JP4884422B2 - 光波長合分波回路 - Google Patents

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Description

本発明は、光波長合分波回路に関し、より詳細には、アレイ導波路回折格子型の光波長合分波回路に関する。
シリコン基板上に形成した石英系ガラス導波路によって構成されたプレーナ光波回路(PLC)の研究開発が盛んに行われている。かかるPLC技術を利用した、アレイ導波路回折格子(AWG)は、光波長合分波を実現する回路であり、光通信用の部品として重要な役割を果たしている。
AWGは、合分波される光の透過波長に温度依存性を有する。これは、AWGを構成する石英系ガラス導波路の実効屈折率が温度依存性を有する故である。そのため通常のAWGにおいては、波長透過特性を一定に保持するために、温度調節装置を付加する必要があった。
AWGに付加的に必要とされた温度調節装置を省略するため、AWGの透過波長の温度依存性を低減する方法が開発されている。この方法について、特許文献1及び2に開示されている。透過波長の温度依存性を低減したAWGは、「温度無依存AWG」または「アサーマルAWG」と呼ばれる。アサーマルAWGは、AWG内の各光路(アレイ導波路またはスラブ導波路)において、光波の進行軸に交差するように溝を形成し、その溝に導波路の実効屈折率の温度係数とは異なる屈折率温度係数を有する材料(以下「温度補償材料」という。)を挿入することによって実現される。温度補償材料は、アレイ導波路において温度変化によって生ずる光路長差変化を相殺する。特にスラブ導波路に溝を形成する構成は、非アサーマルAWGに比較して、回路面積の増大が無いという長所を有する。
図21は、従来技術における、スラブ導波路に溝を形成するタイプのアサーマルAWG2107の構成を示す平面図である。ここで、2101は第1の入出力導波路、2102は第1のスラブ導波路、2103はアレイ導波路、2104は第2のスラブ導波路、2105は第2の入出力導波路、2106は溝であり、溝2106には温度補償材料が充填されている。ここでは溝2106は第1のスラブ導波路2102に形成されている。また図22は、図21のアサーマルAWGにおいて、XXII−XXII線に沿った断面図である。ここで、2108はシリコン基板、2109は導波路コア、2110はクラッドである。溝2106は導波路コア2109およびクラッド2110の一部を取り除いて形成されており、導波路コア2109を分断している。
アサーマルAWG2107は、第1の入出力導波路2101に入力した波長多重信号光を第2の入出力導波路2105の各導波路へ分波し、波長チャネルごとの信号光として出力する機能と、第2の入出力導波路2105の各導波路に入力した波長チャネルごとの信号光を、第1の入出力導波路2101へ合波し、波長多重信号光として出力する機能を有し、光波長合分波回路として動作する。
また図21において、溝2106は複数の溝に分割されている。これは、単一の溝よりも、放射損失を低減することが可能だからである。図21においてi番目のアレイ導波路の光路長Liは、Li=L1+(i−1)・ΔLと表され、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。これに応じて、各アレイ導波路に入力する光波が、第1のスラブ導波路2102において溝2106によって分断される長さの和Li’は、L1’+(i−l)ΔL’と表され、ΔLに比例した量ΔL’ずつ順次長くなるような形状をしている。このときAWGの第1の入出力導波路2101から第2の入出力導波路2102の中央の導波路への透過中心波長λc
Figure 0004884422
と表される。ここで、naはアレイ導波路の実効屈折率、nsはスラブ導波路の実効屈折率、n’は温度補償材料の屈折率であり、MはAWGの回折次数であって、naΔL−nsΔL’+n’ΔL’はAWGにおける隣接する光経路の距離の差、すなわち光路長差を示している。このとき、n’はnsに近く、溝における光波の屈折角は十分小さいと仮定している。ここでαはアレイ導波路およびスラブ導波路の実効屈折率温度係数(α=dna/dT=dns/dT、Tは温度)、α’は温度補償材料の屈折率温度係数(α’=dn’/dT)であるとすると、アサーマルAWGでは、ΔL’/(ΔL−ΔL’)=−α/α’すなわちΔL’=ΔL/(1−α’/α)と設計されている。これにより、アレイ導波路およびスラブ導波路での光路長差の温度変化が、溝に充填された温度補償材料の光路長差の温度変化によって相殺され、透過中心波長の温度依存性が補償されている。
温度補償材料としては、特にα’がαと異符号であり、かつ|α’|が|α|に比較して十分大きいような材料が好ましい。このような条件の材料としては、例えば光学樹脂であるシリコーン樹脂があり、α’はおよそ−35×αである。
国際公開第WO98/36299号パンフレット 特許第3498650号公報
前述したような設計のアサーマルAWGであるが、透過中心波長の温度依存性を完全に補償できるわけではない。これは、主に石英ガラス導波路の実効屈折率に、1次に加えて2次の温度係数が存在するため、すなわちα=α1+α2Tの形となっているためである。具体的にはα1=1.0×10-5、α2=1.9×10-8程度(Tの単位は℃)である。従来技術によるアサーマルAWGでは、この1次係数α1に起因する光路長差の1次の温度変動のみを補償している。
ここで図21のアサーマルAWGを例として、導波路の比屈折率差(Δ)1.5%、コア厚4.5μm、第1の入出力導波路2101、アレイ導波路2103、第2の入出力導波路2105のコア幅は4.5μmであり、波長チャネル数(第2の入出力導波路2105の導波路本数)40、チャネル波長間隔0.8nm(100GHz)、温度補償材料はシリコーン樹脂(α’=−3.5×10-4)とする。このときアレイ導波路の本数は150本、ΔLは34μmである。ここで溝2106に充填された温度補償材料によって与えられるべき経路長差ΔL’は、ΔL’=ΔL/(1−α’/α)=ΔL/(1−α’/(α1+α2T))となり、T=20℃での条件を考えると、ΔL′=0.98μmとなる。このアサーマルAWGの中央波長チャネルにおける、透過中心波長の相対的な温度依存性を図23に示す。図からわかるよう、T=20℃を最小とし、2次関数的な微小波長変動が残留している。
このように、従来技術によるアサーマルAWGにおいては、透過中心波長の温度依存性が僅かながら残留しており、その影響を最小限にするため、使用温度領域の中央温度において、透過中心波長が最小値となるよう、設計を行っていた。しかしながら、透過中心波長が最小値をとる温度には、波長チャネル(出力ポート)依存性が存在していた。これは、アサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路の実効屈折率の温度依存性に起因するものである。
ここで具体的に、前述した波長チャネル数40、チャネル波長間隔0.8nmのアサーマルAWGを再び考える。図24は、第2のスラブ導波路2104とその近傍を拡大した平面図である。図上、アレイ導波路2103の導波路間隔をdとし、第2の入出力導波路2105の導波路間隔をDとする。第2のスラブ導波路2104においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路2104の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。j=21番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路2104に接続している。このとき、j=K番目の入出力導波路の透過中心波長λK
Figure 0004884422
と表される。ただし、θは点Pから点Qを基準に当該の入出力導波路を望む角度であり、θ=D(K−21)/Fと求められる。図25には、このアサーマルAWGの端、および中央波長チャネル(j=1、21、40)における、透過中心波長の相対的な温度依存性を示す。また図26には、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル(j)依存性を示す。図から、チャネルj=1では、透過中心波長が最小値となる温度が22.9℃であり、jに応じて徐々に低温に変化し、j=40℃では17.3℃である。よって、透過中心波長が最小値となる温度には、約6℃の波長チャネル依存性があることが分かる。
上述のような温度変化の波長チャネル依存性のため、中央の波長チャネルにおける透過中心波長の最小値をとる温度が、アサーマルAWGの使用温度領域の中央温度となるよう設計されていたとしても、端部の波長チャネルにおける同様の最小値をとる温度は、中央温度からずれてしまい、結果的に全波長チャネルでの使用温度領域は、より制限されてしまうという課題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アサーマルAWGにおいて残留する透過中心波長の温度特性の波長チャネル依存性を低減して、全波長チャネルでの使用温度領域を比較的広くすることのできる、アサーマルAWG(アレイ導波路回折格子)型の光波長合分波回路を提供することにある。
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、予め定めた光路長差で順次長くなる導波路を有するアレイ導波路と、前記アレイ導波路の両端部に接続され、長さがFである第1のスラブ導波路および第2のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された第1の入出力導波路と、前記第2のスラブ導波路に接続された第2の入出力導波路とを備えるアレイ導波路回折格子型の波長合分波回路であって、前記第1の入出力導波路は、単一の導波路を有し、前記第2の入出力導波路は、複数の導波路を有し、前記第1の入出力導波路に入力した波長多重信号光を前記第2の入出力導波路の各導波路へ分波する機能、および前記第2の入出力導波路の各導波路に入力した波長チャネル光を前記第1の入出力導波路へ合波する機能を有し、少なくとも前記第2のスラブ導波路には、光波の進行方向に交差して導波路を分断する溝が配置され、前記溝には、前記溝が配置された導波路の実効屈折率の温度係数αと異符号でかつ絶対値の大きい屈折率温度係数α’を有する材料が充填されて、前記第1の入出力導波路から前記第2の入出力導波路の中央の導波路に至る経路において温度変化によって生ずる1次の光路長差変化が補償され、前記第2のスラブ導波路に形成された溝の光波の進行方向に対する幅の平均値は、予め定めた環境温度においてF/(1−α’/α)に等しいことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1のスラブ導波路には溝が形成されていないことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記溝は、前記第1のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する溝と、前記第2のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が変化しない溝とを備えることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記溝は、前記第1のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する溝と、前記第2のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する溝とを備えることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかにおいて、前記溝は、光波の進行方向に配列された複数の溝から構成されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかにおいて、前記溝が配置された導波路は、石英系ガラスで構成され、前記溝に充填された材料は、光学樹脂であることを特徴とする。
本発明によれば、第2のスラブ導波路に形成された溝の光波の進行方向に対する幅の平均値を、予め定めた環境温度においてF/(1−α’/α)に等しくすることにより、アサーマルAWGにおいて残留する透過中心波長の温度特性の波長チャネル依存性を低減して、全波長チャネルでの使用温度領域を比較的広くすることのできる、アサーマルAWG(アレイ導波路回折格子)型の光波長合分波回路を提供することができる。
本発明が解決しようとする課題は、アサーマルAWGの第2のスラブ導波路における、実効屈折率の温度依存性に起因している。式(2)において、右辺{naΔL−nsΔL’+n’ΔL’}/Mの項は式(1)と一致する。この項の分子は、第1の入出力導波路から第2の入出力導波路の中央の導波路(中央の波長チャネル)へ至る経路での光路長差を表しており、その温度依存性は補償されている。他方、nsdθ/Mの項は、第2の入出力導波路のどの導波路を使用するかによって決まる量、すなわち波長チャネル依存性を表す項である。この項の分子は、第2のスラブ導波路において生じる光路長差を表しており、その温度依存性は補償されていない。よって、この第2のスラブ導波路において生じる光路長差nsdθの温度依存性を補償することが、上述した課題を解決する手段になると考えられる。
図1は、第2のスラブ導波路において生じる光路長差の温度依存性を補償する手段を説明する図であり、アサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路とその近傍を拡大した平面図である。ここで101はアレイ導波路、102は第2のスラブ導波路、103は第2の入出力導波路である。アレイ導波路101の本数はNa(i=1、2、・・・、Na)であり、その導波路間隔はd、第2の入出力導波路103の本数(波長チャネル数)はNo(j=1、2、・・・、No)であり、その導波路間隔はDである。第2のスラブ導波路102においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路102の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。i=Na/2番目のアレイ導波路は点Pの位置で第2のスラブ導波路102に接続しており、j=No/2番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路102に接続している。そして、第2のスラブ導波路102には、アレイ導波路101と第2の入出力導波路103を結ぶ全ての線分と交差し、一定の幅L’cを有する溝104が形成され、シリコーン樹脂が充填されている。この構成により、j=K番目の第2の入出力導波路に対して、第2のスラブ導波路102において生じる光路長差は、{ns(1−L’c/F)+n’L’c/F}dθとなる。ただしここで、θ=D(K−No/2)/Fである。
ここでαは第2のスラブ導波路の実効屈折率温度係数(α=dns/dT)、α’は温度補償材料の屈折率温度係数(α’=dn’/dT)であるとすると、(1−L’c/F):L’c/F=−α’:α、すなわち
Figure 0004884422
と設計すれば、第2のスラブ導波路102において生じる光路長差の温度依存性が補償される。ただしL’c<Fでなければならないので、α’<0であることが必要である。すなわち温度補償材料の屈折率温度係数(α’)は、負値であることが必要である。ここで、シリコーン樹脂はα’<0であるからこの要求を満たす。シリコーン樹脂のような負のα’を有する温度補償材料を適用する場合においては、式(3)の条件は、溝104の幅L’cと、第2のスラブ導波路102において残された導波路の長さF−L’cの比が、第2のスラブ導波路102の実効屈折率温度係数の絶対値|α|と、温度補償材料の屈折率温度係数の絶対値|α’|比に等しい、ということに対応する。またこのとき|α’|が|α|に比べて十分大きいことが好ましい。これはL’cを小さく設計できるので、溝104における過剰損失を小さく抑えることができるためである。シリコーン樹脂はこの意味において好適な温度補償材料である。加えて、溝104は複数の溝に分割されていてもよい。分割は溝における過剰損失の更なる低減に効果的である。その場合、分割された各溝の幅の総和がL’cの条件を満足すれば、第2のスラブ導波路102で生じる光路長差の温度依存性が補償される。
図1において、溝104の幅が、1次関数的に変化する場合の構成を図2に示す。図において、各符号の説明は図1と同様であるが、溝104においては、その幅が図の下から上の方向に、1次関数的に変化している。この場合、第2のスラブ導波路102において生じる光路長差を厳密に補償することはできないが、第2のスラブ導波路102の中心軸である線分PQと交差する溝104の幅L’cが、式(3)を満たすようにすれば、上述した光路長差の温度依存性は最大限に補償される。ここで溝104の幅は1次関数的に変化するので、L’cは溝104の幅の平均値と言い換えることができる。
従来技術によるアサーマルAWGに関して、特許文献1および特許文献2においては、温度補償材料を充填する溝の一部または全部を、第2のスラブ導波路に形成する構成が開示されている。この場合には溝での過剰損失をなるべく抑制するため、式(1)を満足する範囲で溝幅がなるべく小さくなるように、すなわち各溝の最小溝幅がなるべくゼロに近くなるように設計されている。よってこの設計においては、各溝幅の平均値の総和L’cが、式(3)の条件を満足することはできなかった。
図3は、従来技術による、第2のスラブ導波路に溝を形成するアサーマルAWGの構成を示す平面図である。ここで、301は第1の入出力導波路、302は第1のスラブ導波路、303はアレイ導波路、304は第2のスラブ導波路、305は第2の入出力導波路、306は溝であり、溝306には温度補償材料が充填されている。また溝306はここでは8つの溝に分割されている。これは、単一の溝よりも、放射損失を低減することが可能だからである。図3においてj番目のアレイ導波路の長さLiは、Li=Ll+(i−1)・ΔLと表され、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。これに応じて、各アレイ導波路を通過する光波が、第2のスラブ導波路304において溝306によって分断される長さの和Li’は、Li’=Ll’+(i−1)ΔL’と表され、ΔLに比例した量ΔL’ずつ順次長くなるような形状をしている。図3のアサーマルAWGの例として、導波路のΔ1.5%、コア厚4.5μm、実効屈折率温度係数α=1.0×10-5+1.9×10-8×T(Tは単位℃での温度)、第1の入出力導波路301、アレイ導波路303、第2の入出力導波路305のコア幅は4.5μmであり、波長チャネル数(第2の入出力導波路305の導波路本数)40、チャネル波長間隔0.8nm(100GHz)、温度補償材料はシリコーン樹脂(屈折率温度係数α’=−3.5×10-4)とする。このときアレイ導波路の本数は150本、ΔLは34μmである。ここで溝306に充填された温度補償材料によって与えられる経路長差ΔL’は、T=20℃として、ΔL’=ΔL/(1−α’/α)=0.98μmである。
図4は、図2のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路304とその近傍を拡大した平面図である。図上、アレイ導波路303の導波路間隔をdとし、第2の入出力導波路305の導波路間隔をDとする。第2のスラブ導波路304においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路304の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。j=21番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路304に接続している。ここでd=9μm、D=12μm、F=6080μmである。また溝306は8つに分割されている。この従来技術によるアサーマルAWGにおいては、溝での過剰損失をなるべく抑制するため、分割された各溝の最小溝幅がなるべくゼロに近くなるように設計される。それにより各溝は湾曲した三角形形状になる。図4では溝の最下部で、i=1番目のアレイ導波路からj=40番目の第2の入出力導波路へ向かう光波の進行軸上における溝幅が最小溝幅であり、ここでは最小溝幅0μmとする。このとき、線分PQ上での各溝の溝幅の和L’c=L’(1)c+L’(2)c+・・・+L’(8)c=95.9μmとなっている。よって、L’c<F/(1−α’/α)であって、式(3)の条件は満たされていない。図5は、このアサーマルAWGにおける、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル(j)依存性を示す。図から、チャネルj=1では、透過中心波長が最小値となる温度が21.4℃であり、jに応じて徐々に低温に変化し、j=40では19.0℃である。よって、透過中心波長が最小値となる温度には、約2.4℃の波長チャネル依存性があることがわかる。これは、図21〜26で説明した、従来技術によるアサーマルAWGよりは波長チャネル依存性が小さいが、依然として顕著な波長チャネル依存性は残存しており、更なる波長チャネル依存性の改善が求められている。
以上の考察を踏まえ、以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態に係る光波長合分波回路について図6〜9を参照して説明する。図6は、本実施形態における、アサーマルAWG607の構成を示す平面図である。ここで、601は第1の入出力導波路、602は第1のスラブ導波路、603はアレイ導波路、604は第2のスラブ導波路、605は第2の入出力導波路、606aは第1のスラブ導波路602に形成された溝、606bは第2のスラブ導波路604に形成された溝であり、溝606a、606bには温度補償材料が充填されている。図6においてi番目のアレイ導波路の光路長Liは、Li=Ll+(i−1)・ΔLと表され、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。これに応じて、各アレイ導波路を通過する光波が、第1のスラブ導波路602において溝606aによって分断される長さLi’(a)はLi’(a)=Ll’(a)+(i−1)ΔL’(a)と表され、ΔLに比例した量ΔL’(a)ずつ順次長くなるような形状をしている。また各アレイ導波路を通過し、中央の波長チャネルを通過する光波が、第2のスラブ導波路604において溝606bによって分断される長さLi’(b)はLi’(b)=Ll’(b)+(i−1)ΔL’(b)と表され、ΔLに比例した量ΔL’(b)ずつ順次長くなるような形状をしている。このアサーマルAWGは、導波路のΔが1.5%、コア厚4.5μm、実効屈折率温度係数α=1.0×10-5+1.9×10-8×T、第1の入出力導波路601、アレイ導波路603、第2の入出力導波路605のコア幅は4.5μmであり、波長チャネル数(第2の入出力導波路605の導波路本数)40、チャネル波長間隔0.8nm(100GHz)、温度補償材料はシリコーン樹脂(屈折率温度係数α’=−3.5×10-4)である。このときアレイ導波路の本数は150本、ΔLは34μmである。ここで溝606a、606bに充填された温度補償材料によって与えられる経路長差ΔL’は、T=20℃として、ΔL’=ΔL’(a)+ΔL’(b)=ΔL/(1−α’/α)=0.98μmであるが、特に本実施形態では溝606aと606bで与えられ経路長差を等しく、すなわちΔL’(a)=ΔL’(b)=ΔL’/2=0.49μmと設計している。
図7(A)は、図6のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路とその近傍を拡大した平面図である。図上、アレイ導波路603の導波路間隔をdとし、第2の入出力導波路605の導波路間隔をDとする。第2のスラブ導波路604においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。j=21番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路604に接続している。ここでd=9μm、D=12μm、F=6080μmである。本実施形態のアサーマルAWGにおいて、溝606bは、湾曲した三角形状の部分に均一幅部分が加えられ、湾曲した台形状になっており、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する。ここで溝幅の平均値、すなわち線分PQ上での溝幅をL’cとすると、L’cはT=20℃(「予め定めた環境温度」に相当。)において式(3)を満足するように均一幅部分を調整して設計されており、L’c=175.1μmとなっている。このとき溝606bの均一幅部分の幅127.2μmである。また溝における過剰損失を低減するために、溝606bは、複数の溝に分割されていて構わない。図7(B)は、図6のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路604とその近傍を拡大した平面図であり、溝606bを4つに分割した場合を示している。分割された各溝には均一幅部分があり、湾曲した台形状をしている。このとき線分PQ上での各溝の溝幅の和L’c=L’(1)c+L’(2)c+・・・+L’(4)cは、T=20℃において、式(3)を満足するように均一幅部分を調整して設計されており、L’c=175.1μmとなっている。このとき溝606bにおける各溝の均一幅部分の幅の和は127.2μmである。
図8(A)は、図6のアサーマルAWGにおける第1のスラブ導波路とその近傍を拡大した平面図である。本実施形態のアサーマルAWGにおいて溝606aは、従来技術によるアサーマルAWGと同様、損失をなるべく抑制するため、最小溝幅がなるべくゼロに近くなるように設計されている。よって、溝606aは湾曲した三角形状をしており、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する。図8aでは溝の最下部で、第1の入出力導波路からi=1番目のアレイ導波路へ向かう光波の進行軸上における溝幅が最小溝幅であり、ここでは最小溝幅0μmとしている。また溝における過剰損失を更に低減するために、溝606aは、複数の溝に分割されていて構わない。図8(B)は、図6のアサーマルAWGにおける第1のスラブ導波路602とその近傍を拡大した平面図であり、溝606aを4つに分割した場合を示している。分割された各溝は最小溝幅0μmとしており、湾曲した三角形状をしている。
図9は、このアサーマルAWGにおける、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル(j)依存性を示す。図より、波長チャネル依存性は0.2℃以下であり、従来技術によるアサーマルAWGに比較して十分に抑制されていることが分かる。これにより、本実施形態のアサーマルAWGにおいて、L’cが式(3)を満たすように溝606bを設計したことにより、第2のスラブ導波路604における光路長差温度変化の波長チャネル依存性が補償され、透過中心波長温度変化の波長チャネル依存性が低減できることが確認された。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施形態に係る光波長合分波回路について図10〜12を参照して説明する。図10は、第2の実施形態における、アサーマルAWG1007の構成を示す平面図である。ここで、1001は第1の入出力導波路、1002は第1のスラブ導波路、1003はアレイ導波路、1004は第2のスラブ導波路、1005は第2の入出力導波路、1006は第2のスラブ導波路1004に形成された溝であり、温度補償材料が充填されている。図10においてi番目のアレイ導波路の長さLiは、Li=Ll+(i−1)・ΔLと表され、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。これに応じて、各アレイ導波路を通過する光波が、第2のスラブ導波路1004において溝1006によって分断される長さLi’はLi’=Ll’+(i−1)ΔL’と表され、ΔLに比例した量ΔL’ずつ順次長くなるような形状をしている。このアサーマルAWGは、導波路のΔが1.5%、コア厚4.5μm、実効屈折率温度係数α=1.0×10-5+1.9×10-8×T、第1の入出力導波路1001、アレイ導波路1003、第2の入出力導波路1005のコア幅は4.5μmであり、波長チャネル数(第2の入出力導波路1005の導波路本数)40、チャネル波長間隔0.8nm(100GHz)、温度補償材料はシリコーン樹脂(屈折率温度係数α’=−3.5×10-4)である。このときアレイ導波路の本数は150本、ΔLは34μmである。ここで溝1006に充填された温度補償材料によって与えられる経路長差ΔL’は、T=20℃として、ΔL’=ΔL/(1−α’/α)=0.98μmと設計している。
図11(A)は、図10のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路とその近傍を拡大した平面図である。図上、アレイ導波路1003の導波路間隔をdとし、第2の入出力導波路1005の導波路間隔をDとする。第2のスラブ導波路1004においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路1004の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。j=21番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路1004に接続している。ここでd=9μm、D=12μm、F=6080μmである。本実施形態のアサーマルAWGにおいて、溝1006は、湾曲した三角形状の部分に均一幅部分が加えられ、湾曲した台形状になっており、幅が徐々に変化する。ここで溝幅の平均値、すなわち線分PQ上での溝幅をL’cとすると、L’cはT=20℃(「予め定めた環境温度」に相当。)において式(3)を満足するように均一幅部分を調整して設計されており、L’c=175.1μmとなっている。このとき溝1006bの均一幅部分の幅79.2μmである。また溝における過剰損失を低減するために、溝1006bは、複数の溝に分割されていて構わない。図11(B)は、図10のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路1004とその近傍を拡大した平面図であり、溝1006を4つに分割した場合を示している。分割された各溝には均一幅部分があり、湾曲した台形状をしている。このとき、線分PQ上での各溝の溝幅の和L’c=L’(1)c+L’(2)c+・・・+L’(4)cは、T=20℃において、式(3)を満足するように均一幅部分を調整して設計されており、L’c=175.1μmとなっている。このとき溝1006における各溝の均一幅部分の幅の和は79.2μmである。
図12は、このアサーマルAWGにおける、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル(j)依存性を示す。図より、波長チャネル依存性は0.2℃以下であり、従来技術によるアサーマルAWGに比較して十分に抑制されていることが分かる。これにより、本実施形態のアサーマルAWGにおいて、L’cが式(3)を満たすように溝1006を設計したことにより、第2のスラブ導波路1004における光路長差温度変化の波長チャネル依存性が補償され、透過中心波長温度変化の波長チャネル依存性が低減できることが確認された。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施形態に係る光波長合分波回路について図13〜16を参照して説明する。図13は、第3の実施形態における、アサーマルAWG1307の構成を示す平面図である。ここで、1301は第1の入出力導波路、1302は第1のスラブ導波路、1303はアレイ導波路、1304は第2のスラブ導波路、1305は第2の入出力導波路、1306aは第1のスラブ導波路1302に形成された溝、1306bは第2のスラブ導波路1304に形成された溝であり、溝1306a、1306bには温度補償材料が充填されている。図13においてi番目のアレイ導波路の長さLiは、Li=Ll+(i−1)・ΔLと表され、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。これに応じて、各アレイ導波路を通過する光波が、第1のスラブ導波路1302において溝1306aによって分断される長さLi’はLi’=Ll’+(i−1)ΔL’と表され、ΔLに比例した量ΔL’ずつ順次長くなるような形状をしている。また各アレイ導波路を通過し、中央の波長チャネルを通過する光波が、第2のスラブ導波路1304において溝1306bによって分断される長さは均一な量である。このアサーマルAWGは、導波路のΔが1.5%、コア厚4.5μm、実効屈折率温度係数α=1.0×10-5+1.9×10-8×T、第1の入出力導波路1301、アレイ導波路1303、第2の入出力導波路1305のコア幅は4.5μmであり、波長チャネル数(第2の入出力導波路1305の導波路本数)40、チャネル波長間隔0.8nm(100GHz)、温度補償材料はシリコーン樹脂(屈折率温度係数α’=−3.5×10-4)である。このときアレイ導波路の本数は150本、ΔLは34μmである。ここで溝1306aに充填された温度補償材料によって与えられる経路長差ΔL’は、T=20℃として、ΔL’=ΔL/(1−α’/α)=0.98μmと設計している。
図14(A)は、図13のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路1304とその近傍を拡大した平面図である。図上、アレイ導波路1303の導波路間隔をdとし、第2の入出力導波路1305の導波路間隔をDとする。第2のスラブ導波路1304においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路1304の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。j=21番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路1304に接続している。ここでd=9μm、D=12μm、F=6080μmである。本実施形態のアサーマルAWGにおいて、溝1306bは、各アレイ導波路からj=21番目の第2の入出力導波路へ向かう光波の進行軸と交差する溝幅が一定値L’cであり、湾曲した長方形状になっている。ここでL’cはT=20℃(「予め定めた環境温度」に相当。)において式(3)を満足するように設計されており、L’c=175.1μmとなっている。また溝における過剰損失を低減するために、溝1306bは、複数の溝に分割されていて構わない。図14(B)は、図13のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路1304とその近傍を拡大した平面図であり、溝1306bを4つに分割した場合を示している。分割された各溝には均一幅であり、それぞれ湾曲した長方形状をしている。このとき、線分PQ上での各溝の溝幅の和L’c=L’(1)c+L’(2)c+・・・+L’(4)cは、T=20℃において、式(3)を満足するように設計されており、L’c=175.1μmとなっている。
図15(A)は、図13のアサーマルAWGにおける第1のスラブ導波路1302とその近傍を拡大した平面図である。本実施形態のアサーマルAWGにおいて溝1306aは、従来技術によるアサーマルAWGと同様、損失をなるべく抑制するため、最小溝幅がなるべくゼロに近くなるように設計されている。よって、溝1306aは湾曲した三角形状をしている。図15(A)では溝の最下部で、第1の入出力導波路からi=1番目のアレイ導波路へ向かう光波の進行軸上における溝幅が最小溝幅であり、ここでは最小溝幅0μmとしている。また溝における過剰損失を更に低減するために、溝1306aは、複数の溝に分割されていて構わない。図15(B)は、図13のアサーマルAWGにおける第1のスラブ導波路1302とその近傍を拡大した平面図であり、溝1306aを4つに分割した場合を示している。分割された各溝は最小溝幅0μmとしており、湾曲した三角形状をしている。
図16は、このアサーマルAWGにおける、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル(j)依存性を示す。図より、波長チャネル依存性はゼロになっており、従来技術によるアサーマルAWGに比較して十分に抑制されていることが分かる。これにより、本実施形態のアサーマルAWGにおいて、L’cが式(3)を満たすように溝1306bを設計したことにより、第2のスラブ導波路1304における光路長差温度変化の波長チャネル依存性が補償され、透過中心波長温度変化の波長チャネル依存性が低減できることが確認された。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施形態に係る光波長合分波回路について図17〜20を参照して説明する。図17は、第4の実施形態における、アサーマルAWGの構成を示す平面図である。ここで、1701は第1の入出力導波路、1702は第1のスラブ導波路、1703はアレイ導波路、1704は第2のスラブ導波路、1705は第2の入出力導波路、1706aは第1のスラブ導波路1702に形成された溝、1706bは第2のスラブ導波路1704に形成された溝であり、溝1706a、1706bには温度補償材料が充填されている。図17においてi番目のアレイ導波路の長さLiは、Li=Ll+(i−1)・ΔLと表され、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。これに応じて、各アレイ導波路を通過する光波が、第1のスラブ導波路1702において溝1706aによって分断される長さLi’(a)はLi’(a)=Ll’(a)+(i−1)ΔL’(a)と表され、ΔLに比例した量ΔL’(a)ずつ順次長くなるような形状をしている。また各アレイ導波路を通過し、中央の波長チャネルを通過する光波が、第2のスラブ導波路1704において溝1706bによって分断される長さLi’(b)はLi’(b)=Ll’(b)+(i−1)ΔL’(b)と表され、ΔLに比例した量ΔL’(b)ずつ順次長くなるような形状をしている。このアサーマルAWGは、導波路のΔが1.5%、コア厚4.5μm、実効屈折率温度係数α=1.0×10-5+1.9×10-8×T、第1の入出力導波路1701、アレイ導波路1703、第2の入出力導波路1705のコア幅は4.5μmであり、波長チャネル数(第2の入出力導波路1705の導波路本数)40、チャネル波長間隔0.4nm(50GHz)、温度補償材料はシリコーン樹脂(屈折率温度係数α’=−3.5×10-4)である。このときアレイ導波路の本数は150本、ΔLは68μmである。ここで溝1706a,1706bに充填された温度補償材料によって与えられる経路長差ΔL’は、T=20℃として、ΔL’=ΔL’(a)+ΔL’(b)=ΔL/(1−α’/α)=1.87μmと設計している。
図18(A)は、図17のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路1704とその近傍を拡大した平面図である。図上、アレイ導波路1703の導波路間隔をdとし、第2の入出力導波路1705の導波路間隔をDとする。第2のスラブ導波路1704においてアレイ導波路側端の中央を点Pとし、入出力導波路側端の中央を点Qとする。線分PQは第2のスラブ導波路1704の中心軸であり、その距離(スラブ導波路の長さ)をFとする。j=21番目の第2の入出力導波路を中央波長チャネルのポートとし、点Qの位置で第2のスラブ導波路1704に接続している。ここでd=9μm、D=12μm、F=6080μmである。本実施形態のアサーマルAWGにおいて、溝1706bは、従来技術によるアサーマルAWGと同様、損失をなるべく抑制するため、最小溝幅がなるべくゼロに近くなるように設計されている。よって、溝1706bは湾曲した三角形状をしている。図18(A)では溝の最下部で、i=1番目のアレイ導波路からj=40番目の第2の入出力導波路へ向かう光波の進行軸上における溝幅が最小溝幅であり、ここでは最小溝幅0μmとしている。ここで溝幅の平均値、すなわち線分PQ上での溝幅をL’cとすると、L’cがT=20℃(「予め定めた環境温度」に相当。)において式(3)を満足するようにΔL’(b)が決められている。ここでΔL’(b)=1.73μm、L’c=175.1μmとなっている。また溝における過剰損失を低減するために、溝1706bは、複数の溝に分割されていて構わない。図18(B)は、図17のアサーマルAWGにおける第2のスラブ導波路1704とその近傍を拡大した平面図であり、溝1706bを8つに分割した場合を示している。最小溝幅0μmとしており、湾曲した三角形状をしている。このとき、線分PQ上での各溝の溝幅の和L’c=L’(1)c+L’(2)c+・・・+L’(4)cは、T=20℃において、式(3)を満足するようにΔL’(b)が設計されており、ΔL’(b)=1.73μm、L’c=175.1μmとなっている。
図19(A)は、図17のアサーマルAWGにおける第1のスラブ導波路1702とその近傍を拡大した平面図である。本実施形態のアサーマルAWGにおいて溝1706aは、従来技術によるアサーマルAWGと同様、損失をなるべく抑制するため、最小溝幅がなるべくゼロに近くなるように設計されている。よって、溝1706aは湾曲した三角形状をしている。図19(A)では溝の最下部で、第1の入出力導波路からi=1番目のアレイ導波路へ向かう光波の進行軸上における溝幅が最小溝幅であり、ここでは最小溝幅0μmとしている。また経路長差ΔL’(a)は、ΔL’(a)=ΔL’−ΔL’(b)=0.14μmと設計されている。またここで溝における過剰損失を更に低減するために、溝1706aは、複数の溝に分割されていて構わない。図19(B)は、図17のアサーマルAWGにおける第1のスラブ導波路1702とその近傍を拡大した平面図であり、溝1706aを4つに分割した場合を示している。分割された各溝は最小溝幅0μmとしており、湾曲した三角形状をしている。
図20は、このアサーマルAWGにおける、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル(j)依存性を示す。図より、波長チャネル依存性は0.2℃以下であり、従来技術によるアサーマルAWGに比較して十分に抑制されていることが分かる。これにより、本実施形態のアサーマルAWGにおいて、L’cが式(3)を満たすように溝1706bを設計したことにより、第2のスラブ導波路1704における光路長差温度変化の波長チャネル依存性が補償され、透過中心波長温度変化の波長チャネル依存性が低減できることが確認された。
[まとめ]
以上4つの実施形態から、本発明によるアサーマルAWGの光波長合分波回路では、従来例に比較して、残留する透過中心波長の微小な温度変化において、その波長チャネル依存性が低減されることが確認された。この結果、本発明により、全波長チャネルを広い温度範囲で使用可能な、光波長合分波回路を得ることができる。
全ての実施の形態では、導波路の比屈折率差、コア幅及びコア厚を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、この値に限定されるものではない。
全ての実施の形態では、AWGの設計パラメータを特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、このパラメータに限定されるものではない。
全ての実施の形態では、分割する溝の個数を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、この数に限定されるものではない。
全ての実施の形態では、温度補償材料としてシリコーン樹脂を使用したが、本発明の適用範囲は、この材料に限定されるものではなく、式(3)を満足することができるいかなる材料も適用することができる。温度補償材料として、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の光学樹脂の使用が考えられる。
本発明による、アサーマルAWGの第2のスラブ導波路において生じる光路長差の温度依存性を補償する手段を説明する図である。 本発明による、アサーマルAWGの第2のスラブ導波路において生じる光路長差の温度依存性を補償する手段を説明する図である。 従来技術による、第2のスラブ導波路に溝を形成するタイプのアサーマルAWGの構成を示す平面図である。 図3における第2のスラブ導波路304とその近傍を拡大した平面図である。 従来技術によるアサーマルAWGにおいて、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル依存性を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る光波長合分波回路の構成を示す平面図である。 (A)は、図6における第2のスラブ導波路604とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 (A)は、図6における第1のスラブ導波路602とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 本発明の第1の実施形態の光波長合分波回路において、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル依存性を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る光波長合分波回路の構成を示す平面図である。 (A)は、図10における第2のスラブ導波路1004とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 本発明の第2の実施形態の光波長合分波回路において、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル依存性を示すグラフである。 本発明の第3の実施形態に係る光波長合分波回路の構成を示す平面図である。 (A)は、図13における第2のスラブ導波路1304とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 (A)は、図13における第1のスラブ導波路1302とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 本発明の第3の実施形態の光波長合分波回路において、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル依存性を示すグラフである。 本発明の第4の実施形態に係る光波長合分波回路の構成を示す平面図である。 (A)は、図17における第2のスラブ導波路1704とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 (A)は、図17における第1のスラブ導波路1702とその近傍を拡大した平面図であり、(B)は、溝を分割する場合の図である。 本発明の第4の実施形態の光波長合分波回路において、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル依存性を示すグラフである。 従来技術における、第1のスラブ導波路に溝を形成するタイプのアサーマルAWGの構成を示す平面図である。 図21のアサーマルAWGのXXII−XXII線に沿った断面図である。 従来技術によるアサーマルAWGの中央波長チャネルにおける、透過中心波長の相対的な温度依存性を示したグラフである。 図21における第2のスラブ導波路2104とその近傍を拡大した平面図である。 (A)は、従来技術によるアサーマルAWGの、端および中央波長チャネルにおける、透過中心波長の相対的な温度依存性を示すグラフであり、(B)は、(A)において、温度20℃付近を拡大したグラフである。 従来技術によるアサーマルAWGにおいて、透過中心波長が最小値となる温度の、波長チャネル依存性を示すグラフである。
符号の説明
307、607、1007、1307、1707、2107 波長合分波回路
301、601、1001、1301、1701、2101、2111 第1の入出力導波路
302、602、1002、1302、1702、2102、2112 第1のスラブ導波路
101、303、603、1003、1303、1703、2103 アレイ導波路
102、304、604、1004、1304、1704、2104 第2のスラブ導波路
103、305、605、1005、1305、1705、2105 第2の入出力導波路
104、306、606a、606b、1006、1306a、1306b、1706a、1706b、2106 溝
2108 シリコン基板
2109 導波路コア
2110 クラッド

Claims (6)

  1. 予め定めた光路長差で順次長くなる導波路を有するアレイ導波路と、
    前記アレイ導波路の両端部に接続され、長さがFである第1のスラブ導波路および第2のスラブ導波路と、
    前記第1のスラブ導波路に接続された第1の入出力導波路と、
    前記第2のスラブ導波路に接続された第2の入出力導波路と
    を備えるアレイ導波路回折格子型の波長合分波回路であって、
    前記第1の入出力導波路は、単一の導波路を有し、
    前記第2の入出力導波路は、複数の導波路を有し、
    前記第1の入出力導波路に入力した波長多重信号光を前記第2の入出力導波路の各導波路へ分波する機能、および前記第2の入出力導波路の各導波路に入力した波長チャネル光を前記第1の入出力導波路へ合波する機能を有し、
    少なくとも前記第2のスラブ導波路には、光波の進行方向に交差して導波路を分断する溝が配置され、
    前記溝には、前記溝が配置された導波路の実効屈折率の温度係数αと異符号でかつ絶対値の大きい屈折率温度係数α’を有する材料が充填されて、前記第1の入出力導波路から前記第2の入出力導波路の中央の導波路に至る経路において温度変化によって生ずる1次の光路長差変化が補償され、
    前記第2のスラブ導波路に形成された溝の光波の進行方向に対する幅の平均値は、予め定めた環境温度においてF/(1−α’/α)に等しい
    ことを特徴とする光波長合分波回路。
  2. 前記第1のスラブ導波路には溝が形成されていないことを特徴とする請求項1に記載の光波長合分波回路。
  3. 前記溝は、
    前記第1のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する溝と、
    前記第2のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が変化しない溝と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の光波長合分波回路。
  4. 前記溝は、
    前記第1のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する溝と、
    前記第2のスラブ導波路に形成され、光波の進行方向に対する幅が徐々に変化する溝と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の光波長合分波回路。
  5. 前記溝は、光波の進行方向に配列された複数の溝から構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の光波長合分波回路。
  6. 前記溝が配置された導波路は、石英系ガラスで構成され、
    前記溝に充填された材料は、光学樹脂である
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光波長合分波回路。
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