JP4890050B2 - 音声信号増幅装置 - Google Patents
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Description
このカラオケ演奏歌唱を行っている際、歌唱者からの歌唱音声等はマイクロホンで拾われ、増幅されてスピーカから出力される。
斯かる場合では、歌唱者等にとって望まない音声がより一層増幅され且つ連続的に出力されることになり、所謂ハウリング現象が生じるという問題がある。
殊に、再増幅が連続的に行われることによって、ハウリング現象による不愉快な音声のレベルが急に発散する場合では、問題はより一層深刻である。
ここで得られるミックスされた電気信号に基づく音声は、聞く者にとって、元になる音声に対してエコー成分の音声が付加されたものとして出力されることにより、心地よく聞き取る場合が多い。
つまり、元の音声にエコー成分を付加して音声を得たい場合には、遅延信号を生成して付加することが知られている。
しかしながら、前述したように、元になる音声に対してエコー成分を付加して得られる音声は、聞く者にとって心地よい場合があり、ハウリングの生起が確実と言えない条件下でエコー成分の付加を最初から行わないということは妥当とは言えない。
この発明は、元になる音声にエコー成分を付加し且つ増幅して出力する際、ハウリングが生じる可能性がある或いはハウリングが既に生じている場合に、そのハウリングの状態を回避させ、且つ、回避させた後のエコー成分の付加のさせ方に関する。
他方、特開2003−259480号公報で開示された発明「ハウリング検出装置」(以下、「先行技術発明2」と称する)は、パワー増大判定カウンタ部123からのインクリメントしたカウンタ値及びパワー比較判定カウンタ部134からのインクリメントしたカウンタ値に基づいてハウリング判定部112がハウリングが発生したか否かを判定する構成になっており、構成が大掛かりである。
従って、先行技術発明1及び先行技術発明2は、ハウリングを回避した後は、入力して来る音声に、ハウリングが生じる前の状態で付加していたと同じ内容のエコー成分を付加し、拡声して音声で出力させると受け取るのが相当と考える。
しかしながら、元になる音声にエコー成分を付加することによってハウリングが生じたのであるから、ハウリングを回避した後に同じ内容のエコー成分を元になる音声に付加することは再びハウリングが生じる虞がある。よって、元になる音声にエコー成分を全く付加しないことによって、ハウリングが生じる虞を極力避けるようにするということも考えられる。
しかし、初期の設定に戻るのであれば、その設定では以前と同じように、ハウリングが発生することが大いに考えられ、結果的にハウリングの回避の段階で留まることになると受け取れる。
斯かる現象は、スピーカからの出力音声がマイクロホンに拾われて、低いレベルで均衡のハウリング状態を作っていると考えられる。斯かる種類のハウリングに対しての回避及び回避後の音声の増幅出力については、明らかに、先行技術発明1及び先行技術発明2では対応できていない。
その詳細な構成は、入力された音声を電気信号に変換するマイクロホンと、前記マイクロホンからの電気信号を遅延させエコー成分を付加するための、遅延時間、出力レベル及び出力回数を制御してディレイ信号を生成するディレイ信号生成回路と、前記ディレイ信号生成回路からのディレイ信号と前記マイクロホンからの電気信号の加算加工を行うミキサ回路と、前記ミキサ回路からの電気信号を増幅するアンプと、前記アンプからの電気信号を音声に変換して出力するスピーカと、前記マイクロホンからの電気信号のレベルを検出するレベル検出部と、前記レベル検出部からの検出レベルがハウリングが生じるレベル又はハウリングを生じる可能性があるレベルと判別したとき、ハウリングを回避するように、前記ディレイ信号生成回路の、遅延時間、出力レベル、出力回数のそれぞれの設定値を初期設定値から予め定めた設定値にそれぞれ変更させ、その後、前記レベル検出部からの検出レベルがハウリングを生じないレベル又はハウリングを回避した後のレベルになったと判別したとき、現時点の遅延時間から、初期設定値の遅延時間に段階的に近付かせ、現時点の遅延時間が初期設定値の遅延時間となったとき、現時点の出力レベル及び出力回数から、初期設定値の出力レベル及び出力回数に戻すように前記ディレイ信号生成回路を制御する制御部とを備えることを特徴とする音声信号増幅装置である。
しかし、マイクロホンからの電気信号のレベルが予め設定した値を超えてハウリングが生じると判別する場合、或いは、その予め設定した値より小さい値であっても前記レベルが一定の値を連続的に保持していて低いレベルの均衡状態のハウリングが生じていて急に発散して大きなハウリングになる可能性があると判別する際であっても、元になる音声に、初期に設定した内容とは多少異なるエコー成分を付加し続けるものである。
斯かる構成によって、歌唱者は、ハウリングの生起に拘わらず、エコー成分の付加され増幅されて出力される心地よい音声を楽しむことが可能になっている。
そこで、ハウリングを回避した後は歌唱者が初期に設定したエコーの内容に戻すとよいと考えられる。しかし、初期に設定した内容のエコーを元になる音声に付加することによってハウリングが生じたのであるから、エコーの内容を初期に設定した内容に戻すと再びハウリングの生じる虞がある。
又、エコー成分の内容を初期に設定した内容に段階的に戻す際にハウリングが生じる場合に対しては、そのハウリングを回避するように、段階的にエコー成分の内容を元の内容に段階的に戻した逆方向にエコー成分の内容を変更する制御が挙げられる。
ここで言う「一定値」及び「一定の時間」とは、装置の出力の大きさ、使用環境等に基づき決定される値である。
「一定の時間」について、この発明の音声信号増幅装置における具体的な一つの値として、マイクロホンからの電気信号のレベルの検出を離散的に行った場合に、連続する少なくとも3個の検出レベルの結果が同じである期間が挙げられる。
また、本発明の音声信号増幅装置によれば、ハウリングが生じる或いは生じていることの判別をマイクロホンからの電気信号のレベルに基づいて行っているので、聞く者にとって認めることが不可能な低いレベルながらも何らかの切っ掛けによって突然に大きなレベルに発散し得るハウリングを判別して、回避することが可能になっている。
音声信号増幅装置1は、図1に示すように、再生プレーヤ2と、マイクロホン3と、マイクアンプ4と、ミキサ回路5と、ミキサ回路6と、アンプ7と、スピーカ8と、A/D変換器9と、ディレイ信号生成回路10と、D/A変換器11と、A/D変換部12と、レベル検出部13と、制御部14と、操作部15及び表示器16が備えられている。
よって、再生プレーヤ2を出力させると、結果的に、スピーカ8からバック演奏の音声の出力を得ることが可能になる。
又、再生プレーヤ2は、広義に、電話回線を介してカラオケ演奏の音声データ受け取ってそれを再生する、いわゆる通信カラオケをも含むものである。
又、マイクロホン3は、勿論、歌唱者の意図しない音声を拾ってもその音声を電気信号に変換して出力を行うものである。従って、マイクロホン3は、ハウリングの原因になる音声を選択して入力せずに捨てるということを行うことはない。
ミキサ回路5は、マイクアンプ4からの電気信号とD/A変換器11からの電気信号を加算加工するものである。
ミキサ回路6は、再生プレーヤ2からのカラオケ演奏に係る電気信号とミキサ回路5からの電気信号を加算加工するものである。
スピーカ8は、アンプ7からのアナログの電気信号を入力し、音声に変換して出力するものである。
ディレイ信号生成回路10は、マイクロホン3からの歌唱者の元になる音声にエコー成分を付加させるためのものであって、歌唱者の音声に係る電気信号をA/D変換器9から受け取ると、その電気信号を基に、入力の時刻(初期の時刻)に対して設定した時間だけ遅延していて、設定しただけのレベルを有し、且つ、設定した数(回数)だけのディレイ信号を生成して出力するものである。
音声信号増幅装置1におけるディレイ信号生成回路10からのディレイ信号の遅延時間は、具体的に、入力して来る音声に係る初期の時刻の電気信号つまり元の電気信号の出力の時刻に対して129ミリ秒(ms)〜251ミリ秒の範囲内で遅延させて出力するように構成されている。
ここで、この遅延時間の129ミリ秒〜251ミリ秒という値は、カラオケ歌唱を行う際にその元の歌唱の出力時に対して心地よく聞くことができる遅延成分の遅延時間を経験的に得た値である。しかし、必要に応じては、遅延の範囲をこの値に限定する必要はなく、選曲や効果に対応させて適宜設定可能にすることが望ましい。
ここで、入力音声に係る電気信号のレベルに対して最大で−3dBという値は、エコー成分として元の音声に付加した際に、ハウリングが生じ難く且つその増幅されたエコー成分の付加を経験上最も強く感じ取れる値であることを意味している。
その複数のディレイ信号は、例えば129ミリ秒〜251ミリ秒の範囲内で一定の間隔(遅延時間間隔)で、元になる音声に係る電気信号に対して第1波のディレイ信号、第2波のディレイ信号、第3波のディレイ信号、・・・・・を生成・出力することも可能である(図3を参照)。
尚、所望により、隣接するディレイ信号の時間間隔を、隣接するディレイ信号同士のレベル差をそれぞれ異なるように設定することも可能な構成になっている。
又、音声信号増幅装置1において、ディレイ信号生成回路10は、元の音声に係る電気信号に対する第1波のディレイ信号、第2波のディレイ信号、第3波のディレイ信号、・・・・・の順に次に出力する電気信号のレベルを同じレベルずつ若しくは異なったレベルずつ減衰させて生成・出力するように構成されている。
ディレイ信号生成回路10は具体的に、元になる音声に係る電気信号に対して第1波のディレイ信号、第1波のディレイ信号に対して第2波のディレイ信号、第2波のディレイ信号に対して第3波のディレイ信号、・・・・・はそれぞれ−12〜−3dBの範囲で減衰可能になっている。この値は、経験上、聞く者にとって心地よいとして選択される数値である。
他方、ディレイ信号生成回路10を機能させながら音声信号増幅装置1を使用している際にハウリングが生じると制御部14が判別した場合には、つまり制御部14からディレイ信号生成回路10に制御信号が送られると、ディレイ信号生成回路10は具体的に、元になる音声に係る電気信号に対する第1波のディレイ信号を−4dB、第1波のディレイ信号に対する第2波のディレイ信号を−4dB、第2波のディレイ信号に対する第3波のディレイ信号を−4dB、第3波のディレイ信号に対する第4波のディレイ信号を−4dBだけ減衰させ、且つ、元になる音声に係る電気信号から214ミリ秒(ms)ずつ遅延するように設定されている。
更に、ディレイ信号の減衰の程度は、音声信号増幅装置1を使用する環境や音声信号増幅装置1からの出力音声を聞く者にとっての心地よさ、曲の種類等によって決まるものであるから、適宜設定することが望ましい。このことからも、ディレイ信号生成回路10のディレイ信号の減衰の程度を調節可能としていることは、大きな意味を持っている。
加えて、ディレイ信号生成回路10は、複数のディレイ信号を生成・出力する場合、隣接するディレイ信号同士の遅延時間と減衰の程度を組み合わせて設定することが可能な構成になっている。
ここで、ミキサ回路5において、マイクアンプ4からの元になる音声に係るアナログの電気信号とディレイ信号生成回路10の方向からのエコー成分となるアナログのディレイ信号が加算加工(ミックス)されることになる。
レベル検出部13は、マイクアンプ4からの音声に係る電気信号のレベル、つまり、結果的にはマイクロホン3が集音して拾った歌唱者の歌唱の音声に対応したレベルを検出し、ここで得られたレベル(値)を制御部14に送るものである。
従って、レベル検出部13に入力される電気信号のレベルの検出とは、ディレイ信号生成回路10への電気信号のレベルの検出をも意味することになる。
制御部14は、図2に示すように、判別部A17と、検出値保持部18と、判別部B19と、メモリ部20と、カウンタ部21と、制御信号出力部22を備えている。
ここで、判別部A17が、レベル検出部13からの検出結果がハウリングの生じる値以上と判別した場合には、判別部A17は、制御信号出力部22に制御信号を送るための信号を出力する構成になっている。他方、判別部A17が、検出結果がハウリングの生じる値未満と判別した場合には、判別部A17は、その検出結果(レベル値)を検出値保持部18に送る構成になっている。
判別部B19は、判別部A17の後段で且つ検出値保持部18の後段に接続され、検出値保持部18にその時点で保持されている検出されたレベル値と判別部A17を介して連続的に入力されて来る検出のレベル値が等しいか否かを判別するものである。
制御信号出力部22は、前述したように、判別部A17で検出結果(レベル値)が予め設定した値以上と判別されると判別部A17から制御信号出力の命令信号を受けて、ディレイ信号生成回路10で生成・出力するディレイ信号の内容を変更するための制御信号を出力するものである。
ここで、「検出結果のレベル値が連続して等しい場合にその連続する数をカウント」とは確認的に言うと、例えば、レベル検出部13からのレベル値が、2770mV、2700mV、2700mV、2700mV、2730mV、2700mV、2700mV、2900mVである場合、この期間に5個の2700mVがカウントされているが、カウンタ部21が、レベル値が等しい2700mVが3回だけ連続しているとカウントすることを意味する。
尚、これも上述したことだが、マイクロホン3からの電気信号のレベルは常に変化しておりレベルが一定であることは考え難いが、レベルが絶対的に一定ではないということもあり得ない。
そこで、音声信号増幅装置1は、マイクロホン3からの電気信号のレベルが予め設定した期間で一定であれば、均衡状態のハウリングが生じていると見なし、この状態を回避するように機能する構成になっている。
メモリ部20は、操作部15からの入力によって、上記の記憶されている数値・内容を設定及び書き換えが可能になっている。
又、判別部A17が検出結果(レベル値)が予め設定した値より大きいと判別する又はカウンタ部21が予め設定した一定期間で均衡状態のハウリングが生じていると判別し、これらの判別に基づいて制御信号出力部22がディレイ信号生成回路10に制御信号を送って生成・出力すべきディレイ信号の内容の変更に制御を行っても、判別部A17又はカウンタ部21でハウリングが生じる或いは生じているとの旨を示す場合には、制御信号出力部22からディレイ信号生成回路10にディレイ信号の生成・出力を停止させる制御信号を送る機能を付加することが可能である。
マイクロホン3からの電気信号のレベルが3mVである場合には、マイクアンプ4によって増幅されてミキサ回路5、A/D変換器9及びA/D変換部12へ出力される電気信号のレベルは増幅されて、210mVになっている。
従って、制御部14は、レベル検出部13の側からの電気信号のレベル値を検出する際に、理論的には、前記の3000mVより大きいか否かによってスピーカ8からの音声が再びマイクロホン3によって拾われて結果的に信号のレベルの値を大きくしているか否かを比較判別することになる。
ここで重要なことは、その時に生じるハウリングがカラオケの歌唱者やその場に居合わせている者に対し、ハウリングが不愉快に感じる程度以下であればよいということであって、音声信号増幅装置1では経験上許容の範囲の2%だけ大きい値、つまり、3060mVを予め設定した値としている。つまり、メモリ部20には、ハウリングが生じると判別する値として3060mVが記憶されている。
従って、この余裕を示す2%という値も操作部15から制御部14のメモリ部20に任意に設定可能な構成になっている。
尚、ここで言うハウリングが生じて不愉快を感じることとは、マイクロホン3、スピーカ8等を含む装置全体の置かれている環境が使用中に変化することによって、つまり、例えば歌唱者が移動したり、衝立が置かれていてその位置が変化すること等によって、スピーカ8、音声反射物、歌唱者の持っているマイクロホン3の相対的な位置関係が変化することになり、途中からハウリングが生じない状態に変化することに対して余裕を持たせていてもハウリングが強く作用する程度であることを意味する。
ここで、音声信号増幅装置1は、ディレイ信号生成回路からのディレイ信号がハウリングが生じる若しくはハウリングが生じていることに寄与していれば、ディレイ信号の前記内容の変更によってハウリングが回避されることになる。
つまり、音声信号増幅装置1では、ハウリングを回避している際及び回避した後であっても、元になる音声にエコー成分が付加された音声が増幅されて出力される。
然るに、初期に設定した内容のディレイ信号を元になる音声に係る電気信号にミックスさせたことによってハウリングが生じたのであるから、ディレイ信号を初期の設定した内容に変更することは再びハウリングの生じる虞が伴う。
つまり、制御信号出力部22は、ディレイ信号出力回路10に、初期に設定した遅延時間に対して3ミリ秒ずつ近付くように、つまり、初期に設定した遅延時間に対してのより一層の遅延をワンステップが3ミリ秒ずつ取り戻すように、ディレイ信号を生成・出力する制御信号を送る構成になっている。
他方、ディレイ信号の生成・出力の時間位置を初期に設定した遅延時間に対して3ミリ秒ずつ近付けて行く際に制御部14で再びハウリングが生じる或いはハウリングが生じていると判別した場合は、この時のハウリングを回避させるように、制御信号出力部22はディレイ信号出力回路10にディレイ信号の生成・出力をワンステップずつ戻してつまり初期に設定した遅延時間に対して3ミリ秒ずつ遠ざかる制御信号を送る構成になっている。
音声信号増幅装置1は、上述したように構成されている。以下において、音声信号増幅装置1の作用について説明する。
使用者、すなわち、カラオケの歌唱者は、操作部15を操作して装置全体の主電源をONにする。続いて、歌唱時に所望のエコー状態を得るように、操作部15から制御部14を介してつまり制御信号出力部22からディレイ信号生成回路10に、ディレイ信号の内容の設定を行う。
具体的には、図3に示すように、元になる音声に係る電気信号に対し、5個のディレイ信号をそれぞれ199ミリ秒(ms)ずつ遅延させ、且つ、元になる音声に係る電気信号に対してのレベルをそれぞれ−3dBずつ減衰させるように設定を行う。
同様に、操作部15からメモリ部20に、ハウリングが生じる或いはハウリングが生じていると判別された際に、ディレイ信号生成回路10に生成・出力させるディレイ信号の内容を記憶させる。具体的には、図4に示すように、元になる音声に係る電気信号に対して、4個のディレイ信号をそれぞれ214ミリ秒(ms)ずつ遅延させ、且つ、元になる音声に係る電気信号に対してのレベルをそれぞれ−4dBずつ減衰させるように設定を行う。
具体的には、元になる音声に係る電気信号に対し、初期に設定したディレイ信号を199ミリ秒ずつ遅延させていたのに比して変更後は214ミリ秒ずつ遅延させたが、この214ミリ秒の遅延を3ミリ秒ずつ段階的に199ミリ秒の遅延に前進させ、且つ、前進が終わった時点で、各ディレイ信号の減衰を−4dBから−3dBに戻し、更に、ディレイ信号の出力の数を5個に戻すように、設定を行う。
つまり、具体的には、ハウリング回避の直後では、ディレイ信号の内容は、元になる音声に係る電気信号に対して214ミリ秒ずつ遅延し、元になる音声に係る電気信号に対してのレベルが−4dBずつ低い4個のディレイ信号が出力される。
ここで、ハウリングが回避されると、制御信号出力部22は続いてディレイ信号生成回路10に、各ディレイ信号のレベルを元になる音声に係る電気信号に対して−4dBずつ減衰させていたのを−3dBずつ減衰するように変更させ、且つ、ディレイ信号の出力の数を初期の5個にするための制御信号を送る構成になっている。
尚、以上の設定は、表示器16からその設定した内容を確認することができる。
この時、再生プレーヤ2からのバック演奏に係るアナログの電気信号がミキサ回路6に送られ、更に、アンプ7で所望のレベルに増幅されてスピーカ8に送られ、スピーカ8から音声となってバック演奏の音声が出力される。
ここで、マイクロホン3は、歌唱者からカラオケ歌唱の音声を拾ってアナログの電気信号に変換し、マイクアンプ4に送る。
マイクアンプ4は、その歌唱に係る電気信号を所定のレベルに増幅してミキサ回路5、A/D変換器9及びA/D変換部12に送る。
他方、A/D変換器9は、マイクアンプ4からのアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換してディレイ信号生成回路10に送る。
更に、A/D変換部12は、マイクアンプ4からの上記初期時刻に出力の歌唱音声に係るアナログの電気信号を受けると、デジタルの電気信号に変換してレベル検出部13に送る。
制御部14では、判別部A17がレベル検出部13からの検出結果が設定した値(3060mV)以上であるか否かを判別する。検出結果がその設定した値に到っていない場合(未満)には、検出値保持部18に送られる。
ディレイ信号生成回路10は、A/D変換器9からのデジタルの電気信号を入力すると、マイクロホン3から出力される初期時刻の信号、つまり、マイクアンプ4からミキサ回路5に入力される電気信号に対して、操作部15によって設定した時間だけ実質的に遅延させ且つ設定したレベルの設定した数のディレイ信号(デジタル信号)をマイクアンプ4からの元になる音声に係る電気信号に基づいて生成し、D/A変換器11に出力する。
ここで、ミキサ回路5は、マイクアンプ4からの初期の時刻に出力されるアナログの電気信号と、ディレイ信号生成回路10によって遅延され且つレベルが減衰された5個のアナログのディレイ信号を加算加工(ミックス)して、ミキサ回路6に送る。
別言すると、ミキサ回路5は、元になる音声に係る電気信号と、その元になる音声に付加すべきエコー成分に係る5個のディレイ信号をミックスし、ミキサ回路6に送る。
アンプ7は、ミキサ回路6からの加算加工されたアナログの電気信号を受け取ると、所定のレベルに増幅し、スピーカ8に送る。
つまり、スピーカ8は、マイクロホン3からのカラオケの歌唱者の歌唱の音声とこの歌唱の音声に対して遅延させてエコー成分を構成し得る歌唱に係る音声、及び、再生プレーヤ2からのバック演奏に係る音声を出力する。
ここで、マイクロホン3は、この反射による音声を拾うと、カラオケ歌唱の音声と共にアナログの電気信号に変換してマイクアンプ4に送る。
マイクアンプ4は、反射による音声及びカラオケ歌唱の音声に係る電気信号を所定通りに増幅し、A/D変換器9、A/D変換部12及びミキサ回路5に送る。
ここで、レベル検出部13は、カラオケ歌唱の音声及び反射による音声に係るデジタルの電気信号のレベルを検出し、その検出結果を制御部14に送る。
制御部14の判別部A17は、カラオケ歌唱の音声と反射による音声の加算された音声に係るデジタルの電気信号のレベルの値をレベル検出部13から受け取り、その値と予め設定している値(3060mV)との大小比較の判別を行う。
検出値保持部18は、判別部A17からの検出結果を書き替え的に一時保持し、その値を判別部B19に送る。
カウンタ部21は、判別部B19からの隣り合っていて検出結果が互いに等しく且つ連続している場合にその連続する数をカウントし、その数が5に到るか否かを判別する。
制御信号出力部22は、カウンタ部21からのカウント結果に基づいて、ディレイ信号生成回路10に生成・出力すべきディレイ信号の内容を変更するための制御信号を出力する。
従って、結果的には、ミキサ回路5において、元になる音声に係る電気信号に対し、図3で示す内容のディレイ信号ではなく図4で示す内容のディレイ信号がミキサ回路5において加算加工されることになる。
よって、ミキサ回路6は、ミキサ回路5から斯かるアナログの電気信号と、再生プレーヤ2からバック演奏に係るアナログの電気信号をそれぞれ受け取り、それらの二つのアナログ信号を加算加工してアンプ7に送る。
アンプ7は、ミキサ回路6からの上記音声に係るアナログの電気信号を所定通りに増幅してスピーカ8に送る。
スピーカ8は、アンプ7からの音声に係る増幅されたアナログの電気信号を音声に変換して出力する。
従って、この均衡的なハウリングの状態が解消されるので、このハウリングの状態から何らかの切っ掛けで急に発散して大きなハウリングが生じるという虞を回避することができている。
然るに、音声信号増幅装置1は、カウンタ部21が同じレベルが5回連続してカウントしたことに基づいて、その旨を制御信号出力部22に伝え、制御信号出力部22はこのカウンタ部21からの信号に基づいてディレイ信号生成回路10に制御信号を送り、結果的に、図5の検出のレベルが5個目の2300mVから実線で示す値をレベル検出することになる。
ここで、ディレイ信号生成回路10は、元になる音声に係る電気信号に対して214ミリ秒ずつの間隔で遅延させて生成・出力していた4個のディレイ信号を、ワンステップが3ミリ秒ずつ遅延時間が短くさせたディレイ信号に変更させて生成・出力する。
ここで、初期に設定したディレイ信号の生成・出力の状態に戻り、結果的に、カラオケの歌唱者が最も心地よいと考えるエコー成分の付加が得られることになる。
この遅延時間の位置において、制御部14でハウリングが生じる或いは生じているという判別がなされなければ、ディレイ信号生成回路10はその時点での遅延時間の位置で4個のディレイ信号を生成・出力し、続いて、各ディレイ信号のレベル差は−4dBから−3dBに戻し、更に、第5のディレイ信号を生成・出力する。
ここで、カラオケの歌唱者は、結果的に、ハウリングが生じる虞がない状態で最も心地よいと初期に設定した内容に可能な限り近い内容のエコー成分の付加された音声を得ることが可能になっている。
このことは、遅延時間の間隔を214ミリ秒から199ミリ秒に近付ける方向の変更で問題がなかったのにも拘わらず、遅延時間の間隔を逆の遠離る方向に変更してハウリングの発生があることと矛盾するように受け取られるかも知れないが、ハウリングの発生と発生回避は音声信号増幅装置1の使用環境にデリケートに左右されることに起因している。
従って、この発明の発明者は、前述したように、ハウリングを絶対的に生じる虞がない状態を得ることを確保し、その条件の下で最も心地よいと初期に設定した内容に可能な限り近いエコー成分を音声に付加させることを可能にするという発明の目的に基づいた形態に対応させている。
更に、この状態において、制御部14がハウリングの発生を判別すると制御部14はハウリングの回避及びディレイ信号の生成・出力の内容の変更に対応する。そして、この時のハウリングが回避されると、制御信号出力部22はディレイ信号生成回路10に、前述したと同様に、ディレイ信号の内容を初期に設定した内容に近付けるための制御信号を送る。
音声信号増幅装置1は、ハウリングの回避のためにディレイ信号の生成・出力の回避と
して遅延時間の変更を中心にしているが、ハウリングは周期性のある複数のエコー成分がマイクロホン3に拾われて生じることが多いこと、通常の人の耳にはエコー成分の遅延時間よりもエコー成分のレベル低下の方がより一層センシティブであることに基づいている。
従って、ハウリングを回避させるためにエコー成分の付加が得られなかったり、ハウリングの生起の常に伴うエコー成分の付加状態に比して、音声信号増幅装置1はハウリングが生じ難く且つ安定的で初期に設定したディレイ信号に対応するより近似なエコー成分が付加された心地よい増幅の音声を得ることが可能になっている。
2 :再生プレーヤ
3 :マイクロホン
4 :マイクアンプ
5,6 :ミキサ回路
8 :スピーカ
10 :ディレイ信号生成回路
13 :レベル検出部
14 :制御部
17、19 :判別部
20 :メモリ部
21 :カウンタ部
22 :制御信号出力部
Claims (3)
- 入力された音声を電気信号に変換するマイクロホンと、
前記マイクロホンからの電気信号を遅延させエコー成分を付加するための、遅延時間、出力レベル及び出力回数を制御してディレイ信号を生成するディレイ信号生成回路と、
前記ディレイ信号生成回路からのディレイ信号と前記マイクロホンからの電気信号の加算加工を行うミキサ回路と、
前記ミキサ回路からの電気信号を増幅するアンプと、
前記アンプからの電気信号を音声に変換して出力するスピーカと、
前記マイクロホンからの電気信号のレベルを検出するレベル検出部と、
前記レベル検出部からの検出レベルがハウリングが生じるレベル又はハウリングを生じる可能性があるレベルと判別したとき、ハウリングを回避するように、前記ディレイ信号生成回路の、遅延時間、出力レベル、出力回数のそれぞれの設定値を初期設定値から予め定めた設定値にそれぞれ変更させ、その後、前記レベル検出部からの検出レベルがハウリングを生じないレベル又はハウリングを回避した後のレベルになったと判別したとき、現時点の遅延時間から、初期設定値の遅延時間に段階的に近付かせ、現時点の遅延時間が初期設定値の遅延時間となったとき、現時点の出力レベル及び出力回数から、初期設定値の出力レベル及び出力回数に戻すように前記ディレイ信号生成回路を制御する制御部とを備えることを特徴とする音声信号増幅装置。 - 請求項1に記載の音声信号増幅装置であって、前記制御部は、前記レベル検出部が検出したレベルが、予め設定したレベル以上である場合か予め設定したレベルより小さいレベルであっても一定期間連続して同じレベルが続いた場合に、ハウリングが生じるレベル又はハウリングが生じる可能性があるレベルと判別することを特徴とする音声信号増幅装置。
- 請求項1に記載の音声信号増幅装置であって、ハウリングを回避した後、前記ディレイ信号生成回路の、現時点の遅延時間を初期設定値の遅延時間に段階的に近付かせる際に、再びハウリングの生起が判別されると、前記制御部は、前記制御部は、段階的に近付けた状態から遅延時間の設定値を一段階戻すように前記ディレイ信号生成回路を制御することを特徴とする音声信号増幅装置。
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