JP2002371387A - 腐食防止用組成物 - Google Patents

腐食防止用組成物

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JP2002371387A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基本的に2つの薬剤からなり、冷却水系に用
いてもリンや重金属を有しないため毒性が低く、かつ、
環境汚染を引き起こすおそれがなく、また、スケール生
成の恐れがなく、しかも使用量が少なくても鉄を主成分
とする金属に対して優れた防食効果を示す腐食防止用組
成物を提供する。 【解決手段】 重量平均分子量が2000以下のポリア
クリル酸及び/またはその塩と、スルホン酸基を有する
単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合
体及び/またはその塩とを有効成分として含有し、水性
媒体に添加されて鉄を主成分とする金属の腐食を防止す
る腐食防止用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄を主成分とする
金属で構成された設備内を循環する水系などに添加して
用いられる腐食防止用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】空調設備用の冷却水や産業用における冷
却水などは、熱交換によって温まった後に冷却塔などに
送られ、空気と接触させて一部を蒸発することにより熱
を放出し、冷却した後再び冷却水として循環使用される
のが普通である。このような循環水中の塩類は次第に濃
縮されて高濃度となり、設備や配管内部にスケールが付
着したり腐食が発生するなどの障害を引き起こすことと
なる。従って、蒸発して減少した水を補給するとともに
濃縮水の一部を排出して、塩類濃度の調整を行なった
り、防食用の水処理薬剤を添加することが行われてい
る。
【0003】このような冷却水系の装置には鉄を主成分
とする金属で製作された機器が多く用いられており、こ
うした鉄系材料に対する腐食防止用組成物として、従来
から亜鉛塩等の重金属塩類や、クロム酸塩、リン酸化合
物などが使用されてきたが、これらは環境汚染の点から
みて好ましくない。そこで近年、ある種のホスホン酸類
やホスフィノカルボン酸類などが使用されるようになっ
てきているが、これらの化合物はいずれも防食効果が充
分でないため、上記の亜鉛塩やモリブデン酸塩等の重金
属化合物と併用するか、或いはポリリン酸塩やケイ酸塩
等のスケール生成の原因成分などと併用することによ
り、防食効果を補うこと(特開昭55−14900号、
特開昭63−287600号)が必要とされていた。し
かし、重金属化合物やリンを含むものは環境への影響が
懸念され、排水の際には何らかの処理が必要となると云
う問題がある。
【0004】さらに特開2000−96273公報に
は、ポリアクリル酸またはその塩、ポリマレイン酸また
はその塩、及び、カルボキシル基・スルホン基・非イオ
ン性基を有する三元共重合体の3種の薬剤を併用する防
食剤が提案されている。しかし、この場合にあっても3
種の薬剤が必要である上、防食効果が低いなどの問題が
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に2
つの薬剤からなり、冷却水系に用いてもリンや重金属を
有しないため毒性が低く、かつ、環境汚染を引き起こす
おそれがなく、また、スケール生成の恐れがなく、しか
も使用量が少なくても炭素鋼や鋳鉄などの鉄を主成分と
する金属に対して優れた防食効果を示す腐食防止用組成
物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の腐食防止用組成
物は請求項1に記載の通り、重量平均分子量が2000
以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、スルホン
酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体か
らなる共重合体及び/またはその塩とを有効成分として
含有し、水性媒体に添加されて鉄を主成分とする金属の
腐食を防止する腐食防止用組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いるポリアクリ
ル酸は重量平均分子量が2000以下のものであること
が必要である。重量平均分子量が2000超のポリアク
リル酸を用いた場合、充分な防食性能は得られない。な
お、本発明で用いるポリアクリル酸としては、腐食防止
性能を損なわない範囲で、アクリル酸以外の単量体が少
量、共重合されたものであっても良く、その場合も本発
明に含まれる。
【0008】本発明においてはポリアクリル酸の他に、
その塩を用いても良い。塩としては特に制限はないが、
通常、ナトリウム塩、カリウム塩等が用いられ、ポリア
クリル酸及びその塩を単独で、または混合して用いても
良い。
【0009】本発明において用いるスルホン酸基を有す
る単量体とカルボキシル基を有する単量体とからなる共
重合体及び/またはその塩とは、スルホン酸基(スルホ
ン基)を有する単量体ユニットとカルボキシル基を有す
る単量体ユニットとから構成されている重合体及び/ま
たはその塩である。
【0010】ここで、スルホン酸基を有する単量体ユニ
ットとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸等が挙げられる。また、カルボキシル基を
有する単量体ユニットとしてはアクリル酸、メタアクリ
ル酸、あるいは、マレイン酸などが挙げられる。
【0011】本発明において、スルホン酸基を有する単
量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合体
は、上記で挙げた単量体ユニットの単量体を重合させて
得ても良いが、他の単量体からなる重合体を出発原料と
して誘導してスルホン酸基を有する単量体とカルボキシ
ル基を有する単量体からなる共重合体及び/またはその
塩を形成しても良く、その場合も本発明に含まれる。
【0012】また、本発明で用いるスルホン酸基を有す
る単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重
合体としては、腐食防止性能を損なわない範囲で、スル
ホン酸基を有する単量体及びカルボキシル基を有する単
量体以外の単量体が少量、共重合されたものであっても
良く、その場合も本発明に含まれる。
【0013】本発明において、このようなスルホン酸基
を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からな
る共重合体の塩を用いても良い。塩としては特に制限は
ないが、通常、ナトリウム塩、カリウム塩等が用いら
れ、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有
する単量体からなる共重合体及びその塩を単独で、また
は混合して用いても良い。
【0014】このようなスルホン酸基を有する単量体と
カルボキシル基を有する単量体とからなる共重合体及び
/またはその塩としては、スルホン酸基を有する単量体
とカルボキシル基を有する単量体とからなる二元共重合
体及び/またはその塩が好ましく、その例としては例え
ば化学式(I)に示される、アクリル酸と2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸とからなる共重
合体が挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】本発明において用いるスルホン酸基を有す
る単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重
合体及び/またはその塩の重量平均分子量は特に制限は
なく、重量平均分子量が2000でも、10000のも
のでも、ほぼ同様の効果が得られる。
【0017】上記のような重量平均分子量が2000以
下のポリアクリル酸及び/またはその塩とスルホン酸基
を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体からな
る共重合体及び/またはその塩とは、重量比で1:10
0〜100:1となるように対象水系に添加することに
より高い効果が得られる。さらに好ましい範囲は1:1
0〜10:1である。
【0018】水と接触する機器の材質にもよるが、重量
平均分子量2000以下のポリアクリル酸及び/または
その塩と、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル
基を有する単量体からなる共重合体及び/またはその塩
とは対象水系での濃度が合計で1mg/L以上、また1
000mg/L以下となるように添加することが好まし
く、より好ましい添加量は、10mg/L以上、また1
00mg/L以下である。これらはそのまま適切な濃度
となるように対象水系に添加しても良く、場合により予
め水などの溶剤に溶解した液剤として、必要時にその溶
液を対象水系に添加しても良い。
【0019】本発明の腐食防止用組成物は、前記の有効
成分の他、例えば亜硝酸、リン酸、珪酸、モリブデン
酸、タングステン酸、アルミン酸、硼酸、オキシ酸、ア
ミノ酸、脂肪族有機酸、芳香族カルボン酸、リグニンス
ルホン酸、或いはこれらの塩などや、タンニン、リグニ
ンなどの鉄用防食剤、或いは、例えばトリルトリアゾー
ル、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール
等のアゾール類、亜鉛塩などの金属防食剤が含有されて
いてもよい。
【0020】さらに、本発明の腐食防止用組成物を使用
するに当たっては、例えばリン酸系重合体、イタコン酸
系重合体、イソブチレン系重合体、あるいはこれらの水
溶性塩などのスケール防止剤、例えば5−クロロ−2−
メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−
4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチ
アゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系化合物、例え
ばグルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒ
ド類、例えば過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、更に
ジチオール系化合物、チオシアネート系化合物、ヨーネ
ンポリマー、四級アンモニウム塩系化合物などのスライ
ム防止剤、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン等のアミン系化合物、例えばニトリロ三酢酸、エチ
レンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等の
アミノカルボン酸系化合物、例えばグルコン酸、クエン
酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、琥珀酸、乳
酸等の有機カルボン酸など、各種の水処理剤を併用する
ことができ、場合によっては予め本発明の腐食防止用組
成物にこれらの水処理剤を配合したものを用いてもよ
い。
【0021】
【実施例】表1に示す水質を有する試験用水と、表2に
示す薬剤A〜Hのポリアクリル酸及びその塩及びスルホ
ン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量体
からなる共重合体の塩とを用意した。また、ポリマレイ
ン酸として薬剤I、及び、カルボキシル基・スルホン基
・非イオン性基を有する三元共重合体として薬剤Jとを
準備した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】開放容器に入れた試験用水1000mL
に、これらの薬剤をそれぞれ表3及び表4に示す濃度
(mg/L)となるよう添加し、その中に表面積0.2
7dm2の研磨鋼板(SPCC−SB)を浸漬して、緩
く攪拌しながら35℃で3日間の腐食試験を行った。3
日後に鋼板の腐食減量を測定して腐食度(mg/dm2
−D)を算出し、その結果を表3及び表4に併せて示し
た。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】表3及び表4の結果から、重量平均分子量
が2000以下のポリアクリル酸及び/またはその塩
と、スルホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有
する単量体からなる共重合体及び/またはその塩とを有
する本発明の腐食防止用組成物が、その他の単独添加あ
るいは組み合わせ添加と比べて、遙かに高い、鉄を主成
分とする金属に対する防食性を有することがわかる。
【0028】
【発明の効果】本発明の冷却水系における鉄を主成分と
する金属の腐食防止用組成物は、重量平均分子量が20
00以下のポリアクリル酸及び/またはその塩と、スル
ホン酸基を有する単量体とカルボキシル基を有する単量
体からなる共重合体及び/またはその塩とを有効成分と
して含有する腐食防止用組成物であり、相乗効果によっ
て低濃度の使用でも有効に鉄系金属材料の腐食を防止で
きるうえ、リン及び重金属類を含有しないので、環境汚
染を引き起こす恐れがなく、装置の保守管理に関する負
担が軽減される効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 風間 真知子 茨城県つくば市緑ケ原4−4 アクアス株 式会社つくば総合研究所内 (72)発明者 青山 政裕 愛知県名古屋市港区船見町1−1 東亞合 成株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BC12X BG01W BG01X BG07X BG12X BG13X BH01X BH02X BQ00X FD200 4K062 AA03 BB16 BB21 FA05 FA12

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が2000以下のポリア
    クリル酸及び/またはその塩と、スルホン酸基を有する
    単量体とカルボキシル基を有する単量体からなる共重合
    体及び/またはその塩とを有効成分として含有し、水性
    媒体に添加されて鉄を主成分とする金属の腐食を防止す
    ることを特徴とする腐食防止用組成物。
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