JP4889644B2 - 選択的エストロゲン活性を有する15β−置換ステロイド - Google Patents

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Description

本発明は、選択的エストロゲン活性を有する15β−置換ステロイド化合物、前記化合物を含む薬剤組成物、治療に使用するための前記化合物、エストロゲン受容体関連疾患の治療もしくは予防、またはその他のエストロゲン受容体関連の生理的状態の調節もしくは治療もしくは予防のための薬剤を製造するための前記化合物の使用に関する。
エストロゲン受容体と親和力を有する化合物は、何年にもわたって、一連の病状の治療のための広範囲な用途が見出されてきた。エストロゲン受容体の組織分布は広範囲であるので、エストロゲン受容体配位子の治療上の有用性が重要である。特に、これらは避妊および以下の予防または治療に使用されてきた。
・更年期愁訴:顔面潮紅、発汗および気分変動;
・骨粗鬆症、骨関節炎、低カルシウム血症、高カルシウム血症、パジェット病、骨軟化症、骨石灰脱失、多発性骨髄腫による骨量の減少;
・骨折;
・尿失禁、尿生殖衰退、膣筋および皮膚萎縮症、座瘡、黒色腫、多毛;
・良性胸部疾患、乳癌、女性化乳房、ならびに
・循環器疾患、高コレステロール水準、高LDL水準、凝血疾患、再狭窄、血管平滑筋細胞増殖。
しかしながら、このようなエストロゲン受容体関連状態の軽減をもたらすために使用することができる化合物、特にステロイドには、長期にわたって利用されているにもかかわらず、依然として新規の経済的で有効および安全な薬物治療の必要性が残っている。
現在エストロゲン活性を有する化合物は、女性における閉経期前後および/または閉経後(更年期)の愁訴および骨粗鬆症の治療ための薬剤とし使用されている。しかしながら、未使用の子宮を持つ女性には、例えば、共役ウマエストロゲン、17β−エストラジオール、および17α−エチニル−17β−エストラジオールなどのこれらの非選択的エストロゲンは、これらの化合物が、出血、子宮内膜肥厚および/または子宮内膜癌に至る高度の子宮内膜増殖(卵胞期様変化)を誘発するので、長期間(>3ヶ月)の治療には処方することができない。一般的な臨床診療では、これらの非選択的エストロゲンを、黄体ホルモン物質化合物と合わせる、つまり子宮内膜の刺激を軽減し、子宮内膜を卵胞期様から黄体期様および/または萎縮性子宮内膜に変化させる良く知られた手順である。残念ながら、黄体ホルモン物質化合物をこの治療に加えると、ウィメンズヘルスイニシアティブ(WHI)研究(ウィメンズヘルスイニシアティブ調査員の著者グループによる「Risks and benefits of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women:principal results from The Women’s Health Initiative randomized controlled trial」JAMA2002;288:321〜333を参照)において実証されているように、乳癌のリスクが増大する。
ERαおよびERβとして示される、エストロゲン受容体の2つの明確なサブタイプの発見を受けて、今やサブタイプ−選択的エストロゲン受容体配位子が発見される可能性が存在する。2つのサブタイプは、人間の組織中で異なる分布を有しているので、このようなサブタイプ−選択的化合物は、最小限の副作用でもって、エストロゲン受容体関連状態の有効な治療または予防を提供する場合もある。
一連の15β−置換エストラジオール誘導体が、エストロゲン受容体α−サブタイプに関して良好な水準の機能的選択性を有する有力なステロイドであることが見出された。本発明は、式Iの化合物を提供する。
Figure 0004889644
式中、
は、H、C1〜5アルキル、C1〜12アシル、ジ−(C1〜5アルキル)アミノカルボニル、(C1〜5アルキル)オキシカルボニルまたはスルファモイルであり、
は、H、C1〜3アルキル、C2〜3アルケニルまたはC2〜3アルキニルであり、これらのそれぞれはハロゲンで場合によって置換されていてもよく、
は、C1〜2アルキル、エテニルまたはエチニルであり、これらのそれぞれはハロゲンで場合によって置換されていてもよく、
は、HまたはC1〜12アシルである。
および/またはRが水素でないステロイドは、いわゆるプロドラッグである。
式Iの定義において使用された、用語C1〜5アルキルは、1〜5個の炭素原子を有する分枝または非分枝のアルキル基を表す。このような基の例は、メチル、エチル、イソプロピル、第3級ブチルおよびペンチルである。同様に、用語C1〜3アルキルおよびC1〜2アルキルは、それぞれ1〜3個および1〜2個の炭素原子を有する(分枝または非分枝の)アルキル基を意味する。
用語C2〜3アルケニルは、2〜3個の炭素原子と1個の二重結合とを有する分枝または非分枝のアルケニル基を表す。このような基の例には、エテニルおよびプロペン−2−イルが含まれる。
用語C2〜3アルキニルは、2〜3個の炭素原子と1個の三重結合とを有するアルキニル基を表す。このような基の例には、エチニルおよびプロピニルが含まれる。
用語C1〜12アシルは、1〜12個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導されたアシル基を表す。アシル基は、炭化水素含むことができ、この炭化水素は分枝でも、非分枝でも、飽和でもまたは不飽和でもよい。このような基の例には、ホルミル、アセチル、プロパノイル、プロペノイル、ピバロイル、ヘプタノイル、デカノイルおよびウンデカノイルが含まれる。同様に、C1〜12アシルの定義には、ジカルボン酸様のヘミ−マロイル、ヘミ−サクシノイルおよびヘミ−グルタロイルから誘導された基が含まれる。
ジ−(C1〜5アルキル)アミノカルボニル基の例は、ジメチルカルバモイルである。
(C1〜5アルキル)オキシカルボニル基の例は、エトキシカルボニルである。
ハロゲンは、1個以上の塩素またはフッ素原子など、1個以上のハロゲン原子でもよい。
本発明の一実施形態において、RはC1〜3アルキル、C2〜3アルケニルまたはC2〜3アルキニルであって、これのそれぞれがハロゲンで場合によって置換されてもよい。
別の実施形態において、RおよびRは、両方ともHである。
別の実施形態において、RはHであり、RはH、C1〜3アルキル、C2〜3アルケニルまたはC2〜3アルキニルであり、RはC1〜2アルキル、エテニルまたはエチニルであり、RはHである。
別の実施形態において、RはHであり、RはHまたはハロゲンで場合によって置換されたC1〜3アルキルであり、Rはハロゲンで場合によって置換されたC1〜2アルキルであり、RはHである。
別の実施形態において、RはHであり、RはHまたはC1〜3アルキルであり、RはC1〜2アルキルであり、RはHである。
別の実施形態において、RはHであり、RはHまたはC1〜2アルキルであり、Rはメチルであり、RはHである。
別の実施形態において、化合物は7α−エチル−15β−メチル−19−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−イン−3,17β−ジオールである。
別の実施形態において、RはH、C1〜5アルキルまたはC1〜12アシルであり、RはHまたはC1〜3アルキルであり、RはC1〜2アルキルであり、RはHまたはC1〜12アシルである。
別の実施形態において、RはH、C1〜5アルキルまたはC1〜12アシルであり、RはC1〜3アルキルであり、Rはメチルであり、RはHまたはC1〜12アシルである。
別の実施形態において、RはH、C1〜5アルキルまたはC1〜12アシルであり、Rはエチルであり、Rはメチルであり、RはHまたはC1〜12アシルである。
別の実施形態において、RはHまたはC1〜12アシルであり、RはHまたはC1〜3アルキルであり、RはC1〜2アルキルであり、RはHまたはC1〜12アシルである。
別の実施形態において、RはHまたはC1〜12アシルであり、RはHまたはC1〜3アルキルであり、Rはメチルであり、RはHまたはC1〜12アシルである。
別の実施形態において、RはHまたはC1〜12アシルであり、Rはエチルであり、Rはメチルであり、RはHまたはC1〜12アシルである。
本発明の化合物は、一般的に有機化学の技術分野、特にステロイド化学の技術分野において良く知られている方法により合成することができる。例えば、Fried、J.およびEdwards、J.A.「Organic Reactions in Steroid Chemistry」I巻およびII巻、van Nostrand Reinhold Company、New York、1972年;およびC.Djerassi、「Steroid Reactions」、Holden−Day、Inc.San Francisco、1963年を参照されたい。以下の実施例に記載されている化合物の調製に使用された一般合成手順を、スキームIに描写する。このスキームに対する変形形態は、当業者によって容易に作り出すことができる。
Figure 0004889644
スキームIに示す合成手順の出発材料である基材Aは、4工程で合成される。先ず、有機金属種(例えば、銅酸塩)のC17−保護エストラ−4,6−ジエン−3−オンに対する共役付加によって、必要な7α−置換エストル−4−エン−3−オンを得る。形成された少量の7β−異性体は、クロマトグラフィーまたは結晶化のいずれかによって、この合成段階、または場合によって後の段階において容易に除去することができる。7α−置換エストレノンは、例えばハロゲン化/脱ハロゲン化手順を用いて容易に7α−エストロンに芳香化され、これはC3におけるアルキル化およびC17における脱保護によって基材Aが提供される。
α、β−不飽和ケトンCは、例えばパラジウムジアセテートを用いたシリルエノールエーテルBの酸化によって得られる。次いで、例えばジアルキル銅酸塩の有機金属種を用いたCに対するマイケル付加反応によって、付加体Dを得る。次いで、メチルエストロンDを、例えば三フッ化ホウ素硫化ジメチル錯体を用いて脱保護してフェノールEを得、これを例えばシリルエーテルFとして再保護する。次いで、例えば、リチウムアセチリドをケトンFに加えることで付加体Gを得、続いてシリルエーテル保護基を例えばフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて除去して、次いで、所望の生成物Hを得ることができる。
化合物GまたはHの遊離水酸基の(プロドラッグ)誘導体は、例えば塩基の存在下塩化カルボン酸を用いてアシル化し、または例えばジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング試薬の存在下カルボン酸を用いてアシル化し、その後G化合物の場合はシリルエーテル保護基を除去するなど、当技術分野において良く知られている手順によるこれらの化合物から容易に得ることができる。
請求項1で定義した基を有し、RとRが水素である式Iの化合物は、高いエストロゲンα受容体効力と相まって、エストロゲン受容体α−サブタイプに関して一貫して良好な選択性を有すること、すなわち、(定義による約4×10−11MのEC50を有する17β−エストラジオール100%の効力に対して)1.0%に等しいかそれより高い効力を有することが判明した。このような化合物は、エストロゲンα受容体における作動薬であり、エストロゲンβ受容体において活性が少なくとも10分の1であり、および/または17β−エストラジオールによって誘導される最大活性化の60%に等しいかそれより低いの有効性を持つエストロゲンβ受容体の部分的作動薬である。これは、エストロゲンα受容体に関する高い機能的選択性、すなわち、エストロゲンα受容体を選択的に活性化させ、一方エストロゲンβ受容体は活性化させないかまたは部分的に活性化させるという結果をもたらす。
式Iで、Rおよび/またはRが水素でないステロイドは、プロドラッグで、必ずしも上記定義に合致しない。これらのプロドラッグは、体内でメタボリックプロセスによって、RおよびRが水素である化合物に転換され、これら化合物は前記定義に合致する。
さらに、本発明の選択的(エストロゲン)配位子は、驚くべきことに、高度の子宮内膜増殖(卵胞期様変化)を誘発しないので、閉経期前後および/または閉経後(更年期)の愁訴および骨粗鬆症の(長期)治療および/または予防のための薬剤として、黄体ホルモン物質化合物を追加することなく使用することができる。
本発明の化合物の、選択的エストロゲン受容体活性の側面が、これら化合物を治療用途に適している。
本発明は、さらに、エストロゲン受容体関連疾患の治療もしくは予防、またはその他のエストロゲン受容体関連の生理的状態の調節もしくは治療もしくは予防のための薬剤を製造するための、式Iによる化合物の使用に関する。
さらなる態様において、本発明はホルモン補充療法またはホルモン治療のための薬剤製造に関する式Iによる化合物の使用に関する。このような使用は、閉経後前後および/または閉経後(更年期)の愁訴および骨粗鬆症を示す女性に特に適している。
さらなる態様において、本発明は避妊に使用する薬剤を製造するための式Iによる化合物の使用に関する。このために、本発明による化合物は、同様に適当量の黄体ホルモン物質の投与を含む治療レジメンの一部として投与することもできる。このようなレジメンは、避妊の分野で良く知られている。
本発明による化合物の投与は、適切な投薬形態の製造によって大きく支援される。したがって、本発明は、本発明による化合物の薬剤として許容できる賦形剤、例えば、Gennaro他、Remmington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott、WilliamsおよびWilkins、2000年(特にパート5の「pharmaceutical manufacturing」を参照されたい)に記載されている賦形剤などとの混合を含む薬剤組成物または投薬形態にも関係する。適切な賦形剤は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第2版;編集者 A.WadeおよびP.J.Weller、米国薬学会、Washington、The Pharmaceutical Press、London、1994年に記載されている。本発明による化合物と薬剤として許容できる賦形剤との混合物は、錠剤などの固体投薬単位に圧縮することもできるし、またはカプセルもしくは座薬に加工することもできる。薬剤として適切な液体を用いて、本化合物は、溶液、懸濁物、エマルジョン、または鼻内もしくは口内スプレーなどのスプレーの形態で注入製剤として適用することができる。例えば錠剤などの投薬単位を作製するために、充填剤、着色剤、ポリマー結合剤などの従来の添加剤を使用することが試みられる。一般的に、薬剤として許容できるどの添加剤も使用することができる。本発明の化合物は、インプラント、膣リング、パッチ、ジェルまたは迅速および/もしくは持続的な放出のためのその他のいずれの製剤に含めてもよい。
薬剤組成物を調製し投与するのに用いられる適切な充填剤には、乳糖、澱粉、セルロースおよびこれらの誘導体など、または適当量を用いたこれらの混合物が含まれる。
本発明の投薬量は、エストロゲン化合物のための通常のオーダー、例えば、投与当たり0.01〜100mg、特に0.1から10mgのオーダーである。
本発明を、以下の実施例において例示する。
Figure 0004889644
7α−エチル−15β−メチル−19−ノル−l7α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−イン−3,17β−ジオール(8)の調製(スキームII参照)
7α−エチル−3−メトキシ−エストラ−1,3,5(10)、15−テトラエン−17−オン(3)の調製
7α−エチル−3−メトキシエストロン1を、17β−17−(アセチルオキシ)−エストラ−4,6−ジエン−3−オンおよび臭化エチルマグネシウムから、欧州特許出願公開第0869132号に記載の方法(実施例1およびスキームI、化合物1〜5を参照)と類似の方法で調製した。
THF(3ml)中の7α−エチル−3−メトキシエストロン1(1g)溶液を、−60℃で、LDA溶液[ヘプタン中のn−BuLiの1.6M溶液(4.7ml)を、−50℃でTHF(15ml)中のジイソプロピルアミン(2.1ml)に加えることで調製した。]に液滴状で加えた。混合物を−60℃で1/2時間攪拌し、次いで塩化トリメチルシリル(2ml)で処理した。反応混合物を1/2時間0℃で温め、次いでNHCl10%水溶液(100ml)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。洗浄、乾燥(NaSO)し、引き続き濃縮することで粗製シリルエノラート2(1.1g)を得た。これはさらに精製することなく次の段階で使用された。
アセトニトリル(15ml)中の粗製シリルエノールエーテル2(1.1g)溶液に、Pd(OAc)(750mg)を加えた。混合物を還流状態で15分間加熱した。次いで、水と酢酸エチルを加え、有機混合物を、セライトを通してろ過して生成物を酢酸エチルへと抽出した。このようにして分離した有機物を、短いシリカカラムを通すことにより精製し、ヘプタン/酢酸エチルを用いて溶離し、化合物3(710mg)を無色のオイルとして得た。R(1)0.47、R(2)0.80、R(3)0.46、溶離液はヘプタン/酢酸エチル8/2を使用。NMR(CDCl)、δ7.58(1H)、7.21(1H)、6.74(1H)、6.66(1H)、3.79(3H,CHO)、1.11(s,3H,18−CH)、1.00(t,3H,エチル)。
7α−エチル−15β−メチル−3−メトキシ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(4)の調製
乾燥THF(5ml)中の溶液3(300mg)に対して、無水Cu(OAc)(100mg)を加えた。混合物を、−70℃においてで2分間攪拌し、その後塩化メチルマグネシウム(THF中の1M溶液5ml)を液滴状で加えた。反応物を0℃において1/2時間温め、10%NHCl溶液を加えて急冷した。生成物を、酢酸エチルを用いて抽出し、次いで、溶離液としてヘプタン/酢酸エチルを用いて、シリカゲル上でクロマトグラフィーによって精製し、4をm.p.が120〜122℃の白色固体(280mg)として得た。NMR(CDCl)δ7.22(1H)、6.73(1H)、6.65(1H)、3.79(1H)、1.20(3H,s,18CH)、0.98、0.96(6H,2t,,7αおよび15βエチル)。
7α−エチル−15β−メチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(6)の調製
ジクロロメタン(1ml)中の溶液4(270mg)に対して、BF.DMS錯塩(800μl)を加えた。混合物を1.5時間攪拌し、次いで氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。このようにして得た残留物をエーテル/ヘプタン(1/1)を用いて完全に粉砕し、5(250mg)を薄いバラ色の無定形固体として得た。R0.27(ヘプタン/酢酸エチル8/2)。この物質をDMF(3ml)中で溶解し、イミダゾール(300mg)を、続いて塩化t−ブチルジメチルシリルを加えた。室温で2時間攪拌してシリル化を完結させた。反応物を、氷水を加えることで急冷し、続いて生成物を酢酸エチルで抽出した。短いシリカカラム上のクロマトグラフィーで精製し(ヘプタン/酢酸エチル9/1)、硬い無色のオイルとして6(220mg)を得た。R0.60(ヘプタン/酢酸エチル8/2)。NMR(CDCl)δ7.12(1H)、6.62(1H)、6.18(1H)、1.03(s,3H,18−CH)、0.98(s,9H,tert.ブチルシリル)、0.97,0.95(2t,6H,7αおよび15βエチル)、0.20(s,6H,CH−シリルエーテル)。
7α−エチル−15β−メチル−19−ノル−l7α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−イン−3,17β−ジオール(8)の調製
n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン中、5ml)を、乾燥THF(6ml)中の1,2−ジブロモエテン(300μl)に、−60℃において液滴状で加えることによって、Li−アセチリド溶液を生成した。20分間攪拌した後、THF(2ml)中の6の溶液(220mg)を加え、冷却装置を取り除き、反応物を0℃において1時間攪拌した。次いで5%のNHCl(50ml)を加え、続いて酢酸エチルで抽出した。粗製生成物を短いシリカカラムに通し(ヘプタン/酢酸エチル8/2で溶離し)、化合物7(180mg)を、基本的に純粋な形態の白色発泡体として得た。R0.28(ヘプタン/酢酸エチル8/2)、R出発材料、0.48。NMR(CDCl)δ7.14(1H)、6.62(1H)、6.57(1H,2.60,アセチレン)、0.99(s,12H,18−CHおよびtert.ブチルシリル)、0.95および0.86(2×t,3H,エチル)、0.20(s,6H,ジメチルシリル)。
THF(1ml)中の7の溶液(180mg)に、TBAF(THF中の1M、0.7ml)を加えた。混合物を15分間攪拌し、次いで10%NHCl水溶液(20ml)上に注いだ。生成物を酢酸エチルで抽出し、短いシリカカラムを通過させ、ヘプタン/酢酸エチル7/3を溶離液として用いて、無定形物質としての8(120mg)を得た。NMR(DMSO D6)δ8.89(s,フェノール性OH)、7.08(1H)、6.5(1H)、6.43(1H)、5.34(s,1H,17−OH)、0.84(s,3H,18−CH)、0.80および0.90(2×t,6H,15βおよび7α−エチル)。
3−ピバロイルオキシ−7α−エチル−15β−メチル−l9−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−イン−17β−オール(9a)の調製
化合物8(300mg)を、ピリジン(10ml)中に溶解した。塩化ピバロイル(1.5当量)を液滴状で加えた。2時間後に、反応混合物を水で急冷した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルに再溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液と水で抽出した。有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製し(ヘプタン−酢酸エチル(1:0〜>4:1))、純粋な9a(347mg)を得た。NMR(CDCl)δ1.35(s,9H,ピバロイル)、1.08(d,3H,15β−Me)、1.02(s,3H,18−Me)、0.94(t,3H,7−エチル)。
化合物9b(289mg;NMR(CDCl)δ3.0および3.08(2xs、6H、NMe)1.08(d、3H、15β−Me)、1.02(s、3H、18−Me)、0.93(t、3H、7−エチル)および9c(283mg;NMR(CDCl)δ4.32(q、2H、OCHCH)、1.38(d、3H、OCHCH)、1.08(d、3H、15β−Me)、1.02(s、3H、18−Me)、0.93(t、3H、7−エチル))を同様の様式で調製したが、N,N−塩化ジメチルカルバモイルおよび塩化エチルオキシカルボニルをそれぞれ使用した。
エストロゲン受容体についての化合物の作動薬活性を、in vitroバイオアッセイにおいて、人間のエストロゲン受容体α(hERα)またはβ(hERβ)と安定して同時トランスフェクションされる組換型チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ラットオキシトシンプロモーター(RO)およびルシフェラーゼリポーター遺伝子(LUC)を用いて測定した。エストロゲン受容体hERαまたはhERβを経由して、酵素ルシフェラーゼのトランス活性化を刺激する受容体試験化合物の効力、すなわちエストロゲン作動薬トランス活性化は、標準エストロゲン17β−エストラジオールのEC50に対する百分率(%)、(試験化合物の効力=(17β−エストラジオールのEC50/試験化合物のEC50)×100%)で表される。有効性、すなわち化合物による受容体の最大活性化量は、標準エストロゲン17β−エストラジオールによって誘導される最大活性化に対する百分率(%)、(試験化合物の有効性=(試験化合物の最大活性化/17β−エストラジオールの最大活性化)×100%)で表される。方法論に関するより詳細な説明は、De Gooyer M.E.、Deckers G.H.、Schoonen W.G.E.J.、Verheul H.A.M.およびKloosterboer H.J.、Steroids、第68巻、2003年、21〜30頁において見出すことができる。
ERα/ERβの選択性は、ERα効力/ERβ効力の比として定義される。本発明の化合物は、エストロゲンα受容体において、(17β−エストラジオールに対して)1.0%に等しいかそれより高い効力を有し、作動薬的であり、エストロゲンβ受容体においては活性が少なくとも10分の1である(ERα/ERβの選択性は10に等しいかそれより高い)、および/またはエストロゲンβ受容体において、17β−エストラジオールによって誘発される最大の活性化の60%に等しいかそれより低い有効性を有する部分的作動薬である。
病理学者によって、カニクイザルの子宮組織の病理組織学的評価が、処理グループ当たり4匹の動物における試験化合物による8週間の経口処理後に実施された。比較化合物Xは40μg/kg、比較化合物Yは200μg/kg、化合物8は40および200μg/kgが1日1回投薬された。以下の形態的特性を、H&E染色切片中で、カニクイザルの正常な月経周期の子宮相に基づいて調査した。
A.卵胞期様変化
・緩んだ子宮内膜間質
・一直線の子宮内膜線
・子宮内膜線上皮肥大
・有糸分裂像
・子宮筋層肥大
・初期の血管形成(発芽または初期増殖)
・基礎的分泌
B.黄体期様変化
・仮性脱落膜肥大間質細胞
・子宮内膜線のコイリング
・後期血管形成(らせん動脈の形成)
・子宮内膜線上皮の空胞形成
・管腔の分泌
C.卵巣摘出または非刺激(萎縮性)子宮内膜
・小型子宮内膜間質
・子宮内膜線上皮の萎縮
・子宮内膜線の萎縮
・子宮筋層の萎縮
上記所見のそれぞれの重症度を、等級付け尺度を用いて採点した。
・等級0:所見なし
・等級1:最小量、ほとんどない、非常に小さい
・等級2:微々たる、わずかな、小さい
・等級3:中程度の、中程度の数値、中程度の寸法
・等級4:著しい、多い、大きい
・等級5:大量の、多数、大きな寸法
それぞれの動物にこの等級付けを行った。次いで、処置グループ当たりの平均得点を各特性について計算した。最後に、平均個別特性から、萎縮性、卵胞期様または黄体期様のカテゴリー毎に平均得点を計算した。化合物に関する好都合な子宮内膜安全プロフィールは、より多い黄体期様特性および/または萎縮性子宮内膜と相まった化合物誘発の卵胞期様活性が少ないことと特徴付けられる。
化合物8、比較化合物X(17α−エチニル−17β−エストラジオール、式IにおいてR〜Rが全てH)、および比較化合物Y(17β−エストラジオール)に関するデータを、表1(in vitro細胞データ)および表2(in vivoデータ)に示す。
Figure 0004889644
表1に示す結果は、本発明の化合物は、高エストロゲンα受容体効力と相まって、エストロゲン受容体α−サブタイプに関して首尾一貫して良好な機能的選択性を有していること、すなわち、エストロゲンα受容体を選択的に活性化するが、一方エストロゲンβ受容体は活性化しないかまたは部分的にしか活性化しないことを実証している。化合物8は、23.45%のエストロゲンα受容体効力を示し、エストロゲンβ受容体よりもエストロゲンα受容体に関して15.2倍選択的であり、有効性40%のエストロゲンβ受容体における部分的作動薬である。緊密に関連する化合物17α−エチニル−17β−エストラジオール(化合物X)および17β−エストラジオール(化合物Y)は、両方のエストロゲン受容体サブタイプに対して同じ優先度を示し、エストロゲンβ受容体において完全な作動薬である。
Figure 0004889644
本発明の化合物の好都合な子宮内膜安全プロフィールは、卵胞期様活性化の兆候が明らかに示され、黄体期様活性がわずかで、それ故萎縮性子宮内膜がないことが表2において実証されているように、緊密に関連する化合物17α−エチニル−17β−エストラジオールおよび17β−エストラジオールの両方が共に子宮内膜を刺激しており、驚くべきものである。
ラットの雌の性行動は、ホルモン依存性である。エストロゲンで初回抗原刺激を受けた雌ラットにおいて、プロゲステロンは、明らかに雌の性的行動すなわちロードシス行動を増す。しかしながら、プロゲステロンは、エストロゲンを受けていない卵巣摘出の雌にロードシスを起こさせるのには有効ではない(J.B.Becker、S.M.BreedloveおよびD.Crews(Eds.)、Behavioral Endocrinology、1992年、82〜84頁も参照されたい)。
卵巣摘出の雌のラットにおけるプロゲステロン誘導ロードシス行動を促進する試験化合物の能力を使用し、このような化合物の経口投薬におけるin vivoエストロゲン活性を実証した。雌は、3日間試験化合物で事前処置し、続いて4日目に黄体ホルモン物質で処理した。プロゲステロン処理4時間後の雌ラットの性行動を、雄ラットの存在下、10分間のロードシス応答の回数を数えることで測定した。
がピバロイル(化合物9a)、Rがジメチルカルバモイル(化合物9b)、またはRがエトキシカルボニル(化合物9c)である化合物8のプロドラッグは、全て経口投薬1mg/kg.日において活性エストロゲン化合物であることが実証された。

Claims (13)

  1. 式Iの15β−置換ステロイド化合物
    Figure 0004889644
    [式中、
    は、H、C1〜5アルキル、C1〜12アシル、ジ−(C1〜5アルキル)アミノカルボニル、(C1〜5アルキル)オキシカルボニルまたはスルファモイルであり、
    は、H、C1〜3アルキル、C2〜3アルケニルまたはC2〜3アルキニルであり、これらのそれぞれはハロゲンで場合によって置換されていてもよく、
    は、C1〜2アルキル、エテニルまたはエチニルであり、これらのそれぞれはハロゲンで場合によって置換されていてもよく、および
    は、HまたはC1〜12アシルである。]。
  2. が、C1〜3アルキル、C2〜3アルケニルまたはC2〜3アルキニルであり、これらのそれぞれはハロゲンで場合によって置換されてもよいことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  3. およびRが両方ともHであることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
  4. がHであり、RがHまたはC1−3アルキルであり、RがC1−2アルキルであり、RがHであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  5. がHであり、RがHまたはC1−2アルキルであり、Rがメチルであり、RがHであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  6. 化合物が、7α−エチル−15β−メチル−19−ノル−17α−プレグナ−1,3,5(10)−トリエン−20−イン−3,17β−ジオールであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物および薬剤として許容される賦形剤を含む薬剤組成物。
  8. 治療において使用される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  9. エストロゲン受容体関連疾患の治療もしくは予防、またはその他のエストロゲン受容体関連の生理的状態の調節もしくは治療もしくは予防のための薬剤を製造するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  10. ホルモン治療のための薬剤を製造するための、請求項9に記載の使用。
  11. ホルモン治療が更年期愁訴のためであることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
  12. ホルモン治療が骨粗鬆症のためであることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
  13. 避妊に使用する薬剤を製造するための、請求項9に記載の使用。
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