JP4878418B2 - 燃料電池用膜・電極接合体トリム装置 - Google Patents

燃料電池用膜・電極接合体トリム装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリム中の膜・電極接合体の横ずれを防止するのに好適な燃料電池用膜・電極接合体トリム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水の電気分解の逆の原理を利用し、水素と酸素とを反応させて水を得る過程で電気を得ることができる電池である。一般に、水素に燃料ガスを置き換え、酸素に空気や酸化剤ガスを置き換えるので、燃料ガス、空気、酸化剤ガスの用語を使用することが多い。
【0003】
このような燃料電池としては、例えば、特開2000−123848公報「燃料電池」が知られている。
同公報の図1及び図2を基に作成した次図で燃料電池のセルについて説明する。なお、符号は振り直した。
【0004】
図8は燃料電池のセルの断面図であり、セル100は、電解質膜101の両面に、アノード側電極102とカソード側電極103とを貼り合わせ、これらのアノード側電極102及びカソード側電極103を2枚のセパレータ104,105で挟み込み、セパレータ104に、アノード側電極102へ燃料である水素ガスを供給するための複数の流路溝106を形成し、セパレータ105に、カソード103へ酸化剤である酸素ガスを供給するための複数の流路溝107を形成した構造のものであり、このセル100を多数積層することで、所望の電圧を得る。
ここで、111,112は電解質膜101と各セパレータ104,105との間をシールするためのシール材(ガスケット)である。
【0005】
電解質膜101は、高分子化合物からなる高分子電解質膜(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)である。この電解質膜101を以下PEM101と記す。
また、PEM101、アノード側電極102及びカソード側電極103は、膜・電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)108を構成するものである。この膜・電極接合体108を以下MEA108と記す。
【0006】
上記公報には、MEA108の製造方法は記載されていないが、一般的に、▲1▼最終成形する外形よりも大きく裁断されたPEMの表裏の各面に、このPEMよりも小さい面積のアノード側電極102及びカソード側電極103を圧着し、▲2▼PEMの縁をトリム刃で切断(トリム)して最終成形する方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、MEA108の製造装置を用いて上記製造を試みたが、▲2▼に示したPEMのトリムの際に、図9に示すような課題が発生した。
図9(a),(b)はMEAのトリム装置及びトリム処理の要領を説明する説明図であり、(a)において、載置台121に、両面に電極102,103を貼り合わせたPEM101a(切断後のPEM101と区別するために切断前のPEMの符号を便宜上101aとする。)を載せ、PEM101aの縁を載置台121にクランプ部材122・・・(・・・は複数個を示す。以下同様。)で固定する。
そして、PEM101aの上方から、トリム刃123を取付けたプレス装置124を矢印のように下降させ、トリム刃123でPEM101aを切断する。
【0008】
(b)において、切断が終了したら、矢印のようにプレス装置124を上昇させる。
切断を終了したPEM101及び電極102,103からなるMEA108には、白抜き矢印に示すように横ずれが発生していることがあり、トリムが完了する前に横ずれを起こせば、トリムの精度が悪くなり、燃料電池の品質を損ねる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、燃料電池用膜・電極接合体トリム装置を改良することにより、トリム中の膜・電極接合体の横ずれを防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、高分子電解質膜の両面にこれより小面積のカーボン電極を貼り合わせてなる膜・電極接合体をトリム対象として、前記高分子電解質膜の縁をトリム刃で切断する燃料電池用膜・電極接合体トリム装置において、このトリム装置は、膜・電極接合体を載せるプレス下型と、このプレス下型の上方に配置され下面に前記トリム刃を備えたプレス上型と、このプレス上型に昇降可能に吊され前記トリム刃が前記高分子電解質膜をトリムする際に前記プレス下型へ前記高分子電解質膜を押さえる吸着保持装置で構成し、この吸着保持装置に、一方のカーボン電極を収納してこのカーボン電極の水平方向のずれを防止する凹部を備えると共にこの凹部の底面に前記カーボン電極を吸着させる吸着孔を備えることを特徴とする。
【0011】
高分子電解質膜のトリム中に、吸着手段でカーボン電極を吸着することで、カーボン電極と凹部の底面との間で発生する摩擦力により、カーボン電極、ひいては膜・電極接合体の横ずれを防止することができる。
【0012】
請求項2は、凹部の底面に多孔質板を取付け、この多孔質板を介してカーボン電極を吸着孔で吸着することを特徴とする。
【0013】
凹部内の空気を多孔質板を介して吸着することができ、カーボン電極を吸着装置で局部的に吸着する場合に比べて、多孔質板の全体に分布する孔部によって多孔質板の表面の全体でほぼ均一な吸着力でカーボン電極を吸着することができ、カーボン電極を傷めることがない。
【0014】
また、多孔質板であるから、カーボン電極を吸着したときの多孔質板とカーボン電極との間の摩擦力を大きくすることができ、カーボン電極の横ずれ防止効果をより一層高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体トリム装置の断面図であり、膜・電極接合体トリム装置10(以下「MEAトリム装置10」と記す。)は、カーボンペーパーからなるカーボン電極11,12を各面に圧着した高分子電解質膜13a(以下「PEM13a」と記す。後述する切断後のPEM13と区別するために、切断前のPEMをこのようにPEM13aとする。)を載せるプレス下型としてのトリム下型14と、上記のPEM13aの縁を切り取る、即ちトリムを行うトリム刃15を備えたプレス上型としてのトリム上型16と、カーボン電極12及びPEM13aを吸着・保持するためにトリム上型16に連結した吸着保持装置17と、トリム上型16を下降させるシリンダ装置18とからなる。
2枚のカーボン電極11,12は、同一のものであるが、便宜上、符号を別にした。
【0016】
トリム下型14は、PEM13aの位置決め部を兼ねる載置部21と、この載置部21を支持する下型支持部22と、PEM13aの周縁部を吸着する下型用吸着部23とからなる。
【0017】
載置部21は、下部支持部22の底部22aに設けた下部受け部材25と、この下部受け部材25の上方に配置することでPEM13aを載せる上部受け部材26とからなり、この上部受け部材26の中央部にカーボン電極11の位置決めを行うための位置決め収納部27を設け、下部受け部材25の上部で且つ位置決め収納部27の下方に樹脂板28を配置したものである。
【0018】
下部受け部材25は、材質をポリウレタン等のフォーム状弾性体とし、上部受け部材26は、材質をPET(ポリエチレンテレフタレート)材等の軟質材としたものである。樹脂板28は、カーボン電極11が下部受け部材25に接触しないようにして、下部受け部材25に金属イオンが付着していた場合に、金属イオンがカーボン電極11に付着しないようにするための部材である。
【0019】
もし、カーボン電極11に金属イオンが付着すると、この金属イオンと電子とが結合し、カーボン電極11に金属が析出する。これにより、析出した金属が水素と酸素との反応を妨げ、燃料電池の性能を低下させることがある。
【0020】
下型用吸着部23は、載置部21に開けた吸着孔31・・・と、この吸着孔31・・・にそれぞれジョイント32・・・を介して連結させた連結管33・・・とからなり、これらの連結管33・・・を図示せぬ吸引装置に接続することで、吸着孔31・・・から空気を吸引し、PEM13aを吸着するものである。
【0021】
トリム刃15は、平面視略矩形状のものであり、カーボン電極11,12より外側のPEM13aの周縁部を切り落とす部材である。
トリム上型16は、トリム刃15と、このトリム刃15を固定するトリム刃固定部35とからなる。
【0022】
吸着保持装置17は、PEM13aのトリム時にPEM13aを押えて位置決めしたり、PEM13aのトリム後の搬送時に横ずれを防止するために、トリム刃固定部35にロッド36・・・を介して連結するとともにトリム刃固定部35との間にスプリング37を介在させて下方に押圧するようにしたものであり、トリム時にPEM13aを押える押え部41と、この押え部41の内側に設けた第1凹部42と、この第1凹部42内に配置した多孔質材からなるパッド43と、このパッド43を介してカーボン電極12を吸着する上型用第1吸着部44と、上記した押え部41の位置でPEM13aを吸着する上型用第2吸着部45とからなる。なお、17a・・・はロッド36・・・をガイドするためにトリム刃固定部35に設けたガイド孔、17b・・・は連結管48,52・・・を通すための通孔、43aはカーボン電極12を収納するためにパッド43の下部に設けた第2凹部である。
第1凹部42は、パッド43を介してカーボン電極12を収納する部分である。
【0023】
パッド43は、多孔質樹脂材料であり、通気性を有するもので、しかも上記したトリム下型14の樹脂板28と同様に、カーボン電極12に金属イオンが付着しないようにするためのものでもある。
【0024】
上型用第1吸着部44は、第1凹部42の底面42aに開けた吸着孔47と、この吸着孔47にジョイント32を介して連結させた連結管48とからなり、この連結管48を図示せぬ吸引装置に接続することで、第1凹部42内の空気をパッド43及び吸着孔47を通じて吸引し、カーボン電極12を吸着するものである。
【0025】
上型用第2吸着部45は、押え部41に開けた吸着孔51・・・と、これらの吸着孔51・・・にそれぞれジョイント32・・・を介して連結させた連結管52・・・とからなり、これらの連結管52・・・を図示せぬ吸引装置に接続することで、吸着孔51・・・から空気を吸引し、PEM13aを吸着するものである。
【0026】
シリンダ装置18は、シリンダ本体61と、このシリンダ本体61に移動可能に収納した図示せぬピストンと、このピストンに取付けたピストンロッド62と、このピストンロッド62の下端に取付けた押圧部63とからなる。
【0027】
以上に述べたMEAトリム装置10によるMEAのトリム処理を含む燃料電池セルの製造の要領を次に説明する。
図2は本発明に係るMEAトリム装置によるトリム処理を含む燃料電池セルの製造の流れを説明するフローである。なお、ST××はステップ番号を示す。
ST01…カーボン電極を貼り付けたPEMをトリム下型に載置する。
ST02…PEMを位置決めする。
ST03…PEMをトリムし、MEAを造る。
【0028】
ST04…MEAを積層ステーションに搬送する。
ST05…セパレータにシール材を塗布する。
ST06…シール材を塗布したセパレータとMEAとを積層し、セルを造る。
そして、このセルを複数積層することで所望電圧の燃料電池ができあがる。
上記したST01〜ST03の各工程を以下で詳述する。
【0029】
図3(a)〜(c)は本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第1作用図であり、(a),(b)は平面図、(c)は(b)のc−c線断面図である。
まず、(a)において、トリム下型14の載置部21にカーボン電極11,12(カーボン電極11はPEM13aの奥側)を貼り付けたPEM13aを載せる。
【0030】
(b)及び(c)において、載置部21の位置決め収納部27の2つの側壁27a,27bにカーボン電極11の二辺を当てて、載置部21に対するカーボン電極11の位置決めを行う。これにより、載置部21に対するPEM13aの位置決めを行うことができる。((b)では説明の都合上、カーボン電極12は図示していない。)
【0031】
図4(a),(b)は本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第2作用図である。
載置部21に対するPEM13aの位置決めを行った後に、図1の状態から、図4(a)において、下型用吸着部23でPEM13aの周縁部の吸着を開始し、この吸着の状態で、シリンダ装置18を作動させ、このシリンダ装置18の押圧部63を下降させて、トリム上型16のトリム刃固定部35を下方へ押し下げる。
これにより、カーボン電極12を第2凹部43a内に収納するとともに、吸着保持装置17の押え部41でスプリング37の弾性力によりPEM13aを押え付け、この後に、トリム刃15でPEM13aの周縁部を切断する。
【0032】
PEM13aの周縁部を切断中及び切断後は、上型用第1吸着部44でカーボン電極12を吸着するとともに、上型用第2吸着部45でPEM13aを吸着する。
このとき、カーボン電極12をパッド43を介して上型用第1吸着部44で吸着すると、カーボン電極12の上面には、矢印Nで示す吸着による力(この力を力Nとする。)が作用し、この状態でカーボン電極12がパッド43の表面を横ずれしようとすると、カーボン電極12とパッド43との間に力Nによって矢印F1又は矢印F2で示す摩擦力F1又は摩擦力F2が発生する。
【0033】
即ち、パッド43に対してカーボン電極12が図の右方に横ずれしようとすれば摩擦力F1が発生し、カーボン電極12が左方に横ずれしようとすれば、摩擦力F2が発生するというように、カーボン電極12の移動方向と反対の方向に摩擦力が発生する。
このように、上記した摩擦力F1又は摩擦力F2によって、トリム中のカーボン電極12の横ずれを防止することができる。
【0034】
この後、(b)において、シリンダ装置18の押圧部63を上昇させ、トリム上型16を上昇させる。上型用第1吸着部44及び上型用第2吸着部45では、カーボン電極12及びPEM13の吸着を継続し、図示せぬ積層ステーションへ搬送する。
【0035】
PEM13aを切断して不用になった枠状部材13bは、下型用吸着部23での吸着を止めてトリム下型14から取除く。
ここでは、周縁部を切断したPEM13及びカーボン電極11,12の接合体を膜・電極接合体65、即ちMEA65とする。なお、周縁部を切断する前のMEAをMEA65と区別するためにMEA65aとする。
【0036】
以上の図4(a),(b)で説明したように、本発明は第1に、PEM13aの両面にこれより小面積のカーボン電極11,12を貼り合わせてなるMEA65aをトリム対象として、PEM13aの縁をトリム刃15で切断する燃料電池用MEAトリム装置10において、このトリム装置10は、MEA65aを載せるトリム下型14と、トリム刃15を備えたトリム上型16とで構成し、このトリム上型16にカーボン電極12を収納する第1凹部42及び収納したカーボン電極12をパッド43を介して第1凹部42の底面42aに吸着させる上型用第1吸着部44を備え、トリム中に、MEA65aの横ずれを防止できるようにしたことを特徴とする。
【0037】
PEM13aのトリム中に、上型用第1吸着部44でカーボン電極12を吸着することで、カーボン電極12とパッド43との間で発生する摩擦力F1又は摩擦力F2により、カーボン電極12、ひいてはMEA65aの横ずれを防止することができる。従って、トリム精度を高めることができ、燃料電池の品質を向上させることができる。
【0038】
また、例えば、このMEAトリム装置10でMEA65aの横ずれが防止できれば、このトリム工程から次の工程、例えばMEA65をセパレータと積層する積層工程にMEA65を搬送する場合に、MEAトリム装置10から所定距離離れた積層ステーションまで、その距離を精度よく移動するように制御することで、積層ステーションで特に位置決めを行わなくても積層ステーションでのMEA65の位置決めを精度よく行うことができる。
【0039】
本発明は第2に、第1凹部42の底面42aにパッド43を取付け、このパッド43を用いてカーボン電極12を吸着することを特徴とする。
【0040】
第1凹部42内の空気をパッド43を介して吸着することができ、カーボン電極12を吸着装置で局部的に吸着する場合に比べて、パッド43の全体に分布する孔部によってパッド43の表面の全体でほぼ均一な吸着力でカーボン電極12を吸着することができ、カーボン電極12を傷めることがない。
【0041】
また、パッド43は多孔質材料であるから、カーボン電極12を吸着したときのパッド43とカーボン電極12との間の摩擦力を大きくすることができ、カーボン電極12の横ずれ防止効果をより一層高めることができる。
【0042】
図5は本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第3作用図であり、PEM13aを示す平面図において、想像線67で示す位置を図4(a)に示したトリム刃15で切断することを示す。
上記切断位置は、カーボン電極11,12(奥側のカーボン電極11は不図示)の輪郭よりも外側の部分である。
【0043】
図6は本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第4作用図である。
PEM13aの周縁部を切断する場合、トリム刃15の刃先15aに、例えばうねりが生じていても、トリム下型14の上部受け部材26が軟質材であるために、トリム刃15の刃先15aが上部受け部材26に食い込み、刃先15aのうねりの最上部、例えば点AをPEM13aの下面よりも下位にすることができ、刃先15aの全体でPEM13aを切断することができる。
従って、比較的小荷重でもPEM13aを確実に切断することができる。
【0044】
図7(a),(b)は本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第5作用図である。
(a)において、例えば、トリム下型14の載置部21の上面(上部受け部材26の上面)に対して、トリム上型16のトリム刃15の刃先15aが角度θだけ傾き、且つ刃先15aが直線的である場合、即ち載置部21とトリム刃15の刃先15aとの平行度が大きい場合に、(b)に示すように、PEM13aを切断するときに、弾性体である下部受け部材25の圧縮が部分的に大きくなって上部受け部材26の上面がトリム刃15の刃先15aに倣い、PEM13aの上面が刃先15aにほぼ平行になって、刃先15aがPEM13aの全面に当たるようになる。従って、PEM13aを小荷重で確実に切断することができる。
【0045】
尚、本発明では、凹部の底面に多孔質板を取付けたが、これに限らず、多孔質板の代わりに、樹脂製板材の吸着手段側の面に凹状の空気溜まりを設け、この空気溜まりから電極側の面へ通じる複数の小孔を開け、この樹脂製板材をプレス上型の凹部の底面に取付けてもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の燃料電池用膜・電極接合体トリム装置は、膜・電極接合体を載せるプレス下型と、トリム刃を備えたプレス上型とで構成し、このプレス上型に一方のカーボン電極を収納する凹部及び収納したカーボン電極を凹部の底面に吸着させる吸着手段を備えたので、高分子電解質膜のトリム中に、吸着手段でカーボン電極を吸着することで、カーボン電極と凹部の底面との間で発生する摩擦力により、カーボン電極、ひいては膜・電極接合体の横ずれを防止することができる。従って、トリム精度を高めることができ、燃料電池の品質を向上させることができる。
【0047】
請求項2の燃料電池用膜・電極接合体トリム装置は、凹部の底面に多孔質板を取付け、この多孔質板を用いて前記カーボン電極を吸着するので、凹部内の空気を多孔質板を介して吸着することができ、カーボン電極を吸着装置で局部的に吸着する場合に比べて、多孔質板の全体に分布する孔部によって多孔質板の表面の全体でほぼ均一な吸着力でカーボン電極を吸着することができ、カーボン電極を傷めることがない。
【0048】
また、多孔質板であるから、カーボン電極を吸着したときの多孔質板とカーボン電極との間の摩擦力を大きくすることができ、カーボン電極の横ずれ防止効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池用膜・電極接合体トリム装置の断面図
【図2】本発明に係るMEAトリム装置によるトリム処理を含む燃料電池セルの製造の流れを説明するフロー
【図3】本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第1作用図
【図4】本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第2作用図
【図5】本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第3作用図
【図6】本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第4作用図
【図7】本発明に係るMEAトリム装置の作用を説明する第5作用図
【図8】燃料電池のセルの断面図
【図9】膜・電極接合体のトリム装置及びトリム処理の要領を説明する説明図
【符号の説明】
10…膜・電極接合体トリム装置、11,12…カーボン電極、13…高分子電解質膜、14…プレス下型(トリム下型)、15…トリム刃、16…プレス上型(トリム上型)、42…凹部(第1凹部)、42a…凹部の底面、43…多孔質板(パッド)、44…吸着手段(上型用第1吸着部)、65…膜・電極接合体。

Claims (2)

  1. 高分子電解質膜(13a)の両面にこれより小面積のカーボン電極(11、12)を貼り合わせてなる膜・電極接合体(65a)をトリム対象として、前記高分子電解質膜(13a)の縁をトリム刃(15)で切断する燃料電池用膜・電極接合体トリム装置(10)において、
    このトリム装置(10)は、膜・電極接合体(65a)を載せるプレス下型(14)と、このプレス下型(14)の上方に配置され下面に前記トリム刃(15)を備えたプレス上型(16)と、このプレス上型(16)に昇降可能に吊され前記トリム刃(15)が前記高分子電解質膜(13a)をトリムする際に前記プレス下型(14)へ前記高分子電解質膜(13a)を押さえる吸着保持装置(17)で構成し、
    この吸着保持装置(17)に、一方のカーボン電極を収納してこのカーボン電極(12)の水平方向のずれを防止する凹部(42)を備えると共にこの凹部(42)の底面に前記カーボン電極(12)を吸着させる吸着孔(47)を備えることを特徴とする燃料電池用膜・電極接合体トリム装置。
  2. 前記凹部(42)の底面に多孔質板(43)を取付け、この多孔質板(43)介して前記カーボン電極(12)前記吸着孔(47)で吸着することを特徴とする請求項1記載の燃料電池用膜・電極接合体トリム装置。
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