JP4891497B2 - ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材 - Google Patents

ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材 Download PDF

Info

Publication number
JP4891497B2
JP4891497B2 JP2001251121A JP2001251121A JP4891497B2 JP 4891497 B2 JP4891497 B2 JP 4891497B2 JP 2001251121 A JP2001251121 A JP 2001251121A JP 2001251121 A JP2001251121 A JP 2001251121A JP 4891497 B2 JP4891497 B2 JP 4891497B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coating
polyamide resin
steel material
coated steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001251121A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003053262A (ja
Inventor
義洋 宮嶋
義行 川瀬
正一 川崎
孝行 芦野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Anti Corrosion Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Anti Corrosion Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nittetsu Anti Corrosion Co Ltd filed Critical Nittetsu Anti Corrosion Co Ltd
Priority to JP2001251121A priority Critical patent/JP4891497B2/ja
Publication of JP2003053262A publication Critical patent/JP2003053262A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4891497B2 publication Critical patent/JP4891497B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂で被覆された配管や部材のポリアミド樹脂被膜の欠陥部表面、すなわち部分被膜剥離やピンホール等が発生している箇所に対し、化学的に接着する塗膜を形成させることにより、長期間に亘って、ポリアミド樹脂塗装が本来有する防食性、景観性等を維持することのできるポリアミド樹脂被覆鋼材の補修用の塗装方法に関する。
【0002】
また本発明は、塗れ性が悪く、塗装性が不良なポリアミド樹脂被膜の表面に、着色、防汚、防藻等を目的として上塗り塗装を施すに際して、ポリアミド樹脂表面に化学的に接着するプライマー層を介在させることにより、密着性が良く膜厚の一様な上塗り塗膜を容易に形成させることのできるポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法とこの方法により塗装されたポリアミド樹脂被覆鋼材に関する。
【0003】
【従来の技術】
プラント配管や水管橋等に適用されるポリアミド樹脂塗装鋼管の補修は、小さなピンホールに関してはコテ法で、大きなピンホール或いは損傷部が発生した場合には、再塗装せざるを得ない状況にあった。従って、現地施工時の補修に難があり、長い間、当該被覆鋼材に関する補修工法の開発が望まれていた。
【0004】
一方、ポリアミド樹脂被覆鋼材の着色に関しては、景観等のニーズから多様な色合のものが要求されるが、その被覆方法との関連で、多様な色合の被膜を経済的に形成することが難しいという問題がある。
【0005】
すなわち、鋼材表面へのポリアミド樹脂の被覆は、粉体塗料の流動浸漬塗装法により行われることが多いが、製造側の流動浸漬槽数が限定されていること、粉体塗料替が製造コストに大きく影響すること、多様な色合のポリアミド樹脂の着色粉体塗料を小ロットで準備するのが経済的でないことなどの理由から、流動浸漬塗装法で多様な色合の被膜を直接形成させることが難しく、ポリアミド樹脂被覆鋼材の容易な着色方法が望まれていた。
【0006】
また、当該被覆配管の実使用環境の中には、湿気の多い所での配管施工箇所もあり、当該被覆の長期に亘る暴露の中で、下面に苔が生えたり、カビが生えたりして、著しく景観を損ねる場合がある。したがって、その表面に予め防汚、防藻等を目的とする上塗り塗装を施したり、一定期間使用した被覆鋼材の表面に、再塗装したりすることが必要となっていた。
【0007】
しかしながら、本来防食塗装に用いられるポリアミド樹脂は、低融点、低吸水率であることを勘案し、疎水性部分(鎖状炭化水素の部分)の割合が非常に大きい通称ナイロン11,ナイロン12が多用されている。これらのポリアミド樹脂の分子量は数万〜数十万と非常に大きく、分子内の疎水性の部分が非常に大きいため、当該被膜表面は、ポリアミド樹脂末端のアミノ基或いはカルボキシル基が存在するにもかかわらず、強い疎水性を発現する。
【0008】
したがって、当該ポリアミド樹脂被覆鋼材の表面に新たに塗膜を積層させることが難しく、従来市販されているウレタン系、或いはエポキシ系塗料では、十分な濡れ性が無いため、塗装性が著しく不良であった。そのため、従来は被膜表面を目荒らして擬似的な接着でカバーしていたが、この方法では作業性にも問題があり、かつ上塗り塗膜に長期耐久性のある接着力を発現させることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜のピンホールや損傷部を補修するに際して、疎水性の大な該被膜に十分に濡れる補修用塗料を用いることにより、補修塗膜の密着性を長期間に亘り確保しうる手段を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ポリアミド樹脂被覆鋼材の表面に、着色、防汚、防藻等を目的として上塗り塗装を施すに際して、ポリアミド樹脂との塗れ性の良好なプライマー層を介在させることにより、密着性が良く膜厚の一様な上塗り塗膜を容易に形成させることのできる手段を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明のポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法の第一は、
ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、必須成分として(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマーを含有する組成物を塗布することを特徴とするポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法である。
【0012】
また、本発明のポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法の第二は、
ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマーを主成分とする組成物をプライマーとして塗布し、さらにその表面に着色用塗料、防汚用塗料又は防藻用塗料を塗布することを特徴とするポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法である。
【0013】
上記第一及び第二の塗装方法においては、前記芳香族オリゴマーが、低粘度キシレン樹脂、液状クマロン樹脂、低分子量石油樹脂、イソプロペニルトルエンの液状低重合物、イソプロペニルトルエンとα−メチルスチレンとの共重合物、及びスチレン、クマロン、インデン、イソプロペニルトルエン、α−メチルスチレン類又はこれらの低分子量重合物若しくは共重合物をフェノール類、ホルムアルデヒド又はフェノール類とホルムアルデヒドで変性したオリゴマーよりなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、その含有量が(A)成分100重量部に対して10〜200重量部であることが好ましい。
【0014】
本発明のポリアミド樹脂被覆鋼材の第一は、
ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物、(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマー及び(D)着色顔料を主成分とする着色塗膜が形成されてなるポリアミド樹脂被覆鋼材である。
【0015】
また、本発明のポリアミド樹脂被覆鋼材の第二は、
ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマーを主成分とする中間塗膜が形成され、さらにその表面に着色用塗料、防汚用塗料又は防藻用塗料の表面塗膜が形成されてなるポリアミド樹脂被覆鋼材である。
【0016】
なお、本発明の対象であるポリアミド樹脂被覆鋼材は、分子内に酸アミド結合(−CONH−)を繰り返し単位として持つ樹脂(ナイロン樹脂)を被覆した鋼材の総てを含むものであるが、特に防食性との関連からは、低融点であり吸水性の小さいナイロン11又はナイロン12を粉体塗装した鋼材が多用されており、これらの樹脂被膜においてとくに本発明の効果が大きい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の塗装方法の実施態様を説明するための図で、図1(a)及び(b)は第一の塗装方法の実施態様の例を、図1(c)は第二の塗装方法の実施態様を示す。図1(a)においては、鋼材1の表面に形成されたポリアミド樹脂被膜2の被膜損傷部3に、必須成分として(A)樹脂成分、(B)硬化剤成分及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤として芳香族オリゴマーを含有する組成物(以下「ポリアミド樹脂用塗料」という)を塗布して、補修用塗膜4を形成することを特徴とする。
【0018】
図1(b)においては、ポリアミド樹脂被膜2の表面全体に、着色顔料成分を含有するポリアミド樹脂用塗料を塗布して、着色塗膜5を形成することを特徴とする。また、図1(c)においては、ポリアミド樹脂被膜2の表面全体に、(A)樹脂成分、(B)硬化剤成分及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤として芳香族オリゴマーを主成分とする組成物(以下「ポリアミド樹脂用プライマー」という)を塗布して中間塗膜6を形成し、さらにその表面に着色用塗料、防汚用塗料又は防藻用塗料により表面塗膜7を形成することを特徴とする。
【0019】
以下、上記塗料の構成成分について説明するが、以下の記述はポリアミド樹脂用の塗料及びプライマーに共通するものである。まず、(C)成分の芳香族オリゴマーとは、数平均分子量が300〜600程度の範囲にある芳香族系の低重合物或いはその変性物をいうが、中でも、低粘度キシレン樹脂、液状クマロン樹脂、低分子量石油樹脂、イソプロペニルトルエンの液状低重合物、イソプロペニルトルエンとα−メチルスチレンとの共重合物、及びスチレン、クマロン、インデン、イソプロペニルトルエン若しくはα−メチルスチレン類の単体又はこれらの低分子量重合物若しくは共重合物を、フェノール類、ホルムアルデヒド又はフェノール類とホルムアルデヒドで変性したオリゴマーのうちの1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0020】
また、この表面改質剤の添加量としては、(A)樹脂成分100重量部に対して10〜200重量部であることが好ましい。これが10重量部より少ないと、ポリアミド樹脂被覆鋼材との十分な接着性が得られず、200重量部を越えると塗膜強度が著しく低下するためである。より好ましい(C)芳香族オリゴマーの添加量は、(A)成分100重量部に対して40〜80重量部である。
【0021】
塗料のベース成分である(A)樹脂成分としては、公知のポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を用いる。
ポリオール樹脂としては、1分子中に水酸基を2個以上有し、イソシアネート系化合物と反応して架橋塗膜を形成することができる水酸基当量100〜2000程度のポリオール樹脂であれば液状、固形を問わず使用できる。このようなポリオール樹脂としては、例えば、エポキシ変性ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、キレート変性ポリオール、ヒマシ油変性ポリオールなどの1種又は2種以上が挙げられる。
【0022】
これらのポリオール樹脂のうち、防食性の観点からエポキシ変性ポリオールが好ましく、具体的にはエポキシ当量180〜2200程度のビスフェノール型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂とジエタノールアミンやジイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類を付加反応させて得たエポキシ変性ポリオールが挙げられる。
【0023】
また、エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、アミン系化合物と反応して架橋塗膜を形成することができるエポキシ当量が180〜2200程度のエポキシ樹脂であれば、液状樹脂、固形樹脂を問わず使用できる。
このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ポロピレンオキサイド変性エポキシ樹脂、スルフィド含有エポキシ樹脂等の特殊エポキシ樹脂の1種又は2種以上が挙げられる。なお、低粘度化のために各種モノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル等の反応性希釈剤を併用することも差し支えない。
【0024】
つぎに、(B)硬化剤成分としては、塗料ベース樹脂がポリオール樹脂の場合にはイソシアネート系化合物を、塗料ベース樹脂がエポキシ系樹脂の場合にはアミン系化合物を用いるのがよい。
【0025】
イソシアネート系化合物(硬化剤)とは、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物であればよく、汎用型、難黄変型(紫外線暴露下での変色性)、無黄変型(紫外線曝露下での変色性)等を用いることができる。まず、汎用型としては、トリレンジイソシアネート(TDIと略称する)、TDIの3量化物であるイソシアヌレート、4.4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDIと略称する)等が挙げられる。
【0026】
さらに、無黄変型としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIと略称する)、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート(XDIと略称する)及び水添MDI等が挙げられ、更には上記のイソシアネート類をトリメチロールプロパン(TMPと略称する)等の多価アルコール、多価フェノール類で変性したアダクトも使用できる。
【0027】
なお、イソシアネート硬化剤の使用量としては、イソシアネート基/ポリオール樹脂のヒドロキシル基のモル比で0.3〜1.5とすることが好ましく、より好ましくはこのモル比を0.5〜1.0とする。
【0028】
アミン系化合物(硬化剤)としては、例えばポリアミド系硬化剤や脂肪族若しくは芳香族アミン、又はこれらのマンニッヒ変性、アダクト変性などのアミン、ケチミン系硬化剤などの1種又は2種以上が挙げられる。アミン系硬化剤の使用量は、アミン/エポキシ当量で、0.5〜1.5とすることが好ましく、より好ましくはこの当量を0.5〜1.0とする。
【0029】
なお、アミン系硬化剤を用いる場合に、硬化速度が若干低下する傾向があることに対し、硬化促進を図るために、各種硬化促進剤(触媒)或いは、遠赤外線加熱設備などの設備を採用してもかまわない。
【0030】
さらに、ポリアミド樹脂用塗料の場合には、上記の必須成分の他に、例えば顔料では、鱗片状顔料、体質顔料及び着色顔料を任意に配合することができ、また顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、揺変剤(たれ止め剤)等の各種添加剤を任意に配合することができる。ただし、必須成分である(A)+(B)+(C)成分が、溶剤を除く全塗料成分100重量部中30重量部以上であることが好ましい。
【0031】
また、ポリアミド樹脂用プライマーの場合には、上記の必須成分の他に、一部顔料成分とその分散剤、消泡剤、レベリング剤、揺変剤(たれ止め剤)等の各種添加剤を少量配合してもよいが、必須成分の含有量が溶剤を除く全塗料成分100重量部中50重量部以上であることが好ましい。
【0032】
また、ポリアミド樹脂用の塗料及びプライマーのいずれにおいても、溶剤として例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族エステル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤などを適宜使用できる。
【0033】
上記のポリアミド樹脂用プライマーを用いた場合、トップコートとしての着色塗料は、耐候性のあるものであればとくに限定を要しないが、例えば一般に市販されているアクリルウレタン樹脂系着色塗料、フッ素樹脂系着色塗料などを用いることができる。同様に、トップコートとしての防汚用塗料、防藻用塗料も一般に市販されているものを支障なく用いることができる。
【0034】
なお、本発明の塗装方法は、ポリアミド樹脂被覆の基材が鋼材である場合に限らず、鋼以外の金属材料、プラスチックス、セラミックス、木質材等の表面にポリアミド樹脂被膜が形成されている場合にも同様に適用することができる。
【0035】
【実施例】
実施例1<ポリアミド樹脂被覆鋼材の補修塗装>
300Aフランジ付鋼管表面に、ポリアミド樹脂粉体塗料(ナイロン11)塗装(膜厚:300μm)鋼管を用い、この塗装鋼管外面及び内面の中央部に人工塗膜損傷部(100mm×100mmの面積をベルトサンダーによる塗膜剥離実施)を作製した後、当該被膜損傷部の補修塗装を実施した。
【0036】
当該補修方法に関しては、本発明で必須とした(A)〜(C)成分(芳香族オリゴマー)を含有した塗料を用いて、膜厚300μmで補修した本発明の供試材に対し、比較例としては(C)成分を欠落させた塗料を用いて補修した比較材を作製した。
【0037】
本発明材、比較材の両者を密着力試験(温水浸漬60℃・500時間、評価方法/プルオフ試験、測定個所/ポリアミド樹脂被膜と補修用塗膜界面及び鋼材と補修用塗膜界面)に供した。なお、今回の補修において、ポリアミド樹脂被膜表面に関しては、サンドペーパー等による目荒らしは実施せず、平滑な被膜表面で試験を行なった。
【0038】
本発明材及び比較材ともに、(A)成分(以下、主剤という)としては、主にエポシキ変性ポリオールを、一部ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。(B)成分(以下、硬化剤という)としては、主にMDIを用い、一部TDI、XDI、HDI、ポリアミド、脂肪族アミン、芳香族アミンを用いた。(C)成分(以下、表面改質剤という)としては、主に液状クマロン樹脂を用い、一部低粘度キシレン樹脂、低分子量石油樹脂、イソプロペニルトルエンの液状低重合物、スチレンオリゴマー等を用いた。
【0039】
本発明材は、表面改質剤を主剤100重量部に対し50重量部(一部、10及び200重量部)添加した塗料を、比較材は、表面改質剤無添加(一部、5及び250重量部添加)の塗料を用いた。塗料成分を種々に変えた本発明材16種、比較材10種についての補修用塗料の組成と密着力の試験結果を表1に示す。
【0040】
表1の結果から、本発明材では、補修用塗膜とポリアミド樹脂被膜及び鋼材との界面の双方において、いずれの場合も初期および500時間経過後の密着力が良好(◎)であったことが知れる。一方比較材では、補修用塗膜とポリアミド樹脂被膜との界面において、いずれの場合も初期の密着力がやや不良(△)で、500時間経過後の密着力が不良(×)であった。
【0041】
実施例2<ポリアミド樹脂被覆鋼材の着色塗装>
300Aフランジ付鋼管表面に、ポリアミド樹脂粉体塗料(ナイロン11:白)塗装(膜厚:300μm)鋼管を用い、この塗装鋼管外面に着色塗装を施した。着色塗装の方法として、当該供試鋼管外表面に本発明の(A)〜(C)成分を必須とした塗料を着色塗料のプライマーとして、膜厚30μmで塗装し、着色塗料(アクリルウレタン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料)を膜厚50μmで積層した。
【0042】
上記の着色ポリアミド樹脂塗装鋼管に対し、比較例としては(C)成分を含有しない塗料を着色塗料のプライマーとして膜厚30μmで塗装した後、上記と同様に着色塗料(アクリルウレタン樹脂塗料)を膜厚50μmで積層し、着色ポリアミド樹脂塗装鋼管を得た。
【0043】
この本発明材及び比較材の両者を、実施例1と同様に密着力試験(温水浸漬60℃・500時間、評価方法/プルオフ試験、測定個所/ポリアミド樹脂被膜と着色塗膜間の密着力)に供した。なお、今回の着色塗装用プライマーの塗装下地処理に際して、ポリアミド樹脂被膜表面はサンドペーパー等による目荒らしは実施せず、平滑な被膜表面を用いた。
【0044】
本発明材及び比較材のプライマーの主剤、硬化剤及び表面改質剤の種類や表面改質剤の添加量は実施例1とほぼ同様にし、本発明材では、着色用塗料としてアクリルウレタン樹脂塗料及びフッ素樹脂塗料のそれぞれについて各16種、計32種の試験材を作成し、比較材では、アクリルウレタン樹脂塗料を着色用塗料とした10種の試験材を作成した。本発明材32種についてのプライマー組成、着色塗料の種類と密着力の試験結果を表2に、比較材10種についてのこれらのデータを表3示す。
【0045】
表2の結果から、本発明材では、着色塗料がアクリルウレタン樹脂及びフッ素樹脂のいずれの場合も、初期及び500時間経過後の、着色塗膜とポリアミド樹脂被膜間の密着力が良好(◎)であったことが知れる。一方、表3に見られるように(C)成分を含有しないプライマーを用いた比較材では、着色塗膜とポリアミド樹脂被膜間の密着力は、いずれの場合も初期がやや不良(△)で、500時間経過後が不良(×)であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアミド樹脂被覆鋼材のピンホール及び被膜剥離部位の補修が容易にでき、ポリアミド樹脂被覆鋼材の本来の長期防食性を維持することができる。また本発明により、景観調和等のニーズに対応するための多様な色合のポリアミド樹脂被覆鋼材を、小ロットでも安価に提供できるようになった。さらには、ポリアミド樹脂被覆鋼材の表面に防汚・防藻等の新たな機能を容易に付与することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗装方法の実施態様を説明するための断面概要図で、(a)はポリアミド樹脂被膜の損傷部を補修する場合、(b)はポリアミド樹脂被膜表面に直接着色塗装する場合、(c)はポリアミド樹脂被膜表面にプライマー層を介して上塗り塗装する場合を示す。
【符号の説明】
1 鋼材
2 ポリアミド樹脂被膜
3 被膜損傷部
4 補修用塗膜
5 着色塗膜
6 中間塗膜
7 表面塗膜
【表1】
Figure 0004891497
【表2】
Figure 0004891497
【表3】
Figure 0004891497

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、必須成分として(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマーを含有する組成物を塗布することを特徴とするポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法。
  2. ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマーを主成分とする組成物をプライマーとして塗布し、さらにその表面に着色用塗料、防汚用塗料又は防藻用塗料を塗布することを特徴とするポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法。
  3. 前記芳香族オリゴマーが、低粘度キシレン樹脂、液状クマロン樹脂、低分子量石油樹脂、イソプロペニルトルエンの液状低重合物、イソプロペニルトルエンとα−メチルスチレンとの共重合物、及びスチレン、クマロン、インデン、イソプロペニルトルエン、α−メチルスチレン類又はこれらの低分子量重合物若しくは共重合物をフェノール類、ホルムアルデヒド又はフェノール類とホルムアルデヒドで変性したオリゴマーよりなる群から選ばれた1種又は2種以上であり、その含有量が(A)成分100重量部に対して10〜200重量部である請求項1又は請求項2記載のポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法。
  4. ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物、(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマー及び(D)着色顔料を主成分とする着色塗膜が形成されてなるポリアミド樹脂被覆鋼材。
  5. ポリアミド樹脂被覆鋼材の被膜表面に、(A)エポキシ樹脂又はポリオール樹脂、(B)アミン系化合物又はイソシアネート系化合物及び(C)表面張力を低下させる表面改質剤としての芳香族オリゴマーを主成分とする中間塗膜が形成され、さらにその表面に着色用塗料、防汚用塗料又は防藻用塗料の表面塗膜が形成されてなるポリアミド樹脂被覆鋼材。
JP2001251121A 2001-08-22 2001-08-22 ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材 Expired - Fee Related JP4891497B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001251121A JP4891497B2 (ja) 2001-08-22 2001-08-22 ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001251121A JP4891497B2 (ja) 2001-08-22 2001-08-22 ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003053262A JP2003053262A (ja) 2003-02-25
JP4891497B2 true JP4891497B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=19079821

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001251121A Expired - Fee Related JP4891497B2 (ja) 2001-08-22 2001-08-22 ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4891497B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004091811A1 (ja) * 2003-04-14 2004-10-28 Nitto Denko Corporation 塗布膜の製造方法
JP4685640B2 (ja) * 2006-01-19 2011-05-18 日鉄住金鋼板株式会社 樹脂被覆金属板及びその製造方法
JP5572935B2 (ja) * 2008-09-24 2014-08-20 宇部興産株式会社 金属被覆材
CN111842071A (zh) * 2020-07-31 2020-10-30 陕西宇阳石油科技工程有限公司 一种钢质管道的环氧涂层现场补涂方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS602355A (ja) * 1983-06-21 1985-01-08 第一工業製薬株式会社 金属塗装物
JPS6279883A (ja) * 1985-10-02 1987-04-13 Nippon Paint Co Ltd 鋼材の防食塗装方法
JP3366693B2 (ja) * 1993-06-28 2003-01-14 神東塗料株式会社 防食塗装方法
KR19990072041A (ko) * 1995-12-11 1999-09-27 시모어 비.트라키모프스키 폴리아미드 분말 코팅 조성물을 사용한 프라이밍되지 않은금속의 코팅 방법
JP4610686B2 (ja) * 1999-11-09 2011-01-12 日塗化学株式会社 補修用塗料組成物及び設備補修方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003053262A (ja) 2003-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2324072B1 (en) Improved coating composition for wind turbine blades
CN102089347B (zh) 用于侵蚀性环境的新型快速固化超高固体低voc涂料体系
AU2006311222A1 (en) Epoxy based coatings
US8541061B2 (en) Anticorrosion coating method for zinc-plated steel structure
KR102121701B1 (ko) 강재 또는 콘크리트 표면 도료 시공 공법
EP3436506B1 (en) Process for repairing a coating film, use of an adhesion primer in such process, and substrate with a repaired coating film
JPS61192372A (ja) 鋼構造物の水中塗装方法
RU2378307C2 (ru) Состав для защитного покрытия
WO2016042143A1 (en) Composition
JP4891497B2 (ja) ポリアミド樹脂被覆鋼材の塗装方法およびこの方法で塗装された鋼材
US6645362B2 (en) Method for forming multi-layer paint film
JP4610686B2 (ja) 補修用塗料組成物及び設備補修方法
JP4897259B2 (ja) 送電鉄塔の防食塗装方法
KR102103223B1 (ko) 강구조물 방식 도장재 및 그 제조방법
US9828508B2 (en) Rapid cure polysulfide coatings for cavitation resistance, erosion resistance, and sound damping
KR102103226B1 (ko) 해안 강구조물 방식 도장 방법
JP5153838B2 (ja) 厚膜塗装可能な塗料を使用する設備補修方法
JPS58137471A (ja) 旧塗膜上の補修塗装仕上げ方法
KR20220064534A (ko) 도장 작업성이 향상된 상온 경화형 폴리우레아 코팅재 및 이를 사용한 도막층 형성 방법
KR102383644B1 (ko) 수용성 에폭시 및 우레탄 도료 조성물을 이용한 철재 표면 도료 도장 공법
KR102225932B1 (ko) 차열 효과가 향상된 방수막 코팅 시공 방법
JP4263348B2 (ja) 耐候性鋼の防食法
KR101935103B1 (ko) 도료 조성물
JPH09299878A (ja) 管内面の塗装方法
JP2023178251A (ja) 防食塗装方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111205

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111216

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees