JP3280794B2 - 残響音生成装置及び残響音生成方法 - Google Patents

残響音生成装置及び残響音生成方法

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JP3280794B2
JP3280794B2 JP03860894A JP3860894A JP3280794B2 JP 3280794 B2 JP3280794 B2 JP 3280794B2 JP 03860894 A JP03860894 A JP 03860894A JP 3860894 A JP3860894 A JP 3860894A JP 3280794 B2 JP3280794 B2 JP 3280794B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、残響音生成装置に関
し、特にアドレス演算によって残響音を生成する装置に
関する。
【0002】
【従来技術】ピアノ等の打弦楽器から発せられる音に
は、弦が振動することで最初に発せられる直接音と、そ
の直接音が、弦を収納するエンクロジャーの内壁で反射
して外部に放射される残響音及び、当該楽器が設置され
ている室内壁から反射してくる残響音等が混在してい
る。従って、電子楽器においても、この様な残響を生じ
させることで、より自然な楽音を発生させることが従来
より行われている。
【0003】この様な電子的に残響音を生成させる装置
として図11のような装置が用いられてきた。すなわ
ち、入力端41から入力された原音が遅延器43によっ
て一定時間遅らされ、更に減衰器44によって一定量減
衰させられた後フィードバックされて出力される。そし
て、このフィードバック出力が再び遅延器43、減衰器
44を介して出力される。この繰り返しにより、時間経
過とともに出力端子45より所定時間間隔ごとに連続す
る残響音群が出力されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
の様な残響音付加装置では、各残響音の発生間隔及び残
響音の原音に対する減衰量はハードウェアによって決定
されているので、各残響音の発生時間間隔または減衰量
を簡単に変更する事は難しい。
【0005】本発明は、上述した課題を解決するために
なされたものであり、本発明の目的は、残響音発生時間
間隔または減衰量を簡単に変更でき、種々の特性の残響
音を発生させることのできる残響音生成装置を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、記憶された音響データの各サンプルデー
タの記憶されているアドレスが、初期値から目標値に向
って演算され、この演算されたアドレスがほぼ目標値に
達したら、上記音響データの各サンプルデータが、残響
音データとして出力され、この残響音データが再び同じ
残響音生成処理される。
【0007】
【作用】これにより、アドレスの演算内容、例えば演算
回数、演算速度を変えれば、残響音発生時間間隔または
減衰量が簡単に変更され、種々の特性の残響音を発生さ
せることができる。
【0008】
【実施例】本実施例では、一定時間毎に割り込み信号I
NTが入力される度に、遅延エリア(音響エリア)41
-nのスタートアドレス(初期値)に書き込まれた音響デ
ータSDが演算式によって求めた新アドレスに書き移さ
れる。この演算式は、音響データSDが書き込まれてい
るアドレスの現在値と目標値との差分に係数を乗じ、更
にアドレスの現在値を加算する式である。これにより、
複数回、割り込み信号が入力されると、書き移される音
響データSDは目標アドレスに達する。目標アドレスに
達したら、音響データSDが減衰係数を乗算されて残響
音として出力される。さらに、残響音として出力された
音響データSDが再び遅延エリア(音響エリア)41-n
のスタートアドレス(初期値)に書き込まれ、再び割り
込み信号が入力される度、音響データSDを順次書き移
す処理が繰り返される。
【0009】これにより、音響データSDが目標アドレ
スに達する度に残響音が出力される。なお、スタート
(初期)アドレス、目標アドレス及び遅延エリア(音響
エリア)41-nのメモリサイズは常に固定されている。
しかし、音響データSDが書き移されるアドレス間隔
は、現時点でのアドレス値と目標アドレス値との差分に
乗ずる係数によって変わる。したがって、アドレスシフ
トを行うための割り込み信号の入力間隔が常に一定で
も、音響データSDが目標アドレスに達する時間は変化
し得る。また、現時点でのアドレスが目標アドレスに接
近するほど、音響データSDが移動されるアドレス間隔
が狭くなる。これにより、係数の調整のみで、残響音の
遅延量を自由に変更できる。
【0010】1.全体回路 図1は、電子音響装置の全体回路を示す。キーボード1
の各キーは、楽音の発音/消音の操作を行うものであ
り、キースキャン回路2によってスキャンされ、キー操
作、すなわちキーオン、キーオフを示すデータが検出さ
れ、システムCPU5によってシステムRAM6に書き
込まれる。そして、それまでシステムRAM6に記憶さ
れていた各キーのオン、オフの状態を示すデータと比較
され、各キーのオンイベント、オフイベントの判別が、
システムCPU5によって行われる。
【0011】上記キーボード1は、電子弦楽器、電子管
(リード)楽器、電子打(パッド)楽器、コンピュータ
のキーボード等で代用してもよい。このキーボード1と
キースキャン回路2では、キーオン、キーオフ、音高の
検出のほか、タッチデータTCの検出も行われる。
【0012】パネルスイッチ群3の各スイッチは、パネ
ルスキャン回路4によって、スキャンされる。このスキ
ャンにより、各スイッチのオン、オフを示すデータが検
出され、システムCPU5によってシステムRAM6に
書き込まれる。そして、それまでシステムRAM6に記
憶されていた各スイッチのオン、オフの状態を示すデー
タと比較され、各スイッチのオンイベント、オフイベン
トの判別が、システムCPU5によって行われる。この
パネルスイッチ群3には、各種の楽音制御用スイッチが
設けられており、これらのスイッチ操作に基づいた制御
内容が表示装置8に表示される。
【0013】システムRAM6には、システムCPU5
が処理する各種データ及び処理に必要な各種データが記
憶される。システムROM7には、システムCPU5が
実行するプログラム及び、その他の処理に対応するプロ
グラムが記憶されている。上記システムCPU5、シス
テムRAM6、システムROM7によって、システムコ
ントローラ21が構成される。なお、このシステムコン
トローラ21は各システムCPU5、システムRAM
6、システムROM7が単体のチップで構成されていて
もよいし、RAM及びROMが1チップ内に集積された
1チップマイクロコンピュータであってもよい。
【0014】処理装置22の構成要素であるデジタルシ
グナルプロセッサ11では演算処理が行われ、各種デー
タが時分割に発生される。例えば、残響の原音及び残響
音の音響データSD、楽音波形データ、エンベロープデ
ータ、周波数変調データ、振幅変調データ、重み付けデ
ータ、アドレスデータ、フィルタ特性データ等である。
処理ROM13には、後述するフローチャートに対応し
かつデジタルシグナルプロセッサ11が実行する演算処
理に応じたプログラム、その他の処理を行うためのプロ
グラムが記憶されている。
【0015】処理RAM12は、デジタルシグナルプロ
セッサ11が処理する各種データ及び処理に必要な各種
データが記憶されたりし、特に残響音生成用のワークメ
モリとして利用される。上記デジタルシグナルプロセッ
サ11、処理RAM12、処理ROM13は、処理装置
22を構成し、システムコントローラ21と同じよう
に、複数のチップで構成されたり、1チップの集積回路
で構成されている。
【0016】また、デジタルシグナルプロセッサ11に
は割込発生回路16が接続されており、後述する残響音
生成サブルーチンをデジタルシグナルプロセッサ11に
行わせるため一定時間毎に割り込み信号INTが入力さ
れる。この割込発生回路16は、プログラマブルタイマ
またはクロックジェネレータなどであり、割り込み信号
INTは一定周期のタイマ信号またはクロック信号など
である。
【0017】A−D変換器14には、アナログの楽音波
形信号、その他のアナログ音響信号が入力され、デジタ
ルデータに変換される。変換されたこのデジタル音響デ
ータSDは、処理RAM12にデジタルシグナルプロセ
ッサ11によって書き込まれる。そして、残響音生成処
理がデジタルシグナルプロセッサ11によって行われ、
デジタルシグナルプロセッサ11によって処理RAM1
2から読み出されてD−A変換器15へ送られる。D−
A変換器15には、デジタルの楽音波形信号、その他の
デジタル音響データSDが入力され、アナログ信号に変
換され、更にアンプ及びスピーカを介して外部へ出力さ
れる。
【0018】なお、図1の電子音響装置には、トーンジ
ェネレータを設けてもよい。このトーンジェネレータは
時分割によって複数の楽音をポリフォニックに発音させ
る。このトーンジェネレータは、例えば特願平4−23
0136号の図1〜図6に示される。この場合、トーン
ジェネレータから発生された音響データSDがデジタル
シグナルプロセッサ11へ送られて残響音生成処理が行
われる。また、逆にデジタルシグナルプロセッサ11で
演算された残響音データG、J及び楽音データSDが、
周波数ナンバ累算器12、エンベロープジェネレータ1
4、累算器15、デジタルフィルタ17、ラッチ22、
50、80ヘ送られる。
【0019】2.デジタルシグナルプロセッサ11 図2は、上記デジタルシグナルプロセッサ11の回路を
示す。このデジタルシグナルプロセッサ11には、デー
タバスライン31と係数バスライン32とが設けられて
いる。データバスライン31には、アウトバッファ3
6、データRAM38またはインターフェイス37から
のデータが供給される。また、係数バスライン32に
は、アウトバッファ36または係数RAM39からの係
数が供給される。
【0020】データバスライン31に供給されたデータ
と係数バスライン32に供給された係数とは乗算器33
で乗算され、加算器34でインバッファ35からのデー
タに加算され、アウトバッファ36又はインバッファ3
5に書き込まれる。アウトバッファ36のデータは、上
記データバスライン31または係数バスライン32に供
給される。データバスライン31のデータは、インター
フェイス37を介して外部へ出力されたり、上記乗算器
33に供給されたり、データRAM38に送られたりす
る。係数バスライン32のデータは、上記乗算器33に
供給されたり、係数RAM39へ送られたりする。この
デジタルシグナルプロセッサ11の具体的な演算処理は
特願平4−346063号に示されている。
【0021】3.残響内容 図3は、残響内容を示す。原音の音響データSDから2
種類の残響音データG、Jが生成される。減衰特性α
1、α2は図3では直線的であるが実際にはエクスポー
ネンシャルである。図3の原音の音響SD、残響音G
(G11、G12、G13、……)、J(J11、J1
2、J13、……、J21、J22、J23、……、J
31、J32、J33、……)は、1つの直線で表され
ているが、実際には複数周期の楽音波形を有し、しかも
アタック、ディケイ、サスティン、リリースのエンベロ
ープ波形を有している。
【0022】原音の音響データSDは、デジタルシグナ
ルプロセッサ11によってA−D変換器14から取り込
まれて直ちにD−A変換器15から出力される。しか
し、原音の音響データSDは、A−D変換器14及びD
−A変換器15を経由せずそのままスルーしてもよい。
【0023】残響音データG(G11、G12、G1
3、……)は、遅延時間t1及び減衰特性α1によって
生成され、遅延スピードSP1は小さくて遅延スピード
は遅く、減衰係数Z1は大きくて減衰は緩やかである。
残響音データJ(J11、J12、J13、……、J2
1、J22、J23、……、J31、J32、J33、
……)は、遅延時間t2及び減衰特性α2によって生成
され、遅延スピードSP2は大きくて遅延スピードは速
く、減衰係数Z2は小さくて減衰は急である。
【0024】上記遅延スピード係数SP1、SP2は、
SP1<SP2<1の関係がある。しかも、残響音Jの
全体遅延時間T2は、残響音Gの各遅延時間t1より小
さい。しかし、全体遅延時間T2=各遅延時間t1また
は全体遅延時間T2<各遅延時間t1であってもよい。
これを実現するため、減衰係数Z1〜Zn、遅延スピー
ド係数SP1〜SPn、アドレスしきい値TA1〜TA
n及び減衰しきい値TH1〜THnの各値が決定され
る。
【0025】したがって、遅延時間t1の長い残響音デ
ータGと、遅延時間t2の短い残響音データJとが生成
され、遅延時間の長い残響音データGの第1次残響音G
11は、遅延時間の短い残響音データJの最終次残響音
J1kの後に出力される。
【0026】4.レジスタ群 図4は、デジタルシグナルプロセッサ11のデータRA
M38のレジスタ群を示す。このレジスタ群は、処理R
AM12に設けてもよい。残響モードレジスタ42には
残響生成フラグrgfが記憶される。この残響生成フラ
グrgfは残響音生成処理を行なうか否かのモードを示
す。残響出力レジスタ44には残響出力フラグrofが
記憶される。この残響出力フラグrofは最初の残響音
J11が出力されたか否かを示す。
【0027】遅延エリア41-1〜41-nには残響音処理
される原音の音響データSDまたは残響音データG、J
の各サンプルデータが記憶される。この音響データSD
または残響音データG、Jの各サンプルデータは遅延エ
リア41-1〜41-nにおいて遅延処理及び減衰処理され
て残響音データG、Jの各サンプルデータとして出力さ
れる。遅延エリア41-1〜41-nは、残響音の種類に応
じた数だけ設けられる。本実施例ではn=2すなわち2
つである。アドレスレジスタ4311〜431s、……、4
3n1〜43nsには原音の音響データSDまたは残響音デ
ータG、Jの各サンプルデータが記憶されている遅延エ
リア41-1〜41-nの各アドレスデータAD11〜AD1
s、……、ADn1〜ADnsが記憶される。遅延エリア4
1-1〜41-nは、他の半導体メモリ、CCDメモリなど
で代用してもよい。
【0028】最大残響種類数レジスタ45には最大残響
種類数データRNが記憶される。この最大残響種類数デ
ータRNは、図5に示す減衰特性αの種類に応じた残響
音の種類の最大数を示す。残響種類数レジスタ46には
残響種類数データnが記憶される。この残響種類数デー
タnは、減衰特性αの種類に応じた各残響音のいずれか
を示す。本実施例では残響音の種類は2種類で、残響種
類数データnは、“2”であるが、3種類以上でもよ
い。
【0029】最大音響サンプル数レジスタ47には最大
音響サンプル数データSSが記憶される。この最大音響
サンプル数データSSは、取り込まれて残響処理される
音響データSDの最大サンプル数を示す。音響サンプル
数レジスタ48には音響サンプル数データsが記憶され
る。この音響サンプル数データsは、取り込まれて残響
処理される音響データSDの各サンプルのうちのいずれ
かを示す。
【0030】音響データSDのサンプル周期は、残響音
生成処理の周期に等しいが、等しくなくてもよい。この
最大音響サンプル数データSSは、上記各残響音G、J
の各遅延時間の最小の遅延時間t2を残響音生成処理の
周期で割った値以下が望ましい。これにより、1つの残
響音が発音している時間が、最小の遅延時間t2より小
さくなる。むろん、最大音響サンプル数データSSは、
この割った値以上であってもよい。上記各遅延エリア4
1-1〜41-nのアドレス数は最大音響サンプル数データ
SSの値の数倍から数十倍あるが、最大音響サンプル数
データSSに等しくてもよい。
【0031】遅延スピードレジスタ51-1〜51-nには
遅延スピード係数SP1〜SPnが記憶される。この遅
延スピード係数SP1〜SPnは、各残響音G、Jの遅
延のスピードを表し、各残響音G、Jの遅延時間t1、
T1、t2、T2の長さすなわち残響の密度を決定す
る。減衰係数レジスタ52-1〜52-nには減衰係数Z1
〜Znが記憶される。この減衰係数Z1〜Znは、各残
響音G、Jの減衰の緩急を表し、各残響音G、Jの減衰
特性α1、α2すなわち残響の長さを決定する。
【0032】アドレスしきいレジスタ53-1〜53-nに
はアドレスしきい値TA1〜TAnが記憶される。アド
レスしきい値TA1〜TAnは、遅延される音響データ
SD、残響音データG、Jが遅延転送されるアドレスの
しきい値を表す。このアドレスしきい値TA1〜TAn
はアドレスのアドレス目標値TL1〜TLnより若干手
前の値であり、演算による変化が小さくなって“0”に
飽和し、いくら演算しても演算値がアドレス目標値TL
1〜TLnに到達できないエラーを防止するためであ
る。
【0033】減衰しきいレジスタ54-1〜54-nには減
衰しきい値TH1〜THnが記憶される。減衰しきい値
TH1〜THnは、音響データSD、残響音データG、
Jの減衰レベルのしきい値を表す。演算された残響音デ
ータG、Jのレベルがこの減衰しきい値TH1〜THn
より小さくなれば、残響音生成処理はこれ以上行われな
い。
【0034】上記残響生成フラグrgf、最大残響種類
数データRN、最大音響サンプル数データSS、遅延ス
ピード係数SP1〜SPn、減衰係数Z1〜Zn、アド
レスしきい値TA1〜TAn及び減衰しきい値TH1〜
THnは、電子音響装置内にあらかじめ固定的に記憶さ
れたり、操作者によってパネルスイッチ群3またはキー
ボード1より設定入力または書き換え変更入力された
り、MIDI端子を通じて他の装置より設定入力または
書き換え変更入力された、パネルスイッチ群3若しくは
キーボード1より設定入力または書き換え変更された、
または再生された自動演奏データの中の音楽的ファクタ
データから変換される。
【0035】この音楽的ファクタデータは、音高、音
域、音色の種類、高調波成分含有率、タッチ量、エフェ
クト(リバーブ、エコー、グライド、ポルタメント等)
の種類または/及び大きさ、音像位置、リズムの種類、
演奏パート(メロディ、コード、ベース、バックグラウ
ンド、リズム)の種類、変調量、エンベロープレベル、
エンベロープスピード、エンベロープフェーズ、発音経
過時間、音量、発音数、クオンタイズ量、テンポの大き
さ、フィルタ特性データなどである。これにより残響音
G、Jの遅延時間t、Tまたは減衰特性αは音楽的ファ
クタに応じて変化させられる。
【0036】また、上記音楽的ファクタデータには、発
音開始からの経過時間も含まれる。この場合、音響デー
タSDにチャンネルが割り当てられて、発音開始したと
きに、時分割タイムカウンタの上記チャンネルに対応す
るエリアのタイムカウントデータがクリアされ、順次各
チャンネルのタイムカウントが時分割に行われる。この
タイムカウンタは、リングシフトレジスタとアダーとア
ンドゲート群とで構成される。
【0037】このリングシフトレジスタは、チャンネル
数分のエリアを有し、各エリアの発音経過時間が記憶さ
れ、チャンネルタイミングごとに順次シフトされて出力
され、アダーで+1されてアンドゲート群を介して、再
びリングシフトレジスタに帰還入力される。発音開始時
のキーオンイベント信号は、反転されてラッチを介し、
上記アンドゲート群に閉成信号(開成信号)として供給
され、タイムカウントデータがクリアされる。
【0038】この発音経過時間は、1つの楽音SD、
J、Gの中における経過時間を表すものと、図3の遅延
時間T1、T2、t1、t2を表すものがある。この場
合、発音経過時間は後述するアドレスデータADnsと残
響音J、Gの出力回数とを使うことができる。
【0039】5.原音取り込み処理(第1実施例) 図5はデジタルシグナルプロセッサ11によって実行さ
れる、残響音生成処理の前の原音の音響データSDの取
り込み処理のフローチャートを示す。この第1実施例で
は、(2)式によって音響データSDが転送される遅延
エリア41-1〜41-nの新たなアドレスが計算され、そ
の新しいアドレスに音響データSDが実際に書き込まれ
て、音響データSDが順次目標アドレスへ移動させられ
る。そして、音響データSDが目標アドレスに達したと
き、音響データSDに減衰係数Znが乗ぜられて出力さ
れる。
【0040】本実施例では、アドレスデータADnsの現
在値から目標値に向っての演算は現実的(直接的)に行
われ、音響データSD(残響音データG、J)の書き換
えシフト(転送)も現実的(直接的)に行われる。
【0041】この処理では、A−D変換器14によって
入力されたアナログの楽音信号がデジタルデータの音響
データSDに変換されると、この音響データSDの入力
及び変換に応じてシステムCPU5からデジタルシグナ
ルプロセッサ11に対して残響音生成命令が発せられ
る。
【0042】この場合、例えばA−D変換器14内のバ
ッファにデータが記憶されていることをシステムCPU
5のアクセスによって判別されたり、またはこのバッフ
ァからシステムCPU5に命令信号が供給されたりす
る。デジタルシグナルプロセッサ11では、このシステ
ムCPU5からの命令に応答して図5の原音の音響デー
タSDの取り込み処理が開始される。
【0043】この処理は、全体処理の1つであり、この
全体処理は電源投入または所定のスイッチのオンによっ
て開始され、このオンがオフになるまで繰り返される。
この全体処理では係数RAM39のエリア、レジスタ群
41〜54がすべてクリアされ、残響生成フラグrgf
が“1”、残響出力フラグrofが“0”、最大残響種
類数データRNが“2”、残響種類数データnが
“1”、音響サンプル数データsが“1”に設定され、
最大音響サンプル数データSS、遅延スピード係数SP
1〜SPn、減衰係数Z1〜Zn、アドレスしきい値T
A1〜TAn及び減衰しきい値TH1〜THnが所定値
に設定される。
【0044】まず残響出力フラグrofがまだセットさ
れていない時(ステップ100)、原音の音響データS
Dが入力されると(ステップ102)、音響サンプル数
データsが最大音響サンプル数データSS以下であれば
(ステップ104)、音響サンプル数データsに応じ
た、遅延エリア41-1〜41-nのアドレスADnsにこの
音響データSDが書き込まれる(ステップ106)。こ
のアドレスADnsは処理の始めではスタートアドレスA
Dstとなり、このスタートアドレスADstは遅延エ
リア41-1〜41-nの最終番地であり、どのような場合
にもスタートアドレスADstは変化しない。
【0045】そして、音響サンプル数データsに応じ
た、アドレスレジスタ43nsに、遅延エリア41-1〜4
1-nの音響データSDの記憶アドレスADns(ADs
t)が記憶される(ステップ108)。この場合、処理
の始めでは、音響サンプル数データs=“1”であるか
ら、音響データSDの先頭のサンプルデータが遅延エリ
ア41-1〜41-nの最終番地に記憶され、この最終アド
レスの値(初期値)がアドレスレジスタ43-1に記憶さ
れる。
【0046】次いで、音響サンプル数データsが1イン
クリメントされ(ステップ110)、このルーチンは全
体処理へリターンされる。この原音の音響データSDの
取り込み処理は、全体処理の繰り返しに応じて繰り返さ
れ、音響サンプル数データsが最大音響サンプル数デー
タSSを越えれば終了する(ステップ104)。これに
より、原音の音響データSDのサンプルデータが遅延エ
リア41-1〜41-nに順次取り込まれる。しかし、原音
の音響データSDは、A−D変換器14及びD−A変換
器15を経由せずそのままスルーしてもよい。
【0047】6.残響音生成処理(第1実施例) 図6は残響音生成処理のフローチャートを示す。この処
理では、遅延スピード係数SPnに応じた速度で楽音デ
ータSD(残響音データG、J)が遅延エリア41-n内
を転送されて遅延される(ステップ120〜127、1
50、152)。この遅延処理が各種類の残響音G、J
ごとに繰り返され(ステップ154、156)、さらに
楽音データSD(残響音データG、J)の各サンプルデ
ータごとに繰り返される(ステップ110)。
【0048】上記遅延処理により、遅延時間t1、t2
後(ステップ127)、データSD(G、J)が減衰係
数Znに応じて減衰されて出力され(ステップ131、
134)、再び遅延エリア41-nの先頭へ転送されて
(ステップ136、138)、次ぎの遅延が準備され
る。この残響音出力処理が各種類の残響音G、Jごとに
繰り返され(ステップ154、156)、さらに残響音
データG、Jの各サンプルデータごとに繰り返される
(ステップ144〜146)。
【0049】まず、割込発生回路16からデジタルシグ
ナルプロセッサ11に一定周期の割り込み信号INTが
入力されると、上記全体処理において、デジタルシグナ
ルプロセッサ11によって、残響モードレジスタRMの
残響生成フラグrgfがセットされているか否か、すな
わち、図6の残響音生成処理が実行されるべきかか否か
が判別される。ここでは、残響生成フラグrgfがセッ
トされているので、処理が残響音生成処理にジャンプさ
れる。
【0050】初めに、音響サンプル数データsに応じた
アドレスレジスタ43nsに記憶されているアドレスデー
タADnsが読み出され(ステップ120)、このアドレ
スデータADnsに応じた遅延エリア41-nの番地の音響
データSDまたは残響音データGが読み出される(ステ
ップ122)。
【0051】そして、この読み出された音響データSD
または残響音データGが転送されて書き込まれる新たな
アドレス値が次式によって求められる(ステップ12
4)。
【0052】 (TLn−ADns)×SPn+ADns→ADns …(1) ここで、すでに述べたように、TLnはアドレス目標値
を表し、SPnは遅延スピード係数を表し、ADnsは現
在のアドレス値を表す。この(1)式で求められた新た
なアドレス値に応じた遅延エリア41-nに音響データS
Dまたは残響音データGが転送されて書き込まれる(ス
テップ126)。
【0053】なお、スタートアドレスADstが遅延エ
リア41-nの最終番地とされ、目標アドレスTLnが0
0н(нは16進数を表す記号)とされるので、(1)
式は次のように整理される。
【0054】 (1−SPn)×ADns→ADns …(2) そして、この求められた新アドレス値ADnsがアドレス
しきい値TAnより小さいか否かが判別される(ステッ
プ127)。これは、(2)式によって繰り返し求めら
れる新アドレス値が、厳密に目標アドレス値である00
нに達することがないので、00нの手前のアドレスし
きい値TAnと比較される。なぜなら、(2)式のm回
の繰り返し演算によって求められる新アドレス値は、次
式のようになる。
【0055】 (1−SPn)ADns→ADns …(3) この(3)式の演算値が“0”となるのは、ADns≠0
であるから、SPn=1しかありえない。しかし、SP
n=1であると、1回の演算でいきなりアドレス目標値
TLnに達してしまう。そこで、この様なアドレスしき
い値TAnが用いられる。
【0056】また、上記ステップ127における判別を
次のようにしてもよい。例えば、(2)式によってもと
めた新アドレス値と、計算前の旧アドレス値とを比較し
て、その値に変化がない場合に、新アドレス値が目標ア
ドレス値に達したと判別してもよい。つまり、(2)式
による演算値の変化が飽和したとき、アドレスADnsが
目標アドレスに達したとするのである。
【0057】なお、本実施例では、残響音の2種類の減
衰特性α1、α2が生成されるが、それら各減衰特性α
n(n=1、2)における遅延スピード係数SP1、S
P2はSP1<SP2<1の関係がある。しかも、図3
において、減衰特性α2の全体遅延時間T2と、減衰特
性α1の残響音G1m、G1(m+1)の各遅延時間t
1との関係は、T2≦t1である。なお、全体遅延時間
T2>各遅延時間t1であってもよい。
【0058】さて、上記ステップ127で、新アドレス
値ADnsがアドレスしきい値TAnより大きければ、
(2)式によって求められた新アドレスADnsに応じた
遅延エリア41-nの番地に、音響データSDまたは残響
音データGが転送されて書き込まれる(ステップ15
0)。これにより、スタートアドレスADstに記憶さ
れていた音響データSDまたは残響音データGが新たな
アドレスに移動される。
【0059】そして、音響サンプル数データsに応じた
アドレスレジスタ43nsに記憶されているアドレスデー
タADnsが、この新アドレス値ADnsに更新される(ス
テップ152)。この後、残響種類数データnの値が1
インクリメントされ(ステップ154)、もう1つ(そ
の他)の音響データSDまたは残響音データJについ
て、ステップ120〜152の同様の残響音生成処理が
繰り返され(ステップ156)、残響種類数データnが
“1”にリセットされ(ステップ158)、ルーチンが
全体処理へリータンされる。
【0060】このリターンによって、ステップ100〜
110の原音の音響データSDの取り込み処理が繰り返
され、原音の音響データSDの次ぎのサンプルデータが
遅延エリア41-1〜41- n に順次取り込まれる。これ
以降、原音の取り込み処理と残響音生成処理が交互に一
定周期ごとに繰り返され、音響データSDまたは残響音
データG、Jの各サンプルデータが遅延エリア41-1〜
41-n内を順次シフト転送される。
【0061】また、上記ステップ127で、求めた新ア
ドレス値ADnsがアドレスしきい値TAnに達したな
ら、残響出力フラグrofがセットされていなければセ
ットされ(ステップ128、129)、上記ステップ1
22において遅延エリア41-1〜41-nから読み出され
た音響データSDまたは残響音データG、Jに減衰係数
Znが乗ぜられ、図3に示す残響音G、Jのレベルデー
タが求められる(ステップ131)。乗算された音響デ
ータSDまたは残響音データG、Jが減衰しきい値TH
nより大きければ(ステップ132)、D−A変換器1
5へ出力される(ステップ134)。これにより減衰さ
れた残響音が出力される。
【0062】残響音Gの遅延時間t1は、残響音Jの遅
延時間t2より長いので、まず残響音J11、J12、
J13、……が出力され、次いで残響音G11が出力さ
れ、続いて残響音J21、J22、J23、……が出力
され、以下残響音G12、J31、J32、J33、…
…、G13、J41、J42、J43、……と出力され
ていく。
【0063】次いで、この出力された残響音データG、
Jが遅延エリア41-1〜41-nのスタートアドレスAD
stにふたたび転送されて書き込まれ(ステップ13
6)、音響サンプル数データsに応じたアドレスレジス
タ43nsに記憶されているアドレスデータADnsが、こ
の新しいスタートアドレス値ADst(初期値)に更新
される(ステップ138)。これにより、次の残響音
G、Jの処理が準備される。
【0064】この場合、残響種類数データnが“1”
で、図3の残響音G11、G12、G13、……の先頭
のサンプルデータが出力されれば(ステップ140)、
残響種類数データnに応じた遅延エリア41-1だけでな
く、もう1つ(その他)の遅延エリア41-nのスタート
アドレスADstにも転送されて書き込まれ(ステップ
141)、音響サンプル数データsに応じたアドレスレ
ジスタ43nsに記憶されているアドレスデータADns
が、この新しいスタートアドレス値ADst(初期値)
に更新される(ステップ143)。これにより、残響音
G11、G12、G13、……の次の残響音J21、J
31、J41、……の処理が準備される。
【0065】そして、音響サンプル数データsが1イン
クリメントされ(ステップ144)、インクリメントさ
れた音響サンプル数データsが最大音響サンプル数デー
タSSを越えれば、“0”にリセットされる(ステップ
145、146)。
【0066】また、上記ステップ140で、残響音J1
1、J12、J13、……、J21、J22、J23、
……、J31、J32、J33、……が出力されれば、
残響種類数データnの値が1インクリメントされ(ステ
ップ154)、もう1つ(その他)の音響データSDま
たは残響音データJについて、ステップ120〜152
の同様の残響音生成処理が繰り返される(ステップ15
6)。
【0067】上記ステップ132で、乗算された音響デ
ータSDまたは残響音データG、Jが減衰しきい値TH
nより小さく、残響種類数データnが“1”であり(ス
テップ148)、残響生成フラグrgf及び残響出力フ
ラグrofがクリアされ(ステップ149)、ルーチン
が全体処理へリターンされる。これにより、残響音生成
処理は終了する。なお、上記原音取り込み処理のステッ
プ100の後において、残響生成フラグrgfがセット
されていなければ、ここでセットされてもよい。
【0068】ステップ132、144では、残響種類数
データnが1の時、すなわち減衰特性α1の残響音Gの
生成処理において、もうそれ以上の残響音を生成する必
要がないレベルまで、残響音Gのデータが低下したか否
かが判別される。この命題が真のとき、減衰特性α1の
残響音Gによって生成されるべき減衰特性α2の残響音
Jも、当然それ以上の残響音を生成する必要がないレベ
ルより低下している。
【0069】この様に本実施例によれば、2種類の残響
音G、Jを発生させることができる。しかも、各遅延ス
ピード係数SPnの値を変えることで各残響音の遅延時
間T1、T2を変更することができる。なぜなら上記
(2)式に基づき、遅延スピード係数SPnが“1”に
近づけば、転送先アドレス値ADnsが小さな値のmによ
って目標のアドレス00нに達するからである。また、
減衰係数Znを変えることで残響音の長さも変更するこ
とができる。そこで、パネルスイッチング群3に設けた
ベンダ、ボリューム等によって演奏者がこれらの係数S
Pn、Znの値を任意に設定できるようにすれば、電子
楽器の発する楽音が演奏者によって任意に変化させられ
る。
【0070】7.原音取り込み処理(第2実施例) 図7はデジタルシグナルプロセッサ11によって実行さ
れる、原音の音響データSDの取り込み処理のフローチ
ャートの第2実施例を示す。この処理では、遅延エリア
41-1〜41-nがそのまま音響エリア41-1〜41-nと
して使われ、音響データSDの各サンプルデータが音響
エリア41-1〜41-nにそれぞれ記憶される。そして、
残響音データG、Jが出力されるとき、音響エリア41
-1〜41-nの音響データSDの各サンプルデータが減衰
される。本実施例では、音響データSD(残響音データ
G、J)は書き換えシフト(転送)されず、アドレスデ
ータADnsのみが仮想的(間接的)に書き換えシフト
(転送)のため現在値から目標値に向って演算される。
【0071】図7、8において、図5、6の第1実施例
と同じ処理には同一符号を付す。図7のルーチンは、第
1実施例と同じように、A−D変換器14を介して原音
の音響データSDが入力されると開始される。
【0072】まず残響出力フラグrofがまだセットさ
れていない時(ステップ100)、原音の音響データS
Dが入力されると(ステップ102)、音響サンプル数
データsが最大音響サンプル数データSS以下であれば
(ステップ104)、音響サンプル数データsに応じ
た、音響エリア41-1〜41-nのアドレスADnsにこの
音響データSDが書き込まれる(ステップ106)。
【0073】次いで、音響サンプル数データsが1イン
クリメントされ(ステップ110)、このルーチンは全
体処理へリターンされる。この原音の音響データSDの
取り込み処理は繰り返され、音響サンプル数データsが
最大音響サンプル数データSSを越えれば終了する(ス
テップ104)。これにより、原音の音響データSDの
サンプルデータが音響エリア41-1〜41- n に順次取
り込まれる。
【0074】8.残響音生成処理(第2実施例) 図8は残響音生成処理のフローチャートの第2実施例を
示す。この処理では、遅延スピード係数SPnに応じた
速度でアドレスデータADnsが目標アドレスに向って遅
延演算される(ステップ120〜127、150、15
2)。この遅延演算処理が各種類の残響音G、Jごとに
繰り返され(ステップ154、156)、さらに楽音デ
ータSD(残響音データG、J)の各サンプルデータご
とに繰り返される(ステップ110)。
【0075】上記遅延演算処理により、遅延時間t1、
t2後(ステップ127)、データSD(G、J)が読
み出されて減衰係数Znに応じて減衰されて出力され
(ステップ130、131、134)、この減衰残響音
G、Jが記憶されて再び遅延演算処理が開始され(ステ
ップ137、138)、次ぎの遅延が準備される。この
残響音出力処理が各種類の残響音G、Jごとに繰り返さ
れ(ステップ154、156)、さらに残響音データ
G、Jの各サンプルデータごとに繰り返される(ステッ
プ144〜146)。
【0076】まず、割込発生回路16からデジタルシグ
ナルプロセッサ11に一定周期の割り込み信号INTが
入力されると、上記全体処理において、デジタルシグナ
ルプロセッサ11によって、残響モードレジスタRMの
残響生成フラグrgfがセットされているか否か、すな
わち、図8の残響音生成処理が実行されるべきかか否か
が判別される。ここでは、残響生成フラグrgfがセッ
トされているので、処理が残響音生成処理にジャンプさ
れる。
【0077】初めに、音響サンプル数データsに応じた
アドレスレジスタ43nsに記憶されているアドレスデー
タADnsが読み出され(ステップ120)、この読み出
された音響データSDまたは残響音データG、Jが転送
されて書き込まれる新たなアドレス値が上述した次式に
よって求められる(ステップ124)。
【0078】(1−SPn)×ADns …(2) そして、この求められた新アドレス値ADnsがアドレス
しきい値TAnより小さいか否かが判別される(ステッ
プ127)。新アドレス値ADnsがアドレスしきい値T
Anより大きければ、音響サンプル数データsに応じた
アドレスレジスタ43nsに記憶されているアドレスデー
タADnsが、この(2)式によって求められた新アドレ
スADnsに更新される(ステップ152)。この後、残
響種類数データnの値が1インクリメントされ(ステッ
プ154)、もう1つ(その他)の音響データSDまた
は残響音データJについて、ステップ120〜152の
同様の残響音生成処理が繰り返され(ステップ15
6)、残響種類数データnが“1”にリセットされ(ス
テップ158)、ルーチンが全体処理へリータンされ
る。
【0079】このリターンによって、ステップ100〜
110の原音の音響データSDの取り込み処理が繰り返
され、原音の音響データSDの次ぎのサンプルデータが
音響エリア41-1〜41- n に順次取り込まれる。これ
以降、原音の取り込み処理と残響音生成処理が交互に一
定周期ごとに繰り返され、音響データSDの各サンプル
データが音響エリア41-1〜41-n内に順次書き込まれ
ていく。
【0080】また、上記ステップ127で、求めた新ア
ドレス値ADnsがアドレスしきい値TAnに達したな
ら、残響出力フラグrofがセットされていなければセ
ットされ(ステップ128、129)、音響サンプル数
データsに応じた音響エリア41-nのアドレスから音響
データSDまたは残響音データG、Jが読み出される
(ステップ130)。この読み出しアドレスは残響種類
数データnに応じた音響エリア41-nの中の先頭からs
(音響サンプル数データ)番目のアドレスである。
【0081】そして、この読み出された音響データSD
または残響音データG、Jに減衰係数Znが乗ぜられ、
図3に示す残響音G、Jのレベルデータが求められる
(ステップ131)。乗算された音響データSDまたは
残響音データG、Jが減衰しきい値THnより大きけれ
ば(ステップ132)、D−A変換器15へ出力される
(ステップ134)。これにより減衰された残響音が出
力される。
【0082】次いで、この出力され減衰された残響音デ
ータG、Jが音響エリア41-1〜41-nに書き込まれる
(ステップ137)。この書き込みアドレスは、残響種
類数データnに応じた音響エリア41-nの中の先頭から
s(音響サンプル数データ)番目のアドレスである。そ
して、音響サンプル数データsに応じたアドレスレジス
タ43nsに記憶されているアドレスデータADnsが、再
び先頭のスタートアドレス値ADst(初期値)に更新
される(ステップ138)。これにより、次の残響音
G、Jの処理が準備される。
【0083】この場合、残響種類数データnが“1”
で、図3の残響音G11、G12、G13、……の先頭
のサンプルデータが出力されれば(ステップ140)、
減衰された残響音データG、Jが、残響種類数データn
に応じた音響エリア41-1だけでなく、もう1つ(その
他)の音響エリア41-nにも書き込まれる(ステップ1
42)。この書き込みアドレスは、残響種類数データn
に応じた音響エリア41-nの中の先頭からs(音響サン
プル数データ)番目のアドレスである。そして、音響サ
ンプル数データsに応じたアドレスレジスタ43nsに記
憶されているアドレスデータADnsが、再び先頭のスタ
ートアドレス値ADst(初期値)に更新される(ステ
ップ143)。これにより、残響音G11、G12、G
13、……の次の残響音J21、J31、J41、……
の処理が準備される。
【0084】次いで、音響サンプル数データsが1イン
クリメントされ(ステップ144)、インクリメントさ
れた音響サンプル数データsが最大音響サンプル数デー
タSSを越えれば、“0”にリセットされる(ステップ
145、146)。
【0085】上記ステップ132で、乗算された音響デ
ータSDまたは残響音データG、Jが減衰しきい値TH
nより小さく、残響種類数データnが“1”であり(ス
テップ148)、残響生成フラグrgf及び残響出力フ
ラグrofがクリアされ(ステップ149)、ルーチン
が全体処理へリターンされる。これにより、残響音生成
処理は終了する。なお、上記原音取り込み処理のステッ
プ100の後において、残響生成フラグrgfがセット
されていなければ、ここでセットされてもよい。
【0086】9.原音取り込み処理(第3実施例) 図9はデジタルシグナルプロセッサ11によって実行さ
れる、原音の音響データSDの取り込み処理のフローチ
ャートの第3実施例を示す。ところで、上記第1、第2
実施例において、与えられた遅延スピード係数SPnに
基づいて、スタートアドレスADstから目標アドレス
に達する(2)式の演算回数m(Yn)が解る。つま
り、音響データSDが目標アドレスに達するための、音
響データSDの遅延エリア41-1〜41-n内での移動回
数は、上記(3)式より求められる。そこで、(3)式
は、アドレスしきい値TAnに等しくなるm(Yn)を
求めるため、次式のように変形される。
【0087】 log(1−SPn)(TAn)/(ADns)→m(Yn) …(4) そこで、割り込み信号INTの累積発生数が(4)式の
解を越えたとき、残響音が出力されれば、第1実施例と
同じ残響音生成処理が実行される。この割り込み信号I
NTは、割込発生回路16からデジタルシグナルプロセ
ッサ11に入力され、残響音生成処理が開始される。本
第3実施例では、この様に、与えられた遅延スピード係
数SPnから遅延演算回数が求められ、その遅延演算回
数に応じて残響音生成処理が実行される。この遅延演算
回数は、第1実施例の音響データSDが遅延エリア41
-1〜41-n内を移動する回数に相当する。
【0088】本実施例では、データRAM38に遅延演
算回数データYn及び現在演算回数データQ nsが記憶
される。この遅延演算回数データYnは、上述した遅延
時間t1、t2(…tn)の長さに応じた演算回数を示
す。上記現在演算回数データQnsは、この遅延のための
すでに演算された回数を示す。遅延演算回数データYn
は、残響音の種類ごとに記憶され、現在演算回数データ
Qnsは、残響音の種類ごとであって、音響データSD
(残響音データG、J)の各サンプルデータごとに記憶
される。
【0089】本実施例では、アドレスデータADnsの現
在値から目標値に向っての演算は行われない。しかし、
ステップ300の演算を通じて遅延演算回数データYn
が算出されることと、ステップ220の現在演算回数デ
ータQnsのインクリメント処理によって、アドレスデー
タADnsの現在値から目標値に向っての演算が仮想的
(間接的)に行われる。この結果、音響データSD(残
響音データG、J)の書き換えシフト(転送)も仮想的
(間接的)に行われる。
【0090】遅延演算回数データYnは、原音取り込み
処理の前のイニシャル処理において、計算されて求めら
れている(ステップ300)。また現在演算回数データ
Qnsは、原音取り込み処理の前のイニシャル処理におい
てクリアされている。
【0091】まず残響出力フラグrofがまだセットさ
れていない時(ステップ200)、原音の音響データS
Dが入力されると(ステップ202)、音響サンプル数
データsが最大音響サンプル数データSS以下であれば
(ステップ204)、音響サンプル数データsに応じ
た、音響エリア41-1〜41-nのアドレスADnsにこの
音響データSDが書き込まれる(ステップ206)。
【0092】次いで、音響サンプル数データsが1イン
クリメントされ(ステップ210)、このルーチンは全
体処理へリターンされる。この原音の音響データSDの
取り込み処理は繰り返され、音響サンプル数データsが
最大音響サンプル数データSSを越えれば終了する(ス
テップ204)。これにより、原音の音響データSDの
サンプルデータが音響エリア41-1〜41- n に順次取
り込まれる。
【0093】なお、上記ステップ200の残響出力フラ
グrofの判別処理の代りに割り込み信号INTのマス
クを行ってもよい。このマスクは、割り込み信号INT
がデジタルシグナルプロセッサ11に入力されたとき、
ルーチンが図10の残響音生成処理にジャンプされるか
否かが決定されるものである。マスクが設定されていれ
ば、割り込み信号INTが入力されても、ルーチンが図
10の処理にジャンプされることはない。逆に、マスク
が解除されれば、割り込み信号INTの入力の度に、ル
ーチンが図10の処理にジャンプされる。
【0094】10.残響音生成処理(第3実施例) 図10は残響音生成処理のフローチャートの第3実施例
を示す。この処理では、現在演算回数データQnsが、残
響音G、Jごと(ステップ256、258)及び楽音デ
ータSD(残響音データG、J)の各サンプルデータご
とに(ステップ210)、繰り返しインクリメントされ
る(ステップ220)。
【0095】遅延時間t1、t2後、現在演算回数デー
タQnsが、遅延演算回数データYnを越えると(ステッ
プ222)、データSD(G、J)が読み出されて減衰
係数Znに応じて減衰されて出力され(ステップ22
6、228、232)、この減衰残響音G、Jが記憶さ
れて再び遅延演算処理が開始され(ステップ234、2
36)、次ぎの遅延が準備される。この残響音出力処理
が各種類の残響音G、Jごとに繰り返され(ステップ2
56、258)、さらに残響音データG、Jの各サンプ
ルデータごとに繰り返される(ステップ244〜24
6)。 まず、割込発生回路16からデジタルシグナル
プロセッサ11に一定周期の割り込み信号INTが入力
されると、上記全体処理において、デジタルシグナルプ
ロセッサ11によって、残響モードレジスタRMの残響
生成フラグrgfがセットされているか否か、すなわ
ち、図10の残響音生成処理が実行されるべきかか否か
が判別される。ここでは、残響生成フラグrgfがセッ
トされているので、処理が残響音生成処理にジャンプさ
れる。
【0096】初めに、現在演算回数データQnsが1イン
クリメントされ(ステップ220)、現在演算回数デー
タQnsが遅延演算回数データYnを越えるまで、インク
リメントが繰り返される(ステップ256、258)。
このインクリメントは、もう1つ(その他)の音響デー
タSDまたは残響音データJについて繰り返され(ステ
ップ258)、残響種類数データnが“1”にリセット
され(ステップ260)、ルーチンが全体処理へリータ
ンされる。
【0097】このリターンによって、ステップ200〜
210の原音の音響データSDの取り込み処理が繰り返
され、原音の音響データSDの次ぎのサンプルデータが
音響エリア41-1〜41- n に順次取り込まれる。これ
以降、原音の取り込み処理と残響音生成処理が交互に一
定周期ごとに繰り返され、音響データSDの各サンプル
データが音響エリア41-1〜41-n内に順次書き込まれ
ていく。
【0098】また、上記ステップ222で、インクリメ
ントされた現在演算回数データQnsが遅延演算回数デー
タYnを越えたなら、残響出力フラグrofがセットさ
れていなければセットされ(ステップ223、22
4)、音響サンプル数データsに応じた音響エリア41
-nのアドレスから音響データSDまたは残響音データ
G、Jが読み出される(ステップ226)。この読み出
しアドレスは残響種類数データnに応じた音響エリア4
1-nの中の先頭からs(音響サンプル数データ)番目の
アドレスである。
【0099】そして、この読み出された音響データSD
または残響音データG、Jに減衰係数Znが乗ぜられ、
図3に示す残響音G、Jのレベルデータが求められる
(ステップ228)。乗算された音響データSDまたは
残響音データG、Jが減衰しきい値THnより大きけれ
ば(ステップ230)、D−A変換器15へ出力される
(ステップ232)。これにより減衰された残響音が出
力される。
【0100】次いで、この出力され減衰された残響音デ
ータG、Jが音響エリア41-1〜41-nに書き込まれる
(ステップ234)。この書き込みアドレスは、残響種
類数データnに応じた音響エリア41-nの中の先頭から
s(音響サンプル数データ)番目のアドレスである。そ
して、現在演算回数データQnsが“0”にリセットされ
る(ステップ236)。これにより、次の残響音G、J
の処理が準備される。
【0101】この場合、残響種類数データnが“1”
で、図3の残響音G11、G12、G13、……の先頭
のサンプルデータが出力されれば(ステップ240)、
減衰された残響音データG、Jが、残響種類数データn
に応じた音響エリア41-1だけでなく、もう1つ(その
他)の音響エリア41-nにも書き込まれる(ステップ2
42)。この書き込みアドレスは、残響種類数データn
に応じた音響エリア41-nの中の先頭からs(音響サン
プル数データ)番目のアドレスである。そして、現在演
算回数データQnsが“0”にリセットされる(ステップ
243)。これにより、残響音G11、G12、G1
3、……の次の残響音J21、J31、J41、……の
処理が準備される。
【0102】次いで、音響サンプル数データsが1イン
クリメントされ(ステップ244)、インクリメントさ
れた音響サンプル数データsが最大音響サンプル数デー
タSSを越えれば、“0”にリセットされる(ステップ
245、246)。
【0103】上記ステップ230で、乗算された音響デ
ータSDまたは残響音データG、Jが減衰しきい値TH
nより小さく、残響種類数データnが“1”であり(ス
テップ250)、残響生成フラグrgf及び残響出力フ
ラグrofがクリアされ(ステップ252)、ルーチン
が全体処理へリターンされる。これにより、残響音生成
処理は終了する。なお、上記原音取り込み処理のステッ
プ100の後において、残響生成フラグrgfがセット
されていなければ、ここでセットされてもよい。また、
上述した割り込み信号INTをマスクするときは、この
マスクは、このステップ252で行われる。
【0104】なお、上記各実施例においては、音響デー
タSDをスタートアドレスADstから目標アドレスへ
書き換え移動の処理に応じた新アドレス値の計算式
(1)が、次式で代用されてもよい。
【0105】 (A×SPn)/(TLn−ADns)+ADns→ADns …(5) 本式によって、残響音処理の度に、音響データSDが移
動されるアドレス値のステップ間隔をより微細化でき、
遅延時間tnをより細かくコントロールできる。ここで
Aは定数である。
【0106】本発明は上記実施例に限定されず、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例え
ば、発生される残響音の種類は3種類以上でもいいし、
残響音G、Jのいづれか1種類でもよい。この場合、減
衰係数Zn、遅延スピード係数SPnの各値も、減衰特
性α1より小さくても、減衰特性α2より大きくても、
減衰特性α1とα2との間でもよい。また、残響音生成
をデジタルシグナルプロセッサ11に行わせるようにし
たが、これをシステムCPU5が実行するようにしても
良い。さらに、遅延エリア(音響エリア)41-1〜41
-n、レジスタ群は、システムCPU5が残響音生成を行
う場合には、システムRAM6内に設けられてもよい。
【0107】加えて、上記各実施例においては、電子楽
器における残響音生成について説明してきたが、本発明
は例えばオーディオ装置、カラオケ装置等の音響を制御
する各種装置における残響音生成処理にも適応可能であ
り、さらに、本発明において発生させるものは、残響音
のみならず、例えばエコー、リバーブ及びコーラス等の
音響データの繰り返し発生であっても良い。この場合、
上記ステップ131、228は省略可能である。
【0108】また、上記ステップ124の演算では、ア
ドレスデータADnsから遅延スピード係数SPnを減算
してもよい。これにより、アドレスしきい値TAnが不
要になる。そして上記ステップ131、228の演算で
は、音響データSDまたは残響音データG、Jから減衰
係数Znを減算してもよい。これにより、図3の残響音
の減衰特性αnは直線的になる。この場合、遅延スピー
ド係数SPnは遅延時間tnに応じて決定される。
【0109】さらに、上記実施例では、スタートアドレ
スADst(FFн)と目標アドレスTLn(00н)
とは、遅延時間tnの大きさいかんにかかわらず一定で
ある。したがって、遅延スピード係数SPnを変更する
だけで遅延時間tnが容易に調整される。しかも、スタ
ートアドレスADst及び目標アドレスTLnを変更す
る必要がないので、遅延時間tnを変更する際に、遅延
エリア41-1〜41-nの大きさが増減される必要がな
く、誤データが残響音生成処理に混入する危険が防止さ
れる。
【0110】しかし、遅延時間tnの変更に応じて、ス
タートアドレスADst(FFн)と目標アドレスTL
n(00н)またはアドレスしきい値TAnとが変更さ
れてもよい。これにより、遅延時間tnをより大きく変
更できるし、遅延スピード係数SPnが一定にされるこ
ともできる。
【0111】加えて、上記ステップ124、220の演
算では、すべての音響サンプル数データsごとについて
演算が行われていた。しかし、先頭のサンプルデータに
応じた値または代表的なサンプルデータに応じた値AD
ns、Qns(例えばs=1)についてのみ演算が行われ、
他の値ADns、Qnsに応じたサンプルデータついては付
随して処理されてもよい。この場合、ステップ127、
222で値ADns、Qnsが値TAn、Ynを越えたら、
フラグがセットされ、次ぎのタイミングでこのフラグの
セットが判別され、セットされていれば、ステップ12
8〜146、223〜246が繰り返され、音響サンプ
ル数データsがインクリメントされた後、ステップ14
6、246で上記フラグもクリアされる。
【0112】また、残響音生成処理は一定周期ごとに行
われるが、一定周期ごとでなくてもよい。この場合、割
り込み信号INTを発生するプログラマブルタイマのプ
ログラムされるタイムデータが順次変化していく。上述
した演算における乗算及び加算は1以下の値、マイナス
の値によって、除算及び減算に変化するし、上述した演
算の各データに定数が乗除加減されてもよい。
【0113】さらに、以下のような処理も可能である。
すなわち原音の音響データSDがA/D変換器14を介
して入力されると、その原音のデジタルデータが中央処
理演算装置(CPU)によって、遅延(音響)エリア4
1の先頭番地00нに書き込まれる。そして、一定時間
毎のCPUへの割込によって次の様な処理が行われる。
すなわち、CPUへの割り込みがかかると、RAMの先
頭番地にある音響データSDが一定アドレス間隔おいた
メモリ番地に移動、書き込まれる。これにより、割り込
みがある度に、CPUは音響データSDを順次一定間隔
ごとのアドレスを移動される。
【0114】最終的に、音響データSDは遅延(音響)
エリア41の最終番地(例えばFFн)に移動してく
る。この様にして音響データSDの書き込みメモリ番地
(現在値)が最終番地(目標値)に達すると、CPUに
よってそのことが検出され、音響データSDに減衰係数
が乗算されて残響音としてD/A変換器15を介して出
力される。さらに、この減衰係数をかけた音響データS
Dが再び遅延(音響)エリア41の先頭番地に書き込ま
れ、割り込みの度に、音響データSDの書き込みアドレ
スが順次更新されてゆき、これらの処理が繰り返され
る。この様な処理によって、図11と同じ様に、一定時
間毎に所定量減衰した残響音が生成される。
【0115】図11の様な残響音生成方法では、残響音
発生間隔を変更しようとした場合、CPUへの割込が一
定間隔とすると、遅延(音響)エリア41に書き込まれ
る音響データのスタートアドレス、または最終アドレス
が変更されなければならず、遅延(音響)エリア41の
領域が増減せざるを得ない。この様な記憶領域のサイズ
変更は、増加させた場合等、特に、不要なデータが記憶
領域内に存在している可能性があり、その様な不要なデ
ータが残響音生成処理に混入する虞があるとともに、記
憶領域の増減に合わせて装置製作段階で十分な記憶領域
となるように大きな記憶領域が組み込まれなければなら
ない。この様なサイズの大きなメモリを搭載すること
は、装置全体のコストを上昇させることになる。
【0116】なお、上位遅延エリア(音響エリア)41
−nの数は、残響音の種類に応じた数を越えてもよい。
例えば、1種類の残響音J、Gにつき、1を越える遅延
エリア(音響エリア)を設けてもよい。この場合、例え
ば、音響データSDが第1のエリアに書き込まれ、残響
音データJ11が第2のエリアに書き込まれ、残響音デ
ータJ12が第3のエリアに書き込まれ、残響音データ
J13が第4のエリアに書き込まれ、残響音データJ1
4が再び第1のエリアに書き込まれ、残響音データJ1
5が再び第2のエリアに書き込まれ、……、というよう
に、繰り返し書き込みが可能となる。これにより、音響
データSD、残響音データJ、Gが時間的に一部重なり
あった場合に、残響音生成処理がより容易になる。 本
発明の実施態様は以下の通りである。 [A]発生され
る音響データを各サンプルごとに記憶する音響記憶手段
と、 この音響記憶手段に記憶された音響データの各サ
ンプルデータの記憶されているアドレスを、初期値から
目標値に向って演算する第1のアドレス演算手段と、
この第1のアドレス演算手段によって演算されたアドレ
スがほぼ目標値に達したか否かを判別する第1の到達判
別手段と、 この第1の到達判別手段の判別結果に応じ
て、上記音響記憶手段に記憶された音響データの各サン
プルデータを読み出す第1の音響読み出し手段と、 こ
の第1の音響読み出し手段によって読み出された音響デ
ータの各サンプルデータを、残響音データとして出力す
る第1の残響音出力手段と、 この第1の残響音出力手
段によって出力された残響音データの各サンプルデータ
を上記音響記憶手段に書き込む残響音書き込み手段と、
この残響音書き込み手段によって音響記憶手段に書き
込まれた残響音データの各サンプルデータの記憶されて
いるアドレスを、初期値から目標値に向って演算する第
2のアドレス演算手段と、 この第2のアドレス演算手
段によって演算されたアドレスがほぼ目標値に達したか
否かを判別する第2の到達判別手段と、 この第2の到
達判別手段の判別結果に応じて、上記音響記憶手段に記
憶された残響音データの各サンプルデータを読み出す第
2の音響読み出し手段と、 この第2の音響読み出し手
段によって読み出された残響音データの各サンプルデー
タを、さらに残響音データとして出力する第2の残響音
出力手段と備えたことを特徴とする残響音生成装置。
[B]上記第1及び第2のアドレス演算手段は、アドレ
スの現在値と目標値との差にスピード係数を乗除算した
値に上記現在値を加減算することを特徴とする請求項A
記載の残響音生成装置。 [C]上記第1及び第2のア
ドレス演算手段は、アドレスの現在値にスピード係数を
加減算することを特徴とする請求項A記載の残響音生成
装置。 [D]上記第1及び第2のアドレス演算手段
は、一定周期で演算を行うことを特徴とする請求項A記
載の残響音生成装置。 [E]上記第1及び第2のアド
レス演算手段は、アドレスを初期値から目標値に向って
現実的または仮想的に行うことを特徴とする請求項A記
載の残響音生成装置。 [F]上記第1及び第2のアド
レス演算手段によって演算されるアドレスの初期値と目
標値とは、残響音の遅延時間の大きさいかんにかかわら
ず固定されていることを特徴とする請求項A記載の残響
音生成装置。 [G]上記第1及び第2の到達判別手段
は、上記アドレスの現在値と目標値との差がしきい値よ
り小さい場合は、目標値に達したと判別することを特徴
とする請求項A記載の残響音生成装置。 [H]上記残
響音生成装置は、第1及び第2のアドレス演算手段によ
って演算されるアドレスに応じた音響記憶手段のアドレ
スに、上記音響データまたは残響音データの各サンプル
データを現実的または仮想的に書き換えシフトする第1
及び第2の書き換えシフト手段をさらに備えていること
を特徴とする請求項A記載の残響音生成装置。 [I]
上記残響音書き込み手段は、上記第1の残響音出力手段
によって出力された残響音データの各サンプルデータに
減衰係数を乗除算して、上記音響記憶手段に出力して書
き込むことを特徴とする請求項A記載の残響音生成装
置。 [J]上記残響音データの遅延時間または減衰特
性は音楽的ファクタまたは発音経過時間に応じて変化す
ることを特徴とする請求項A記載の残響音生成装置。
[K]上記残響音データは遅延時間の長いものと、短い
ものとが生成され、遅延時間の長い残響音データの第1
次残響音は、遅延時間の短い残響音データの最終次残響
音の後に出力されることを特徴とする請求項A記載の残
響音生成装置。 [L]上記第1及び第2のアドレス演
算手段は、初期値から目標値に到達するまでの演算回数
を予め算出しておき、この演算回数のみをカウントし、
上記第1及び第2の到達判別手段はこのカウント値がこ
の算出された演算回数に到達したら、上記アドレスの現
在値が目標値に達したと判別することを特徴とする請求
項A記載の残響音生成装置。
【0117】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、記憶さ
れた音響データの各サンプルデータの記憶されているア
ドレスが、初期値から目標値に向って演算され、この演
算されたアドレスがほぼ目標値に達したら、上記音響デ
ータの各サンプルデータが、残響音データとして出力さ
れ、この残響音データが再び同じ残響音生成処理され
る。これにより、アドレスの演算内容、例えば演算回
数、演算速度を変えれば、残響音発生時間間隔または減
衰量が簡単に変更され、種々の特性の残響音を発生させ
ることができるなどの効果を奏する。特に、音響データ
が音響記憶手段内を移動するアドレス間隔を所定式で与
え、音響データが目標アドレスに達する時間を調整する
ことで、残響音の発生間隔を制御するようにした。しか
も、スタートアドレスと目標アドレスを常に固定した。
これにより、残響音の発生間隔を新アドレス値を与える
1つの遅延スピード係数を変更するだけで容易に調整で
きる。しかも、従来の様なスタートアドレスを変更する
必要がないので、発生間隔を変更する際に、音響記憶手
段遅の領域を増減させる必要がなく、誤データが残響音
生成処理に混入する危険を防止できる。加えて、残響音
の減衰係数及び遅延スピード係数を変更するだけで、残
響音減衰特性を調整でき、より演奏者の意志を反映させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子音響装置の全体回路図である。
【図2】デジタルシグナルプロセッサ11の回路図であ
る。
【図3】原音の音響データSDから2種類の残響音デー
タG、Jが生成される残響内容を示す図である。
【図4】デジタルシグナルプロセッサ11のデータRA
M38のレジスタ群を示す図である。
【図5】第1実施例における、デジタルシグナルプロセ
ッサ11の原音取り込み処理のフローチャートを示す図
である。
【図6】第1実施例における、デジタルシグナルプロセ
ッサ11の残響音生成処理のフローチャートを示す図で
ある。
【図7】第2実施例における、デジタルシグナルプロセ
ッサ11の原音取り込み処理のフローチャートを示す図
である。
【図8】第2実施例における、デジタルシグナルプロセ
ッサ11の残響音生成処理のフローチャートを示す図で
ある。
【図9】第3実施例における、デジタルシグナルプロセ
ッサ11の原音取り込み処理のフローチャートを示す図
である。
【図10】第3実施例における、デジタルシグナルプロ
セッサ11の残響音生成処理のフローチャートを示す図
である。
【図11】従来例を説明する図である。
【符号の説明】
1…キーボード、5…システムCPU、11…デジタル
シグナルプロセッサ、12…処理RAM、14…A−D
変換器、15…D−A変換器、16…割込発生回路、2
1…システムコントローラ、22…処理装置、38…デ
ータRAM、42…残響モードレジスタ、44…残響出
力レジスタ、41-1〜41-n…遅延エリア(音響エリ
ア)、4311〜431s、……、43n1〜43ns…アドレ
スレジスタ、45…最大残響種類数レジスタ、46…残
響種類数レジスタ、47…最大音響サンプル数レジス
タ、48…音響サンプル数レジスタ、51-1〜51-n…
遅延スピードレジスタ、52-1〜52-n…減衰係数レジ
スタ、53-1〜53-n…アドレスしきいレジスタ、54
-1〜54-n…減衰しきいレジスタ。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発生される音響データを各サンプルごとに
    記憶する音響記憶手段と、 この音響記憶手段に記憶された音響データの各サンプル
    データの記憶されているアドレスを、初期値から目標値
    に向って、演算値に基づいて演算する第1のアドレス演
    算手段であって、この初期値と目標値とは、残響音生成
    のための遅延時間の大きさいかんにかかわらず固定され
    ており、 この第1のアドレス演算手段によって演算されたアドレ
    スがほぼ目標値に達したか否かを判別する第1の到達判
    別手段と、 この第1の到達判別手段の判別結果に応じて、上記音響
    記憶手段に記憶された音響データの各サンプルデータを
    読み出す第1の音響読み出し手段と、 この第1の音響読み出し手段によって読み出された音響
    データの各サンプルデータを、残響音データとして出力
    する第1の残響音出力手段と、上記第1のアドレス演算手段における上記演算値を、残
    響音生成のための遅延時間の変化に応じて決定する第1
    の演算制御手段と、 上記 第1の残響音出力手段によって出力された残響音デ
    ータの各サンプルデータを上記音響記憶手段に書き込む
    残響音書き込み手段と、 この残響音書き込み手段によって音響記憶手段に書き込
    まれた残響音データの各サンプルデータの記憶されてい
    るアドレスを、初期値から目標値に向って、演算値に基
    づいて演算する第2のアドレス演算手段であって、この
    初期値と目標値とは、残響音生成のための遅延時間の大
    きさいかんにかかわらず固定されており、 この第2のアドレス演算手段によって演算されたアドレ
    スがほぼ目標値に達したか否かを判別する第2の到達判
    別手段と、 この第2の到達判別手段の判別結果に応じて、上記音響
    記憶手段に記憶された残響音データの各サンプルデータ
    を読み出す第2の音響読み出し手段と、 この第2の音響読み出し手段によって読み出された残響
    音データの各サンプルデータを、さらに残響音データと
    して出力する第2の残響音出力手段と、上記第2のアドレス演算手段における上記演算値を、残
    響音生成のための遅延 時間の変化に応じて決定する第2
    の演算制御手段と を備えたことを特徴とする残響音生成
    装置。
  2. 【請求項2】発生される音響データを各サンプルごとに
    記憶する音響記憶手段につき、この音響記憶手段に記憶
    された音響データの各サンプルデータの記憶されている
    アドレスを、初期値から目標値に向って、演算値に基づ
    いて第1の演算をさせることであって、この初期値と目
    標値とは、残響音生成のための遅延時間の大きさいかん
    にかかわらず固定されており、 この演算されたアドレスがほぼ目標値に達したか否かを
    判別させ、 この判別結果に応じて、上記音響記憶手段に記憶された
    音響データの各サンプルデータを読み出しさせ、 この読み出された音響データの各サンプルデータを、残
    響音データとして出力させ、上記第1の演算における上記演算値を、残響音生成のた
    めの遅延時間の変化に応じて決定させ、 この出力された残響音データの各サンプルデータを上記
    音響記憶手段に書き込みさせ、 この音響記憶手段に書き込まれた残響音データの各サン
    プルデータの記憶されているアドレスを、初期値から目
    標値に向って、演算値に基づいて第2の演算をさせるこ
    とであって、この初期値と目標値とは、残響音生成のた
    めの遅延時間の大きさいかんにかかわらず固定されてお
    り、 この演算されたアドレスがほぼ目標値に達したか否かを
    判別させ、 この判別結果に応じて、上記音響記憶手段に記憶された
    残響音データの各サンプルデータを読み出しさせ、 この読み出された残響音データの各サンプルデータを、
    さらに残響音データとして出力させ、上記第2の演算における上記演算値を、残響音生成のた
    めの遅延時間の変化に応じて決定させ ることを特徴とす
    る残響音生成方法。
  3. 【請求項3】上記演算値、上記残響音データの遅延時間
    または減衰特性は音楽的ファクタに応じて変化すること
    を特徴とする請求項1記載の残響音生成装置。
  4. 【請求項4】上記残響音データは遅延時間の長いもの
    と、短いものとが生成され、遅延時間の長い残響音デー
    タの第1次残響音は、遅延時間の短い残響音データの最
    終次残響音の後に出力されることを特徴とする請求項1
    または3記載の残響音生成装置。
  5. 【請求項5】上記第1及び第2のアドレス演算手段は、
    上記固定の初期値から固定の目標値に到達するまでの演
    算回数を予め算出しておき、この演算回数のみをカウン
    トし、上記第1及び第2の到達判別手段はこのカウント
    値がこの算出された演算回数に到達したら、上記アドレ
    スの現在値が目標値に達したと判別することを特徴とす
    る請求項1、3または4記載の残響音生成装置。
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