JP4885204B2 - 接合材とその製造方法及び交通輸送手段の構体 - Google Patents
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Description
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、第1の金属(3a)と第2の金属(3b)とを重ね合わせて接合した接合材であって、前記第1の金属は、アルミニウム合金、チタン合金又はステンレス鋼であり、前記第2の金属は、マグネシウム合金であり、前記第1又は前記第2の金属の少なくとも一方は、空隙部を有する軽量構造体であり、前記第1の金属と前記第2の金属とが固相接合されていることを特徴とする接合材である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る接合材を備える交通輸送手段の構体の断面図である。
交通輸送手段1は、電車や気動車などの鉄道車両である。構体2は、交通輸送手段1の主構造である。構体2は、図1に示すように、乗客などの重量を支持し車体の床部分や台枠を構成する床構え2aと、この床構え2aの両縁に固定され車体の側面部分を構成する一対の側構え2b,2cと、この一対の側構え2b,2cの上縁に固定され車体の屋根部分を構成する屋根構え2dと、車両の両端部分を構成する図示しない妻構えなどから構成されている。構体2は、例えば、接合材3によって形成された車外面板と室内面板とをトラスやリブで結合したダブルスキン構体である。
接合材3は、金属3a及び金属3bを接合した部材である。接合材3は、図2に示すように、金属3aと、金属3bと、接着剤層3cとから構成されており、金属3aと金属3bとを重ね合わせて接合したサンドイッチ構造の合せ板材(クラッド材)である。接合材3は、例えば、従来の鉄道車両の構体を構成する板材と同じ厚さに形成して、金属3bと金属3aとを略同じ厚さに形成することができる。
マグネシウム合金を押し出し加工して板状の金属3bを形成するとともに、アルミニウム合金、チタン合金又はステンレス鋼を押し出し加工して板状の金属3aを形成する。次に、金属3a,3bのいずれか一方又は双方の表面に強力接着剤を塗布して接着剤層3cを形成し、金属3aと金属3bとを接合してサンドイッチ工法によって接合材3が製造される。エポキシ系接着剤によって接着剤層3cを形成する場合には、金属3aと金属3bとを接着する接着工程後に温度40°Cで2時間又は温度60°Cで1時間熱処理する熱処理工程を行う。その結果、接着剤層3cが固化して金属3aと金属3bとが完全に固着処理される。
(1) この第1実施形態では、金属3bがマグネシウム合金である。その結果、従来の鉄道車両の構体に比べて車両の重量が軽減するため、車両に種々の機能を有する装置や設備を搭載することができる。また、この第1実施形態では、金属3aがアルミニウム合金、チタン合金又はステンレス鋼であり、金属3bがマグネシウム合金である。このため、鉄道車両の構体2としての強度、剛性及びき裂伝播抵抗を向上させることができる。
図3は、この発明の第2実施形態に係る接合材の断面図である。以下では、図1及び図2に示す部材と同一の部材については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図3に示す接合材4は、金属3aと金属3bとが固相接合されている。固相接合は、溶融することなく固相のままで圧接する溶接方法である。固相接合には、例えば、金属材料を密着させて素材の融点以下の温度条件で塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧し、接合面間に生ずる原子の拡散を利用して接合する拡散接合などが含まれる。このような固相接合では、板状の金属3aと板状の金属3bとに加わる圧力が高いとこれらが塑性変形するため、適切な接合圧力を検討する必要がある。この第2実施形態では、金属3aと金属3bとを圧力10Mpaで圧接して温度250°Cで2時間〜6時間加熱する固相接合工程によって、金属3aと金属3bとを直接接合し接合材4を製造する。この第2実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
図4は、この発明の第3実施形態に係る接合材の断面図である。
図4に示す接合材5は、金属3aが空隙部3dを有する発泡構造体(軽量構造体)である。金属3aは、厚さが1mm程度の板状部3eと板状部3fとの間に空隙部3dが形成された板状の発泡金属材であり、空隙部3d及び板状部3e,3fは一体に形成されている。金属3aは、立体網状構造を有し気孔率が著しく大きい金属多孔体であり、溶融金属中にガス発生物質を加えたり発泡樹脂の骨格の周りに金属を付けて焼結したりして製造される。この接合材5は、金属3a自体のせん断強度レベルが低いため、金属3aと金属3bとを固相接合によって接合すると接合時の圧力により変形し製造が困難である。このため、この第3実施形態では、エポキシ系の強力接着剤などによって金属3aと金属3bと接合し接合材5を製造することが好ましい。この第3実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、金属3aに空隙部3dが形成されているためより一層軽量化を図ることができるとともに、防音効果や振動吸収効果を向上させることができる。
図5は、この発明の第4実施形態に係る接合材の断面図である。
図5に示す接合材6は、金属3bが空隙部3dを有する発泡構造体である。金属3bは、板状部3gと板状部3hとの間に空隙部3dが形成された板状の発泡金属材である。この第4実施形態には、第3実施形態と同様の効果がある。
図6は、この発明の第5実施形態に係る接合材の断面図である。
図6に示す接合材7は、金属3a,3bが空隙部3dを有する発泡構造体である。この第5実施形態には、金属3a,3bの双方に空隙部3dが形成されているため、第3実施形態及び第4実施形態に比べてより一層軽量化を図ることができるとともに、防音効果や振動吸収効果をより一層向上させることができる。
図7は、この発明の第6実施形態に係る接合材の断面図である。
図7に示す接合材8は、金属3aが空隙部3dを有するハニカム構造体(軽量構造体)である。金属3aは、隙間なく配列された断面形状が六角形のコア部3iと、このコア部3iの両側に固定され厚さが1mm程度の板状部3j,3kとから構成されたハニカム材であり、コア部3i内には空隙部3dが形成されている。この接合材8は、金属3aがハニカム構造体であるため低圧力の負荷で長時間の処理が望まれるが、ハニカム材である金属3aとバルク材である金属3bとを貼り合わせる接着剤層3cの強度が低下する可能性がある。このため、この第4実施形態では、第3実施形態と同様にエポキシ系の強力接着剤などによって金属3aと金属3bとを接合して接合材8を製造することが好ましい。この第4実施形態では、第3実施形態の効果に加えて、金属3aがハニカム構造体であるため強度を向上させることができる。例えば、従来の鉄道車両の構体を構成するアルミニウム合金などのハニカム材の厚さを半分に薄くして、この薄くした分と同じ厚さのマグネシウム合金を貼り付けて軽量化を図ることができる。
図8は、この発明の第7実施形態に係る接合材の断面図である。
図8に示す接合材9は、金属3bが空隙部3dを有するハニカム構造体である。金属3bは、隙間なく配列された断面形状が六角形のコア部3mと、このコア部3mの両側に固定された板状部3n,3pとから構成されたハニカム材であり、コア部3m内には空隙部3dが形成されている。この第7実施形態には、第6実施形態と同様の効果がある。
図9は、この発明の第8実施形態に係る接合材の断面図である。
図9に示す接合材10は、図7に示す金属3aの板状部3kを省略して、金属3aのコア部3iと金属3bとが接着剤層3cによって接合されている。この第8実施形態では、図5に示す金属3aの板状部3kを省略してこの金属3aの厚さを薄くした分だけ金属3bの厚さを厚くすることができるため、第4実施形態に比べて接合材10の軽量化を図ることができる。
図10は、この発明の第9実施形態に係る接合材の断面図である。
図10に示す接合材11は、図8に示す金属3bの板状部3nを省略して、金属3bのコア部3mと金属3aとが接着剤層3cによって接合されている。この第9実施形態には、第8実施形態と同様の効果がある。
図11は、この発明の第10実施形態に係る接合材の断面図である。
図11に示す接合材12は、金属3a,3bが空隙部3dを有するハニカム構造体である。この第10実施形態には、金属3a,3bの双方に空隙部3dが形成されているため、第6実施形態及び第7実施形態に比べてより一層軽量化を図ることができる。
図12は、この発明の第11実施形態に係る接合材の断面図であり、図12(A)は接合前の状態を示す断面図であり、図12(B)は接合後の状態を示す断面図であり、図12(C)は図12(A)のXII-XIIC線で切断した状態を示す断面図であり、図12(D)は図12(A)のXII-XIID線で切断した状態を示す断面図である。
図12に示す接合材13は、金属3aが空隙部3dと凸部3qとを有する軽量構造体であり、金属3bが空隙部3dと凸部3rとを有する軽量構造体である。金属3aには、所定の間隔をあけて断面形状が四角形の凸部3qが形成されており、金属3bには凸部3qと等間隔に断面形状が四角形の凸部3rが形成されている。この接合材13は、図12(B)に示すように、凸部3q,3rの先端部に接着剤層3cを形成して、凸部3qと凸部3rとが互い違いになるように金属3aと金属3bとが接合されており、凸部3qと凸部3rとの間には空隙部3dが形成されている。この第11実施形態では、金属3a,3bの双方に空隙部3dが形成されており、この空隙部3dが間隔をあけて接合材13内に形成されているため、接合材13の軽量化を図ることができる。
図13は、この発明の第12実施形態に係る接合材の断面図であり、図13(A)は接合前の状態を示す断面図であり、図13(B)は接合後の状態を示す断面図であり、図13(C)は図13(A)のXIII-XIIIC線で切断した状態を示す断面図であり、図13(D)は図13(A)のXIII-XIIID線で切断した状態を示す断面図である。
図13に示す接合材14は、金属3a,3bが空隙部3dを有する軽量構造体(ハニカム構造体)である。金属3aには、所定の間隔をあけてコア部3iが形成されており、金属3bにはコア部3iと等間隔にこのコア部3iと嵌合するコア部3mが形成されている。この接合材14は、図13(B)に示すように、コア部3i,3mの側面及び先端面に接着剤層3cを形成して、コア部3iとコア部3mとが互い違いになるように金属3aと金属3bとが接合されている。この第12実施形態では、コア部3iの側面とコア部3mの側面とが接着剤層3cによって接合されているため、接着面積が広くなり金属3aと金属3bとを強固に接合することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、鉄道車両の構体2に接合材3〜14を適用した場合を例に挙げて説明したが、自動車、船舶、航空機などの他の交通輸送手段の構体についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、二種類の金属3a,3bを接合した場合を例に挙げて説明したが、二種類以上の金属を積層して接合した接合材についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、金属3aと金属3bとを接着剤や固相接合によって接合した場合を例に挙げて説明したが、金属3aと金属3bとをろう付けしたり、ボルトなどによる締結やスポット溶接などによって固定したりすることもできる。
2 構体
3〜14 接合材
3a 金属(第1の金属)
3b 金属(第2の金属)
3c 接着剤層
3d 空隙部
3e,3f,3g,3h,3j,3k,3n,3p 板状部
3i,3m コア部
Claims (5)
- 第1の金属と第2の金属とを重ね合わせて接合した接合材であって、
前記第1の金属は、アルミニウム合金、チタン合金又はステンレス鋼であり、
前記第2の金属は、マグネシウム合金であり、
前記第1又は前記第2の金属の少なくとも一方は、空隙部を有する軽量構造体であり、
前記第1の金属と前記第2の金属とが固相接合されていること、
を特徴とする接合材。 - 請求項1に記載の接合材において、
前記軽量構造体は、発泡構造体又はハニカム構造体であること、
を特徴とする接合材。 - 請求項1又は請求項2に記載の接合材の製造方法であって、
前記第1の金属と前記第2の金属とを固相接合する固相接合工程を含むこと、
を特徴とする接合材の製造方法。 - 請求項3に記載の接合材の製造方法において、
前記固相接合工程は、圧力10MPaで圧接しながら温度250°Cで2時間〜6時間加熱する工程であること、
を特徴とする接合材の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の接合材を備える交通輸送手段の構体。
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