JP5234355B2 - ナノファイバ製造装置、および製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノファイバ製造装置、および製造方法に関し、さらに詳しくはエレクトロスピニング法によりナノファイバを製造する技術に関する。
近年、直径がサブミクロンスケールの繊維状物質であるナノファイバを容易に製造できることから、エレクトロスピニング法(電荷誘導紡糸法)が注目を集めている。エレクトロスピニング法は、液体中に高分子材料を分散または溶解させた液状の原料を空中に放出するとともに、放出の際に原料を高電圧で帯電させ、原料を空中で電気的に延伸させてナノファイバを得る方法である(例えば特許文献1参照)。
より詳細には、電界により帯電されて空気中に放出された原料は空中を飛翔する間に分散媒または溶媒が蒸発し、体積が減少していく。一方、原料に付与された電荷は分散媒または溶媒の蒸発にかかわらず維持されるために、原料の電荷密度は分散媒または溶媒の蒸発とともに増大していく。そして、原料内部の反発方向のクーロン力が原料の表面張力より大きくなったときに原料が爆発的に線状に延伸される現象(以下、静電延伸現象と述べる)が生じる。この静電延伸現象が空中において連続的に発生し、原料が幾何級数的に線状に細分化されていくことで直径がサブミクロンスケールの微細な繊維状物質が生成される。
空中で生成された繊維状物質を収集する方法は様々であり、例えば特許文献2には、ノズルから噴射された高分子材料から生成されるナノファイバを、コンベヤ形態で送られるコレクタの上に積層して収集する方法が示されている。ここでは、ノズルとコレクタとの間に所定の電位差を生じさせて(特許文献2の図1および2参照)、ノズルに対して、原料に付与するための電荷を誘導するとともに、コレクタに対して、生成された繊維状物質を引き寄せるための電荷を誘導している。
特開2005−330624号公報 特開2002−201559号公報 特開2008−150769号公報 WO 2008/062784号公報
ところが、上述したナノファイバの収集方法では、ナノファイバをコレクタの上に確実に堆積させるために、ノズル等の原料放出部と、コレクタとの間の距離を非常に短くする必要がある。
例えば、特許文献2の実施例においては、原料放出部とコレクタとの距離を8cmまたは10cmとしている。しかしながら、このように両者間の距離を小さくしてしまうと、生成されるナノファイバの量が次第に少なくなり、継続的に大量のナノファイバを製造することができないという問題が生じる。
より詳しく説明すると、ノズルと近接配置されたコレクタの上に、帯電した大量のナノファイバが堆積すると、その電荷と同じ極性に帯電されたナノファイバの原料がノズルから放出されにくくなる。また、ノズルとコレクタとの間の狭い空間に、帯電した大量のナノファイバが滞留すると、その電荷により原料放出部からの原料の放出が阻害される。さらには、コレクタに堆積したナノファイバの電荷や、原料放出部とコレクタとの間の空間に充満したナノファイバの電荷により、原料放出部から放出されるナノファイバの原料が帯電されにくくなり、空中でのナノファイバの生成が阻害されてしまう。
また、ナノファイバの原料が有機溶媒により溶解または分散されている場合は、狭い空間に有機溶媒が充満すると、爆発が引き起こされる危険性が生じ、安全性を確保することが困難になるという別の問題も発生する。
このため、本発明者等は、周壁に孔の開いた円筒状の容器に電荷を誘導し、その内部にナノファイバの原料を供給するとともに、容器を回転させて、周壁の孔から帯電したナノファイバの原料を遠心力により放出してナノファイバを生成する方法を提案している(特許文献3参照)。生成されたナノファイバは、送風により容器の軸方向に偏向され、その方向に配置された、ナノファイバとは逆極性の電圧が印加された電極に引き寄せられ、その電極の手前に配置されたコレクタの上に堆積し、不織布として収集される。
この方法によれば、原料の放出方向とコレクタが配置される方向とが異なるので、コレクタに堆積したナノファイバの電荷により、原料の放出が阻害されたり、原料への帯電が阻害されたりするのを防止することができる。また、原料放出部と容器との間の空間が広がるとともに、大量の空気が送り込まれるために、有機溶媒の密度が減少し、狭い空間に有機溶媒が充満することによる爆発の危険性を低減することが可能となる。
しかしながら、この方法においては、原料放出部である容器とコレクタとの間の電気力線を均一とすることが困難である、という別の問題を生じる。より詳細に説明すれば、この方法においては、容器の周面とコレクタとが平行に配置されておらず、また容器やコレクタの周囲には様々な部材が配置されているために、電気力線に乱れが生じるからである。その結果、ナノファイバをコレクタの上に均一に堆積させることができず、均一な集積密度のナノファイバの不織布を得ることが困難となる。
また、本発明者等は、特許文献4において、特許文献3の構成に加えて、容器に電荷を誘導して原料を帯電させるための、環状の帯電用電極を容器の周囲に配置することを提案している(特許文献4の図18参照)。この構成により、容器に誘導される電荷を容易に大きくすることができるので、原料に十分な電荷を与えることが可能となり、原料からナノファイバが生成されないままとなる割合を低減することができる。
しかしながら、この構成においても、容器からコレクタに向かう電気力線が均一なものとならず、厚みの均一な不織布からなる高品質のナノファイバを得ることが困難であるという問題は残る。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高品質なナノファイバを、より大量に生産することができるナノファイバ製造装置、および製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、高分子材料を含む液状の原料を空中に放出して、静電延伸現象により繊維状物質を生成し、生成された繊維状物質を収集するナノファイバ製造装置であって、
前記原料を空中に放出するための孔を有するとともに、前記原料が通過する空間を内部に有する原料放出部と、
前記原料放出部と所定距離をおいて対向するように配置され、前記原料放出部に電荷を誘導するための帯電用電極と、
前記生成された繊維状物質を偏向して所定方向に移送するための気流を発生する気流発生手段と、
前記生成された繊維状物質を表面に堆積させて収集する収集体と、
一定の距離をおいて対向配置される一対の移送用電極を含み、前記気流により移送される繊維状物質をさらに偏向して前記収集体まで移送するための電界を発生する電界発生手段と、
前記原料放出部と前記帯電用電極との間に所定の電位差を発生させる電位差発生手段
とを備え
前記原料放出部から放出された原料の運動の向きが気流により偏向され、さらに一定の距離をおいて対向配置された前記複数の移送用電極の間の電界により、前記生成された繊維状物質の運動の向きが偏向されることにより、均一な電気力線を有する電界により繊維状物質を移送して、収集体の上に堆積させて収集することを特徴とするナノファイバ製造装置である。
本発明の製造装置において、好ましい形態においては、前記収集体が長尺帯状とされ、
前記収集体を長手方向に送る送り機構が備えられ、
前記送り機構が、前記収集体を巻き出す巻き出し装置、並びに前記繊維状物質が表面に堆積された収集体を巻き取る巻き取り装置を含む。
本発明の製造装置において、さらに別の好ましい形態においては、前記気流により移送される繊維状物質の運動を前記対向配置される一対の移送用電極間まで案内する筒状の案内体が備えられる。
本発明の製造装置において、別の好ましい形態においては、前記原料放出部、前記帯電用電極および前記気流発生手段から構成される繊維状物質生成手段が複数組備えられ、それらの繊維状物質生成手段により生成される前記繊維状物質が一対の前記移送用電極の間の空間に前記気流により移送される。
本発明の製造装置において、別の好ましい形態においては、前記原料放出部が、前記孔を周壁に有する、所定の軸を中心として回転される、回転容器から構成されており、
前記帯電用電極が、前記回転容器の周囲に配設される環状の電極である前記気流により移送される繊維状物質の運動を案内する筒状の案内体を備える。
また、本発明は、高分子材料を含む液状の原料から静電延伸現象により繊維状物質を生成するナノファイバ製造方法であって、
前記原料を原料放出部から空中に放出する工程a、
前記原料放出部と、それと所定の距離をおいて対向配置された帯電用電極との間に所定の電位差を生じさせて、前記空中に放出される原料を帯電させる工程b、
前記空中に放出された原料を気流により偏向して、前記生成された繊維状物質を所定方向に移送する工程c、
前記生成された繊維状物質を収集体の表面に堆積させて収集する工程d、並びに
前記気流により移送される繊維状物質を、さらに一定の距離をおいて対向配置された複数の移送用電極の間に発生される電界により前記収集体まで移送する工程eを含み、
前記放出された原料の運動の向きが気流により偏向され、さらに前記複数の移送用電極の間の電界により、前記生成された繊維状物質の運動の向きが偏向されることにより、均一な電気力線を有する電界により繊維状物質を移送して、収集体の上に堆積させて収集することを特徴とするナノファイバ製造方法を提供する。
本発明によれば、原料放出部から放出された原料の運動の向きが気流により偏向され、さらに一定の距離をおいて対向配置された複数の移送用電極の間の電界により、生成された繊維状物質の運動の向きが偏向され、繊維状物質が収集体の上に堆積されて収集される。このため、均一な電気力線を有する電界により繊維状物質を移送して、収集体の上に堆積させて収集することができる。したがって、繊維状物質の堆積状態を均一とすることが可能となり、集積密度の均一な繊維状物質(ナノファイバ)の不織布を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
《実施の形態1》
図1は、本発明の実施の形態1に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。
製造装置は、金属などの導体からなる、接地された、略箱形の容器2を備えている。容器2の内部には、高分子材料を分散媒または溶媒と混合してなる液状の原料Fが、図示しないポンプにより原料供給管5を介して所定圧力で送られてくる。
容器2の下側の壁部には、所定圧力で送られてくる原料Fを空中に放出するための図示しない多数の細孔が形成されており、その細孔は、容器2の上記壁部の外側面に設けられた多数の突起2aの先端部に開口している。
また、容器2の上記壁部と対向する位置には、その壁部に電荷を誘導して、その電荷により空中に放出される原料Fを帯電させるための、板状の帯電用電極3が配設されている。帯電用電極3は、高電圧電源4Aの一方の端子(例えば負極端子)と接続されている。高電圧電源4の他方の端子(例えば正極端子)は接地されている。高電圧電源4Aの詳細を、図1の破線の丸Pの中に示す。後掲の図2〜10においては高電圧電源4Aの詳細は示していないが、その内容は図1に示したのと同じである。
また、容器2の上記壁部と帯電用電極3との間の空間の側方(後述する収集体12の送りの方向の反対側の側方)には、送風機7が、その空間に向かって水平方向に送風するように配設されている。ここで、送風機7による送風の方向は、収集体12の送りの方向と平行となっている。図示例では、送風の方向は収集体12の送りの方向と同じ方向であるが、収集体12の送り方向と逆の方向にすることもできる。容器2の突起2aの先端から放出された原料Fは、空中を飛翔する間に分散媒または溶媒が蒸発し、静電延伸現象により繊維状に細分化される。これにより、繊維状物質F1が生成される
また、容器2の突起2aの先端から下に向かって放出された原料F、ないしはそれから生成された繊維状物質F1(以下、両者を区別する必要がない場合は原料F等と総称する)は、送風機7が発生する気流により運動の向きが変えられて、水平方向に移送される。
また、原料F等が上記気流により移送される方向において、容器2および帯電用電極3と隣接する位置には、互いに対向するように一対の電極(移送用電極)17および18が上下に配置されている。ここで、これら一対の移送用電極17と18との間の距離は全面に亘って一定となっている。
また、下側の移送用電極(以下、送り出し側電極という)17は、その上面が帯電用電極3の上面と面一となるように配設されている。
また、上側の移送用電極(以下、吸引側電極という)18は、別の高電圧電源4Bの一方の極性の端子(図示例では、負極端子)と接続されている。別の高電圧電源4Bの他方の極性の端子は接地されている。ここで、吸引側電極18が接続される端子の極性は、帯電用電極3が接続される高電圧電源4Aの端子の極性と同じ極性となっている。つまり、繊維状物質F1に帯電される電荷とは逆極性の電圧が吸引側電極18には印加されている。
一方、送り出し側電極17は接地されており、これによって、送り出し側電極17には繊維状物質F1に帯電される電荷と同じ極性の電荷が誘導される。
この結果、送り出し側電極17と吸引側電極18との間には、繊維状物質F1を上に向かって移送するような電界が生ずる。その電界は、全面に亘って一定の距離で対向するように配置された板状の電極の間に発生しているために、電気力線が均一な電界となっている。
そして、その電界により繊維状物質F1が移送される方向には、繊維状物質F1の収集装置10が配置されている。
収集装置10は、下側の面に繊維状物質F1を堆積させて収集する長尺帯状の収集体12と、収集体12を長手方向に送る送り機構としての巻き出しロール14および巻き取りロール16とを備えている。
収集体12は、吸引側電極18と摺接または所定距離をおいて、収集体12の下側の位置を上記送り機構により送られるように配設されている。図示例では、収集体12は容器2よりもさらに上の位置で送られるように配置されている。このようにすれば、巻き出しロール14と容器2との位置関係に特別の配慮を払うことなく収集体12の下側の面に繊維状物質F1を均一に堆積させることができる。しかしながら、巻き出しロール14を容器2と隣接するように配置して、収集体12を容器2の下側の面と同じ高さ、またはそれよりも低い位置で送るようにすることも可能である。
ここで、収集体12は、堆積した繊維状物質F1を容易に分離することができるように、薄くて柔軟性を有する素材から構成されるのが好ましい。好ましい素材の例として、アラミド繊維から形成されたシートを挙げることができる。これにテフロン(登録商標)コートを行うと、繊維状物質F1(ナノファイバ)の分離性がさらに向上するためにより好ましい。
また、収集体12の素材は、絶縁性材料に限定されるものではなく、例えばカーボンナノファイバ等の導電性材料を混合して、収集体12に導電性を持たせるようにしてもよい。
次に、以上の構成のナノファイバ製造装置の動作を説明する。
原料供給管5を介して、図示しないポンプにより所定圧力で容器2の内部に供給される原料Fは、突起2aの先端部から上記細孔を介して空中に放出される。また、所定の電圧が高電圧電源4Aにより印加された帯電用電極3と、接地された容器2との間には電界が発生し、容器2と帯電用電極3とに、それぞれ逆極性の電荷が誘導される。図示例では、容器2には正電荷、帯電用電極3には負電荷が誘導される。
これにより、容器2の上記細孔から放出される原料Fは、容器2に誘導された電荷(正電荷)により帯電される。帯電された原料Fには、容器2と帯電用電極3との間の電界により帯電用電極3に向かう力が働く。
このようにして、原料Fは、上記ポンプによる供給圧力および電界により、帯電用電極3に向かって空中を飛翔する。空中を飛翔する間に、原料Fからは、分散媒または溶媒が蒸発し、原料Fの体積は減少する。原料Fの体積が減少すると、それに連れて電荷密度は高くなり、原料F内部の反発方向のクーロン力がその表面張力を超えたときに静電延伸現象が発生し、それを繰り返すことによって原料Fは繊維状に細分化されて、繊維状物質F1(ナノファイバ)が生成される。
一方、原料F、ないしはそれから生成された繊維状物質F1は、運動の向きが、送風機7が発生する気流により偏向され、収集体12の送りの方向(図に矢印により示している)と平行に、水平に移送される。上記気流により水平に移送される、正の電荷を帯びた繊維状物質F1は、送り出し側電極17と吸引側電極18との間の電界により上に向かって移送され、吸引側電極18の下側で送られている収集体12の下側の面に堆積される。
このとき、送り出し側電極17と吸引側電極18とは、全面に亘って一定の距離で対向配置された板状の電極であるために、その間の電界は、電気力線が均一なものとなっている。このため、均一な集積密度で、収集体12の下側の面に繊維状物質F1を堆積させることができる。
また、繊維状物質F1が気流により移送される方向を、収集体12の送りの方向と平行にしていることから、収集体12の表面に繊維状物質F1をより均一に堆積させることが可能となる。
さらには、収集体12の送りの位置を容器2よりも高い位置に設定することで、容器2と干渉させないように収集体12の配置を行うことが容易となる。したがって、容器2の配置に依存しないで、収集体12の送りの位置を最適なものとすることができ、均一な良質のナノファイバの不織布を得ることができる。
また、送風機7が発生する気流により多量の空気が供給されることから、原料Fに揮発性の有機溶媒または有機分散媒が含まれている場合にも、それらが高密度に充満することがなく、爆発などの危険性を低減することができる。
また、送風機7により発生する気流の温度を、原料Fを偏向させる前に加熱装置等を用いて所定の温度まで上昇させることによって、さらに、揮発性の有機溶媒または有機分散媒の蒸発を加速することができる。これによって、静電延伸現象が促進されて、より微細なナノファイバを生成することができる。
また、繊維状物質F1は、電界により上に向かって移送されることから、十分な電荷を与えられ、原料Fが十分に細分化されて生成された繊維状物質F1は、収集体12の下側の面に到達するまで上昇し、収集体12の下側の面に堆積され、不織布として収集される。一方、原料Fに十分な電荷が与えられずに、溶媒等が蒸発しても静電延伸現象が発現せず、塊のまま残った高分子材料は、重力により収集体12の下側の面への到達が妨げられて、多くの部分が排除される。
このようにして、高分子材料の塊の混入量が少ない良質のナノファイバを製造することが可能となる。
ここで、帯電用電極3には、1〜200kVの電圧を印加するのが好ましい。より好ましくは、10kV以上の高電圧を印加するのがよい。特に、容器2と帯電用電極3との間の電界強度が重要であり、1kV/cm以上の電界強度になるように印加電圧や容器2と帯電用電極3との距離を調節することが好ましい。これにより、容器2と帯電用電極3との間に均等且つ強い電界を発生させることができる。送り出し側電極17および吸引側電極18についても同様である。
なお、本実施の形態においては、帯電用電極3に電圧を印加し、容器2は接地するものとしたが、これに限らず、帯電用電極3を接地し、容器2に電圧を印加するものとしてもよい。また、容器2および帯電用電極3の両方に、逆極性の電圧を印加するものとしてもよい。要するに、容器2と帯電用電極3との間に所定の電位差を生じさせるように、容器2および帯電用電極3の一方に電圧を印加するか、または容器2と帯電用電極3との間に電圧を印加するようにすればよい。
また、実施の形態においては、帯電用電極3には、負の電圧を印加して、正に帯電した繊維状物質F1を生成して、吸引側電極18には負の電圧を印加して繊維状物質F1を収集しているが、これに限定したものではなく、帯電用電極3に正の電圧を印加して、負に帯電した繊維状物質F1を生成し、吸引側電極18には正の電圧を印加して繊維状物質F1を収集するようにしてもよい。また、収集用電極18を接地し、送り出し側電極17に電圧を印加してもよい。
また、実施の形態においては、容器2は、金属などの導体であったが、これに限定するものではなく、容器2が導電性を有しない材料で構成された場合においても、原料Fを空中に放出するための孔の近傍が導電性を有する材料から構成されていれば、その部分と帯電用電極3との間に電界を発生させて、その孔から放出される原料を帯電させることができる。
また、実施の形態においては、送風機7は容器2の上記壁部と帯電用電極3との間の空間の側方(収集体12の送りの方向の反対側の側方)に配置しているが、この方式に限定するものではなく、容器2の孔から放出された原料を偏向しようとする方向に空気を吸引する吸引手段等を配置することにより、気流を発生させるように構成してもよい。
なお、実施の形態においては、収集体12の送り方向は巻き出しロール14および巻き取りロール16の配置により決定されるが、巻き出しロール14と巻き取りロール16の配置を入れ替えて、収集体12の送り方向を逆方向にしても同じような効果は得られる。
また、原料Fに含ませる高分子材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が好適なものとして例示でき、これらより選ばれる少なくとも1種が使用される。しかしながら、原料Fに含ませることができる高分子材料はこれらに限られるものではなく、既存の物質であってもナノファイバの原料としての適性が新たに認められたものや、今後に開発される物質でナノファイバの原料としての適性が認められるものを好適に用いることができる。
また、高分子材料を分散または溶解させるための分散媒または溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、水等が好適なものとして例示でき、これらより選ばれる少なくとも1種が使用される。しかしながら、高分子材料を分散または溶解させるための分散媒または溶媒は、これらに限られるものではなく、既存の物質であってもエレクトロスピニング法における高分子材料の分散媒または溶媒としての適性が新たに認められたものや、今後に開発される物質で分散媒または溶媒としての適性が認められるものを好適に用いることができる。
また、原料Fには無機質固体材料を混入することも可能である。混入可能な無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物などを挙げることができる。耐熱性、加工性などの観点からは酸化物を用いるのが好ましい。酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも1種が使用される。しかしながら、原料Fに混入される無機質固体材料はこれらに限定されるものではない。
高分子材料と分散媒または溶媒との混合比率は、それらの種類にもよるが、分散媒または溶媒の比率が60〜98質量%となるように混合されるのが好ましい。
《実施の形態2》
次に、図2を参照して本発明の実施の形態2を説明する。実施の形態2は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態2においては、容器2、帯電用電極3、および送風機7から構成されるナノファイバ生成部の設置される角度が、実施の形態1から変更されている。より具体的には、気流による繊維状物質F1の移送方向が所定角度θだけ斜め上向きに変更されている。
このように、気流による繊維状物質F1の移送方向は、電界による移送方向に対して垂直に交わる方向に限らず、電界による移送方向と斜めに交わる方向に設定してもよい。
《実施の形態3》
次に、図3を参照して本発明の実施の形態3を説明する。実施の形態3は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態3においては、送り出し側電極17は接地されておらず、吸引側電極18と逆極性の電圧が印加されている。より具体的には、送り出し側電極17は、さらに別の高電圧電源4Cの一方の端子(図示例では正極端子)と接続されている。高電圧電源4Cの他方の端子は接地されている。
このように、送り出し側電極17および吸引側電極18のそれぞれに、別々の高電圧電源4Bおよび4Cにより互いに逆極性の電圧を印加することによって、それらの電極の間に繊維状物質F1を移送するための電界を発生させることができる。
なお、本実施の形態3においては、送り出し側電極17と吸引側電極18とのそれぞれに別々の高電圧電源4Bおよび4Cにより互いに逆極性の電圧を印加するものとしたが、これに限らず、1つの高電圧電源のみを使用して、送り出し側電極17および吸引側電極18に、互いに逆極性の電圧を印加するものとしてもよい。つまり、送り出し側電極17と吸引側電極18との間に所定の方向を有する電界が形成されればよい。
《実施の形態4》
次に、図4を参照して本発明の実施の形態4を説明する。実施の形態4は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態4においては、収集装置10は、送風機7が発生する気流により移送される繊維状物質F1の移送経路の下側に配置されている。これに対応して、送り出し側電極17が上側に配置され、吸引側電極18が下側に配置されている。収集体12は、吸引側電極18の上側で送られるように配設されており、繊維状物質F1は収集体12の上側の面に堆積されて収集される。
このように、本発明においては、一対の移送用電極から構成される電界移送手段により繊維状物質F1を上から下に向かって移送するように構成することも可能であり、この場合にも、電気力線の均一な電界で繊維状物質F1を移送することができるという本発明の効果は得られる。
《実施の形態5》
次に、図5を参照して本発明の実施の形態5を説明する。実施の形態5は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態5においては、送風機7が発生する気流により移送される繊維状物質F1の運動を案内する筒状の案内体6が、容器2および帯電用電極3と、送り出し側電極17および吸引側電極18との間に配設されている。案内体6は好ましくは絶縁体から構成される。
これにより、帯電用電極3と送り出し側電極17とがショートする危険性が減少し、ショートの火花により原料の溶媒または分散媒が引火して、爆発する危険性を減少させることができる。また、ショートによる電源の損傷を回避することができる。したがって、安全性が向上するとともに、機器の耐久性が向上する。
なお、案内体6の素材は、できるだけ帯電しにくい素材とするのが好ましい。例えば、木や木綿、紙などから構成されるのが好ましい。これにより、案内体6の内部を通過する帯電した繊維状物質F1が案内体6の内面に付着しにくくなり、殆どの繊維状物質F1を収集体12に堆積させて収集することが可能となる。
また、繊維状物質F1が正電荷に帯電されるものとすれば、案内体6の素材も正電荷に帯電されやすいものとするのも好ましい。例えば、ガラス、石綿およびナイロン等が好ましい。逆に、繊維状物質F1が負電荷に帯電されるものとすれば、案内体6の素材も負電荷に帯電されやすいものとするのも好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニルおよびポリエチレン等が好ましい。
このように、案内体6を繊維状物質F1に帯電している電荷と同じ極性の電荷に帯電されやすい素材から構成することによって、繊維状物質F1が案内体6の内面に付着するのを防止することができる。これにより、案内体6に付着した繊維状物質F1等を取り除くためのメンテナンスの頻度を小さくすることができ、生産性が向上する。
《実施の形態6》
次に、図6を参照して本発明の実施の形態6を説明する。実施の形態6は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態6においては、容器2、帯電用電極3および送風機7からなる繊維状物質生成部、並びに送り出し側電極17および吸引側電極18がそれぞれ複数組(図示例では、2組)、収集体12の送りの方向に沿って並ぶようにして、1つの収集装置10に対して設けられている。
ここで、複数の吸引側電極18は、1つの高電圧電源4Bの一方の端子(図示例では負極端子)と接続されている。
このように、複数組の繊維状物質生成部と電界発生部とを設けるものとすることによって、電界の干渉による弊害を招くことなく生産性を向上させることが可能となる。
なお、図示例においては、吸引側電極18を2つ設けているが、これらを1つの大きな板状の電極から構成することも可能である。
《実施の形態7》
次に、図7を参照して本発明の実施の形態7を説明する。実施の形態7は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態7においては、容器2、帯電用電極3および送風機7からなる繊維状物質生成部が2つ、対向して設けられている。また、送り出し側電極17および吸引側電極18から構成される電界発生部の上側に、電界による繊維状物質F1の移送を気流により補助する移送補助部が設けられている。それに対応して、収集体12Aを、より通気性の高い素材から構成している。
具体的には、上記2つの繊維状物質生成部における、送風機7が発生する気流による繊維状物質F1の移送方向は、収集体12の送りの方向と平行な水平方向となっている。また、その移送方向は、互いに逆向きとなっている。これら2つの繊維状物質生成部により生成された繊維状物質F1は、一対の移送用電極の間の空間に送り込まれ、その間の電界により上に向かって送られる。
さらには、収集体12Aの上側には、例えば送風機からなる吸引装置20と、その吸引装置20の吸い込み口に接続された筒状のフード21とからなる移送補助部23が配設されている。
フード21は、吸引装置20と接続される側の開口から、収集体12Aと対向する側の開口に向かって、収集体12Aの送りの方向と平行な方向の幅が広がるように形成されている。
また、収集体12Aは、気体が通過しやすいように、網状の繊維から構成されるのが好ましい。
このように、1つの電界発生部に対して2つの繊維状物質生成部により生成された繊維状物質F1を送り込むものとすることによって、製造装置の部品数の増大を抑えながら、生産性を向上させることができる。
また、吸引式の移送補助部を設けたことによって、電界による繊維状物質F1の移送力が小さい場合、例えば一対の移送用電極17および18の間の電位差が小さい場合、電極間の距離が大きい場合、および繊維状物質F1からの電荷の消失量が大きい場合にも、繊維状物質F1をより確実に収集体12Aまで移送することができる。これにより、材料ロスの低減を図ることができる。
なお、図8に示すように、送風機7が発生する気流により繊維状物質F1を移送する方向は水平方向に限らず、斜め上向きでもよい。
また、図9に示すように、送風機7が発生する気流により繊維状物質F1を移送する方向は、収集体12Aの送りの方向と平行な方向に限らず、その送りの方向と垂直な方向でもよい。しかしながら、この場合には、繊維状物質F1の集積密度が収集体12の幅方向の左右で等しくなるように、原料Fの放出量や気流の向きを調整する必要がある。
《実施の形態8》
次に、図10を参照して本発明の実施の形態8を説明する。実施の形態8は、実施の形態1を改変したものであり、以下に、実施の形態1とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態8においては、容器2Aは、一端が閉塞された概略円筒形状の外形を有する。そして、容器2Aは、その円筒形状の軸心に一致する回転軸2bに接続された電動機24により回転駆動される回転容器として構成される。原料Fは、容器2Aの回転による遠心力により、周壁に設けられた細孔(図示せず)を通して放出される。そして、容器2Aは、回転軸2bが水平方向と平行となるように配設される。
また、容器2Aの周囲には、長板の長手方向の両端部を接合して輪にしたような形状の環状の帯電用電極3Aが、内周面を容器2Aの外周面と一定の距離をおいて対向するように同軸に配設される。帯電用電極3Aは、高電圧電源4Aの一方の端子(例えば負極端子)と接続されている。高電圧電源4Aの他方の端子(例えば正極端子)は接地されている。一方、容器2Aは接地されており、これにより容器2Aの外周面と、帯電用電極3Aの内周面とには、それぞれ逆極性の電荷が誘導され、両者の間に電界が発生する。例えば、容器2Aには正電荷が誘導され、帯電用電極3Aには負電荷が誘導される。
また、送風機7は、容器2Aの回転軸2bに接続された電動機24よりも更に側方の位置に配されている。送風機7により発生される気流26は、筒状のフード28により容器2Aと帯電用電極3Aとの間に導かれて、原料F等を容器2Aの軸方向に移送する。気流26により移送された原料F等は、送り出し側電極17および吸引側電極18の間の電荷により上に向かって移送され、収集体12の下側の面に堆積される。
また、フード28内の送風機7の直下流の位置には、環状のヒータ30が配設されている。これにより、原料F等からの分散媒または溶媒の蒸発を促進して、原料Fから繊維状物質F1を速やかに生成することができる。また、静電延伸現象が早期に引き起こされることから、生成される繊維状物質F1の繊維径はより細くなり、微細な繊維状物質F1を安定して生成することができる。
このように、原料Fを空中に放出するための力は、ポンプ等の供給圧力に限らず、容器を回転させて得られる遠心力を利用することができる。また、帯電用電極は、容器の周囲に配設された環状の電極とすることができる。また、原料Fを放出する細孔は、必ずしも容器の外側面に設けられた突起の先端に開口している必要はなく、容器の周壁の表面にそのまま開口していてもよい。
《実施の形態9》
次に、図11を参照して本発明の実施の形態9を説明する。実施の形態9は、実施の形態8を改変したものであり、以下に、実施の形態8とは異なる部分のみを主に説明する。
実施の形態9においては、容器2Bは、ソロバンの珠のような外形を有する回転容器であり、その最も外径の大きい部分の周壁に複数の孔が設けられている。
さらに、容器2Bには、回転軸を兼ねる原料液供給管33により回転自在に支持されている。
また、容器2Bの周囲には、丸棒の両端を繋いで輪にしたような形状の環状の帯電用電極3Bが配設されている。
原料液供給管33は、支持部32により回転可能に支持されるとともに、回転継手34を介して原料液配管35の一端と接続されている。また、原料液供給管33には受動ギア36が外装されている。受動ギア36は、電動機24の出力軸24aに取り付けられた能動ギア38と噛合しており、電動機24の回転出力により原料液供給管33が回転されて、容器2Bが回転駆動される。
また、原料液配管35は、他端が原料液タンク40に接続されるとともに、途中に原料
液ポンプ42および圧力センサ44が配設されている。圧力センサ44は、原料液配管35における原料ポンプ42の下流側に配設されており、原料ポンプ42の吐出圧力を検出し、その検出結果に応じた信号を出力する。圧力センサ44の出力信号は制御部46に入力される。
制御部46は、原料ポンプ42の吐出圧力が所定圧力となるように、圧力センサ44の検出結果に基づいて原料ポンプ42を制御する。ここで、原料ポンプ42は、低沸点溶媒を含む原料液Fを一定圧力で供給し得るように、圧力調整弁を内蔵したものを使用するのが好ましい。また、原料ポンプ42は、インバータ装置を使用して、原料ポンプ42を構成する交流電動機(誘導電動機・同期電動機)の可変速・可変トルク制御を行うことにより制御するのが好ましい。
以上の構成により、原料液配管35、回転継手34および原料液供給管33を介して、原料Fが、原料液タンク40から容器2Bの内部に所定圧力で供給される。
このように、回転継手34を介して原料液配管35と原料液供給管33とを接続するものとすることによって、容器2Bの回転による遠心力のみならず、原料ポンプ42による原料Fの供給圧力をも利用して原料Fを容器2Bから放出することが可能となる。これにより、原料Fの放出をよりスムーズに行うことが可能となり、ナノファイバの生産性が向上する。
以上、本発明を各実施の形態により説明したが、以下に、本発明の好ましいより具体的な形態を説明するとともに、上記各実施の形態の更なる変形例を説明する。
実施の形態8および9の容器2Aおよび2Bの外径は10mm〜300mmとするのがよい。容器2Aおよび2Bの外径が300mmを超えると、上記気流により原料F等を適度に集中させることが困難となるからである。また、容器2Aの外径が300mmを超えると、容器2Aおよび2Bを安定して回転させるためには容器2Aまたは2Bを支持する支持構造の剛性をかなり高くする必要が生じ、装置が大型化するからである。一方、容器2Aおよび2Bの直径が10mmより小さいと、原料を放出させるのに十分な遠心力を得るためには回転数を高くする必要があり、その場合にはモータの負荷や振動が増大するために振動対策等を施す必要が生じるからである。以上の点を考慮すると、容器2Aおよび2Bの外径は、20〜150mmとするのがより好ましい。
また、上記各実施の形態において、原料Fを放出する細孔の径は、0.01〜2mmとするのがよい。また、細孔の形状は円形であることが好ましいが、多角形形状や星形状等であってもよい。
また、容器2Aおよび2Bの回転数は、原料Fの粘度、原料Fの組成(高分子材料の種類)、溶媒の種類並びに細孔の径等に応じて例えば数rpm以上10,000rpm以下の範囲で調節することができる。
また、実施の形態8および9の環状の帯電用電極3Aおよび3Bの内径は、容器2Aおよび2Bの外径よりも大きな径にする必要があるが、例えば200〜1000mmとするのがよい。特に、帯電用電極3Aおよび3Bと、容器2Aまたは2Bとの間に発生する電位差により発生する電界強度が、1kV/cm以上になるように、帯電用電極3Aおよび3Bの配置や印加する高電圧電源の大きさ等を設定するのがよい。
また、環状の帯電用電極3Aおよび3Bは、必ずしも円環状の電極である必要はなく、例えば、軸方向から見た形状を多角形としてもよい。また、帯電用電極3Aおよび3Bは、容器の周面から所定の距離をおいて容器を囲むように配置されてさえいればよく、例えば、環状の金属線を、容器を囲むように配置して構成してもよい。
本発明によれば、エレクトロスピニング法により高品質のナノファイバを高い生産性で製造することができることから、高性能フィルタ等の素材として安価で信頼性の高い素材を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態2に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態3に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態4に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態5に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態6に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態7に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 図7の製造装置の変形例を示す、一部を断面にした側面図である。 図7の製造装置の別の変形例を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態8に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。 本発明の実施の形態9に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す、一部を断面にした側面図である。
1 ナノファイバ製造装置
2 容器
3 帯電用電極
4 高電圧電源
6 案内体
7 送風機
12 収集体
17 送り出し側電極
18 吸引側電極
F 原料
F1 繊維状物質

Claims (6)

  1. 高分子材料を含む液状の原料を空中に放出して、静電延伸現象により繊維状物質を生成し、生成された繊維状物質を収集するナノファイバ製造装置であって、
    前記原料を空中に放出するための孔を有するとともに、前記原料が通過する空間を内部に有する原料放出部と、
    前記原料放出部と所定距離をおいて対向するように配置され、前記原料放出部に電荷を誘導するための帯電用電極と、
    前記生成された繊維状物質を偏向して所定方向に移送するための気流を発生する気流発生手段と、
    前記生成された繊維状物質を表面に堆積させて収集する収集体と、
    一定の距離をおいて対向配置される一対の移送用電極を含み、前記気流により移送される繊維状物質をさらに偏向して前記収集体まで移送するための電界を発生する電界発生手段と、
    前記原料放出部と前記帯電用電極との間に所定の電位差を発生させる電位差発生手段とを備え
    前記原料放出部から放出された原料の運動の向きが気流により偏向され、さらに一定の距離をおいて対向配置された前記複数の移送用電極の間の電界により、前記生成された繊維状物質の運動の向きが偏向されることにより、均一な電気力線を有する電界により繊維状物質を移送して、収集体の上に堆積させて収集することを特徴とするナノファイバ製造装置。
  2. 前記収集体が長尺帯状であり、
    前記収集体を長手方向に送る送り機構を備え、
    前記送り機構が、前記収集体を巻き出す巻き出し装置、並びに前記繊維状物質が表面に堆積された収集体を巻き取る巻き取り装置を含む請求項1記載のナノファイバ製造装置。
  3. 前記気流により移送される繊維状物質の運動を前記対向配置される一対の移送用電極間まで案内する筒状の案内体を備える請求項1または2記載のナノファイバ製造装置。
  4. 前記原料放出部、前記帯電用電極および前記気流発生手段から構成される繊維状物質生成手段を複数組備え、それらの繊維状物質生成手段により生成される前記繊維状物質を一対の前記移送用電極の間の空間に前記気流により移送する請求項1〜3のいずれかに記載のナノファイバ製造装置。
  5. 前記原料放出部が、前記孔を周壁に有する、所定の軸を中心として回転される、回転容器から構成されており、
    前記帯電用電極が、前記回転容器の周囲に配設される環状の電極である請求項1〜4のいずれかに記載のナノファイバ製造装置。
  6. 高分子材料を含む液状の原料から静電延伸現象により繊維状物質を生成するナノファイバ製造方法であって、
    前記原料を原料放出部から空中に放出する工程a、
    前記原料放出部と、それと所定の距離をおいて対向配置された帯電用電極との間に所定の電位差を生じさせて、前記空中に放出される原料を帯電させる工程b、
    前記空中に放出された原料を気流により偏向して、前記生成された繊維状物質を所定方向に移送する工程c、
    前記生成された繊維状物質を収集体の表面に堆積させて収集する工程d、並びに
    前記気流により移送される繊維状物質を、さらに一定の距離をおいて対向配置された複数の移送用電極の間に発生される電界により前記収集体まで移送する工程eを含み、
    前記放出された原料の運動の向きが気流により偏向され、さらに前記複数の移送用電極の間の電界により、前記生成された繊維状物質の運動の向きが偏向されることにより、均一な電気力線を有する電界により繊維状物質を移送して、収集体の上に堆積させて収集することを特徴とするナノファイバ製造方法。
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