JP4884157B2 - 窒化物半導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体構造に関し、より詳細には、ホウ素(B)およびアルミニウム(Al)を含む窒化物半導体の製造方法および窒化物半導体構造に関する。
窒化物半導体は、少なくとも1つのB、Al、GaまたはInなどのIII族元素と、V族元素である窒素との化合物であり、一般式Al1−a−b−cGaInN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦a+b+c≦1)で表される。窒化物半導体は、可視光領域から紫外領域の短波長帯の発光デバイス、または電界効果トランジスタなどの電子デバイスの活性材料として、近年盛んに研究および技術開発が行われている。特に、III族元素としてBやAlを含む窒化物半導体は、SiC等のウルツ鉱型構造を有する基板に格子整合した紫外域の発光デバイス材料として期待されている。
成長主面が非極性面の(1−100)または(11−20)面である窒化物半導体は、成長主面が極性面の(0001)面であるものと比較して、成長主面に垂直方向の内部電界が小さいので、シュタルク効果に基づく発光デバイスの発光効率の低下が防げるという特徴がある。そのため、III族元素としてBやAlを含む窒化物半導体を、成長主面を(1−100)または(11−20)面として高品質に製造することが可能であれば、高発光効率の紫外域発光デバイスが実現できる。
特許文献1には、窒素を含む原料ガスとIII族原子を含む原料ガスとを交互に供給するか、あるいは、窒素を含む原料ガスを連続的に(または供給量を変調して)流しながらIII族原子を含む原料ガスを間欠的に供給する流量変調エピタキシ(Flow−rate modulation epitaxy:FME)が開示されている。FMEは、比較的低い成長温度で結晶性の良い高品質な窒化物半導体を成長することができる製造方法である。特許文献1に記載のFMEでは、原料ガスを希釈して成長用基板まで輸送するキャリアガスとして水素が用いられている。水素をキャリアガスとして用いる理由は、パラジウム膜等を用いたガス純化器を用いて比較的容易に水素を高純度化することが可能であり、また、水素中の原料ガスの拡散定数が大きいため大きな成長速度を得られるからである。
非特許文献1には、FMEは、III族元素としてBやAlを含む窒化物半導体を、成長主面を(0001)面として結晶性よく高品質に成長する上でも有用であることが本発明者らにより開示されている。
特公平06-57636号公報 T. Akasaka and T. Makimoto, "Flow-rate modulation epitaxy of wurtzite AlBN," Applied Physics Letters 88, 041902 (2006)
ところで、本発明者らは、水素をキャリアガスとするFMEで、非極性面の(1−100)または(11−20)面を成長主面とする、BおよびAlを含む窒化物半導体の成長を行うと、(0001)面を成長主面とする場合と比較して、Bが結晶中に取り込まれにくいという問題を見出した。
以下に、SiC(11−20)基板上にAlBN薄膜の成長を試みた例を簡単に説明する。この成長においては、成長温度(基板温度)を1150℃とし、キャリアガスとして水素を用いた。また、原料ガスとして、アンモニア、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum:TMA)、およびトリエチルボロン(triethylboron:TEB)を用いた。
まず、SiC(11−20)基板上に、アンモニアとTMAを交互に供給してAlN層を200nm成長し、引き続いて、アンモニアとIII族原料(TMAとTEB)を交互に供給してAlBN層を300nm成長した。このAlBN層の成長ではTEBの供給割合を0.01とした。すなわち、III族原料中のTMAおよびTEBの流量をそれぞれ[TMA]および[TEB]とすると、[TEB]/{[TMA]+[TEB]}=0.01となるようにした。ここで、AlとBが同じ効率でAlBN層中に取り込まれれば、得られるAlBN層の組成はAl0.990.01Nとなるはずである。
図1に、得られたSiC(11−20)基板/AlN,200nm/AlBN,300nmなる構造のX線回折による2θ−ωスキャンチャートを示す。2θ=59.34および60.02°に、AlN(11−20)層およびSiC(11−20)層の回折ピークは見られるが、AlBN(11−20)層のピークは検出されなかった。これは、AlBN層中のB組成が著しく小さく、AlN(11−20)層とAlBN(11−20)層の2つのピークが分離していないためである。すなわち、AlBN層の組成はAl0.990.01NよりもはるかにB組成が小さい結果となっている。同様に、水素キャリアガスを用いたFMEによるSiC(1−100)基板上のAlBN(1−100)層の成長においてもBがほとんど膜中に取り込まれなかった。
このように、水素をキャリアガスとするFMEで、III族元素としてBおよびAlを含む窒化物半導体を、(1−100)および(11−20)面を成長主面として成長する場合に、Bが取り込まれにくいという問題が存在した。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、(1−100)および(11−20)面が成長主面であり、所望量のBおよびAlを含む窒化物半導体の製造方法を提供することにある。
また、BおよびAlを含む窒化物半導体層を備えた窒化物半導体構造は、発光デバイスや電子デバイスに用いることができ、その光学的特性や電気的特性の向上が望まれる。
本発明は、上記観点からさらになされたもので、その目的とするところは、光学的特性や電気的特性の向上のした、BおよびAlを含む窒化物半導体層を備えた窒化物半導体構造を提供することにある。
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、成長主面が(1−100)または(11−20)面であり、BおよびAlを含む窒化物半導体の製造方法であって、ウルツ鉱型構造を有する(1−100)または(11−20)基板の基板温度T(℃)と、不活性ガスおよび水素を含むキャリアガス中の不活性ガスの割合F(%)とを
T≦900(℃)のとき、F≧10(%)、
900<T<1100(℃)のとき、F≧0.4T−350(%)、そして
T≧1100(℃)のとき、F≧90(%)
という関係を満たして選択するステップと、前記選択した基板温度T(℃)で、不活性ガスの割合が前記選択した割合F(%)である前記キャリアガスと共に、窒素を含む第1の原料ガスと、BおよびAlを含む第2の原料ガスとを、前記基板上に交互に供給するステップとを含むことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の製造方法において、前記第2の原料ガスは、前記第1の原料ガスと同一の成分をさらに含むことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の製造方法において、前記基板は、SiCまたはAl1−a−b−cGaInN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦a+b+c≦1)のいずれかであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の製造方法において、前記不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、またはラドンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本発明によれば、FMEにおいて、キャリアガスを不活性ガスおよび水素の混合ガスとし、キャリアガス中の水素の割合を制限することによって、水素によるBのエッチングを抑制することができる。その結果、所望量のBおよびAlを、成長主面を(1−100)または(11−20)面とする窒化物半導体に取り込むことができる。
また、本発明によれば、シングルヘテロ構造である窒化物半導体構造の層間界面を(1−100)または(11−20)面とするとすることによって、キャリア層におけるキャリアの閉じ込め効果を大きくし、電気的特性を向上させることができる。
また、本発明によれば、多重量子井戸である窒化物半導体構造の層間界面を(1−100)または(11−20)面とするとすることによって、井戸層におけるキャリアの閉じ込め効果を大きくし、光学的特性を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る窒化物半導体の製造方法は、図2に示した窒化物半導体構造200の作製を可能にする。窒化物半導体構造200は、ウルツ鉱型構造を有する(1−100)または(11−20)基板201と、基板201の上に成長された、(1−100)または(11−20)面が成長主面でありBおよびAlを含む窒化物半導体202とを備える。
本実施形態に係る窒化物半導体の製造方法は、キャリアガスと共に、窒素を含む第1の原料ガスとIII族原子であるBおよびAlを含む第2の原料ガスとを交互に供給する方法であって、以下の工程を含む。まず、基板温度およびキャリアガスの種類を選択する。ついで、基板201を選択した基板温度まで上げる。そして、キャリアガスと共に、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを交互に供給して、基板201上に(1−100)または(11−20)面が成長主面でありBおよびAlを含む窒化物半導体202を成長する。
基板201の材料として、SiC、Al1−x−yGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)などを用いることができる。
第1の原料ガスとして、例えばアンモニアを使用することができ、第2の原料ガスとして、例えばTMAおよびTEBの混合ガスを使用することができる。各原料ガスの流量および第2の原料ガス中のTMAとTEBの混合割合は、所望の窒化物半導体202の組成により決定する。
本発明に係る製造方法の特徴は、キャリアガスの選択にある。(1−100)または(11−20)面を成長主面とした場合にBが結晶中に取り込まれにくい原因は、以下に説明するようにキャリアガス中の水素によりBがエッチングされやすいためであると考えられるので、キャリアガスとして不活性ガスおよび水素の混合ガスを使用し、キャリアガス中の水素の割合を制限することによって、水素によるBのエッチングを抑制することができる。その結果、所望量のBおよびAlを窒化物半導体202に取り込み、結晶性の良い窒化物半導体構造200を作製することができる。
水素によるBのエッチングのされ易さを、成長主面ごとに説明する。まず(0001)面では、図3(a)に示したようにIII族原子のバックボンドが三本あるため、たとえ水素と反応しやすいBであってもエッチングされ難い。一方、図3(b)に示した(1−100)面では、III族原子のバックボンドが2本かつ水平ボンドが1本の層と、III族原子のバックボンドが1本かつ水平ボンドが1本の層とが成長過程で交互に現れる。いずれの層も、強固な3本のバックボンドを持つ(0001)面と比較して水素によってエッチングされやすい。また、図3(c)に示した(11−20)面では、III族原子のバックボンドが1本かつ水平ボンドが2本の層であり、この場合もまた、(0001)面と比較して水素によってエッチングされやすいと考えられる。したがって、(1−100)または(11−20)面を成長主面とした場合、キャリアガス中の水素によりBがエッチングされて十分に窒化物半導体202に取り込まれないと考えられる。
図4は、基板温度とキャリアガスの種類を様々に変化させて、各条件下でのBの取り込まれ方を調べた結果を示している。ここで、基板温度は850〜1180℃の範囲で変化させ、キャリアガスは水素と窒素の混合ガスとし、これらの混合割合を変化させてAlN(11−20)基板上でAl0.990.01Nの成長を行った。図4には、得られたAlBN中に十分にB原子が取り込まれた場合、すなわちB組成が0.009以上であった場合が白丸で表され、B組成が0.009未満であった場合が黒丸で表されている。この結果から、基板温度T(℃)と、キャリアガス中の窒素の割合F(%)が以下の関係を満たすとき、所望量のBを窒化物半導体202に取り込むことができることを見出した。
T≦900(℃)のとき、F≧10(%)、
900<T<1100(℃)のとき、F≧0.4T−350(%)、そして
T≧1100(℃)のとき、F≧90(%)。
さらに、(11−20)面ではなく(1−100)面を成長主面とするAlBNに関しても同様の結果が得られた。また、不活性ガスとしては窒素のみならず、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、もしくはラドンのいずれか、またはこれらの任意の混合ガスを用いることができる。なお、AlBNではなく、さらにGaやInを含む窒化物半導体に関しても同様の結果が得られた。
以下に、本実施形態に係る窒化物半導体の製造方法の実施例を示す。
(実施例1)
実施例1では、基板の設定温度は1150℃とした。キャリアガスとして窒素を用いた。これらは、図4から得られた上記の基板温度とキャリアガス中の不活性ガスの割合との関係を満たしている。
図5は、本実施例に係る窒化物半導体構造500を示している。窒化物半導体構造500は、SiC(11−20)基板501と、SiC(11−20)基板501上に成長されたAlN(11−20)層502と、AlN(11−20)層502上に成長されたAlBN(11−20)層503とを備えている。
まず、SiC(11−20)基板を成長装置にセットした後、キャリアガスを流しながら基板温度を1150℃まで上げた。次に、キャリアガスと共に、アンモニアおよびTMAを、それぞれ50sccm(standard cubic centimeter per minute)および9×10-2sccmで1秒ずつ交互に供給して、(11−20)面を成長主面とするAlN層502を200nm成長した。引き続き、キャリアガスと共に、50sccmのアンモニア(第1の原料ガス)と、9×10-2sccmのTMAおよび9×10-4sccmのTEBの混合ガス(第2の原料ガス)とを1秒ずつ交互に供給して(11−20)面を成長主面とするAlBN層503を300nm成長した。すなわち、[TEB]/{[TMA]+[TEB]}=0.01とした。
図6は、得られた窒化物半導体構造500のX線回折による2θ−ωスキャンチャートを示している。2θ=59.38および60.02°に、AlN(11−20)面およびSiC(11−20)面の回折ピークが見られた。さらに、2θ=59.47°にAlBN(11−20)面の回折ピークもはっきりと見られた。基板や各層の間の熱膨張係数差による格子歪も考慮した回折ピークの位置、および、二次イオン質量分析器を用いた分析から、AlBN層503はAl0.990.01Nであることが分かった。すなわち、キャリアガスとして水素の代わりに窒素を用いることによって、所望量のBを効率よく取り込んだ(11−20)面を成長主面とするAlBNを成長することができた。
また、基板としてSiC(1−100)基板を用いて同様の工程により窒化物半導体構造を作製すると、所望量のBを効率よく取り込んだ(1−100)面を成長主面とするAlBN層を成長することができた。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様に、基板の設定温度は1150℃とし、キャリアガスとして窒素を用いた。これらは、図4から得られた上記の基板温度とキャリアガス中の不活性ガスの割合との関係を満たしている。実施例1と異なるのは、原料ガスの供給態様である。本実施例に係る製造方法により得られる窒化物半導体構造は、実施例1に係る窒化物半導体構造500と同一の構成である。
まず、SiC(11−20)基板を成長装置にセットした後、キャリアガスを流しながら基板温度を1150℃まで上げた。次に、キャリアガスと共に、50sccmのアンモニアと、1sccmのアンモニアおよび9×10-2sccmのTMAの混合ガスとを1秒の間隔で交互に供給して、(11−20)面を成長主面とするAlN層を200nm成長した。引き続き、キャリアガスと共に、50sccmのアンモニア(第1の原料ガス)と、1sccmのアンモニア、9×10-2sccmのTMA、および9×10-4sccmのTEBの混合ガス(第2の原料ガス)とを1秒の間隔で交互に供給して(11−20)面を成長主面とするAlBN層を300nm成長した。すなわち、[TEB]/{[TMA]+[TEB]}=0.01とした。
X線回折、および、二次イオン質量分析器による解析から、B原子がエッチングされることなく、(11−20)面を成長主面とするAl0.990.01N層が形成されていることが分かった。
さらに、基板としてSiC(1−100)基板を用いて、同様の工程により窒化物半導体構造を作製すると、所望量のBを効率よく取り込んだ(1−100)面を成長主面とするAlBN層を成長することができた。
本実施例では、実施例1と違い、アンモニアはその流量を50sccmおよび1sccmと変調させながら連続的に供給し、第2の原料ガスにも第1の原料ガスの成分であるアンモニアが含まれるようにした。それにより、窒素原子の表面脱離を最小限に抑え、窒化物半導体の結晶性を向上させることが可能となった。
(実施例3)
実施例3では、基板の設定温度は1000℃とし、キャリアガスとして40%の水素と60%の窒素からなるガスを用いた。これらは、図4から得られた上記の基板温度とキャリアガス中の不活性ガスの割合との関係を満たしている。
図7は、本実施例に係る窒化物半導体構造700を示している。窒化物半導体構造700は、AlN(11−20)層701と、AlN(11−20)層701上に形成されたAl0.950.05N(11−20)層702とを備えたAlBN/AlNシングルヘテロ構造である。AlN(11−20)層701は、チャネル層として機能し、AlBN(11−20)層702は、障壁層として機能する。障壁層の厚さは0.2nmから100nmの範囲で選ぶことができ、チャネル層の厚さは自由に設定できる。
窒化物半導体構造700は、実施例1または実施例2と同様の製造方法により、所望のB組成に応じて原料ガスの流量を適切に変えて作製することができた。
AlBN/AlNシングルヘテロ構造は、電子デバイスに用いることができるが、その電気的特性の向上が望まれる。本実施例に係る窒化物半導体構造700は、従来の(0001)面を成長主面とするAlBN/AlNシングルヘテロ構造と比較して、AlBNとAlNとのバンド構造および歪の関係から、AlBNとAlNとのバンドギャップ差がより大きくなるので、AlNチャネル層におけるキャリアの閉じ込め効果がより大きくなる。その結果、AlNチャネル層の導電率がより大きくなり電気的特性が向上する。
同様に、(1−100)面を成長主面とするAlBN/AlNシングルヘテロ構造も作製することができた。この構造においても、(1−100)面を成長主面とする窒化物半導体構造700と同様に電気的特性が向上する。
チャネル層では、できるだけキャリアの散乱センターを少なくする必要があるため、Bの組成は0.001以下にするのが望ましい。障壁層のBの組成は自由に設定できる。
また、障壁層とチャネル層には他のIII族元素であるGaやInが含まれていても構わない。
(実施例4)
実施例4では、基板の設定温度は1000℃とし、キャリアガスとして40%の水素と60%の窒素からなるガスを用いた。これらは、図4から得られた上記の基板温度とキャリアガス中の不活性ガスの割合との関係を満たしている。
図8は、本実施形態に係る窒化物半導体構造800を示している。窒化物半導体構造800は、Al0.950.05N(11−20)層を障壁層801とし、AlN(11−20)層を井戸層802とする多重量子井戸(以下、AlBN/AlN多重量子井戸と呼ぶ。)である。障壁層801と井戸層802の総数は、それぞれ1層以上で自由に設定でき、また、障壁層801と井戸層802の厚さは、それぞれ0.2nmから100nmの範囲で選ぶことができる。
窒化物半導体構造800は、実施例1または実施例2と同様の製造方法により、所望のB組成に応じて原料ガスの種類および流量を適宜変えて作製することができた。
AlBN/AlN多重量子井戸は、発光デバイスに用いることができるが、その光学的特性の向上が望まれる。本実施例に係る窒化物半導体構造800は、従来の(0001)面を成長主面とするAlBN/AlN多重量子井戸と比較して、AlBNとAlNとのバンド構造および歪の関係から、AlBNとAlNとのバンドギャップ差がより大きくなるので、AlN井戸層におけるキャリアの閉じ込め効果がより大きくなる。その結果、AlN井戸層の発光効率がより大きくなり光学的特性が向上する。
同様に、(1−100)面を成長主面とするAlBN/AlN多重量子井戸も作製することができた。この構造においても、(1−100)面を成長主面とする窒化物半導体構造800と同様に光学的特性が向上する。
井戸層では、できるだけ非発光センターを少なくする必要があるため、Bの組成は0.001以下にするのが望ましい。
また、障壁層と井戸層には他のIII族元素であるGaやInが含まれていても構わない。
以上説明してきたように、本発明に係る、成長主面が(1−100)または(11−20)面であり、BおよびAlを含む窒化物半導体の製造方法は、ウルツ鉱型構造を有する(1−100)または(11−20)基板の基板温度T(℃)と、不活性ガスおよび水素を含むキャリアガス中の不活性ガスの割合F(%)とを
T≦900(℃)のとき、F≧10(%)、
900<T<1100(℃)のとき、F≧0.4T−350(%)、そして
T≧1100(℃)のとき、F≧90(%)
という関係を満たして選択するステップと、選択した基板温度T(℃)で、不活性ガスの割合が選択した割合F(%)であるキャリアガスと共に、窒素を含む第1の原料ガスと、BおよびAlを含む第2の原料ガスとを、基板上に交互に供給するステップとを含むことを特徴とする。
このようにキャリアガスの種類を選択することによって、キャリアガス中の水素の割合が制限され、水素によるBのエッチングを抑制することができる。その結果、所望量のBおよびAlを、成長主面を(1−100)または(11−20)面とする窒化物半導体に取り込むことができる。
なお、図4を参照すると、比較的低い基板温度ではキャリアガス中にある程度の水素が含まれても良いことが分かる。キャリアガスに水素を含ませることができれば、窒化物半導体の純度や成長速度を高くすることができ、都合が良い。
さらに、本発明に係る窒化物半導体の製造方法により、Al1−a−b−cGaInN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦a+b+c≦1)を所望の組成で結晶性良く作製することができるので、基板材料として、BとAlを含む窒化物半導体を使用することもできることに留意されたい。
また、本発明に係る、チャネル層とチャネル層の上に形成された障壁層とを備えたシングルヘテロ構造である窒化物半導体構造は、チャネル層は、Alを含む窒化物半導体から構成されており、障壁層は、BおよびAlを含む窒化物半導体から構成されており、チャネル層と障壁層との界面は、(1−100)または(11−20)面であることを特徴とする。
このようにチャネル層と障壁層との界面を(1−100)または(11−20)面とすることによって、キャリア層におけるキャリアの閉じ込め効果を大きくし、導電率を向上させることができる。
また、本発明に係る、障壁層と井戸層とを交互にそれぞれ少なくとも1層以上積層した多重量子井戸である窒化物半導体構造は、障壁層は、BおよびAlを含む窒化物半導体から構成されており、井戸層は、Alを含む窒化物半導体から構成されており、障壁層と井戸層との界面は、(1−100)または(11−20)面であることを特徴とする。
このようにチャネル層と障壁層との界面を(1−100)または(11−20)面とすることによって、井戸層におけるキャリアの閉じ込め効果を大きくし、発光効率を向上させることができる。
従来の水素キャリアガスを用いてFMEで成長した試料のX線回折2θ−ωスキャンチャートである。 本発明に係る窒化物半導体構造の模式図である。 窒化物半導体の結晶構造のいくつかの断面模式図である。 基板温度とキャリアガスの種類に対する、AlBN層へのBの取り込まれ方の依存性を示した図である。 実施例1に係るSiC(11−20)基板/AIN,200nm/AlBN,300nmなる構造の断面模式図およびその結晶方位を示す図である。 実施例1に係るSiC(11−20)基板/AIN,200nm/AlBN,300nmなる構造のX線回折2θ−ωのスキャンチャートである。 実施例3に係る(11−20)を成長主面とするAlBN/AlNシングルヘテロ構造の模式図およびその結晶方位を示す図である。 実施例4に係る(11−20)を成長主面とするAlBN/AlN多重量子井戸の模式図およびその結晶方位を示す図である。
符号の説明
200 窒化物半導体構造
201 ウルツ鉱型構造を有する基板
202 BおよびAlを含む窒化物半導体
700 シングルへテロ構造
701 シングルへテロ構造のチャネル層
702 シングルへテロ構造の障壁層
800 多重量子井戸
801 多重量子井戸の井戸層
802 多重量子井戸の障壁層

Claims (4)

  1. 成長主面が(1−100)または(11−20)面であり、BおよびAlを含む窒化物半導体の製造方法であって、
    ウルツ鉱型構造を有する(1−100)または(11−20)基板の基板温度T(℃)と、不活性ガスおよび水素を含むキャリアガス中の不活性ガスの割合F(%)とを
    T≦900(℃)のとき、F≧10(%)、
    900<T<1100(℃)のとき、F≧0.4T−350(%)、そして
    T≧1100(℃)のとき、F≧90(%)
    という関係を満たして選択するステップと、
    前記選択した基板温度T(℃)で、不活性ガスの割合が前記選択した割合F(%)である前記キャリアガスと共に、窒素を含む第1の原料ガスと、BおよびAlを含む第2の原料ガスとを、前記基板上に交互に供給するステップと
    を含むことを特徴とする窒化物半導体の製造方法。
  2. 前記第2の原料ガスは、前記第1の原料ガスと同一の成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記基板は、SiCまたはAl1−a−b−cGaInN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦a+b+c≦1)のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、またはラドンのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
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