投与したOVXラットを用いホットフラッシュの発現を測定した。ホットフラッシュの測定は小林らの方法(T.Kobayashiら、J. Endocrinol.、146巻、p.431、1995年)を一部改良して実施した。すなわち、検体最終投与4時間後、無拘束下、OVXラット尾部(尾根部1cm〜5cmの部分)の最高温度をサーモグラフ(サーモビュア JTG−6300、日本電子(株))を用いて測定した。なお、検体は葛根30%エタノール抽出エキス120mg/kg、熟地黄40%エタノール抽出エキス150mg/kgを単独あるいは併用投与した。測定環境は室温23±1℃、湿度45±5%であった。
正常(疑似手術)群に比較し、OVXを施したラットの尾部最高温度は有意に増加した。これに対して、葛根30%エタノール抽出エキス120mg/kg及び熟地黄40%エタノール抽出エキス150mg/kgの単独投与は卵巣摘出によるホットフラッシュの発現に対して抑制傾向を示した。この投与量の葛根エキスと熟地黄エキスを併用投与するとホットフラッシュの発現が有意に抑制され、その作用はそれぞれの単独投与群の尾部温度に比較しても有意な差異が認められた。このことから、熟地黄が葛根のエストロゲン様作用を促進する働きが、ホルモンバランスの乱れによって生ずる代表的な愁訴であるホットフラッシュの評価モデルにおいて確認された。一方、エストラジオール0.1mg/kg経口投与はその発現を抑制した(図4参照)。
実験材料:エストラジオール、葛根末、山帰来末、熟地黄末を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:ホットフラッシュ発現を指標としたエストロゲン効果測定試験
実験は試験例4に準拠して行った。なお、検体は葛根末150mg/kg、山帰来末75mg/kg及び熟地黄末165mg/kgを単独あるいは併用投与し、投与用量は10mL/kgで行った。
正常(疑似手術)群に比較し、OVXを施したラットの尾部最高温度は有意に増加した。これに対して、本試験での投与量の葛根末、山帰来末及び熟地黄末の単独投与は卵巣摘出によるホットフラッシュの発現に影響しなかった.これに対して、葛根末、山帰来末、熟地黄末のうち、それぞれ2種ずつを併用投与すると有意にホットフラッシュの発現を抑制した。さらに、3種の生薬全てを併用投与するとその効果はさらに増強され、2種の生薬を併用した群に比較しても有意な作用であった(図5参照)。このことから、葛根、山帰来及び熟地黄の2種以上の組み合わせが、ホルモンバランスの乱れによって生じる代表的な愁訴であるホットフラッシュの発現を改善することが明らかとなった。
実験材料:エストラジオール、葛根末、山帰来末及び熟地黄末を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:疲労蓄積ラットの限界水泳時間測定試験
ホルモンバランスの乱れにストレス等が加わることにより疲労を感じやすくなることから、渡辺らの疲労蓄積モデルにて疲れやすさに対する検討を実施した(M.Tanaka、Y.Watanabeら、Neurosci Lett.、352巻、p.159、2003年)。本モデルは水深約10mmの水(23±1℃)を溜めた飼育ケージ(200×300×125mm)に、ラットを5日間個別飼育するものである。すなわち、OVX処置4週間後、体重を測定し、平均値が同等になるように群構成を行った後、ラットを水浸飼育した。ラットは水を嫌うと共に全身が濡れることを避けるため、水浸飼育されると、自主的に立位となり、さらに、断眠状態ともなる。そのため、ラットに疲労及びストレスが複合的に、かつ、持続的に負荷せしめられるため、そのラットには疲労が蓄積していく。この様な処置を施したラットの疲労状態を観察するために、ラットに重りを負荷し、強制水泳試験を行った。つまり、ラットを水浸飼育ケージから取り出し、2時間放置後、尾根部から2cmの位置に体重の6%に相当する重りを負荷し、直径150mm、高さ650mm、水深500mmの水槽にて、ラットを強制的に遊泳させた。遊泳開始後、ラットの鼻先が水面から5cm以上潜った状態が10秒間継続した時点で遊泳終了とし、その時間を限界水泳時間として表した。なお、検体は葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgを単独あるいは併用投与し、水浸飼育初日から1日1回5日間連日経口投与し、強制水泳試験実施日は投与しなかった。
正常(疑似手術)ラット及びOVXラットの通常の飼育した動物の限界水泳時間はそれぞれ7.8±0.7分及び8.5±0.7分であり,OVXラットの方が体重は20〜30%多いにも関わらず、限界水泳は増加傾向にあった。これらラットを水浸飼育すると、それぞれの限界水泳時間は1.9±0.2分及び1.9±0.3分に減少し、その減少は有意なものであり、減少率はOVXラットの方が大きかった。これに対して、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgの単独投与はOVXラットの水浸飼育による限界水泳時間の減少を抑制せず、各生薬末の投与量を1000mg/kgまで増量すると、葛根末にこの限界水泳時間の減少を抑制する作用が見出された。これに対して、葛根末、山帰来末、熟地黄末のうち、それぞれ2種ずつを併用投与するとこの減少を有意に抑制し、その作用は各生薬末1000mg/kg単独投与群の作用強度と同程度であった。さらに、3種の生薬全てを併用投与するとその効果はさらに増強され、2種の生薬を併用した群に比較しても有意な作用であった(図6参照)。このことから、葛根、山帰来及び熟地黄の2種以上の組み合わせは、ホルモンバランスが乱れ、さらにストレスなどの精神的要因が加わることによって引き起こされる疲労感や疲れやすさを改善すると考えられる。
実験材料:エストラジオール、葛根末、山帰来末及び熟地黄末を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:疲労蓄積ラットの後肢足容積測定試験
試験例6で作製した疲労蓄積OVXラットを用いて実験を行った。OVX処置4週間後、体重、足容積を測定し、平均値が同等になるように群構成を行った後、ラットを5日間個別に水浸飼育し、疲労蓄積させた。検体は水浸飼育初日から1日1回5日間連日経口投与し、最終実験日には投与しなかった。足容積は、室町機械(株)製足容積測定装置を用い、水浸飼育前及び水浸飼育終了日に、ラット右後肢足にて測定した。
正常(疑似手術)ラット及びOVXラットを水浸飼育すると、正常飼育したラットの足容積に比して、正常ラットは12.6±3.6%腫脹しているのに対して、OVXラットは26.7±3.3%腫脹しており、OVXを施すことによりむくみが発現しやすいことが明らかとなった。このむくみの発現に対して、エストラジオール0.1mg/kg(経口)は有意に抑制することから、むくみの発現はホルモンバランスの乱れによって増強されることを裏付けるものと考えられた。これに対して、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgの単独投与はOVXラットの水浸飼育によるむくみの発現を抑制せず、各生薬末の投与量を1000mg/kgまで増量すると、山帰来末及び熟地黄末にこのむくみの発生を有意に抑制する作用が認められた。これに対して、葛根末、山帰来末及び熟地黄末のうち、それぞれ2種ずつを併用投与するとこのむくみの発現を有意に抑制し、その作用は各生薬末の1000mg/kg単独投与群の作用強度と同程度であった。さらに、葛根末、山帰来末及び熟地黄末の3種の生薬全てを併用投与すると、このむくみを有意に回復させ、2種の生薬を併用した群に比較しても有意な作用であった(図7参照)。
実験材料:葛根末、山帰来末及び熟地黄末を用いた。
実験動物:SD系雄性ラット(9週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:後肢大腿部拘束ラットの足容積測定試験
SD系雄性ラットの後肢の足容積を測定した後、後肢大腿部の体幹部に近い部分をシリコンチューブ(外径×内径:9×5mm、長さ40mm)を通した結束バンド(長さ×幅/最大結束径:150×3.6/φ39mm)で鬱血が生じない程度の強度で縛り、血行障害に伴うむくみを誘引した。結束2時間後、結束を解放した直後に足容積を測定した。各群の足容積の平均値が同等になるように検体を経口投与し、5時間放置した後、再び足容積を測定した。足容積の測定は前記試験例7と同様に行い、拘束前の足容積と拘束開放直後の足容積の差を100とした時の5時間後の足容積浮腫率(%)を求めた。
ラットの後肢大腿部を2時間拘束すると、拘束前の足容積に比較し、足容積は70%程度増加した。各群の浮腫率の平均が同等になるように群構成したラットに検体を経口投与し、5時間放置した結果、対照群は、拘束解放直後の足容積の腫れを100とすると、浮腫率は77.9±18.5%まで回復した。これに対して、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgの単独投与はこのむくみの回復に影響しなかった.これに対して、葛根末、山帰来末及び熟地黄末の3種の生薬全てを併用投与すると、このむくみを有意に回復させた(図8参照)。
実験材料:葛根末、山帰来末及び熟地黄末を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
試験方法:疲労蓄積ラットの後肢足部温度測定試験
試験例6で作製した疲労蓄積OVXラットを用いて実験を行った。OVXラットを水浸飼育ケージから取り出し、後肢足部の水分を拭き取った後、ラット後肢の甲から指先の温度をサーモグラフ(サーモビュア JTG−6300、日本電子(株))を用いて測定し、その測定部位での最低温度を求めた。なお、測定環境は室温23±2℃、湿度45±8%であった。
通常飼育のOVXラットの後肢足部最低温度は20.8±0.5℃であるのに対して、水浸飼育したOVXラットのそれは19.1±0.4℃であり、有意な温度低下が確認された。さらに、後肢足部の中での温度差を観察すると、甲側よりも指側の方で温度差が大きく、OVXラットの方に冷えが生じやすいことが確認された。これに対して、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgの単独投与は卵巣摘出ラットの水浸飼育による冷えの発現を抑制しなかった。また、葛根末、山帰来末及び熟地黄末のうち、それぞれ2種ずつを併用投与すると冷えを改善する傾向が観察された。さらに、3種の生薬全てを併用投与すると冷えを有意に改善し、2種の生薬を併用した群に比較しても有意な作用であった。また、各生薬末の投与量を1000mg/kgまで増量すると、山帰来末及び熟地黄末はその減少を抑制したが、その作用は3種の生薬全てを併用する群には及ばなかった(図9参照)。
以上の検討結果から、葛根、山帰来及び熟地黄の2種以上の組み合わせは、女性特有な疾患の一つであり、さらに、ホルモンバランスの乱れにより陥りやすい冷えの発現を改善すると考えられる。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:疲労蓄積ラットの痛み閾値測定試験
試験例6で作製した疲労蓄積OVXラットを用いて実験を行った。ラットを水浸飼育ケージから取り出した直後に、尾部の水分を拭き取り、室町機械製デジタル・ランダルセリット式鎮痛効果測定装置(MK−201D)にて尾部の痛み閾値を測定した。
正常(疑似手術)ラット及びOVXラットの痛み閾値はそれぞれ188±17mmHg及び158±20mmHgであり、OVXのみでは、痛み閾値の差は生じなかった。これらラットを水浸飼育すると痛み閾値がそれぞれ低下し、その値は133±27mmHg(29%低下)及び69±8mmHg(56%低下)であり、OVXラットが疲労及びストレスを複合的に曝されることにより、痛みに対する反応が増していることが確認された。OVXラットのこの痛み閾値低下に対して、エストラジオール0.1mg/kg(経口)は有意に抑制し、この痛みに対する行動変化がホルモンバランスを整えることにより改善されることが明らかとなった。これに対して、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgの単独投与はOVXラットの水浸飼育による痛み閾値の低下を抑制せず、各生薬末の投与量を1000mg/kgまで増量することにより、葛根末、山帰来末はこの痛み閾値低下を有意に抑制した。これに対して、葛根末、山帰来末及び熟地黄末のうち、それぞれ2種ずつを併用投与するとこの痛み閾値の低下を有意に抑制し、その作用は各生薬末1000mg/kg単独投与群の作用強度と同程度であった。さらに、葛根末、山帰来末及び熟地黄末の3種の生薬全てを併用投与するとその効果はさらに増強され、2種の生薬を併用した群に比較しても有意な作用であった(図10参照)。これらのことから、葛根、山帰来及び熟地黄の2種以上の組み合わせは、痛みを過敏に感じやすい女性にとって、痛みが主訴となる肩こり、頭痛、腰痛などの痛みの緩和に有効であると考えられる。
実験材料:エストラジオール、葛根末、山帰来末及び熟地黄末を用いた。
実験動物:SD系雌性ラット(10週令、チャールズリバーから購入)
実験方法:強制水泳時不動時間測定試験
ホルモンバランスを乱した際に生じる精神神経症状には、無気力、いらいら、不安などの不定愁訴が挙げられる。そこで、そのようなホルモンバランスを乱した際に生じる、うつ的症状を、強制水泳時の不動時間を指標に検討した。まず、試験例1に示した方法によって卵巣を摘出し、群構成のためOVX10日目に不動時間を測定した後、エストラジオール等の各検体を21日間連日経口投与した。各検体の効果は最終投与の1時間後に再び10分間の強制水泳を行わせ、その間に見られる不動時間を測定して評価した。なお、不動時間の測定は茶木らの方法(S.Chakiら、J.Pharmacol Exp.Ther.304巻、p.818、2003年)に準じて実施した。すなわち、水温25℃±2℃、直径200mm、高さ450mm、水深300mmの水槽にて、ラットを10分間強制水泳させ、その間に見られる不動時間の累計を画像解析システム(スマートビデオ行動解析システム、バイオリサーチセンター(株))にて測定した。
正常(疑似手術)群の不動時間に比較し、OVXラットの不動時間は有意に延長した。この不動時間の延長に対して,エストラジオール0.1mg/kg(経口投与)及びSNRIのミルナシプラン10mg/kgは共に有意な抑制作用を示した。このことから、OVXによる不動時間の延長は、ホルモンバランスの乱れから生じ、ストレスや疲労によって増強される、うつ症状や易疲労感を反映するものと考えられる。これに対して、葛根末、山帰来末及び熟地黄末を100〜1000mg/kgにて経口投与したところ、葛根末1000mg/kgのみがホルモンバランスの乱れによる不動時間の延長を有意に抑制し、山帰来末1000mg/kgはその延長に対して抑制傾向を示し、熟地黄は全ての投与量において無効であった。これに対して、葛根末300mg/kg、山帰来末150mg/kg及び熟地黄末330mg/kgの単独投与は卵巣摘出ラットの不動時間には影響を及ぼさなかった。また、葛根末、山帰来末及び熟地黄末のうち、それぞれ2種ずつを併用投与するとこの不動時間の延長を抑制する傾向を示した。さらに、3種の生薬全てを併用投与するとその効果は増強され、2種の生薬を併用した群に比較しても有意な作用であった。(図11参照)。
Claims (3)
- 葛根、山帰来及び熟地黄からなる群より選ばれる2種又は3種を含有することを特徴とする更年期障害の予防又は改善剤。
- 葛根、山帰来及び熟地黄からなる群より選ばれる2種又は3種を含有することを特徴とする若年性更年期障害の予防又は改善剤。
- 葛根の抽出溶媒のエタノール含量が30%以上であるエキスを用いた請求項1又は2に記載の予防又は改善剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005119010A JP4892856B2 (ja) | 2004-04-15 | 2005-04-15 | 女性ホルモンバランス調整剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004120863 | 2004-04-15 | ||
JP2004120863 | 2004-04-15 | ||
JP2005119010A JP4892856B2 (ja) | 2004-04-15 | 2005-04-15 | 女性ホルモンバランス調整剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005325107A JP2005325107A (ja) | 2005-11-24 |
JP4892856B2 true JP4892856B2 (ja) | 2012-03-07 |
Family
ID=35471740
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005119010A Expired - Fee Related JP4892856B2 (ja) | 2004-04-15 | 2005-04-15 | 女性ホルモンバランス調整剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4892856B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031110A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Taisho Pharmaceut Co Ltd | 痛みの予防又は緩和剤 |
WO2009033103A1 (en) * | 2007-09-07 | 2009-03-12 | Bionovo, Inc. | Estrogenic extracts of pueraria lobata willd, ohwi of the leguminosae family and uses thereof |
EP2424555A4 (en) * | 2009-04-28 | 2013-02-20 | Bionovo Inc | METHOD FOR REDUCING FAT COLLECTION AND CAUSING WEIGHT LOSS |
CN102657783B (zh) * | 2012-03-15 | 2013-08-07 | 周玉萍 | 一种治疗更年期精神病的药剂 |
CN102600438B (zh) * | 2012-04-21 | 2014-04-23 | 韩合旭 | 治疗糖尿病、高血压、高血脂和冠心病的药物 |
KR101486857B1 (ko) * | 2013-06-11 | 2015-01-28 | (주)뉴메드 | 지황 및 갈근의 복합 추출물을 함유하는 갱년기 증상의 예방 또는 치료용 조성물 |
KR101906720B1 (ko) * | 2017-04-14 | 2018-10-10 | 김대현 | 구기자, 감초, 회향, 대두 및 갈근의 조합 생약 추출물을 유효성분으로 함유하는 여성갱년기 질환 및 우울증의 예방 및 치료용 조성물 |
US20220023370A1 (en) * | 2018-11-28 | 2022-01-27 | Helixmith Co., Ltd | Composition for preventing or treating metabolic bone diseases or menopausal symptoms |
WO2020111651A1 (ko) * | 2018-11-28 | 2020-06-04 | 주식회사 헬릭스미스 | 대사성 골질환 또는 갱년기 증상 예방 또는 치료용 조성물 |
JP2022071835A (ja) * | 2020-10-28 | 2022-05-16 | 住友化学株式会社 | 月経随伴症状の予防、改善又は緩和のための組成物 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0753394A (ja) * | 1993-08-20 | 1995-02-28 | Zenichi Ogita | 性機能改善剤 |
JP4589483B2 (ja) * | 2000-05-12 | 2010-12-01 | 花王株式会社 | ニキビ予防治療剤 |
-
2005
- 2005-04-15 JP JP2005119010A patent/JP4892856B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005325107A (ja) | 2005-11-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4892856B2 (ja) | 女性ホルモンバランス調整剤 | |
CN102492596B (zh) | 一种强身保健药酒 | |
CN103169881B (zh) | 一种补充妇女绝经期雌激素的中药保健品及其制备方法 | |
CN103007234B (zh) | 一种治疗子宫内膜异位引起痛经的中药制剂及其制备方法 | |
KR102105540B1 (ko) | 천연재료 추출물을 유효성분으로 하는 여성 갱년기 증후군 개선용 조성물 및 그의 제조방법 | |
JP2005298450A (ja) | 更年期症候群の予防又は治療剤組成物 | |
CN103041208B (zh) | 一种治疗妇女更年期综合征的中药制剂及其制备方法 | |
CN102846906B (zh) | 一种治疗卵巢早衰的药物及其制备方法 | |
JP2004155779A (ja) | 更年期症の予防・治療用経口組成物 | |
CN102988703A (zh) | 一种治疗肾阳虚的中药制剂及其制备方法 | |
CN1806840B (zh) | 一种中药复方制剂及其制备方法 | |
CN103099888B (zh) | 一种消除疲劳、改善睡眠、增强体力足浴包及其制备工艺 | |
CN102895478A (zh) | 一种温肾助阳的药物组合物及其制备方法 | |
JP4892857B2 (ja) | 更年期症の予防又は改善剤 | |
KR101600751B1 (ko) | 녹용을 함유하는 여성 불임증 치료용 한약 조성물 제조 방법 | |
CN104721582A (zh) | 一种治疗肾虚型月经过少的药物及其制备方法 | |
KR101626938B1 (ko) | 성조숙증의 예방 또는 개선용 조성물 | |
Mayo | A natural approach to menopause | |
CN102302668B (zh) | 用于多囊卵巢综合征的药物组合物 | |
JP2009523723A (ja) | のぼせの治療または予防のための組成物、およびその使用方法 | |
JP2007161643A (ja) | Pmsの予防又は改善剤 | |
CN103919961B (zh) | 一种治疗中老年肾亏肾阳虚的中药制剂及其制备方法 | |
CN110201122A (zh) | 一种治疗月经不调的中药组合物及其制备方法和用途 | |
KR102652335B1 (ko) | 돌콩을 포함하는 여성갱년기 증상의 예방 및 개선용 조성물 | |
CN114302714A (zh) | 一种用于治疗围绝经期潮热和恢复月经周期的药剂及其使用方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080305 |
|
RD07 | Notification of extinguishment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7427 Effective date: 20090624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110426 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110624 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110624 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110726 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111013 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20111028 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111122 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111205 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4892856 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |