JP2008269810A - 燃料電池セルの製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス拡散層などが、プレス型に張り付くことを防止する。
【解決手段】複数枚のMEA用基材を組み付けてからプレス型により熱圧プレスして膜−電極アッセンブリを作製する燃料電池セルの製造装置において、プレス型にMEA用基材が張り付くのを防止するようにした。例えば、プレス型(プレス上型52や、プレス下型42’)に対して、プレス面52PにMEA用基材が張り付くのを防止する表面処理等を施すことが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池セルの製造方法および製造装置に関する。
環境問題や資源問題への対策の一つとして、酸素や空気等の酸化性ガスと、水素やメタン等の還元性ガス(燃料ガス)あるいはメタノール等の液体燃料等とを原料として電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換して発電する燃料電池が注目されている。
一般的に、固体高分子電解質型燃料電池などの燃料電池は、膜−電極アッセンブリ(MEA:Membrane-Electrode Assembly)をセパレータで挟んで構成した燃料電池セルを、複数個積層して構成される。燃料電池セルにおける膜−電極アッセンブリは、高分子イオン交換膜からなる高分子電解質膜の両側に、それぞれ水素極(アノード極)及び空気極(カソード極)を対設した構造をとる。水素極(アノード極)及び空気極(カソード極)は、それぞれ、高分子電解質膜上に形成された触媒層と、さらにその上に形成されたガス拡散層とからなる。すなわち、膜−電極アッセンブリは、高分子電解質膜を触媒層で挟み、さらにガス拡散層で挟んで一体化した構成となっている。
ところで、このような構成の燃料電池セルの製造方法については、例えば下記特許文献1に記載のものがある。特許文献1には、保護シートと共にシート状に展開して燃料電池セルの製造装置に供給される電解質膜の少なくとも一方の縁部分に搬送ローラの送り突起に順次係合する搬送穴を設ける一方、同じく燃料電池セルの製造装置に供給されるガス拡散層(若しくは、セパレータ)を搬送する搬送フィルムにも、搬送ローラの送り突起に順次係合する搬送穴を設け、両搬送穴を基準として、ガス拡散層(若しくは、セパレータ)とMEAフィルム(例えば、電解質膜の両面に触媒層を有するフィルム)とを位置決めして組付け、接合させる、といった技術が開示されている。
また、上記のMEAフィルムにガス拡散層を接合するにあたり、例えばホットプレスのような加熱したプレス用プレートを用い、ガス拡散層が組み付けられたMEAフィルムを挟んでプレスし、ガス拡散層を接合させる技術が適用されている。
特開2005−183182号公報
しかしながら、上記従来技術においては、プレス用プレートが加熱されているため、MEAフィルム(電解質膜)やガス拡散層がプレス用プレートに張り付いてしまい、MEAフィルム(電解質膜)の破損やガス拡散層の撥水ペーストの剥離が生じ得る可能性がある。また、ガス拡散層などがプレス用プレートに張り付くことで、その張り付いたものを取り除くのに余計な作業時間を要する等、生産性が低下するといった問題が生じる。
本発明の目的は、上記問題点を解消し、生産性低下を抑制可能な燃料電池セルの製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明は、複数枚のMEA用基材を組み付けてからプレス型により熱圧プレスして膜−電極アッセンブリを作製する燃料電池セルの製造装置において、前記プレス型は、プレス面にMEA用基材が張り付くのを防止する構成を有するようにしたことを特徴とするものである。
ここで、前記プレス型に対し、プレス面にMEA用基材が張り付くのを防止する表面処理を施すと良い。
また、前記プレス型に、プレス面を湾曲させる手段を備えると良い。
また、前記プレス型に、プレス面からエアを噴出させる手段を備えると良い。
本発明によれば、ガス拡散層などがプレス用プレートに張り付くことを防止できる。したがって、この張り付きによる生産性低下を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態における燃料電池セルの製造装置の構成の一例を示す概略図である。以下、本実施形態における燃料電池セルの製造装置1の構成および動作について説明する。
燃料電池セルの製造装置1は、基材セット台10、搬送手段20、基材位置検出手段30、位置決め積層ステージ40、熱圧プレス手段50、接合体取出ステージ60を有する構成となっている。また、搬送手段20、基材位置検出手段30、熱圧プレス手段50などの各部は、制御装置(図示せず)によって動作制御される。
基材セット台10は、作業者Mが、燃料電池セル1個分のMEA用基材、すなわち、両面に触媒層を有する電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)と、正極ガス拡散層と、負極ガス拡散層と、をラフに位置決めしながら重ねてセットするための台である。作業者Mは、例えば、正極ガス拡散層、電解質膜、負極ガス拡散層の順に、基材セット台10上に1枚ずつ積層した状態でセットする。
搬送手段20は、例えば、上記の各MEA用基材を吸着により保持可能な吸着ハンド22を先端に有したロボットアーム等による。この吸着ハンド22は、例えばガイドレール26に沿って搬送手段本体部24を図1のY軸方向に移動制御することで、図1のY軸方向に往復移動可能となっている。また、例えば搬送手段本体部24と吸着ハンド22とを連結するアーム部23にピストン構造を適用することにより、図1のX軸方向にも往復移動可能となっている。さらに、アーム部23と吸着ハンド22との連結部25にも、作業者Mから見て上下方向(Z軸方向)に伸縮可能なピストン構造を適用することによって、吸着ハンド22は図1のZ軸方向にも往復移動可能となっている。こうして搬送手段20における吸着ハンド22は、XYZ方向に自在に移動可能な構成となっている。このような構成の搬送手段20は、基材セット台10にセットされた燃料電池セル1個分のMEA用基材を、吸着ハンド22により吸着して保持し、基材セット台10から基材位置検出手段30や位置決め積層ステージ40へと1枚ずつ搬送する。
基材位置検出手段30は、搬送手段20の吸着ハンド22に保持された各MEA用基材の位置を検出するための画像処理装置(図示せず)を有する手段である。基材位置検出手段30は、搬送手段20によるMEA用基材の搬送の度に、画像処理装置により得られた画像を用いて吸着ハンド22に保持される各MEA用基材の位置を検出し、得られたMEA用基材の位置情報を制御装置に出力する。
そして制御装置は、搬送中のMEA用基材の位置情報に基づいて搬送手段20を制御し、吸着ハンド22に保持される搬送中のMEA用基材を、ズレ補正しながら精度良く位置決めしながら位置決め積層ステージ40に搬送、載置する。
こうして基材セット台10にラフにセットされた燃料電池セル1個分のMEA用基材(電解質膜、正極ガス拡散層および負極ガス拡散層)は、それぞれ位置決め積層ステージ40に精度良く位置決めされて積層される。例えば、基材セット台10上に、正極ガス拡散層、電解質膜、負極ガス拡散層の順にラフにセットされた場合、上記のような搬送手段20および基材位置検出手段30の動作によって、負極ガス拡散層、電解質膜、正極ガス拡散層の順に、精度良く位置決めされた状態で、位置決め積層ステージ40に搬送され、順に積層される。
位置決め積層ステージ40は、上記のように精度良く位置決めされた状態で燃料電池セル1個分のMEA用基材が積層されるステージである。また、位置決め積層ステージ40は、熱圧プレス手段50との間を往復移動可能な可動式のプレス面盤42を有するステージとなっている。このプレス面盤42は、例えばスライダー(図示せず)によって位置決め積層ステージ40と熱圧プレス手段50との間を往復移動可能になっている。このプレス面盤42の往復移動は、制御装置によって制御される。こうして、プレス面盤42上に位置決めして積層された燃料電池セル1個分のMEA用基材は、プレス面盤42の移動に伴い、熱圧プレス手段50のプレス位置に搬送される(図1中の点線で示す符号42’の状態になる)。
熱圧プレス手段50は、積層された燃料電池セル1個分のMEA用基材を上下方向に熱圧プレスしてMEAを作製する手段である。上記のように位置決めして積層された燃料電池セル1個分のMEA用基材が搬送されてくると、熱圧プレス手段50は、その燃料電池セル1個分のMEA用基材を、上下方向から挟んで熱圧プレスして熱接合する。具体的には、プレス面盤42がプレス下型の役割を果たしつつ、熱圧プレス手段50に備えられたプレス上型が下降することで、熱圧プレスが行われる。こうして、電解質膜を正極ガス拡散層および負極ガス拡散層が挟んだ状態で互いに熱接合されたMEAが作製される。そして、MEAが作製されると、プレス位置にあるプレス面盤42’は、位置決め積層ステージ40に移動し(符号42の状態になり)、これに伴い作製されたMEAも熱圧プレス手段50から位置決め積層ステージ40に搬出される。
接合体取出ステージ60は、熱圧プレス手段50から搬出されたMEAを取り出すためのステージである。上記のように位置決め積層ステージ40に搬出されたMEAは、例えば上記の搬送手段20により吸着ハンド22で保持されて接合体取出ステージ60に搬送される。これにより、作業者Mは、接合体取出ステージ60でMEAを取り出すことが可能となる。そして、このMEAに対し、後の工程でセパレータを挟んで接合し、1個の燃料電池セルが完成する。
ここで、本実施形態における熱圧プレス手段50には、MEA用基材がプレス型に張り付いてしまうのを防止する種々の張り付き防止技術が適用されている。以下、この技術について図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態における熱圧プレス手段50の構成の一例を示す図である。ここで、本実施形態では、上述の如く、図1におけるプレス面盤42がプレス下型の役割を果たすものであり、プレス面盤42がプレス位置に移動して符号42’の状態になってから、熱圧プレス手段50に備えられたプレス上型52が下降することで、熱圧プレスが行われる(図2(a)参照)。
ここで、図2(b)に示すように、熱圧プレス手段50におけるプレス上型52の表面(プレス面)52Pの内、ガス拡散層72と接触する面72Pには、ガス拡散層72表面の撥水ペーストがプレス面52Pにくっつかないよう表面処理が施されている。例えば、耐摩耗性および耐食性を有する硬質クロムめっきが施されている。また、このガス拡散層72と接触する面72Pには、面粗さにより撥水ペーストがくっつかないよう、鏡面仕上げが施されている。なお、この表面処理および鏡面仕上げ処理は、プレス下型の役割を果たすプレス面盤42’の上面にも同様に施されている。
また、電解質膜74は一般的にガス拡散層72よりも大きいため、電解質膜74(特に、上下のガス拡散層72からはみ出した電解質膜74の外縁部分)がプレス面52Pに直接接触する。このとき、電解質膜74は100℃以上で軟化するため、プレス面52Pとの接触部分でくっついてしまう。そこで、図2(b)に示すように、プレス面52Pの内の電解質膜74と接触する面74Pには、これを防止するための表面処理が施されている。例えば、フッ素系コーティング(例えばPTFEコーティング)などが施されている。なお、この表面処理は、プレス下型の役割を果たすプレス面盤42’の上面にも同様に施されている。
以上のような構成により、熱圧プレスにより作製されるMEA70のプレス上型52ならびにプレス下型(本実施形態では、プレス面盤42’)への張り付きを防止することが可能となる。
ところで、熱圧プレスが行われた後に面盤開放を行うと、ガス拡散層72の表面がポーラス構造のため、吸盤効果により、プレスにより作製されたMEA70が、例えばプレス上型52に張り付いてしまうといったことも起こり得る(図3参照)。そこで、熱圧プレス手段50は、以下のような構成とするのが好ましい。
本実施形態では、例えば図4に示すように、プレス上型52におけるプレス面52Pに弾性プレート(例えばステンレス薄板など)54を接触させて配置しておき(図4の点線で示す状態)、この弾性プレート54の対向する両端には、弾性プレート54内側へプレートを押圧してプレート中央部を下方に凸状に変形させるアクチュエータ(図示せず)が取り付けられている。アクチュエータによる押圧方向は図4の矢印で示され、この押圧により、弾性プレート54は図4の太線で示す状態に変形する。そして、熱圧プレス終了時に面盤開放を行った際、プレス上型52を上昇させつつ、アクチュエータを制御してプレート中央部を下方に凸状に変形させることで、MEA70はプレス上型52のプレス面52Pから剥離されるため、プレス上型52へのMEA70の張り付きを防止することができる。
また、例えば図5に示すように、プレス上型52におけるプレス面52Pに多孔質プレート(例えばポーラスメタルプレートなど)56を埋設しておき、この多孔質プレート56に通気管58を介してエア供給手段(図示せず)を接続する。また、プレス面52Pには、多数の細孔を形成しておく。そして、熱圧プレス終了時に面盤開放を行った際、プレス上型52を上昇させつつ、図中矢印に示すようにエア供給手段から多孔質プレート56にエアを吹き込むことで、エアは多孔質プレート56内を通ってプレス面52Pの細孔から噴出する。これにより、MEA70はエアの圧力によってプレス上型52のプレス面52Pから剥離されるため、プレス上型52へのMEA70の張り付きを防止することができる。
ここで、本実施形態のように多孔質プレート56を用いる代わりに、プレス上型52の内部にエア供給手段からのエアを通す空間を形成した構成としても、上記と同様の効果を得ることは可能である。しかしながら、プレス圧を受けるための剛性付与、および加熱時のプレス上型52(あるいはプレス面52P)における均熱化、という点からみれば、多孔質プレート56を用いるのがより有効である。
なお、図4及び図5では、プレス上型52について張り付き防止技術が適用されたものについて説明したが、これに限定されるものではなく、プレス下型(上記の実施形態のようなタイプの製造装置では、プレス面盤42’)についても同様の技術を適用するのが好適である。これは、熱圧プレス後の面盤開放時に、吸盤効果により、プレスにより作製されたMEA70がプレス下型に張り付いてしまうといったことも起こり得るからである。
また、図4や図5の構成を有するプレス面52Pの表面に、図2(b)に示すような表面処理を施しても良いのは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る燃料電池セルの製造装置の構成の一例を示す概略図である。 図1の燃料電池セルの製造装置における熱圧プレス手段の構成の一例を示す図であり、図2(a)は主要部の構成図、図2(b)はプレス面の構成図である。 熱圧プレス後の面盤開放時に、熱圧プレスにより作製されたMEAがプレス上型に張り付いた状態を示す図である。 図1の燃料電池セルの製造装置における熱圧プレス手段の構成の他の例を示す図である。 図1の燃料電池セルの製造装置における熱圧プレス手段の構成の他の例を示す図である。
符号の説明
1 燃料電池セルの製造装置、10 基材セット台、20 搬送手段、22 吸着ハンド、23 アーム部、24 搬送手段本体部、25 連結部、26 ガイドレール、30 基材位置検出手段、40 位置決め積層ステージ、42,42’ プレス面盤、50 熱圧プレス手段、52 プレス上型、52P プレス面、60 接合体取出ステージ、70 MEA、72 ガス拡散層、72P ガス拡散層との接触面、74 電解質膜、74P 電解質膜との接触面。

Claims (8)

  1. 複数枚のMEA用基材を組み付けてからプレス型により熱圧プレスして膜−電極アッセンブリを作製する燃料電池セルの製造装置において、
    前記プレス型は、プレス面にMEA用基材が張り付くのを防止する構成を有することを特徴とする燃料電池セルの製造装置。
  2. 請求項1に記載の燃料電池セルの製造装置において、
    前記プレス型は、プレス面にMEA用基材が張り付くのを防止する表面処理が施されていることを特徴とする燃料電池セルの製造装置。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池セルの製造装置において、
    前記プレス型は、プレス面を湾曲させる手段を備えたことを特徴とする燃料電池セルの製造装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池セルの製造装置において、
    前記プレス型は、プレス面からエアを噴出させる手段を備えたことを特徴とする燃料電池セルの製造装置。
  5. 複数枚のMEA用基材を組み付けてからプレス型により熱圧プレスして膜−電極アッセンブリを作製する燃料電池セルの製造方法において、
    プレス型にMEA用基材が張り付くのを防止して熱圧プレス処理を行う、燃料電池セルの製造方法。
  6. 請求項5に記載の燃料電池セルの製造方法において、
    プレス面に表面処理を施しMEA用基材が張り付くのを防止して、熱圧プレス処理を行う、燃料電池セルの製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の燃料電池セルの製造方法において、
    プレス面を湾曲させることでMEA用基材が張り付くのを防止して、熱圧プレス処理を行う、燃料電池セルの製造方法。
  8. 請求項5から7のいずれか一つに記載の燃料電池セルの製造方法において、
    プレス面からエアを噴出させることでMEA用基材が張り付くのを防止して、熱圧プレス処理を行う、燃料電池セルの製造方法。
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