JP4888937B2 - 微生物増殖抑制への希少糖の使用 - Google Patents

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本発明は、微生物の増殖抑制への希少糖の使用に関し、より詳細には植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などに好ましくない作用をおよぼす雑菌類である有害微生物に対する増殖抑制剤としての使用および増殖抑制方法に関する。
農業生産において、病虫害対策は最も重要な事項の一つであり、その中で農薬は、病害虫への対策や、除草剤などの省力化目的の使用、品質や収穫量を安定させるために使用するなど、食料生産量の確保の上で現在の農業には不可欠な物となっている。しかし、一方で、農薬は殺虫や殺菌という用途から見ても、人間に対する毒性は高く、農業生産者や消費者の健康に悪影響を及ぼす危険を持っている。農薬の使用制限は、「農薬取締法」で使用基準などが定められているが、使用が許可されている農薬の中にも、急性毒性、慢性毒性、発癌性、催奇形性、多世代遺伝毒性などが懸念されるものが、数多く含まれているのが現状である。
また、最近では、農産物への農薬の残留も大きな問題となっている。植物に対する病原体感染を防ぐためには一般に殺菌剤の散布が行われるが、一般に行なわれている農薬散布による病害防除は、作物に残留した農薬による人体への影響、環境に対する汚染等、安全性に関する問題が多い。さらに、農薬の効果の面でも、いったん病原体が植物に侵入してしまうと、農薬はもはや殺菌効果を発揮できないという問題点がある。従来の農薬に替わる植物病害対策として、木酢液、竹酢液、重曹、電解酸性水など安全性が高く環境にも優しい防除技術が知られているが、効果やコストの面で十分とは言えず、安全で効果の高い植物病害抑制技術が求められている。また、植物病害以外の分野でも、エタノール、次亜塩素酸、電解酸性水、逆性石鹸などによる微生物制御が行われているが、人への刺激性や安全性などの点で十分とは言えない。
従来の農薬の多くは、糸状菌や細菌などの植物病原菌や害虫を直接標的とするものであったが、薬剤の毒性による人体や周辺環境への影響などの問題を抱えていたのは前記のとおりである。そこで、植物が本来持っている生体防御機構を活性化させて、植物体全体に病害抵抗性を発現させる化学物質として、プロベナゾールやアシベンゾラルSメチルなどが用いられている。植物が本来持っている生体防御機構の活性化による全身病害抵抗性の誘導は、全身獲得抵抗性(Systemic Acquired Resistance ; SAR)と呼ばれている。
植物の全身獲得抵抗性誘導を利用した農薬として、プロベナゾールなどが実用化されており、特にプロベナゾールはイネいもち病抑制剤として非常に大きい市場規模を有している。しかしながら、これらの農薬はいもち病以外への効果が小さいことなどが問題となっており、世界的に次世代の製剤が待望されている。また、ジャスモン酸誘導体やエチレン製剤も果実の成熟や開花促進などを目的に利用されているが、その作用範囲は限定されている。
近年、異物認識が植物抵抗性遺伝子群の起動に関与する例が多々報告され、この異物認識され抵抗性遺伝子を誘導する因子をエリシター(elicitor)と呼ぶようになっている。すなわち、植物に対する病原体感染を防ぐためには一般に殺菌剤の散布が行われるが、病原菌が植物体内に侵入した際、植物はこれを識別して、抗菌性物質であるファイトアレキシン合成等の植物防御システムを起動して自己防衛する。植物の二次代謝系を活性化してこのような抵抗性反応を誘導する物質はエリシター(特許文献4、2、非特許文献1)と呼ばれる。本発明者らは希少糖が植物の病害抵抗性を増強する作用を発見し、別途特許出願をした(特許文献6)。すなわち、植物に対して希少糖が反応し、植物体内に病害抵抗性を付与する各種タンパク質を作り出す現象であり、植物活性増強剤、その他環境にやさしい農薬等としての用途が広がる基本的に重要な研究成果である。しかし、植物の二次代謝系が複雑であったり、酵素の活性化が短時間に生じるため、エリシターによる植物防御システム起動のメカニズムは、これまでのところ、ほとんど明らかにされていない。
有害微生物の増殖が引き起こす問題は、植物病害だけに止まらず、カット野菜など生鮮食品加工工場、食品製造工場、医療現場、結露などに伴う住環境、レジオネラ菌など空調設備など多くの分野で重要な課題となっている。たとえば、食品および食品製造環境に使用されるエタノール製剤には、食品と食品製造環境に好ましくない作用をおよぼす雑菌類の増殖を抑制する殺菌剤はあるが、食品に好ましくない味や臭いを加えるものや、製造加工作業に従事する作業員の目や喉を刺激するもの、手や皮膚に影響を与える高濃度エタノール製剤が多く労働力確保に問題があった。またカット野菜の洗浄には次亜塩素酸ソーダか強酸電解水が用いられ、この方法は安価で殺菌力があるため広く普及しているが、製品に塩素臭が残るので再水洗すると経費負担増となり、また塩素によるアトピー性皮膚炎や発癌性を懸念する声もある。今日、カット野菜の需要が拡大しているにも拘らず、消費者ニーズに応える脱農薬可食性洗浄剤は見当たらない。
特開平8−225404号公報 特開2000−319107号公報 特開2000−44404号公報 特開平7−67681号公報 特開平7−10901号公報 特開2004−300079号公報 植物細胞工学、第2巻、補1、第399頁、1990年
一般に行なわれている農薬散布による病害防除は、作物に残留した農薬による人体への影響、環境に対する汚染等、安全性に関する問題が多い。さらに、農薬の効果の面でも、いったん病原体が植物に侵入してしまうと、農薬はもはや殺菌効果を発揮できないという問題点がある。このように従来の農薬はその安全性等が強く指摘されているところであり、本発明は、農薬の使用量を飛躍的に減少させる可能性のある、微生物の増殖抑制剤、およびそれらを用いる希少糖の使用方法の提供を目的とする。
また、本発明は、植物病原菌だけでなく、有害微生物の増殖抑制剤、微生物の増殖抑制方法を提供すること目的とする。すなわち、本発明の目的は、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などに好ましくない作用をおよぼす雑菌類の増殖を抑制するとともに、好ましくない味や臭いを与えず、ヒトに安全で無害な微生物の増殖抑制剤、微生物の増殖抑制方法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)ないし(3)の微生物増殖抑制剤を要旨とする。
(1)希少糖を有効成分とし、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、および空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物を増殖抑制の対象微生物とする微生物増殖抑制剤であって、該希少糖がD−アルトロース、D−アロースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、炭疽病菌(Glomerella cingulata)、半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)、および灰色かび病菌(Botrytlis cinerea)からなる群から選ばれる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物増殖抑制剤。
(2)希少糖を有効成分とし、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、および空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物を増殖抑制の対象微生物とする微生物増殖抑制剤であって、該希少糖がD−アロース、L−ガラクトースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、苗立枯病菌(Pythium ultimum)からなる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物増殖抑制剤。
(3)希少糖を有効成分とし、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、および空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物を増殖抑制の対象微生物とする微生物増殖抑制剤であって、該希少糖がD-アルトロース、D-アロース、D-プシコースおよびL-ガラクトースからなる群から選ばれ、黒麹カビ(Aspergillus niger)、黒カビ(Cladosporium cladosporioides)、および青カビ(Penicillium chrysogenum)からなる群から選ばれる有害微生物を該対象微生物とする、微生物増殖抑制剤。
本発明は、以下の(4)ないし(6)の微生物の増殖抑制方法を要旨とする。
(4)希少糖の、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物に対する微生物増殖抑制作用を用いる微生物の増殖抑制方法であって、該希少糖がD−アルトロース、D−アロースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、炭疽病菌(Glomerella cingulata)、半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)、および灰色かび病菌(Botrytlis cinerea)植物病原菌からなる群から選ばれる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物の増殖抑制方法。
(5)希少糖の、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物に対する微生物増殖抑制作用を用いる微生物の増殖抑制方法であって、該希少糖がD−アロース、L−ガラクトースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、苗立枯病菌(Pythium ultimum)からなる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物の増殖抑制方法。
(6)希少糖の、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物に対する微生物増殖抑制作用を用いる微生物の増殖抑制方法であって、該希少糖がD-アルトロース、D-アロース、D-プシコースおよびL-ガラクトースからなる群から選ばれ、黒麹カビ(Aspergillus niger)、黒カビ(Cladosporium cladosporioides)、および青カビ(Penicillium chrysogenum)からなる群から選ばれる有害微生物を該対象微生物とする、微生物の増殖抑制方法。
また、本発明は、植物病原菌など植物への効果だけでなく、有害微生物の増殖抑制剤、微生物の増殖抑制方法を提供することができるのであり、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などの分野に利用が及ぶものである。食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などに好ましくない作用をおよぼす雑菌類の増殖を抑制するとともに、好ましくない味や臭いを与えず、ヒトに安全で無害な微生物の増殖抑制剤、又はそれらを用いる微生物の増殖抑制方法を提供することができる。
本発明において、「植物」は、植物という用語自体から認識され得るもの、野菜、果実、果樹、穀物、種子、球根、草花、香草(ハーブ)、分類学上の植物等を表すものとする。
また、希少糖による増殖の抑制の対象となる微生物は、植物病原菌だけでなく、有害微生物、すなわち、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などに好ましくない作用をおよぼす雑菌類である。
希少糖について説明する。「希少糖」とは、自然界に微量にしか存在しない単糖と定義づけることができる。自然界に多量に存在する単糖は、D−グルコース、D−フラクトース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−リボース、D−キシロース、L−アラビノースの7種類あり、それ以外の単糖は、自然界における存在量が少なく希少糖に分類することができる。また、糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD−ソルビトールおよびD−マンニトールが比較的多いが、それ以外のものは量的には少ないので、これらも本発明に従う希少糖と定義される。これらの希少糖は、これまで入手が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
以下、これらの単糖の関係を一層容易に理解するために提案されたIzumoringに基づき説明を加える(WO 03/097820参照)。
図17で示される生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図がイズモリング(Izumoring)「登録商標、以下省略」の全体図である。すなわち、図17から理解できることは、単糖は、炭素数4、5、6全てがつながっているということである。全体図は、イズモリングC6の中でのつながりと、イズモリングC5の中でのつながりと、イズモリングC4の中でのつながりと、C4、C5、C6が全てつながっていることである。この考え方は重要である。炭素数を減少させるには主に発酵法を用いる。炭素数の異なる単糖全てをつなぐという大きな連携図であることも特徴である。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図17の下段および図18に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、本発明者らの研究を含めた研究で知られている。
しかしながら、これまでの研究では上のグループ、真ん中のグループ、下のグループは酵素反応でつながっていなかった。つまり、上のグループに属しているD−グルコース(ブドウ糖)やD−フラクトースは自然界に多量に存在する糖であり安価であるが、これらから希少糖を合成することができなかった。ところが、本発明者らの研究の過程で、これを結ぶ酵素が発見された。それはガラクチトールからD−タガトースを合成する酵素を持つ菌の培養液中に、全く予期しなかったD−ソルボースが発見されたことに端を発する。その原因を調べた結果、この菌がD−タガトース3エピメラーゼ(DTE)という酵素を産生していることを発見した。
図17の下段および図18に示すように、このDTEはこれまで切れていたD−タガトースとD−ソルボースの間をつなぐ酵素であることがわかる。そしてさらに驚くことに、このDTEは全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、これまで合成接続できなかったD−フラクトースとD−プシコース、L−ソルボースとL−タガトース、D−タガトースとD−ソルボース、L−プシコースとL−フラクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有するユニークな酵素であることが分かった。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた。
この図18をよく見てみると、左側にL型、右側にD型、真ん中にDL型があり、しかもリングの中央(星印)を中心としてL型とD型が点対称になっていることもわかる。例えば、D−グルコースとL−グルコースは、中央の点を基準として点対称になっている。しかもイズモリング(Izumoring)の価値は、全ての単糖の生産の設計図にもなっていることである。先の例で、D−グルコースを出発点としてL−グルコースを生産しようと思えば、D−グルコースを異性化→エピ化→還元→酸化→エピ化→異性化するとL−グルコースが作れることを示している。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)を使って、自然界に多量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係が示されている。D−グルコース、D−フラクトース、D−マンノースと、牛乳中の乳糖から生産できるD−ガラクトースは、自然界に多く存在し、それ以外のものは微量にしか存在しない希少糖と分類される。DTEの発見によって、D−グルコースからD−フラクトース、D−プシコースを製造し、さらにD−アロース、アリトール、D−タリトールを製造することができるようになった。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)の意義をまとめると、生産過程と分子構造(D型、L型)により、すべての単糖が構造的に整理され(知識の構造化)、単糖の全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できること、が挙げられる。
イズモリングC6のD−グルコースは、イズモリングC5のD−アラビトールおよびイズモリングC4のエリスリトールとつながっている。この線は、発酵法によってD−グルコースからD−アラビトールおよびエリスリトールを生産できることを示している。すなわち、イズモリングC6,イズモリングC5およびイズモリングC4は連結されている。この連結は、炭素数の減少という主に発酵法による反応であり、このD−アラビトールおよびエリスリトールへの転換反応の二つ以外の発酵法によるイズモリングC6とイズモリングC5,C4との連結は可能である。例えばD−グルコースからD−リボースの生産も可能である。このように、3つのイズモリングにより全ての炭素数4,5,6の単糖(アルドース、ケトース、糖アルコール)が連結されたことで、それぞれの単糖が全単糖の中でその存在場所を明確に確認できる。
最も有名なキシリトールは、未利用資源の木質から生産できるD−キシロースを還元することで容易に生産できることを明確に確認できる。もしも特定の単糖が生物反応によって多量に得られた場合には、それを原料とした新たな単糖への変換の可能性が容易に見いだすことが可能である。すなわち、この全体像から全ての単糖の原料としての位置を確実につかむことができるため、有用な利用法を設計することができる。特に廃棄物や副産物から単糖が得られた場合の利用方法を容易に推定できるのである。希少糖の生産分野ばかりではなく、希少糖の持つ生理活性を探索する研究においても有効性を発揮する。例えば、ある希少糖に生理活性が判明したとき、図17で示される連携図の存在位置を確認する。そして構造の近い希少糖に関しての生理活性との比較、あるいは、構造的に鏡像関係にある希少糖の生理活性を検討することで、生理活性の機構を分子の構造から類推する助けになるであろう。また、希少糖の生理機能を解析し、イズモリング上に性質を集積することにより、これまで単純な羅列的理解から、単糖全体を、「単糖の構造」、「単糖の生産法」、および「単糖の生理機能」を包括的に理解することに大いに利用できると期待される。
炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図がイズモリング(Izumoring)の全体図(図17)であり、単糖は、炭素数4、5、6全てがつながっているということが理解できる。全体図は、イズモリングC6の中でのつながりと、イズモリングC5の中でのつながりと、イズモリングC4の中でのつながりと、C4、C5、C6が全てつながっている。たとえば、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図17の下段および図18に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。
希少糖のうち、現在大量生産ができているD−プシコースという希少糖について説明する。プシコースは、単糖類の中で、ケトン基を持つ六炭糖の一つである。このプシコースには光学異性体としてD体とL体とが有ることが知られている。ここで、D−プシコースは既知物質であるが自然界に希にしか存在しないので、国際希少糖学会の定義によれば「希少糖」と定義されている。D−プシコースは、ケトースに分類されるプシコースのD体であり六炭糖(C6H12O6)である。このようなD−プシコースは、自然界から抽出されたもの、化学的またはバイオ的な合成法により合成されたもの等を含めて、どのような手段により入手してもよい。比較的容易には、例えば、エピメラーゼを用いた手法(例えば、特開平6-125776号公報参照)により調製されたものでもよい。得られたD−プシコース液は、必要により、例えば、除蛋白、脱色、脱塩などの方法で精製され、濃縮してシラップ状のD−プシコース製品を採取することができ、更に、カラムクロマトグラフィーで分画、精製することにより99%以上の高純度の標品も容易に得ることができる。このようなD−プシコースは単糖としてそのまま利用できるほか、必要に応じて各種の誘導体として用いることも期待される。
次に、D−アロースについて説明する。D−アロースは、希少糖研究の中で特に各種生理活性を有することが判明してきた希少糖である。D−アロース(D−アロヘキソース)は、アルドース(アルドヘキソース)に分類されるアロースのD体であり、融点が178℃の六炭糖(C6H12O6)である。このD−アロースの製法としては、D−アロン酸ラクトンをナトリウムアマルガムで還元する方法による製法や、また、シェイクワット・ホセイン・プイヤン等による「ジャーナル・オブ・ファンメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング」第85巻、539ないし541頁(1993年)において記載されている、L−ラムノース・イソメラーゼを用いてD−プシコースから合成する製法がある。さらに近年では、特開2002-17392号公報に記載されている。D−プシコースを含有する溶液にD−キシロース・イソメラーゼを作用させて、D−プシコースからD−アロースを生成する製法が発明されている。特開2002-17392号公報に記載されている製法によれば、D−アロースを生成する場合には、未反応のD−プシコースと共に、新たに生成したD−アロースを含有している酵素反応液として得られる。
D−アロースに変換可能な基質を酵素反応でD−アロースに変換する際に用いる酵素の種類は限定されないが、D−プシコースからD−アロースを生産することができる酵素「L−ラムノースイソメラーゼ」を好ましいものとして例示される。L−ラムノースイソメラーゼは、「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」第85巻、539乃至541頁(1998年)で発表された公知酵素である。L−ラムノースからL−ラムニュロースへの異性化反応ならびにL−ラムニュロースからL−ラムノースへの異性化を触媒する酵素である。L−ラムノースイソメラーゼは、D−アロースとD−プシコースの間の異性化にも作用するので、D−プシコースからD−アロースを生産することができる酵素である。
希少糖を有効成分とする植物の全身獲得抵抗性の誘導の効果について説明する。
植物が本来持っている生体防御機構の活性化による全身病害抵抗性の誘導は、全身獲得抵抗性(Systemic Acquired Resistance ; SAR)と呼ばれている。全身獲得抵抗性の誘導は、基本的には植物体の一部に何らかのストレスを与えたときその情報が全身に伝わるとともに、そのストレスに対する新たな抵抗性が全身に誘導される現象をいう。全身獲得抵抗性誘導の詳細なメカニズムは明らかになっていないが、一般的には、植物病原菌やエリシター物質(植物の生体防護反応を誘導する物質の総称)が植物に認識された後、活性酸素の生成やサリチル酸あるいはスペルミンなどを介したシグナル伝達が起こり、PRタンパク質(感染時特異的タンパク質)の生成などにより全身的な獲得抵抗性が獲得される(図16)。プロベナゾールなどの一般的な全身獲得抵抗性誘導剤はこの反応を誘導するとされている。一方、植物が障害などのストレスを受けた際には、ジャスモン酸やエチレンなどを介したシグナル伝達が起こり、病害抵抗性の向上だけでなく、虫害抵抗性の向上、果実の成熟、開花促進、休眠打破、発芽調節、乾燥などのストレス抵抗性の向上などを引き起こす(図16)。
本発明は、D−プシコースなどの希少糖が、全身獲得抵抗性を誘導することを示すことに基づくものである。全身獲得抵抗性を誘導の効果は、プロベナゾールなど病害抵抗性の向上のみならず、低温ストレスや乾燥ストレスなどの環境ストレスへの抵抗性向上に及ぶ(図1参照)ことで、希少糖を利用することにより、全身獲得抵抗性を誘導することができ、病害抵抗性のみならず各種ストレスへの抵抗性への抵抗性をも向上させることができる。希少糖は毒性が非常に低く自然界では容易に分解するため、安全性が高く環境にも優しい全身獲得抵抗性誘導剤として利用することができる。より具体的には植物の全身獲得抵抗性の誘導の効果を利用した農薬、植物病害抑制剤、植物生長調節因子の誘導剤(病害抵抗性、虫害抵抗性、果実の成熟、休眠打破、発芽調節、乾燥耐性、そのほか低温耐性、高温耐性、塩類耐性、重金属耐性などの環境ストレス耐性および開花促進からなる植物ホルモン的な作用の誘導剤)ならびに、微生物の増殖抑制剤として利用することができる。
希少糖の全身獲得抵抗性誘導の効果の一つである植物病害抑制作用について説明する。
現在の地球上に存在する有機物は、ほぼ全てが生物によって生産される。この事実から、自然界に少量しか存在しない希少糖は、生物は合成する能力も分解する能力も低い有機物であると考えられる。しかし、自然界に多量に存在する単糖の構造と極わずかの違いしかない。そのため、生物が希少糖に接触した場合に全く予期しない反応を示すことが期待される。本発明者らは希少糖に対する高等生物である植物の全く新しい反応を見いだし別途特許出願をした(特許文献6参照)。該出願の実施例は、D−プシコースによって、植物の病原菌・ストレス応答遺伝子経路を起動し、病原菌・病害虫に対する抵抗性増大を促す可能性が示された。希少糖は自然界に大量に存在する天然型単糖と類似構造を持ちながら、微量しか自然界に存在しない。そのため植物にとって完全に初めて出会う化合物である場合がほとんどであるため、代謝分解する経路が確立しておらず、希少糖を異物認識して抵抗反応系への伝達機構(ストレス-シグナリング)を刺激している可能性が高いと考える。他の希少糖についても、D−プシコースと同様の検定を用いて、様々な植物で試すことにより、興味深い作用を示したり、また各植物毎に作用が異なる希少糖を選抜検定できると考える。例えば、カンキツの例においてD-プシコースの他にL-プシコース、 L & D-タガトース、D-ソルボースを噴霧処理後に防御関連遺伝子であるリポキシゲナーゼとキチナーゼ遺伝子発現をノーザンブロット解析した結果、供試した各種希少糖の中では、D-プシコースを処理した場合が最も長くリポキシゲナーゼ遺伝子の発現誘導を維持できた。この結果は、D-プシコースがこれまで供試した希少糖のなかで最もストレス-シグナリング因子として有効なやくわりを示すことを意味する。一方、D-タガトースはキチナーゼ遺伝子発現を強く誘導することも明らかになり、希少糖が誘導するシグナル伝達経路はD-プシコースが誘導する経路以外にも存在する可能性が示された。
このようなD-プシコース添加により誘導される種々の抵抗性遺伝子の発現は、ミヤコグサ(Lotus japonicus)のcDNAアレーを用いた実験によっても確認された。D-プシコース5 mMを培地に与えた植物では最初の1週間にキチナーゼ、PR10タンパク質、塩ストレス及び脱水ストレス応答遺伝子など各種病原菌や環境ストレスに応答する遺伝子群が活性化された。また、培地中D-プシコース濃度が0.1 mM程度では、ストレス応答遺伝子群よりもオーキシンなど植物ホルモンによって制御される遺伝子群の発現増減が認められた。したがってD-プシコースを植物に与えた場合、各種病原菌や環境ストレスに応答する遺伝子群および植物ホルモン関連遺伝子の発現に影響を及ぼし、植物の発育に様々な影響を与えることが予想された。
該出願発明の対象とする植物は、希少糖を異物と認識し、その抵抗性遺伝子群を起動し病原菌・病害虫に対する抵抗性増大を促す作用を呈する植物であれば何でもよい。実施例のD−プシコースが発現誘導した抵抗性関連遺伝子は、いずれも幅広い植物種において共通の植物防御システムに関与する遺伝子であり、カンキツで見られた作用は他の植物に対しても同様の作用を及ぼす可能性が高い。様々な植物についても、カンキツと同様の検定を用いて試すことにより興味深い作用を示したり、また各植物毎に作用が異なる希少糖を選抜検定できると考え、さらに研究を進め、本発明に至った。
本発明は、植物病害に対して抑制的な効果を持つ希少糖、好ましくはD−プシコース、D−アロース、D−アルトロース、L−ガラクトースを含有する植物病害抑制剤組成物に関する。更に、本発明は、これら何れかの植物病害抑制剤又は植物病害抑制剤組成物を植物に供給することからなる植物病害の抑制方法に関する。本発明の植物病害抑制剤の形態は、液体、ペースト、水和剤、粒剤、粉剤、錠剤等いずれでも良い。本発明の植物病害抑制剤の植物への供給方法としては色々な手段を使うことができる。例えば、粉剤や粒剤を散布したり、希釈された水溶液を葉面、茎、果実等直接植物に散布したり、土壌中に注入する方法や水耕栽培やロックウールのように根に接触している水耕液や供給水に希釈混合して供給したりする方法が挙げられる。
本発明の植物病害抑制剤により処理できる植物としては、果菜類では、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、トマト、ナス、ピーマン、イチゴ、オクラ、サヤインゲン、ソラマメ、エンドウ、エダマメ、トウモロコシ等が挙げられる。葉菜類では、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ニラ、アスパラガス、レタス、サラダナ、セロリ、ホウレンソウ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、ウド、ミョウガ、フキ、シソ等が挙げられる。根菜類としては、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ、ショウガ、レンコン等が挙げられる。その他に、イネ、麦類、花卉類等にも使用が可能である。
希少糖の全身獲得抵抗性誘導の効果の一つである植物生長調節因子の誘導剤の作用、例えば病害抵抗性、虫害抵抗性、果実の成熟、休眠打破、発芽調節、乾燥耐性および開花促進からなる群から選ばれる植物ホルモン的な作用の誘導剤の作用について説明する。
単糖である希少糖が、様々な生理活性を持つことが明らかになってきた。これら希少糖の植物生育に対する影響を検討した結果、ある希少糖は成長促進作用を持ち、またある希少糖は成長抑制作用を示すことが明らかになった。今後大量生産が可能になる希少糖の成長調節に対する作用を順次検定することにより、多様な活性が解明され、有益な成長調節剤としての実用化が期待できる。
1)現在までに明らかになっている作用:
播種後1週間のトマト発芽苗に、各種濃度(0.01〜5 mM)のD-アロースを液肥(大塚1・2号混合液)に溶かして処理し、水耕で育苗したところ、0.01 mM処理区で無処理区に対して、茎長で33%、茎重で67%の生長促進、および開花の促進作用が認められた。この作用は0.01 mM処理区を最高値として、その活性値にばらつきはあるものの1 mM処理区まで認められ、5 mM処理区では逆に若干の生長抑制が認められた。
一方、播種後5日目のイネ発芽苗に、各種濃度(0.005〜0.5 mM)のD-プシコースを液肥(木村氏B液)に溶かして処理し、水耕で生苗したところ、0.05 mMまでは無処理区と大差なかったが(>98%)、0.1 mMで30%の生長阻害が認められ、0.5 mMでは10日間の水耕で苗丈が43%、根長が67%抑制された。この0.5 mM処理区の苗は水耕10日後に土ポットに移植し、さらに1週間D-プシコースなしで栽培し、葉のtotalRNAを用いて防御関連遺伝子の発現様式を検定したところ、イネ病害抵抗性に関与する遺伝子の発現誘導が認められた。また、水耕時に認められた生育抑制は、D-プシコース処理時の一過的な作用であり、土に移植後D-プシコースを処理せずに生育させることにより、約3週間で無処理区同等のサイズにまで回復した。
2) これらの作用の解釈:
単糖である希少糖が植物の生長調節作用を持つことが明らかとなった。これらの作用のメカニズムについては、今後さらなる研究が必要であるが、現時点での可能性は、1)希少糖が植物ホルモンの生産制御に関与している、2)希少糖自身に植物生育に関係するホルモンとしての作用がある、3)希少糖に生育に関係する代謝経路の活性化・抑制作用がある等が考えられる。単糖であるこれら希少糖の植物生育調節に関する作用は、これまでまったく研究されたことはなく、今回の知見は新規なものである。生育促進を示すアロースの例は、食糧増産の観点から有益な作用であることは容易に想像でき、また生育抑制を示すD-プシコースの例も、根から吸わすことにより生育が一過的に抑制されながらも、処理後一週間後でも耐病性関連遺伝子が葉で誘導されており、抵抗性遺伝子が全身獲得抵抗性(Systemic Acquired Resistance: SAR)の一環として誘導されることが明らかになった。さらに、処理期間中の生育抑制は、処理を終了させることにより停止し、その作用は不可逆的な作用ではないことも明らかとなった。
3) これらの作用の利用方法について:
それでは、これら希少糖の植物生育調節作用を応用して、どのような実用化が想定させるであろうか。想定される実用化例を以下に示す。
生育を促進するアロースの例
・育苗液肥への混合により、健全苗の育苗剤として使用。健全苗であることにより耐
病性も増進すると考えられる。
・生育不良植物への注入剤
・種子へ直接塗着して販売することによる、「発芽・生育促進種子」の開発
・農業補助材・剤(生育マット、保水剤、展着剤等)への吹き付け・混入による生育
促進効果の増強
・殺菌剤・殺虫剤・肥料・液肥への混入による生育促進効果の増強
生育を抑制するD-プシコースの例
・育苗液肥への混合により、不必要な根の伸長抑制とSARによる耐病性増強
・過肥田のイネの一過的な生育抑制およびSARによる耐病性増強剤(無意味な過剰
生育イネは強風・台風による倒伏に繋がる)。
・一過的生育抑制による植物体輸送の簡便化剤(小型の方が輸送には有利)。
・SARを誘起するD-プシコースの生育抑制作用はアロースと混合して使用することに
より緩和されることが期待される。
希少糖による微生物増殖抑制作用について説明する。
希少糖により植物病原菌だけでなく、有害微生物、すなわち、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などに好ましくない作用をおよぼす雑菌類の増殖が抑制される。
それゆえ、植物病害以外の分野でも、カット野菜など生鮮食品加工工場、食品製造工場、医療現場、結露などに伴う住環境、レジオネラ菌など空調設備などの分野において、微生物の増殖を抑制する効果を持つ希少糖、好ましくはD−プシコース、D−アロース、D−アルトロース、L−ガラクトースを含有する微生物増殖抑制剤組成物として利用できる。利用形態としては、液体、ペースト、水和剤、粒剤、粉剤、錠剤等いずれでも良く、食品等に水溶液を直接噴霧することもできる。
本発明による微生物増殖抑制剤組成物は、たとえば市販のエタノール/水系殺菌剤である乳酸と乳酸ナトリウムをエタノール/水系に溶解させて緩衝性エタノール水とし、有機酸(クエン酸、クエン酸塩、乳酸、乳酸塩、酢酸、酢酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、酒石酸、酒石酸塩、グルコン酸、アジピン酸、フィチン酸のうち2種以上)を加えたうえに糖質(オリゴ糖、マルトース、トレハロース、ブドウ糖、水飴、ステビア甘味料、ルチン、プルラン、デキストリンなど)とチアミンラウリル硫酸塩を配合したものを、糖質の一部または全部を希少糖で置き換えものとすることができる。野菜の風味を損ねることなく糖質がある場合はその甘みとともにラウリル硫酸の効果で、野菜の日持ち向上に役立つものであり、また緩衝性エタノール水と有機酸と希少糖の相乗効果により、大腸菌および黄色ブドウ球菌ならびにボツリヌス菌の生育を阻止する作用が期待できる。
本発明による微生物増殖抑制剤組成物は、野菜加工に限らずあらゆる食品製造環境において使用でき、食肉の殺菌、食肉製品の殺菌、魚肉ねり製品の殺菌とそれらの製造環境・調理環境、機械、器具、手指の殺菌、空中浮遊菌の殺菌など目的によって希釈%を変えて使用できることを特徴とし、容器・食器類・食卓・調理台・まな板・包丁・ふきん・手指等の消毒、喫食環境の清浄化にも効果を発揮する。また可食性洗浄剤として希釈して使用することをたてまえとし、例えば、キャベツは泥を落すなどの下洗いをしてから丸のまま浸漬する場合でも、細断して浸漬する場合でも希釈して使用し、浸漬する時間は、細片した野菜の場合、3分間の浸漬で十分効果を発揮する。本剤は可食性であるから、野菜を浸漬したあと水洗いする必要はなく、水切りしてそのまま喫食できることを特徴とする。またザルやビニール袋などに細片した野菜を入れてスプレーすることもできる。
また、市販の可食性洗浄剤である同じく緩衝性エタノール水に同じく有機酸を加えたうえにショ糖エステルとモノグリセリドと糖質を配合したものものを、糖質の一部または全部を希少糖で置き換えものとすることができる。緩衝性エタノール水と有機酸と希少糖の相乗効果にモノグリセリドの殺菌力が加わり、さらにショ糖エステルによる洗浄効果および有機酸の野菜のあく抜き速度の向上が働いて、農薬などの除去に効果を示し、かつBacillus属やMicrococcus属など好気性グラム陽性菌に強い阻止作用を有し、野菜変色防止に効果がある。食品製造環境において食品に直接スプレーしたり、食品を浸漬する目的に使用するほか、食品処理に使用されるカッターや作業刀、まな板、作業台、手指および手袋などの殺菌・除菌に使用され、特に流し台などの水分が過剰な設備環境において使用した場合、希釈されても殺菌力は低下しない特徴をもつので、使用対象によっては任意に薄めて使用することができる。
本発明の詳細を実施例で説明する.本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例1、2、7〜9、11〜14は参考例である。
[材料と方法]
ラフレモン切り取り葉に、L-プシコース、 L & D-タガトース、 D-ソルボース各0.5 mMを噴霧処理後、24℃暗下湿室条件で2、4、6、12、24、48時間静置した処理葉からtotalRNAを抽出し、リポキシゲナーゼとキチナーゼの遺伝子発現をノーザンブロット解析を行った。検定・解析は総ての処理区において少なくとも3回以上繰り返し、同等の結果を得た。
[結果と考察]
ラフレモンにおいて、D-プシコースの他にL-プシコース, L & D-タガトース, D-ソルボースを噴霧処理後に防御関連遺伝子であるリポキシゲナーゼとキチナーゼ遺伝子発現をノーザンブロット解析した結果、供試した各種希少糖の中では、D-プシコースを処理した場合が最も長くリポキシゲナーゼ遺伝子の発現誘導を維持できた。その他の希少糖処理区でも早期のLOX遺伝子誘導は確認できたが、持続性は低く、処理後24時間でその効果はほぼ消失していた。これらの結果は、D-プシコースがこれまで供試した希少糖のなかで最もストレス-シグナリング因子として有効な役割を示す可能性を意味する(図2)。
一般に植物の持つシグナル伝達経路は多岐に渡ると考えられているが、D-タガトースはD-プシコースよりもキチナーゼ遺伝子発現を強く誘導することも明らかになり、希少糖はD-プシコースが誘導する経路以外のストレス反応・シグナル伝達経路も誘導できる可能性が示された。キチナーゼは菌壁成分を分解する抗菌タンパクとして知られ、研究された多くの植物において、菌接種後一定期間をおいてから遺伝子発現誘導がかかることが知られ、上記のリポキシゲーナゼ等の反応の早い防御関連遺伝子とは異なるシグナル伝達経路により誘導されていると考えられている。
今後より多くの希少糖を用いて検定を進めることにより、植物の持つ複数のシグナル伝達経路を同時、または個別に人為的誘導することが可能になると期待できる(図3)。
ミヤコグサの遺伝子発現に及ぼすD-プシコースの効果
ミヤコグサ(Lotus japonicus)の培地にD-プシコースを添加した場合の遺伝子誘導パターンをcDNAアレーを用いた実験によって調べた。
[材料と方法]
ミヤコグサは種子から発芽させ、L&B培地(水耕液)で栽培した。種子を発芽させた際、根粒菌(Mesorhizobium loti)も接種した。この条件はコントロール区もD-プシコース添加区も同様とした。 アレーはミヤコグサcDNAアレーを用い、14,000のクローンを貼り付けたマクロアレーを使用した。供試植物は発芽後、D-プシコースを添加もしくは無添加のL&B培地で1週間、グロースキャビネット(22℃、30,000 Lux)で栽培した。植物体からTotal RNAを抽出した後、cDNAにする過程で33Pで標識し、ハイブリダイゼーションを行った。読み取りはSTORM850を使い、アレービジョンで解析した。
[結果と考察]
5 mM D-プシコースを与えたミヤコグサでは、最初の1週間にキチナーゼ、PR10タンパク質、塩ストレス及び脱水ストレス応答遺伝子など各種病原菌や環境ストレスに応答する遺伝子群が活性化された(表8)。この効果は5 mMD-フラクトースでは認められなかった。培地中D-プシコース濃度が0.1 mM程度では、ストレス応答遺伝子群よりもオーキシンなど植物ホルモンによって制御される遺伝子群の発現増減が認められた。これらのD-プシコース添加効果はD-フラクトースの数倍以上であった。したがってD-プシコースを0.1 mM程度の濃度で根に与えた場合は植物の発育に様々な影響を与えることが予想された。
[材料と方法]
キチンオリゴ糖などのオリゴ糖や二糖類であるシュークロースの誘導体(パラチノースやフルオロシュークロースなど)は、植物に対してエリシター(生体防御誘導物質)として作用し、種々の防御応答を引き起こすことが知られている。これらのことから、D−プシコースなどの希少糖も植物においてはエリシター作用を示し、病害抵抗性の向上などを引き起こす可能性が期待された。
そこで、トマトとトマトの代表的な病原菌である萎凋病菌(Fusarium oxysporum)の系を用いて、感染時のD−プシコースの影響を調べた。
すなわち、トマト(品種‘ハウス桃太郎’)の種子を、0.01%(w/v)から0.1%(w/v)のD−プシコース溶液に15分間ゆっくり攪拌しながら浸漬処理を行い、滅菌ガーゼ上で風乾したものを処理種子として用いた。1%(w/v)寒天を25ml入れた直径9cmのプラスチックシャーレの中央部に、ポテトデキストロース寒天培地で1週間培養した萎凋病菌(Fusarium oxysporum IFO 9967株およびIFO 31213株)を寒天培地ごとコルクポーラーで打ち抜いた菌糸ディスク(直径1cm)を置き、その周囲に上記処理種子10粒をほぼ等間隔で並べた。この際、寒天培地に0.01%(w/v)から0.1%(w/v)のD−プシコースを添加した試験区を設けた。次いで、23℃の暗黒条件下に7日から10日間置き、芽の伸長、根の伸長、芽の展開率、根への感染状況などを観察した。結果を表1に示す。
[結果と考察]
トマトへの萎凋病菌感染実験の結果、萎凋病菌としてIFO 31213株を用いた場合は、0.01%(w/v)および0.05%(w/v)D−プシコース溶液での浸漬処理により、発芽時の感染による芽や根の伸長障害が緩和された。しかしながら、D−プシコース溶液の濃度が0.1%(w/v)になると芽長および根長ともに減少した。これはD−プシコースの直接的な伸長抑制効果によると考えられた。
また、感染実験の際の寒天培地にD−プシコースを添加することにより萎凋病菌の菌糸伸長が抑制され、芽や根の伸長障害がさらに緩和された。
D−プシコースにより種子を処理した区やさらに寒天培地にD−プシコースを添加した区では、いずれも芽の展開率の改善や根への萎凋病菌感染による褐変の低減も観察された。 一方、萎凋病菌としてIFO 9967株を用いた場合、IFO 31213株ほど顕著に芽や根の伸長障害改善効果は認められなかった。これはIFO 9967株の感染力もしくは病害性がIFO 31213株より弱かったためと考えられるが、芽の展開率の改善や根への萎凋病菌感染による褐変の低減はIFO 31213株を用いた場合と同様に観察できた。
以上の結果から、トマト種子をD−プシコースで処理することで萎凋病菌感染による障害を低減でき、さらに培地にD−プシコースを添加することにより萎凋病菌の菌糸伸長が抑制され効果が増大することが確認された。このことから、D−プシコースが植物病害抵抗性向上に役立つことが明らかになった。
[材料と方法]
トマトとトマトの代表的な病原菌である萎凋病菌(Fusarium oxysporum)の系を用いて、育苗段階における感染時のD−プシコースの影響を調べた。
すなわち、トマト(品種‘ハウス桃太郎’)の種子を、0.01%(w/v)および0.1%(w/v)のD−プシコース溶液に15分間ゆっくり攪拌しながら浸漬処理を行い、滅菌ガーゼ上で風乾したものを処理種子として用いた。育苗培地(ピート:パーライト:バーミキュライト=2:1:1)に0.01%(w/v)および0.1%(w/v)のD−プシコースを混合した後、9cm径の黒ポリポットに入れ、ここに上記処理種子を4粒ずつ播種した。試験区ごとに5ポット(合計20粒の種子)に播種した。播種後は、23℃・5,000lux(12時間日長)のグロースチャンバーに入れ、育苗を開始した。育苗開始1か月後および2か月後に萎凋病菌(Fusarium oxysporum IFO 31213株)の菌糸懸濁液を株元に接種することにより萎凋病菌の感染を起こした。萎凋病菌接種の後は温度を28℃に上げ、栽培を継続した。播種から約4か月後に株の生存率、維管束や根の褐変状況、草丈、地上部重量を調査した。結果を表3に示す。
[結果と考察]
トマト種子へのD−プシコース処理や育苗培地へのD−プシコースの添加がない場合は、萎凋病菌の感染により、生存率は28%に低下し、維管束や根の褐変も顕著であった。これに対して、トマト種子へのD−プシコース処理や育苗培地へのD−プシコースの添加を行った場合、生存率の向上、維管束や根の褐変減少の低減が観察された。これに伴って、萎凋病菌感染による草丈や地上部重量の減少も緩和された。以上の結果から、D−プシコースを添加することで、トマトにおける萎凋病菌の発病を抑制できることが明らかになった。
[材料と方法]
代表的な植物病原菌である萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、炭疽病菌(Glomerella cingulata)、半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)、灰色かび病菌(Botrytlis cinerea)を対象として、菌糸伸長に及ぼす希少糖の影響を調べた。
供試菌株は、IFO 31213株、IFO 6425株、IFO 9765株、IFO 9760株を用いた。
各供試菌株をポテトデキストロース寒天培地上で23℃にて7日間培養したものを培地ごと直径1.1cmに打ち抜き、これを0.05%(w/v)の希少糖を添加した寒天培地を入れたシャーレの中央に置き、23℃にて7日間培養した。培養後、伸長した菌糸の長さを測定した。
結果を表4に示す。
[結果と考察]
各植物病原菌の菌糸伸長を測定した結果、いずれの病原菌についてもD−アルトロースが最も高い抑制効果を示し、D−アロースやD−プシコースがこれに続いた。以上の結果から、D−アルトロース、D−アロース、D−プシコースといった希少糖が植物病原菌の菌糸伸長を抑制する効果があることが明らかになった。
[材料と方法]
ホウレンソウなどの立ち枯れを起こす苗立枯病菌(Pythium ultimum)について、卵胞子形成に及ぼす希少糖の効果を調べた。
Pythium属菌は、鞭毛菌類に属し、造卵器と造精器による有性生殖を行い、卵胞子を形成する。卵胞子は、適当な温湿度条件が整うと発芽し、菌糸または遊走子を形成し、植物体に感染することにより急速に蔓延する。
まず、苗立枯病原菌(Pythium ultimum)としてIFO 32426株を用い、200mlのV8培地にて23℃で1週間静置培養を行った。得られた菌糸マットを滅菌水でよく洗浄した後、ピンセットで16等分に分割した。この菌糸を小さく均一にほぐした後、0.05%(w/v)濃度の糖溶液20mlに浸し、23℃にて4日間静置した。その後、卵胞子の形成を顕微鏡で観察した。また、同様の実験を、ショウガ根茎腐敗病菌(Pythium zingiberum)IFO 30817株を用いて行った。
[結果と考察]
苗立枯病菌の卵胞子形成に及ぼす希少糖の効果を調べた結果を図4に示す。図4の写真は、卵胞子形成の様子を顕微鏡で観察したもので、黒っぽい小さな粒のように見えるのが卵胞子、糸のように見えるのは苗立枯病菌の菌糸である。もともと菌糸だけであったものが、4日間の放置により卵胞子が形成された様子を示している。
図4を見ると、D−グルコースやD−フラクトースを添加しても全く影響がなかった(対照区:無添加区と変わらない。)のに対して、D−アロースを添加することにより卵胞子形成が全く見られなくなった。D−アロースに比べて効果は小さかったが、L−ガラクトースやD−プシコースでも卵胞子形成が抑制された。抑制の程度はD−アロース>L−ガラクトース>D−プシコースという傾向であった。また、ショウガ根茎腐敗病菌を用いた実験でも同様の効果が見られた。
以上の結果から、農作物に壊滅的な被害を及ぼす苗立枯病菌など属のPythium病原菌に対して、D−アロースなどの希少糖が卵胞子形成を阻害し、感染予防や感染抑制に効果があることが明らかになった。
[材料と方法]
イチゴ栽培の過程で、D−プシコース散布の効果を調べた。
イチゴ(品種‘さちのか’)を実験に供した。イチゴ苗をロックウール・ピートモス混合培地に定植した後、大塚A処方水耕養液を用いて、ガラス温室中で養液栽培を行った。栽培中に週1回の頻度で、水、0.2%(w/v) D−グルコース溶液、0.2%(w/v) D−プシコース溶液を株全体に散布した。イチゴ株の供試数はそれぞれ17株、19株、18株とし、平成16年9月24日に定植し、平成16年10月22日より散布を開始した。平成17年3月7日までの生育状況、果実収量、果実品質などを調査した。
[結果と考察]
栽培期間中のイチゴの生育、果実収量、果実品質などを調査した結果、生育や総収量には大きな差は見られなかった。しかしながら、D−プシコース散布区では、花芽形成の促進とそれに伴う収穫時期の早期化および果実中の酸度やビタミンC含有量の向上が認められた。植物の花芽形成(図5)や果実中のビタミンC含有量(図6)は、各種ストレスにより増加・促進されることが知られているため、イチゴはD-プシコースの散布をストレスとして認識していると考えられた。
[材料と方法]
ナス栽培の過程で、D−プシコース散布の効果を調べた。
ナス(品種‘千両二号’)を実験に供した。ナス苗を「花と野菜の土」を入れた7号素焼き鉢に定植した、加温装置付きのビニール温室内で栽培試験を行った。肥料はIB化成肥料を1鉢につき4粒ずつ株元に与え、潅水は自動給水とし一日2回500mlずつ行った。栽培中に週1回の頻度で、水、0.2%(w/v) D−グルコース溶液、0.2%(w/v) D−プシコース溶液を株全体に散布した。ナス株の供試数はそれぞれ10株とし、栽培は夏期(平成16年5月14日から7月15日)と冬期(平成16年11月4日から平成17年2月24日)の2回行った。栽培過程での生育状況や果実収量を調査した。
[結果と考察]
ナス栽培について、夏期においてはD−プシコース溶液散布の顕著な効果は見られなかったものの、冬期においては生育の促進(地上部重量や地下部重量の増加)や果実収量の増加が見られた(図7)。ナスは夏野菜であり栽培中は比較的高温を好むが、冬期試験において加温装置は付いているものの最低夜温は5℃程度にまで低下し、ナスにとっては非常に大きなストレスとなっていたと予想される。こうした環境下において、D−プシコース溶液の散布により生育の促進や収量の増加が見られたことは、D−プシコースがナスに対して冬期の低温ストレスへの抵抗性を向上させた効果であると考えられる。
[材料と方法]
トマト栽培の過程で、D−プシコース散布の効果を調べた。
トマト(品種‘桃太郎’)を実験に供した。トマト苗を「花と野菜の土」を入れた7号素焼き鉢に定植した、加温装置付きのビニール温室内で栽培試験を行った。肥料はIB化成肥料を1鉢につき4粒ずつ株元に与え、潅水は自動給水とし一日2回500mlずつ行った。栽培中に週1回の頻度で、水、0.2%(w/v) D−グルコース溶液、0.2%(w/v) D−プシコース溶液を株全体に散布した。ナス株の供試数はそれぞれ10株とし、栽培は夏期(平成16年4月20日から8月9日)と冬期(平成16年11月4日から平成17年3月14日)の2回行った。栽培過程での生育状況や果実収量を調査した。
[結果と考察]
トマト栽培について、夏期においてはD−プシコース溶液散布の顕著な効果は見られなかったものの、冬期においては果実個数や果実収量の増加が見られた(図8)。トマトは夏野菜であり栽培中は比較的高温を好むが、冬期試験において加温装置は付いているものの最低夜温は5℃程度にまで低下し、トマトにとっては非常に大きなストレスとなっていたと予想される。こうした環境下において、D−プシコース溶液の散布により生育の促進や収量の増加が見られたことは、D−プシコースがトマトに対して冬期の低温ストレスへの抵抗性を向上させた効果であると考えられる。
[材料と方法]
トマトとトマトの代表的な病原菌である萎凋病菌(Fusarium oxysporum)の系を用いて、育苗段階における感染時のD−プシコースの影響を調べた。
すなわち、トマト(品種‘ハウス桃太郎’)の種子を、0.01%(w/v) D−プシコース溶液または0.007%(w/v) プロベナゾール溶液に15分間ゆっくり攪拌しながら浸漬処理を行い、滅菌ガーゼ上で風乾したものを処理種子として用いた。育苗培地(ピート:パーライト:バーミキュライト=2:1:1)に0.01%(w/v) D−プシコースまたは0.007%(w/v) プロベナゾールを混合した後、9cm径の黒ポリポットに入れ、ここに上記処理種子を4粒ずつ播種した。試験区ごとに5ポット(合計20粒の種子)に播種した。播種後は、23℃・5,000lux(12時間日長)のグロースチャンバーに入れ、育苗を開始した。育苗開始1か月後および2か月後に萎凋病菌(Fusarium oxysporum IFO 31213株)の菌糸懸濁液を株元に接種することにより萎凋病菌の感染を起こした。萎凋病菌接種の後は温度を30℃に上げ、栽培を継続した。播種から約4か月後に株の生存率、維管束や根の褐変状況、茎径などを調査した。
[結果と考察]
トマトの代表的な病害である萎凋病に及ぼす希少糖の影響を調べた結果、種子をD−プシコース溶液に浸漬処理するだけでもその後の萎凋病に対する抑制効果が認められ、その効果はプロベナゾールと同等以上であった(図9)。すなわち、種子の処理を行わなかった場合の維菅束褐変率が25%であるのに対し、D−プシコースやプロベナゾールで処理を行った場合には維菅束褐変率が5%にまで低下した。また、それに伴って茎径も増加した。外観観察においても、D−プシコースで種子処理を行った場合は無処理のものよりも健全な株に近く、プロベナゾール処理よりも健全性が高かった。さらに、培地への添加を併用した場合には若干の薬害と考えられる葉の黄化などが生じたものの、D−プシコース薬害の程度はプロベナゾールより小さく、茎径の減少の程度が小さかった。
以上の結果より、D−プシコースによる種子処理や培地への添加は、トマト萎凋病菌の抑制に効果があることが明らかになった。
[材料と方法]
プリムラを用いて、乾燥ストレスに及ぼすD−プシコース散布の効果を調べた。市販のポット植えのプリムラに、水、0.2%(w/v) D−グルコース溶液、0.2%(w/v) D−プシコース溶液を株全体に葉面散布した。次に、ポット下部から十分に潅水させた後、潅水を全く行わない状態で放置し、萎れの状況を観察した。
[結果と考察]
水やD−グルコースを葉面散布した試験区では、試験開始1日後には株全体の萎れが見られたが、D−プシコースを葉面散布した場合は萎れの程度が僅かであり、同程度の萎れが生じるまで2日を要した。このことから、プシコースの散布が乾燥ストレスへの抵抗性を向上させることが明らかになった。
イネ育苗時におけるD-プシコース処理の効果
D-プシコースを添加した液肥で栽培したイネ苗において、全身獲得抵抗性に関連する遺伝子であるPBZ1(既存の全身獲得抵抗性誘導剤であるプロベナゾールで誘導される遺伝子)およびPCG3(キチナーゼ遺伝子)の発現が葉で確認された。これは根から吸収させたD-プシコースの影響が葉で現れているものであり、D-プシコースがプロベナゾールと同様に全身獲得抵抗性の誘導作用があることを強く示すものである。
[目的]
希少糖処理の実用化に向けて、イネ育苗時での処理効果について検討した。
[D-プシコース処理方法]
播種後5日目のイネ幼苗(品種:日本晴、図10参照、写真中、白バー 5mm)を実験に供した。イネ幼苗をポット中でK氏B液により水耕栽培し、各濃度のD-プシコースをK氏B液に混ぜた。5日に1度同溶液を交換しながら、10日間栽培を行った。その後、土入りポットへ移植し、ガラス室・自然光で7日間栽培した。次いで、Total RNAを抽出し、ノーザン解析を行った。
[結果]
育苗時に0.005 mMから0.5 mMのD-プシコースを混ぜた液肥で10日間処理し、処理後ポットに移育苗時に0.005 mMから0.5 mMのD-プシコースを混ぜた液肥で10日間処理し、処理後ポットに移植し、1週間後に抵抗性関連遺伝子の挙動を確認した(図11)。
その結果、0.5 mMのD-プシコースを混ぜた液肥で育苗した場合には、抵抗性に関連する遺伝子であるPBZ1(プロベナゾールにより発現誘導されるPR遺伝子の一つ)、キチナーゼ遺伝子(PCG3)の誘導が強く認められた(図11)。0.0005から0.1 mMまでの処理区ではいずれの遺伝子も発現していなかったが、本条件下で恒常的に発現するPAL遺伝子には影響は認められなかった。
この処理により植物体の成長抑制が認められた〔表6(イネ育苗時におけるD-プシコース処理の効果)、図12〕。発芽後5日目から0.5 mMのD-プシコースを処理することにより、5日目で植物体長が無処理区の43%、根長が67%に抑制された(表5)。しかしながら、根本数には変化はなかった(表5)。
次に、この抑制が処理時の一過的なものであるか、それとも一度処理を受けると不可逆的に抑制がかかるのかを調べてみた。その結果、D-プシコース処理後ポットに移植して1週間で無処理区に比べて52.4%にまで回復し、2週間後には約80%にまで植物体長が回復した〔表6( D-プシコースによるイネへの生育抑制作用の残存性)、図13〕。
[考察]
希少糖の一つであるD-プシコースの様々な効果が明らかになってきた。その中で、D-プシコースは植物抵抗性関連遺伝子の発現誘導活性を示し、エリシター機能をもつことも明らかになった。そこで、イネ育苗時という閉鎖系で限られた期間にだけD-プシコースを処理することにより、抵抗性関連遺伝子の発現や処理したイネにどのような影響を与えるかを調査した。
その結果、予想通り抵抗性関連遺伝子の発現を誘起し、この誘導はD-プシコース処理を終了して、ポット移植後も継続され、少なくとも1週間(図11)から10日間は効果が維持された。また、本処理により水耕時の生育抑制が認められたが、ポット移植後約2週間で無処理区と大差なく生育し、D-プシコースの生育抑制作用は不可逆的な作用ではないことが明らかとなった。
通常、苗床で過剰に生育した根は、育苗後の田植え時に機械的に切断されている。この事を考えれば、育苗時の根の成長抑制は、後の生育に影響がない限りは有用であると考えられた。また、処理時の一過的な生育抑制と耐病性の向上が望めるので有れば、倒伏被害が予想される前に投げ込み剤的な処理により、一時期の成長を抑制させることも可能であるかもしれない。一般に矮化形質が耐病性とリンクする例は多く、本研究結果も同類のものと考えることが可能かもしれない。
イネ育苗時の肥料養液にD-プシコースを添加した場合、生育抑制の効果が認められた。ただし、この作用は一過的なものであり、D-プシコースを除くと生長は回復した。この現象は、健全な(しっかりした)イネの育苗やイネの倒伏防止に役立つものと考えられる。
種子発芽に及ぼす希少糖の影響
各種ケトースの中で、D-プシコースが最も高いエリシター活性(全身獲得抵抗性誘導活性)を持つ。これは希少糖を全身獲得抵抗性誘導剤として使用する場合、D-プシコースが最も強い作用を示すことを示唆するものである。
[実施内容]
実験植物であるシロイヌナズナLER系統の発芽に及ぼす8種類のケトースの影響を調べた。
直径3.5cmのシャーレにろ紙2枚を敷き、1シャーレ当たりArabidopsis thaliana Landsberg erecta (LER)の種子30粒を播種し、0.5mlの処理液を入れた。その後25℃一定、24時間日長条件(蛍光灯70μmol/m2/s)の人工気象室内に搬入した。播種後、24時間間隔で発芽した種子数について調査した。処理液は、D−フルクトース、D−プシコース、D−タガト−ス、D−ソルボース、L−フルクトース、L−プシコース、L−タガト−ス、L−ソルボースの各100mM,10mM、1mM水溶液と蒸留水である。各3反復を行った。
[結果]
結果を図14に示す。100mMで明確に発芽阻害を示したのは、D-プシコースのみだった。その他では、L-プシコースを含めてあまり発芽阻害が認められなかった。一般に、糖濃度が高い場合には、浸透圧の関係で吸水阻害が起こり、種子発芽を阻害することが知られている。しかし、種子の状態を観察すると、D-プシコース100mM処理でも、種子が吸水により膨らみ、割れた種子が多く認められた。従って、吸水後に発芽が阻害されているものと考えらる。
コチョウランやシンビジウムの組織培養における、D-プシコースの生長促進の効果
[材料と方法]
コチョウランおよびシンビジウムの組織培養フラスコ苗を実験に供した。
コチョウランは、D−プシコースまたはD−グルコース、D−フラクトースを0.005% (w/v) の濃度で添加したMS培地を用い、平成16年9月6日にフラスコ苗を無菌的に移植した。供試数は1試験区4株とし、上部に直径約1cm結露防止穴を開けた500ml容量のガラス瓶を培養容器として使用した。培養は、25℃、5,000lux(12時間日長)の培養室にて行い、平成17年1月24日に地上部や地下部の生育状況、根数を調査した。結果を表7(コチョウラン苗の生育に及ぼすD−プシコース添加の影響)に示す。
シンビジウムは、上記のコチョウランと同様に、D−プシコースまたはD−グルコース、D−フラクトース、D−アロースを添加したMS培地を用い、平成16年10月4日にフラスコ苗を無菌的に移植した。その際、葉4〜5枚と根2本を残し、残りはメスで切り取った。供試数は1試験区4株とし、上部に直径約1cm結露防止穴を開けた900ml容量のガラス瓶を培養容器として使用した。培養は、25℃、5,000lux(12時間日長)の培養室にて行い、平成17年2月1日に地上部や地下部の生育状況、根数、脇芽数を調査した。結果を表8(シンビジウム苗の生育に及ぼす希少糖添加の影響)に示す。
[結果と考察]
コチョウランの組織培養培地に0.005%(w/v)の濃度でD−プシコースを添加し、生長に及ぼす影響を調べた。その結果、対照区である無添加区、D−グルコース添加区、D−フラクトース添加区と比較して、地上部重量、地下部重量、根数に全てにおいて、D−プシコースを添加することにより増加する傾向が認められた。このことから、D−プシコースはコチョウラン苗に対して生長促進効果を示すことが明らかになった。
また、シンビジウムの組織培養培地に0.005%(w/v)の濃度でD−プシコースまたはD−アロースを添加し、生長などに及ぼす影響を調べた。その結果、対照区である無添加区、D−グルコース添加区、D−フラクトース添加区と比較して、D−アロースを添加することで、地上部重量、根数、脇芽数が増加する傾向が認められた。D−プシコースの添加は若干の脇芽数の増加をもたらしたが、コチョウランほどの効果は見られなかった。
以上のことから、D−プシコースやD−アロースは、コチョウランやシンビジウムといった洋ランの苗に対して生長促進効果や脇芽形成促進効果を示すことが明らかになった。対象植物の種類や目的に応じて添加する希少糖を使い分けることによって、生長促進や脇芽形成が図れることが明らかになった。
希少糖の微生物抑制作用
[材料と方法]
生活環境でも一般的に見られる代表的な糸状菌である、黒麹カビ(Aspergillus niger)、黒カビ(Cladosporium cladosporioides)、青カビ(Penicillium chrysogenum)を対象として、菌糸伸長に及ぼす希少糖の影響を調べた。
供試菌株は、NBRC 4066株、NBRC 4459株、NBRC 4626株を用いた。
各供試菌株をポテトデキストロース寒天培地上で25℃にて7日間培養し、菌糸がシャーレ全面に展開したものを寒天培地ごと直径1.1cmの円盤状に打ち抜き、これを0.05%(w/v)の各種単糖類(アリトール、D-アルトロース、L-マンノース、L-ガラクトース、D-タガトース、D-ソルボース、D-プシコース、D-アロース、D-グルコース、D-フラクトース)を添加した寒天培地(1%バクトアガー)を入れたシャーレの中央に置き、25℃にて4日間培養した。培養後、培地表面に伸長した菌糸の長さを測定した。各試験区ごとに2枚の培地を用意し、菌糸の長さはその平均値として示した。
[結果と考察]
結果を図15に示す。各糸状菌の菌糸伸長を測定した結果、糸状菌の種類によって効果は異なるものの、D-アルトロース、D-アロース、D-プシコース、L-ガラクトースが菌糸伸長を抑制する効果が認められた。この結果から、希少糖が防黴剤として利用できることが明らかになった。
希少糖は、農薬の使用量を飛躍的に減少させる可能性があり、農薬残留、環境に対する汚染等、安全性に関する問題のほとんどない画期的な農薬となることが期待できる。また、本発明は、植物病害抑制など植物栽培において有用なだけではなく、各種有害微生物の増殖抑制方法も含むものであり、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備などの分野でも利用が可能である。
D−プシコースによる全身獲得抵抗性誘導を説明する図面である。 ラフレモン切り取り葉におけるリポキシゲナーゼ遺伝子発現のノーザンブロット解析を示す図面に代わる写真である。 ラフレモン切り取り葉におけるキチナーゼ遺伝子発現のノーザンブロット解析を示す図面に代わる写真である。 苗立枯病菌の卵胞子形成に及ぼす希少糖の効果を示す写真である。 イチゴ花芽形成に及ぼすD−プシコース溶液散布の効果を示す図面である。 イチゴ果実品質に及ぼすD−プシコース溶液散布の効果を示す図面である。 冬期ナスの生育や収量に及ぼすD−プシコース溶液散布の効果を示す図面である。 冬期トマトの果実収量に及ぼすD−プシコース溶液散布の効果を示す図面である。 トマト萎縮病に及ぼすD−プシコースの効果を示す図面である。 イネ(品種:日本晴)播種後5日目の図面に代わる写真である。 D-プシコース処理の抵抗性関連遺伝子の発現誘導を示す図面に代わる写真である。 イネ育苗時におけるD-プシコース処理の効果を示す図面に代わる写真である。 D-プシコース処理後ポットに移植して14日目のイネへを示す図面に代わる写真である。 シロイヌナズナLER系統の発芽に及ぼす8種類のケトースの影響を示す図面である。 糸状菌の菌糸伸長に及ぼす影響。 植物の全身獲得抵抗性誘導のメカニズムを説明する図面である。 イズモリング(Izumoring)連携図である。 図17の下段のイズモリングC6の説明図である。

Claims (6)

  1. 希少糖を有効成分とし、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、および空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物を増殖抑制の対象微生物とする微生物増殖抑制剤であって、該希少糖がD−アルトロース、D−アロースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、炭疽病菌(Glomerella cingulata)、半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)、および灰色かび病菌(Botrytlis cinerea)からなる群から選ばれる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物増殖抑制剤。
  2. 希少糖を有効成分とし、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、および空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物を増殖抑制の対象微生物とする微生物増殖抑制剤であって、該希少糖がD−アロース、L−ガラクトースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、苗立枯病菌(Pythium ultimum)からなる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物増殖抑制剤。
  3. 希少糖を有効成分とし、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、および空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物を増殖抑制の対象微生物とする微生物増殖抑制剤であって、該希少糖がD-アルトロース、D-アロース、D-プシコースおよびL-ガラクトースからなる群から選ばれ、黒麹カビ(Aspergillus niger)、黒カビ(Cladosporium cladosporioides)、および青カビ(Penicillium chrysogenum)からなる群から選ばれる有害微生物を該対象微生物とする、微生物増殖抑制剤。
  4. 希少糖の、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物に対する微生物増殖抑制作用を用いる微生物の増殖抑制方法であって、該希少糖がD−アルトロース、D−アロースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、萎凋病菌(Fusarium oxysporum)、炭疽病菌(Glomerella cingulata)、半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)、および灰色かび病菌(Botrytlis cinerea)植物病原菌からなる群から選ばれる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物の増殖抑制方法。
  5. 希少糖の、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物に対する微生物増殖抑制作用を用いる微生物の増殖抑制方法であって、該希少糖がD−アロース、L−ガラクトースおよびD−プシコースからなる群から選ばれ、苗立枯病菌(Pythium ultimum)からなる植物病原菌を該対象微生物とする、微生物の増殖抑制方法。
  6. 希少糖の、植物病原菌、ならびに、食品の製造加工、医療現場、住環境、空調設備に好ましくない作用をおよぼす雑菌である有害微生物に対する微生物増殖抑制作用を用いる微生物の増殖抑制方法であって、該希少糖がD-アルトロース、D-アロース、D-プシコースおよびL-ガラクトースからなる群から選ばれ、黒麹カビ(Aspergillus niger)、黒カビ(Cladosporium cladosporioides)、および青カビ(Penicillium chrysogenum)からなる群から選ばれる有害微生物を該対象微生物とする、微生物の増殖抑制方法。
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