JP4880799B2 - 測距装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の光学系間に生じる視差によって対象物までの距離を測る測距装置に関する。
近年、自動車の車間距離の測定やカメラの自動焦点システム、3次元形状測定システムなどに、一対の光学系間によって生じる視差によって被写体(測距対象物)までの距離を測定する測距装置が用いられている。
このような測距装置には、水平方向(左右)または垂直(上下)方向に配置する一対のレンズと、レンズのそれぞれに対応して設けられた一対の撮像領域を有する撮像素子とが設けられている。一対のレンズによって撮像領域のそれぞれに被写体の像が形成され、撮像素子によって得られる被写体の像を含む画像の視差から三角測量によって被写体までの距離が検出される。
図21は、測距装置において行なわれる三角測量の原理を示している。図21には、撮像レンズLaを有する第1の光学系と、撮像レンズLbを有する第2の光学系とが示されている。それぞれの光学系は、第1の光学系の光軸Aaと第2の光学系の光軸Abとが所定の間隔Bを隔てて互いに平行となるように配置される。第2の光学系の光軸Abと撮像面Nbとが交わる点および第1の光学系の光軸Aaと撮像面Naとが交わる点を結ぶ線分は、基線と呼ばれる。基線は、対象物の位置によって変化しない、三角測量の基準となる線分である。この基線の長さである基線長は間隔Bに等しい。以下、基線長をBとする。
測距対象物Uの像は、撮像レンズLaによって撮像面Naに、撮像レンズLbによって撮像面Nbにそれぞれ形成される。図21において、測距対象物U上の点Pを測定点とする。点Pが第1の光学系の光軸Aa上に位置する場合、点Pは、撮像面Naのうち第1の光学系の光軸Aaと交わる点に結像される。一方、撮像面Nbにおいては、撮像面Nbと第2の光学系の光軸Abとが交わる点から距離Δだけ離れた位置に点Pは結像される。これを視差といい、その長さを視差量Δという。
第1および第2の光学系の撮像レンズLaおよびLbの焦点距離をfとすると、以下の近似式が成り立つ。
Figure 0004880799
撮像面Na、Nbに結像された画像には、演算処理しやすい状態にするための補正や分割などの処理が施される。このような処理が行なわれた後に、撮像面Naに結像された画像と撮像面Nbに結像された画像とをパターンマッチングすることにより、視差量Δが求められる。算出された視差量Δと、基線長Bおよび焦点距離fとを式(1)に代入することによって、距離Zを求めることができる。
測距装置では、視差量Δが大きいほど測距精度が良くなる。式(1)によれば、基線長Bと焦点距離fが大きいほど視差量Δが大きくなり、測距精度が増す。
特許文献1には、レンズ全長を長くすることなく長焦点距離化を図るために、物体面に凸面を有する正メニスカス単レンズを用いた測距装置が開示されている。
特開2003−15029号公報
測距装置は、一般的な撮影に用いられるカメラなどと異なり、撮像用に複数の光学系を備える。このため、測距装置を構成する各光学系の撮像性能が互いに等しいほど、測距精度が増す。しかし、一般的にレンズには金型の精度の限界や製造ばらつきによりレンズ面間に数μm程度の偏芯が存在する。レンズ面間の偏芯とは、レンズの2つのレンズ面の面頂点を通る中心軸が一致しておらず、互いにずれている状態をいう。偏芯は1つのレンズの2つの主面にそれぞれ設けられたレンズ面の間でも生じるし、2つ以上のレンズを含む光学系において、任意の2つのレンズ面間でも生じる。レンズ面間に偏芯が存在すると、撮像性能の回転対称性が損なわれてしまうことになり、パターンマッチングによる視差検出時に撮像位置毎に検出視差量が変化し、測距精度が著しく劣化するという課題がある。
特許文献1は、測距用のレンズ構成を開示しているが、製造誤差によって生じた各レンズ面間の撮像特性の違いによる測距精度の劣化について何ら開示していない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、測距装置において、レンズ面間の偏芯が存在しても測距精度の劣化が少ない測距装置を提供することにある。
本発明の測距装置は、対象物を撮像する複数の光学系と、前記複数の光学系に1対1の関係で対応した複数の撮像領域を有する撮像部であって、前記複数の光学系によってそれぞれの撮像領域に形成した前記対象物の像を電気信号に変換する撮像部とを備え、前記複数の光学系によってそれぞれ形成した前記対象物の像の視差に基づき、前記対象物までの距離を測定する測距装置であって、前記複数の光学系のそれぞれは、n個(nは2以上の整数)のレンズ面を含み、前記複数の光学系のうちの少なくとも一対において、前記対象物側からi番目のレンズ面とj番目(iとjとは異なっており、それぞれ1以上n以下の整数)のレンズ面との偏芯方向が互いに一致している。
ある好ましい実施形態において、前記少なくとも一対の光学系のそれぞれは、射出成形されており、ゲート痕を有する少なくとも1つのレンズを含み、前記少なくとも1つのレンズは、前記i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面を有し、前記少なくとも一対の光学系において、前記少なくとも1つのレンズの中心に対する前記ゲート痕の方位は互いに一致している。
ある好ましい実施形態において、前記少なくとも一対の光学系のそれぞれは、1つのレンズを含み、前記1つのレンズは、前記i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面を有する。
ある好ましい実施形態において、前記少なくとも一対の光学系のそれぞれは、第1および第2のレンズを含み、前記第1および第2のレンズは、前記i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面をそれぞれ有する。
ある好ましい実施形態において、前記複数の光学系のそれぞれは、レンズ鏡筒を有し、前記測距装置は、前記一対の光学系のうちの一方のレンズ鏡筒を支持する副レンズ鏡筒と、前記一対の光学系のうちの他方のレンズ鏡筒および前記副レンズ鏡筒を前記撮像部に対して所定の空間的配置で保持する保持部材とを更に備え、前記一対の光学系のうちの前記他方のレンズ鏡筒および前記保持部材、ならびに、前記一対の光学系のうちの前記一方のレンズ鏡筒および前記副レンズ鏡筒には、それぞれ互いに嵌合するねじ構造が設けられており、前記副レンズ鏡筒は前記保持部材に対し、回転可能に支持される。
ある好ましい実施形形態において、前記i番目のレンズ面および前記j番目のレンズ面のうち、一方は、各光学系の前記n個レンズ面のうち、平面であるレンズ面を除く、最も曲率半径の小さいレンズ面である。
ある好ましい実施形形態において、前記i番目のレンズ面および前記j番目のレンズ面は、各光学系の前記n個レンズ面のうち、平面であるレンズ面を除く、最も曲率半径の小さいレンズ面および次に曲率半径の小さいレンズ面である。
本発明の複数の光学系を備えた測距装置の製造方法は、同一の金型を用いて射出成形によって作製された複数のレンズを用意する工程と、前記複数の光学系の少なくとも一対において、前記レンズの一対のレンズ面間の偏芯の方向が互いに一致するように、複数の光学系用のレンズ鏡筒に前記複数のレンズをそれぞれ配置する工程とを包含する。
ある好ましい実施形態において前記複数のレンズをそれぞれ配置する工程は、前記少なくとも一対の光学系のレンズ鏡筒において、前記レンズの光軸に対して前記レンズのゲート痕の方位が一致するように配置する。
本発明の測距装置の製造方法は、複数の光学系と、前記複数の光学系に1対1の関係で対応した複数の撮像領域を有する撮像部とを備えた測距装置の製造方法であって、同一の金型を用いて射出成形によってそれぞれ作製された少なくとも一対のレンズ鏡筒を用意する工程(A)と、前記一対のレンズ鏡筒に、少なくとも2種のレンズをそれぞれ配置し、前記複数の光学系のうちの少なくとも1対を作製する工程(B)と、前記複数の撮像領域の1つに対象物が結像するように前記一対の光学系の一方の位置を調整する工程(C)と、前記複数の撮像領域の他の1つに対象物が結像するように前記一対の光学系の他方の位置を調整する工程(D)と、前記一対の光学系において、前記少なくとも2種のレンズのいずれか2つのレンズ面間に生じる偏芯の方向を一致させる工程(E)とを包含する。
ある好ましい実施形態において、前記工程(E)は、前記一対の光学系において、前記光学系の光軸に対して前記レンズ鏡筒のゲート痕の方位が互いに一致するように前記一対の光学系の少なくとも一方のレンズ鏡筒を前記光学系の光軸に対して回転させる。
ある好ましい実施形態において、前記一対のレンズ鏡筒の前記2種のレンズのうち、同種のレンズは、同一の金型を用いて射出成形によって作製されており、前記工程(B)において、前記一対の光学系のレンズ鏡筒の前記ゲート痕に対し、前記2種のレンズのゲート痕の方位が前記一対の光学系において一致するように前記2種のレンズを配置する。
本発明によれば、2つのレンズ面間に偏芯が生じている場合であっても、偏芯の方向を複数の光学系のうち、少なくとも2つにおいて、偏芯方向を一致させることにより、測距精度の劣化を抑制し、精度の高い距離測定をおこなうことができる。
レンズの偏芯が撮像に与える影響を説明するためのシミュレーションモデルを示す概念図である。 図1に示すシミュレーションモデルにおいて、レンズに偏芯が生じた場合の撮像パターンの移動を示す図である。 本発明の測距装置の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。 (a)から(c)は、図3の測距装置の光学系における球面収差、非点収差および歪曲収差をそれぞれ示している。 (a)から(c)は、第1の実施形態の2つの光学系において、レンズ面間で生じる偏芯の方向を説明する図である。 (a)は、図3の測距装置に用いられる射出成形された単レンズを金型から離型した状態を示す図であり、(b)は、ランナーから切り離した状態の単レンズを示す図である。 射出成形による単レンズの偏芯量を測定した結果を示すグラフである。 第1の実施形態の光学系において、レンズの偏芯が生じた場合の撮像パターンの移動について、シミュレーション結果を用いて説明する図である。 SAD演算について説明するための図である。 第1の実施形態の測距精度シミュレーションに用いる平面チャートを示す図である。 第1の実施形態の測距精度シミュレーションにおける測距装置と平面チャートとの位置関係を説明する図である。 (a)および(b)は、第1の実施形態の測距精度のシミュレーション結果を示す図であり、(c)は、レンズの偏芯がない場合の測距精度のシミュレーション結果を示す図である。 (a)および(b)は、比較例の測距精度のシミュレーション結果を示す図である。 本発明の測距装置の光学系に含まれるレンズ面の他の例を示す模式的な断面図である。 本発明による測距装置の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。 (a)から(c)は、図15の測距装置の光学系における球面収差、非点収差および歪曲収差をそれぞれ示している。 (a)および(b)は、第2の実施形態の2つの光学系において、レンズ面間で生じる偏芯の方向を説明する図である。 (a)および(b)は、第2の実施形態の測距精度のシミュレーション結果を示す図であり、(c)は、レンズの偏芯がない場合の測距精度のシミュレーション結果を示す図である。 (a)および(b)は、比較例の測距精度のシミュレーション結果を示す図である。 本発明が適用可能なレンズ面の偏芯を説明する図である。 測距装置における三角測量の原理を説明するための図である。
まず、複数の光学系を有する測距装置において、複数の光学系がn個のレンズ面を含んでおり、i番目のレンズ面とj番目のレンズ面と間に金型誤差や製造誤差によって偏芯が存在する場合の撮像パターンの位置変化を説明する。ここで、nは2以上の整数であり、iとjとはn以下の互いに異なる整数である。また、レンズ面とは、屈折や回折などによって、光の集光状態を変化させる機能を有する光学素子の表面あるいは界面をいう。
図1は、平面チャートHを、平面チャートHから所定の距離を隔てて設けられた光学系Lによって撮像し、有効像円C(=φC)内に像が形成される様子を模式的に示している。平面チャートHには、円形パターンO、X1、X2、Y1、Y2が描かれている。円形パターンOは平面チャートHの原点に、円形パターンX1、X2はX軸上に、円形パターンY1、Y2はY軸上にそれぞれ配置されている。
有効像円Cには、平面チャートH上の円形パターンO、X1、X2、Y1、Y2に対応する撮像パターンo、x1、x2、y1、y2が結像する。撮像パターンoは、有効像円Cにおける光軸上に形成される。一方、撮像パターンx1およびx2は、それぞれ最大像高(すなわち、有効像円Cの半径)の40%および80%の距離だけ原点から+x方向に離れた位置に形成される。同様に、撮像パターンy1およびy2は、最大像高の4割および8割分の距離だけ原点から+y方向に離れた位置に形成される。
図2は、図1に示すように平面チャートHの像が形成されている場合において、光学系Lを構成するレンズのいずれかひとつのレンズ面が偏芯した場合における撮像パターンの位置変化を説明するための図である。レンズ面の偏芯方向に対する撮像パターン位置変化の方向は光学系によって同方向になる場合と逆方向になる場合があるが、ここでは、レンズ面の偏芯方向と撮像パターンの位置変化の方向が同方向である場合について説明する。
光学系Lを構成するレンズのいずれかひとつのレンズ面が+X方向(図1)に偏芯した場合、撮像パターンo、x1、x2、y1、y2は−x方向に移動し、それぞれo’、x1’、x2’、y1’、y2’が形成される。また、像面側のレンズが−X方向に偏芯した場合、撮像パターンo、x1、x2、y1、y2は+x方向に移動して、それぞれo’’、x1’’、x2’’、y1’’、y2’’が形成される。図2において、Δo、Δx1、Δx2、Δy1、Δy2は、撮像パターンo’’、x1’’、x2’’、y1’’、y2’’の位置を基準とした場合の撮像パターンo’、x1’、x2’、y1’、y2’の相対的なパターン位置の移動量である。一般的にレンズLの像面側のレンズ面が偏芯した場合、移動量は撮像位置によって異なる。
デジタルカメラやビデオカメラなど、光学系が1つである撮像素子の場合、撮像位置によって移動量が異なるという影響は、撮影した像の歪みとなって表れる。これに対し、複数の光学系を備えた測距装置の場合、光学系ごとに撮影した像が歪むという問題に加え、複数の光学系間において、偏芯の方向や偏芯量が異なれば、撮影した像の歪み方も複数の光学系間で異なるという問題が加わることとなる。このため、測距装置における偏芯は、測距精度の引き起こすとともに、その測距精度の低下度合いが撮像位置によって異なるという問題が生じる。
偏芯による像の歪みは僅かであるが、たとえば、基線長や焦点距離が短い小型の測距装置では、検出される視差は小さくなるため、偏芯による像の歪みが測距精度に大きく影響を及ぼす。また、基線長や焦点距離が比較的長い大型の測距装置であっても、遠方にある対象物を測距する場合は視差が小さくなるため、同様に測距精度に大きく影響を及ぼす。
本発明の測距装置は、複数の光学系を備え、複数の光学系のそれぞれは、n個のレンズ面を含んでいる。ここで、nは2以上の整数である。複数の光学系のうちの少なくとも一対において、対象物側からi番目のレンズ面とj番目のレンズ面との偏芯方向が一致している。ここでiとjとは1以上n以下の互いに異なる整数である。
本発明によれば、レンズの偏芯自体は変えることができないため、各光学系において形成される対象物の像はレンズの偏芯によって歪む。しかし、複数の光学系のうち少なくとも一対の光学系におけるレンズの偏芯方向を一致させることによって、この一対の光学系によって形成される像は、互いに、同じ方向においては同程度歪んでいる。このため、視差を求める場合、偏芯による影響が相殺される。これによって偏芯による測距精度の劣化を抑制することができ、小型の測距装置で測距する場合や比較的大型の測距装置で遠方測距する場合のように、視差が小さくなる条件において、特に有利な効果を得ることができる。以下、図面を参照しながら、本発明による測距装置を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明による測距装置の第1の実施形態を説明する。図3は、本実施形態の測距装置Mの構成を示す模式図である。測距装置Mは、単レンズLa、Lbによって構成される2つの光学系と、撮像部Nと、演算処理回路Cとを備えている。
単レンズLa、Lbは、互いにほぼ等しい形状を有している。具体的には、単レンズLa、Lbは、それぞれ対象物側に位置するレンズ面r1および撮像部N側に位置するレンズ面r2を有しており、単レンズLaのレンズ面r1の形状は、単レンズLbのレンズ面r1の形状とほぼ等しい。また、単レンズLaのレンズ面r2の形状は、単レンズLbのレンズ面r2の形状とほぼ等しい。2つの光学系の光軸の距離はBであり、測距装置Mの基線長となる。
撮像部Nは、単レンズLa、Lbによって構成される光学系に1対1の関係で対応した撮像領域Na、Nbを含み、単レンズLa、Lbによってそれぞれの撮像領域Na、Nbに形成された対象物の像を電気信号に変換する。本実施形態では、撮像領域Na、Nbは別個の素子として示しているが、1つの撮像素子の領域を分割して各レンズに1対1の関係で対応するように撮像領域Na、Nbを設定してもよい。
演算処理回路Cは、撮像部Nから電気信号を受け取り、2つの光学系による対象物の像の視差から、対象物(図示せず)までの距離を算出する。視差から対象物までの距離を算出する方法は、図21を参照して説明した通りである。
好ましくは、測距装置Mは、単レンズLa、Lbのレンズ面r1側にそれぞれ設けられた絞りSa、Sbと、単レンズLa、Lbと撮像領域Na、Nbとの間に設けられたフィルタFa、Fbとを更に備える。
表1は、図3に示す測距装置Mにおける各光学系の設計データを示している。表1において、Riは各面の近軸曲率半径(mm)、diは各面の面中心間隔(mm)、ndはレンズもしくはフィルタのd線の屈折率、νdはレンズもしくはフィルタのd線のアッベ数を示している。フィルタ1面およびフィルタ2面とは、それぞれフィルタFa(またはFb)の単レンズLa(Lb)側および撮像領域Na(Nb)側の面を言う。また、非球面形状は、面頂点の接平面から光軸方向の距離をx、光軸からの高さをhとして、rを近軸曲率半径、kを円錐定数、Am(m=4,6,8,10,12)を第m次の非球面係数としたとき式(2)で表される。
Figure 0004880799

Figure 0004880799
図4(a)、(b)および(c)はそれぞれ各光学系の球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。これらの図から各収差が良好に補正されていることがわかる。
本実施形態の測距装置Mでは、レンズ面間に生じる偏芯によって測距精度の劣化を抑制するため、単レンズLa、Lbの偏芯の方向を一致させている。図3に示すように、単レンズLaにおいて、レンズ面r1は、レンズ面r1の面頂点を通り撮像領域Naと直交する中心軸Aaを有し、レンズ面r2は、レンズ面r2の面頂点を通り撮像領域Naと直交する中心軸Baを有する。同様に、単レンズLbにおいて、レンズ面r1は、レンズ面r1の面頂点を通り撮像領域Nbと直交する中心軸Abを有し、レンズ面r2は、レンズ面r2の面頂点を通り撮像領域Nbと直交する中心軸Bbを有する。
図5(a)は単レンズLaにおけるレンズ面r1とレンズ面r2との偏芯および単レンズLbにおけるレンズ面r1とレンズ面r2との偏芯を示している。2つのレンズ面における偏芯とは、前述した両レンズ面の中心軸間のずれである。また、偏芯の方向とは、一方のレンズ面の面頂点を通る中心軸を基準とした場合のもう一方のレンズ面の面頂点を通る中心軸を結ぶベクトルで表される。たとえばレンズ面r1を基準にした場合、図5(a)に示すように、単レンズLaでは、レンズ面r1とレンズ面r2との偏芯の方向は、AaからBaへ向かうベクトルで示される。同様に、単レンズLbでは、レンズ面r1とレンズ面r2との偏芯の方向は、AbからBbへ向かうベクトルで示される。
本発明の測距装置では、光学系がn個のレンズ面を有しおり、対象物側からi番目のレンズ面とj番目のレンズ面との偏芯方向が複数の光学系間において互いに一致している。ここで、nは2以上の整数であり、iとjとは異なっており、それぞれn以下の整数である。具体的には、図5(a)に示すように、単レンズLaにおける中心軸Aaから中心軸Baへ向かうベクトルと、単レンズLbにおける、中心軸Abから中心軸Bbへ向かうベクトルの方向が一致している。ここで一致とは、2つのベクトルのなす角度が0度である場合のみならず、2つのベクトルのなす角度が15度以下である場合を含む。本実施形態の場合、中心軸BaおよびBbは中心軸AaおよびAbに対してそれぞれX方向に−5μm偏芯している。しかし、偏芯の方向は一致している。
このように単レンズLaおよびLbにおいて、偏芯方向を一致させるためには、単レンズLaおよびLbを同一の金型を用いて射出成形によって作製することが好ましい。これにより、単レンズLaおよびLbの偏芯量を等しくすることができる。
さらに、単レンズLaおよびLbの偏芯方向を一致させるために、射出成形時に生じるゲート痕を基準として用い、ゲート痕のレンズ中心からの方位を、単レンズLaおよびLbにおいて一致させることによって、偏芯方向が一致する。
射出成形によって形成されるレンズが、1つの金型から複数個製造される場合は、同一キャビティから射出された単レンズを単レンズLaおよびLbとして使用することが好ましい。図6(a)は、一度に複数成形できる金型から樹脂製の単レンズを離型した状態を示す模式図である。レンズL1からL6まで、6つのレンズが一度に成形される。
図6(a)において、L1〜L6はそれぞれ単レンズであり、Jはランナーである。図6(b)は、ランナーから切り離した状態の単レンズL1を示しており、Kはレンズの非有効領域であるコバ面、G1はゲート痕である。ゲート痕G1の部分には、組立工程においてレンズ鏡筒にレンズを挿入する際、ゲート痕Gが引っかからないようにするために、図6(b)に示すように、あらかじめDカット形状を設けている場合がある。この場合、ゲート痕G1が完全に切除されていても、Dカット形状の平らな部分がゲート痕と見なせる。
図7は同一の金型から製造された単レンズの対象物側のレンズ面の中心と撮像領域側のレンズ面の中心との間の偏芯量について、ゲート方向を揃えて10個測定した値をプロットした結果を示している。図7から分かるように、同じ金型を使用することにより、作成されたレンズの偏芯方向および偏芯量はほぼ同程度となる。従って、測距装置を組み立てる際に、同一金型の同一キャビティを用いて成形されたレンズを、そのゲート痕の方位が一致するように配置することによって、複数の単レンズの対象物側のレンズ面の中心と撮像領域側のレンズ面の中心との間の偏芯方向と偏芯量をそれぞれ相対的に揃えることができる。
なお、上述の例では、単レンズLaおよびLbの対象物側のレンズ面r1の中心軸は、レンズLaの外周の中心と一致していた。しかし、単レンズLaおよびLbのr1およびr2のいずれの中心軸も単レンズLaおよびLbの外周の中心からずれていても、上述したように、同一金型の同一キャビティを用いた、単レンズLaおよびLbであれば、複数の単レンズの対象物側のレンズ面の中心と撮像領域側のレンズ面の中心との間の偏芯方向と偏芯量をそれぞれ相対的に揃えることができる。図5(b)に示すように、レンズ面r1の光軸AaおよびAbがレンズLaおよびLbの外周の中心LacおよびLbcからレンズ面r1の中心軸Aa、Abがずれていても、レンズ面r1とレンズ面r2との偏芯の方向は、AaからBaへ向かうベクトルで示される。同様に、単レンズLbでは、レンズ面r1とレンズ面r2との偏芯の方向は、AbからBbへ向かうベクトルで示される。したがって、たとえば、図5(c)に示すように、これら2つのベクトルが一致していない場合、矢印で示すように単レンズLbを回転させ、ゲート痕の方位をレンズLaおよびLbにおいて一致させれば、図5(b)に示すように偏芯方向が一致する。
図8は、2つのレンズ面間に偏芯を与えた場合において、偏芯がない場合に比べどの程度撮影された画像が移動するかを測定したシミュレーション結果を示している。このシミュレーションは、光学系を表1の設計データとし、撮像領域側のレンズ面の中心軸をX方向に−5μm、0μm、+5μmシフトさせた場合における結像位置を、光線の追跡によって解析した結果である。
図8における撮像パターンo’’、x1’’、x2’’、y1’’、y2’’、o、x1、x2、y1、y2、o’、x1’、x2’、y1’、y2’のそれぞれの照度分布図では、16×16個の画素がマトリクス状に配置され、相対的に照度の高い画素ほど高い明度で示されている。ただし、表示の都合上、明度の高さは、各画素内において白い領域の占める割合の大きさで示されている。それぞれの照度分布図において、格子状に配置される領域のそれぞれが1つの画素であり、画素ピッチは6μmである。
図8において、撮像パターンo、o’、o’’の照度分布を比較すると、撮像パターンo’’のうち照度が最も高い部分(白色で示される部分)は、照度分布図の中央部で上下に配置された2つの画素である。一方、撮像パターンoのうち照度が最も高い部分は、照度分布図の中央部で2行2列に配置された4つの画素である。撮像パターンo’’のうち照度が最も高い部分の中心は、撮像パターンoのうち照度が最も高い部分の中心と比較して−x方向側にずれている。一方、撮像パターンo’のうち照度が最も高い部分の中心は、撮像パターンoのうち照度が最も高い部分の中心と比較して+x方向側にずれている。他の撮像パターンx1、x1’、x1’’、・・・、y’’の場合も同様に、照度が最も高い部分の中心のx方向の位置はそれぞれずれている。この結果から、偏芯の影響により、撮像パターンの位置がずれることがわかる。
さらに、例えば、撮像パターンo、o’、o’’のそれぞれの間におけるずれ量と、撮像パターンx1、x1’、x1’’のそれぞれの間におけるずれ量とは異なっている。この結果から、偏芯が生じた場合、撮像パターンが移動する量は、その位置によって異なることがわかる。
測距における視差演算はパターンマッチングによって導出されるため、撮像パターンの移動量Δo、Δx1、Δx2、Δy1、Δy2もパターンマッチングによって導出される。パターンマッチングの相関度は基準側の小領域と参照側の小領域との間の各画素の輝度の差分の絶対値の総和である評価関数SAD(Sum of Absolute Difference)によって求められる。ここで、小領域の演算ブロックサイズをm×n画素とすると、SADは式(3)によって求めることができる。
Figure 0004880799
式(3)において、i、jは演算ブロックの座標であり、I0、I1はそれぞれ括弧内に示す座標における基準側の輝度値と参照側の輝度値である。SAD演算では、基準側の演算ブロック領域に対して参照側の探索ブロック領域の位置をずらしながら演算が行なわれ、SADが極小値となるときのずらし量が移動量となる。本シミュレーションでは、探索ブロックのずらし方向は図8の+X方向である。図9はSAD演算を表すグラフである。SADは画素単位の演算であるが、補間処理によってサブピクセル単位で求めることができる。
表2は、本実施形態の単レンズLa、Lbにおいて、撮像パターンの移動量Δo、Δx1、Δx2、Δy1、Δy2をSADを用いて導出した結果である。前述したように、撮像領域側のレンズ面が偏芯した場合、撮像パターンの移動量は撮像位置によって異なっていることがわかる。
Figure 0004880799
次に本実施形態における測距精度のシミュレーション結果について説明する。図10は、解析に用いる測距精度確認用の平面チャートTを示している。図10に示す平面チャートTには、横37×縦29個の円形パターンQが配列されている。図11は、平面チャートTと測距装置Mとの位置関係を示す概略図である。この平面チャートTを測距装置Mから距離2mの位置に設置したときに、単レンズLa側の撮像素子Naで得られる画像と、単レンズLb側の撮像素子Nbで得られる画像についてそれぞれシミュレーションによって再現する。
単レンズLa側では視差探索の基準となる基準画像を取得し、単レンズLb側では視差探索の参照となる参照画像を取得する。なお、測距装置Mは、図11に示すように平面チャートTの中心と単レンズLa側の中心軸が一致するように配置しており、平面チャートTの底辺方向と測距装置Mの基線方向が一致するように配置している。また、基線長Bは6mmに設定している。
再現する画像サイズは、単レンズLa側の基準画像のサイズを592×464画素とし、16×16画素のブロック単位で視差演算を行う。従って、演算ブロック数は円形パターンQと同じ横37×縦29個と同じになる。シミュレーションでは、便宜上、各演算ブロック内に各円形パターンが収まるようにチャートTのサイズを決定している。各ブロックの視差は、式(3)に示した評価関数SADを用いるが、円形パターンの画像上でのピッチはほぼ16画素となるため、SAD演算による視差の誤検出を防止するよう最大視差探索範囲を14画素に設定している。このため、単レンズLb側の参照画像のサイズは606×464画素としている。
シミュレーションによって再現した基準画像と参照画像は、予め求めたキャリブレーションパラメータによって視差演算が可能な画像に変換される。このキャリブレーションパラメータとは、カメラの平行化補正、歪曲収差補正およびレンズシェーディング補正を行うためのパラメータである。
画像変換後、横37×縦29のブロック毎に視差演算を行い、測距精度をマッピングすると図12(a)から(c)に示す結果が得られた。測距精度のマッピングでは、測距精度±1%以内の箇所のみ格子内を黒く塗りつぶして表示している。
図12(a)は、図1のように単レンズLa、Lb共に撮像面側のレンズ面r2がX方向に−5μmずれた状態における測距精度のマップであり、単レンズLaの偏芯方向と単レンズLbの偏芯方向とは完全に一致している(角度差が0度)。図12(b)は、単レンズLaの偏芯方向と単レンズLbの偏芯方向との角度差が15度である場合の測距精度のマップである。また、図12(c)は、単レンズLa、Lb共に撮像領域側のレンズ面r2の偏芯がない状態における測距精度のマップである。
図12(c)と図12(a)および(b)を比較すれば明らかなように、単レンズLa、Lbに偏芯が存在しても、偏芯方向が一致しているか、偏芯方向の角度差が15度程度であれば、偏芯がない状態と比べて測距精度の劣化がほとんどないことがわかる。したがって、偏芯方向が15度以内の範囲内において揃っていれば、測距精度の劣化はほとんど発生しないといえる。なお、シミュレーションで再現した画像は限られた本数の光線で生成している影響で多少のノイズが含まれており、測距精度マップにも多少の誤差が含まれている。
一方、図13は、(a)は、単レンズLbの撮像領域側のレンズ面r2の中心軸を単レンズLaとは逆にX方向に+5μm偏芯させた場合、つまり、単レンズLaと単レンズLbとの偏芯方向が180度異なっている状態の測距精度のマップである。また、図13(b)は、単レンズLbの撮像領域側のレンズ面r2の中心軸をY方向に+5μm(X方向は0μm)偏芯させた場合、つまり、単レンズLaと単レンズLbとの偏芯方向が90度異なっている状態の測距精度のマップである。
図13(a)および(b)と図12(a)および(b)を比較すれば明らかなように、偏芯方向が90度あるいは180度異なっている場合、測距精度が著しく悪化する。
このように本発明によれば、2つのレンズ面間に偏芯が生じている場合であっても、偏芯の方向を複数の光学系のうち、少なくとも2つにおいて、偏芯方向を一致させた場合、測距精度の劣化を抑制し、精度の高い距離測定をおこなうことができる。
なお、上記実施形態では、i番目およびj番目のレンズ面は、球面、非球面、あるいは平面で構成され、屈折により光の集束状態を変化させる光学レンズの2つの主面であった。しかし、レンズ面は、回折によって光の集束状態を変化させる機能を有していてもよいし、また、光の集束状態を変化させるレンズ面の表面に設けられた光学調整層表面であってもよい。
具体的には、i番目およびj番目のレンズ面は回折格子が設けられた回折面およびその回折面を覆うように設けられた光学調整層の表面であってもよい。たとえば、図14に示すように、基材Gの表面に回折格子が設けられた回折面D、および、回折面Dを覆って設けられた光学調整層Hを有する光学素子を考える。光学調整層は、広い波長域において回折効率を高く維持するため設けられている。回折面Dに設けられた回折格子のブレーズ段差dとし、基材Gおよび光学調整層Hの波長λにおける屈折率をそれぞれ、n1(λ)、n2(λ)とし、光学素子を透過する光の波長をλとする。この場合、使用する光の波長領域内の任意波長λに対して、下記式(4)のdが略一定になるように、基材Gと光学調整層Hの屈折率の組み合わせを設定する。これにより、所定の波長帯域において光学素子の回折効率は100%に近い値で維持される。
Figure 0004880799
このような光学素子において、回折面Dおよび光学調整層Hの表面Wは、上記実施形態で説明したi番目およびj番目のレンズ面であり、j=1+1である。図14に示す光学素子において、回折面Dの中心軸に対して、光学調整層Hの中心軸が偏芯している場合にも本実施形態で説明したように、像は歪む。このため、このような光学素子を有する光学系を複数含む測距装置においても、一対の光学系の偏芯方向を一致させることにより、偏芯による影響を相殺することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明による測距装置の第2の実施形態を説明する。図15は、本実施形態の測距装置M’の構成を示す模式図である。測距装置M’は、2つの光学系と、撮像部Nと、演算処理回路Cとを備えている。
測距装置M’は、光学系を2枚のレンズによって構成している点で第1の実施形態とは異なる。具体的には、各光学系は、対象物側のレンズ面r1および撮像領域側のレンズ面r2を有する第1群レンズL1a、L1bと、各光学系に1つずつ設けられ、対象物側のレンズ面r3および撮像領域側のレンズ面r4を有する第2群レンズL2a、L2bによって構成されている。
第2群レンズL2a、L2bにおけるレンズ面r3側には、絞りSa、Sbが設けられ、第2群レンズL2a、L2bと撮像領域Na、Nbとの間には、フィルタFa、Fbが設けられている。Bは測距装置の基線長を示している。
第1群レンズL1aと絞りSaおよび第2群レンズL2aは、レンズ鏡筒H1aに挿入され、接着剤T1によって固定されている。また、第1群レンズL1bと絞りSbおよび第2群レンズL2bは、レンズ鏡筒H1bに挿入され、接着剤T1によって固定されている。さらにレンズ鏡筒H1bは、副レンズ鏡筒H2bに接着剤T2によって固定されている。また、レンズ鏡筒H1a、副レンズ鏡筒H2bは保持部材Kにそれぞれ接着剤T2、T3によって固定され、保持部材Kと撮像部Nは、実装基板Wに固定されている。レンズ鏡筒H1aの外周部および保持部材K、並びにレンズ鏡筒H1bの外周部と副レンズ鏡筒H2bの内周部には、それぞれ互いに嵌合するねじ構造が設けられており、鏡筒を回転させることにより、各光学系のフォーカス調整ができる構造を備えている。
複数の第1群レンズL1a、L1bは、互いにほぼ等しい形状を有する。具体的には、第1群レンズL1aのうち対象物側のレンズ面r1の形状は、第1群レンズL1bのうち対象物側のレンズ面r1の形状とおおよそ同一である。第1群レンズL1aのうち撮像部N側のレンズ面r2の形状は、第1群レンズLbのうち撮像部N側のレンズ面r2の形状と略同一である。同様に、複数の第2群レンズL2a、L2bは、互いにほぼ等しい形状を有する。具体的には、第2群レンズL2aのうち測距対象物側のレンズ面r3の形状は、第2群レンズL2bのうち測距対象物側のレンズ面r3の形状とほぼ同一であり、第2群レンズL2aのうち撮像部N側のレンズ面r4の形状は、第2群レンズL2bのうち撮像部N側のレンズ面r4の形状とほぼ同一である。
撮像部Nは、2つの光学系に1対1で対応した撮像領域Na、Nbを含み、光学系によってそれぞれの撮像領域Na、Nbに形成された対象物の像を電気信号に変換する。本実施形態では、撮像領域Na、Nbは別個の素子として示しているが、1つの撮像素子の領域を分割して各レンズに1対1で対応するように撮像領域Na、Nbを設定してもよい。
演算処理回路Cは、撮像部Nから電気信号を受け取り、2つの光学系による対象物の像の視差から、対象物(図示せず)までの距離を算出する。視差から対象物までの距離を算出する方法は、図21を参照して説明した通りである。
表3は、図15に示す測距装置における光学系の設計データである。表3における各記号は、表1と同じである。
また、図16(a)、(b)および(c)はそれぞれ各光学系の球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。これらの図から各収差が良好に補正されていることがわかる。
Figure 0004880799
本実施形態の測距装置M’も第1の実施形態と同様、測距精度の劣化を抑制するため、2つの光学系におけるレンズ面の偏芯の方向を一致させている。ただし、1つのレンズにおける対象物側のレンズ面と撮像領域側のレンズ面との偏芯ではなく、異なる独立したレンズの2つのレンズ面間の偏芯を考慮する。
図15に示すように、第1群レンズL1aは、レンズ面r1の面頂点およびレンズ面r2の面頂点を通り撮像領域Naと直交する光軸Aaを有している。光軸Aaは絞りSaの中心も通っている。また、第2群レンズL2aは、レンズ面r3の面頂点およびレンズ面r4の面頂点を通り撮像領域Naと直交する光軸Caを有している。同様に第1群レンズL1bは、レンズ面r1の面頂点およびレンズ面r2の面頂点を通り撮像領域Nbと直交する光軸Abを有している。光軸Abは絞りSbの中心も通っている。また、第2群レンズL2bは、レンズ面r3の面頂点およびレンズ面r4の面頂点を通り撮像領域Nbと直交する光軸Cbを有している。
図15に示すように、第1群レンズL1aの光軸Aaと第2群レンズL2aの光軸Caは一致しておらず、これらのレンズ面間に偏芯が生じている。これは、レンズ鏡筒H1aにおける金型誤差等により、レンズ鏡筒H1aにおける第2群レンズのL2aの挿入部の中心と、第1群レンズL1aの挿入部の中心との間にずれが生じているからである。同様の理由から、第1群レンズL1bの光軸Abと第2群レンズL2bの光軸Cbも一致しておらず、これらのレンズ面間に偏芯が生じている。上述したように第1群レンズL1a、L1bおよび第2群レンズL2a、L2bのそれぞれの両レンズ面は偏芯しておらず、これらの偏芯は、第1群レンズL1aと第2群レンズL2aとの偏芯および第1群レンズL1bと第2群レンズL2bとの偏芯であるとも言える。
図17(a)は第1群レンズL1aの光軸と第2群レンズL2aの光軸との偏芯、および、第1群レンズL1bの光軸と第2群レンズL2bの光軸との偏芯を示している。本実施形態における偏芯とは、第1群レンズの光軸と第2群レンズの光軸とのずれである。また、偏芯の方向とは、光軸と垂直な平面における、一方の光軸を基準とした場合の2つの光軸を結ぶベクトルで表される。たとえば第1群のレンズの光軸を基準にした場合、図17(a)に示すように、AaからCaへ向かうベクトルおよびAbからCbへ向かうベクトルで示される。
図17(a)に示すように、2つの光学系、具体的にはレンズ鏡筒H1aとH1bにおいて、光軸Aaから光軸Caへ向かうベクトルと、光軸Abから光軸cbへ向かうベクトルの方向が一致している。ここで一致とは、2つのベクトルのなす角度が0度である場合のみならず、2つのベクトルのなす角度が15度以下である場合を含む。
本実施形態の場合、光軸CaおよびCbは光軸AaおよびAbに対してそれぞれX方向に−20μm偏芯している。しかし、偏芯の方向は一致している。このような偏芯は、上述したように、レンズ鏡筒H1aおよびH1bにおける第2群レンズの挿入部の中心と、第1群レンズ挿入部の中心とのずれによって生じている。
このようにレンズ鏡筒H1aとH1bにおける偏芯方向を一致させるためには、レンズ鏡筒H1aとH1bとを同一の金型を用いて射出成形によって作製することが好ましい。このようにレンズ鏡筒を作製した上で、レンズ鏡筒H1aとH1bのゲート痕を利用してレンズの偏芯方向を一致させる。
以下、本実施形態の測距装置M’の製造方法、特に、光学系の作製工程を説明する。
(1)まず、上述したように、射出成形によって、第1群レンズL1aとL1b、第2群レンズL2aとL2bおよびレンズ鏡筒H1aとH1bを作製する。上述したように、第1群レンズL1a、L1bおよび第2群レンズL2a、L2bは、それぞれの一対のレンズ面間に偏芯が生じない限り、射出成形によって形成してもよいし、研磨などによって形成してもよい。
(2)次に、レンズ鏡筒H1aに第1群レンズL1aおよび、第2群レンズL2aを取り付ける。
(3)同様に、レンズ鏡筒H1bに第1群レンズL1bおよび、第2群レンズL2bを取り付ける。第1群レンズL1a、L1bおよび第2群レンズL2a、L2bのそれぞれの一対のレンズ面間には偏芯は発生していないため、レンズ鏡筒H1a、H1bへの第1群レンズL1a、L1bおよび第2群レンズL2a、L2bの取り付け方向には特に制限はない。
(4)次に、レンズ鏡筒H1aを回転させてフォーカス調整を行う。以下、便宜上、図15に示すように、フォーカス調整後のゲート痕Gaの向きが−X方向になったものとして説明する。フォーカス調整後、レンズ鏡筒H1aを保持部材Kに対して固定する。例えば、接着剤T2を硬化させる。
(5)副レンズ鏡筒H2bが回転しないように保持しながら、レンズ鏡筒H1bを回転させてフォーカス調整を行う。
(6)レンズ鏡筒H1bのフォーカス調整が完了した時点で、ゲート痕Gbの方位がレンズ鏡筒H1aのゲート痕Ga向きと同様に−X方向と略同一となっていれば、レンズ鏡筒H1bを副レンズ鏡筒H2bに対し固定し、副レンズ鏡筒H2bを保持部材Kに対して固定する。たとえば、接着剤T2、T3を硬化させる。図17(b)に示すように、ゲート痕Gbの方位が−X方向からずれている場合には、レンズ鏡筒H1bと一緒に副レンズ鏡筒H2bを矢印で示すように回転させることにより、図17(a)に示すようにレンズ鏡筒H1bのゲート痕Gbの方位を−X方向と概ね一致させる。その後、接着剤T2、T3を硬化させることにより、レンズ鏡筒H1bを副レンズ鏡筒H2bに対し固定し、副レンズ鏡筒H2bを保持部材Kに対して固定する。このように、レンズ鏡筒H1bと副レンズ鏡筒H2bとの組合せにより、フォーカス位置を維持したまま、ゲート痕Gbの向きを変化させることができる。
このように副レンズ鏡筒H2bを回転させて、レンズの光軸に対する副レンズ鏡筒H2bのゲート痕Gbの方向を副レンズ鏡筒H2aのゲート痕の方向と一致させると、図17(a)に示すように、レンズ鏡筒H1aおよびレンズ鏡筒H1bにおける第1群レンズの光軸と第2群レンズの光軸間の偏芯の方向、つまり、AaからCaへ向かうベクトルおよびAbからCbへ向かうベクトルの向きが一致する。
なお、レンズ鏡筒H1aおよびレンズ鏡筒H1bの金型が一度に複数個成形できる場合は、レンズ鏡筒H1aとレンズ鏡筒H1bとを同一金型の同一キャビティにて成形されたものとし、ゲート痕Ga、Gbの向きをそれぞれ相対的にほぼ同一方向に揃えればよい。また、本実施例では、ゲート痕を目印としているが、予めレンズ鏡筒H1a、H1bにマーク等を形成しておき、それを目印としてもよい。
また、本実施形態では、各レンズではレンズ面間に偏芯がないと仮定していた。しかし、第1の実施形態と同様、レンズ自体に偏芯がある場合でも、本実施形態の測距装置は、レンズの偏芯およびレンズ鏡筒に由来するレンズ間の偏芯による測距精度の低下を抑制することができる。この場合、レンズ鏡筒H1a、H1bに対する第1群レンズL1a、L1bおよび第2群レンズL2a、L2bの方位を一致させ、レンズ鏡筒H1aとH1bにおける偏芯方向を一致させる必要がある。
このためには、第1群レンズL1aとL1bとを同一の金型を用いて射出成形によって作製することが好ましい。また、第2群レンズL2aとL2bとを同一の金型を用いて射出成形によって作製することが好ましい。さらに、レンズ鏡筒H1aとH1bとを同一の金型を用いて射出成形によって作製することが好ましい。このようにレンズおよびレンズ鏡筒を作製した上で、第1の実施形態で説明したようにゲート痕を利用してレンズの方位を一方向に揃える。
以下、レンズ自体に偏芯がある場合の測距装置M’の製造方法、特に、光学系の作製工程を説明する。
(1’)まず、上述したように、射出成形によって、第1群レンズL1aとL1b、第2群レンズL2aとL2bおよびレンズ鏡筒H1aとH1bを作製する。
(2’)次に、レンズ鏡筒H1aに第1群レンズL1aおよび、第2群レンズL2aを取り付ける。
(3’)同様に、レンズ鏡筒H1bに第1群レンズL1bおよび、第2群レンズL2bを取り付ける。このとき、レンズ鏡筒H1bの光軸(中心軸)に対するレンズ鏡筒H1bのゲート痕の方位、第1群レンズL1bのゲート痕の方位、および、第2群レンズL2bのゲート痕の方位を、それぞれ、レンズ鏡筒H1aの光軸(中心軸)に対するレンズ鏡筒H1aのゲート痕の方位、第1群レンズL1aのゲート痕の方位、および、第2群レンズL2aのゲート痕の方位と一致させる。
(4’)次に、レンズ鏡筒H1aを回転させてフォーカス調整を行う。以下、便宜上、図15に示すように、フォーカス調整後のゲート痕Gaの向きが−X方向になったものとして説明する。フォーカス調整後、レンズ鏡筒H1aを保持部材Kに対して固定する。例えば、接着剤T2を硬化させる。
(5’)副レンズ鏡筒H2bが回転しないように保持しながら、レンズ鏡筒H1bを回転させてフォーカス調整を行う。
(6’)レンズ鏡筒H1bのフォーカス調整が完了した時点で、ゲート痕Gbの方位がレンズ鏡筒H1aのゲート痕Ga向きと同様に−X方向と略同一となっていれば、レンズ鏡筒H1bを副レンズ鏡筒H2bに対し固定し、副レンズ鏡筒H2bを保持部材Kに対して固定する。たとえば、接着剤T2、T3を硬化させる。図17(b)に示すように、ゲート痕Gbの方位が−X方向からずれている場合には、レンズ鏡筒H1bと一緒に副レンズ鏡筒H2bを矢印で示すように回転させることにより、図17(a)に示すようにレンズ鏡筒H1bのゲート痕Gbの方位を−X方向と概ね一致させる。その後、接着剤T2、T3を硬化させることにより、レンズ鏡筒H1bを副レンズ鏡筒H2bに対し固定し、副レンズ鏡筒H2bを保持部材Kに対して固定する。このように、レンズ鏡筒H1bと副レンズ鏡筒H2bとの組合せにより、フォーカス位置を維持したまま、ゲート痕Gbの向きを変化させることができる。
上述したように、ゲート痕を利用して、レンズ鏡筒H1aおよびレンズ鏡筒H1bに対する第1群レンズL1a、L1bおよび第2群レンズL2a、L2bの方位を一致させているため、副レンズ鏡筒H2bを回転させて、副レンズ鏡筒H2bのゲート痕Gbの向きを副レンズ鏡筒H2aのゲート痕の位置と一致させると、レンズ鏡筒H1bの光軸に対する第1群レンズL1a、L1b同士および第2群レンズL2a、L2b同士の方位が一致する。このため、図17(a)に示すように、レンズ面r1とレンズ面r4との間の偏芯の方向、つまり、AaからCaへ向かうベクトルおよびAbからCbへ向かうベクトルの向きが一致する。
なお、絞りSa、絞りSbについても外周部の中心に対して開口部の中心が偏芯している場合は、絞りSa、絞りSbの偏芯方向を一致させることが好ましい。
次に本実施形態における測距精度のシミュレーション結果について説明する。平面チャートTと測距装置Mとの位置関係、画像サイズ、およびシミュレーションの方法は第1の実施形態と同じである。なお、基線長Bは16mmに設定している。
図18(a)は、図12(a)のように第2群レンズL2a、L2b共にX方向に−20μmずれた状態における測距精度のマップであり、レンズ面r1とレンズ面r4との間の偏芯方向はレンズ鏡筒H1aとレンズ鏡筒H1bとにおいて、完全に一致している(角度差が0度)図18(b)は、レンズ面r1とレンズ面r4との間の偏芯方向がレンズ鏡筒H1aとレンズ鏡筒H1bとにおいて15度の角度差である場合の測距精度のマップである。また、図18(c)は、第2群レンズL2a、L2bがずれておらず、偏芯が生じていない状態における測距精度のマップである。
図18(c)と図18(a)および(b)を比較すれば明らかなように、第2群レンズL2a、L2b共に偏芯が存在しても、偏芯方向が一致しているか、偏芯方向の角度差が15度程度であれば、偏芯がない状態と比べて測距精度の劣化がほとんどないことがわかる。したがって、偏芯方向が15度以内の範囲内において揃っていれば、測距精度の劣化はほとんど発生しないといえる。
一方、図19は、(a)は、第2群レンズL2bを図18(a)とは逆にX方向に+20μm偏芯させた場合、つまり、レンズ鏡筒H1aとレンズ鏡筒H1bとにおいて、レンズ面r1とレンズ面r4との間の偏芯の方向が180度異なっている状態の測距精度のマップである。また、図19(b)は、第2群レンズL2bをY方向に+20μm(X方向は0μm)偏芯させた場合、つまり、レンズ鏡筒H1aとレンズ鏡筒H1bとにおいて、レンズ面r1とレンズ面r4との間の偏芯の方向が90度異なっている状態の測距精度のマップである。
図19(a)および(b)と図18(a)および(b)とを比較すれば明らかなように、偏芯方向が90度あるいは180度異なっている場合、測距精度が著しく悪化する。
このように本発明によれば、2つのレンズ面間に偏芯が生じている場合であっても、偏芯の方向を複数の光学系のうち、少なくとも2つにおいて、偏芯方向を一致させた場合、測距精度の劣化を抑制し、精度の高い距離測定をおこなうことができる。
なお、第1の実施形態では、複数の光学系で考慮すべき偏芯は1つのレンズの対象物側および撮像領域側にそれぞれ位置する2つのレンズ面間によって生じるものであった。また、第2の実施形態では、隣接する2つのレンズにそれぞれ設けられたレンズ面間の偏芯を考慮した。本発明によって測距精度の低下を抑制することができる偏芯はこれらに限られず、複数の光学系がn個のレンズ面を有している場合において、対象物側からi番目のレンズ面とj番目のレンズ面との偏芯方向を複数の光学系の少なくとも一対において一致させることによって、偏芯による測距精度の低下を抑制することができる。ここで、nは2以上の整数であり、iとjとは異なっており、それぞれ1以上n以下の整数である。
図20は、複数の光学系を有する測距装置の1つの光学系LS1の構造を模式的に示している。たとえば、光学系LS1は、レンズL1a、レンズL2aおよびレンズL3aを含んでいる。レンズL1aは対象物側および撮像領域側にそれぞれレンズ面r1およびr2を有し、レンズL2aは対象物側および撮像領域側にそれぞれレンズ面r3およびr4を有する。また、レンズL3aは対象物側および撮像領域側にそれぞれレンズ面r5およびr6を有する。この場合、レンズ面r1〜r6のいずれの2つのレンズ面間において生じる偏芯による測距精度の低下を、複数の光学系間において偏芯方向を一致させることにより、抑制することができる。例えば、レンズL1aのレンズ面r2の光軸AaとレンズL3aのレンズ面r6の光軸Baとの間で生じる偏芯の方向を一致させることにより、測距精度による影響を低減してもよい。
選択する2つのレンズ面としては、たとえば、曲率半径の小さいレンズを選択することが考えられる。曲率半径の小さいレンズは、測距精度の低下に大きく影響を与えるからである。したがって、各光学系において、偏芯方向を一致させるi番目のレンズ面およびj番目のレンズ面のうちの一方は、平面であるレンズ面(曲率半径がゼロ)を除いて、曲率半径が最も小さいレンズ面であることが好ましい。より好ましくは、i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面は、曲率半径が最も小さいレンズ面および2番目に曲率半径が小さいレンズ面である。
この場合、上述したように、複数の光学系間で、レンズ鏡筒H1aの光軸に対するレンズL1a、レンズL2aおよびレンズL3aの方位を等しくなるよう、ゲート痕G0、G1、G2およびG3を目印として、レンズ鏡筒H1aにレンズL1a、レンズL2aおよびレンズL3aを固定しておくことが好ましい。
また、この場合において、レンズL2aのレンズ面r3およびr4に大きな偏芯がなければ、レンズL2aは射出成形によって形成されていなくてもよいし、レンズL2aの方位を複数のレンズ間で一致させなくてもよい。
本発明の測距装置は、種々の用途の測距装置に適用可能であり、車載用、監視カメラ用、立体形状測定用等の測距装置に好適に用いられる。
M 測距装置
Sa、Sb 絞り
La、Lb 単レンズ
L1a、L1b 第1群レンズ
L2a、L2b 第2群レンズ
Fa、Fb フィルタ
Na、Nb 撮像面
B 基線長
r1、r2、r3、r4 レンズ面

Claims (11)

  1. 対象物を撮像する複数の光学系であって、それぞれが互いに独立したレンズで構成される複数の光学系と、
    前記複数の光学系に1対1の関係で対応した複数の撮像領域を有する撮像部であって、前記複数の光学系によってそれぞれの撮像領域に形成した前記対象物の像を電気信号に変換する撮像部と、
    を備え、前記複数の光学系によってそれぞれ形成した前記対象物の像の視差に基づき、前記対象物までの距離を測定する測距装置であって、
    前記複数の光学系のそれぞれは、n個(nは2以上の整数)のレンズ面を含み、
    前記複数の光学系のうちの距離測定に用いる一対において、前記対象物側からi番目のレンズ面とj番目(iとjとは異なっており、それぞれ1以上n以下の整数)のレンズ面との偏芯方向が互いに一致している測距装置。
  2. 前記一対の光学系のそれぞれは、射出成形されており、ゲート痕を有する少なくとも1つのレンズを含み、
    前記少なくとも1つのレンズは、前記i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面を有し、
    前記一対の光学系において、前記少なくとも1つのレンズの中心に対する前記ゲート痕の方位は互いに一致している請求項1に記載の測距装置。
  3. 前記一対の光学系のそれぞれは、1つのレンズを含み、
    前記1つのレンズは、前記i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面を有する請求項1に記載の測距装置。
  4. 前記一対の光学系のそれぞれは、第1および第2のレンズを含み、
    前記第1および第2のレンズは、前記i番目のレンズ面およびj番目のレンズ面をそれぞれ有する請求項1に記載の測距装置。
  5. 前記複数の光学系のそれぞれは、レンズ鏡筒を有し、
    前記一対の光学系のうちの一方のレンズ鏡筒を支持する副レンズ鏡筒と、
    前記一対の光学系のうちの他方のレンズ鏡筒および前記副レンズ鏡筒を前記撮像部に対して所定の空間的配置で保持する保持部材と、
    を更に備え、
    前記一対の光学系のうちの前記他方のレンズ鏡筒および前記保持部材、ならびに、前記第一対の光学系のうちの前記一方のレンズ鏡筒および前記副レンズ鏡筒には、それぞれ互いに嵌合するねじ構造が設けられており、前記副レンズ鏡筒は前記保持部材に対し、回転可能に支持される請求項2から4のいずれかに記載の測距装置。
  6. 対象物を撮像する複数の光学系であって、それぞれが互いに独立したレンズで構成される複数の光学系と、前記複数の光学系に1対1の関係で対応した複数の撮像領域を有する撮像部であって、前記複数の光学系によってそれぞれの撮像領域に形成した前記対象物の像を電気信号に変換する撮像部とを備え、前記複数の光学系によってそれぞれ形成した前記対象物の像の視差に基づき、前記対象物までの距離を測定する測距装置の製造方法であって、
    前記複数の光学系は、距離測定に用いる一対の光学系を含み、
    同一の金型を用いて射出成形によって作製され、それぞれ2つのレンズ面を有する一対のレンズを用意する工程と、
    前記一対のレンズにおける、前記2つのレンズ面間の偏芯の方向が互いに一致するように、前記一対の光学系用のレンズ鏡筒に前記一対のレンズをそれぞれ配置する工程と
    を包含する測距装置の製造方法。
  7. 前記一対のレンズをそれぞれ配置する工程は、前記一対の光学系のレンズ鏡筒において、前記レンズの光軸に対して前記レンズのゲート痕の方位が一致するように配置する請求項6に記載の測距装置の製造方法。
  8. 対象物を撮像する複数の光学系であって、それぞれが互いに独立したレンズで構成される複数の光学系と、前記複数の光学系に1対1の関係で対応した複数の撮像領域を有する撮像部であって、前記複数の光学系によってそれぞれの撮像領域に形成した前記対象物の像を電気信号に変換する撮像部とを備え、前記複数の光学系によってそれぞれ形成した前記対象物の像の視差に基づき、前記対象物までの距離を測定する測距装置の製造方法であって、
    前記複数の光学系は、距離測定に用いる一対の光学系を含み、
    同一の金型を用いて射出成形によってそれぞれ作製された一対のレンズ鏡筒を用意する工程(A)と、
    前記一対のレンズ鏡筒に、少なくとも2種のレンズをそれぞれ配置し、前記一対の光学系を作製する工程(B)と、
    前記複数の撮像領域の1つに対象物が結像するように前記一対の光学系の一方の位置を調整する工程(C)と、
    前記複数の撮像領域の他の1つに対象物が結像するように前記一対の光学系の他方の位置を調整する工程(D)と、
    前記一対の光学系において、前記少なくとも2種のレンズのいずれか2つのレンズ面間に生じる偏芯の方向を一致させる工程(E)と、
    を包含する測距装置の製造方法。
  9. 前記工程(E)は、前記一対の光学系において、前記光学系の光軸に対して前記レンズ鏡筒のゲート痕の方位が互いに一致するように前記一対の光学系の少なくとも一方のレンズ鏡筒を前記光学系の光軸に対して回転させる請求項8に記載の測距装置の製造方法。
  10. 前記一対のレンズ鏡筒の前記2種のレンズのうち、同種のレンズは、同一の金型を用いて射出成形によって作製されており、前記工程(B)において、前記一対の光学系のレンズ鏡筒の前記ゲート痕に対し、前記2種のレンズのゲート痕の方位が前記一対の光学系において一致するように前記2種のレンズを配置する請求項9に記載の測距装置の製造方法。
  11. 対象物を撮像する一対の光学系であって、それぞれが互いに独立したレンズで構成される一対の光学系と、
    前記一対の光学系に1対1の関係で対応した一対の撮像領域を有する撮像部であって、前記一対の光学系によってそれぞれの撮像領域に形成した前記対象物の像を電気信号に変換する撮像部と、
    を備え、前記一対の光学系によってそれぞれ形成した前記対象物の像の視差に基づき、前記対象物までの距離を測定する測距装置であって、
    前記一対の光学系のそれぞれは、n個(nは2以上の整数)のレンズ面を含み、
    前記一対の光学系において、前記対象物側からi番目のレンズ面とj番目(iとjとは異なっており、それぞれ1以上n以下の整数)のレンズ面との偏芯方向が互いに一致している測距装置。
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