JP4884831B2 - リン酸エステル系重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水硬性組成物用分散剤に好適に用いられるリン酸エステル系重合体の製造方法に関する。
水硬性組成物用混和剤の中で、流動性付与効果の大きい高性能減水剤と呼ばれているものがある。その代表的なものに、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩(ナフタレン系)、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩(メラミン系)、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリカルボン酸系等がある。
近年、代表的な水硬性組成物であるコンクリートの高耐久化指向が強まってきており、例えば、コンクリートに使用される水量を低減して高強度化することが行われており、この傾向は今後も増加するものと予測される。水量を低減するのに減水性と流動保持性に優れるポリカルボン酸系減水剤を使用することが主流となっている。しかし、水量の低減に伴い、フレッシュ・コンクリート粘性(以下、コンクリート粘性ともいう)が増加し、ポンプ圧送、打ち込み、型枠への充填といった作業性、施工性が低下するという問題もある。この粘性増大の問題については、ポリカルボン酸系減水剤でもまだ十分解決されておらず、よりコンクリート粘性低減効果の高い添加剤が望まれている。
このような背景から、特許文献1には、水の配合比にかかわらず優れた流動特性と高い分散効果と早い凝結性を発現できるセメント用分散剤を得るために、ポリアルキレングリコール鎖を有するモノエステル又はモノエーテルと、不飽和結合及び燐酸基を有する単量体との重合物を用いることを提案している。
またポリカルボン酸系分散剤の製造方法に見られるように単量体の仕込み方法によって得られた重合体は、セメント分散剤として求められる性能が大きく異なる。例えば特許文献2には、単量体成分と連鎖移動剤成分を予め反応容器に仕込んでおき、重合開始剤を添加して重合する方法が提案されている。また特許文献3には、単量体成分と連鎖移動剤とを予め混合した溶液と重合開始剤とをそれぞれ滴下しながら重合する方法が提案されている。
特開2000−327386号公報 特開平1−226757号公報 特開平9−86990号公報
本発明の課題は、水硬性粉体を含む水硬性組成物に対して、優れた分散効果、粘性低減効果を付与でき、性能の良好な水硬性組成物用分散剤となる共重合体を、工業的に実用性のあるレベルで再現性よく安定(製造ロットによる分子量変動が少ない等)に製造できる方法を提供することである。
本発明は、 下記一般式(1)で表される単量体1と、下記一般式(2)で表される単量体2と、下記一般式(3)で表される単量体3とを重合してなるリン酸エステル系重合体の製造方法であって、
前記単量体1を含有する液Aと、前記単量体2と前記単量体3とを含有する液Bとを、それぞれ別々に反応系に導入し、
反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入する、
リン酸エステル系重合体の製造方法に関する。
Figure 0004884831
〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子又はメチル基、R3は水素原子又は-COO(AO)nX、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、nはAOの平均付加モル数であり、3〜200の数、Xは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
Figure 0004884831
〔式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は炭素数2〜12のアルキレン基、m1は1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。〕
Figure 0004884831
〔式中、R6、R8は、それぞれ水素原子又はメチル基、R7、R9は、それぞれ炭素数2〜12のアルキレン基、m2、m3は、それぞれ1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。〕
また、本発明は、水硬性粉体、水及び上記本発明の製造方法により得られたリン酸エステル系重合体を含有する水硬性組成物に関する。
本発明によれば、ジエステル体の多いリン酸エステルを含む単量体を用いた場合でも架橋による高分子量化や性能低下を抑制できる、水硬性組成物用の分散剤として好適なリン
酸エステル系重合体を再現性良く安定に製造できる方法が提供される。しかも、本発明の製造方法では、リン酸エステル系重合体の水硬性組成物用分散剤としての特性を損なうこともない。本発明の製造方法により得られたリン酸エステル系重合体を含有する分散剤は、水硬性粉体を含む水硬性組成物に対して、優れた分散効果、粘性低減効果を付与でき、性能が良好である。
《リン酸エステル系重合体の製造方法》
本発明は、単量体1を含有する液Aと、単量体2と単量体3とを含有する液Bとをそれぞれ別々に、反応系に導入するものであって、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入するリン酸エステル系重合体の製造方法に関する。本発明に係るリン酸エステル系重合体は、何れも、この製造方法によって製造することができる。
本発明者等は、本発明の課題の一つである水硬性組成物の粘性低減に、特定のリン酸エステル由来の重合体が有効であり、かかる重合体を得る工業化に適した製造方法を見出した。
以下、単量体1〜3を用いたリン酸エステル系重合体の製造方法について説明する。
工業的には、通常、リン酸エステル単量体は、モノエステル体(単量体2)とジエステル体(単量体3)を含む混合物として入手される。このうち、ジエステル体は架橋により高分子量化(ゲル化)しやすいため、その性質を利用した分野、例えば増粘剤、接着剤、被覆剤等の用途では、このような混合物を製造上の制限をあまり受けることなく好適に使用できる。一方、水硬性組成物用の混和剤(分散剤、減水剤等)では、リン酸基を含む共重合体は水硬性物質に対する吸着力に優れるため好ましいが、高分子量化すると分散性や粘性低減化効果が低下し、取り扱い性の点でも好ましくない。しかしながら、水硬性組成物の用途や経済的な性質からして、かかるリン酸エステルの混合物からモノエステル体とジエステル体とを分離して原料とすることは工業的に不利である。本発明の製造方法では単量体1を含有する液Aと、単量体2と単量体3とを含有する液Bとを、それぞれ別々に反応系に導入し、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入することを特徴とし、共重合する。この製造方法により、ジエステル体を含む原料を用いても架橋(高分子量化、ゲル化)の発生を抑制でき重合体を再現性良く安定に製造でき、しかもリン酸エステル系重合体の水硬性組成物用分散剤としての優れた性能を維持できるため、この製造方法は水硬性組成物の分野では極めて有利である。
本発明に係るリン酸エステル系重合体は、前記一般式(1)で表されるオキシアルキレン基を有する単量体1と、リン酸基を有する前記一般式(2)、(3)で表される単量体2、3とを共重合して得られる重合物である。
本発明に用いられる単量体1〜3の好ましいものはそれぞれ以下の通りであり、また市販品や反応生成物を使用することもできる。
[単量体1]
単量体1について、一般式(1)中のR3は水素原子が好ましく、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基が好ましく、エチレンオキシ基(以下、EO基)を含むことがより好ましく、EO基が全AO中70モル%以上、更に80モル%以上、更に90モル%以上、特に全AOがEO基であることが好ましい。また、Xは水素原子又は炭素数1〜18、更に1〜12、更に1〜4、更に1、2のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。具体的には、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステル、ω−メトキシポリオキシアルキレンアクリル酸エステル等を挙げることができ、ω−メトキシポリオキシアルキレンメタクリル酸エステルがより好ましい。ここで、(1)式中のnは、平均付加モル数である。重合体の水硬性組成物に対する分散性と粘性付与効果の点で、nは3〜200であり、好ましくは4〜120である。また、平均n個の繰り返し単位中にAOが異なるもので、ランダム付加又はブロック付加又はこれらの混在を含むものであっても良い。AOは、EO基以外にもプロピレンオキシ基等を含むこともできる。
[単量体2]
単量体2としては、有機ヒドロキシ化合物のリン酸モノエステルが挙げられる。具体的には、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートアシッドリン酸エステル等が挙げられる。例えば、リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル、リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸エステル〕等が挙げられる。中でも、製造の容易さ及び製造物の品質安定性の観点から、リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルが好ましい。
[単量体3]
単量体3としては、有機ヒドロキシ化合物のリン酸ジエステルが挙げられる。具体的には、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートアシッドリン酸ジエステル等が挙げられる。例えば、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)アクリル酸〕エステル等が挙げられる。中でも、製造の容易さ及び製造物の品質安定性の観点から、リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルが好ましい。
単量体2、3の何れも、塩であってもよく、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩などであっても良い。
単量体2のm1及び単量体3のm2、m3は、それぞれ1〜20が好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜5が特に好ましい。
また、本発明の製造方法では、単量体2及び単量体3を含む混合単量体を用いることができる。
このような単量体2及び単量体3を含む混合単量体としては、モノエステル体とジエステル体とを含む市販品を使用することができ、例えば、ホスマーM、ホスマーPE、ホスマーP(ユニケミカル)、JAMP514、JAMP514P、JMP100(何れも城北化学)、ライトエステルP−1M、ライトアクリレートP−1A(いずれも共栄社化学)、MR200(大八化学)、カヤマー(日本化薬)、Ethyleneglycol methacrylate phosphate(アルドリッチ試薬)などとして入手できる。
また、単量体2、単量体3を含む混合単量体は、例えば、一般式(4)で表される有機ヒドロキシ化合物と無水リン酸(P25)及び水を所定の仕込み比で反応させることで、反応生成物として製造することもできる。
Figure 0004884831
〔式中、R10は水素原子又はメチル基、R11は炭素数2〜12のアルキレン基、m4は1〜30の数を表す。〕
すなわち、前記一般式(4)で表される有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤とを反応させて得られるリン酸エステルを用いることができる。
一般式(4)中のm4は、1〜20が好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜5が特に好ましい。
このリン酸エステルは、一般式(4)で表される有機ヒドロキシ化合物をリン酸化剤でリン酸化することで得られる。
リン酸化剤としては、オルトリン酸、五酸化リン(無水リン酸)、ポリリン酸、オキシ塩化リン等が挙げられ、オルトリン酸、五酸化リンが好ましい。これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いることも出来る。また、後記のリン酸化剤〔以下、リン酸化剤(Z)という〕も好ましい。本発明において、有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤とを反応させる際のリン酸化剤の量は目的とするリン酸エステル組成に応じ適時決めることができる。
リン酸エステルは、有機ヒドロキシ化合物とリン酸化剤とを、下記式(I)で定義された比率が2.0〜4.0、更に2.5〜3.5、特に2.8〜3.2の条件下に反応させることで得られたものが好ましい。
Figure 0004884831
本発明では、式(I)においては、リン酸化剤を便宜的にP25・n(H2O)として扱うものとする。
特に、リン酸化剤は、五酸化リン(Z−1)並びに水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種(Z−2)を含むリン酸化剤(Z)が好ましく、この場合も、式(I)においては、五酸化リン(Z−1)と、水、リン酸及びポリリン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種(Z−2)とを含むリン酸化剤(Z)を、便宜的にP25・n(H2O)として扱うものとする。
また、式(I)で定義されたリン酸化剤のモル数とは、原料として反応系に導入されるリン酸化剤、特にリン酸化剤(Z)に由来するP25単位の量(モル)を示す。また、水のモル数とは、原料として、反応系に導入されるリン酸化剤(Z)に由来する水(H2O)の量(モル)を示す。即ち、水には、ポリリン酸を(P25・xH2O)と、オルトリン酸を〔1/2(P25・3H2O)〕として表した場合の水を含めた反応系内に存在する全ての水が含まれることになる。
また、有機ヒドロキシ化合物にリン酸化剤を添加する際の温度は20〜100℃が好ましく、40〜90℃がさらに好ましい。また、反応系へのリン酸化剤の添加に要する時間(添加開始から添加終了までの時間)は0.1時間〜20時間が好ましく、0.5時間〜10時間がさらに好ましい。
リン酸化剤投入後の反応系の温度は20〜100℃が好ましく、40〜90℃がさらに好ましい。なお、共重合は、前述のリン酸エステル系重合体の製造方法に基づき行うことができる。
リン酸化反応終了後は、生成したリン酸の縮合物(ピロリン酸結合を有する有機化合物やリン酸)を加水分解により低減しても良く、又加水分解を行わなくても、本発明のリン酸エステル系重合体製造用のモノマーとしては好適である。
単量体2、3は、不飽和結合とヒドロキシル基を有する単量体のリン酸エステル化物であり、上記の市販品や反応生成物にはモノエステル体(単量体2)とジエステル体(単量体3)以外の化合物を含んでいる事が確認されている。それらの他の化合物は、重合性、非重合性のものが混在していると考えられるが、本発明ではこのような混合物(混合単量体)をそのまま使用することができる。
混合単量体中の単量体2、3の含有量は、31P−NMRの測定結果に基づき算出することができる。
31P-NMR測定条件>
・逆ゲート付きデカップリング法(inverse-gated-decoupling method)
・測定範囲6459.9Hz
・パルス遅延時間30sec
・観測データポイント10336
・パルス幅(5.833μsec)35°パルス
・溶媒CD3OH(重メタノール)(30重量%)
・積算回数128
この条件では、得られたチャートのシグナルは以下の化合物に帰属するので、その面積比から相対的な量比を決めることが可能である。
例えば、有機ヒドロキシ化合物が「メタクリル酸2−ヒドロキシエチル」のリン酸化物の場合、以下のように帰属できる。
・1.8ppm〜2.6ppm:リン酸
・0.5ppm〜1.1ppm:単量体2(モノエステル体)
・-0.5ppm〜0.1ppm:単量体3(ジエステル体)
・-1.0ppm〜-0.6ppm:トリエステル体
・-11.1ppm〜-10.9ppm、-12.4ppm〜-12.1ppm:ピロリン酸モノエステル
・-12.0ppm〜-11.8ppm:ピロリン酸ジエステル
・-11.2ppm〜-11.1ppm:ピロリン酸
・それ以外のピーク:不明物
本発明では、混合単量体中のリン酸含量を定量して、混合単量体中の単量体2及び単量体3の比率を決める。具体的には以下のようにして算出する。
ガスクロマトグラフィーによって試料中のリン酸含量の絶対量(重量%)を求める。31P-NMRの結果から試料中のリン酸、モノ体、ジ体の相対モル比が求まるので、リン酸の絶対量を基準にして、モノ体、ジ体の絶対量を算出する。
[リン酸含量]
ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通り。
サンプル:ジアゾメタンによりメチル化
例)0.1gの試料にジアゾメタンのジエチルエーテル溶液1〜1.5ccを加えてメチル化する
カラム:Ultra ALLOY、15m×0.25mm(内径)×0.15μmdf
キャリアガス:He、スプリット比50:1
カラム温度:40℃(5min)(保持)→10℃/min(昇温)→300℃到達後15min保持
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
上記条件で9分前後にリン酸由来のピークが検出され、検量線法により未知試料中のリン酸含量を算出する事が出来る。
流動性及び粘性低減性の観点からは、モノエステル体を多く含有しているリン酸エステルの混合物を用いる方が良好であるが、ジエステル体を多く含有する場合でも、単量体1との共重合モル比を制御することで、流動性や粘性低減性を調整することができる。
単量体の共重合に際しては、単量体1と、単量体2、3とのモル比は、単量体1/(単量体2+単量体3)=5/95〜95/5、更に、10/90〜90/10が好ましい。また、単量体1と単量体2と単量体3のモル比は、単量体1/単量体2/単量体3=5〜95/3〜90/1〜80/(これは、単量体1が5〜95、単量体2が3〜90、単量体3が1〜80であることを意味する。ただし合計は100である)、更に5〜96/3〜80/1〜60が好ましい。なお、単量体2と単量体3については、酸型の化合物に基づきモル比やモル%を算出するものとする(以下、同様)。
また、本発明では、単量体3の比率を、反応に用いる全単量体中、1〜60モル%、更に1〜30モル%とすることができる。
また、単量体2と単量体3のモル比を、単量体2/単量体3=99/1〜4/96、更に99/1〜5/95とすることができる。
以下、ゲル化抑制、好適分子量の調整及び水硬性組成物用分散剤の性能設計の観点から、更に好ましい製造条件を説明する。このような観点から、本発明では、共重合の際に、単量体1〜3の合計モル数に対して4モル%以上、更に6モル%以上、特に8モル%以上の連鎖移動剤を使用することが好ましい。また、連鎖移動剤の使用量の上限は、単量体1〜3の合計モル数に対して好ましくは100モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは30モル%以下、特に好ましくは15モル%以下とすることができる。更に詳しくは、
(1)単量体1のnが3〜30の場合で、
(1−1)単量体2と単量体3の単量体1〜3中のモル比が50モル%以上の場合は、連鎖移動剤は、単量体1〜3に対して6〜100モル%、特に8〜60モル%を用いるのが好ましく、
(1−2)単量体2と単量体3の単量体1〜3中のモル比が50モル%未満の場合は、連鎖移動剤は、単量体1〜3に対して4〜60モル%、特に5〜30モル%を用いるのが好ましく、
(2)単量体1のnが30超の場合は、連鎖移動剤は、単量体1〜3に対して6〜50モル%、特に8〜40モル%を用いるのが好ましい。
連鎖移動剤は、後述のものを使用でき、溶液として、好ましくは単量体1〜3を含有する混合溶液に含有させて反応系に導入することが好ましい。該混合溶液に含有させる量は、最終的な仕込み量の全量でも一部でも良いが、全量を含有させることが好ましい。
本発明の製造方法においては、単量体2と3の反応率は60%以上、更に70%以上、更に80%以上、更に90%以上、特に95%以上を目標に行うことが好ましく、連鎖移動剤の使用量は、この観点から選定することができる。ここに、単量体2と3の反応率は、下記の式によって算出する。
Figure 0004884831
なお、反応開始時と反応終了時の反応系中のリン含有化合物中の単量体2と単量体3の割合(モル%)は、1H−NMRの測定結果に基づき算出することができる。
本発明に係るリン酸エステル系重合体の製造においては、上記単量体1〜3の他に、共重合可能なその他の単量体を用いることもできる。共重合可能な他の単量体としては、不飽和基を有するスルホン酸又はカルボン酸及びこれらの塩が挙げられる。例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、これら何れかのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩を挙げることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのアクリル酸系単量体を挙げることができ、またこれらの何れか1種以上のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、メチルエステル、エチルエステルや無水マレイン酸などの無水化合物であっても良い。更に、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メタスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−エタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、スチレン、スチレンスルホン酸などが挙げられる。全単量体中、単量体1〜3の合計の割合は、30〜100モル%、更に50〜100モル%、特に75〜100モル%が好ましく、更に、本発明のリン酸エステル系重合体に記載した分散剤としての性能を達成する観点からは、95モル%超〜100モル%、更に97〜100モル%である。共重合可能なその他の単量体は、混合溶液に含有させて反応系に導入しても、混合溶液とは別に反応系に導入しても、更に、これらを組み合わせて反応系に導入しても、何れで用いても良い。
反応系の単量体1、2、3及び共重合可能なその他の単量体の総量は、反応系中5〜80重量%が好ましく、10〜65重量%がより好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。
本発明の製造方法において、単量体1〜3の反応温度は、40〜100℃、更に60〜90℃が好ましく、反応圧力はゲージ圧で101.3〜111.5kPa(1〜1.1atm)、更に101.3〜106.4kPa(1〜1.05atm)が好ましい。
本発明では、ゲル化を防止する観点から、単量体1、単量体2、単量体3をpH7以下で反応させることが好ましい。本発明では、反応途中(反応開始時〜反応終了時)で採取した反応液の20℃でのpHを、反応中のpHとする。通常は、反応中のpHが7以下となることが明らかな条件(単量体比率、溶媒、その他の成分等)で反応を開始すればよい。
なお、反応系が非水系の場合は、pH測定可能な量の水を反応系に加えて測定することができる。
本発明では、単量体1を含有する液Aと、単量体2と3とを含有する液Bとを反応系に導入して共重合反応に用いる。液Aと液Bはそれぞれ別々に反応系に導入する。また、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入する。本発明で並行して反応系に導入するとは、液Aと液Bとを別の導入口から同時で反応系に導入することをいう。液A及び液Bの反応系への導入方法として、具体的には滴下及び噴霧が挙げられ、液A及び液Bの粘度の観点から滴下が好ましい。液Aは凝固点の観点から水を含む溶媒とすることが好ましく、液Bは加水分解の観点から水を含まない溶媒とすることが好ましい。液Aのノズル(導入口)と液Bのノズル(導入口)の距離は任意に設定できる。また、滴下は気中及び液中いずれも可能であるが、液を全て導入する観点から気中滴下が好ましい。ノズル径は液滴の表面積を大きくする点及び溶解性の点から小さい方が好ましい。このように液Aと液Bとを別々に反応系に導入することで、単量体2及び単量体3の水との接触機会を少なくし加水分解が抑制される。また、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入することで、各単量体がランダムに導入された共重合体が得られる。液Aと液Bの合計量の90重量%以上とは、言い換えると、反応系に単独で導入される液Aの量及び液Bの量が、反応系に導入される液Aの全量及び液Bの全量のそれぞれ10重量%未満であることことである。
共重合反応の際、その他の条件の考慮の下で、反応中のpHを7以下とすることが好ましい。このため、混合溶液のpHは7以下であることが好ましい。また、ゲルが生成しない等、反応全体に影響を及ぼさない範囲であれば、反応初期に一時的にpHが7を超える場合があってもよい。
なお、反応系のpHは、必要に応じて、無機酸(リン酸、塩酸、硝酸、硫酸等)や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンなどを用いて調整できる。
本発明では、反応中の反応系のpHを7以下にするために、液A及び液BのpHが7以下であることが好ましい。ここで、液A及び液Bは、pH測定上、含水系(すなわち、溶媒が水を含むこと)である事が好ましいが、非水系の場合には必要量の水を加えて測定しても良い。混合溶液の均一性、ゲル化防止、性能低下の抑制の観点で、pHは7以下であり、0.1〜6が好ましく、更に0.2〜4.5が好ましい。
最終的に単量体が導入された反応前の反応系(重合系)のpHは、重合体の分子量を制御する際の安定性、反応時のpH制御の容易性の観点から、20℃で6以下である事が好ましく、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは2以下となる事である。好ましくは、混合溶液のpH(反応開始時の反応系のpH)、反応途中の反応系のpH、反応終了時の反応系のpHが何れも7以下であることである。
[連鎖移動剤]
連鎖移動剤は、ラジカル重合における連鎖移動反応(成長しつつある重合体ラジカルが他の分子と反応してラジカル活性点の移動が起こる反応)をもたらす機能を有し、連鎖単体の移動を目的として添加される物質である。連鎖移動剤は溶解性と均一混合の観点から液Aに含有させることが好ましい。
連鎖移動剤としては、チオール系連鎖移動剤、ハロゲン化炭化水素系連鎖移動剤等が挙げられ、チオール系連鎖移動剤、特に水溶性チオール系連鎖移動剤が好ましい。
チオール系連鎖移動剤としては、−SH基を有するものが好ましく、特に一般式HS−R−Eg(ただし、式中Rは炭素原子数1〜4の炭化水素由来の基を表し、Eは−OH、−COOM、−COOR’または−SO3M基を表し、Mは水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基を表し、R’は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わし、gは1〜2の整数を表す。)で表されるものが好ましく、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げられ、単量体1〜3を含む共重合反応での連鎖移動効果の観点から、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノールが好ましく、メルカプトプロピオン酸が更に好ましい。これらの1種または2種以上を用いることができる。
ハロゲン化炭化水素系連鎖移動剤としては、四塩化炭素、四臭化炭素などが挙げられる。
その他の連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、2−アミノプロパン−1−オールなどを挙げることができる。連鎖移動剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
[重合開始剤]
本発明の製造方法では、重合の開始、反応率の向上、重合時間の短縮等の重合効率の観点から、重合開始剤を使用することが好ましく、特に、単量体1〜3の合計モル数に対して重合開始剤を5モル%以上、更に7〜50モル%、特に10〜30モル%使用することが好ましい。重合開始剤は、混合溶液とは別に反応系に導入することが好ましい。また、反応系導入前の重合反応防止抑制と得られる重合体の構造の観点から、液A及び液Bとは別に、且つ液A及び液Bと並行して反応系に導入することが好ましい。
水系の重合開始剤としては、過硫酸のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩あるいは過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート等の水溶性アゾ化合物が使用される。また、重合開始剤と併用して、亜硫酸水素ナトリウム、アミン化合物などの促進剤を使用することもできる。
[反応系の溶媒]
本発明の製造方法は、溶媒重合法で実施される。その際に使用される溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールアセトン、メチルエチルケトン等の水溶性有機溶媒が挙げられる。取り扱いと反応設備から考慮すると、水が好ましい。特に水系溶液を用いる場合、単量体2及び/又は単量体3を含む単量体溶液をpH7以下、更に0.1〜6、特に0.2〜4で反応に用いて共重合反応を行うことが、モノマー混液の均一性(取り扱い性)、モノマー反応率の観点や、リン酸系化合物のピロ体の加水分解により架橋を抑制する点で好ましい。本発明の製造方法において、重合溶媒は、単量体総重量に対して、0.1〜5重量倍、特に0.5〜4重量倍の比率で用いることが好ましい。
本発明の製造方法では、単量体1を含有する液Aと、単量体2と単量体3とを含有する液Bとをそれぞれ別々に調製する。すなわち、本発明は、液Bが反応系に導入(滴下)されるまでの間、水との接触を可能な限り抑制して、重合反応を行う製造方法である。全ての単量体を予め混合し、混合単量体として滴下、重合する製造方法も考えられるが、単量体1は凝固点の観点から、水溶液として取り扱われることが多く、この単量体1と、単量体2と単量体3の混合溶液が重合開始前に接触すると、リン酸エステルが加水分解されることになり、その環境(温度、水との接触時間など)により、得られる重合体は純度が低くなるとともに、その水硬性組成物用分散剤としての性能も低下傾向にある。したがって、本発明では、リン酸エステルの加水分解抑制の観点から、液Aと液Bとを別々に反応系に導入する。なお、水の接触による影響が小さいまたは接触が短時間である限り、反応系に導入される途中で、液Aと液Bが混合されてもよい。例えば、滴下された液Aと液Bが反応溶媒に達する前に合流して混合された状態で反応系に導入されてもよい。
さらに、共重合反応という観点から、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入する。好ましくは、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ95重量%以上、より好ましくは98重量%以上を並行して反応系に導入する。さらに実質100重量%、すなわち同時に導入を開始し、同時に導入が終了することが特に好ましい。
また液A、液Bの反応系への導入速度は、同一組成(共重合体の重合モル比)の共重合体を純度よく得る目的からは、導入開始から導入終了までの間、一定で供給することが好ましい。また、液A、液Bの少なくとも一方の導入速度を、導入開始から導入終了までに少なくとも2回変動させ、それを制御することで、共重合比の分布を広くした共重合体の製造を目的とする場合は、得られる性能(例えば低粘性と保持性の両立)に特徴を見出すことが可能となる点から、さらに好ましい。更に、液A及び液Bの少なくとも一方の導入速度を、導入開始から導入終了までに少なくとも2回変動させ、且つ導入速度の変動を平均導入速度の50〜150%の範囲で行うことが好ましい。また、変動後、導入開始から導入終了までの時間の5%以上に相当する時間の間、次の変動を行わないことが好ましい。
ここで、平均導入速度とは、液A又は液Bのうち、並行して反応系に導入される分についての概念であり、反応系への導入開始から導入終了までに要した時間に基づき算出される単位時間当たりの単量体導入量(液A又は液B中の単量体の全重量に対する重量%)いう。通常、単位は、重量%/minである。
液A及び液Bは、反応系への導入(例えば滴下)や作業性の観点から、それぞれ、20℃での粘度が50〜6000mPa・s範囲であることが好ましい。粘度は、B型回転粘度計(回転数30rpm、ロータNo.1〜4を粘度に対応して適宜使用する)で測定する。このような粘度にするには、液Aは、水で希釈して調整することが好ましい。A液の水の含有量は、液A中10重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。液Bの場合は、リン酸エステルの加水分解抑制の観点から、非水溶媒を添加し、20℃での粘度を50〜6000mPa・sの範囲にすることが好ましい。さらに反応系導入時の均一な溶解性もしくは作業性の点から、B液のこの粘度は50〜5500mPa・sが好ましく、100〜5000mPa・sがより好ましい。
液Bを上記粘度範囲するための非水溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、ヘキサン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどの有機溶剤、低粘度エステル類や、単量体1の原料である低級アルコールアルキレンオキシド付加物(アルキレンオキシド平均付加モル数2〜10)などが挙げられ、揮発性の観点から、メチルジグリコールやメタノールエチレンオキサイド(以下、EOと表記する)付加物(EO平均付加モル数3〜10)が、より好ましい。B液の水の含有量は、液B中10重量%以下が好ましい。また、非水溶媒のみを用いて水を添加しないことが好ましい。
また液A、液Bの導入時の温度は、反応系導入時の均一な溶解性もしくは分散性の点から、20〜60℃であることが好ましい。
なお、液A中の単量体1の濃度、液B中の単量体2及び単量体3の濃度は、導入時間や反応装置などにより適宜調整すればよい。
工業的な重合反応において、反応系への遷移金属イオンの混入は、単量体原料由来、希釈水由来、または原料貯槽タンク、反応槽、配管の腐食由来などが考えられるが、その混入量の予想は非常に困難である。このため、本発明では、キレート剤の存在下で重合することが好ましい。
本発明の製造方法の一例を示す。反応容器に所定量の水を仕込み、窒素等の不活性気体で雰囲気を置換し昇温する。予め単量体1と連鎖移動剤を水に混合溶解した液Aと、単量体2と単量体3を非水溶媒に混合溶解した液Bと、重合開始剤を水に溶解した重合開始剤溶液とを用意し、反応容器に同時に滴下を開始する。更に滴下は、0.5〜5時間かけて滴下速度を制御して、液Aと液Bの滴下を同時に完了する。滴下を待つ混合溶液の温度は20〜60℃に維持する。
その際、単量体溶液の均一性、ゲル化防止及び性能低下の抑制の観点から、反応系はpH7以下が好ましい。また、アルカリ剤等により、好ましくはpHを7以下に維持して共重合反応を行い、好ましくは所定時間の熟成を行う。なお、重合開始剤は、全量を混合溶液と同時に滴下しても良いし、分割して添加しても良いが、分割して添加することが未反応単量体の低減の点では好ましい。例えば、最終的に使用する重合開始剤の全量中、1/2〜5/6の重合開始剤を混合溶液と同時に添加し、残部を混合溶液滴下終了後1〜2時間熟成した後、添加することが好ましい。必要に応じ、熟成終了後に更にアルカリ剤(水酸化ナトリウム等)で中和し、本発明に係るリン酸エステル系重合体を得る。本発明の製造方法により得られるリン酸エステル系重合体は、酸型のままでも水硬性組成物用分散剤として使用することができるが、酸性によるエステルの加水分解を抑制する観点から、アルカリによる中和によって塩の形にすることが好ましい。このアルカリとしては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノ、ジ又はトリアルカノール(炭素数2〜6が好ましい)アミン等を挙げることができる。
本発明のリン酸エステル系重合体の製造方法により、以下に述べるリン酸エステル系重合体が得られる。
すなわち、前記単量体1を含有する液Aと、前記単量体2と前記単量体3とを含有する液Bとを、それぞれ別々に反応系に導入し、反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入するリン酸エステル系重合体の製造方法により得られるリン酸エステル系重合体である。
本発明のリン酸エステル系重合体は、重量平均分子量(以下Mwと表記する)が10,000〜150,000であることが好ましい。分散効果の発現や粘性低減効果の観点から、Mwが10,000以上であり、好ましくは12,000以上、さらに好ましくは13,000以上、より好ましくは14,000以上、特に好ましくは15,000以上で、架橋による高分子量化、ゲル化の抑制や性能面では分散効果や粘性低減効果の観点から、150,000以下であり、好ましくは130,000以下、さらに好ましくは120,000以下、より好ましくは110,000以下、特に好ましくは100,000以下であり、前記両者の観点から、好ましくは12,000〜130,000、より好ましくは13,000〜120,000、さらに好ましくは14,000〜110,000、特に好ましくは15,000〜100,000である。この範囲のMwを有し、かつMw/Mnが1.0〜2.6であることが好ましい。ここで、Mnは数平均分子量である。
上記のような本発明のリン酸エステル系重合体のMw/Mnは、実用的な製造容易性、分散性、粘性低減効果、及び材料、温度に対する汎用性を確保する観点から、1.0以上であり、分散性及び粘性低減効を両立する観点から、2.6以下であり、好ましくは2.4以下、より好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.8以下であり、前記2点を総合した観点から、好ましくは1.0〜2.4、より好ましくは1.0〜2.2、より好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.8である。
本発明のリン酸エステル系重合体のMw及びMnは、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されたものである。なお、本発明におけるリン酸エステル系重合体のMw及びMnは、該重合体のピークに基づいて算出されたものとする。
[GPC条件]
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:ポリエチレングリコール換算
また、上記条件でのGPC法で得られる分子量分布を示すチャートのパターンにおいて、分子量10万以上の面積が当該チャート全体の面積の5%以下であることが、分散性(必要添加量低減)や粘性低減効果の点でより好ましい。
《水硬性組成物用分散剤》
本発明のリン酸エステル系重合体は、水硬性組成物用分散剤として、各種セメントを始めとし、水和反応によって硬化性を示すあらゆる無機系の水硬性粉体に使用することができる。本発明の重合体を含有する水硬性組成物用分散剤は粉末状でも液体状でもよい。液体状の場合は、作業性、環境負荷低減の観点から、水を溶媒ないし分散媒とするもの(水溶液等)が好ましい。本発明の分散剤中、本発明の重合体の含有量は、固形分中、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは15〜100重量%、更に好ましくは20〜100重量%である。また、液体状の場合、固形分濃度は、製造容易性、作業性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜35重量%である。また、本発明の分散剤は、水硬性粉体100重量部に対し、重合体の固形分濃度で0.02〜1重量部、0.04〜0.4重量部の比率で用いられることが、分散効果の点で好ましい。
セメントとして、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。セメント以外の水硬性粉体として、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてよい。セメントと混合されたシリカヒュームセメントや高炉セメントを用いてもよい。
本発明の水硬性組成物用分散剤は、その他の添加剤(材)を含有することもできる。例えば、樹脂石鹸、飽和もしくは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルカンスルホネート、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル(塩)、蛋白質材料、アルケニルコハク酸、α−オレフィンスルホネート等のAE剤;グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカルボン酸系、デキストリン、単糖類、オリゴ糖類、多糖類等の糖系、糖アルコール系等の遅延剤;起泡剤;増粘剤;珪砂;AE減水剤;塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、沃化カルシウム等の可溶性カルシウム塩、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物等、硫酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸塩、チオ硫酸塩、蟻酸(塩)、アルカノールアミン等の早強剤又は促進剤;発泡剤;樹脂酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等の防水剤;高炉スラグ;流動化剤;ジメチルポリシロキサン系、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル系、鉱油系、油脂系、オキシアルキレン系、アルコール系、アミド系等の消泡剤;防泡剤;フライアッシュ;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系、アミノスルホン酸系、ポリマレイン酸系を含むポリカルボン酸系等の高性能減水剤;シリカヒューム;亜硝酸塩、燐酸塩、酸化亜鉛等の防錆剤;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、β−1,3−グルカン、キサンタンガム等の天然物系、ポリアクリル酸アミド、ポリエチレングリコール、オレイルアルコールのEO付加物もしくはこれとビニルシクロヘキセンジエポキシドとの反応物等の合成系等の水溶性高分子;(メタ)アクリル酸アルキル等の高分子エマルジョンが挙げられる。
また、本発明の水硬性組成物用分散剤は、生コンクリート、コンクリート振動製品分野の外、セルフレベリング用、耐火物用、プラスター用、石膏スラリー用、軽量又は重量コンクリート用、AE用、補修用、プレパックド用、トレーミー用、地盤改良用、グラウト用、寒中用等の種々のコンクリートの何れの分野においても有用である。
《水硬性組成物》
また、本発明の分散剤の対象となる水硬性組成物は、水/水硬性粉体比〔水硬性組成物中の水と水硬性粉体の重量百分率(重量%)、以下、W/Pと表記する。〕が65%以下、更に10〜60%、より更に12〜57%、特に低粘性効果が発揮される点で、15〜55%、更に20〜55%であってもよい。
また、本発明の水硬性組成物は、本発明の製造方法により得られたリン酸エステル系重合体、水及び水硬性粉体(セメント)を含有する、ペースト、モルタル、コンクリート等であるが、骨材を含有してもよい。骨材として細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
実施例1
《反応容器》
撹拌機付きガラス製反応容器(四つ口フラスコ)に水375gを仕込み、撹拌しながら窒素置換をし、窒素雰囲気中で80℃まで昇温した。
《混合溶液(1)》
ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(EOの平均付加モル数23)を有効分60.8%、水分35%になるように適量の水を加えて、70℃で溶解させた後、40℃まで冷却した単量体水溶液450gに3−メルカプトプロピオン酸4.5gを混合する《混合温度40℃》。
《混合溶液(2)》
リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルとリン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステルの混合物であるリン酸エステル化物(A)71.6gに非水溶媒としてメチルジグリコール3.6gを混合する(混合溶液粘度:4000mPa・s/温度20℃)《混合温度40℃》。
《重合開始剤溶液》
過硫酸アンモニウム.8.5gを水48gに溶解する。
《滴下導入までの条件》
混合溶液(1)及び(2)の調製後、反応容器に滴下導入開始するまで、40℃で1時間保持した。
《滴下導入条件》
混合溶液(1)及び(2)さらに重合開始剤溶液とを、前記反応容器に、3つの溶液を別々に同時に滴下を開始し、100分かけて滴下した。
なお、滴下時間内の混合溶液(1)と混合溶液(2)の滴下速度は、それぞれ1重量%/minであり一定とした。また、その際、各混合溶液は、反応系中に導入するまで温度を滴下導入までの条件と同じ温度である40℃に維持した。
滴下終了後、1時間の熟成後、過硫酸アンモニウム1.8gを水10gに溶解したものを30分かけて滴下し、その後1.5時間同温度(80℃)で熟成した。熟成終了後に32%水酸化ナトリウム水溶液59gで中和し、リン酸エステル系重合体を得た。
なお、本実施例及び以下の実施例、比較例で使用したリン酸エステル化物(A)は、反応容器中にメタクリル酸2-ヒドロキシエチル200gと85%リン酸(H3PO4)36.0gを仕込み、5酸化2リン(無水リン酸)(P2O5)89.1gを温度が60℃を超えないように冷却しながら徐々に添加した後、反応温度を80℃に設定し、6時間反応させ、冷却して得られたものである。
実施例2
《混合溶液(1)》の混合温度を70℃、《混合溶液(2)》の混合温度を70℃、非水溶媒としてメタノールEO付加物(平均EO付加モル数9モル)をリン酸エステル化物(A)の重量の10%を配合(混合溶液粘度:4500mPa・s/温度20℃)、《滴下導入までの条件》を70℃、1.5時間とし、それ以外の条件は、実施例1と同様とした。
実施例3
《混合溶液(2)》の非水溶媒としてメタノールEO付加物(平均EO付加モル数6モル)をリン酸エステル化物(A)の重量の8%を配合(混合溶液粘度:4200mPa・s/温度20℃)、《滴下導入までの条件》を40℃、96時間とし、それ以外の条件は、実施例1と同様とした。
実施例4
表1のA−2の共重合体の仕込み原料(単量体及び仕込み比率)とし、連鎖移動剤量、重合開始剤量を、得られる重合体の重量平均分子量が32000〜38000となるように調整して用い、その他は実施例1と同様にした。
実施例5
表1のA−3の共重合体の仕込み原料(単量体及び仕込み比率)とし、連鎖移動剤量、重合開始剤量を、得られる重合体の重量平均分子量が20000〜24000となるように調整して用い、その他は実施例1と同様にした。
比較例1
《混合溶液(1)》と《混合溶液(2)》の全ての単量体を一括して混合した混合溶液を調製し、混合温度を70℃、さらに非水溶媒は配合しないで、《滴下導入までの条件》を70℃、1.5時間とし、単量体混合溶液と重合開始剤溶液とを別々に反応容器に同時に滴下した以外は、実施例1と同様とした。
比較例2
《混合溶液(1)》と《混合溶液(2)》の全ての単量体を一括して混合した混合溶液を調製し、混合温度を40℃、さらに非水溶媒は配合しないで、《滴下導入までの条件》を40℃、96時間とし、単量体混合溶液と重合開始剤溶液とを別々に反応容器に同時に滴下した以外は、実施例1と同様とした。
実施例6
《混合溶液(1)》の混合温度を70℃、《混合溶液(2)》の混合温度を70℃、《滴下導入までの条件》を70℃、1時間とし、混合溶液(2)の《滴下導入条件》を、滴下開始から30分まで1.35重量%/min、30分から70分まで1.0重量%/min、70分から滴下終了まで0.65重量%/min(平均滴下速度に対して変動幅65%〜135%)とした以外の条件は、実施例1と同様とした。
実施例7
混合溶液(1)《滴下導入条件》を、滴下開始から10分まで1.2重量%/min、10分から90分まで1.0重量%/min、90分から滴下終了まで0.8重量%/min(平均滴下速度に対して変動幅80%〜120%)とした以外の条件は、実施例1と同様とした。
実施例8
混合溶液(2)の《滴下導入条件》を、滴下開始から30分まで1.6重量%/min、30分から70分まで1.0重量%/min、70分から滴下終了まで0.4重量%/min(平均滴下速度に対して変動幅40%〜160%)とした以外の条件は、実施例1と同様とした。
上記実施例及び比較例は、下記表1の仕込原料による重合体No.A−1〜A−3の何れかの製造に該当する。また、各実施例、比較例を複数行った場合のリン酸エステル系重合体の重量平均分子量(Mw)と反応率を表2、表3にまとめた。
Figure 0004884831
表中の記号は以下のものである。
・MEPEG−E:ω−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート
・HEMA−MPE:リン酸モノ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル
・HEMA−DPE:リン酸ジ−〔(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸〕エステル
Figure 0004884831
Figure 0004884831
(注)
表2、表3における重合反応は1〜3回目を連続して行わず日を変えて行い、更に各単量体のロットも異なる原料を用いた。また、「分離滴下」は、混合溶液(1)と混合溶液(2)とを別々に滴下したことを、「混合滴下」は、全単量体を混合した混合溶液を滴下したことを意味する。
<試験例>
上記製造方法で得られたリン酸エステル系重合体を用いて、表4の配合のモルタルに対する試験を行った。結果を表5、6に示す。評価は、分散性及び粘性を、以下の方法で行った。
(1)モルタル配合
Figure 0004884831
表4中の使用材料は以下のものである。
C:普通セメント(太平洋セメント株式会社製普通ポルトランドセメントと住友大阪セメント株式会社製普通ポルトランドセメントの1:1混合物)
W:イオン交換水
S:千葉県君津産山砂(3.5mm通過品)
W/C:水(W)とセメント(C)の重量百分率(重量%)
(2)モルタルの調製
容器(1Lステンレスビーカー:内径120mm)に、表4に示す配合の約1/2量のSを投入し、次いでCを投入、さらに残りのSを投入し、撹拌機としてEYELA製Z−2310(東京理化器械、撹拌棒:高さ50mm、内径5mm×6本/長さ110mm)を用い、200rpmで空練り25秒後、予め混合しておいた分散剤と水の混合溶液を5秒かけて投入し、投入後30秒間で壁面や撹拌棒の間の材料を掻き落し、水を投入後3分間混練し、モルタルを調製した。なお、必要に応じて消泡剤を添加し、連行空気量が2%以下となるように調整した。
(3)評価
(3−1)流動性
上部開口径が70mm、下部開口径が100mm、高さ60mmのコーンを使用し、モルタルフロー値が200mmとなるのに必要な共重合体の添加量(セメント100重量部に対する有効分の重量部)により流動性を評価した。なお、このモルタルフロー値の200mmは、モルタルフロー値の最大値と、該最大値を与える線分の1/2の長さで直交する方向で測定したモルタルフロー値との平均値である。添加量が小さい程、分散性が強いことを現す。
(3−2)粘性
図1に示すトルク試験機に記録計を接続し、モルタルフロー200mmのトルクを測定する。予め、図2に示すポリエチレングリコール(Mw20,000)で作成したトルク−粘度の関係式より、モルタルのトルクから粘性を算出した。ポリエチレングリコールのトルク−粘度関係式作成時に、モニター出力60W、出力信号DC0−5Vにより、記録計からトルク出力電圧値(mV)が記録される。
(3−3)流動保持性
前記(3−1)の流動性の評価の際に得られたモルタルフロー200mmのモルタルを30分間静置後、ハンドスコップにより軽く撹拌し、同様の方法で流動性を測定し、流動性の差を流動保持性の評価とした。
Figure 0004884831
Figure 0004884831
実施例1〜5では、分子量変動が少なく、反応率も高く、純度の高い共重合体が得られている。また、同じ単量体組成(A−1)の比較で、実施例1〜3は比較例1及び2に比べ得られる分散効果(必要添加量)、粘性低減効果(モルタル粘性)も再現性良く同様の性能が得られた。実施例4は、水硬性粉体への吸着基となるリン酸基(単量体2及び3)の比率が少なく、流動保持効果に優れる重合体である。混練直後のモルタル粘性は大きな値を示しているが、30〜60分後に流動性を発現するものである。
実施例6〜7では、平均共重合組成比及び重量平均分子量はほぼ同等ながら、組成比などの分布を広くすることができ、その結果、得られる粘性低減効果(モルタル粘性)、流動保持性がさらに再現性良く、良好な性能が得られた。
さらに実施例1、実施例6〜8の平均導入速度では、その変動幅が50〜150%程度の範囲であれば、得られる分散効果がさらに良好となることがわかる。
実施例、比較例で粘性の測定に用いたトルク試験機と記録計の概略図 実施例、比較例で粘性の算出に用いたポリエチレングリコール(Mw20,000)によるトルク−粘度の関係式

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体1と、下記一般式(2)で表される単量体2と、下記一般式(3)で表される単量体3とを重合してなるリン酸エステル系重合体の製造方法であって、
    前記単量体1を含有する液Aと、前記単量体2と前記単量体3とを含有する液Bとを、それぞれ別々に反応系に導入し、
    反応系に導入される液A及び液Bの全量のそれぞれ90重量%以上を並行して反応系に導入し、
    液Aが溶媒として水を含有し、
    液Bが溶媒として非水溶媒のみを含有する、
    リン酸エステル系重合体の製造方法。
    Figure 0004884831

    〔式中、R1、R2は、それぞれ水素原子又はメチル基、R3は水素原子又は-COO(AO)nX、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基、nはAOの平均付加モル数であり、3〜200の数、Xは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基を表す。〕
    Figure 0004884831

    〔式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は炭素数2〜12のアルキレン基、m1は1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。〕
    Figure 0004884831

    〔式中、R6、R8は、それぞれ水素原子又はメチル基、R7、R9は、それぞれ炭素数2〜12のアルキレン基、m2、m3は、それぞれ1〜30の数、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を表す。〕
  2. 液A及び液Bの少なくとも一方の導入速度を、導入開始から導入終了までに少なくとも2回変動させ、且つ導入速度の変動を平均導入速度の50〜150%の範囲で行う、請求項1記載のリン酸エステル系重合体の製造方法。
  3. さらに重合開始剤を液A及び液Bと並行して反応系に導入する請求項1又は2記載のリン酸エステル系重合体の製造方法。
  4. 液Aが連鎖移動剤を含有する請求項1〜3いずれか記載のリン酸エステル系重合体の製造方法。
  5. 液A及び液Bの20℃での粘度がそれぞれ50〜6000mPa・sの範囲である請求項1〜4いずれか記載のリン酸エステル系重合体の製造方法。
  6. 得られるリン酸エステル系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.0〜2.6である請求項1〜5の何れか1項記載のリン酸エステル系重合体の製造方法。
  7. 液Bの非水溶媒が、低級アルコールアルキレンオキシド付加物(アルキレンオキシド平均付加モル数2〜10)である請求項1〜6の何れか1項記載のリン酸エステル系重合体の製造方法。
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