JP4886224B2 - バインダー樹脂組成物、ペースト及びグリーンシート - Google Patents

バインダー樹脂組成物、ペースト及びグリーンシート Download PDF

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本発明は、比較的低温で焼成した場合に残渣を生じさせることなく消滅させることができるバインダー樹脂組成物、ペースト及びグリーンシートに関する。
近年、バインダー樹脂組成物中にセラミック粉末やガラス粉末等の無機粉末を分散させたペーストを成形した後、焼成することにより、セラミックやガラスからなる精密な成形体を得ることが行われている。
例えば、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造される。
バインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、三本ロール、ビーズミル、もしくはボールミル等の混合装置により均一に混合する。得られた混合物を脱泡し、一定粘度を有するペースト状のセラミックスラリー組成物を得る。得られたスラリー組成物をドクターブレードやリバースロールコーター等の塗布装置を用いて、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、またはステンレスプレート等の支持体面に流延させてシート状に成形する。次に、成形体を加熱等により溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次いで、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布する。この導電ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を得る。このとき用いられる導電ペーストは、主に電極を構成するパラジウムやニッケル等の金属材料と、セラミックグリーンシート表面に適合性を有する有機溶剤と、エチルセルロース等のバインダー樹脂とで構成される。
次に、セラミックグリーンシートと導電ペーストの構成成分として積層体中に含まれるバインダー成分等を加熱により熱分解して除去する処理(いわゆる脱脂処理)を行った後、焼成してセラミック焼成物を得る。このセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
また、例えば、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)の基本構造は、パネル本体となる一対のガラス基板、蛍光体層、ネオン及び/またはキセノンを主成分とする封入ガス、誘電体層、隔壁、及び、電極からなる。電極には、AgペーストやCu−Al合金等の材料が用いられる。電極は例えばガラス基板上に厚膜印刷や蒸着法により金属膜を形成させた後、パターニングすることにより得られる。PDPには、交流電圧又はパルス電圧で駆動するAC形と、直流電圧で駆動するDC形とがある。AC形PDPは、電極が誘電体層で被覆されている構造を有し、一方、DC形PDPは、電極が放電空間に露出した構造を有する。低融点ガラスが分散されたバインダー樹脂組成物を焼成させて誘電体層を形成する方法も採用されている。
更に、DC形PDPでは、隔壁を備えたガラス基板を用いることが必須である。従来、隔壁を備えたガラス基板の製造方法としては、セラミック粉末を有機バインダー及び溶剤等と混合してなるペーストを厚膜印刷法でガラス基板上にパターン形成した後、乾燥、焼成して隔壁を形成する方法(いわゆる厚膜印刷法、例えば特許文献1);セラミック粉末を有機バインダー、溶剤等と混合したペーストを所定の膜厚でガラス基板上に平坦に印刷する。次いでフォトレジストでパターン形成部分をマスクしサンドブラスト法でドライエッチングしてパターンを形成した後、レジストを除去する。そして焼成して隔壁を形成する方法(いわゆるサンドブラスト法、例えば特許文献2)等があった。
しかし、厚膜印刷法では、一回の印刷で形成可能な厚みがせいぜい十数μm程度で、隔壁に必要とされる100μm以上の高さとするためには約10回程度印刷を繰り返す必要があり、重ね合わせ印刷の位置合わせが難しいことや高さ精度が得られないことが原因となり歩留まりが悪いという問題があった。また、サンドブラスト法では、フォトレジストを使用するため、露光、現像、レジスト除去等の工程が必要となり工程が複雑になることに加え、隔壁側面がマスク幅よりも小さくエッチングされたり、隔壁の裾が広がったりする等、精度の高い隔壁を形成するのが難しいという問題があった。
これに対して、表面に、遮光性の材料からなる所定のパターンが形成され、その上に感光性材料層が形成された光透過性の基板に対し、基板の背面から露光し、露光後に現像する。次に、基板上に所望パターンの凸部を形成してなる隔壁転写凹版用の元型を用いて、隔壁の転写用凹版を作製し、その転写用凹版の凹部に隔壁材料を充填してプラズマディスプレイパネル用の基板に転写する。これら各工程を備えるプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法が特許文献3に開示されている。この方法は、所望のパターンの凹部が形成された元型にガラス粉末を含有する樹脂を流し込み、これに基板を重ねた後反転して元型を除くことにより、基板上にガラス粉末を含有する樹脂からなる凸部を形成し、これを焼成することによりガラス成分と基板とを一体化させて隔壁を形成する方法(いわゆる転写法)である。転写法によれば、サンドブラスト法や厚膜印刷法に比べて、容易かつ簡便に隔壁を備えたガラス基板を製造することができる。
このような積層セラミックコンデンサやPDP等の製造の用途に用いるバインダー樹脂組成物としては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等を主成分とするものが検討され、使用されていた。しかし、これらの樹脂を主成分とするバインダー樹脂組成物は、熱分解温度が高く、例えばPDPにおいてよく用いられる低融点ガラスの焼結等に用いた場合、焼結体にバインダー樹脂の分解残渣分が残ることがあるという問題があった。
これに対して、アクリル樹脂を主成分とする低温焼成型のバインダー樹脂組成物が検討されている。特許文献4には、重量平均分子量20万以上でガラス転移温度が−20〜60℃であるメタクリル酸アルキルエステル成分を90重量%以上含有するメタクリル樹脂が開示されている。このメタクリル樹脂は、熱分解温度が低く、焼成時において脱脂しやすい。更に、セラミック粉末を含有させた混合物をテープ形状に成形してセラミックグリーンシートとしたときに優れたテープ強度を示す。しかしながら、分子量が大きいため、導電ペースト等の用途に用いて、スクリーン印刷等により印刷しようとするとペーストが印刷版から糸となって垂れ下がる「糸引き」と称されている現象を起してしまうことがあるという問題点があった。
特許文献5には、平均分子量20万以上、酸価2.4〜7.2、ガラス転移温度50〜90℃のアクリル樹脂を用いたセラミックグリーンシートが開示されている。しかしながら、このアクリル樹脂も、導電ペースト等の用途に用いて、スクリーン印刷等により印刷しようとすると「糸引き」を起してしまうことがあった。
特許文献6には、アルキル(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、その他共重合性単量体からなるアクリル樹脂をバインダー成分とするアクリル樹脂組成物が開示されている。このアクリル樹脂組成物は、スクリーン印刷等により印刷してもペーストは糸状に印刷版から垂れ下がることなく切れる「糸切れ」と称される現象を起すようになるため糸引きが少なく、また低温で焼成可能であるとされている。しかしながら、実際には、従来のエチルセルロースやポリビニルブチラールに比べれば低温で焼成ができるものの、脱脂に適した焼成温度が450℃と依然高温であった。そのため、現在検討されているより焼成温度の低い焼成条件では良好な脱脂が難しく、焼成時において残渣が残ることがあった。
特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献14及び15には、金属粉、蛍光体、ガラス粉末などとともに用いられ、ポリオキシエチレン鎖を側鎖とし、かつ側鎖の末端に水酸基もしくはアルコキシル基を備えた(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰り返し単位を含む(メタ)アクリルポリマーからなる感光性を有する樹脂バインダーが開示されている。
特許文献11には、金属粉、ガラス粉、セラミック粉末などとともに用いられ、ポリオキシエチレン鎖を側鎖とし、かつ末端にカルボキシル基を備えたメタクリレートモノマーに由来する繰り返し単位を含む(メタ)アクリルポリマーである光重合性を有する樹脂バインダーが開示されている。
しかし、ポリオキシエチレン鎖を側鎖に含む(メタ)アクリルポリマーは、吸水性が高く高湿環境下で吸湿することがある。吸湿したペーストはシート状に印刷塗布したあとペーストを乾燥させた時にシート厚みがばらつきやすいといった問題点があった。また、脱脂に適した焼成温度が450℃とされており依然焼成温度が高いといった問題点があった。
特許文献12には、絶縁体、誘電体、抵抗体、導電体等の無機構造物を形成するための無機粉末とともに用いられ、ポリオキシエチレン鎖を主鎖とする多官能(メタ)アクリレートを多官能重合性モノマー成分として含む光重合性を有する材料が開示されている。この材料は、樹脂バインダーを形成するために材料として用いられている。
特許文献13には、セラミック粉末とともに用いられ、ヘキサエチレングリコ−ルジアクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト等のポリオキシアルキレン鎖を主鎖とする多官能(メタ)アクリレートを多官能重合性モノマー成分として含む嫌気重合性を有する材料が開示されている。この材料は、樹脂バインダーを形成するために材料として用いられている。
特許文献12〜15には、ポリオキシエチレン鎖を主鎖や側鎖として含む(メタ)アクリレートポリマーである樹脂バインダーが開示されている。
しかし、ポリオキシエチレン鎖を主鎖として含むアクリル樹脂バインダーでは、ポリオキシエチレン鎖が存在することにより樹脂バインダーが含水しやすく、高湿環境下で吸湿するとペーストの粘度が安定しにくくなるといった問題点があった。また、脱脂に適した焼成温度が450℃とされ依然焼成温度が高いといった問題点があった。
特公昭58−150248号公報 特開平5−182592号公報 特開2000−11865号公報 特開2004−59358号公報 特開平9−142941号公報 特開2001−49070号公報 特開平5−132692号公報 特開平5−194548号公報 特開平5−194551号公報 特開平5−208640号公報 特開2000−290314号公報 特開平7−316456号公報 特開平5−157035号公報 特開2004−315719号公報 特開2004−142964号公報
本発明は、比較的低温で焼成した場合でも残渣を生じることなく消滅させることができる、低温焼成型のバインダー樹脂組成物、ガラスペースト、セラミックペースト、蛍光体ペースト、導電ペースト等のペーストおよびグリーンシートを提供することを目的とする。
本発明の広い局面においてバインダー樹脂組成物は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートからなる群から選択した少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、下記化学式(1)で示される繰り返しユニットからなるポリアルキレンオキサイドセグメントであって、末端に(メタ)アクリロイル基を有し、かつポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシドから選択される少なくとも1つのポリアルキレンオキサイドセグメントとを有し、前記ポリアルキレンオキサイドセグメントの含有割合が1〜80重量%の範囲にあり、数平均分子量が500〜20万の範囲にある共重合体(A)をマトリックス樹脂とし、有機溶剤と、他の成分とを含有することを特徴とする。
−(OR)n− ・・・(1)
R:炭素数3以上で構成されるアルキレン基、nは5以上の整数。
本発明のある特定の局面では、 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントが、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及びラウリルメタクリレートからなる群から選択した少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントである。
本発明の他の特定の局面では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントが単独重合体のガラス転移温度が30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントである。
本発明に係るバインダー樹脂組成物の他の特定の局面では、共重合体(A)は、単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントを共重合成分として有する共重合体(A1)である。
本発明に係るバインダー樹脂組成物のさらに他の特定の局面では、共重合体(A)は、水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体が共重合されている。
本発明に係るバインダー樹脂組成物のさらに別の特定の局面では、上記水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体が、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体である。
本発明に係るバインダー樹脂組成物では、好ましくは、さらにポリアルキレンオキサイド(B)が含有されている。
本発明に係るバインダー樹脂組成物のより限定的な局面では、さらに23℃で液状のオリゴマー(C)が加えられている。
好ましくは、上記樹脂オリゴマー(C)は、Hoy法により求めたSP値が10×10-3〜8.5×10-3(J/m30.5であることを特徴とするバインダー樹脂組成物である。
本発明に係るガラスペーストは、本発明に係るバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するガラス粉末とからなることを特徴とする。
本発明に係るセラミックペーストは、本発明に係るバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するセラミック粉末とからなることを特徴とする。
本発明に係る蛍光体ペーストは、本発明に係るバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散する蛍光体粉末とからなることを特徴とする。
本発明に係る導電ペーストは、本発明に係るバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散する導電性粉末とからなることを特徴とする。
本発明に係るグリーンシートは、本発明に係るバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するガラス粉末若しくはセラミックス粉末からなる。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、化学式(1)に記載のポリオキシアルキレンセグメントを含む重合体は、セラミックグリーンシート、導電ペースト、PDPの隔壁、誘電体層、蛍光体層等を形成する際のバインダー樹脂組成物に求められる400℃以下の比較的低温で高い消滅性を発揮できることを見出し本発明を完成するに至った。
上記共重合体(A)は、末端に(メタ)アクリロイル基を有し、化学式(1)に記載のポリアルキレンオキサイドセグメントを有する。ポリアルキレンオキサイドセグメントを有することにより、樹脂全体に占める酸素成分の含有率が上昇し、焼成の際にバインダー樹脂が炭化残渣として残留するのを防止することができる。
−(OR)n− ・・・(1)
R:炭素数3以上で構成されるアルキレン基、nは5以上の整数。
上記共重合体(A)における上記ポリアルキレンオキサイドセグメントの含有量下限は1重量%、上限は80重量%であり、好ましい上限は60重量%、さらに好ましい上限は50重量%である。1重量%未満であると、炭化残渣の残存を抑制できないことがあり、80重量%を超えると、比較的凝集力の弱いポリプロピレンオキシドセグメントに代表される化学式(1)のポリアルキレンオキサイドセグメントの場合は、樹脂に粘着性が発現し、ブロッキングを起こしやすくなり、取扱いが困難となることがある。さらに好ましい下限は3重量%、特に好ましい上限は40重量%、より好ましい上限は30重量%である。
記化学式(1)の整数n、5以上である。nが5未満の場合は焼成時間によっては比較的低温での分解が困難となる場合がある。より好ましくは、nが5〜1000、より好ましくは5〜500、さらに好ましくは5〜200である。nが1000を超えると、チキソ性が発現しにくくなることがある。
より具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドから選択される少なくとも1つのポリアルキレンオキサイドセグメントとを有する共重合体(A)である。また、特に低温で焼成しやすいことから、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの総称である。ここで、メタクリル酸アルキルエステルであると焼成後に残渣が残りにくいことから、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントは、好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートからなる群から選択した少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントである。
上記共重合体(A)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントとポリオキシアルキレンセグメントの結合位置は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルセグメントの側鎖、末端の何れか、若しくは、両方に共有結合で結合するような位置関係にあってもよく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントとポリオキシアルキレンセグメントが交互ブロック共重合した共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントとポリオキシアルキレンセグメントの結合の態様を示す模式図を図1に示した。セグメントの繋がり方として、例えば、(A)〜(G)を挙げることができる。
上記共重合体(A)は、好ましくは単独重合体のガラス転移温度が30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントを有する。上記単独重合体のガラス転移温度が30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分は、共重合体(A)に、ガラス粉末やセラミック粉末等の無機粉末との優れた結着性と、塗膜面をタックフリーにして塵芥の付着を抑えやすくする性質とを付与するものである。30℃未満であると、塗膜面にタックが出やすくなり、塵芥の付着やブロッキングを起こしやすくなる。好ましくは40℃以上である。
上記単独重合体のガラス転移温度が30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては特に限定されず、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート等が挙げられる。
上記共重合体(A)は、単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントを共重合成分として有する共重合体(A1)であってもよい。このような共重合体(A1)においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントの含有量を調整することにより、本発明のバインダー樹脂組成物の粘度を容易に調整することができる。
上記単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては特に限定されず、例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等を挙げることができる。なかでも、分解性に優れることから、ラウリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートが好適である。
上記共重合体(A1)における上記単独重合体のガラス転移温度が30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントとの比としては特に限定されず、必要に応じて適宜選択されればよいが、重量比で100:0〜50:50であることが好ましい。上記単独重合体のガラス転移温度が30℃以上であるメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントの比がこれ未満であると、塗膜面にタックが出やすくなり、塵芥の付着やブロッキングを起こしやすくなることがある。より好ましくは100:0〜70:30である。
バインダー樹脂組成物のチキソ性を十分に発現させて「糸切れ」をよくするために、さらに好ましくは、共重合体(A)は、水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合体であることが好ましい。
上記共重合体(A)は、例えば、水酸基、カルボキシル基、窒素原子を含む官能基等を含む(メタ)アクリレート単量体を共重合することにより得られる。さらに、(メタ)アクリレート単量体は、焼成後の分解残渣が少ないことから、水酸基含有メタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。水酸基含有メタクリル酸エステル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート、ネオペンチルグリコールモノメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート等を挙げることができる。
カルボキシル基含有メタクリル酸エステル単量体としては、メタクリル酸、2−カルボキシエチルメタクリレート、2−メタクリロリイルオキシエチルコハク酸等を挙げることができる。
窒素原子を含む官能基を持つメタクリル酸エステル単量体としては、メタクリルアミド、メタクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−メタクリロイルモルホリン、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等を挙げることができる。
上記のうちで、水酸基含有メタクリレートが、焼成後の分解残渣が少ないことから好ましい。
共重合体(A)における水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体の好適な含有量は、共重合体(A)100重量%中、30重量%以下であるのが好ましい。それを超えると、吸水しやすくなるため、ガラス粉を分散させペースト化した場合、長期で粘度の安定した組成物を得ることが困難な場合がある。より好適には、1〜15重量部である。
上記共重合体(A)の分子量としては特に限定されないが、数平均分子量の下限は500、上限は20万である。500未満であっても取り扱うことはできるが得られる重合体が低分子量であるため印刷に適した粘度のペーストを得ることができない場合がある。また、十分な凝集力を得ることができない場合もある。20万を超えると、重合体分子の絡み合い効果が強くなるため塗工時の「糸引き」を抑えることが困難となることがある。より好ましい上限は15万であり、より好ましい下限は1万である。
上記共重合体(A)を製造する方法としては、例えば、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法を用いることができる。
図1で示した共重合体を得る方法の一例として、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを重合し、末端に導入されたカルボキシル基とポリアルキレンオキサイドの末端水酸基とを反応させて結合させる。これにより、主鎖にポリアルキレンオキサイドが導入された(メタ)アクリル樹脂が得られる。
また、側鎖に導入する方法としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性官能基を有するポリアルキレンオキサイドと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを、共重合させることにより側鎖にポリアルキレンオキサイドが導入されたアクリル樹脂が得られる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性官能基とポリアルキレンオキサイドとを有する化合物としては特に限定されず、例えば、下記一般式(2)〜(13)で表されるポリアルキレンオキサイドの末端に(メタ)アクリロイル基をもつ化合物等が挙げられる。
Figure 0004886224
上記共重合体(A)は、側鎖又は末端に架橋性官能基を有していてもよい。上記共重合体(A)が側鎖又は末端に架橋性官能基を有することで、本発明のバインダー樹脂組成物は、本発明の用途の一例として挙げられる転写法によるPDPの隔壁形成において優れた成形性、転写性を発揮することができる。
本明細書において架橋性官能基とは、光照射及び/又は加熱により架橋反応を生じる基を意味するが、なかでも、紫外線照射等により容易に硬化させることができ、バインダー樹脂に熱履歴等を残す懸念もないことから、光照射により架橋反応を生じる架橋性官能基が好適である。
上記架橋性官能基としては特に限定されないが、例えば、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタニル基、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、重合性不飽和炭化水素基等が挙げられる。なかでも、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタニル基、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、重合性不飽和炭化水素基から選択される少なくとも1つであることが好ましく、加水分解性シリル基、エポキシ基、オキセタニル基から選択される少なくとも1つであることがより好ましく、加水分解性シリル基が更に好ましい。これら架橋性官能基は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のバインダー樹脂組成物は、上記共重合体(A)が側鎖又は末端に架橋性官能基を有している場合には、上記架橋性官能基を架橋させる架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤としては、例えば、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基と反応して、それ自体が架橋体の構造中に取り込まれる作用を有するもの(以下、反応型架橋剤ともいう)と、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基同士を反応させる触媒しての作用を有するもの(以下、触媒型架橋剤ともいう)がある。更に、上記反応型架橋剤と触媒型架橋剤の双方の作用を有する架橋剤(以下、反応−触媒型架橋剤)がある。
上記反応型架橋剤としては特に限定されず、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基がオキセタニル基である場合には、例えば、紫外線や可視光により酸が発生する光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤等が挙げられる。
また、上記反応型架橋剤としては、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基がイソシアネート基である場合には、例えば、水酸基を複数個持つ化合物やアミノ基を複数個持つ化合物等の活性水素を複数個持つ化合物等が挙げられる。
上記水酸基を複数個持つ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。上記アミノ基を複数個持つ化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、α,ω−ジアミノプロピレングリコール等が挙げられる。
上記触媒型架橋剤としては特に限定されず、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基が加水分解性シリル基である場合には、例えば、下記一般式(14)で表される官能基を有する光反応性触媒、紫外線や可視光により酸が発生する光カチオン開始剤、有機金属化合物、アミン系化合物、酸性リン酸エステル、テトラアルキルアンモニウムハライド(ハライド:フルオリド、クロライド、ブロマイド、ヨウダイド)、カルボキシル基等の有機酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸等が挙げられる。なかでも、下記一般式(14)で表される官能基を有する光反応性触媒が好適である。
Figure 0004886224
上記一般式(14)中、mは2〜5の整数を表し、Y(m)は周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を表す。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒は、上記式(14)で表される官能基のうち、異なるものを複数種有していてもよい。
上記一般式(14)で表される官能基としては、例えば、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素からなる群より選択されるY(m)で示される原子に対し、カルボニル基が2個結合した化合物であって、Y(m)で示される原子の価数に応じて適宜、Zで示される炭化水素基又はオキシド基を有するもの等が挙げられる。
上記Zで示される炭化水素基としては、例えば、脂肪族系炭化水素基、不飽和脂肪族系炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲でアミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、エステル基等の置換基を有していても良い。また、異なる炭化水素基を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒は、環状化合物であってもよい。このような環状化合物としては、例えば、環状鎖の中に1個又は2個以上の同種又は異種の上記一般式(14)で表される官能基を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種の上記環状化合物を適当な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種の上記環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等も用いることができる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が酸素原子の場合には、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性二重結合を持つ化合物の共重合体として、例えば、マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸無水物とスチレンの共重合体、マレイン酸無水物とビニルエーテルの共重合体等が挙げられる。これらのうち市販品としては、例えば、旭電化社製のアデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製のリカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、リカレジンTMEG;日立化成社製のHN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製のエピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学社製のスミキュアーMS等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が窒素原子の場合には、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、α−メチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子がリン原子の場合には、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が炭素原子の場合には、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトナート、エチルアセチルアセトナート、メチルプロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒のなかでも、ジアシルフォスフィンオキシド又はその誘導体は、消滅後の残渣が極めて少ないことから特に好適に用いられる。
上記一般式(14)で表される官能基を有する光反応触媒の配合量の好ましい使用量としては、上記共重合体(A)100重量部に対して0.01重量部、好ましい上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、光反応性を示さなくなることがあり、30重量部を超えると、加水分解性シリル基を有する本発明のバインダー樹脂を含有する組成物の光透過性が低下して、光を照射しても表面のみが架橋、硬化し、深部は架橋、硬化しないことがある。より好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は20重量部である。
上記触媒型架橋剤として用いる有機金属化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のアルキルオキシチタネート等が挙げられる。
また、上記触媒型架橋剤としては、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基が重合性不飽和基である場合には、例えば、過酸化物、アゾ化合物等の熱ラジカル型開始剤;紫外線や可視光による光ラジカル開始剤;熱又は光ラジカル開始剤とメルカプト基を複数個持つ化合物を組み合わせてなる開始剤系等が挙げられる。
上記熱ラジカル開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、又は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
上記光ラジカル開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフォスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
また、上記触媒型架橋剤としては、上記共重合体(A)が有する架橋性官能基がエポキシ基である場合には、例えば、紫外線や可視光により酸が発生する光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤、アミン化合物系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプト系硬化剤、ケチミンやDICY等の熱潜在性硬化剤、カルバモイルオキシイミノ基等を有する光アミン発生剤等が挙げられる。
上記光カチオン触媒としては、例えば、鉄−アレン錯体化合物、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ピリジニウム塩、アルミニウム錯体/シラノール塩、トリクロロメチルトリアジン誘導体等が挙げられる。このうち、オニウム塩やピリジニウム塩の対アニオンとしては、例えば、SbF6 -、PF6 -、AsF6 -、BF4 -、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等が挙げられる。これらの光カチオン触媒のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュアー261(チバガイギー社製)、オプトマーSP−150(旭電化工業社製)、オプトマーSP−151(旭電化工業社製)、オプトマーSP−170(旭電化工業社製)、オプトマーSP−171(旭電化工業社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトロニクス社製)、CD−1012(サートマー社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業社製)、CI−2064(日本曹達社製)、CI−2639(日本曹達社製)、CI−2624(日本曹達社製)、CI−2481(日本曹達社製)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074(ローヌ・プーラン社製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、BBI−103(ミドリ化学社製)、MPI−103(ミドリ化学社製)、TPS−103(ミドリ化学社製)、MDS−103(ミドリ化学社製)、DTS−103(ミドリ化学社製)、NAT−103(ミドリ化学社製)、NDS−103(ミドリ化学社製)等が挙げられる。これらの光カチオン触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記熱カチオン硬化剤としては、例えば、アルキル基を少なくとも1個有するアンモニウム塩、スルホニウム塩、ヨウドニウム塩、ジアゾニウム塩、三フッ化ホウ素・トリエチルアミン錯体等が挙げられる。これらの塩類の対アニオンとしては、例えば、SbF6 -、PF6 -、AsF6 -、BF4 -、テトラキス(ペンタフルオロ)ボレート、トリフルオロメタンスルフォネート、メタンスルフォネート、トリフルオロアセテート、アセテート、スルフォネート、トシレート、ナイトレート等のアニオンが挙げられる。
上記光アミン発生剤としては、例えば、カルバモイルオキシイミノ基を有する化合物、コバルトアミン錯体、カルバミン酸−o−ニトロベンジル、o−アシルオキシム等が挙げられる。
上記反応−触媒型架橋剤としては特に限定されないが、例えば、α,ω−ジアミノポリオキシプロピレン等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性官能基と架橋性官能基を有する化合物としては、例えば、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルジメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、3−メタクリロイロキシプロピルイソシアネート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性官能基と、架橋性官能基とを有する化合物と、結合を形成することができる官能基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピル−フタル酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性官能基と、架橋性官能基とを有する化合物と、結合を形成する官能基を有する化合物の官能基が水酸基の場合、3−(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート無水マレイン酸等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性官能基と、架橋性官能基とを有する化合物と、結合を形成する官能基を有する化合物の官能基がカルボキシル基の場合、グリシジル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、焼成温度を下げる目的で、更に、ポリアルキレンオキサイド(B)を含有することが好ましい。
上記ポリアルキレンオキサイド(B)としては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチル)エチレングリコール、ポリ(ベンジル)エチレングリコール及びこれらの共重合体等を挙げることができる。
上記ポリアルキレンオキサイド(B)の数平均分子量としては特に限定されず、目的とする本発明のバインダー樹脂組成物の粘度に合わせて適宜選択すればよい。なお、好ましくは数平均分子量が300〜10万である。より好ましくは、1000〜5万である。
上記ポリアルキレンオキサイド(B)の配合量としては、共重合体(A)100重量部に対する好ましい上限が200重量部である。200重量部を超えると、ポリアルキレンオキサイド(B)により低温で焼成し易くなるいわゆる「低温焼成性」は発現するものの、共重合体(A)とポリアルキレンオキサイド(B)との組み合わせによっては相分離しやすくなり、安定した粘度のペーストを得ることが困難なことがある。好ましい上限は100重量部であり、さらに好ましくは50重量部である。
本発明のバインダー樹脂組成物に、さらに「糸引き」をより一層抑える為に、常温すなわち23℃で液状の樹脂オリゴマー(C)を加えることが好ましい。なお、バインダー樹脂組成物との相分離を避ける為に、Hoy法により求めたオリゴマー(C)のSP値が10×10-3〜8.5×10-3(J/m30.5であるオリゴマーが好ましい。例えば、上記(B)で例示したポリプロピレングリコール(SP値:8.65×10-3(J/m30.5)や、ポリエステルポリオールオリゴマー、ブチルアクリレートオリゴマー(SP値:9.77×10-3(J/m30.5)、2−エチルヘキシルアクリレートオリゴマー(SP値:9.22×10-3(J/m30.5)、ポリイソプレンオリゴマー(SP値:8.75×10-3(J/m30.5)、ポリブタジエンオリゴマー(SP値:8.73×10-3(J/m30.5)、ラウリルメタクリレートオリゴマー(SP値:8.81×10-3(J/m30.5)などが挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、更に、分解促進剤を含有することが好ましい。分解促進剤を含有することにより、焼成の際により速やかに消滅させることができる。
上記分解促進剤としては特に限定されず、例えば、アゾ化合物;硫酸鉄、硝酸ナトリウム、ナフテン酸コバルト等の重金属化合物;シュウ酸、リノレイン酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類;ハイドロキノン、過酸化物、酸化錫等が挙げられる。なかでも、上記過酸化物は、分解促進剤に起因する分解残渣をも低く抑えることができることから好適である。また、上記アゾ化合物は、分解促進剤による分解促進効果と同時に、アゾ化合物の分解で発生する窒素ガスにより分解物の揮発を促進することができることから好適である。
上記過酸化物としては特に限定されず、無機過酸化物であっても有機過酸化物であってもよい。
上記無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過ヨウ素酸カリウム等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、10時間半減期温度が100℃以上であるものが貯蔵性の点から好適である。10時間半減期温度が100℃以上の有機過酸化物としては、例えば、p−メンタンハイドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロキシパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロキシパーオキサイド等のハイドロキシパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピルベンゼン)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては特に限定されないが、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルヴァレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、取扱い性を向上させる等の目的で、分解遅延剤を含有してもよい。上記分解遅延剤としては特に限定されず、例えば、メルカプト化合物、アミン化合物、有機錫、有機ホウ素等が挙げられる。
上記メルカプト化合物としては特に限定されず、例えば、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、ドデカンチール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、イソプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、メチルアニリン等が挙げられる。
上記有機錫としては特に限定されず、例えば、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジウラレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビス(2,4−ペンタンジオン)、ジラウリル錫ジウラレート等が挙げられる。
上記有機ホウ素としては特に限定されず、例えば、トリメチルボレート、トリプロピルボレート、トリブチルボレート、トリメトキシボロキシン、トリメチレンボレート等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物中における、上記分解促進剤又は分解遅延剤の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は10重量%である。
本発明のバインダー樹脂組成物は、光照射及び/又は加熱により気体を発生する気体発生剤を含有してもよい。気体発生剤を含有することにより、本発明の用途の一例として挙げたPDP隔壁の転写法において本発明のバインダー樹脂組成物を硬化させた際に、その表面から気体が発生し、その圧力によって型枠との剥離が促進される。このような気体発生剤としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、液状樹脂を含有していてもよい。液状樹脂を含有することにより、本発明のバインダー樹脂組成物の消滅開始温度を下げることができ、さらに粘度も調整することができる。また、150℃程度の温度でも速やかに消滅させることができる。上記液状樹脂としては、沸点が100℃以上の化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリプロピレンオリゴマー、ポリテトラメチレングリコールオリゴマー、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、グリセリンモノオレイル酸エステル等が挙げられる。
本発明の低温分解型のバインダー樹脂組成物は、凝集力の向上を目的にフィラーを含有してもよい。ただし、フィラーは必ず無機残渣となるものであることから、その含有量は必要最小限に抑えるべきである。
上記フィラーとしては特に限定されず、例えば、酸化チタン、アルミナ、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、表面処理シリカ、珪酸カルシウム、無水珪素、含水珪素、マイカ、表面処理マイカ、タルク、クレー、表面処理タルク、窒化ホウ素、窒化アルミナ、窒化炭素、カーボンブラック、ホワイトカーボン、ガラス短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、チタンカップリング剤を含有してもよい。上記チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピル−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリドデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物によりバインドされる成分としては、例えば、下記に示すような、硼珪酸鉛ガラス、鉛ガラス、CaO・Al23・SiO2系無機ガラス、MgO・Al23・SiO2系無機ガラス、Li2O・Al23・SiO2系無機ガラス等の低融点ガラス;ZnS:Ag,Al、ZnS:Cu,Al、Y22S:Eu、(SrCaBaMg)5(PO43Cl:Eu、LaPO4:Ce,Tb、Y23:Eu、Ca10(PO46FCl:Sb,Mn、BaMgAl1017:Eu、Zn2SiO4:Mn、(Y,Gd)BO3:Eu、CaWO4、Gd22S:Tb、(Y,Sr)TaO4:Nb等の蛍光体;アルミ、金、白金、銀、銅、ニッケル、等の金属粉;酸化銀、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、インジウム錫オキサイド、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の適宜のガラス、セラミック粉末または金属酸化物粉末を挙げることができる。
本発明により、セラミックグリーンシートを得るのに好ましく用いられるセラミックスラリーにおける上記セラミック粉末の含有量としては特に限定されないが、アクリル系ポリマーセグメントとポリオキシアルキレンセグメントとを有する上記バインダー樹脂100重量部に対して、好ましい下限は5重量部、好ましい上限は50重量部である。5重量部未満であると、充分な強度の焼成体が得られないことがあり、50重量部を超えると、セラミックグリーンシートの成形ができないことがある。
上記セラミックスラリーの製造方法としては特に限定されず、例えば、バインダー樹脂にセラミック粉末や有機溶剤等を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡する方法等が挙げられる。
本製造方法においては、次いで、上記セラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを製造する。
上記セラミックグリーンシートの膜厚としては特に限定されないが、好ましい下限は20μm、好ましい上限は150μmである。20μm未満であると、セラミックグリーンシートに破れが生じることがあり、150μmを超えると、積層した積層体が厚くなりすぎ、現実的でない。
上記セラミックグリーンシートの製造方法としては特に限定されず、例えば、上記セラミックスラリーをドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に流延成形し、これを加熱等により溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離する方法が挙げられる。
本発明のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するガラス粉末とからなるガラスペーストもまた、本発明の1つである。
本発明のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するセラミック粉末とからなるセラミックペーストもまた、本発明の1つである。
本発明のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散する蛍光体粉末とからなることを特徴とする蛍光体ペーストもまた、本発明の1つである。
本発明のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散する導電性粉末とからなることを特徴とする導電ペーストもまた、本発明の1つである。
本発明のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するガラス粉末もしくはセラミックス粉末からなるグリーンシートもまた、本発明の1つである。
セラミックペーストの場合には、スクリーン印刷等により少なくとも1層のセラミックペースト膜を印刷し、焼成することにより、セラミック焼結体からなる膜や積層型焼結体を得ることができる。
本発明では、固形分100重量部に対して、有機溶剤100重量部以下を添加してバインダー樹脂組成物とすることが好ましい。なお固形分とは、有機溶剤を除く重合体成分である。
また、好ましくは、さらに、沸点150℃以上の有機溶剤を500重量部以下より好ましくは100重量部以下含有する。より好ましくは300重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは30〜80重量部である。これにより、さらに、スクリーン印刷等に必要な粘度への調整を容易にすることができる。
本発明によるバインダー樹脂組成物は、好ましくは、沸点150℃以上の有機溶剤(C)が、水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合体(A)100重量部に対して、500重量部以下、より好ましくは300重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下、より好ましくは30〜80重量部含有されてなる。
本発明のバインダー樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよい。上記有機溶剤としては、沸点150℃以上であることが、固形分の安定性、印刷時の粘度安定性から好ましい。このような有機溶剤としては特に限定されず、例えば、ターピネオール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。これらの溶剤の内、有機残渣の残りにくい芳香環を含まない溶剤が好ましい。
本発明のバインダー樹脂組成物は、上記構成からなることにより、セラミックグリーンシート、導電ペースト、PDPの隔壁、誘電体層、蛍光体層等の様々な材料を形成する際のバインダー樹脂組成物として用いた場合に、比較的低温で焼成することができ、また、印刷等を行っても糸引し難い。なお、本発明のバインダー樹脂組成物の用途はこれらに限定されない。また、本発明のバインダー樹脂組成物は、その用途の一例としてのPDPの隔壁の転写法による形成に好ましく用いられる。すなわち、転写法によりPDPの隔壁形成を行う場合にも、本発明によれば、凹部への充填性等の基本的な性能を満たすことができる。また、ポリエーテル成分を有することにより比較的低温で高い消滅性をも発揮でき、残渣を生じることがない。また、側鎖又は末端に架橋性官能基を有することで転写法によるPDPの隔壁形成において、優れた成形性、転写性を発揮できる。
本発明によれば,比較的低温で焼成した場合に残渣を生じさせることなく消滅させることができる低温分解型のバインダー樹脂組成物、ガラスペースト、セラミックペースト、蛍光体ペースト、導電ペースト、及びグリーンシートを提供することができる。
さらに、印刷した場合においても「糸引き」を生じ難いペーストが得られる。
(本発明の好ましい用途の一例)
例えば、本発明のバインダー樹脂組成物を用いたプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法について説明する。この場合、上記共重合体(A)として、側鎖又は末端に架橋性官能基を有しているものを用いる。
本発明のバインダー樹脂組成物を用いたプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法の概略を示す模式図を図2に示した。
本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法においては、まず、所定パターンの凹部が形成された型枠の凹部に、ガラス粉末を分散させた本発明のバインダー樹脂組成物を充填する工程(以下、工程1ともいう)を行う。
本発明のバインダー樹脂組成物を用いることにより、上記型枠への充填性に優れ、焼結時までに成形体の形状を充分に保持できることに加え、焼成工程において、バインダー樹脂に由来する残渣が生じることを防ぐことができる。
上記型枠の凹部は、ガラス基板上に形成された(又は、形成される)電極の間隔に対応して、ガラス基板上の電極間の中間に凹部が位置するようなパターンとなるように形成される。
上記型枠の凹部の幅や間隔は、作製するPDPの画面サイズや画素数により異なるが、通常、凹部の幅は20〜100μm程度、凹部の間隔は50〜300μm程度である。
また、上記型枠の凹部の深さは、形成される隔壁の高さに対応することから、通常は100〜300μm程度である。
上記ガラス粉末は、後述する工程において焼成を行うことにより、基板と一体化して隔壁を形成する役割を有する。上記ガラス粉末としては特に限定されず、例えば、硼珪酸鉛ガラス、鉛ガラス、CaO・Al23・SiO2系無機ガラス、MgO・Al23・SiO2系無機ガラス、Li2O・Al23・SiO2系無機ガラス等の低融点ガラス等が挙げられる。
また、上記ガラス粉末の粒子径の好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は10μmである。0.1μm未満であると、共重合体(A)の低温焼成樹脂組成物中に充分に分散させることが困難となることがあり、10μmを超えると、形成される隔壁の精度が劣ることがある。
本発明のバインダー樹脂組成物とガラス粉末との配合比としては、用いるバインダー樹脂組成物やガラス粉末の種類により適宜選択されるが、ガラス粉末100重量部に対する本発明のバインダー樹脂組成物の配合量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は20重量部である。1重量部未満であると、本発明のバインダー樹脂組成物が充分にバインダーとしての役割を果たせないことがあり、20重量部を超えると、隔壁が形成されなかったり、形成された隔壁の精度が劣ったりすることがある。
工程1においては、本発明のバインダー樹脂組成物にガラス粉末を分散させたものを上記型枠の凹部に充填する(図2a)。充填量としては、充填後にガラス基板を積層したときに、ガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物が確実にガラス基板に接するように、凹部の縁にまで以上に充填することが好ましく、凹部をあふれて型枠の表面にガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物が薄い膜を広げる程度にまで充填してもよい。ガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物を凹部のちょうど縁にまで充填した場合(図2b1)には、ガラス基板に直接隔壁が形成された隔壁を備えたガラス基板(図2f1)が得られ、一方、ガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物を、凹部をあふれて充填した場合(図2b2)には、ガラス基板に薄い被膜を介して隔壁が形成された隔壁を備えたガラス基板(図2f2)が得られる。
本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法においては、次いで、上記ガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物が充填された型枠とガラス基板とを積層して積層体を得る工程(以下、工程2ともいう)を行う。得られた積層体を図2c1及び図2c2に示した。
予めガラス基板上に電極が形成されている場合には、積層の際に、上記電極が上記型枠の凹部間に位置するように注意する。
本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法においては、次いで、工程2で得られた積層体に本発明のバインダー樹脂組成物を硬化させる刺激を与えて、上記ガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物を硬化させる工程(以下、工程3ともいう)を行う。
この実施態様では、本発明のバインダー樹脂組成物に含まれる上記共重合体(A)は光照射及び/又は加熱により架橋反応を生じる架橋性官能基を有することから、光照射及び/又は加熱により容易に硬化させることができる(図2d1及び図2d2)。
本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法においては、次いで、上記積層体から型枠を脱型して、基板上に硬化したガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物からなる隔壁前駆体が形成された成形体を得る工程(以下、工程4ともいう)を行う。
工程3において上記ガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物を硬化させることにより、硬化したガラス粉末を含有する本発明のバインダー樹脂組成物は上記ガラス基板に接着すると同時に、硬化により若干の硬化収縮が起こることから、極めて容易に型枠を脱型することができる。また、硬化物は充分な強度を有することから、脱型の際に変形したり欠けてしまったりすることもない。
このようにしてガラス基板上には、上記型枠の凹部の形状や大きさに対応した、後述する工程で焼成することにより隔壁を形成する隔壁前駆体が形成される(図2e1及び図2e2)。
本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法においては、次いで、上記工程4で得られた成形体を焼成して、本発明のバインダー樹脂組成物を消滅させるとともに、上記ガラス粉末とガラス基板とを一体化させて隔壁を形成させる工程(以下、工程5ともいう)を行う。
上記焼成は、本発明のバインダー樹脂組成物が完全に除かれ、ガラス粉末が焼成し、かつ、ガラス基板が反りや変形を起こさない条件で行う。本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法においては、バインダーとして本発明のバインダー樹脂組成物を用いていることから、比較的低温度短時間の加熱により、残渣等が発生することなく確実にバインダーを除くことができる。また、特に酸素濃度が高い雰囲気下で焼成を行う場合には、より低温かつ短時間の条件でもバインダーを完全に除去することができる。工程5により、ガラス基板上に一体化された隔壁が形成される(図2f1及び図2f2)。
本実施態様のプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法では、本発明のバインダー樹脂組成物を用いたことにより、著しく簡略化、単純化された工程により、変形や欠けのない極めて形状精度の高い隔壁を備えたガラス基板を製造することができる。また、比較的低温度低時間の焼成しか行わないことから、ガラス基板に歪みが生じたり、徐冷するのに時間がかかったりすることもない。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(合成例1)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、2―エチルヘキシルアクリレート100g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)3g及び酢酸エチル100gを投入して混合し、モノマー混合溶液を得た。得られたモノマー混合溶液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、2−エチルヘキシルアクリレートオリゴマーの酢酸エチル溶液を得た。
得られたオリゴマーについて、ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による数平均分子量は約5000であった。
(合成例2)
0.5Lセパラブルフラスコに、トリプロピレングリコール0.1モルと、メタクリル酸無水物0.1モルを無水テトラヒドロフラン中で混合した。しばらく混合物を攪拌したあと容器内を減圧して内容物を揮発させて原料を留去してトリプロピレングリコールモノメタクリレートを得た。
(合成例3)
合成例2におけるトリプロピレングリコールを重合度7のポリプロピレングリコールに変更したことを除いては、合成例2と同様にしてポリプロピレングリコールモノメタクリレートを得た。
(実施例1)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、表1に示すように、メチルメタクリレート(日本触媒製)95g、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製、ブレンマーPP−1000)5g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)1g及び酢酸エチル100gを投入して混合し、モノマー混合溶液を得た。得られたモノマー混合溶液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、ポリアルキレンオキサイド側鎖を有する共重合体(A)の酢酸エチル溶液を得た。
得られた共重合体(A)について、ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による数平均分子量は約3万であった。
ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを除去した後、テルピネオール(ヤスハラケミカル社製、ターピネオール)を表2の配合割合になるように加え、溶解させた。得られた溶液に、ガラス粉末(東罐マテリアルテクノロジー社製、ABX169F:融点464℃、粒子径2.5μm)を表2の配合割合で三本ロールを用いて混合し、ガラスペーストを調製した。
(実施例2〜46、比較例1、2,4〜7)
実施例2〜55及び比較例1〜7において、下記の表1〜表21に示す内容以外については、実施例1と同様とした。すなわち、各モノマー組成に従って重合体(A)を調製し、実施例2〜29と実施例34〜36、実施例45、46においては下記の表の配合割合でガラス粉末を混合してガラスペーストを得た。一方、実施例31,38,42においてはガラス粉末の替わりに蛍光体粒子(BaMgAl1017:Eu、日亜化学工業株式会社製)を混合して蛍光体ペーストを得た。また、実施例32,39,43においては、同様にガラス粉末に替えてニッケル粒子(アルドリッチ社製、平均粒径3μm)を混合してニッケルペーストを得た。また、実施例30,37,41においては、同様にガラス粉末に替えてアルミナ粒子(和光純薬社製、平均粒径1μm)を混合してセラミックペーストを得た。また、実施例33,40,44においては、同様にガラス粉末に替えて銀粉(和光純薬社製、平均粒径1μm)を混合して導電ペーストを得た。混合にあたっては三本ロールを用いた。
同様にして比較例1、2,4〜7に示される組成のペーストを得た。
(比較例3)
アルドリッチ社製エチルセルロース(エトキシル含量48%)の10%テルピネオール溶液を作成し、表1の配合割合でガラス粉末を混合してガラスペーストを得た。
(評価)
実施例1〜46及び比較例1、2,4〜7において調製したガラスペースト、蛍光体ペースト、導電ペーストなどのペーストについて、以下の方法により評価を行った。評価結果を表1〜21に示した。
(1)「糸引き」性の評価
ガラス板上に、100mmの間隔で350μmの2本のスペーサーを平行に配したものを準備した。得られたガラスペーストを、スペーサーの間に過剰気味に塗布した後、スクレーパーを用いて塗膜を伸ばし、塗膜端部の「糸引き」の有無を目視により観察した。
(2)95%分解温度の測定
TGA/DTA(TAインスツルメント社製)を用い、昇温速度10℃/分、空気雰囲気下で測定を行い、バインダー樹脂組成物の温度と重量の変化とを測定した。初期の重量から95%減少した温度を95%分解温度とした。また、初期の重量から99%減少した温度を99%分解温度とした。
一方、昇温速度を30℃/分に変えて測定を行い、初期の重量から95%減少した温度を95%分解温度とした。
(3)黒化の有無の評価
ガラス板上に、350μmの厚みになるようにガラスペーストを塗布し、150℃、10分間乾燥させた後、電気マッフル炉(ADVANTEC社製、FUW230PA)を用いて、450℃×5分間、樹脂の脱脂操作を行った後、目視にて黒色の着色具合を観察した。
(4)タック感の有無の評価
ガラス板上に、350μmの厚みになるようにガラスペーストを塗布し、150℃、10分間乾燥させた後、室温まで冷却した後、指タックでタック感の有無を評価した。
(5)含水量の測定
カールフィッシャー水分計を用いて、ペーストを作製したあと室温で7日間経過した時のペースト中の水分量を測定した。
(6)溶剤含有量の測定
測定に使用するペーストの調整
ガラス板の上に高さ1mmで周囲を囲った枠内にペーストを流し込み、6時間放置してペースト表面に皮張りが生じるか観察した。
そして、枠内から取り出したペースト0.5gをアルミ皿の上に秤量し、150℃のオーブン中で15分間加熱してペースト重量の減少量を測定した。
実施例28〜32、及び比較例9〜12により得られたペーストについて下記評価方法により粘度比と、版離れ性を評価した。
(7)スクリーン印刷性(粘度比)
得られたガラスペーストを、B型粘度計を用いて、回転数を5rpmと30rpmにした常温時の粘度の測定結果から粘度比(30rpmでの粘度/5rpmでの粘度)を算出した。
この粘度比が1.5以上であればスクリーン印刷性が良好と判断した。
1.5以上で良好
1.5未満で不良
(8)版離れ性
スクリーン印刷を連続で1000回行った時の被印刷物から印刷スクリーンの版離れやすさを官能評価した。
○:版からスムーズに離れる
△:版からスムーズに離れない
(実施例47)
(1)架橋性バインダー樹脂の調製
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、イソブチルメタクリレート(日本触媒製)92g、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製、ブレンマーPP−1000)5g、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン3g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)3g及び酢酸エチル100gを投入して混合し、モノマー混合溶液を調製した。得られたモノマー混合溶液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。更に、重合開始後2、3及び4時間後にジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g、0.12 gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、ポリアルキレンオキサイド側鎖を有する共重合体(A)の酢酸エチル溶液を得た。
得られた共重合体(A)について、ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による数平均分子量は約6000であった。
得られた共重合体(A)の酢酸エチル溶液に、ポリプロピレングリコール(旭ガラス社製、エクセノール3020)50gを加えた後、ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを除去し、液状硬化性バインダー樹脂を得た。
(2)ガラスペーストの調製
得られた液状硬化性バインダー樹脂100重量部に対してジアシルフォスフィンオキシド化合物(チバスペシャルティーケミカル社製、イルガキュアー819)3重量部を加え、遮光下で50℃に加熱して、撹拌棒を用いて均一になるまで混合し、ペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたペースト状のバインダー樹脂組成物25重量部に、ガラス粉末(東罐マテリアルテクノロジー社製、ABX169F:融点464℃、粒子径2.5μm)75重量部を混合し、ボールミルで充分にガラス粉末を分散させてガラスペーストを調製した。
(3)プラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造
シリコーンゴムからなる板状体の表面に、幅50μm、深さ150μmの凹部が160μmの間隔で複数形成された型枠を準備した。この型枠の凹部に、得られたガラスペーストを、凹部をあふれて型枠の表面に薄い膜を広げる程度にまで充填した。この上にガラス基板を積層して積層体を得た。
次いで、ガラス基板側から、高圧水銀灯を用いて365nmの紫外線を照射強度が強度10mW/cm2となるよう照度を調節して60秒間照射した。紫外線を照射後、80℃で30分間養生した。
養生後、ゆっくりとガラス基板を持ち上げたところ、容易に型枠から外れて、ガラス基板上に硬化したガラス含有加熱消滅性硬化性樹脂組成物からなる隔壁前駆体が形成された成形体が得られた。この成形体を260℃で10分間脱脂した後、更に460℃で5分間焼成した。この結果、加熱消滅性樹脂組成物は完全に消滅し、ガラス基板上に変形や欠けのない、極めて形状精度の高い隔壁が形成された。
(実施例48)
分解促進剤としてクメンヒドロキシパーオキサイド2重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例17と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(実施例49)
分解促進剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例17と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(実施例50)
分解促進剤として酸化錫4重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例47と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(実施例51)
分解遅延剤としてドデシルメルカプタン3重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例47と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(実施例52)
分解遅延剤として1,6−ヘキサメチレンジアミン2重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例47と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(実施例53)
分解遅延剤としてジブチル錫ジラウレート2重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例47と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(実施例54)
分解遅延剤としてトリブチルボレート3重量部を添加した以外は実施例47と同様にしてペースト状のバインダー樹脂組成物を得た。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた以外は実施例47と同様の方法により、ガラスペーストを調製し、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板を製造した。得られた隔壁は、変形や欠けもなく、極めて形状精度の高いものであった。
(比較例8)
0.2Lビーカー中で、ポリビニルブチラール(積水化学社製)の25%トルエン溶液100重量部に、硼珪酸鉛ガラス粉末(東罐マテリアルテクノロジー社製、ABX169F:融点464℃、粒子径2.5μm)75重量部を攪拌棒を用いて均一になるまで混合しガラスペーストを調製した。
シリコーンゴムからなる板状体の表面に、幅50μm、深さ150μmの凹部が160μmの間隔で複数形成された型枠を準備した。この型枠の凹部に、得られたガラスペーストを、凹部をあふれて型枠の表面に薄い膜を広げる程度にまで充填した。この上にガラス基板を積層して積層体を得た。ゆっくりとガラス基板を持ち上げたところ、一部の凹部ではガラスペーストが残ってガラス基板側についてこなかった。次いで、得られた成形体を400℃で20分間脱脂した後、更に460℃で5分間焼成した。この結果、樹脂組成物が消滅し隔壁が得られたものの、一部の隔壁は横倒しになり、また、顕微鏡で観察すると隔壁の一部に変形や欠けが認められた。また、ガラス基板の一部に歪みも認められた。
(実施例55)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた0.5Lセパラブルフラスコに、イソブチルメタクリレート(日本触媒製)95g、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製、ブレンマーPP−1000)5g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)1g及び酢酸エチル100gを投入して混合し、モノマー混合溶液を得た。
得られたモノマー混合溶液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。更に、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、ポリエーテル側鎖を有するバインダー樹脂の酢酸エチル溶液を得た。
得られたバインダー樹脂について、ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による数平均分子量は約3万であった
得られたバインダー樹脂の酢酸エチル溶液について、ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを除去した後、テルピネオール(ヤスハラケミカル社製、ターピネオール)を加え、溶解させた。得られた溶液にセラミック粉末としてCaO−Al23−SiO2−B23系とAl23との混合物を溶液全体に対して15重量%加え、三本ロールで混練し、ボールミルで48時間混合することによりセラミックスラリーを製造した。
得られたセラミックスラリーを、離型処理したポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚みが約5μmになるように塗布し、常温で1時間風乾し、熱風乾燥機で80℃3時間、続いて120℃2時間乾燥させてセラミックグリーンシートを得た。
セラミックグリーンシートを5cm角の大きさに切断し、これにスクリーン印刷用導電ペーストをスクリーン印刷したものを100枚積重ね、温度70℃、圧力150kg/cm2、10分間の熱圧着条件で圧着して、セラミックグリーンシート積層体を得た。
得られたセラミックグリーンシート積層体を昇温速度10℃/分で300℃まで昇温することで、セラミック焼成体を得た。
(評価)
実施例55で得られたセラミック焼成体について、実施例1と同様にして、「糸引き」性及び95%分解温度を評価した。その結果、目視により「糸引き」は確認されなかった。また、95%分解温度は、300℃であった。
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本発明のバインダー樹脂組成物に用いられる合体(A)におけるセグメント間の結合の態様を示す模式図。 本発明のバインダー樹脂組成物を用いたプラズマディスプレイパネル用ガラス基板の製造方法の一例の概略を示す模式図。
符号の説明
1…型枠
2…ガラス粉末を含有する加熱消滅性硬化性樹脂組成物
3…ガラス基板
4…隔壁前駆体
5…隔壁

Claims (16)

  1. メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートからなる群から選択した少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントと、下記化学式(1)で示される繰り返しユニットからなるポリアルキレンオキサイドセグメントであって、末端に(メタ)アクリロイル基を有し、かつポリプロピレンオキシド、ポリメチルエチレンオキシド、ポリエチルエチレンオキシド、ポリトリメチレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシドから選択される少なくとも1つのポリアルキレンオキサイドセグメントとを有し、
    前記ポリアルキレンオキサイドセグメントの含有割合が1〜80重量%の範囲にあり、
    数平均分子量が500〜20万の範囲にある共重合体(A)をマトリックス樹脂とし、有機溶剤と、他の成分とを含有することを特徴とするバインダー樹脂組成物。
    −(OR)n− ・・・(1)
    R:炭素数3以上で構成されるアルキレン基、nは5以上の整数。
  2. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントが、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及びラウリルメタクリレートからなる群から選択した少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントである、請求項1に記載のバインダー樹脂組成物。
  3. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントが、単独重合体のガラス転移温度が30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントであることを特徴とする請求項1または2に記載のバインダー樹脂組成物。
  4. 共重合体(A)は、単独重合体のガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来するセグメントを共重合成分として有する共重合体(A1)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  5. 共重合体(A)では、水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体が共重合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  6. 上記水酸基と水素結合することができる官能基を有する共重合性単量体が、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体であることを特徴とする請求項5に記載のバインダー樹脂組成物。
  7. さらにポリアルキレンオキサイド(B)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  8. さらに23℃で液状の樹脂オリゴマー(C)を加えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  9. 上記樹脂オリゴマー(C)は、Hoy法により求めたSP値が10×10-3〜8.5×10-3(J/m30.5であることを特徴とする請求項8に記載のバインダー樹脂組成物。
  10. さらに、分解促進剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  11. さらに、分解促進剤が有機過酸化物であることを特徴とする請求項10に記載のバインダー樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するガラス粉末とからなることを特徴とするガラスペースト。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するセラミック粉末とからなることを特徴とするセラミックペースト。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散する蛍光体粉末とからなることを特徴とする蛍光体ペースト。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散する導電性粉末とからなることを特徴とする導電ペースト。
  16. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物と、該バインダー樹脂組成物中に分散するガラス粉末若しくはセラミックス粉末からなるグリーンシート。
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