JP4880633B2 - ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法 - Google Patents

ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4880633B2
JP4880633B2 JP2008076474A JP2008076474A JP4880633B2 JP 4880633 B2 JP4880633 B2 JP 4880633B2 JP 2008076474 A JP2008076474 A JP 2008076474A JP 2008076474 A JP2008076474 A JP 2008076474A JP 4880633 B2 JP4880633 B2 JP 4880633B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
material liquid
container
discharge hole
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008076474A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009228168A (ja
Inventor
崇裕 黒川
寛人 住田
和宜 石川
善章 冨永
幹夫 竹澤
光弘 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2008076474A priority Critical patent/JP4880633B2/ja
Publication of JP2009228168A publication Critical patent/JP2009228168A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4880633B2 publication Critical patent/JP4880633B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法に関し、さらに詳しくは静電爆発を利用してナノファイバを製造する技術に関する。
近年、直径がサブミクロンスケールの繊維状物質であるナノファイバを容易に製造できることから、エレクトロスピニング法(電荷誘導紡糸法)が注目を集めている。エレクトロスピニング法は、溶媒中に高分子材料を分散または溶解させた原料液を空中に噴射するとともに、噴射の際に原料液を高電圧で帯電させ、原料液を空中で静電爆発させてナノファイバを得る方法である。
より詳細には、高電圧により帯電されて空気中に噴射された原料液は空中を移動する間に溶媒が蒸発し、体積が減少していく。一方、原料液に付与された電荷は溶媒の蒸発にかかわらず維持されるために、原料液の電荷密度は溶媒の蒸発とともに増大していく。そして、原料液内部の反発方向のクーロン力が原料液の表面張力より大きくなったときに原料液が爆発的に線状に延伸される現象(静電爆発)が生じる。この静電爆発が空中において連続的に発生し、原料液がねずみ算式に線状に細分化されていくことで直径がサブミクロンスケールの微細な繊維が形成される(例えば特許文献1参照)。
ここで、エレクトロスピニング法により生成されるナノファイバを糸や不織布の原料として使用する場合、大量のファイバを高密度で収集する必要がある。このため、ナノファイバを収集するためのコレクタと対向するように、原料液を噴射するためのノズルを多数設けて、多量のナノファイバを高密度で製造できるようにすることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
ところが、コレクタと対向するように配置するノズルの数が多すぎると、各ノズルから噴射される原料液の間に働く反発方向のクーロン力により、コレクタに収集されるナノファイバに斑が生ずるなどの不都合が生じてしまう。このため、コレクタと対向して配置し得るノズル数には限度があり、これによりナノファイバの密度の向上も限定される。
さらに、ナノファイバの高密度の収集についてはいま一つの問題がある。例えば、図9に示すナノファイバ製造装置は、正または負に帯電させた紡糸ノズル41と、これと逆極性に帯電もしくは接地された対向電極42とを含んでいる。紡糸ノズル41は高電圧発生装置46により電圧が印加される。
溶液タンク43から供給され、紡糸ノズル41から噴射される溶液は上記電圧により帯電されており、紡糸ノズル41と対向電極42との間の電界により対向電極42に向かって移動していく。紡糸ノズル41と対向電極42との間には、帯状の基材44が巻き出し・巻き取りにより移動するよう配されており、紡糸ノズル41から紡出された溶液が基材上に繊維構造体として連続的に形成されていく。
ここで、基材44上に形成された繊維構造体が帯電したままであると、基材上に繊維構造体が形成される際に斑が生じたり、繊維構造体を基材から取り外す際に繊維構造体が毛羽立ったりするといった不都合が生じる。このため、図9のナノファイバ製造装置においては、ノズル毎に除電装置45を設けて、この除電装置45により基材44および/または基材44上の繊維構造体を除電するようにしている(特許文献3参照)。
また、図10に示すナノファイバ製造装置は、電源54により帯電された原料液56をスプレーするキャピラリ51と、これと対向するように配置された導電性電極52と、除電装置53とを備えている。除電装置53は、導電性電極52の上に形成されたナノファイバ55に逆極性のイオン風を吹き付けて除電するものである(特許文献4参照)。
ところが、上記特許文献3、4のように、除電装置をナノファイバ製造装置に付設すると装置の大型化を招来するといった問題がある。除電装置には、小さなギャップの間でコロナ放電を起こさせて、イオン風を発生させるものが、一般に用いられている。また、除電装置は具体的には生成されるナノファイバの帯電の極性とは逆極性のイオンを発生し、それを基材等の上に形成されたナノファイバに供給する構成とされているが、イオンを発生するためには高電圧を供給するための電源を用意する必要がある。そして、そのような高電圧電源は非常に高価なものであるために、装置が高価格化し、ひいてはナノファイバの製造コストが増大する。
特開2005−330624号公報 特開2002−79021号公報 特開2007−92213公報 WO2004/074172号
本発明者等は、上述した様々な問題を解決するために、原料液を噴射するための放出孔をコレクタと対向して配設するのではなく、原料液をコレクタの面と平行な方向に放出する構造のナノファイバ製造装置を発明し、別途出願した(例えば、特願2007−206071号)。
このナノファイバ製造装置においては、原料液の放出孔が周壁に設けられた円筒型の容器が回転されて、容器内部の原料液を放出孔から放出させるように遠心力が働く。また、容器の周囲には、容器よりも大径の環状電極が同軸に配置される。環状電極には高電圧が印加され、容器に逆極性の電圧が誘導される。これにより容器と環状電極との間に電界が発生する。また、容器に誘導された電圧により原料液が帯電され、原料液は、容器と環状電極との間の電界および上記遠心力により、環状電極に向けて放射状に放出される。一方、コレクタは円筒型容器の軸方向と垂直に設けられる。そして、円筒型容器の軸方向の反コレクタ側には送風機が設けられ、その送風により、容器から環状電極に向けて放出された原料液はコレクタの方向に偏向される。
この構成により、原料液の放出孔からの放出が遠心力により補助されるので、放出孔を互いに近接して設けた場合にも帯電した原料液相互の干渉による影響を小さくすることができる。したがって、単位面積あたりの放出孔の数を多くして、収集されるナノファイバの密度を飛躍的に向上させることが可能となった。
また、原料液ないしはそれから形成されたナノファイバが、送風によりコレクタまで移送される構成とされているために、帯電したファイバがコレクタに付着するようになる。このような回収方法では、回収して堆積したファイバが帯電してしまい、特許文献3,4にあるような、除電装置が必要になり、従来有していた問題を解決できないという問題があった。さらに、前記除電装置の機構はできるだけ簡素な構造であるとともに、安価に設置し得るものであることがより好ましい。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ナノファイバの高い収集密度を達成しながら、装置を小型化することができるとともに、製造コストを抑えることが可能なナノファイバの製造装置、および製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のナノファイバ製造装置は、少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、高分子材料を含む原料液を放出させる放出孔を周壁に有するとともに、前記原料液を一時的に保持する、少なくとも前記放出孔の開口部が導体から形成される、接地された容器と、
前記原料液の前記放出孔からの放出を補助する遠心力を前記原料液に加えるように前記容器を回転する回転駆動機構と、
前記容器の前記放出孔と対向するように配設された誘導電極と、
前記容器の少なくとも前記放出孔から流出する原料液に電荷を帯電させるように前記誘導電極に電圧を印加する電源と、
前記放出孔から放出された原料液を、前記誘導電極とは異なる方向に移送するための気流を発生させる気流発生手段と、
前記誘導電極への電圧の印加により前記容器に誘導された電圧により帯電され前記気流により移送される前記原料液から、移送の間に形成された繊維状物質を収集する収集手段と、
尖り部を有し、前記気流により移送される前記原料液ないしはそれから形成される前記繊維状物質に向けて前記尖り部から前記原料液ないしは前記繊維状物質の帯電極性とは逆極性のイオン風を発生させるイオン風発生手段とを備える。
また、上記目的を達成するために、本発明のナノファイバ製造装置は、少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、高分子材料を含む原料液を放出させる放出孔を周壁に有するとともに、前記原料液を一時的に保持する、少なくとも前記放出孔の開口部が導体から形成された容器と、
前記原料液の前記放出孔からの放出を補助する遠心力を前記原料液に加えるように前記容器を回転する回転駆動機構と、
前記容器の前記放出孔と対向するように配設される、接地された被誘導電極と、
前記容器の少なくとも前記放出孔から流出する原料液に電荷を帯電させるように前記容器に電圧を印加する電源と、
前記放出孔から放出された原料液を、前記被誘導電極とは異なる方向に移送するための気流を発生させる気流発生手段と、
前記容器に印加された電圧により帯電され前記気流により移送される前記原料液から、移送の間に形成された繊維状物質を収集する収集手段と、
尖り部を有し、前記気流により移送される前記原料液ないしはそれから形成される繊維状物質に向けて前記尖り部から前記原料液ないしは前記繊維状物質の帯電極性とは逆極性のイオン風を発生させるイオン風発生手段とを備える。
ここで、前記イオン風発生手段は、前記誘導電極または前記被誘導電極の前記送風の下流側端部を鋭角に形成して構成されるのが好ましい。
また、前記イオン風発生手段は、前記誘導電極または前記被誘導電極の前記送風の下流側端部に、前記尖り部としての少なくとも1つの針状または錐体状の凸部を設けて構成されるのも好ましい。
さらに、前記イオン風発生手段は、前記送風の前記誘導電極または前記被誘導電極よりも下流側且つ前記収集手段よりも上流側の位置に、前記尖り部を有する除電電極を設けて構成されるのも好ましい。
ここで、前記除電電極は、前記被誘導電極と電気的に接続されているのが好ましい。
上記のように、前記容器は、少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、
前記放出孔は、前記容器の周壁に形成されている。
この場合、前記誘導電極または前記被誘導電極は、前記容器の周囲に同軸に配された円筒状部材から構成されるのが好ましい。
さらに、前記回転駆動機構は、前記気流発生手段が発生する気流の前記容器までの通路を画成する案内体の内部に配設されるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明のナノファイバ製造方法は、少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、高分子材料を含む原料液を放出させる放出孔を周壁に有するとともに、少なくとも前記放出孔の開口部が導体から形成された容器に、前記原料液を入れる工程、
前記容器の周囲に同軸に配された円筒状部材から構成される環状電極と、前記容器との間に電位差を付与する工程、
前記電位差から前記容器に生ずる電荷により前記原料液を帯電させる工程、
前記電位差によって生じる電界により前記原料液を前記放出孔から放出させる工程、
前記容器を回転して前記原料液の前記放出孔からの放出を補助する工程、
前記放出孔から放出された前記原料液の向きを変えて所定方向に移送するように気流を発生させる工程、
前記気流により所定方向に移送される間に前記帯電された原料液から形成される繊維状物質を収集する工程、並びに
尖り部を有するイオン風発生手段を使用して、前記気流により移送される原料液ないしはそれから形成される繊維状物質に向けて前記尖り部から前記原料液ないしは前記繊維状物質の帯電極性とは逆極性のイオン風を発生させる工程を含む。
本発明によれば、イオン風を発生させるための尖り部を有するだけの簡単な構成のイオン風発生手段により、収集手段に到達するまでの間に原料液ないしは繊維状物質から速やかに電荷を消失させることが可能となる。これにより、原料液の放出孔と収集手段との距離を短くしても収集手段に到達するまでの間に原料液ないしは繊維状物質から電荷を消失させることが可能となる。したがって、ナノファイバ製造装置を小型化することが容易となる。しかも、電荷が消失したナノファイバの回収方法については、従来から使われている溶融紡糸法により、生成された帯電していないファイバを風圧等でシート上に回収するような方式を使用することができ、生成されたナノファイバを簡単にしかも信頼性高く回収することができる。
また、本発明の好ましい形態によれば、イオン風発生手段によりイオン風を発生させるための電源は、原料液に電荷を付与するための電源との共用とすることが可能となる。これにより、非常に高価である高電圧電源を別途用意する必要がなくなる。したがって、ナノファイバ製造装置を低価格化することができ、これによりナノファイバの製造コストを抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係るナノファイバ製造装置の全体構造を示す一部を断面にした側面図である。図2は、その要部の詳細を示す拡大断面図である。
図1の製造装置は、ナノファイバの原料である高分子材料を分散または溶解してなる原料液Fを一時的に保持する概略円筒形状の容器2、容器2の周囲に配設された環状電極(誘導電極)3、容器2の軸方向の一端側に配設された、気流発生手段としての送風機4、並びに容器2の軸方向の他端側に配設され、原料液Fから形成された繊維状物質(ナノファイバ)F1を収集するコレクタ5を主要構成要素として備えている。
ここで、図においては、原料液Fと繊維状物質F1とを便宜的に区別している。しかしながら、実際のナノファイバの製造においては原料液Fと繊維状物質F1との区別は曖昧であり、その存在領域の明確な線引きは困難である。したがって、以下の説明では、特に区別の必要のある場合にのみ、原料液F、繊維状物質F1と記載し、それ以外の場合は原料液Fおよび繊維状物質F1を総称して原料液F等と記載している。
容器2は、図2に示すように、一端が閉塞された円筒状部材であり、周壁に原料液Fを放出するための細孔からなる放出孔2aが形成される。ここで、容器2は、少なくとも放出孔2aの開口部が導体から形成されるとともに接地される。また、容器2の他端には、小径の筒状通路2dが形成されるとともに、中央に孔を有する円形の液止壁2eが容器2本体筒部の端部と筒状通路2dとを接続するように形成される。放出孔2aは、例えば容器2の軸方向のコレクタ5側の約半分の領域に、軸方向に等間隔且つ周方向に所定ピッチで形成される。ここで、容器2は外径を例えば20〜100mmとすることができる。放出孔2aは例えば内径を0.01〜2mmとすることができる。また、放出孔2aは容器2の周壁に設けられた単なる穴ではなく、周面から突出して設けられたノズルとすることも可能である。
さらに、容器2は、支持部11により軸受12を介して回転自在に支持される。また、容器2の一端を閉塞している壁面に、中空部2bを貫通して筒状通路2dから外部にまで延びるように回転軸2cが立設される。回転軸2cは、容器2の軸方向の送風機4側に配されたモータ13と接続されており、モータ13により容器2は所定回転数で回転駆動される。これにより、原料液Fを前記放出孔2aから放出させるための力を原料液Fに加えるよう動作する力印加機構としての回転駆動機構が構成される。容器2の回転数は、原料液の粘度などの性状や放出孔2aの径などに応じて例えば10〜10,000rpmの範囲で調節することができる。また、回転軸2cは、軸受14を介して支持部11に軸支される。
ここで、送風機4と容器2および環状電極3との間には、送風機4の送風路を画成すように筒状の案内体20が配設される。支持部11は、容器2との接続部分を、案内体20の周壁に設けられた図示しない開口を通して内部に挿入するようにして設けることができる。また、図には明瞭に示されていないが、支持部11の送風機4に対向する面は流線型に形成される。これにより、送風機4により発生される気流が乱されるのを抑制することができる。また、モータ13の送風機4と対向する面も流線型に形成するのが好ましい。これにより、さらに上記気流の乱れを抑制することができる。このように、支持部11およびモータ13の送風機4との対向面を流線型に形成することによって、送風機4により発生される気流の乱れを抑えながらモータ13等を案内体20の内部に配置することが可能となる。これにより、案内体20内部のスペースを有効活用して容器2の回転駆動機構を設けることが可能となる。したがって、ナノファイバ製造装置を小型化することが容易となる。
また、容器2の中空部2bには、支持部11の内部を通過して設けられた原料液供給配管15を通して、図示しない原料液タンクから原料液Fが供給される。容器2の中空部2bに原料液Fを保持した状態でモータ13により容器2を回転することにより、放出孔2aからの原料液Fの放出が補助される。ここで補助というのは、原料液Fは、主として容器2の少なくとも放出孔2aの開口部と環状電極3との間に発生する電界により放出されるものだからである。環状電極3に印加される負の電圧により、接地された前記容器2の表面に電荷が誘導され、放出孔2aから流出する原料液Fには、その電荷が帯電する。そして、遠心力により放出された原料液Fは、溶媒の蒸発に伴い爆発的に線状に延伸され、ナノファイバが生成される。
このように、実施の形態1においては、力印加機構としての回転駆動機構により原料液Fに遠心力を加えて原料液Fの放出孔2aからの放出を補助しているので、各放出孔2aから放出される原料液F相互の電界干渉の影響を小さくして原料液Fを放出することが可能となる。また、原料液Fは容器2の回転の遠心力により放出されるために、原料液Fは各放出孔2aから放射状に放出される。つまり、原料液Fは相互の距離が大きくなる態様で各放出孔2aから放出される。これにより、各放出孔2aから放出される原料液F相互の電界干渉の影響は小さくなる。したがって、容器2の周壁に設けられる単位面積あたりの放出孔2aの数を多くすることが可能となる。これにより、コレクタ5により収集される繊維状物質F1の収集密度を容易に増大させることができる。なお、支持部11の内部には、原料液供給配管15と平行にモータ13に電力を供給するための導線等を挿通するための配管31が設けられている。
環状電極(誘導電極)3は、容器2の放出孔2aが形成された部分と内周面を対向させて、容器2と同軸に配設される、容器2よりも大径の円筒状部材である。これにより、容器2の全ての放出孔2aを環状電極3とほぼ等距離で対向配置することができる。ここで、環状電極3の内径は例えば200〜800mmとすることができる。
ここで、環状電極3には、電源7から1〜200kVの電圧(図示例では負電圧)を印加するのが好ましい。より好ましくは、10kV以上の高電圧を印加するのがよい。特に、容器2と環状電極3との間の電界強度が重要であり、1KV/cm以上の電界強度になるように印加電圧や誘導電極の配置を行うことが好ましい。これにより、容器2の少なくとも放出孔2aの開口部には、環状電極3に印加された電圧と逆極性の電荷(図示例では正電荷)が誘導され、容器2と環状電極3との間に均等且つ強い電界が発生する。一方、原料液Fは、容器2の少なくとも放出孔2aの開口部において上記誘導された電荷(図示例では正電荷)が付与される。これにより、放出孔2aから放出される原料液Fには、前記誘導された電荷が帯電し、その後原料液Fの中の溶媒が蒸発してクーロン力が増大して爆発が起きる。このようにして放出孔2aから原料液Fが放出されると静電爆発により繊維状物質F1が形成される。
また、図3に示すように、環状電極3のコレクタ5側の端部には尖り部6が設けられている。環状電極3には上述したように電源7により負の高電圧が印加されており、これにより、原料液Fに付与された電荷とは逆極性(図示例では負電荷)のイオン風が尖り部6から発生する。発生したイオン風は、送風機4の送風により移送される原料液Fないしは繊維状物質F1に供給され、正電荷に帯電している原料液Fないしは繊維状物質F1と混合し、これにより、原料液F等の電荷は減少する。この結果、原料液F等の電荷は、原料液Fから繊維状物質F1が形成された後、速やかに自然消滅する。したがって、容器2および環状電極3とコレクタ5との距離を従来のものより短くしても、原料液Fから形成される繊維状物質F1がコレクタ5に到達するまでの間に、繊維状物質F1をほぼ無電荷の状態とすることが可能となる。
ここで、尖り部6は、環状電極3の周方向に垂直な断面において、隣り合う辺のなす角度θが、80°以下であるのが好ましい。さらに、角度θは60°以下であれば、イオン風の発生量は増加するのでより好ましい。また、先端の曲率半径は、0.5mm以下であるのが好ましい。なお、図2においては、放出孔2aから放出される原料液Fが正電荷を有している状態を、プラス(+)の記号を内部に含む丸により示し、尖り部6から発生されるイオン風が負電荷を有している状態を、マイナス(−)の記号を内部に含む丸により示している。
上述した構成によれば、イオン風を発生させるイオン風発生手段は、従来から使用されている誘導用の環状電極3の一端部を単に鋭角に形成するだけで設けることが可能となる。したがって、部品点数を増大させることなく、イオン風発生手段を設けることが可能となる。
さらには、イオン風は、環状電極3に電圧を印加するための電源7の電圧を使用して発生される。したがって、高価な高電圧電源を、イオン風発生手段のために別途用意する必要がない。これにより、ナノファイバ製造装置の高価格化を防止し、ナノファイバの製造コストが増大するのを避けることができる。
送風機4は、容器2の放出孔2aから放出された原料液Fを放出方向(容器2の径方向)とは垂直な方向(容器2の軸方向)に移送するための気流を発生させるように送風する。この送風により、容器2の放出孔2aから放出された原料液F等がコレクタ5まで移送される。ここで、送風機4と容器2との間にヒータ10を設けて、送風機4の送風を加熱するのが好ましい。これにより、原料液F等からの分散媒または溶媒の蒸発を促進させて、原料液Fから繊維状物質F1を速やかに形成することができる。
ここで、原料液Fを移送するための気流を発生させる方法は、送風機4による送風に限られるものでない。例えば容器2の反コレクタ5側からの空気の流入を自在としておき、後述の吸引機構23のファン23bによる吸引によって気流を発生させたり、後述の気体噴射口9aからの気体の噴出により気流を発生させたりすることも可能である。
また、容器2および環状電極3とコレクタ5との間には送風による原料液F等の流路を規定するための筒体8を設けるのがよい。筒体8は、容器2に向けて開口し内径が環状電極3の外径とほぼ等しい大径部8a、コレクタ5と対向して開口する小径部8b、並びに大径部8aと小径部8bとを接続するように、大径部8a側から小径部8b側に向かって徐々に径が小さくなる中間部8cから構成される。このように、上流側の開口よりも下流側の開口が小さい筒体8を容器2とコレクタ5との間に配置して原料液F等の流路を規定することによって、繊維状物質F1を高密度で斑無く均一に収集することが可能となる。
また、大径部8aと中間部8cとの境界近傍、並びに小径部8b、すなわち中間部8cの上流側と下流側とに、筒体8内部に向けて気体を噴出する気体噴出口9aを、筒体8の周方向に所定ピッチで設けるのもよい。気体噴出口9aは、気体供給装置9から供給され、調圧弁9bにより圧力が調整された気体を、筒体8の内方且つ送風機4の送風による気流の下流側に向けて高速で噴出するように配設されるのがよい。これにより、筒体8の内壁面に原料液F等が付着しないように原料液F等をコレクタ5まで移送することが可能となる。そして、繊維状物質F1は、担体21上に堆積される。
ここで、気体供給装置9により供給される好ましい気体として空気が挙げられる。また、原料液Fから蒸発した分散媒または溶媒が爆発するのを回避するという観点からは、空気から例えば樹脂膜を利用して酸素をある程度除去した低酸素濃度の気体を、気体供給装置9により供給するのが好ましい。また、同じ理由から、上記気体を、過熱水蒸気、窒素ガス、または炭酸ガスとするのもよい。
コレクタ5は、送風機4の送風による原料液Fの移送方向と垂直もしくは略垂直に配される、長尺帯状の担体21と、担体21を送る送り機構22と、担体21の裏側(反容器2側)から気体を吸引する吸引機構23とから構成される。
担体21は、その表面に原料液Fから形成される繊維状物質F1を堆積するようにして収集するための部材である。担体21は、原料液F等を移送する気流が通過可能であり、且つ堆積した繊維状物質F1(ナノファイバ)を容易に分離することができるように、薄くて柔軟性を有する素材から構成されるのが好ましい。好ましい素材の例として、アラミド繊維から形成された網状のシートを挙げることができる。これにテフロン(登録商標)コートを行うと、繊維状物質F1(ナノファイバ)の分離性がさらに向上するためにより好ましい。
送り機構22は、担体21を巻き出す巻き出しロール22a、および担体21を巻き取る巻き取りロール22bを備えている。巻き出しロール22aから巻き出された担体21は、筒体8の出口側開口8dと対向する位置を通過した後、巻き取りロール22bにより巻き取られる。これにより、筒体8の出口側開口8dから噴出される繊維状物質F1が担体21の上に堆積し、不織布として担体21により収集される。
吸引機構23は、ダクト23a、ダクト23a内に配されたファン23b、ファン23bを制御するファン制御部23c、ダクト23aの担体21側端部に設けられたダクト入口開口部23d、並びにダクト23aの出口側開口と接続された分散媒・溶媒回収部23eから構成される。ここで、ダクト開口部23dの内径は、筒体8の出口側開口8dの内径とほぼ等しくされるのが好ましい。
以上の構成において、原料液供給配管15を通して容器2内に原料液Fを供給しながら容器2をモータ13により回転させることで、原料液Fに対して、原料液Fの放出孔2aからの放出を補助するような遠心力が働く。また、電源7により環状電極3に高電圧を印加することで、容器2の少なくとも放出孔2aの開口部に環状電極3に印加される高電圧とは逆極性の電荷が誘導される。これにより、容器2と環状電極3との間で電界が発生し、環状電極3に印加された高電圧により容器2に誘導された電荷により原料液Fには電荷が付与される。この電界により、帯電した原料液Fに対して環状電極3に向かわせる力が生じる。
原料液Fは、上記電界および遠心力により、放出孔2aから環状電極3に向かって放射状に放出される。放出孔2aから放出された原料液Fは、空中を移動する間に分散媒または溶媒が蒸発し、電荷密度が次第に高くなっていく。原料液F内部の反発方向のクーロン力がその表面張力を超えたときに静電爆発が発生し、それを繰り返すことによって原料液Fは繊維状に細分化されて、繊維状物質F1(ナノファイバ)が形成される。
一方、放出孔2aから放出された原料液F、ないしはそれから形成された繊維状物質F1は、送風機4の送風による気流により、進む方向が放出方向(容器2の径方向)とは垂直な方向(容器2の軸方向)に変えられてコレクタ5に向かって移送される。コレクタ5においては、送り機構22により緩やかな速度で送られる担体21の上に繊維状物質F1が高密度で斑無く堆積し、不織布が形成される。ここで、環状電極3の尖り部6から原料液Fないしは繊維状物質F1に向けて原料液F等の帯電極性とは逆極性のイオン風が発生される。すなわち、原料液Fに付与される電荷が正電荷であれば負電荷を有するイオン風が原料液F等に向けて発生され、原料液Fに付与される電荷が負電荷であれば正電荷を有するイオン風が原料液F等に向けて発生される。
このように、原料液F等に向けて原料液F等の帯電極性と逆極性のイオン風を発生させることにより、原料液Fから繊維状物質F1が形成された後に繊維状物質F1からは速やかに電荷が消滅する。したがって、容器2とコレクタ5との距離を短くしても繊維状物質F1がコレクタ5に到達するまでの間に繊維状物質F1をほぼ無電荷の状態とすることが可能となる。これにより、装置を小型化することが可能となる。
さらには、イオン風を発生させるための電源は、環状電極3に電圧を印加する電源との共用となっている。したがって、高価な高電圧電源を別途設ける必要が無く、ナノファイバ製造装置を低価格化することが可能となる。
ここで、原料液Fに含ませる高分子材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が好適なものとして例示でき、これらより選ばれる少なくとも1種が使用される。しかしながら、原料液Fに含ませることができる高分子材料はこれらに限られるものではなく、既存の物質であってもナノファイバの原料としての適性が新たに認められたものや、今後に開発される物質でナノファイバの原料としての適性が認められるものを好適に用いることができる。
また、高分子材料を分散または溶解させるための分散媒または溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、水等が好適なものとして例示でき、これらより選ばれる少なくとも1種が使用される。しかしながら、高分子材料を分散または溶解させるための分散媒または溶媒は、これらに限られるものではなく、既存の物質であってもエレクトロスピニング法における高分子材料の分散媒または溶媒としての適性が新たに認められたものや、今後に開発される物質で分散媒または溶媒としての適性が認められるものを好適に用いることができる。
また、原料液Fには無機質固体材料を混入することも可能である。混入可能な無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物などを挙げることができる。耐熱性、加工性などの観点からは酸化物を用いるのが好ましい。酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも1種が使用される。しかしながら、原料液Fに混入される無機質固体材料はこれらに限定されるものではない。
高分子材料と分散媒または溶媒との混合比率は、それらの種類にもよるが、分散媒または溶媒の比率が60〜98重量%となるように混合されるのが好ましい。
図4に回転駆動機構の他の一例を示す。図示例の機構においては、周壁に放出孔2aが設けられた円筒状の容器2Gの一端に、通路を兼用する中空の回転軸2C1が設けられている。回転軸2C1は、支持部11Gに回転自在に支持され、モータ13Gによりベルト駆動される。原料液Fは、回転軸2C1の中空部を通して原料液供給配管15Gにより容器2Gの内部に供給される。ここで、容器2Gは、本体筒部の全長に亘って周壁に放出孔2aが形成されている。
〈実施の形態2〉
図5に、本発明の実施の形態2に係るナノファイバ製造装置の要部を拡大して示す。実施の形態2は実施の形態1を改変したものであり、図5に示すように、実施の形態2のナノファイバ製造装置においては、容器2は、電源7により直接に電圧が印加される。一方、環状電極3G(被誘導電極)は接地される。それ以外の構成は実施の形態1と同様である。
また、実施の形態2のナノファイバ製造装置においては、原料液Fは、電源7により容器2に印加された電圧により帯電される。一方、環状電極3Gには、容器2に印加された電圧と逆極性の電荷が誘導される。これにより、容器2と環状電極3Gとの間に電界が発生する。容器2において帯電した原料液Fには、上記電界の電気力と容器2の回転による遠心力とが働き、これにより原料液Fは環状電極3Gに向かって放出される。これ以外の動作は実施の形態1と同様である。
〈実施の形態3〉
図6に、本発明の実施の形態3に係るナノファイバ製造装置の要部を拡大して示す。実施の形態3は実施の形態1または2を改変したものであり、図6に示すように、実施の形態3のナノファイバ製造装置においては、環状電極3H(誘導電極または被誘導電極)の一端部(図1のコレクタ5側端部側に相当している)に複数の針状ないしは錐体状の凸部6Gが所定ピッチでコレクタ5側に向けて突設されている。また、容器2Hは、本体筒部の全長に亘って周壁に放出孔2aが形成される。容器2Hの回転軸2c2には台形の回転体形状のモータ13Gを含む回転駆動手段33が接続されている。回転駆動手段33の周囲には筒状の案内体20Hが配されるとともに、案内体20Hの反容器2H側端部には送風機4Hが配設されている。それ以外の構成は実施の形態1または2と同様である。
実施の形態3のナノファイバ製造装置によれば、従来から使用されている環状電極3Hの一端部に針状または錐体状の凸部6Gを設けるだけの簡単な構成により、高電圧電源を増設することなく、イオン風を発生させて、原料液F等を速やかに無電荷の状態とすることが可能となる。
〈実施の形態4〉
図7に、本発明の実施の形態4に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す。実施の形態4は実施の形態1を改変したものであり、図7に示すように、実施の形態4のナノファイバ製造装置においては、筒体8の内部の適宜位置に、原料液F等に向けてイオン風を発生させる尖り部を有する環状の除電電極16が設けられる。一方、環状電極3Iからは尖り部が除かれる。除電電極16は、環状電極3I(誘導電極)と、例えば筒体8の大径部8aの内部に配設される配線16aにより接続される。すなわち、除電電極16は、環状電極3Iに電圧を印加するのと同一の電源7により電圧が印加される。それ以外の構成は実施の形態1と同様である。
実施の形態4のナノファイバ製造装置によれば、環状電極3Iの容器2に誘導される電荷により帯電された原料液F等は、電源7により電圧が印加された除電電極16の尖り部から発生される原料液F等の帯電極性と逆極性のイオン風によって電荷が減少される。これにより、原料液Fから繊維状物質F1が形成された後、繊維状物質F1は速やかに電荷が減少していく。
さらには、除電電極16には、環状電極3Iに電圧を印加する電源7により電圧が印加される。したがって、高価格な高電圧電源を別途用意する必要がなく、ナノファイバ製造装置を低価格化することが可能となる。なお、実施の形態4のナノファイバ製造装置において、容器2を電源7と接続し、環状電極3Iおよび除電電極16を接地する構成とすることも勿論可能である。
参考の形態1
図8に、本発明の参考の形態1に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す。参考の形態1は実施の形態1を改変したものであり、図8に示すように、参考の形態1のナノファイバ製造装置においては、容器2Iは箱状に形成され、その一つの面(好ましくは下面)に複数の放出孔2aが形成される。放出孔2aが形成された容器2Iの面と対向して平板状電極(図示例では誘導電極)3Jが配設される。原料液Fは、容器2Iと平板状電極3Jとの間の電界により放出孔2aから放出される。また、容器2Iと接続して、放出孔2aからの原料液Fの放出を補助するように容器2I内部の原料液Fを加圧する、力印加機構としての加圧機構35が設けられる。
更に、放出孔2aから放出された原料液Fに対して原料液Fの放出方向と垂直な方向且つ容器2Iと平板状電極3Jとの間に送風するように送風機4Gが配置される。そして、平板状電極3Jの送風機4Gによる送風の下流側端部には、尖り部6Jが設けられる。
また、送風機4Gと容器2Iとの間には実施の形態1と同様にヒータ10Gが配設され、送風機4による送風の容器2Iおよび平板状電極3Jの下流側には、原料液F等の流路を規定する例えば角型の筒体8Gが設けられる。それ以外の構成は実施の形態1と同様である。
参考の形態1のナノファイバ製造装置によれば、原料液Fは、容器2Iと平板状電極3Jとの間の電界および加圧機構35の加圧により放出孔2aから放出される。それ以外の動作は実施の形態1と同様である。また、参考の形態1の構成は上述したものに限らず、例えば放出孔2aは、容器2Iの下面から突出して設けられたノズルとすることも可能である。
このように、本発明は、円筒状の容器と環状電極との組み合わせに限定されることなく、例えば箱形の容器と平板状電極との組み合わせに対しても適用することが可能である。なお、参考の形態1のナノファイバ製造装置においても、容器2Iを電源7と接続し、平板状電極3Jを接地する構成とすることは勿論可能である。
また、参考の形態1では、平板状電極3Jの送風機4Gによる送風の下流側端部に、尖り部6Jを設けたが、実施の形態4と同様に、筒体8Gの途中に尖り部を有する除電電極を配置して、平板状電極3Jと配線により接続してもよい。また、尖り部6Jは、複数の針状ないしは錐体状の凸部で構成してもよい。
なお、尖り部は、角度が尖る程、イオン風の発生量は増加し、また、複数の針状ないしは錐体状の凸部も、尖る角度により、また、配置する数により、イオン風の発生量は変化する。
本発明のナノファイバ製造装置およびナノファイバ製造方法によれば、エレクトロスピニング法を利用してナノファイバを製造する場合に、装置を小型化・低価格化することが可能となる。したがって、各種フィルタや電池のセパレータの素材として有用なナノファイバの製造コストを引き下げることができる。
本発明の実施の形態1に係るナノファイバ製造装置の全体構造を示す一部を断面にした側面図である。 図1の装置の要部拡大図である。 回転駆動機構の他の例を示す斜視図である。 環状電極の詳細を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。 本発明の実施の形態2に係るナノファイバ製造装置の要部拡大図である。 本発明の実施の形態3に係るナノファイバ製造装置の要部拡大図である。 本発明の実施の形態4に係るナノファイバ製造装置の要部拡大図である。 本発明の参考の形態1に係るナノファイバ製造装置の要部拡大図である。 従来のナノファイバ製造装置の概略図である。 従来の他のナノファイバ製造装置の概略図である。
符号の説明
2 容器
2a 放出孔
3 環状電極
4 送風機
5 コレクタ
6 尖り部
6G 凸部
13 モータ
16 除電電極
35 加圧機構

Claims (9)

  1. 少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、高分子材料を含む原料液を放出させる放出孔を周壁に有するとともに、前記原料液を一時的に保持する、少なくとも前記放出孔の開口部が導体から形成される、接地された容器と、
    前記原料液の前記放出孔からの放出を補助する遠心力を前記原料液に加えるように前記容器を回転する回転駆動機構と、
    前記容器の前記放出孔と対向するように配設された誘導電極と、
    前記容器の少なくとも前記放出孔から流出する原料液に電荷を帯電させるように前記誘導電極に電圧を印加する電源と、
    前記放出孔から放出された原料液を、前記誘導電極とは異なる方向に移送するための気流を発生させる気流発生手段と、
    前記誘導電極への電圧の印加により前記容器に誘導された電圧により帯電され前記気流により移送される前記原料液から、移送の間に形成された繊維状物質を収集する収集手段と、
    尖り部を有し、前記気流により移送される前記原料液ないしはそれから形成される前記繊維状物質に向けて前記尖り部から前記原料液ないしは前記繊維状物質の帯電極性とは逆極性のイオン風を発生させるイオン風発生手段と
    を備えるナノファイバ製造装置。
  2. 少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、高分子材料を含む原料液を放出させる放出孔を周壁に有するとともに、前記原料液を一時的に保持する、少なくとも前記放出孔の開口部が導体から形成された容器と、
    前記原料液の前記放出孔からの放出を補助する遠心力を前記原料液に加えるように前記容器を回転する回転駆動機構と、
    前記容器の前記放出孔と対向するように配設される、接地された被誘導電極と、
    前記容器の少なくとも前記放出孔から流出する原料液に電荷を帯電させるように前記容器に電圧を印加する電源と、
    前記放出孔から放出された原料液を、前記被誘導電極とは異なる方向に移送するための気流を発生させる気流発生手段と、
    前記容器に印加された電圧により帯電され前記気流により移送される前記原料液から、移送の間に形成された繊維状物質を収集する収集手段と、
    尖り部を有し、前記気流により移送される前記原料液ないしはそれから形成される繊維状物質に向けて前記尖り部から前記原料液ないしは前記繊維状物質の帯電極性とは逆極性のイオン風を発生させるイオン風発生手段と
    を備えるナノファイバ製造装置。
  3. 前記イオン風発生手段は、前記誘導電極または前記被誘導電極の前記気流の下流側端部を鋭角に形成して構成される請求項1または2記載のナノファイバ製造装置。
  4. 前記尖り部が、前記誘導電極または前記被誘導電極の前記気流の下流側端部に設けられた少なくとも1つの針状または錐体状の凸部である請求項記載のナノファイバ製造装置。
  5. 前記イオン風発生手段は、前記気流の前記誘導電極または前記被誘導電極よりも下流側且つ前記収集手段よりも上流側の位置に、前記尖り部を有する除電電極を設けて構成される請求項1または2記載のナノファイバ製造装置。
  6. 前記除電電極は、前記誘導電極または前記被誘導電極と電気的に接続されている請求項5記載のナノファイバ製造装置。
  7. 前記誘導電極または前記被誘導電極は、前記容器の周囲に同軸に配された円筒状部材から構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノファイバ製造装置。
  8. 前記回転駆動機構は、前記気流発生手段が発生する気流の前記容器までの通路を画成する案内体の内部に配設される請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノファイバ製造装置。
  9. 少なくとも一端が塞がれた円筒形状を有し、高分子材料を含む原料液を放出させる放出孔を周壁に有するとともに、少なくとも前記放出孔の開口部が導体から形成された容器に、前記原料液を入れる工程、
    前記容器の周囲に同軸に配された円筒状部材から構成される環状電極と、前記容器との間に電位差を付与する工程、
    前記電位差から前記容器に生ずる電荷により前記原料液を帯電させる工程、
    前記電位差によって生じる電界により前記原料液を前記放出孔から放出させる工程、
    前記容器を回転して前記原料液の前記放出孔からの放出を補助する工程、
    前記放出孔から放出された前記原料液の向きを変えて所定方向に移送するように気流を発生させる工程、
    前記気流により所定方向に移送される間に前記帯電された原料液から形成される繊維状物質を収集する工程、並びに
    尖り部を有するイオン風発生手段を使用して、前記気流により移送される原料液ないしはそれから形成される繊維状物質に向けて前記尖り部から前記原料液ないしは前記繊維状物質の帯電極性とは逆極性のイオン風を発生させる工程
    を含むナノファイバ製造方法。
JP2008076474A 2008-03-24 2008-03-24 ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法 Expired - Fee Related JP4880633B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008076474A JP4880633B2 (ja) 2008-03-24 2008-03-24 ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008076474A JP4880633B2 (ja) 2008-03-24 2008-03-24 ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009228168A JP2009228168A (ja) 2009-10-08
JP4880633B2 true JP4880633B2 (ja) 2012-02-22

Family

ID=41243875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008076474A Expired - Fee Related JP4880633B2 (ja) 2008-03-24 2008-03-24 ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4880633B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4837698B2 (ja) * 2008-04-02 2011-12-14 パナソニック株式会社 ナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法
CN101981238B (zh) 2008-04-02 2012-05-02 松下电器产业株式会社 纳米纤维制造装置、纳米纤维制造方法
JP5717093B2 (ja) * 2011-03-28 2015-05-13 栗田工業株式会社 ナノファイバー不織布の製造方法及び装置
JP5754703B2 (ja) * 2011-03-30 2015-07-29 栗田工業株式会社 ナノファイバー不織布の製造方法及び装置
JP5368504B2 (ja) * 2011-04-13 2013-12-18 パナソニック株式会社 ナノファイバ製造装置、および、ナノファイバ製造方法
CN113046849B (zh) * 2021-03-13 2022-03-04 赣州大业金属纤维有限公司 一种基于喷射纺丝法原理的超细纤维生产装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4047739B2 (ja) * 2003-02-04 2008-02-13 日本バイリーン株式会社 静電紡糸方法及び静電紡糸装置
JP4670714B2 (ja) * 2006-04-11 2011-04-13 パナソニック株式会社 静電噴霧装置及び静電噴霧方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009228168A (ja) 2009-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4591499B2 (ja) ナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置
US8110136B2 (en) Method and apparatus for producing nanofibers and polymer web
WO2010038362A1 (ja) ナノファイバ製造方法、及び製造装置
JP4763845B2 (ja) ナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法
JP4880633B2 (ja) ナノファイバ製造装置、およびナノファイバ製造方法
US20100148405A1 (en) Nanofiber producing method and nanofiber producing apparatus
JP4877140B2 (ja) ナノファイバーの製造方法及び装置
US8475692B2 (en) Nanofiber manufacturing apparatus and nanofiber manufacturing method
US8425810B2 (en) Nanofiber production device and nanofiber production method
JP4981747B2 (ja) ナノファイバ製造装置、および製造方法
JP4880627B2 (ja) ナノファイバーの合糸方法及び装置
JP2009068121A (ja) ナノファイバーの合糸方法及び装置
JP4892508B2 (ja) ナノファイバ製造方法、ナノファイバ製造装置
JP5789773B2 (ja) 繊維堆積装置、繊維堆積方法
JP2010031412A (ja) ナノファイバーの合糸方法及び装置
JP5185090B2 (ja) ナノファイバ製造方法、および製造装置
JP5234355B2 (ja) ナノファイバ製造装置、および製造方法
JP4780140B2 (ja) 不織布製造装置
JP4934638B2 (ja) ナノファイバ製造装置
JP5215207B2 (ja) ナノファイバ製造装置
JP4535085B2 (ja) ナノファイバーの製造方法及び装置
JP4939467B2 (ja) ナノファイバ製造方法、ナノファイバ製造装置
JP2010001592A (ja) ナノファイバ製造装置、および製造方法
JP5006862B2 (ja) ナノファイバ製造方法、および製造装置
JP2010189778A (ja) ナノファイバ製造装置、および製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110902

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4880633

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141209

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees