JP2004095826A - 球状半導体素子の電極形成方法 - Google Patents

球状半導体素子の電極形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微小な球状半導体素子表面の微細な曲面あるいは平面に、オーミックな接触抵抗と固有抵抗が小さい微小な電極を、内部短絡させることなく高精度で生産性良く形成することを目的とする。
【解決手段】球状半導体素子の表面に、インクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより、少なくとも1つの電極を形成する。例えば、主として光電変換用に用いる球状半導体素子には、上記方法により球状の第1導電型半導体の露出面に第1電極を、第2導電型半導体層の外周面の一部に第2電極を、それぞれ形成する。
【選択図】    図12

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状半導体素子の電極の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子用の基板としては、厚さ0.3〜1.0mmの単結晶のシリコン(Si)ウエハが用いられることが多い。単結晶のSiウエハは、高品質で大口径であるという特長がある反面、チャクラルスキー法などで単結晶バルクを製造する工程、ならびに単結晶バルクからSiウエハを製造するまでのカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの繁雑な多くの製造工程が必要である。さらにこれらの工程で生じる結晶の切削屑が多く、原料の約50%以上が無駄になるという問題がある。
【0003】
これらの問題を解決するため、アモルファスシリコン(以下、a−Siで表す)などの薄膜半導体が注目されている。a−Siはプラズマ化学気相成長法によって製膜するので、前記のカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程が不要で、かつ堆積した膜の全てを素子の活性層として用いることができる。その反面、アモルファス構造に起因して半導体内部に結晶欠陥が多数存在するため、単結晶Siと同等の性能が得られない。例えば、a−Si薄膜を用いた太陽電池では、経時的な性能劣化により光電変換効率が大きく低下する。これに対処すべく、水素化処理によって不活性化する方法などが検討されているが、結晶欠陥の弊害を無くすことは難しい。そのため、a−Si太陽電池には、数年間の使用により光電変換効率が15〜25%程度劣化する問題が依然として残されている。
【0004】
このような背景から、最近では結晶Siウエハ並みの性能が期待でき、かつSi使用量低減および工程の簡略化が実現できる半導体用基板として、球状のSi半導体が注目されている。球状半導体基板には、ウエハ状半導体基板よりも体積当たりの面積が大きいので、少ない半導体材料で広い表面積を確保できるという利点がある。球状Si半導体は、例えば、溶融させたSiの微小な液滴を不活性雰囲気中で滴下させることにより、その表面張力によって液滴が球形となり、これを冷却することによって製造できる。これにより、Siウエハを製造するために必要な前記の煩雑な諸工程が不要となるばかりか、それらの工程で発生する大量の切削屑による材料損失がなくなり、大幅なコスト低減が可能となる。
【0005】
そこで近年では、球状Si半導体を基板とし、所定の処理機能を有する電子回路や各種センサーなどを形成した直径約1.0mm前後の各種の球状半導体素子の開発が進められている。その代表的なものとして光電変換素子があり、主として太陽電池素子として注目されている。これは、球状Si半導体が前記のように低コスト化が可能であり、さらに直径を小さくするなどにより出力当りのSi使用量低減を期待できるという理由による。
【0006】
その反面、半導体素子が球状であることに起因する課題も多く、その中でも、電極の形成工程に最も大きな課題がある。Siウエハを基板とする場合には、メタルマスクにより金属膜を蒸着する方法、金属膜蒸着後にフォトエッチングする方法、および印刷した導電性ペーストの塗膜を熱処理する方法などの多様な電極形成手法を適用することができ、必要に応じて適切な手法を選択できる。ウエハ状半導体基板を用いた殆どのSi太陽電池においては、上記のうち、導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布して熱処理する手法が、量産に適した電極形成方法として用いられている。以上の各手法は平面に電極を形成する場合には有効であるが、電極形成面が曲面あるいは極めて微小な部分である球状半導体素子の電極形成技術としては適用することができない。
【0007】
球状Si半導体を基体とする半導体素子の電極形成に関する代表的な先行技術は特公平6−42561号公報および特公平7−54855号公報に開示されており、これは太陽電池素子の電極形成に関するものである。この先行技術を図23に沿って説明する。まず、図23(1)に示すように、第1導電型半導体101(以下、第1半導体で表す)からなる球状Si半導体の表面に第2導電型半導体層102(以下、第2半導体層で表す)が形成された球状半導体素子100(以下、球状素子で表す)と、これより小径の円形の開口部104を備えたAl箔製の第2導電体層103を用意する。次いで、図23(2)のように、開口部104に球状半導体素子100を500〜577℃の温度下でインパクトプレスにより挿入する。この際に第2導電体層103の開口端部と第2半導体層102との接触面105でSiとAlの合金層が形成され、その合金層が第2半導体層102側の電極を形成し、第2半導体層102と第2導電体層103とが電気的に接続される。
【0008】
次いで、図23(3)のように、球状素子100の一部を切除して第1半導体101の露出面106を形成する。次いで、図23(4)のように、その切除面より小さい開口部108を持つ電気絶縁体層107を介して、露出面106とAl箔製の第1導電体層109とを対峙させ、500〜577℃の温度下でインパクトプレスにより第1導電体層109と第1半導体の露出面106とを接触させる。この際に第1半導体の露出面と第1導電体層109の接触面110でSiとAlの合金層が形成され、その合金層が第1半導体101の電極を形成し、第1半導体101と第1導電体層109が電気的に接続される。
【0009】
第2半導体層が薄いほど高い光電変換効率の太陽電池が得られるので、第2半導体層の厚みは通常0.5μm以下が好ましいとされている。しかし、上記の方法では、第2半導体層102の厚みが、例えば1.0μm以下になると、AlとSiの合金層形成時に第2導電体層103と第2半導体層102の接触部105において第2導電体層103の開口端部のAlが第2半導体層102を突き破り、第1半導体101と第2半導体層102との短絡現象を引き起こし易い。
【0010】
そこで、変換効率を低下させることなく、短絡現象を阻止する方策として、当初の第2半導体層の厚みを1.0μm以上にしておき、前記方法で第2半導体層に電極を形成後、受光面となる第2半導体層部分の厚みを、エッチングにより、例えば約0.5μmにまで、薄くするという方法を採っている。上記先行技術では上記のような煩雑な工程を必要とするため、コスト低減ができないという問題がある。(詳細はJ.D.Levine et al:22nd IEEE PVSC Proc. P.1045, 1991を参照) 。
【0011】
球状Si半導体素子の電極形成に関する他の先行技術は、国際公開番号WO98/15983に開示されている。これは、図24に示すように第1半導体201からなる球状Si半導体の表面の一部を残して第2半導体層202が形成された太陽電池素子の電極形成に関するものである。まず、図24(1)のように第1半導体201および第2半導体層202のそれぞれの電極形成部以外の領域を耐食性の感光性樹脂膜203でマスクする。次いで、図24(2)のように、チタン、ニッケルの順に蒸着して厚さ約0.1〜1.0μmの金属薄膜204および205を形成する。その後、感光性樹脂膜203を除去することで、図24(3)のように第1半導体201および第2半導体層202にそれぞれの電極206および207を形成する。
【0012】
これにより、薄い第2半導体層であっても、内部短絡を発生させることなく、良好なオーミックコンタクトがとれる電極を形成することができる。しかし、感光性樹脂膜の形成、金属薄膜の蒸着、および感光性樹脂膜の除去などの多くの煩雑な工程を必要とすることが、コスト低減の大きな妨げとなっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、球状半導体素子の電極形成における上記の問題点を解決し、内部短絡を引き起こすことなく、オーミックな接触抵抗が小さい電極を、簡略化された工程で高精度に形成できる方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の球状半導体素子の電極形成方法は、表面に露出する電極を有する球状半導体素子の電極形成方法であって、前記球状半導体素子の表面に、インクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより、前記球状半導体素子の表面に少なくとも1つの電極を形成する工程を有することを特徴とするものである。
【0015】
上記本発明の球状半導体素子の電極形成方法は、前記球状半導体素子が、球状の第1導電型半導体およびその表面を被覆する第2導電型半導体層を備え、第2導電型半導体層が第1導電型半導体の一部を露出させる開口部を有する球状半導体素子であって、前記第1導電型半導体の露出部にインクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより第1電極を形成する工程、および、前記第2導電型半導体層の表面の一部にインクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより第2電極を形成する工程を有することが好ましい。
【0016】
上記本発明の球状半導体素子の電極形成方法において、第1導電型半導体および第2導電型半導体層は、シリコンを主成分とすることが好ましく、球状半導体素子は、球状光電変換素子であることが好ましい。さらに、第2電極は、直接または半田ないしは導電性ペーストを介して外部端子に電気的に接続される部分、および第2半導体層からの電流を集電する部分からなり、これらの部分が連って形成されていることが好ましい。さらに、導電性インクは、銀、アルミニウム、錫、ニッケル、銅、燐、および燐化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種、ならびにガラスフリットを含み、かつ熱処理の温度範囲が500〜750℃であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
半導体の製造技術において、直接回路描画法によるパターンニング技術は新プロセス開発の大きな課題の一つである。その中で、写真や印字分野で普及しているインクジェット技術は、半導体分野での直接回路描画法の有力な開発手段として期待される。本発明は、微細な描画が可能で、その描画箇所が平面であっても曲面であってもよいというインクジェット技術の特徴に注目し、これを球状素子の電極形成技術に応用したものである。本発明により、直径1mm前後という小さな球体表面の任意の部位に任意の形状で、高精度で導電性インクを塗布することが可能となり、従来の技術では不可能とされていたオーミック抵抗が小さい微細な電極を、高精度のパターンで、生産性良く形成することができる。
【0018】
インクジェット技術は、インクの液滴を小さな穴が開いたノズルから吐出する技術であり、通常は、液体(インク)の吐出方式によって2種類に分類される。その1つはピエゾ方式であり、電圧を加えると変形する圧電素子を用い、瞬間的にインク室の液圧を高めることで、ノズルから液体を押し出すものである。他の1つはサーマル方式であり、ヘッドに取り付けたヒーターによって、液体内に気泡を発生させ、ノズルから液体を押し出すものである。これらの両方式はともに、市販されている印刷装置での最小ドット量は約4ピコリットル程度であり、4ピコリットルは、直径約20μmの球体の体積に相当する。ここに、最小ドット量とは1回の吐出当たりの最小吐出量を指す。
【0019】
本発明は、導電性インクの塗布方法として上記のいずれかのインクジェット方式を採り入れることにより、球状素子の表面の任意の部分に任意の形状に、導電性インクの微細な塗布膜を所定のパターンで形成し、これに熱処理を施すことにより、塗布膜と同一パターンの電極(導電層)を形成するものである。これにより、例えば、線幅20μmという微細な線で形成される電極、あるいは直径20μm程度の複数の微小な導電層からなる電極を容易に形成することができる。さらに、前記最小ドット量の低減、および導電性インク中に添加する導電性粒子の微細化などの技術はさらに進展しつつあり、現在の先端技術を駆使すれば3〜10μm程度の線幅や直径で導電性インクを塗布することも可能である。
【0020】
本発明によれば、スクリーン印刷による従来技術に比べ、電極の形成面の選択自由度が極めて高く、微小な球状表面の任意の箇所に、高精度に電極を形成することができる。さらに本発明により、メタルマスクによる導電膜の選択的蒸着、あるいは全面に蒸着した導電膜のフォトエッチングによるパターンニングなど、従来技術のような煩雑な工程が一切不要となる。
【0021】
本発明における球状素子の電極の形態は、次のように大別される、第1の形態として、p型あるいはn型半導体に直接に接続されるコンタクト部、外部端子と接続されるパッド部、およびコンタクト部とパッド部を接続する配線部からなる電極がある。この形態の電極は、球状半導体を基体として、所定の処理機能を有するダイオードやトランジスターなどの電子回路や各種のセンサーなどが少なくとも1つ形成された球状素子の多くの場合に形成されるものである。
【0022】
球状素子の電極の第2の形態として、半導体素子に直接に接続されるコンタクト部のみからなるものがある。この場合のコンタクト部はパッド部を兼ねた役割をもつので、配線部およびパッド部は不要である。この形態の電極は、球状半導体基体の少なくとも表面層が第1導電型半導体であり、その表面が一部を残して第2導電型半導体層で被覆された球状素子の多くの場合に形成されるものである。これに該当する球状素子には、太陽電池素子に代表される光電変換素子があり、これら球状素子では両半導体の接合による光電変換機能を備えている。
【0023】
図1および図2に、コンタクト部、配線部、およびパッド部からなる第1の形態の電極を備えた球状素子として、球状Si半導体を基体としてダイオードを形成した球状素子を例示する。図1はその正面図、図2はその縦断面図である。球状Si半導体からなるp型半導体11の表面の一部にn型半導体層12が形成され、そのn型半導体層12の表面の一部と、p型半導体11の表面の一部を残して絶縁膜13が形成されている。絶縁膜13が形成されていない部分のn型半導体層12の表面には、n型半導体層12と直接に接続されるコンタクト部14が形成され、これに連なって配線部15が形成され、さらにこれに連なってパッド部16が形成されている。絶縁膜13が形成されていない部分のp型半導体11の表面には、p型半導体11と直接に接続されるコンタクト部17が形成され、これに連なって配線部18が形成され、さらにこれに連なってパッド部19が形成されている。これらパッド部16および19は、電子機器側の外部端子と半田あるいは導電性ペーストを介して接続される。
【0024】
図3および図4に、パッド部の役割を兼ねたコンタクト部のみからなる第2の形態の電極を備えた球状の太陽電池素子を例示する。図3はその縦断面図であり、図4はその底面図である。球状の第1半導体1の表面が第2半導体層2で被覆され、第2半導体層2は第1半導体1の一部を露出させる開口部3を備えている。第1半導体1の露出部4の中央部に第1電極6が円形に形成され、さらに第2半導体層2の下部外周部に第2電極5が帯状に形成されている。これら第1電極6および第2電極5は、それぞれ第1半導体1および第2半導体層2に直接に接続されるコンタクト部であり、光電変換装置側の外部端子(支持体の導電体層)と接続されるパッド部の役割を兼ねている。
【0025】
上記のように、半導体素子を電子機器や光電変換装置などの外部端子に電気的に接続する場合に、球状素子の表面に露出させて形成した電極と外部端子との直接的な接触、または、半田、導電性ペーストあるいは導線などの導電性材料を介して電極と外部端子とが接続される。この際、電極自体の固有抵抗が小さいことは勿論、電極(コンタクト部)と半導体とのオーミックな接触抵抗が小さいことが重要である。本発明によれば、塗布された導電性インクを熱処理することにより電極形成面の半導体表面層の導電性を高め、オーミックな接触抵抗が充分に低減された電極を形成することができる。
【0026】
本発明における導電性インクとしては、銀、アルミニウム、錫、ニッケル、銅、燐、および燐化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の粉末、ならびにガラスフリットを含むものが好ましい。上記粉末およびガラスフリットは平均粒径0.1〜0.2μmの微粉末であり、B−PbO−ZnO系,B−PbO−SiO系、あるいはB−PbO−SiO−ZnO系などのホウ酸塩ガラス、またはカルコゲナイドガラスなどの低融点ガラスからなることが好ましい。本発明における導電性インクは、上記の組成物を、酢酸ブチル、トルエン、およびシンナーなどの有機溶媒などに分散させて調製することができる。
【0027】
本発明によれば、インクジェット方式によって塗布された導電性インクを熱処理することより、電極形成面となる半導体表面層もしくはその表面層と導電性インクの塗布層との界面の導電性が高まり、オーミックな接触抵抗が充分に低減された電極を形成できる。球状半導体素子がSiを主成分とする場合には、上記熱処理によって、導電性インク中に含まれるAl、Ag、燐あるいは燐化合物がAlイオン、Agイオンあるいは燐イオンとなって電極形成面の半導体表面層にドーパントとして拡散したり、AlやAgが半導体表面層のSiと合金相を形成することにより、オーミックな接触抵抗が低い電極を形成できるものと考えられる。
【0028】
また、電極自体の固有抵抗を低減し高導電性の電極を形成するためには、導電材として、前記のAlおよびAg以外に、Sn、Ni、SnおよびCuなどの金属の微粉末を添加することが有効である。さらに、電極自体の強度および電極と電極形成面の半導体との結合力を確保するために、導電性インク中にバインダーとしてのガラスの微粉末(ガラスフリット)を添加することが有効である。このガラスフリットは、熱処理時に溶融して電極組成物相互間、および電極・半導体間の結合力を高める効果を発揮する。
【0029】
この場合、熱処理温度を500〜750℃とするのが好ましい。500℃未満の場合には、前記ドーパントの拡散や合金層の形成、およびガラスフリットの溶融が不十分となる場合が多い。750℃を超える場合には、前記ドーパントの拡散層や合金層が厚くなり過ぎ、特に、第2電極を形成する場合には、第1半導体側の第2半導体層にまで導電性が付与され、両半導体の短絡現象が発生し易い。
【0030】
本発明を適用して大きな効果が得られる代表的な球状素子は、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有する球状素子である。その代表的なものは、太陽電池素子などの光電変換素子である。この場合の電極形成方法は、第1半導体の露出部にインクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより第1電極を形成し、さらに、第2半導体層の表面の一部にインクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより第2電極を形成するものである。
【0031】
上記の方法により、直径1.0mm前後という小さな太陽電池用球状素子(以下、太陽電池素子で表す)の表面に形成された第2半導体層の曲面の任意の微細な箇所に第2電極を、直径500μm前後あるいはそれ以下という第1半導体の微小な露出部に第1電極を、それぞれ高精度で、生産性良く形成することができる。これらの電極は、オーミックな接触抵抗および固有抵抗が小さく、さらに、第2半導体層が0.5μmと極めて薄い場合でも、第2半導体層と第1半導体との短絡現象を発生させることなく電極形成を行うことができる。
【0032】
以下、本発明による球状素子の電極形成方法の実施形態を具体的に例示して、本発明をより詳細に説明する。代表的な球状素子として太陽電池素子をとりあげ、太陽電池素子を準備する段階、その表面に電極を形成する工程、およびその太陽電池素子を用いたマイクロ集光型球状太陽電池の構成例を順次説明する。
【0033】
1)電極形成を行う太陽電池素子を準備する工程。
まず、太陽電池素子の基体となる球状半導体として、球状Si半導体(第1半導体)を作製する。通常、球状Si半導体は、直径約1.0mmで比抵抗が1.0Ω・cmのp型半導体である。この球状Si半導体は、例えば、極微量のホウ素を含むp型多結晶Si粒子を真空中で溶融するまで加熱しつつ落下させる方法により、結晶性が良好な球状の多結晶または単結晶半導体として製造することができる。この球状Si半導体は、溶融させたp型多結晶半導体を細いノズル孔から滴下させながら細粒化し、冷却して球状化する方法によっても製造できる。
【0034】
次いで、p型半導体である球状Si半導体の表面にn型半導体層(第2半導体層)を形成する。例えば、拡散源としてオキシ塩化リン(POCl)を用い、800〜900℃の温度下で10〜30分間の熱処理を行うことにより、p型半導体の表面に燐を拡散させてn型半導体層を形成する。通常のn型半導体層の燐の表面濃度は2×1020原子/cmであり、その厚さは通常約0.5μmであるが、0.3〜1.0μmの範囲であればよい。他のn型半導体層の形成方法として、燐などのn型不純物を球状Si半導体の表面にイオン注入する方法、およびフォスフィンを含むシランなどの混合ガスを用いたCVD法によりn型半導体層を形成することもできる。
【0035】
上記の実施形態では第1半導体としてp型の球状Si半導体を用い、その表面にn型半導体層を形成した太陽電池素子を例示したが、逆に、n型の球状Si半導体を用い、その表面に例えばボロンなどを熱拡散させ、p型半導層体を形成した太陽電池素子であってもよい。この場合、p型半導体層はイオン注入法により形成してもよく、CVD法などにより形成してもよい。
【0036】
本発明における第1半導体は、真球であることが好ましいが、ほぼ球状であればよい。また、第1半導体は、全体が第1半導体からなるもの以外に、芯体の外周面に第1半導体層が被覆されたもの、あるいはほぼ球状の第1半導体の中心付近が空洞のものであってもよい。太陽電池素子の直径は、0.5〜2mmであっても良く、好ましくは0.8〜1.2mmである。これによって高純度Siなどの高価な材料の使用量を充分に少なく、発生電力が大きく、しかも取り扱いが容易な太陽電池素子が得られる。
【0037】
上記のように、第1半導体の表面に第2半導体層を形成後、この第2半導体層に開口部を形成し、その開口部から第1半導体の一部を露出させる。その方法として、例えば太陽電池素子の一部をグラインディングなどにより研削して除去する方法を採ることができる。図5および図6はこの方法で加工した太陽電池素子を図示したもので、図5にその縦断面図、図6にその底面図をそれぞれ示す。球状の第1半導体1の表面が第2半導体層2で被覆された太陽電池素子の一部が切除され、円形の平滑な切除面の外周部に第2半導体層2の開口部3が露出し、その内側に第1半導体1の円形の露出部4が形成されている。
【0038】
太陽電池素子の中心点から開口部の外周部を結んだ角度(中心角:θ)は、180°未満の範囲で形成される。中心角θは例えば45〜120°であってもよく、好ましくは45〜90°の範囲であってもよい。これにより、切削されて廃棄される材料の量を充分に低減した上で、第1電極を形成するために必要な適切な第1半導体の露出部の面積を得ることができる。
【0039】
第1半導体の一部を露出させる他の方法は、第2半導体層の一部を残してパラフィンなどで太陽電池素子表面をマスキングし、例えば、フッ酸、硝酸および酢酸の混合液を用いて常温で20秒間エッチング処理することにより、マスキングされていない部分の第2半導体層を除去する方法である。図7はこの方法で加工した太陽電池素子の縦断面図である。第1半導体1の表面を被覆する第2半導体層2の一部が除去され、第2半導体層の開口部9の内側に第1半導体1の露出部8が形成されている。第2半導体層2の厚さは非常に薄いため、加工後の太陽電池素子の外形は、加工前と殆ど変わらない。また、第1半導体の露出部8の表面は当初の第1半導体1とほぼ同じ曲面を有する形状である。
【0040】
上記の実施の形態では結晶Si半導体からなる太陽電池素子を例示したが、化合物半導体その他の材料からなってもよく、単結晶、多結晶以外に、アモルファス材料からなってもよい。また、第1半導体と第2半導体層の界面にノンドープ層を形成したpin形、ショットキーバリヤ形、MIS(metal−insulator−semiconductor)形、ホモ接合形、ヘテロ接合形およびその他の構成を有していてもよい。
以上により、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有する太陽電池素子を用意することができる。
【0041】
2)太陽電池素子の第1半導体の露出部に第1電極を形成する工程
1)で用意された太陽電池素子の第1半導体の露出面に、インクジェット方式により導電性インクを塗布し、熱処理することにより第1電極を形成する。導電性インクとしては、例えば、平均粒径0.1〜0.2μmのAg微粉末とAl微粉末の混合物、およびB−PbO−ZnO系ガラスからなる平均粒径0.1〜0.2μmのガラスフリットを1:1の重量比で混合し、これを分散媒としての酢酸ブチルに添加しながら攪拌し、粘度約50センチポアズに調整した分散液を用いる。第1半導体がn型半導体である場合には、上記のAg微粉末とAl微粉末の混合物に代わり、Ag微粉末と燐もしくは燐化合物の微粉末との混合物を添加した導電性インクを用いるのが好ましい。
【0042】
塗布された導電性インクを熱処理することにより、被塗布面の第1半導体表面層、もしくはこの表面層と塗布層との界面の導電性が高まるとともに、ガラスフリットが溶融してバインダーとしての機能を発揮する。これにより、オーミックな接触抵抗および固有抵抗が小さく、かつ機械的強度に優れた第1電極が形成される。第1電極は、1つあるいは複数の導電層から構成され、個々の導電層は、個々の導電性インク塗布層の熱処理により得られる。
【0043】
以下に、本発明による第1電極の形成方法を具体的に例示する。図8に導電性インクを第1半導体の露出面にインクジェット方式により塗布する工程を図示すし、図9にこの工程で導電性インクを塗布した太陽電池素子の底面図を示す。第1半導体1の平滑な露出部4を形成した図5に示す太陽電池素子を用い、その露出部4が上向きになるように、太陽電池素子を固定用台34に真空チャックにより吸引して固定する。第1半導体1の露出部4に対して垂直方向の上方にインクジェット・ヘッド35を配置する。このインクジェット・ヘッド35はX−Y軸方向に2次元的に移動可能なように構成されており、具体的な移動パターンは予めコンピューターにインプットされている。
【0044】
インクジェット・ヘッド35からは導電性インク36が微小な液滴37となって矢印方向に吐出され、この液滴37は第1半導体の露出部4にほぼ垂直に着弾する。インクジェット・ヘッド35から、例えば約10ピコリットルの導電性インクの液滴37を吐出させた場合、直径約50μmで厚み約5μmの塗布層38が形成される。前記露出部4内の直径300μmの円周上の複数箇所(8箇所)にほぼ等間隔に円形の塗布層38が形成されるように、インクジェット・ヘッド35を移動させながら、連続して導電性インクの液滴37を吐出して前記露出部4上に着弾させる。次いで、これら塗布層38を500〜750℃の温度下で5〜30分間の熱処理を行うことにより、8個の微小な導電層からなる第1電極が形成される。上記の導電性インクの塗布工程には、ピエゾ方式、サーマル方式のいずれのインクジェット・ヘッドをも用いることができる。
【0045】
第1半導体の露出部が曲面を有する図7に示した太陽電池素子に第1電極を形成する場合も、図8に準じた方法により第1電極を形成することができる。しかしこの場合は、導電性インクの液滴の着弾面が液滴の吐出方向に対して垂直でないため、着弾した液滴が必ずしも円形にはならず、液滴が垂れて楕円形ないしは長円形などの不規則な形状になる傾向がある。第1電極の寸法形状の精度を高めるには、着弾した液滴が垂れることを抑制し、均一化された形状の塗布層を形成することが有効である。そのためには、例えば下記の方法を採ることができる。
【0046】
図10のように、第1半導体1の中心とその露出部8の中心を通る線とαの角度をなす軸線上の位置、つまりインクジェット・ヘッド35から吐出される導電性インク36の液滴37が第1半導体1の露出部8に垂直に着弾するような位置に、インクジェット・ヘッド35を配置する。これにより、着弾面が曲面であっても、導電性インクの液滴37が垂れることなく、均一化された形状の塗布層を形成できる。例えば、第1半導体1の露出面8の中心を中心とする半径約150μmの円周上に導電性インクの液滴37を垂直に着弾させるためには、α=17℃の軸線上にインクジェット・ヘッド35を配置することにより、ほぼ真円の塗布層を形成することができる。
【0047】
以上の各実施形態では、1個のインクジェット・ヘッドを使用する場合について示したが、図11に示すように、導電性インク36の液滴37の着弾面に対し垂直な線上に、必要に応じて複数個のインクジェット・ヘッド35を配置して導電性インクの液滴37を前記の円周上の複数箇所に一斉に着弾させることもできる。これにより、電極の形成時間は大幅に短縮され、さらに高精度の電極を形成できる。
【0048】
上記の各実施形態では、8個の導電層を同一円周上に配列して第1電極を形成する方法を例示したが、導電層の数、形状、大きさ、および配列などはこれに拘らず必要に応じ任意に変更すればよい。また、複数の導電性インクの液滴を連ねて円形、楕円形、多角形、線形、あるいはリング状など任意な形状の塗布層を形成し、これを熱処理することにより、任意な形状の導電層を形成することができる。第1電極は、同一円周上に配列するなど所定のパターンで配列された複数の導電層、または単独の導電層から形成することができる。
【0049】
3)太陽電池素子の第2半導体層表面に第2電極を形成する工程
1)で用意された太陽電池素子、あるいはその第1半導体の露出部に第1電極を形成した太陽電池素子の第2半導体層の開口部に近い外周部に、導電性インクをインクジェット方式により塗布し、これを熱処理することにより、第2電極を形成する。導電性インクとしては、ガラスフリットおよび銀などの微粉末を有機溶剤などに分散させたインクを用いることが好ましい。太陽電池素子がSiを主体とする場合には、塗布された導電性インクを熱処理することにより、導電性インクの塗布層と塗布面の第1半導体の界面にAgとSiの合金層が形成され、同時に溶融したガラスフリットがバインダーとなって、オーミックな接触抵抗が小さく、機械的強度に優れた第2電極が形成される。
【0050】
第2電極を構成する導電層の形状は特に限定せず、円形あるいは楕円形、またはこれらを連ねて形成される帯状、多角形あるいは線形などの様々な形態を採ることができる。第2電極は、これら導電層の複数を第2半導体層の外周部に点在させて形成することができ、これら導電層は第2半導体層の外周部の同一円周上に点在させることが好ましい。さらに、第2電極は、第2半導体層の外周部に、例えば帯状あるいは線状に形成された単独の導電層で形成してもよい。
【0051】
以下、本発明による第2電極の形成方法を具体的に例示して説明する。導電性インクは、平均粒径0.1〜0.2μmのAg微粉末および平均粒径0.1〜0.2μmの燐酸銀微粉末を重量比1:1で混合し、この混合物100重量部にB−PbO−ZnOガラスからなる平均粒径0.1〜0.2μmのガラスフリット100重量部を加え、これを酢酸ブチルに分散させ、粘度約50センチポアズに調整したものを用いる。第2半導体層がp型半導体である場合には、上記のAg微粉末と燐酸銀微粉末の混合物に代わり、Ag微粉末とAl微粉末との混合物を添加した導電性インクを用いるのが好ましい。
【0052】
図12に第2電極形成時のインクジェット方式による導電性インクの塗布工程を示す。第1電極形成時と同様に、第1半導体1の露出部4が上向きになるように、真空チャックにより球状素子を固定用台34に固定する。第2半導体層2の電極形成面48に対して垂直な軸線上にインクジェット・ヘッド45を配置する。インクジェット・ヘッド45はX−Y軸方向に2次元的に自由に移動可能なように構成されており、具体的な移動パターンは予めコンピューターにインプットされている。
【0053】
例えば、第1半導体1の中心と露出面4の中心を通る線とインクジェット・ヘッドの中心を通る軸線とのなす角度βを約45℃にすれば、第2半導体2の開口部3から約120μm離れた位置の第2半導体層2の円周上の電極形成面48に、インクジェット・ヘッド45から吐出された導電性インク46の液滴47の中心部をほぼ垂直に着弾させることができる。インクジェット・ヘッド45から約7ピコリットルの導電性インクの液滴47を吐出させることにより、直径約40μmで厚み約4μmの導電性インクの塗布層が形成される。
【0054】
インクジェット・ヘッドを図12の矢印方向に移動させ、第2半導体層表面の同一円周上の複数箇所(8箇所)に連続して上記の塗布層を形成し、これら塗布層を形成した太陽電池素子に500〜750℃の温度下で5〜30分間の熱処理を施すことにより、複数の導電層が第2半導体層表面の同一円周上に配列された第2電極が形成される。
【0055】
上記の実施の形態では、1個のインクジェット・ヘッド45を移動させて導電性インクを塗布する方法を示したが、図11に示した第1電極の形成法に準じた方法で、導電性インク液滴の複数の着弾予定面に対し、それぞれ垂直な軸線上に複数個のインクジェット・ヘッドを配置してもよい。これにより、複数個のインクジェット・ヘッドから、導電性インクの液滴を複数の被着弾面に同時に垂直に吐出できる。その結果、複数の導電性インクの塗布層を同時に形成することができ、第2電極の形成時間は大幅に短縮される。その上に、所定位置に導電性インクの液滴を着弾させ易いので、所望の形状の電極を第2半導体層の所望の部位に一層高精度で形成することができる。
【0056】
図13および図14に上記の方法で第1電極および第2電極を形成した太陽電池素子の代表例を示す。図13はその縦断面図、図14はその底面図である。図5に示す太陽電池素子の第1半導体1の露出面4に第1電極が、第2半導体層2の表面に第2電極が形成されている。第1電極は、ほぼ円形で同一円周上に並ぶ直径約50μmの8個の導電層39から形成されている。第2電極は、ほぼ円形で、第1半導体1の露出面4から約100μm離れた位置の同一円周上に並ぶ直径約40μmの8個の導電層49から形成されている。
【0057】
上記2)および3)では、第1電極および第2電極を形成する工程の実施形態として、導電性インクの液滴1個から1個のほぼ円形の導電層を形成する方法を例示した。比較的大きな円形あるいは楕円形の導電層、または線状、長方形あるいは多角形など様々な形状の導電層を形成する場合には、複数の液滴を連ねた塗布層を形成してこれを熱処理すればよい。
【0058】
図15および図16に、単独の導電層で第1電極あるいは第2電極を形成した太陽電池素子を例示する。これは、図5に示した太陽電池素子の第1半導体1の露出部4および第2半導体層2の外周部のそれぞれに、導電性インクの複数の液滴を連ねて着弾させてリング状に塗布層を形成し、これらを熱処理して形成したリング状の第1電極51および帯状の第2電極52を形成したものである。図15はその縦断面図であり、図16はその底面図である。その他、導電性インクの塗布形態を変化させることにより、様々な形状の電極を必要とする任意の部位に形成することができる。
【0059】
前記実施形態で示した各電極は、いずれも直接的に半導体に接続されるコンタクト部分であると同時に、直接あるいは半田や導電性ペーストなどの導電性材料を介して外部端子と電気的に接続されるパッド部の役割を兼ね備えている。
光電変換効率を高めるために、多くの場合、第2半導体層には極めて薄い層が用いられているのでその膜抵抗は非常に大きい。そのため、上記電極のうち、第2電極の場合には、第2電極から離れた部分の第2半導体層からの集電効率が必ずしも充分とはいえない。この集電効率を高めるためには、第2電極(あるいはこれを構成する導電層)は、上記のパッド部の役割を兼ね備えた電極部分に連ねて、第2半導体層表面の広い領域から低抵抗で集電するための集電部(グリッド部)を備えていることが有効である。
【0060】
上記のグリッド部を備えた第2電極を形成した太陽電池素子を図17、図18および図19に例示する。この太陽電池素子は、図9のように導電性インクを塗布し、これを熱処理して第1電極の導電層53を形成した後、第2電極を形成したものである。図17にその縦断面図、図18にその平面図、図19にその底面図をそれぞれ示す。上記のパッド部を兼ねる部分は第1半導体1の露出部4に近い部分の第2半導体層2の外周部の同一円周上に形成された8個の導電層60から形成されている。それぞれの導電層60には線状のグリッド部61が連なって第2半導体層2の上方に向けて形成されている。このように第2半導体層の表面の広い領域にわたって線状のグリッド部を形成することで、第2半導体層からの電流を効率的に集電することができる。
【0061】
また、上記の各実施形態では、固定された球状素子に対してインクジェット・ヘッドを所定のパターンで移動させながら導電性インクの液滴を吐出する方法を例示したが、インクジェット・ヘッドを移動させずに、球状素子自身を移動させる方法を採ることもできる。場合によっては、インクジェット・ヘッドおよび球状素子の双方を移動させて、導電性インクの塗布層を形成することも可能である。
【0062】
さらに、上記の実施形態では、まず第1半導体側に第1電極用の導電性インクの塗布層を形成し、これを熱処理し、その後、第1半導体側に第2電極用の導電性インクの塗布層を形成し、熱処理を行う方法を示したが、第1電極と第2電極の形成順序を逆にしてもよい。また、第1電極用および第2電極用の塗布層の形成を連続して行い、同一温度下で双方の塗布層に熱処理を施すことにより、同時に第1電極および第2電極を形成することもできる。場合によっては、第1電極用の塗布層と、第2電極用の塗布層を同時に形成し、これらを同時に熱処理してもよい。
【0063】
4)太陽電池素子を用いた太陽電池の構成。
次に、上記のように第1電極および第2電極を形成した太陽電池素子を用いた代表的な太陽電池として、マイクロ集光型球状太陽電池の構成例を示す。この太陽電池は、支持体に多数の凹部を設け、各凹部に単体の太陽電池素子を収容する方式を採るもので、例えば特開2002−164554号公報などで開示されている。凹部内面の反射鏡により4〜6倍に集光した光を太陽電池素子に照射することにより、太陽電池素子一個当りの出力を高める構造になっている。
【0064】
図20および図21にこの太陽電池に用いる支持体の代表例を示す。支持体は第2導電体層25と電気絶縁体層28からなり、複数の凹部26が形成されたもので、図20はその部分的な平面図であり、図21はその縦断面図である。凹部26は蜂の巣状に形成され、その開口端は多角形である。各開口端は相互に隣接して連続し、凹部26は底になるにつれて先細状に形成されている。凹部26の上面は、一辺約2.0mmの6角形でハニカム状に連結しており、その1個の凹部26の断面はお椀状である。
【0065】
電気絶縁体層28には円形の接続孔29が形成され、その周縁部27には電気絶縁体層が露出している。電気絶縁体層28の接続孔29の周縁部を除いた領域の凹部26内には第2導電体層25が形成されている。第2導電体層25の内面は、第2半導体層と電気的に導通する外部電極として機能する。さらに、第2導電体層25の内面は反射性を付与させるために鏡面化されている。
【0066】
図22に、図21に示した支持体に第1電極および第2電極形成済みの図3に示した太陽電池素子を配置し、第1電極と第1導電体層、および第2電極と第2導電体層をそれぞれ半田付けにより電気的に接続した太陽電池モジュールを示す。太陽電池モジュールの構成方法としては、まず、第1電極6および第2電極5にそれぞれ半田72および73を付着させた太陽電池素子を用意する。一方、熱可塑性樹脂製の電気絶縁体層28を備えた支持体を、Al箔製の第1導電体層75上に載せる。この際、第1導電体層75に形成された突起部76が、支持体の凹部26の接続孔29に填まり込むように位置あわせする。
【0067】
次いで、太陽電池素子の底部の第1電極6およびその上に付着させた半田72が、支持体の接続孔に填まり込む位置に太陽電池素子を配置する。次いでその状態のまま、熱板で太陽電池素子を上から押圧して凹部内に押し込み、静止させる。これにより太陽電池素子が200〜300℃に加熱され、第1電極6および第2電極5に付着させた半田72および73が溶融して、第1電極6が第1導電体層75の突起部76と半田付けされ、第2電極5が支持体凹部26の底部の第2導電体層25と半田付けされる。同時に、電気絶縁体層28の接続孔29の周縁部には、太陽電池素子の底部の周縁部が熱溶着される。
【0068】
上記の方法において、第1電極および第2電極に予め半田を付着させる代わりに、予め熱可塑性樹脂をバインダーとする導電性ペーストをそれぞれの電極に塗布し、塗布した導電性ペーストが硬化しないうちに、太陽電池素子を支持体凹部の所定位置に配置し、これを加熱して硬化させることにより、第1電極と第1導電体層、および第2電極と第2導電体層を電気的・機械的に接続し、これと同時に球状素子を電気絶縁体層に熱溶着することができる。
以上のようにして、本発明により電極形成を行った太陽電池素子を用いたマイクロ集光型球状太陽電池のモジュールを作製することができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、微小な球状半導体素子表面の微細な曲面あるいは平面に、オーミックな接触抵抗と固有抵抗が小さく、機械的強度が強い微小な電極を、高精度で生産性良く形成することができる。さらに、太陽電池用の球状半導体素子の極めて薄い第2半導体層上に、第1半導体と第2半導体層を短絡させることなく第2電極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電極の1つの形態を説明する球状半導体素子の正面図である。
【図2】図1の球状半導体素子の縦断面図である。
【図3】本発明における電極の他の形態を説明する球状半導体素子の正面図である。
【図4】図3の球状半導体素子の底面図である。
【図5】本発明により電極形成を行うために用意する球状半導体素子の一例を示す縦断面図である。
【図6】図5の球状半導体素子の底面図である。
【図7】本発明により電極形成を行うために用意する球状半導体素子の他の例を示す縦断面図である。
【図8】本発明により第1電極を形成するために導電性インクを球状半導体素子に塗布する工程の一例を示す要部の縦断面図である。
【図9】図8の工程により導電性インクが塗布された球状半導体素子の底面図である。
【図10】本発明により第1電極を形成するために導電性インクを球状半導体素子に塗布する工程の他の例を示す要部の縦断面図である。
【図11】本発明により第1電極を形成するために導電性インクを球状半導体素子に塗布する工程のさらに他の例を示す要部の縦断面図である。
【図12】本発明により第2電極を形成するために導電性インクを球状半導体素子に塗布する工程の一例を示す要部の縦断面図である。
【図13】本発明により第1電極および第2電極が形成された球状半導体素子を例示する縦断面図である。
【図14】図13に示す球状半導体素子の底面図である。
【図15】本発明により第1電極および第2電極が形成された他の球状半導体素子を例示する縦断面図である。
【図16】図15に示す球状半導体素子の底面図である。
【図17】本発明により第1電極および第2電極が形成されたさらに他の球状半導体素子を例示する縦断面図である。
【図18】図17に示す球状半導体素子の平面図である。
【図19】図17に示す球状半導体素子の底面図である。
【図20】球状半導体素子を用いる太陽電池モジュールの支持体の平面図である。
【図21】図20の支持体のA−B線縦断面図である。
【図22】本発明により電極を形成した球状半導体素子を用いて構成した太陽電池モジュールの縦断面図である。
【図23】従来の球状半導体素子の電極形成工程を示す縦断面図である。
【図24】従来の球状半導体素子の他の電極形成工程を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1、101、201 第1導電型半導体
2、102、202 第2導電型半導体層
3、9 第2導電型半導体層の開口部
4、8 第1導電型半導体の露出部
5 第2電極
6 第1電極
11 p型半導体
12 n型半導体層
13 絶縁膜
14、17 コンタクト部
15、18 配線部
16、19 パッド部
25、103 第2導電体層
26 支持体の凹部
27 接続孔の周縁部
28、107 電気絶縁体層
29 接続孔
34 固定用台
35、45 インクジェット・ヘッド
36、46 導電性インク
37、47 液滴
38 導電性インクの塗布層
39、53 (第1電極を形成する)導電層
48 第2電極形成面
49、60 (第2電極を形成する)導電層
51 第1電極
52 第2電極
61 グリッド部
72、73 半田
75、109 第1導電体層
76 第1導電体層の突起部
100 球状半導体素子
104 第2導電体層の開口部
105 第2導電体層の開口端部と第2導電型半導体層との接触面
108 電気絶縁体層の開口部
110 第1導電体層と第1導電型半導体露出面との接触面
203 感光性樹脂膜
204、205 金属薄膜
206、207 電極

Claims (6)

  1. 表面に露出する電極を有する球状半導体素子の電極形成方法であって、前記球状半導体素子の表面に、インクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより、前記球状半導体素子の表面に少なくとも1つの電極を形成する工程を有することを特徴とする球状半導体素子の電極形成方法。
  2. 前記球状半導体素子が、球状の第1導電型半導体およびその表面を被覆する第2導電型半導体層を備え、第2導電型半導体層が第1導電型半導体の一部を露出させる開口部を有する球状半導体素子であって、前記第1導電型半導体の露出部にインクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより第1電極を形成する工程、および、前記第2導電型半導体層の表面の一部にインクジェット方式により導電性インクを塗布し、これを熱処理することにより第2電極を形成する工程を有する請求項1に記載の球状半導体素子の電極形成方法。
  3. 前記第1導電型半導体および第2導電型半導体層が、シリコンを主成分とする請求項1または2に記載の球状半導体素子の電極形成方法。
  4. 前記球状半導体素子が、球状光電変換素子である請求項1〜3のいずれかに記載の球状半導体素子の電極形成方法。
  5. 前記第2電極が、直接または半田ないしは導電性ペーストを介して外部端子に電気的に接続される部分、および第2半導体層からの電流を集電する部分からなり、これらの部分が連なって形成されている請求項2〜4のいずれかに記載の球状半導体素子の電極形成方法。
  6. 前記導電性インクが、銀、アルミニウム、錫、ニッケル、銅、燐および燐化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種、ならびにガラスフリットを含み、かつ前記熱処理の温度範囲が500〜750℃である請求項3〜5に記載の球状半導体素子の製造方法。
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