以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るデータ送信装置の概略動作を示している。データ送信装置10は、通信回線を介して接続された相手機30へデータを送信する機能を備えた装置である。ここでは、データ送信装置10は、原稿画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へ送信したりするスキャン機能、パーソナルコンピュータなどの端末から受信した印刷データに基づいて画像を記録紙上に形成して印刷出力するプリント機能、画像データを送受信するファクシミリ機能などを備えた、ディジタル複合機(MFP)として構成されており、電話回線を通じたファクシミリ通信により、相手機30へデータを送信する。なお、本発明のデータ送信はファクシミリ通信に限定されるものではない。
データ送信装置10は、通常はMFPとして動作するが、地震が発生した際には、当該データ送信装置10の転倒出火などによる2次災害を防止するための震災モードへ移行する機能を有している。ここでは、地震発生時にその地震による災害が予測される震災予測地域と該震災予測地域へ地震が到達するまでの予測時間とを示す緊急地震速報をネットワーク経由で受信したとき、実行中のジョブを地震到達前に終了させてから震災モードへ移行する。震災モードでは、装置の電源をオフにしたり、発熱部分への電源供給を停止させるなどの処理を行う。たとえば、データ送信中に緊急地震速報を受信した場合は、該データ送信を完了もしくは中断させた後に震災モードへ移行し、2次災害に備える動作を行うようになっている。
データ送信装置10はデータ送信の実行中に地震到達の予測時間を警告する緊急地震速報を受信すると、該データ送信の完了に要する時間と該データ送信装置10へ地震が到達する予測時間(もしくは受信側へ地震が到達するまでの予測時間と当該データ送信装置10への地震が到達するまでの予測時間のうち短い方)とを比較し、該データ送信を継続して完了させるか、中断させるかを判断する。地震が到達する前に該データ送信を完了できる場合は、該データ送信の完了後にデータ送信装置10の動作を終了させるよう動作し、地震が到達する前に該データ送信を完了できない場合は、該データ送信を中断しデータ送信装置10を震災モードへ移行させるよう動作する。
たとえば、図1では緊急地震速報の受信により、データ送信装置10が設置されている地域には10秒後に地震が到達すると予測されている。ここで、該データ送信装置10が実行中のデータ送信の残時間が5秒であり、地震の到達する前に送信を完了できる場合(図1(a))は、データ送信装置10はデータ送信の完了後に震災モードへ移行して、たとえば、当該データ送信装置10の動作を終了させる。また、該データ送信装置10が実行中のデータ送信の残時間が15秒であり、地震の到達する前に完了できない場合(図1(b))は、データ送信を中断し、データ送信装置10を震災モードへ移行させるよう動作する。
緊急地震速報とは、気象庁の地震観測網が地震波の発生を観測すると自動的に発令する予報および警報であり、地震により発生する地震波のうち先行するP波(初期微動)からその震源の位置と地震の規模を算出して、全国主要各地へのS波(主要動)が到達する予測時間とその震度を通達する。これにより、震源地からの距離にもよるが地震が到達するまでに地震災害に備える時間が得られる。なお、緊急地震速報は、地震波の観測値から予測された最大震度が5弱以上の場合は警報として発令され、予測された最大震度が3以上の場合は予報として発令される。
図2は、本発明の実施の形態に係るデータ送信装置10の構成を示すブロック図である。データ送信装置10は、当該データ送信装置10の動作を統括制御する制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、スキャナ部16と、プリンタ部17と、ファクシミリ通信部18と、ネットワーク通信部19と、表示部20と、操作部21と、画像処理部22と、補助記憶装置接続部24と、災害情報取得部25と、計時部26と、補助記憶装置接続部24を介して補助記憶装置23とを接続して構成される。
ROM13には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することによりデータ送信装置10としての各機能が実現される。RAM14はこのCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像を格納する画像メモリ、送受信に係るデータを一時的に保存する通信バッファなどとして利用されるランダム・アクセス・メモリである。たとえば、RAM14には災害情報取得部25が取得した緊急地震速報の内容や、CPU11が実行中のデータ送信を継続するか否かを判断するための、データ通信情報テーブルなどが保存される。データ通信情報テーブルについては図6で後述する。
不揮発メモリ15は、電源をOFFにしてもその記憶内容が保存される書き換え可能なメモリである。この不揮発メモリ15には、データ送信装置10に対して設定された各種の設定内容(設定値)などに加え、CPU11が実行中のデータ送信を継続するか否かの判断と、中断されたデータ送信の再送信とに用いられるデータ送受信情報テーブルが保存される。データ送受信情報テーブルについては図6で後述する。
また、不揮発メモリ15には電話番号およびファクシミリ番号の市外局番などからその番号の地域を識別するためのリストが保存されている。このリストを用いる動作の詳細は、図5で後述する。
ネットワーク通信部19は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介してパーソナルコンピュータなどの端末装置(たとえば、情報処理端末)やサーバなどと通信して各種のデータや情報を送受信する機能を果たす。
災害情報取得部25は、ネットワーク通信部19を介して気象庁などから発令された災害情報を受信し、該災害情報に含まれる災害の種類、災害の規模および災害発生の時刻などを分析する。また、この分析情報をCPU11に通知する機能を備えている。たとえば、気象庁発令の緊急地震速報を受信した場合は、該緊急地震速報から全国主要各地へ地震が到達する予測時間、およびその震度を取得してCPU11に通知する。
スキャナ部16は、原稿を光学的に読み取って画像を取得する機能を果たす。このスキャナ部16は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読み取り位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をディジタル画像に変換する変換部などを備えて構成されている。
プリンタ部17は、画像に応じた画像を記録紙に印刷する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザユニットと、現像装置と、転写装置と、分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂レーザープリンタとして構成されている。
ファクシミリ通信部18は、ファクシミリ送信やファクシミリ受信のための通信制御、発呼(ダイアル)、着呼、電話回線との接続などを行うようになっている。
表示部20は、各種の操作画面や設定画面、案内画面、警告画面などをUI(User Interface)として表示する機能を果たす。この表示部20は、たとえば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などで構成される。
操作部21は、ユーザからの各種の操作を受け付けCPU11に通知する機能を果たす。この操作部21は、たとえば表示部20の画面上に設けられたタッチパネルと、その他テンキー、スタートボタン、機能モードキーなどで構成される。また、震災モードにおける設定も受け付けることができる。震災モードでの設定については後述する。
画像処理部22は、外部の端末装置から受信した印刷データをイメージデータ(ビットマップデータ)に変換するラスタライズ処理、画像の圧縮処理や伸張処理、画像の回転処理などを行う機能を備えている。
補助記憶装置23は、大容量不揮発の記憶装置であり、スキャナ部16で読み込んだ画像などが保存される。この補助記憶装置23は、たとえばハードディスクドライブなどである。また、不揮発メモリ15に保存されている設定値などは、こちらに保存される構成でもよい。さらに、この補助記憶装置23には中断されたデータ送信を相手機30に再送するためのデータ本体が保存される。
計時部26は、表示部20などを介して現在時刻を表示する時計機能を備えている。また、後述する通信情報テーブル作成時には、CPU11に現在時刻を通知する機能を果たす。
次に、データ送信を実行中に緊急地震速報を受信した場合の動作について説明する。ここでは、送信元の市外局番を03、受信先の市外局番を06としてファクシミリ通信を行うものとする。
図3は、データ送信の実行中に緊急地震速報を受信した場合のデータ送信装置10の動作を示す流れ図である。災害情報取得部25がデータ送信を実行中に緊急地震速報を受信すると、CPU11は受信した該緊急地震速報の内容と該データ送信完了に要する残時間とから該データ送信を継続させるか中断させるかを判断し、該データ送信を完了もしくは中断させた後、データ送信装置10を震災モードへ移行させる。また、中断させたデータ送信にかかわるジョブを災害復旧の確認後に再実行する。
CPU11は、スキャナ部16に原稿がセットされると(ステップS101)、受信先のファクシミリ番号の入力を操作部21などを介して受け付ける(ステップS102)。受信先番号の入力は、図4(a)に示している操作パネル33の数字釦による入力、もしくは図4(b)の選択フィールド36に表示された宛先リストの中から宛先選択などにより受け付けることができる。
図4(a)は、データ送信装置10の表示部20および操作部21としての操作表示パネル31の一例である。操作表示パネル31は、表示パネル32と、操作パネル33と、スタート釦34から構成される。表示パネル32は、たとえばLCDなどであり、タッチパネルの機能を有する。操作パネル33はスタート釦34と機能釦と数字釦などで構成され、ユーザの操作入力をCPU11に通知する。スタート釦34は、操作表示パネル31で受け付けたジョブを開始させる際に押下される操作釦である。また、表示パネル32には、対応する機能釦の押下操作、または原稿のセット(ステップS101)などにより入力画面35が表示される。
図4(b)の入力画面35は、ユーザからの入力操作を受け付けるUI表示の一例である。入力画面35には、選択フィールド36と、宛先選択釦37などの機能釦と、案内メッセージとが表示される。選択フィールド36には、入力画面35に表示された機能釦の選択操作により、データ送信装置10の動作に必要な項目が表示される。宛先選択釦37は、選択フィールド36に選択可能な宛先をリスト表示させる際に押下される操作釦である。図4(b)は、宛先選択釦37の選択操作を受けて、選択フィールド36に、データ送信の宛先として選択可能なファクシミリ番号がリスト表示された状態を示している。
図3に戻って解説を続ける。CPU11は、ファクシミリ番号の入力を受け付けた後、図6のデータ送受信情報テーブル40を作成する(ステップS102)。データ送受信情報テーブルは、図6のデータ送受信情報テーブル40に示すように、送信元と受信先のそれぞれについて、宛先番号(たとえば、ファクシミリ番号)と、地域と、予測震度と、予測到達時間とが登録される構成になっている。CPU11は操作パネル33または選択フィールド36を介して受信先のファクシミリ番号を受け付けると、図5の市外局番テーブル38を用いて該ファクシミリ番号の地域を識別し、該ファクシミリ番号とその識別した地域とを関連付けてデータ送受信情報テーブル40に登録する。データ送受信情報テーブル40は不揮発メモリ15に保存され、データ送信を継続するか否かの判断を行う際や、データ再送信の際に参照される。
図5は、CPU11が不揮発メモリ15に保存された市外局番テーブル38を用いて、ファクス番号の市外局番などから地域を識別する機能についての説明図である。市外局番テーブルとは、ファクス番号の市外局番と地域名とを対応付けて予め登録したテーブルである。たとえば、ここでは送信元となるデータ送信装置10の市外局番は03であるので地域は東京23区内、受信先となる相手機30の市外局番は06であるので地域は大阪府と識別される。ただし、市外局番と緊急地震速報との地域のそれぞれの分割形態は一部が一致していないため(たとえば、市外局番が06の地域は大阪府だけではなく兵庫県にもある)、地域によっては市内局番まで参照して地域の識別を行う動作をするように構成されてもよいし、1つの市外局番に対する地域名を複数登録可能に構成されてもよい。なお、市外局番テーブル38の市外局番と地域との対応は任意に変更できる。また、最新のテーブルをサーバからダウンロードできるように構成されてもよい。
図3に戻って解説を続ける。CPU11は、受信先の番号入力を受けつけ、スタート釦34が押下されることで、スキャナ部16にセットされた原稿の読み取りを開始する(ステップS103)。該原稿をスキャナ部16に読み込ませることで得た2値化された画像情報を、画像処理部22に入力し、該画像処理部22にてファクシミリ通信を行うための画像処理を行う。詳細には画像の補正、拡縮、データ圧縮などが行われ、送信用の画像情報が画像処理部22から出力される。CPU11は、該送信用の画像情報のデータ量を計算する。該画像情報のデータ量は通信時間の計算に用いるために不揮発メモリ15に保存され、該画像情報の本体はデータ送信が中断された場合の再送信に用いるために補助記憶装置23に保存される。
CPU11は、送信する画像情報のデータ量を取得すると、データ通信情報テーブルの作成を行う。データ通信情報テーブルは、図7のデータ通信情報テーブル41に示すように、通信時間と、通信開始時刻と、残通信時間とが登録される構成になっている。CPU11は該画像情報のデータ送信制御を行うファクシミリ通信部18から現在の回線速度を取得し、先程求めたデータ量と該回線速度とからデータ送信に要する時間を計算し、その値をデータ通信情報テーブルに登録する(ステップS104)。ここでは、通信時間には20秒を要すると計算されたものとする。データ通信情報テーブルは不揮発メモリ15に保存され、データ送信を継続するか否かの判断を行う際などに参照される。
データ送信を行う受信先が応答し通信が確立されると、通信の開始時刻を計時部26から取得し、その値をデータ通信情報テーブルに登録し(図7のデータ通信情報テーブルの欄41bの時刻)、補助記憶装置23に保存されている該画像情報を、ファクシミリ通信部18を介して送信を開始し(ステップS105)、ステップS106へ移行する。なお、通信確立後の通信速度が先ほどの通信時間の計算に使用した回線速度と異なるものになった場合は、通信確立後の通信速度に基づいて通信時間を再計算し、その値でデータ通信情報テーブルの値を更新する。
ステップS106では、緊急地震速報が受信されたか否かの確認を行う。データ送信の実行中に緊急地震速報の受信がない場合は(ステップS106;No)、実行中のデータ送信が完了しているか否かを確認し(ステップS110)、該データ送信が完了すると(ステップS110;Yes)、ステップS112へ移行する。
また、データ送信の実行中は、該データ送信が完了する(ステップS110;Yes)まで地震速報入力フラグの確認処理(ステップS111)と緊急地震速報受信の確認処理(ステップS106)を繰り返す。
データ送信の実行中に緊急地震速報を受信した場合は(ステップS106;Yes)、CPU11は地震速報入力フラグを有効に設定し(ステップS107)、該緊急地震速報の内容のうち、送信元と受信先とのそれぞれの地域について予測震度と、該地域に地震が到達する予測時間とを災害情報取得部25から取得する(ステップS108)。また、取得した内容をデータ送受信情報テーブルに登録する(図6のデータ送受信情報テーブルの欄40a、欄40b、欄40c、および欄40dの値)。
CPU11はデータ送受信情報テーブルへ各項目の登録が完了すると、データ通信情報テーブルに登録された通信開始時刻(図7のデータ通信情報テーブルの欄41b)を取得し、計時部26から取得した現在時刻から減算して、通信開始からの経過時間を求め、データ通信情報テーブルに登録されている通信時間(図7のデータ通信情報テーブルの欄41a)から経過時間を減算して、データ送信を完了させるまでの残通信時間を算出し、データ通信情報テーブルにその値を登録する(図7のデータ通信情報テーブルの欄41c)。CPU11はこの登録された残通信時間と、データ送受信情報テーブルに登録された震度(図6のデータ送受信情報テーブルの欄40aの値および欄40cの値)と到達時間(図6のデータ送受信情報テーブルの欄40bの値および欄40dの値)とから該データ送信を継続するか否かの判断を行う(ステップS109)。ここでは、データ送信の完了に要する時間は20秒とされ、通信開始の10秒後に緊急地震速報を受信したため、残通信時間は10秒となる。
図8は、ステップS109の詳細を示している。図6のデータ送受信情報テーブルの(送信元情報;震度)欄40aの値を参照し、データ送信元の地域への予測震度が基準震度より大きい場合には(ステップS201;No)、データ送信元の地域へ地震が到達する予測時間の経過前にデータ送信が完了するか否かを、図6のデータ送受信情報テーブルの(送信元情報;到達時間)欄40bの値と図7のデータ通信情報テーブルの(残通信時間)欄41cの値とを参照して判断する(ステップS202)。ここでは、該当する到達時間と、該当する残通信時間にマージンの時間を加えた時間とを比較し、該当の到達時間の方が長い場合はデータ送信を完了可能と判断する。マージンは適宜の時間(たとえば、2秒)に設定される。なお、マージンは0秒でもよい。
地震が到達する前にデータ送信が完了しない場合には(ステップS202;No)、実行中のデータ送信を中断すると共に後にこのデータを再送信するための準備を行う(ステップS205)。その後、再送要求フラグを有効に設定して(ステップS206)処理を終了する(リターン)。
図6のデータ送受信情報テーブルの(送信元情報;震度)欄40aの値を参照し、データ送信元の地域への予測震度が基準震度より小さい場合(ステップS201;Yes)、もしくは図6のデータ送受信情報テーブルの(送信元情報;到達時間)欄40bの値と図7のデータ通信情報テーブルの(残通信時間)欄41cの値とを参照して、地震が到達する前にデータ送信が完了する場合には(ステップS202;Yes)、図6のデータ送受信情報テーブルの(受信先情報;震度)欄40cの値を参照し、データ受信側の地域への予測震度が基準震度より大きいか否かを判断する(ステップS203)。
図6のデータ送受信情報テーブルの(受信先情報;震度)欄40cの値を参照し、データ受信先の地域への予測震度が基準震度より大きい場合には(ステップS203;No)、データ受信先の地域へ地震が到達する予測時間の経過前に当方からのデータ送信が完了するか否かを、図6のデータ送受信情報テーブルの(受信先情報;到達時間)欄40dの値と図7のデータ通信情報テーブルの(残通信時間)欄41cの値とを参照して判断する(ステップS204)。地震が到達する前にデータ受信が完了しない場合には(ステップS204;No)、実行中のデータ送信を中断すると共に後にこのデータを再送信するための準備を行う(ステップS205)。その後、再送要求フラグを有効に設定して(ステップS206)処理を終了する(リターン)。
図6のデータ送受信情報テーブルの(受信先情報;震度)欄40cの値を参照し、データ受信先の地域への予測震度が基準震度より小さい場合(ステップS203;Yes)、もしくは図6のデータ送受信情報テーブルの(受信先情報;到達時間)欄40dの値と図7のデータ通信情報テーブルの(残通信時間)欄41cの値とを参照して、地震が到達する前にデータ受信が完了する(受信先情報;到達時間よりも残通信時間が短い)場合には(ステップS204;Yes)、実行中のデータ送信を継続させる(リターン)。
図3に戻って解説を続ける。ステップS109において実行中のデータ送信を継続するか中断するかが判断され、その判断に基づいてデータ送信の中断もしくは継続がなされると、ステップS110へと移行する。ステップS110では、実行中であったデータ送信について、ステップS109での判断に基づいて通信終了しているか否かの確認を行う。ここでは、データ送信が中断されている、もしくはデータ送信が完了している状態をデータ送信の通信終了とする。
実行中であったデータ送信が通信終了していない(データ送信を継続する制御がなされ、データ送信が完了していない)場合には(ステップS110;No)、地震速報入力フラグが有効か否かの確認を行う(ステップS111)。地震速報入力フラグとは、緊急地震速報が受信されて、実行中のデータ送信を継続するか中断するかの判断が既に行われたか否かを示すフラグである。地震速報入力フラグが有効に設定されている場合には(ステップS111;Yes)、実行中のデータ送信が完了するまで通信を続行し、地震速報入力フラグが有効に設定されていない場合には(ステップS111;No)、緊急地震速報が受信されているか否かの確認を再度行う(ステップS106)。
実行中のデータ送信が完了するまで上記処理を繰り返すことにより、一度データ送信を継続するか中断するかの判断を行った(ステップS107で地震速報入力フラグが有効に設定されている)緊急地震速報については、再度データ送信の継続か中断かの判断を行わないように動作する。
実行中であったデータ送信が通信終了している場合には(ステップS110;Yes)、ステップS107で有効に設定された地震速報入力フラグを無効にし(ステップS112)、データ送信装置10による2次災害の発生を防止するために、当該データ送信装置10を震災モードへ移行させるか否かの判断を行う(ステップS113)。すなわち、送信元の地域での予測震度が基準震度より大きい場合には(ステップS113;Yes)、データ送信装置10を震災モードへ移行させる(ステップS114)。また、送信元の地域での予測震度が基準震度より小さい場合には(ステップS113;No)、ステップS115へと移行する。
震災モードへ移行させる際には、2次災害の発生を防止する動作を行う。ここでは、定着装置の加熱停止と印刷中の用紙排出とを行い、スリープ状態に移行させるようになっている。スリープ状態とは、電源オフに備えて実行中のジョブなどを不揮発メモリ15などに保存させ、スリープ状態から復帰するための事象の発生を監視する部分以外の動作を停止させた省電力の待機状態である。なお、震災モード中のスリープ状態では、震災復帰を確認する部分も稼動している。
定着装置とはプリンタ部17を構成する装置の1つであり、転写紙上に形成されたトナー像を加圧加熱して転写紙表面に固着する機能を果たす。データ送信装置10が印刷中の場合には定着装置が高熱を持つため、震災モードでは定着装置の加熱を停止させるようになっている。また、加熱した定着装置に可燃物である紙を長時間触れさせないために、震災モードではデータ送信装置10から印刷中の印刷用紙を排出させるようになっている。
また、図3ではデータ送信装置10は震災モードに移行すると、電源オフではなくスリープ状態となっているが、データ送信装置10が設置されている地域に強い地震波が到達する場合には、当該データ送信装置10をスリープ状態にするのではなく、電源をオフにするように設定することもできるようになっている。ただし、当該データ送信装置10の再起動はユーザが行う必要がある。
震災モードへの移行条件や震災モード中の動作などに関する設定は、操作部21を介して受け付けることができる。また、その設定は不揮発メモリ15に保存される。たとえば、データ送信装置10が緊急地震速報を受信後に震災モードへ移行するか否かの設定値や、震災モードへ移行する震度や、震災モードへ移行する時間マージンを地震が到達する予測時間から何秒とるか、また震災モードでどのような制御を行うか(電源オフか電源スリープかの選択や、定着装置の加熱オンオフ、印刷中の用紙排出のオンオフなど)などの設定を操作部21を介して受けつけて不揮発メモリ15に保存するようになっている。
ステップS115では、再送要求フラグが有効か否かの確認を行う。ここで再送要求フラグが無効となっている場合には(ステップS115;No)、データ送信は完了しているので本処理を終了する。再送要求フラグが有効となっている場合には(ステップS115;Yes)、震災からの復旧を確認する動作(再送要求フラグ無効待ち)を行う(ステップS116)。たとえば、図3においてデータ送信装置10はスリープ状態で待機しており、再送要求フラグが無効にされる入力、たとえば接続された外部ネットワークでの警戒解除情報の受信や、ユーザからの震災モードを解除する操作を監視している。ステップS109で実行中のデータ送信が中断されている場合には、再送要求フラグが有効となっているので、再送要求フラグが無効となるまで確認処理を繰り返す(ステップS116;No)。震災から復旧し再送要求フラグが無効になると(ステップS116;Yes)震災モードを解除して(ステップS117)ステップS104に戻り、補助記憶装置23に保存されている該画像情報を再送信する(ステップS105)。
なお、該緊急地震速報を解析し実行中のデータ送信を中断した際に、表示部20などを介して、データ送信装置10が震災モードへ移行するため、実行中の送信ジョブが中断される旨の通知をユーザへ行うような構成にしてもよい。
また、震災モードへ移行させる際には、データ送信装置10において実行中の全てのジョブのうち完了していないジョブについては、震災からの復旧後にこれらのジョブを再開することを前提にした中断を行うような構成にしてもよい。ここでのジョブとは、たとえば、MFPで印刷中のジョブや、スキャン中のジョブなど、相手機とのデータ通信を伴わないジョブも含む。
図9は、図8の流れ図による判断の具体例を示している。ここでは、データ通信情報テーブル42に示すデータ送信の実行中に受信した緊急地震速報の内容を、4つのケースに分けて個別に説明する。なお、ここでは震災モードへ移行する基準震度は6に設定されているものとし、震度5までは弱い地震、震度6以上を強い地震と判断する。
Case1のテーブルは、送信元の地域には強い地震が15秒後に到達し、受信先の地域には弱い地震が30秒後に到達する場合を示す。図8の流れ図で判断を行うと、送信元での震度(データ送受信情報テーブルの欄43aの値)は強いが(ステップS201;No)到達時間(データ送受信情報テーブルの欄43bの値)が残通信時間(データ通信情報テーブルの欄42aの値)より長いので送信は完了でき(ステップS202;Yes)、受信先での震度(データ送受信情報テーブルの欄43cの値)が弱いので(ステップS203;Yes)、データ送信は継続される。
Case2のテーブルは、送信元の地域には強い地震が3秒後に到達し、受信先の地域には弱い地震が30秒後に到達する場合を示す。図8の流れ図で判断を行うと、送信元の地域での震度(データ送受信情報テーブルの欄43dの値)は強く(ステップS201;No)、到達時間(データ送受信情報テーブルの欄43eの値)が残通信時間(データ通信情報テーブルの欄42aの値)より短いので送信を完了できない(ステップS202;No)ため、データ送信は中断される。
Case3のテーブルは、送信元の地域には弱い地震が5秒後に到達し、受信先の地域には弱い地震が30秒後に到達する場合を示す。図8の流れ図で判断を行うと、送信元の地域の震度(データ送受信情報テーブルの欄43fの値)は弱く(ステップS201;Yes)、受信先の地域の震度(データ送受信情報テーブルの欄43gの値)も弱い(ステップS203;Yes)ため、データ送信は継続される。
Case4のテーブルは、送信元の地域には感知できる地震は到達せず、受信先の地域には強い地震が5秒後に到達する場合を示す。図8の流れ図で判断を行うと、送信元の地域には地震が到達しないので震度(データ送受信情報テーブルの欄43hの値)は弱く(ステップS201;Yes)、受信先の地域での震度(データ送受信情報テーブルの欄43i)は強く(ステップS203;No)、到達時間(データ送受信情報テーブルの欄43jの値)が残通信時間(データ通信情報テーブルの欄42aの値)より短いので受信を完了できない(ステップS204;No)ため、データ送信は中断される。
このように、本実施の形態に係るデータ送信装置10では、データ送信の実行中に緊急地震速報を受信した場合には、該緊急地震速報から取得した地震到達の予測時間と該データ送信の残り時間とに基づいて該データ送信を継続させるか中断させるかを判断することで、データ送信の無駄な中断を防止し、ジョブ中断によるデータ再送信の手間を軽減することができる。
また、受信側へ地震が到達するまでの予測時間とデータ送信装置10へ地震が到達するまでの予測時間のうち短い方の時間を基準にデータ送信を継続させるか否かを判断したので、送受信いずれか一方でも震災を受ける場合には早々にデータ送信を中断させて、復旧後の再送信に備えることができる。
また、実行中のデータ送信を継続するか否かを緊急地震速報から取得した震度を含めて判断することで、影響が少ない弱い地震によるデータ送信の無駄な中断とその中断に伴うデータの再送信を防止することができる。
また、データの送信を中断させる基準となる震度の設定を任意に受け付けることができるので、データ送信装置の設置されている環境や当該データ送信装置の耐震度などに応じた基準震度の設定をすることができ、データ送信が中断されるケースを低減することができる。
また、緊急地震速報の取得により実行中のデータ送信が中断された後に、その地震災害の復旧が確認された場合には自動的に該データの再送信を行うので、再送信に伴う操作負担を軽減することができる。
また、データ送信装置10が緊急地震速報を受信した場合には、地震が到達する前に当該データ送信装置10を地震に備えた動作モードである震災モードに移行させることで、電源などに所定の制御を行い、定着装置の加熱停止や、印刷中の紙など定着装置に接触する可燃物の排出などを行い、火災などの2次災害の発生を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、図4に示された入力画面35のUI表示例は一例であり、本発明におけるUI表示の実施の形態はこれに限らない。
また、データ送信の実行中に緊急地震速報を受信した場合に、データ送信側の地域での地震予測(送信側の地域へ地震が到達する予測時間、もしくは予測時間と震度)のみから(受信側の地域での地震予測を考慮せずに)、該データ送信を継続するか中断するかを判断するように構成されてもよい。これにより、実行中のデータ送信が完了する前に送信側の地域へ強い地震が到達する内容の緊急地震速報を受信した場合は、受信側の震災状況に係らず震災モードへ移行させ、送信側の装置に起因する2次災害の発生とデータ送信の異常終了とを防止すると共に、震災から復旧した後は迅速にデータの再送信を行うことができる。
上記のように送信側への地震到達状況のみに基づいて判断すると、データ送信を完了可能と判断して通信を継続している間(完了前)に受信側に地震が到達することがある。しかし、この場合、受信側で地震によって通信障害が発生すると、送信側は通信エラーを検知するので、通常の通信エラーで終了する場合と同様にデータの再送に備えることができる。
また、データ送信装置10がデータ送信の実行中に緊急地震速報を受信し、2次災害の発生を防止するために実行中の送信ジョブを中断し震災モードに移行することで電源をオフにされた場合は、再送要求フラグが有効に設定されているため、送信を中断されたデータの再送信が電源オフからの再起動時に行われる。この際、この再起動がユーザの操作によって行われた場合には、中断したデータ送信の再送信を自動的に行わず、再送信を許可するか否かの選択入力を受け付けるよう構成されてもよい。これにより、再送信する必要の無いデータの再送信を削減できる。
また、気象庁が発令する緊急地震速報以外の、他の地震情報を受信して実行中のデータ送信を制御し、必要であれば震災モードへ移行するように構成されてもよい。
また、データ送信装置10の一例としてMFPを用いたが、電話線などを介して他の情報処理端末と接続が可能であるデータ送信装置ならば、他の装置でもよい。