JP4886123B2 - 腐食防止用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄を主成分とする金属で構成された設備内を循環する水系などに添加して用いられる腐食防止用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調設備用の冷却水や産業用における冷却水などは、熱交換によって温まった後に冷却塔などに送られ、空気と接触させて一部を蒸発することにより熱を放出し、冷却した後再び冷却水として循環使用されるのが普通である。このような循環水中の塩類は次第に濃縮されて高濃度となり、設備や配管内部にスケールが付着したり腐食が発生するなどの障害を引き起こすこととなる。従って、蒸発して減少した水を補給するとともに濃縮水の一部を排出して、塩類濃度の調整を行なったり、防食用の水処理薬剤を添加することが行われている。
【0003】
このような冷却水系の装置には鉄を主成分とする金属で製作された機器が多く用いられており、こうした鉄系材料に対する腐食防止用組成物として、従来から亜鉛塩等の重金属塩類や、クロム酸塩、リン酸化合物などが使用されてきたが、これらは環境汚染の点からみて好ましくない。そこで近年、ある種のホスホン酸類やホスフィノカルボン酸類などが使用されるようになってきているが、これらの化合物はいずれも防食効果が充分でないため、上記の亜鉛塩やモリブデン酸塩等の重金属化合物と併用するか、或いはポリリン酸塩やケイ酸塩等のスケール生成の原因成分などと併用することにより、防食効果を補うこと(特開昭55−14900号、特開昭63−287600号)が必要とされていた。しかし、重金属化合物やリンを含むものは環境への影響が懸念され、排水の際には何らかの処理が必要となると云う問題がある。
【0004】
さらに特開2000−96273公報には、ポリアクリル酸またはその塩、ポリマレイン酸またはその塩、及び、カルボキシル基・スルホン基・非イオン性基を有する三元共重合体の3種の薬剤を併用する防食剤が提案されている。しかし、この場合にあっても3種の薬剤が必要である上、防食効果が低いなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基本的に2つの薬剤からなり、冷却水系に用いてもリンや重金属を有しないため毒性が低く、かつ、環境汚染を引き起こすおそれがなく、また、スケール生成の恐れがなく、しかも使用量が少なくても炭素鋼や鋳鉄などの鉄を主成分とする金属に対して優れた防食効果を示す腐食防止用組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の腐食防止用組成物は請求項1に記載の通り、重量平均分子量が1300以上2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とからなる共重合体及び/またはその塩とを含有し、水性媒体に添加されて鉄を主成分とする金属の腐食を防止する腐食防止用組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるポリアクリル酸は重量平均分子量が2000以下のものであることが必要である。重量平均分子量が2000超のポリアクリル酸を用いた場合、充分な防食性能は得られない。なお、本発明で用いるポリアクリル酸としては、腐食防止性能を損なわない範囲で、アクリル酸以外の単量体が少量、共重合されたものであっても良く、その場合も本発明に含まれる。
【0008】
本発明においてはポリアクリル酸の他に、その塩を用いても良い。塩としては特に制限はないが、通常、ナトリウム塩、カリウム塩等が用いられ、ポリアクリル酸及びその塩を単独で、または混合して用いても良い。
【0009】
本発明において用いるスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体とからなる共重合体及び/またはその塩とは、スルホン酸基(スルホン基)を有する単量体ユニットとカルボキシル基を有する単量体ユニットとから構成されている重合体及び/またはその塩である。
【0010】
ここで、スルホン酸基を有する単量体ユニットとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。また、カルボキシル基を有する単量体ユニットとしてはアクリル酸、メタアクリル酸、あるいは、マレイン酸などが挙げられる。
【0011】
本発明において、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体は、上記で挙げた単量体ユニットの単量体を重合させて得ても良いが、他の単量体からなる重合体を出発原料として誘導してスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体及び/またはその塩を形成しても良く、その場合も本発明に含まれる。
【0012】
また、本発明で用いるスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体としては、腐食防止性能を損なわない範囲で、スルホン酸基を有する単量体及びカルボキシル基を有する単量体以外の単量体が少量、共重合されたものであっても良く、その場合も本発明に含まれる。
【0013】
本発明において、このようなスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体の塩を用いても良い。塩としては特に制限はないが、通常、ナトリウム塩、カリウム塩等が用いられ、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体及びその塩を単独で、または混合して用いても良い。
【0014】
このようなスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体とからなる共重合体及び/またはその塩としては、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体とからなる二元共重合体及び/またはその塩が好ましく、その例としては例えば化学式(I)に示される、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とからなる共重合体が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】
本発明において用いるスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体及び/またはその塩の重量平均分子量は特に制限はなく、重量平均分子量が2000でも、10000のものでも、ほぼ同様の効果が得られる。
【0017】
上記のような重量平均分子量が2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩とスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体及び/またはその塩とは、重量比で1:100〜100:1となるように対象水系に添加することにより高い効果が得られる。さらに好ましい範囲は1:10〜10:1である。
【0018】
水と接触する機器の材質にもよるが、重量平均分子量2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体及び/またはその塩とは対象水系での濃度が合計で1mg/L以上、また1000mg/L以下となるように添加することが好ましく、より好ましい添加量は、10mg/L以上、また100mg/L以下である。
これらはそのまま適切な濃度となるように対象水系に添加しても良く、場合により予め水などの溶剤に溶解した液剤として、必要時にその溶液を対象水系に添加しても良い。
【0019】
本発明の腐食防止用組成物は、前記の有効成分の他、例えば亜硝酸、リン酸、珪酸、モリブデン酸、タングステン酸、アルミン酸、硼酸、オキシ酸、アミノ酸、脂肪族有機酸、芳香族カルボン酸、リグニンスルホン酸、或いはこれらの塩などや、タンニン、リグニンなどの鉄用防食剤、或いは、例えばトリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール等のアゾール類、亜鉛塩などの金属防食剤が含有されていてもよい。
【0020】
さらに、本発明の腐食防止用組成物を使用するに当たっては、例えばリン酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、あるいはこれらの水溶性塩などのスケール防止剤、例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系化合物、例えばグルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、例えば過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、更にジチオール系化合物、チオシアネート系化合物、ヨーネンポリマー、四級アンモニウム塩系化合物などのスライム防止剤、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系化合物、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸系化合物、例えばグルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、琥珀酸、乳酸等の有機カルボン酸など、各種の水処理剤を併用することができ、場合によっては予め本発明の腐食防止用組成物にこれらの水処理剤を配合したものを用いてもよい。
【0021】
【実施例】
表1に示す水質を有する試験用水と、表2に示す薬剤A〜Gのポリアクリル酸及びその塩及びスルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体の塩とを用意した。
また、ポリマレイン酸として薬剤H、及び、カルボキシル基・スルホン基・非イオン性基を有する三元共重合体として薬剤Iとを準備した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
開放容器に入れた試験用水1000mLに、これらの薬剤をそれぞれ表3及び表4に示す濃度(mg/L)となるよう添加し、その中に表面積0.27dm2 の研磨鋼板(SPCC−SB)を浸漬して、緩く攪拌しながら35℃で3日間の腐食試験を行った。3日後に鋼板の腐食減量を測定して腐食度(mg/dm2−D)を算出し、その結果を表3及び表4に併せて示した。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
表3及び表4の結果から、重量平均分子量が2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とからなる共重合体及び/またはその塩とを有する本発明の腐食防止用組成物が、その他の単独添加あるいは組み合わせ添加と比べて、遙かに高い、鉄を主成分とする金属に対する防食性を有することがわかる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の冷却水系における鉄を主成分とする金属の腐食防止用組成物は、重量平均分子量が1300以上2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とからなる共重合体及び/またはその塩とを有効成分として含有する腐食防止用組成物であり、相乗効果によって低濃度の使用でも有効に鉄系金属材料の腐食を防止できるうえ、リン及び重金属類を含有しないので、環境汚染を引き起こす恐れがなく、装置の保守管理に関する負担が軽減される効果がある。
Claims (1)
- 重量平均分子量が1300以上2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とからなる共重合体及び/またはその塩とを含有し、水性媒体に添加されて鉄を主成分とする金属の腐食を防止することを特徴とする腐食防止用組成物。
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