JP4886246B2 - 酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲットとその製法、および酸化亜鉛系導電膜の製法 - Google Patents

酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲットとその製法、および酸化亜鉛系導電膜の製法 Download PDF

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本発明は、イオンプレーティング法によって酸化亜鉛系導電膜を製造する際に用いるターゲットとその製法、並びに、酸化亜鉛系導電膜の製法に関するものであり、特にイオンプレーティング法で酸化亜鉛系導電膜を製造する際に、蒸発材であるターゲットの加熱時に生じるスプラッシュ現象を可及的に防止乃至抑制し、ピンホール欠陥などのない均質で高性能の導電膜を得るための改良技術に関するものである。
近年、酸化亜鉛系導電膜の性能改善は著しく進んでおり、主な特性の一つである比抵抗値についてみると、実験室レベルではITO(インジウム錫酸化物)膜に比べても遜色のない低い値が得られる様になってきている。このためインジウム資源の枯渇が懸念される昨今、高価なインジウムを必須成分として含むITO膜に代わる次世代型の導電膜として、酸化亜鉛系導電膜に対する期待が高まっている。
量産レベルで酸化亜鉛系導電膜を製造する代表的な方法としては直流マグネトロンスパッタリング法が知られており、この方法は、製膜速度や製膜面積の点で優れている。しかし、スパッタリング法で酸化亜鉛系導電膜を形成しようとした場合、基板上に大きな抵抗率分布(エロージョン対向部での抵抗率の増大)を生じることがある。
これに対し、特許文献1,2などに記載されているイオンプレーティング法は、プラズマガンや電子銃で蒸発原料(ターゲット)にプラズマビームや電子ビームを照射し、ターゲットを蒸発させると共にイオン化させて基板上に蒸着させる方法であり、大きな抵抗率分布を生じることがなく、比抵抗の小さな酸化亜鉛系導電膜を高い製膜速度で得ることができ、更には大きな製膜面積にも対応できるといった利点を有している。
しかし、蒸発材(ターゲット)である酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング法により蒸発させてイオン化し薄膜を形成する方法では、加熱時に蒸発材のスプラッシュが起こり、飛散する粒子によって蒸着膜にピンホール欠陥ができるという問題があり、その解決が望まれていた。
上記スプラッシュとは、次の様な現象をいう。即ち、真空中で蒸発材(ターゲット)にプラズマビームや電子ビームを照射して加熱すると、蒸発材はある温度に達した時点で気化し、原子状態で均一な蒸発が始まる。スプラッシュとは、この際に、均一な蒸発ガスに混じって数μm〜1000μm程度の目に見える大きさの飛沫が蒸発材から飛び出して蒸着膜に衝突する現象をいう。この現象が起こると、飛沫の衝突によって蒸着膜にピンホール欠陥などを起こす原因となり、蒸着膜の均質性を害するばかりか導電膜としての性能を著しく劣化させる。
この様な現象が起こる原因としては、ターゲット内に含まれる気泡が、プラズマビームや電子ビーム等の高エネルギーによる熱衝撃や静電荷チャージアップ等によって爆発し、これがスプラッシュを誘発していることが考えられる。
特開2004−95223号公報 特開平10−18026号公報
本発明は上記の様な事情に鑑みてなされたものであり、蒸発材(ターゲット)として用いる酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング法によって蒸発させ、イオン化させて酸化亜鉛系の導電膜を形成する際に、加熱蒸発時に生じるスプラッシュを防止もしくは抑制し、欠陥のない酸化亜鉛系薄膜を安定して得ることのできるターゲットを提供すると共に、該ターゲットの有用な製法を提供し、更には該ターゲットを用いて高品質の酸化亜鉛系導電膜を製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係るイオンプレーティング用ターゲットとは、酸化亜鉛主体の焼結体からなり、外形から求められる体積に対する開空孔の割合が15〜40%であり、且つ閉空孔の割合が3.0%以下であるところに特徴を有している。
上記焼結体は、酸化亜鉛の含有量が80質量%以上である酸化亜鉛系粉末を予備成形してから焼結したものが好ましく、中でも、3B族、4B族、7B族から選ばれる少なくとも1種の元素を0.003〜20質量%含有させた酸化亜鉛系粉末は、それら元素のドーピング効果によって一段と高い導電性を有するものとなるので好ましい。
また本発明の製法は、上記酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲットを製造する方法であって、400〜1000℃で焼成されており、最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が0.1〜30μmである酸化亜鉛系粉末を予備成形してから500〜1600℃で焼結し、外形から求められる体積に対する開空孔の割合が15〜40%で、閉空孔の割合を3.0%以下とするところに要旨が存在する。
また、上記ターゲットを使用し、イオンプレーティング法によって酸化亜鉛系導電膜を形成する方法も、本発明の技術的範囲に包含される。
本発明によれば、酸化亜鉛主体の焼結体からなるイオンプレーティング用ターゲットとして、外形から求められる開空孔の割合を15〜40%の範囲とし、且つ閉空孔の割合を3.0%以下に抑えた酸化亜鉛系焼結体を使用することによって、スプラッシュの発生がなく、均質で安定した性能の酸化亜鉛系導電膜を得ることができる。
本発明のターゲットは、上記の様にイオンプレーティング用の蒸発材として用いられる酸化亜鉛主体の焼結体であって、外形から求められる開空孔の割合が15〜40%の範囲で、且つ閉空孔の割合が3.0%以下であるところに特徴を有している。
本発明者らは、酸化亜鉛系焼結体をターゲットとして用いた場合に見られるスプラッシュの発生原因を究明するため、ターゲットを構成する焼結体の表面性状や内部性状がスプラッシュに何らかの影響を及ぼしているのではないかと考え、走査型顕微鏡(SEM)によって観察される断面性状とスプラッシュの関係を調べた。
その結果、スプラッシュの発生が見られる焼結体では、隣接した焼結粒同士によって形成される粒界のコーナー部分に多数の閉空孔(内部に封入され、表面にまで連通していない空孔)が存在しているのに対し、スプラッシュのない焼結体の場合、この様な閉空孔は殆ど認められず、隣接した焼結粒同士の間に存在する殆どの空孔は焼結体の表面にまで連通しており、いわゆる開空孔として存在していることが確認された。
スプラッシュとは、先に説明した通り、均一な蒸発ガスに混じって数μm乃至1000μm程度の目に見える大きさの飛沫が蒸発材から飛び出して蒸着膜に衝突する現象をいい、こうしたスプラッシュ現象と上記SEM観察結果を考え合わせると、スプラッシュを起こす原因は次の様に考えられる。
即ち、電子ビームなどで加熱された酸化亜鉛系の焼結体は、急激な温度上昇によって酸化亜鉛が蒸発を始める。このとき、焼結体の表面近傍に存在する閉空孔内は、蒸発した酸化亜鉛ガスによって圧力が上昇し、ついには爆発的に圧力を開放して焼結体を破壊する。この際に飛び散る破片や飛沫がスプラッシュとして観察されるものと思われる。そしてスプラッシュ現象を起こさない焼結体では、蒸発した酸化亜鉛の蒸気が、表面にまで連通した気孔、すなわち開空孔を伝って焼結体の表面から速やかに放散されるため、焼結体内部で圧力上昇を起こすことがなく、スプラッシュの発生が起こらなくなると思われる。
換言すると、焼結体内に存在する空孔を可能な限り開空孔とし、前述したような爆発の原因となる閉空孔を極力少なくしてやれば、スプラッシュ現象を防止できると考えられる。尚、焼結体を構成する酸化亜鉛の急速加熱による蒸発をよりスムーズに進めるには、焼結体を高密度にしておくよりもポーラスな多孔質体とし、焼結体の表層のみならず内部からも加熱蒸発が進行するようにするのが好ましく、従って、多孔質で且つ内部に存在する空孔の殆どが開空孔であることが最善であると考えた。
こうした観点から、焼結体の多孔質の程度と開空孔の存在比率がスプラッシュ現象に及ぼす影響を定量的に調べた結果、前述した如く焼結体の外形から求められる開空孔の比率が15〜40%であり、且つ閉空孔の比率が3.0%以下に抑えられたものは、イオンプレーティングのための加熱時に殆どスプラッシュを起こすことがなく、安定して均一な蒸発状態を示し、ピンホール欠陥などのない均一で高性能の導電性皮膜が形成されることを突き止めた。
なお、焼結体の閉空孔と開空孔の容積率は、例えば次の様にして求めることができる。例えば液体として水を使用し温度25℃で測定する場合、下記式(1),(2)によって求められる。
開空孔の容積率(O)=[(Ww−W)25℃での水の密度/V]×100…(1)
閉空孔の容積率(C)=[(100−O)/100−WV・ρ)]×100…(2)
上記式において、Vは焼結体の外形から求められる体積;Wは焼結体の質量;Wwは焼結体を水中に浸漬し、3500Pa以下の圧力にまで減圧して12時間保持した後に取り出し、焼結体表面の水を拭き取った後の質量;ρは焼結体の理論密度をそれぞれ表す。
ちなみに、開空孔の比率が15%未満では、焼結体全体としての密度が高過ぎて多孔質度が不足気味となって、急速加熱による酸化亜鉛の蒸発が円滑に起こり難くなり、特に厚肉のターゲットを用いたときにスプラッシュ現象を起こし易くなる。逆に開空孔の比率が40%を超えて過度に高くなると、ターゲット材として強度不足となり、プラズマビームや電子ビームなどの高エネルギーによる熱衝撃によってターゲット材が割れるなどの問題を起こす原因になる。
こうした観点から、開空孔のより好ましい値は16%以上、更に好ましくは18%以上で、30%以下、更に好ましくは28%以下である。
また、閉空孔は、前述した如く該閉空孔内での昇圧と爆発によるスプラッシュに直結するもので、3.0%を超えると明らかにスプラッシュが顕著となる。従って、本発明の目的を達成するには、該閉空孔を3.0%以下に抑えることが絶対条件であり、好ましくは2.5%以下にするのがよい。イオンプレーティング条件などに拘らず、また、僅かなスプラッシュをも阻止するためのより好ましい閉空孔は2.0%以下である。
本発明でターゲットとして用いる酸化亜鉛系焼結体は、酸化亜鉛に導電性付与成分をドープして導電性を付与したものであってもよく、3B族、4B族および7B族から選択される元素、具体的には、B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pb,F,Cl,Br,Iなどの1種または2種以上をドーピングしたものが使用される。それら元素のドーピング量は、元素の種類や求められる導電性の程度によっても変わってくるので一律に決めることはできないが、標準的なのは0.003質量%以上、20質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上、10質量%以下である。
次に、上記特性を備えたイオンプレーティング用ターゲットを得るための有用な製造方法について説明する。
本発明の製法では、上記特性を備えたターゲットを得るための方法として、以下に詳述する如く焼成温度と粒子径の特定された酸化亜鉛系粉末を所定の温度で焼結させる方法を採用する。
具体的には、400〜1000℃で焼成されており、最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が0.1〜30μmである酸化亜鉛系粉末を使用し、この酸化亜鉛系粉末を機械プレスや静水圧プレスなど任意の方法で予備成形した後、500〜1600℃で焼結する。
上記製造方法における最大の狙いは、予め高温で焼成しておくことにより結晶の成長を進めると共に、その後の焼結工程で体積収縮を起こし難くした酸化亜鉛系粉末を使用することで、ターゲット(焼結体)としての開空孔容積率を多くすると共に、閉空孔容積率を極力少なく抑えるところにある。
こうした狙いを実現するため本発明の製法では、使用する酸化亜鉛系粉末の諸元と焼結温度を規定しているが、それらを定めた理由は次の通りである。
まず、酸化亜鉛系粉末は、400〜1000℃で予め焼成されたものでなければならない。この酸化亜鉛系粉末は、前述した通り焼結体(ターゲット)の骨格成分となるもので、それ自身、結晶化が十分に進んでいることが必要であり、そのためには少なくとも400℃以上、好ましくは500℃以上の温度で焼成したものを使用するのがよい。しかし、焼成温度が高過ぎると、予備焼成したときに成形体がひび割れを起こし易くなるので、高くとも1000℃以下、好ましくは950℃以下の温度で焼成したものを使用するのがよい。
次に、該酸化亜鉛系粉末の好ましい粒度構成は、最大粒子径が150μm以下で且つ平均粒子径が0.1〜30μmである。この粒度構成は、該酸化亜鉛系粉末の骨格成分としての作用を有効に発揮させる上で重要であり、最大粒子径が150μmを超え、或いは平均粒子径が30μmを超えると、骨格成分として粗粒に過ぎるためターゲットが均質性不足となるほか強度も不足気味となり、品質安定性に欠けるものとなる。一方、平均粒子径が小さ過ぎると、骨格成分として微細に過ぎるためターゲットが緻密になり過ぎ、開空孔の容積率が小さく且つ閉空孔の容積率は大きくなる。均質で適正な開空孔容積率と閉空孔容積率を持った焼結体を得るうえでより好ましい粒度構成は、最大粒子径が130μm以下、更に好ましくは110μm以下で、平均粒子径が0.3〜25μm、更に好ましくは0.5〜20μmである。
3B族、4B族、7B族から選択される元素を混合する場合の混合方法にも一切制限がなく、上記元素から選ばれる1種または2種以上を、上記酸化亜鉛系粉末に対して適量配合し、ボールミル、ホモジナイザー、ヘンシェルミキサーなど公知の混合装置を用いて混合すればよい。なお、上記選択元素を混合するのは、これらの元素を適量含有させることで酸化亜鉛焼結体の導電性を高め、導電性材料としての特性を高めるためであって、こうした添加効果を有効に発揮させる上で好ましいのは、酸化亜鉛系粉末に対して0.003質量以上、より好ましくは0.01質量%以上である。しかし、これら元素の含有量が多過ぎると、添加量に応じた効果の増加が認められず、逆に不純物として作用して導電性を阻害するなどの障害が現れてくるので、多くとも20質量%以下、より好ましくは15質量%以下に抑えるのがよい。
上記酸化亜鉛粉末、またはこれに上記選択元素を含有させた酸化亜鉛系粉末を、機械プレスや静水圧プレスなど任意の方法で予備成形した後、所定温度で加熱焼結すれば、適度の強度を有し且つ所定の開空孔容積率と閉空孔容積率をもった酸化物からなるターゲットを得ることができる。
予備成形後の焼結温度は500℃〜1600℃が望ましい。焼結温度が500℃未満では十分な焼結が起こらず、焼結体(ターゲット)自身が崩れ易くなる。しかし、焼結温度が1600℃を超えて高くなり過ぎると、焼結体の閉空孔容積率が増加傾向となってスプラッシュを起こし易くなるので好ましくない。こうした観点からより好ましい焼結温度は600℃以上、1500℃以下、更に好ましくは700℃以上、1400℃以下である。焼結時間は特に制限されないが、通常は2時間程度以上で十分であり、標準的には3時間程度以上とされる。時間に上限は存在しないが、5時間以上に延長することは無駄であるので、通常は5時間程度以下が採用される。焼結雰囲気は、大気雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれでもよい。
かくして得られる本発明のターゲットは、前述した如くプラズマビームや電子ビームなどの高エネルギービームで加熱したときでも、熱衝撃で亀裂を起こしたり崩壊したりすることがなく、且つスプラッシュ現象を起こすこともないので、得られる酸化亜鉛系導電膜はピンホール欠陥などのない均質で高性能のものとなり、近い将来、ITO膜などに代替可能な廉価な導電膜素材として実用化が期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
なお下記実施例において、開空孔および閉空孔の容積率は次の様にして求めた。
試料焼結体の直径と高さ及び質量を測定した後、これをセパラブルフラスコ内に入れる。セパラブルフラスコの蓋には、拡散ポンプにつながる配管と純水を入れた滴下ロートを配置し、且つ滴下ロートの上部はロータリーポンプにつながる配管を接続しておく。
そして最初に、滴下ロートの内部をロータリーポンプで減圧し、水に溶け込んでいる空気を十分に排気しておき、次いで、セパラブルフラスコの内部を、最初はロータリーポンプ、次いで拡散ポンプを用いて、内部の圧力が10−3Pa以下になるまで減圧し、その状態を2時間継続する。次いで減圧を中止し、滴下ロートから空気を十分に除いた水をセパラブルフラスコ内に滴下し、先に装入しておいた試料焼結体が完全に水を吸収した状態で水に完全に漬かるまで水を入れる。その後、セパラブルフラスコの内部をロータリーポンプで吸引し、3500Pa以下まで減圧することにより、焼結体から気泡が発生しないことを確認してから、フラスコの内部を減圧状態に保ったまま、25℃の部屋に12時間放置する。
電子天秤の内部に、純水を入れたビーカーを一昼夜入れておき、天秤内の湿度を予め高めておく。そして、十分に吸水した前記焼結体をセパラブルフラスコから取り出し、その表面の水をワイパーですばやく拭き取った後、直ちに天秤で焼結体の重量を測定する。この間の温度は全て25℃とする。そしてこの測定値から、前記式(1),(2)によって各試料焼結体の開空孔の容積率(O)と閉空孔の容積率(C)を求めた。
実施例1
最大粒子径が110μm以下で平均粒子径が5μmであり、約900℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛粉末を、機械プレスにより圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1100℃で5時間焼結し、直径29mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛焼結体の開空孔容積率は16%、閉空孔容積率は2.8%であった。また、この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態をチャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生は見られなかった。
実施例2
最大粒子径が75μm以下で平均粒子径が3μmであり、約650℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛系焼成粉末97質量部と、酸化ガリウム粉末(キシダ化学社製)3質量部を、ボールミルで十分混合した後、機械プレスにより圧力20MPaで予備成形した。次いで、大気雰囲気下に1100℃で3時間焼結して、直径30.5mm×厚さ20mmの酸化亜鉛系焼結体を得た。
得られた酸化亜鉛系焼結体の開空孔容積率は24%、閉空孔容積率は2.3%であった。この酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態をチャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生は見られなかった。
実施例3
最大粒子径が75μm以下で平均粒子径が4μmであり、約800℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛粉末97質量部と、酸化ガリウム粉末(キシダ化学社製)3質量部を、ボールミルで十分混合した後、機械プレスにより圧力20MPaで予備成形した。次いで、大気雰囲気下に1300℃で2時間焼結して、直径30.7mm×厚さ20mmの酸化亜鉛系焼結体を得た。
得られた酸化亜鉛系焼結体の開空孔容積率は32%、閉空孔容積率は1.9%であった。この酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生は見られなかった。
比較例1
最大粒子径が250μm以下で平均粒子径が35μmであり、約950℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛粉末を使用し、機械プレスにより圧力20MPaで予備成形した後、大気雰囲気下に1100℃で5時間焼結して、直径31mm×厚さ20mmの酸化亜鉛焼結体を得た。
得られた酸化亜鉛焼結体の開空孔容積率は25%、閉空孔容積率は3.7%であった。この酸化亜鉛焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態をチャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生が26回観察された。
比較例2
最大粒子径が250μm以下で平均粒子径が35μmであり、約950℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛粉末97質量部と、酸化ガリウム粉末(キシダ化学社製)3質量部を、ボールミルで十分混合した後、機械プレスにより圧力20MPaで予備成形した。次いで、大気雰囲気下に1100℃で3時間焼結して、直径32mm×厚さ20mmの酸化亜鉛系焼結体を得た。
得られた酸化亜鉛系焼結体の開空孔容積率は35%、閉空孔容積率は3.5%であった。また、この酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態をチャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生が30回観察された。
比較例3
最大粒子径が180μm以下で平均粒子径が31μmであり、約800℃で3時間加熱焼成した酸化亜鉛粉末97質量部と、酸化ガリウム粉末(キシダ化学社製)3質量部を使用し、ボールミルを用いて十分混合した後、機械プレスにより圧力20MPaで予備成形した。次いで、大気雰囲気下に1100℃で3時間焼結することにより、直径30.5mm×厚さ20mmの酸化亜鉛系焼結体を製造した。
得られた酸化亜鉛系焼結体の開空孔容積率は14%、閉空孔容積率は4.0%であった。また、この酸化亜鉛系焼結体をイオンプレーティング装置に装填し、6kVの電子ビームを照射して蒸発させたときの状態を、チャンバー側面の覗き窓から2分間観察したところ、スプラッシュの発生が30回観察された。

Claims (6)

  1. 酸化亜鉛主体の焼結体からなり、外形から求められる体積に対する開空孔の割合が15〜40%であり、閉空孔の割合が3.0%以下であることを特徴とする酸化亜鉛系導電膜製造用のイオンプレーティング用ターゲット。
  2. 前記焼結体は、最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が3〜30μmである酸化亜鉛系粉末を予備成形し焼結したものである請求項1に記載のターゲット。
  3. 前記焼結体は、酸化亜鉛含量が80質量%以上である酸化亜鉛系粉末を予備成形し焼結したものである請求項1または2に記載のターゲット。
  4. 前記酸化亜鉛系粉末は、3B族、4B族、7B族から選ばれる少なくとも1種の元素を0.003〜20質量%含有するものである請求項2または3に記載のターゲット。
  5. 前記請求項1〜のいずれかに記載のイオンプレーティング用ターゲットを製造する方法であって、400〜1000℃で焼成されており、最大粒子径が150μm以下で平均粒子径が〜30μmである酸化亜鉛系粉末を予備成形し、500〜1600℃で焼結することを特徴とする酸化亜鉛系導電膜製造用ターゲットの製法。
  6. 前記請求項1〜のいずれかに記載のターゲットを使用し、イオンプレーティング法によって酸化亜鉛系導電膜を形成することを特徴とする酸化亜鉛系導電膜の製法。
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