ところが、上記したように、各コンデンサ機能部201〜203がコンデンサ200の平面方向において互いに異なる領域に配置されていると、各コンデンサ機能部201〜203を構成するビア導体204の設定が可能な領域が限定されてしまう。例えば、コンデンサ機能部201を同じ電源系統のプロセッサコアに接続する場合、接続に用いられるビア導体204の設定が可能な領域はコンデンサ機能部201が存在する部分のみ(図14参照)に限定されてしまう。よって、プロセッサコアの直下または直下近傍に各コンデンサ機能部201〜203のビア導体204を配置しなければならないため、ビア導体204の設定の自由度が小さくなり、ひいては、コンデンサ200の設計の自由度が小さくなる。仮に、ビア導体204がプロセッサコアから離れていると、プロセッサコアとの接続に長い配線が必要となる。その結果、コンデンサ200とICチップとの間で侵入するノイズが増加してしまい、誤動作等の不具合が生じてしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、設計の自由度を大きくすることができるコンデンサを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記のコンデンサが内蔵された好適な配線基板を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、複数の電源系統に対応して機能し、電源用内部電極層とグランド用内部電極層とによって構成されるコンデンサ機能部をその内部に複数有するコンデンサであって、コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有するとともに、互いに異なる層にて個別に設けられた複数の前記電源用内部電極層と前記グランド用内部電極層とが誘電体層を介して積層配置された構造を有するコンデンサ本体を備え、複数の前記コンデンサ機能部は、複数の電源系統ごとに設けられ、同じ電源系統に属する電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された複数の電源用ビア導体と、前記グランド用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続されたグランド用ビア導体とをそれぞれ含み、前記複数の電源系統ごとに設けられ、前記複数の電源用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続された複数の電源用電極を備え、前記グランド用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続されたグランド用電極を備えていることを特徴とするコンデンサがある。
従って、手段1のコンデンサによると、複数のコンデンサ機能部を構成する電源用内部電極層及びグランド用内部電極層は、それぞれ互いに異なる層にて個別に設けられ、各層を占有している。これにより、コンデンサ機能部の位置に関係なく、電源用内部電極層を接続する電源用ビア導体の位置を任意に設定することができる。よって、電源用ビア導体の配置の自由度が大きくなり、ひいては、コンデンサの設計の自由度が大きくなる。
また、各コンデンサ機能部において電源用内部電極層及びグランド用内部電極層の層数を自由に設定でき、ひいては、各コンデンサ機能部の静電容量を自由に設定できる。さらに、電源用内部電極層を電源用ビア導体で接続するだけで電源系統を構成できるため、電源系統を増やすことも容易である。
ここで、上記コンデンサは、コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有するとともに、互いに異なる層にて個別に設けられた複数の前記電源用内部電極層と複数の前記グランド用内部電極層とが誘電体層を介して積層配置された構造を有するコンデンサ本体を備えている。また、好適なコンデンサの例としては、ビアアレイタイプのコンデンサを挙げることができる。即ち、コンデンサは、同じ電源系統に属する電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された複数の電源用ビア導体と、前記グランド用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続されたグランド用ビア導体とを備え、前記複数の電源用ビア導体及び前記グランド用ビア導体が全体としてアレイ状に配置されていることが好ましい。このような構造であれば、コンデンサのインダクタンスの低減化が図られ、ノイズ吸収や電源変動平滑化のための高速電源供給が可能となる。また、コンデンサ全体の小型化が図りやすくなり、ひいては配線基板全体の小型化も図りやすくなる。しかも、小さい割りに高静電容量が達成しやすく、より安定した電源供給が可能となる。
前記誘電体層としては、セラミック誘電体層、樹脂誘電体層、セラミック−樹脂複合材料からなる誘電体層などが挙げられる。前記セラミック誘電体層としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックの焼結体が好適に使用されるほか、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックの焼結体が好適に使用される。この場合、用途に応じて、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックの焼結体を使用することも好ましい。誘電体セラミックの焼結体を使用した場合、静電容量の大きなコンデンサを実現しやすくなる。また、前記樹脂誘電体層としては、エポキシ樹脂、接着剤を含んだ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)などの樹脂が好適に使用される。さらに、前記セラミック−樹脂複合材料からなる誘電体層としては、セラミックとして、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどが好適に使用され、樹脂材料として、エポキシ樹脂、フェノール、ウレタン、シリコン、ポリイミド、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、アクリル、ポリアセタール、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、及び、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのラテックスが好適に使用される。
前記電源用内部電極層、前記グランド用内部電極層、前記電源用ビア導体、前記グランド用ビア導体、前記電源用電極、前記グランド用電極としては特に限定されないが、例えば誘電体層がセラミック誘電体層である場合にはメタライズ導体であることが好ましい。なお、メタライズ導体は、金属粉末を含む導体ペーストを従来周知の手法、例えばメタライズ印刷法で塗布した後に焼成することにより、形成される。同時焼成法によってメタライズ導体及びセラミック誘電体層を形成する場合、メタライズ導体中の金属粉末は、セラミック誘電体層の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック誘電体層がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。セラミック誘電体層がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、メタライズ導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
なお、前記コンデンサ本体は、前記誘電体層を介して前記電源用内部電極層と前記グランド用内部電極層とが交互に積層配置された構造を有することが好ましい。例えば、特定のコンデンサ機能部を構成する最下層の電源用内部電極層と、前記特定のコンデンサ機能部の下側に隣接するコンデンサ機能部を構成する最上層の電源用内部電極層との間に、1層の前記グランド用内部電極層が配置されていることが好ましい。仮に、電源用内部電極層の上側または下側に電源用内部電極層が隣接して配置されると、その部分はコンデンサとしての機能を有しなくなる。また、グランド用内部電極層の上側または下側にグランド用内部電極層が隣接して配置されると、コンデンサ本体が肉厚になってしまう。
また、前記コンデンサ主面に最も近い内部電極層は、前記グランド用内部電極層であることが好ましい。このようにすれば、コンデンサの外部からのノイズを遮蔽することができる。また、電源用電極とそれに最も近い電源用内部電極層との間で印加される電圧が変動したとしても、コンデンサ主面に最も近い内部電極層をグランド用内部電極層とすることにより、互いに悪影響を及ぼし合うノイズを遮蔽できる。ゆえに、適切な電源供給の妨げとなる不具合を防止できる。
また、本発明の課題を解決するための別の手段(手段2)としては、手段1に記載のコンデンサと、コア主面及びコア裏面を有するコア基板と、層間絶縁層及び導体層を前記コア主面の上にて交互に積層した構造を有し、前記導体層同士が配線積層部用ビア導体を介して相互に電気的に接続される配線積層部とを備え、前記配線積層部の表面上において前記コンデンサの真上の領域内に、半導体集積回路素子の電源用接続端子が位置しうる電源用接続端子領域が前記複数の電源系統ごとに複数種類設定され、前記複数の電源用電極は、それぞれ同じ電源系統の電源用接続端子領域の直下または直下近傍に配置されており、同じ電源系統ごとに、前記導体層及び前記配線積層部用ビア導体を介して互いに電気的に接続されることを特徴とする配線基板がある。
従って、手段2の配線基板によると、上記手段1に記載のコンデンサが内蔵された好適な配線基板を提供することができる。また、電源用電極が、同じ電源系統の電源用接続端子領域の直下または直下近傍に配置されている。このため、配線積層部上に半導体集積回路素子を搭載した場合に、電源用電極と、同じ電源系統の電源用接続端子領域に位置しうる電源用接続端子とをつなぐ配線が短くなる。これにより、配線のインダクタンス成分の増加が防止されるため、コンデンサによる半導体集積回路素子のスイッチングノイズを確実に低減できるとともに、電源電圧の確実な安定化を図ることができる。
なお、配線基板は、前記コンデンサが、前記コア主面と前記コンデンサ主面とを同じ側に向けた状態で前記コア基板内に収容されているものであってもよい。このようにすれば、配線積層部においてコンデンサに邪魔されることなく電気回路を形成できるため、配線基板の機能を維持することができる。また、コア基板にコア主面及びコア裏面を貫通するスルーホール導体が設けられている場合、スルーホール導体を通過する配線とコンデンサとを互いに接近させて配置できるため、配線基板内の配線を密集させて配線基板の小型化を図ることができる。この場合、コンデンサは、コア基板内に収容された状態で、例えば高分子材料製の樹脂充填部により固定される。また、配線基板は、前記コンデンサが、前記配線積層部内に収容されているものであってもよい。このようにすれば、配線積層部上に半導体集積回路素子を搭載した場合に、電源用電極と、同じ電源系統の電源用接続端子領域に位置しうる電源用接続端子とをつなぐ配線がよりいっそう短くなる。これにより、コンデンサによる半導体集積回路素子のスイッチングノイズをより確実に低減でき、電源電圧のより確実な安定化を図ることができる。
ここで、「半導体集積回路素子」とは、主としてコンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される素子をいう。この半導体集積回路素子は、電源用接続端子領域に例えばフリップチップ実装される。
上記配線基板を構成するコア基板は、配線基板におけるコア部の一部分をなすものであって、例えばコア主面及びその反対側に位置するコア裏面を有する板状に形成される。かかるコア基板は、コンデンサを収容するための収容穴部を有していてもよい。この収容穴部は、コア主面のみにて開口する非貫通穴であってもよく、あるいはコア主面及びコア裏面の両方にて開口する貫通穴であってもよい。また、コンデンサは、完全に埋設された状態で収容穴部に収容されていてもよいし、一部分が収容穴部の開口部から突出した状態で収容穴部に収容されていてもよい。
コア基板を形成する材料は特に限定されないが、好ましいコア基板は高分子材料を主体として形成される。コア基板を形成するための高分子材料の具体例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。
なお、上記配線基板を構成する配線積層部については、その表面上において前記コンデンサの真上の領域内に、半導体集積回路素子の電源用接続端子が位置しうる電源用接続端子領域が前記複数の電源系統ごとに複数種類設定される。このような電源用接続端子領域には半導体集積回路素子が搭載可能である。なお、前記電源用接続端子領域の合計の面積は、前記コンデンサの前記コンデンサ主面の面積と同等またはそれよりも小さくなるように設定されることが好ましい。このように構成すれば、全ての電源用接続端子領域がコンデンサの真上の領域内に位置するため、配線積層部上に搭載される半導体集積回路素子は高剛性で熱膨張率が小さいコンデンサによって支持される。よって、上記各電源用接続端子領域においては、配線積層部が変形しにくくなるため、配線積層部上に搭載される半導体集積回路素子をより安定的に支持できる。
また、配線積層部は、高分子材料を主体とする層間絶縁層及び導体層を交互に積層した構造を有している。配線積層部はコア主面の上にのみ形成されるが、さらにコア裏面の上にも配線積層部と同じ構造の積層部が形成されていてもよい。このように構成すれば、コア主面の上に形成された配線積層部のみではなく、コア裏面の上に形成された積層部にも電気回路を形成できるため、配線基板のよりいっそうの高機能化を図ることができる。
以下、本発明の配線基板を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の配線基板10は、ICチップ搭載用の配線基板であって、ガラスエポキシからなる略矩形板状のコア基板11と、コア基板11のコア主面12(図1では上面)上に形成される第1ビルドアップ層31(配線積層部)と、コア基板11のコア裏面13(図1では下面)上に形成される第2ビルドアップ層32とからなる。
第1ビルドアップ層31は、エポキシ樹脂からなる2層の樹脂絶縁層33,35(いわゆる層間絶縁層)と、銅からなる導体層42とを交互に積層した構造を有している。第1層の樹脂絶縁層33内における複数箇所には配線積層部用ビア導体43が形成されている。各配線積層部用ビア導体43の下端となる箇所は、コア基板11のコア主面12上に形成された導体層42に接続されており、各配線積層部用ビア導体43の上端となる箇所は、樹脂絶縁層33の表面上に形成された導体層42に接続されている。また、第2層の樹脂絶縁層35内における複数箇所にも配線積層部用ビア導体43が形成されている。各配線積層部用ビア導体43の下端となる箇所は、樹脂絶縁層33の表面上に形成された導体層42に接続されており、各配線積層部用ビア導体43の上端となる箇所は、樹脂絶縁層35の表面上に形成された導体層42、または、樹脂絶縁層35の表面上においてアレイ状に形成された端子パッド44に接続されている。即ち、導体層42同士は、配線積層部用ビア導体43を介して相互に電気的に接続されている。さらに、樹脂絶縁層35の表面は、ソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト37の所定箇所には、端子パッド44を露出させる開口部46が形成されている。端子パッド44の表面上には、複数のはんだバンプ45が配設されている。各はんだバンプ45は、矩形平板状をなすICチップ21(半導体集積回路素子)の面接続端子22(電源用接続端子)に電気的に接続されている。ICチップ21は、シリコンからなり、3つの電源系統(第1電源系統A1、第2電源系統A2、第3電源系統A3)ごとに設けられた3つのプロセッサコア24,25,26を有している(図7参照)。なお、各端子パッド44及び各はんだバンプ45は、第1ビルドアップ層31においてセラミックコンデンサ101の真上の領域内に位置しており、この領域は、ICチップ21の面接続端子22が位置しうる3つの電源用接続端子領域23からなる。各電源用接続端子領域23は、第1ビルドアップ層31の表面39上に設定されており、第1〜第3電源系統A1〜A3ごとに設定されている。
図1に示されるように、コア基板11のコア裏面13上に形成された前記第2ビルドアップ層32は、上述した第1ビルドアップ層31とほぼ同じ構造を有している。即ち、第2ビルドアップ層32は、エポキシ樹脂からなる2層の樹脂絶縁層34,36と、導体層42とを交互に積層した構造を有している。第1層の樹脂絶縁層34内における複数箇所にはビア導体47が形成されている。各ビア導体47の上端となる箇所は、コア基板11のコア裏面13上に形成された導体層42に接続されており、各ビア導体47の下端となる箇所は、樹脂絶縁層34の表面上に形成された導体層42に接続されている。第2層の樹脂絶縁層36内における複数箇所にもビア導体47が形成されており、樹脂絶縁層36の下面上において各ビア導体47の下端となる箇所には、ビア導体47を介して導体層42に電気的に接続されるBGA用パッド48が格子状に形成されている。また、樹脂絶縁層36の下面は、ソルダーレジスト38によってほぼ全体的に覆われている。ソルダーレジスト38の所定箇所には、BGA用パッド48を露出させる開口部40が形成されている。BGA用パッド48の表面上には、図示しないマザーボードとの電気的な接続を図るための複数のはんだバンプ49が配設されている。そして、各はんだバンプ49により、図1に示される配線基板10は図示しないマザーボード上に実装される。
図1に示されるように、コア基板11は、ガラスエポキシからなる基材161と、基材161の上面及び下面に形成され、シリカフィラーなどの無機フィラーを添加したエポキシ樹脂からなるサブ基材164と、同じく基材161の上面及び下面に形成され、銅からなる導体層163とによって構成されている。両サブ基材164内における複数箇所にはビア導体165が形成されている。上面側のサブ基材164に形成された各ビア導体165の上端となる箇所は、前記樹脂絶縁層33の表面上に形成された導体層42に接続され、下面側のサブ基材164に形成された各ビア導体165の下端となる箇所は、樹脂絶縁層34の表面上に形成された導体層42に接続されている。また、コア基板11には、複数のスルーホール導体16がコア主面12、コア裏面13及び導体層163を貫通するように形成されている。かかるスルーホール導体16は、コア基板11のコア主面12側とコア裏面13側とを接続導通するとともに、導体層163に電気的に接続している。なお、スルーホール導体16の内部は、例えばエポキシ樹脂などの閉塞体17で埋められている。また、コア基板11のコア主面12及びコア裏面13には、銅からなる導体層41がパターン形成されており、各導体層41は、スルーホール導体16に電気的に接続されている。また、コア基板11は、コア主面12の中央部及びコア裏面13の中央部にて開口する平面視で矩形状の収容穴部90を1つ有している。即ち、収容穴部90は貫通穴部である。
収容穴部90内には、図2〜図6等に示すセラミックコンデンサ101が、埋め込まれた状態で収容されている。なお、セラミックコンデンサ101は、コンデンサ主面102をコア基板11のコア主面12と同じ側に向けた状態で収容されている。本実施形態のセラミックコンデンサ101は、縦10.0mm×横10.0mm×厚さ0.8mmの平面視略矩形板状である。セラミックコンデンサ101は、コア基板11において前記各電源用接続端子領域23の真下の領域に配置されている。なお、各電源用接続端子領域23の合計の面積(ICチップ21において面接続端子22が形成される面の面積)は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102の面積よりも小さくなるように設定されている。セラミックコンデンサ101の厚さ方向から見た場合、各電源用接続端子領域23は、セラミックコンデンサ101のコンデンサ主面102内に位置している。
図1に示されるように、収容穴部90の内面とセラミックコンデンサ101の側面との隙間は、高分子材料(本実施形態ではエポキシ等の熱硬化性樹脂)からなる樹脂充填部92によって埋められている。この樹脂充填部92は、セラミックコンデンサ101をコア基板11に固定するとともに、セラミックコンデンサ101及びコア基板11の面方向や厚さ方向への変形を自身の弾性変形により吸収する機能を有している。なお図3〜図6に示されるように、セラミックコンデンサ101は、平面視略正方形状をなしており、四隅にC0.6のテーパを有している。これにより、温度変化に伴う樹脂充填部92の変形時において、セラミックコンデンサ101の角部への応力集中を緩和できるため、樹脂充填部92のクラックの発生を防止できる。
図1〜図6等に示されるように、本実施形態のセラミックコンデンサ101は、いわゆるビアアレイタイプのコンデンサである。セラミックコンデンサ101を構成するセラミック焼結体104(コンデンサ本体)は、コンデンサ主面102(図1では上面)及びコンデンサ裏面103(図1では下面)を有する板状物である。セラミック焼結体104は、複数の電源用内部電極層と複数のグランド用内部電極層144とをセラミック誘電体層105を介して交互に積層配置した構造を有している。なお、複数の電源用内部電極層は、前記第1電源系統A1を構成する第1電源用内部電極層141、前記第2電源系統A2を構成する第2電源用内部電極層142、及び、前記第3電源系統A3を構成する第3電源用内部電極層143からなっている。セラミック誘電体層105は、高誘電率セラミックの一種であるチタン酸バリウムの焼結体からなり、第1〜第3電源用内部電極層141,142,143及びグランド用内部電極層144間の誘電体(絶縁体)として機能する。第1電源用内部電極層141、第2電源用内部電極層142、第3電源用内部電極層143及びグランド用内部電極層144は、いずれもニッケルを主成分として形成された層であって、セラミック焼結体104の内部において互いに異なる層にて個別に配置されている。
図2,図7等に示されるように、セラミックコンデンサ101は、第1コンデンサ機能部107(コンデンサ機能部)、第2コンデンサ機能部108(コンデンサ機能部)及び第3コンデンサ機能部109(コンデンサ機能部)をその内部に有している。第1コンデンサ機能部107は、前記第1電源系統A1を介して前記ICチップ21のプロセッサコア24に接続されており、第1電源系統A1に対応して機能している。第1コンデンサ機能部107は、第1電源用内部電極層141とグランド用内部電極層144とによって構成されている。第2コンデンサ機能部108は、前記第2電源系統A2を介してICチップ21のプロセッサコア25に接続されており、第2電源系統A2に対応して機能している。第2コンデンサ機能部108は、第2電源用内部電極層142とグランド用内部電極層144とによって構成されている。第3コンデンサ機能部109は、前記第3電源系統A3を介してICチップ21のプロセッサコア26に接続されており、第3電源系統A3に対応して機能している。第3コンデンサ機能部109は、第3電源用内部電極層143とグランド用内部電極層144とによって構成されている。なお、各コンデンサ機能部107〜109には、共通のセラミック誘電体層105が用いられている。また、セラミックコンデンサ101の側面から見た場合、第1コンデンサ機能部107の下側に隣接して第2コンデンサ機能部108が配置され、第2コンデンサ機能部108の下側に隣接してコンデンサ機能部109が配置されている。即ち、セラミック焼結体104は、第1コンデンサ機能部107、第2コンデンサ機能部108及び第3コンデンサ機能部109が積層配置された構造を有している。
なお図2に示されるように、第1コンデンサ機能部107を構成する最下層の第1電源用内部電極層141と、第1コンデンサ機能部107の下側に隣接する第2コンデンサ機能部108を構成する最上層の第2電源用内部電極層142との間には、1層のグランド用内部電極層144が配置される。同様に、第2コンデンサ機能部108を構成する最下層の第2電源用内部電極層142と、第2コンデンサ機能部108の下側に隣接する第3コンデンサ機能部109を構成する最上層の第3電源用内部電極層143との間には、1層のグランド用内部電極層144が配置される。また、コンデンサ主面102に最も近い内部電極層は、グランド用内部電極層144となっている。換言すると、このグランド用内部電極層144は、第1コンデンサ機能部107を構成する最上層の第1電源用内部電極層141の上層側に積層されている。
図2等に示されるように、前記セラミック焼結体104には、多数のビアホール130が形成されている。これらのビアホール130は、セラミック焼結体104をその厚さ方向に貫通するとともに、セラミック焼結体104の全面にわたって格子状(アレイ状)に配置されている。各ビアホール130内には、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102及びコンデンサ裏面103間を連通する複数のビア導体131,132,133,134が、ニッケルを主材料として形成されている。ビア導体131〜134の上側の端面はコンデンサ主面102に位置しており、ビア導体131〜134の下側の端面はコンデンサ裏面103に位置している。
各第1電源用ビア導体131は、前記第1電源系統A1(第1コンデンサ機能部107)に属する各第1電源用内部電極層141を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している(図2,図4参照)。各第2電源用ビア導体132は、前記第2電源系統A2(第2コンデンサ機能部108)に属する各第2電源用内部電極層142を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している(図2,図5参照)。各第3電源用ビア導体133は、前記第3電源系統A3(第3コンデンサ機能部109)に属する各第3電源用内部電極層143を貫通しており、それら同士を互いに電気的に接続している(図2,図6参照)。各グランド用ビア導体134は、セラミック焼結体104を構成する全てのグランド用内部電極層144を貫通しており、それら同士をセラミック焼結体104内にて互いに電気的に接続している(図2,図3参照)。また、各第1電源用ビア導体131、各第2電源用ビア導体132、各第3電源用ビア導体133及び各グランド用ビア導体134は、全体としてアレイ状に配置されている。なお、説明の便宜上、ビア導体131〜134を5列×5列で図示したが、実際にはさらに多くの列が存在している。
そして図2等に示されるように、セラミック焼結体104のコンデンサ主面102上には、複数の上面側第1電源用電極111(電源用電極)と、複数の上面側第2電源用電極112(電源用電極)と、複数の上面側第3電源用電極113(電源用電極)と、複数の上面側グランド用電極114(グランド用電極)とが突設されている。なお、各上面側グランド用電極114は、コンデンサ主面102上において個別に形成されているが、一体に形成されていてもよい。また、セラミック焼結体104のコンデンサ裏面103上には、複数の裏面側第1電源用電極121(電源用電極)と、複数の裏面側第2電源用電極122(電源用電極)と、複数の裏面側第3電源用電極123(電源用電極)と、裏面側グランド用電極124(グランド用電極)とが突設されている。なお、各裏面側グランド用電極124は、コンデンサ裏面103上において個別に形成されているが、一体に形成されていてもよい。
なお、上面側第1電源用電極111及び裏面側第1電源用電極121は第1電源系統A1に対応して設けられ、第1電源系統A1の前記電源用接続端子領域23の直下に配置されている。上面側第2電源用電極112及び裏面側第2電源用電極122は第2電源系統A2に対応して設けられ、第2電源系統A2の電源用接続端子領域23の直下に配置されている。上面側第3電源用電極113及び裏面側第3電源用電極123は第3電源系統A3に対応して設けられ、第3電源系統A3の電源用接続端子領域23の直下に配置されている。そして、コンデンサ主面102側にある電極111〜114は、同じ電源系統ごとに、ビア導体165、導体層42、配線積層部用ビア導体43、端子パッド44、はんだバンプ45及びICチップ21の面接続端子22を介して、ICチップ21のプロセッサコア24〜26に電気的に接続される。一方、コンデンサ裏面103側にある電極121〜124は、図示しないマザーボードが有する電極(接触子)に対して、ビア導体165、配線積層部用ビア導体43、導体層42、ビア導体47、BGA用パッド48及びはんだバンプ49を介して電気的に接続される。
図2等に示されるように、上面側第1電源用電極111は、前記各第1電源用ビア導体131におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。また、上面側第2電源用電極112は、前記各第2電源用ビア導体132におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。さらに、上面側第3電源用電極113は、前記各第3電源用ビア導体133におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。また、上面側グランド用電極114は、前記各グランド用ビア導体134におけるコンデンサ主面102側の端面に対して直接接続されている。一方、裏面側第1電源用電極121は、各第1電源用ビア導体131におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。また、裏面側第2電源用電極122は、各第2電源用ビア導体132におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。さらに、裏面側第3電源用電極123は、各第3電源用ビア導体133におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。また、裏面側グランド用電極124は、各グランド用ビア導体134におけるコンデンサ裏面103側の端面に対して直接接続されている。よって、電源用電極111,121は第1電源用ビア導体131及び第1電源用内部電極層141に導通しており、電源用電極112,122は第2電源用ビア導体132及び第2電源用内部電極層142に導通しており、電源用電極113,123は第3電源用ビア導体133及び第3電源用内部電極層143に導通している。そして、グランド用電極114,124はグランド用ビア導体134及びグランド用内部電極層144に導通している。
図2等に示されるように、電極111〜114は、ニッケルを主材料として形成され、表面が図示しない銅めっき層によって全体的に被覆されている。同様に、電極121〜124も、ニッケルを主材料として形成され、表面が図示しない銅めっき層によって被覆されている。なお本実施形態では、電極111〜114,121〜124の直径が約500μmに設定され、ピッチの最小長さが約580μmに設定されている。
例えば、マザーボード側から電極121,124を介して通電を行い、第1電源用内部電極層141−グランド用内部電極層144間に電圧を加えると、第1電源用内部電極層141に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層144に例えばマイナスの電荷が蓄積する。また、マザーボード側から電極122,124を介して通電を行い、第2電源用内部電極層142−グランド用内部電極層144間に電圧を加えると、第2電源用内部電極層142に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層144に例えばマイナスの電荷が蓄積する。さらに、マザーボード側から電極123,124を介して通電を行い、第3電源用内部電極層143−グランド用内部電極層144間に電圧を加えると、第3電源用内部電極層143に例えばプラスの電荷が蓄積し、グランド用内部電極層144に例えばマイナスの電荷が蓄積する。その結果、各コンデンサ機能部107〜109がコンデンサとして機能する。また、第1コンデンサ機能部107では、第1電源用ビア導体131及びグランド用ビア導体134がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、第1電源用ビア導体131及びグランド用ビア導体134を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。同様に、第2コンデンサ機能部108では、第2電源用ビア導体132及びグランド用ビア導体134がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、第2電源用ビア導体132及びグランド用ビア導体134を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。さらに、第3コンデンサ機能部109では、第3電源用ビア導体133及びグランド用ビア導体134がそれぞれ交互に隣接して配置され、かつ、第3電源用ビア導体133及びグランド用ビア導体134を流れる電流の方向が互いに逆向きになるように設定されている。これにより、インダクタンス成分の低減化が図られている。
次に、本実施形態の配線基板10の製造方法について述べる。
準備工程では、コア基板11の中間製品とセラミックコンデンサ101とを、それぞれ従来周知の手法により作製し、あらかじめ準備しておく。
コア基板11の中間製品は以下のように作製される。まず、縦400mm×横400mm×厚み0.8mmの基材161の両面に、厚み35μmの銅箔が貼付された銅張積層板を準備する。次に、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って導体層163を例えばサブトラクティブ法によってパターニングする。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離する。
次に、基材161に対してルータを用いて孔あけ加工を行い、収容穴部90を所定位置に形成する(図8参照)。なお、収容穴部90は、縦14.0mm×横14.0mmで、四隅に半径1.5mmのアールを有する断面略正方形状の孔である。
また、セラミックコンデンサ101は以下のように作製される。即ち、セラミックのグリーンシートを形成し、このグリーンシートに内部電極層用ニッケルペーストをスクリーン印刷して乾燥させる。これにより、後に第1電源用内部電極層141となる第1電源用内部電極部と、第2電源用内部電極層142となる第2電源用内部電極部と、第3電源用内部電極層143となる第3電源用内部電極部と、グランド用内部電極層144となるグランド用内部電極部とが形成される。次に、第1電源用内部電極部が形成されたグリーンシート、第2電源用内部電極部が形成されたグリーンシート、第3電源用内部電極部が形成されたグリーンシート、及び、グランド用内部電極部が形成されたグリーンシートを積層し、シート積層方向に押圧力を付与する。これにより、各グリーンシートが一体化されてグリーンシート積層体が形成される。
さらに、レーザー加工機を用いてグリーンシート積層体にビアホール130を多数個貫通形成し、図示しないペースト圧入充填装置を用いて、ビア導体用ニッケルペーストを各ビアホール130内に充填する。次に、グリーンシート積層体の上面上にペーストを印刷し、グリーンシート積層体の上面側にて各導体部の上端面を覆うように上面側第1電源用電極111、上面側第2電源用電極112、上面側第3電源用電極113及び上面側グランド用電極114を形成する。また、グリーンシート積層体の下面上にペーストを印刷し、グリーンシート積層体の下面側にて各導体部の下端面を覆うように裏面側第1電源用電極121、裏面側第2電源用電極122、裏面側第3電源用電極123及び裏面側グランド用電極124を形成する。
この後、グリーンシート積層体の乾燥を行い、各電極111〜114,121〜124をある程度固化させる。次に、グリーンシート積層体を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う。その結果、チタン酸バリウム及びペースト中のニッケルが同時焼結し、セラミック焼結体104となる。
次に、得られたセラミック焼結体104が有する各電極111〜114,121〜124に対して無電解銅めっき(厚さ10μm程度)を行う。その結果、各電極111〜114,121〜124の上に銅めっき層が形成され、セラミックコンデンサ101が完成する。
続く固定工程では、マウント装置(ヤマハ発動機株式会社製)を用いて、収容穴部90内にセラミックコンデンサ101を収容する(図9参照)。このとき、収容穴部90の裏面側開口は、剥離可能な粘着テープ171でシールされている。この粘着テープ171は、支持台(図示略)によって支持されている。かかる粘着テープ171の粘着面には、セラミックコンデンサ101が貼り付けられて仮固定されている。
その後、樹脂充填部92により、収容穴部90の内面とセラミックコンデンサ101の側面との隙間を埋める。その後、加熱処理を行うと、樹脂充填部92が硬化して、セラミックコンデンサ101が基材161に固定される。そして、この時点で、粘着テープ171を剥離する。
次に、基材161の上面及び下面と導体層163とを粗化した後、基材161の上面及び下面に、無機フィラーが添加されたエポキシ樹脂フィルム(厚さ600μm)を熱圧着により貼付し、露光及び現像を行うことにより、ビア導体165が形成されるべき位置に盲孔166を有するサブ基材164を形成する(図10参照)。さらに、従来公知の手法に従って電解銅めっきを行い、盲孔166の内部にビア導体165を形成するとともに、サブ基材164の上面に導体層41,42をパターン形成する(図11参照)。
次に、ビルドアップ層形成工程を実施する。ビルドアップ層形成工程では、従来周知の手法に基づいてコア主面12の上に第1ビルドアップ層31を形成するとともに、コア裏面13の上に第2ビルドアップ層32を形成する。具体的には、コア主面12上及びコア裏面13上に感光性エポキシ樹脂を被着し、露光及び現像を行うことにより、ビア導体43,47が形成されるべき位置に盲孔181,182を有する樹脂絶縁層33,34を形成する(図12参照)。次に、従来公知の手法に従って電解銅めっきを行い、前記盲孔181,182の内部にビア導体43,47を形成するとともに、樹脂絶縁層33,34上に導体層42を形成する。
さらに、樹脂絶縁層33,34上に感光性エポキシ樹脂を被着し、露光及び現像を行うことにより、ビア導体43,47が形成されるべき位置に盲孔を有する樹脂絶縁層35,36を形成する。次に、従来公知の手法に従って電解銅めっきを行い、前記盲孔の内部にビア導体43,47を形成するとともに、樹脂絶縁層35上に端子パッド44を形成し、樹脂絶縁層36上にBGA用パッド48を形成する。
次に、樹脂絶縁層35,36上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37,38を形成する。次に、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37,38に開口部40,46をパターニングする。さらに、端子パッド44上にはんだバンプ45を形成し、かつ、BGA用パッド48上にはんだバンプ49を形成する。その結果、コア基板11及びビルドアップ層31,32からなる配線基板10が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のセラミックコンデンサ101によれば、各コンデンサ機能部107〜109を構成する電源用内部電極層141〜143及びグランド用内部電極層144がそれぞれ互いに異なる層にて個別に設けられ、各層を占有している。これにより、コンデンサ機能部107〜109の位置に関係なく、電源用ビア導体131〜133の位置を任意に設定することができる。よって、電源用内部電極層141〜143の配置の自由度が大きくなり、ひいては、セラミックコンデンサ101の設計の自由度が大きくなる。
また、各コンデンサ機能部107〜109において電源用内部電極層141〜143及びグランド用内部電極層144の層数を自由に設定でき、ひいては、各コンデンサ機能部107〜109の静電容量を自由に設定できる。具体的には、電源用内部電極層141〜143及びグランド用内部電極層144の層数を多くするほど、静電容量の大きなコンデンサ機能部107〜109を実現できる。さらに、電源用内部電極層141〜143を電源用ビア導体131〜133で接続するだけで電源系統A1〜A3を構成できるため、電源系統を増やすことも容易である。
(2)従来、コンデンサ機能部が平面方向に沿って配置されたコンデンサが提案されている(図14参照)。しかし、この場合、電源系統が増えるに従ってコンデンサ機能部を構成する内部電極層の面積が小さくなるため、所定の静電容量を確保することが困難になる。一方、本実施形態のセラミックコンデンサ101は、コンデンサ機能部107〜109をセラミック焼結体104の厚さ方向に分割している。この場合、それぞれのコンデンサ機能部107〜109の内部電極層を薄くすれば、電源系統が増えたとしても所定の静電容量を確保することができる。
(3)本実施形態では、全ての電源用接続端子領域23がセラミックコンデンサ101の真上の領域内に位置しているため、各電源用接続端子領域23に搭載されるICチップ21は高剛性で熱膨張率が小さいセラミックコンデンサ101によって支持される。よって、上記各電源用接続端子領域23においては、第1ビルドアップ層31が変形しにくくなるため、各電源用接続端子領域23に搭載されるICチップ21をより安定的に支持できる。従って、大きな熱応力に起因するICチップ21のクラックや接続不良を防止することができる。ゆえに、ICチップ21として、熱膨張差による応力(歪)が大きくなり熱応力の影響が大きく、かつ発熱量が大きく使用時の熱衝撃が厳しい10mm角以上の大型のICチップや、脆いとされるLow−k(低誘電率)のICチップを用いることができる。
さらに、本実施形態のセラミックコンデンサ101は3つのコンデンサ機能部107〜109を有するため、各コンデンサ機能部107〜109にてノイズを除去することでICチップ21の各プロセッサコア24〜26へ良好な電源供給を行うことができる。しかも、各プロセッサコア24〜26は各コンデンサ機能部107〜109の真上にそれぞれ配置される。これにより、各プロセッサコア24〜26と各コンデンサ機能部107〜109とを電気的に接続する導通経路が最短となる。ゆえに、各プロセッサコア24〜26に対する電源供給をスムーズに行うことができる。また、ICチップ21とセラミックコンデンサ101との間で侵入するノイズを極めて小さく抑えることができるため、誤動作等の不具合を生じることもなく高い信頼性を得ることができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101はコア基板11内に収容されていた。しかし、上記実施形態のセラミックコンデンサ101よりも薄くしたセラミックコンデンサ191を形成し、そのセラミックコンデンサ191を第1ビルドアップ層192内(例えば図13参照)に収容してもよい。このようにすれば、セラミックコンデンサ101がコア基板11内に収容される場合に比べて、ICチップ21とセラミックコンデンサとを電気的に接続する導通経路(コンデンサ接続配線)が短くなる。これにより、配線のインダクタンス成分の増加が防止されるため、セラミックコンデンサ101によりICチップ21のスイッチングノイズを確実に低減できるとともに、電源電圧の確実な安定化を図ることができる。また、ICチップ21とセラミックコンデンサとの間で侵入するノイズを極めて小さく抑えることができるため、誤動作等の不具合を生じることもなく高い信頼性を得ることができる。なお、薄くしたセラミックコンデンサ191を用いたとしてもセラミックコンデンサ191自体は厚いため、図13では、ビルドアップ層を、上記実施形態よりも多くの樹脂絶縁層(樹脂絶縁層193)からなる第1ビルドアップ層192に具体化している。なお、上記実施形態のセラミックコンデンサ101を、上記実施形態と同じ第1ビルドアップ層31内に収容してもよい。
・上記実施形態のセラミックコンデンサ101は3つのコンデンサ機能部107〜109を有していたが、2つのコンデンサ機能部を有していてもよいし、4つ以上のコンデンサ機能部を有していてもよい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)第1電源用内部電極層とグランド用内部電極層とによって構成される第1コンデンサ機能部、第2電源用内部電極層と前記グランド用内部電極層とによって構成される第2コンデンサ機能部、及び、第3電源用内部電極層と前記グランド用内部電極層とによって構成される第3コンデンサ機能部をその内部に有するコンデンサであって、コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有するとともに、互いに異なる層にて個別に設けられた前記第1電源用内部電極層、前記第2電源用内部電極層及び前記第3電源用内部電極層と、前記グランド用内部電極層とが誘電体層を介して積層配置された構造を有するコンデンサ本体と、前記第1電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された第1電源用ビア導体と、前記第2電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された第2電源用ビア導体と、前記第3電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された第3電源用ビア導体と、前記グランド用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続されたグランド用ビア導体と、前記第1電源用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続された第1電源用電極と、前記第2電源用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続された第2電源用電極と、前記第3電源用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続された第3電源用電極と、前記グランド用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続されたグランド用電極とを備え、前記コンデンサ本体は、前記第1コンデンサ機能部、前記第2コンデンサ機能部及び前記第3コンデンサ機能部が積層配置された構造を有することを特徴とするコンデンサ。
(2)電源用内部電極層とグランド用内部電極層とによって構成されるコンデンサ機能部をその内部に複数有するコンデンサであって、コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有するとともに、互いに異なる層にて個別に設けられた複数の前記電源用内部電極層と前記グランド用内部電極層とが誘電体層を介して積層配置された構造を有するコンデンサ本体と、複数の電源系統ごとに設けられ、同じ電源系統に属する電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された複数の電源用ビア導体と、前記グランド用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続されたグランド用ビア導体と、前記複数の電源系統ごとに設けられ、前記複数の電源用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続された複数の電源用電極と、前記グランド用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続されたグランド用電極とを備え、前記複数の電源用ビア導体及び前記グランド用ビア導体が全体としてアレイ状に配置され、前記コンデンサ本体は、前記コンデンサ機能部が積層配置された構造を有することを特徴とするコンデンサ。
(3)複数の電源系統に対応して機能し、電源用内部電極層とグランド用内部電極層とによって構成されるコンデンサ機能部をその内部に複数有するコンデンサであって、コンデンサ主面及びコンデンサ裏面を有するとともに、前記複数の電源系統に対応し互いに異なる層にて個別に設けられた複数の前記電源用内部電極層と前記グランド用内部電極層とが誘電体層を介して積層配置された構造を有するコンデンサ本体と、前記複数の電源系統ごとに設けられ、同じ電源系統に属する電源用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続された複数の電源用ビア導体と、前記グランド用内部電極層が前記コンデンサ本体内にて接続されたグランド用ビア導体と、前記複数の電源系統ごとに設けられ、前記複数の電源用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続された複数の電源用電極と、前記グランド用ビア導体における少なくとも前記コンデンサ主面側の端部に接続されたグランド用電極とを備えていることを特徴とするコンデンサ。