JP4886469B2 - 直流モータのアーマチュア、直流モータ及び直流モータのアーマチュア巻線方法 - Google Patents
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Description
そこで、互いに隣接するセグメント間にコンデンサを電気的に接続することで、アーマチュアの回転に伴いコイルが放出する電磁エネルギーをコンデンサが一時的に蓄電し、コイルの電磁エネルギーがブラシとセグメントとの間に急激に加わることを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、従来の3相直流の電動モータにおけるアーマチュア50のセグメント51とティース52、モータハウジング2側に固着される永久磁石53を展開した図面であり、隣接するティース52間の空隙がスロット54に相当している。
同図に示すように、この電動モータ55は、永久磁石53が2個、スロット54が3個、セグメント51が6個設けられた、いわゆる2極3スロット6セグメントのモータである。尚、各ティース52には、それぞれU,V,W相がこの順で割り当てられている。
このように構成することにより、一極対あたりのセグメント数を増加させることができ、セグメント間の電圧を低減させることができる。
このように構成することで、セグメント数がスロット数に対して2倍であっても、相毎に巻装されている巻線を互いに隣接する2つのセグメント間に接続すればよく、相毎の整流の中心を隣接するセグメント間の中心とすることができる。つまり、セグメントとセグメントとの間のスリットを整流の中心とすることができる。
また、極数と同じ数のブラシを設ける必要がなくなり、ブラシの設置数を低減することができる。また、巻線の巻き始め端と巻き終わり端とを互いに隣接するセグメント間に接続する必要がなく、この隣接するセグメント間の電位差と等しい電位差を有するセグメント間であれば、任意のセグメント間に接続することができる。
さらに、巻線の巻き始め端と巻き終わり端とを互いに隣接するセグメント間に接続する必要がなく、この隣接するセグメント間の電位差と等しい電位差を有するセグメント間であれば、任意のセグメント間に接続することができる。このため、巻線の巻き始め端と巻き終わり端をそれぞれの近傍に存在するセグメントに電気的に接続することができ、コンミテータとアーマチュアコアとの間の巻太りを防止することができる。よって、より直流モータの小型化を図ることができる。
図1、図2に示すように、電動モータ1は、車両に搭載する電装品(例えば、ラジエータファン)の駆動源となるものであって、有底円筒形状のモータハウジング2内にアーマチュア3を回転自在に配置した構成となっている。モータハウジング2の内周面には周方向に永久磁石4が4個固定されている。つまり、磁極を4個有している。
セグメント14は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。各セグメント14のアーマチュアコア6側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ15が一体形成されている。ライザ15には、アーマチュアコイル7の巻き始め端部と巻き終わり端部となる巻線12が掛け回わされ、巻線12はヒュージングによりライザ15に固定されている。これにより、セグメント14とこれに対応するアーマチュアコイル7とが電気的に接続される。
図3は、アーマチュア3のセグメント14(ライザ15)とティース9、モータハウジング2側に固着される永久磁石4、そして、接続線25を展開した図面であり、隣接するティース9間のとの間の空隙がスロット11に相当している。尚、以下の図面においては、各セグメント14、各ティース9及び巻装された巻線12にそれぞれ符号を附して説明する。
また、各ティース9には、それぞれU,V,W相がこの順で割り当てられている。つまり、1番、4番ティース9がU相、2番、5番ティース9がV相、3番、6番ティース9がW相になっている。
続いて、1−2番ティース9の間のスロット11bから巻線12を引き出し、3−4番ティース9の間のスロット11cに引き込む。そして、4番ティース9にn/2回順方向に巻装した順巻きコイル33bを形成する。これら1番ティース9と4番ティース9は、互いに回転軸5を中心に点対称位置に存在している。
続いて、1−6番ティース9の間のスロット11aから巻線12を引き出し、4−5番ティース9の間のスロット11dに引き込む。そして、4番ティース9にn/2回逆方向に巻装して逆巻きコイル34bを形成する。
また、図3に示すように、一方のブラシ21が1,2番セグメント14a,14e間に当接しているとき、他方のブラシ21は4,5番セグメント14c,14d間に当接している。すなわち、順方向に巻装された第一コイル33の巻き始め端30が接続されている1番セグメント14aと逆方向に巻装された第二コイル34の巻き始め端30が接続されている4番セグメント14cとの相対位置は、一対のブラシ21,21同士の相対位置に対応するように周回り方向に90°の間隔を開けて存在するように設定されている。
一方、2番ティース9と5番ティース9とにそれぞれn/2回逆巻き方向に巻装した逆巻きコイル34a,34bを形成して第二コイル34を形成する。この第二コイル34の巻き始め端30及び巻き終わり端40は、6,7番セグメント14h,14iに接続されている。すなわち、第二コイル34の巻き始め端30が接続されている6番セグメント14hは、第一コイル33の巻き始め端30が接続されている3番セグメント14fから周回り方向に90°の間隔を開けて存在している。
そして、これを各相に対応するセグメント14間で順次行うことにより、アーマチュアコア6には3相(U,V,W相)巻き構造のアーマチュアコイル7が形成される。
このような巻線構造とすることで、各相の第一コイル33の巻き始め端30が接続されているセグメント14と第二コイル34の巻き始め端30が接続されているセグメント14との相対位置が一対のブラシ21同士の相対位置と等しくすることができる。
さらに、スロット11の数に対してセグメント14の数が2倍になっているため、巻線12に電流を供給する場合、ブラシ21によるセグメント14間の印加電圧を低減することができる。このため、ブラシ21とセグメント14との間での放電を防止することが可能になる。
また、巻線12の巻き始め端30と巻き終わり端40とを互いに隣接するセグメント14間に接続する必要がなく、この隣接するセグメント14間の電位差と等しい電位差を有するセグメント14間であれば、任意のセグメント14間に接続することができる。このため、巻線12の巻き始め端30と巻き終わり端40をそれぞれの近傍に存在するセグメント14に電気的に接続することができ、コンミテータ13とアーマチュアコア6との間の巻太りを防止することができる。よって、より電動モータ1の小型化を図ることが可能になる。
続いて、巻線12は1−2番ティース9の間のスロット11bから引き出され、1番セグメント14aに隣接する2番セグメント14eのライザ15に掛け回される。そして、2番セグメント14eに巻き終わり端40が接続される。これにより、1,2番セグメント14a,14e間には1番ティース9に順方向に巻装された第一コイル33(U相)が形成される。
続いて、巻線12は1−6番ティース9の間のスロット11aから引き出され、4番セグメント14cに隣接する5番セグメント14hのライザ15に掛け回される。そして、5番セグメント14hに巻き終わり端40が接続される。これにより、4,5番セグメント14c,14h間には1番ティース9に逆方向に巻装された第二コイル33(−U相)が形成される。
そして、これを各相に対応するセグメント14間で順次行うことにより、アーマチュアコア6には3相(U,V,W相)巻き構造のアーマチュアコイル7が形成される。
この場合、図4に示すように、同じ相に相当するセグメント14間に当接するように二対のブラシ21を等間隔に設け、同じ相同士のアーマチュアコイル7に同時に電流が供給できるようにする。
したがって、並列回路数を増やすことができ巻線12の線径を細くすることが可能になる。
図5は、アーマチュア3の展開図であって、前述した第一実施形態の図3と基本的構成は同様である。したがって、図5において、図3と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態について、図6〜図10も同様)。また、以下の実施形態において、電動モータ1は、永久磁石4を有するモータハウジング2内にアーマチュア3を回転自在に配置したものである等の基本的構造は前記第一実施形態と同様である。
図8に示すように、巻線12は、例えば、その巻き始め端30が1番セグメント14aより巻き始められた場合、まず、1番セグメント14aのライザ15に掛け回された後、巻線12を1番セグメント14aの近傍に存在する1−9番ティース9の間のスロット11gに引き込む。そして、1番ティース9にn/2回順方向に巻装して順巻きコイル33aを形成する。
さらに、4−5番ティース9の間のスロット11dから巻線12を引き出し、6−7番ティース9の間のスロット11eに引き込む。そして、7番ティース9にn/2回順方向に巻装して順巻コイル33cを形成する。尚、これら1番ティース9、4番ティース9及び7番ティース9は、互いに周回り方向に60°の間隔を開けて存在している。
尚、同電位となるセグメント14同士は、接続線25によって短絡されているため、巻き終わり端40が接続されている14番セグメント14jと、巻き始め端30が接続されている1番セグメント14aに隣接する2番セグメント14eとは、短絡された状態になっている。
続いて、1−9番ティース9の間のスロット11gから巻線12を引き出し、4−5番ティース9の間のスロット11dに引き込む。そして、4番ティース9にn/2回逆方向に巻装して逆巻きコイル34bを形成する。
さらに、3−4番ティース9の間のスロット11cから巻線12を引き出し、7−8番ティース9の間のスロット11fに引き込む。そして、7番ティース9にn/2回逆方向に巻装して逆巻コイル34cを形成する。
尚、この第二実施形態においては、同じ相同士のティース9に各順巻きコイル33a,33b,33cを直列接続して第一コイル33を形成すると共に、各逆巻きコイル34a,34b,34cを直列接続して第二コイル34を形成し、これによって各相のアーマチュアコイル7を形成している構造の場合について説明した。しかしながら、図6に示すように、ティース9毎にそれぞれ別体の巻線12を巻装して第一コイル33と第二コイル34を形成し、各コイル33,34を隣接するセグメント14間に接続した構造としてもよい。
この場合、図6に示すように、同じ相に相当するセグメント14間に当接するように三対のブラシ21を等間隔に設け、同じ相同士のアーマチュアコイル7に同時に電流が供給できるようにする。
この第三実施形態においては、永久磁石4(磁極)が8個、スロット11が12個、セグメント14が24個設けられた8極12スロット24セグメントの電動モータ1について説明する。
図7に示すように、8極12スロット24セグメントの場合であっても、上述した第一実施形態と同様に、同じ相に相当する各ティース9(例えば、U相の場合、1番ティース9、4番ティース9、7番ティース9及び10番ティース9)に連続して順巻きコイル33a,33b,33c,33dをn/2回ずつ巻装して第一コイル33が形成されると共に、同じ相に相当する各ティース9に連続して逆巻きコイル34a,34b,34c,34dをn/2回ずつ巻装して第二コイル34が形成されている。
したがって、上述の第三実施形態によれば、8極12スロット24セグメントの電動モータ1であっても、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
この第三実施形態においては、永久磁石4(磁極)が10個、スロット11が15個、セグメント14が30個設けられた10極15スロット30セグメントの電動モータ1について説明する。
図9に示すように、10極15スロット30セグメントの場合であっても、上述した第一実施形態と同様に、同じ相に相当する各ティース9(例えば、U相の場合、1番ティース9、4番ティース9、7番ティース9、10番ティース9及び13番ティース9)に連続して順巻きコイル33a,33b,33c,33d,33eを巻装して第一コイル33が形成されると共に、同じ相に相当する各ティース9に連続して逆巻きコイル34a,34b,34c,34d,34eを巻装して第二コイル34が形成されている。
したがって、上述の第四実施形態によれば、10極15スロット30セグメントの電動モータ1であっても、第一実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上述の実施形態では、同電位となるセグメント14同士が接続線25によって短絡されている場合において、ホルダーステー18にブラシホルダ19が2箇所形成され、このブラシホルダ19にそれぞれブラシ21が各々スプリング29を介して付勢された状態で出没自在に内装されている場合について説明した。しかしながら、同電位となるセグメント14同士が接続線25によって短絡されている場合であってもブラシホルダ19(ブラシ21)の設置箇所は2箇所に限られるものではなく、各アーマチュアコイル7に供給する電流密度の大きさによって増設することも可能である。
さらに、上述の実施形態において、図4、6、8、10にある並列回路数と極数が同じになる巻き線に図3、5、7、9と同様の接続線25を設ければブラシ21の設置数を減らすことが可能となるのはいうまでもない。
また、上述の実施形態では、アーマチュアコア6は、リング状の金属板8を軸方向に複数枚積層したものであって、金属板8の外周部にはT字型のティース9が周方向に沿って等間隔に複数個放射状に形成されている場合について説明したが、アーマチュアコア6の形状はこれに限られるものではなく、周方向に分割可能な分割コア方式であってもよいし、軸方向に対して捩れつつ傾斜するように所定のスキュー角を有しているものであってもよい。
2 モータハウジング(ヨーク)
3,50 アーマチュア
4,53 永久磁石(磁極)
5 回転軸
6,55 アーマチュアコイル
9,52 ティース
11,54 スロット
12,56 巻線
13 コンミテータ
14,51 セグメント
21,58 ブラシ
25 接続線(短絡部材)
30,57 巻き始め端
33 第一コイル
34 第二コイル
Claims (3)
- 複数の磁極を有するヨークに軸支される回転軸と、前記回転軸に取り付けられ径方向に向かって放射状に延び、巻線を巻装するための複数のティースと、前記ティース間に形成され軸方向に沿って延びる複数のスロットを有するアーマチュアコアと、前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して設けられ、少なくとも一対のブラシを介して給電される複数のセグメントを周方向に配置したコンミテータと、前記コンミテータに、同電位とするセグメント同士を短絡する短絡部材が設けられ、前記磁極と前記スロットと前記セグメントの個数比が2:3:6に設定された直流モータのアーマチュアであって、
各ティースは、
互いに隣接するセグメントの一方のセグメントに巻き始め端が電気的に接続されると共に、他方のセグメント、又は当該他方のセグメントに短絡したセグメントに巻き終わり端が電気的に接続され、同じ相に相当するティース同士に連続するように順方向に巻装された第一コイルと、
互いに隣接する他のセグメントの一方のセグメントに巻き始め端が接続されると共に、他方のセグメント、又は当該他方のセグメントに短絡したセグメントに巻き終わり端が電気的に接続され、同じ相に相当するティース同士に連続するように逆方向に巻装された第二コイルとを備え、
各ティースを周回り方向にU相、V相、W相の順で割り当て、各相に巻装されている前記第一コイルをそれぞれU相、V相、W相のコイルとし、各相に巻装されている前記第二コイルをそれぞれ−U相、−V相、−W相のコイルとしたとき、
隣接するセグメント間に、U相、−W相、V相、−U相、W相、−V相のコイルをこの順で電気的に接続すると共に、
前記第一コイルの前記巻き始め端が接続されているセグメントと前記第二コイルの前記巻き始め端が接続されているセグメントとの相対位置が前記一対のブラシ同士の相対位置に対応するように設定されていることを特徴とする直流モータのアーマチュア。 - 請求項1に記載の直流モータのアーマチュアを用いたことを特徴とする直流モータ。
- 複数の磁極を有するヨークに軸支される回転軸と、前記回転軸に取り付けられ径方向に向かって放射状に延び、巻線を巻装するための複数のティースと、前記ティース間に形成され軸方向に沿って延びる複数のスロットを有するアーマチュアコアと、前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して設けられ、少なくとも一対のブラシを介して給電される複数のセグメントを周方向に配置したコンミテータと、前記コンミテータに、同電位とするセグメント同士を短絡する短絡部材が設けられ、前記磁極と前記スロットと前記セグメントの個数比が2:3:6に設定された直流モータのアーマチュア巻線方法であって、
同じ相に相当する複数のティースに、互いに隣接するセグメント間の一方のセグメントに巻き始め端が電気的に接続されると共に、他方のセグメント、又は当該他方のセグメントに短絡したセグメントに巻き終わり端が電気的に接続され、同じ相に相当するティース同士に連続するように第一コイルを順方向に連続して巻装し、
互いに隣接する他のセグメント間の一方のセグメントに巻き始め端が接続されるとともに他方のセグメント又は当該他方のセグメントに短絡したセグメントに巻き終わり端が電気的に接続され、同じ相に相当するティース同士に連続するように第二コイルを逆方向に連続して巻装し、
各ティースを周回り方向にU相、V相、W相の順で割り当て、各相に巻装されている前記第一コイルをそれぞれU相、V相、W相のコイルとし、各相に巻装されている前記第二コイルをそれぞれ−U相、−V相、−W相のコイルとしたとき、
隣接するセグメント間に、U相、−W相、V相、−U相、W相、−V相のコイルをこの順で電気的に接続すると共に、
前記第一コイルの前記巻き始め端が接続されているセグメントと前記第二コイルの前記巻き始め端が接続されているセグメントとの相対位置を前記一対のブラシ同士の相対位置に対応するように設定することを特徴とする直流モータのアーマチュア巻線方法。
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