JP4877884B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを生成して所定の処理を行うプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置やフラットパネルディスプレイの製造において、酸化膜の形成や半導体層の結晶成長、エッチング、またアッシング等の処理を行うために、プラズマ処理装置が多用されている。このプラズマ処理装置の1つに、平行平板型と呼ばれるものがある。以下、従来の平行平板型プラズマ処理装置について、これをエッチング装置に適用した場合を例にして説明する。
【0003】
図10は、かかるエッチング装置の一構成例を示す図である。図10(a)に示すように、このエッチング装置では、気密に閉塞自在な処理容器111の内部が処理室112となっている。処理容器111の底部には、処理室112内を所定の真空度に排気するための排気口113が設けられ、処理容器111の側壁には、処理室112内にプロセスガスを供給するためのガス供給ノズル114が設けられている。
処理室112内には、一対の平行平板電極を構成する上部電極121とサセプター131とが配置されている。上部電極121には、プラズマを生成するための電力を供給する高周波電源124が、給電棒122を介して接続されている。
なお、給電棒122にはマッチャー123が介装されている。
【0004】
一方、サセプター131には、サセプター131と上部電極121との間にバイアスを印加するための電力を供給する高周波電源134が、給電棒132を介して接続されている。なお、給電棒132にはマッチャー133が介装されている。
また、サセプター131の載置面には静電チャック141が設けられている。図10(b)に示すように、静電チャック141は、2枚の絶縁フィルム141A,141B間に導電膜141Cを挟み込んだ構成をしている。静電チャック141の導電膜141Cは、処理容器111の外部に設けられた可変直流高圧電源142に接続されている。さらに、サセプター131の載置面の周縁部には、静電チャック141を囲むように、環状のフォーカスリング143が設けられている。
【0005】
図11は、プラズマバルクPからバイアス用の電源134に至る立体回路の回路図である。この図において、C1 はプラズマバルクPの周囲のイオンシースSHにできる容量、C2 はウェーハW上に形成されたゲート酸化膜にできる容量、C3 はウェーハWと静電チャック141との隙間にできる容量、C4 ,C5 は静電チャック141の絶縁フィルム141A,141Bにできる容量を示している。また、RはウェーハWの抵抗、W′はウェーハW上に形成された素子又は配線を示している。
また、図12は、図11に示した立体回路の各部における電圧変化を示す図である。ここで、図12(a)はマッチャー133の高周波電源134側(図11のa点)の電圧変化、図12(b)はマッチャー133のサセプター131側(図11のb点)の電圧変化、図12(c)はウェーハWの表面であるエッチング面(図11のc点)の電圧変化をそれぞれ示している。
【0006】
プラズマが生成されると、プラズマ内の電子とイオンの移動度の違いにより、イオンシースSHの表面に負の直流電圧Vdcが発生する。この直流電圧Vdcの値は、プロセス条件によっても異なるが、例えば−700V程度となることがある。この場合、バイアス用の電源134から例えば図12(a)に示すように振幅750Vの交流電圧が出力されると、ウェーハWのエッチング面(c点)の電圧は図12(c)に示すように、上記交流電圧に直流電圧Vdcが重畳した電圧となる。
しかし、マッチャー133のサセプター131側(b点)の電圧は、図12(b)に示すように電源134側とほぼ同じであり、マッチャー133の両端間には直流電圧がほとんどかかっていないことが分かる。したがって、直流電圧Vdcのほどんどは、ウェーハWから静電チャック141にかかっていると言える。ここで、ウェーハWの容量C2 は静電チャック141の容量C4 ,C5 と比較して十分小さいので、ウェーハWの表裏には相当大きな電圧がかかっていると言える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ウェーハWの表裏に大きな電位差が発生すると、ウェーハW上に形成されたゲート酸化膜等がダメージを受け、素子が破壊される原因となる。この問題はプラズマ処理装置をエッチング装置に適用した場合に限らず、プラズマ処理装置に共通の問題である。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウェーハW等の基板の表裏にかかる電位差を小さくすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明のプラズマ処理装置は、所定の真空度を維持する容器と、この容器内にプラズマを生成するためのプラズマ源と、容器内に配置されプラズマによる処理がなされる基板が置かれる第1の電極と、この第1の電極における基板が置かれる載置面の周縁部に配置されたフォーカスリングと、プラズマが生成されたときにイオンシースに発生する直流電圧を第1の電極に導く導通手段とを備えたことを特徴とする。プラズマが生成されたときに発生する直流電圧を第1の電極に導くことにより、その直流電圧が基板の表面及び裏面のいずれにも印加されることになるので、基板の両面が同電位となる。
ここで、プラズマ源を、第1の電極と、容器内で第1の電極に対向配置された第2の電極のうち、プラズマを生成する第1の電力が供給される電極で構成してもよい。この場合、いわゆる平行平板型のプラズマ処理装置となる。
【0009】
また、導通手段は、プラズマが生成されたときにプラズマが存在する空間に一端が露出すると共に他端が第1の電極に電気的に接続された導電性を有する部材により構成してもよい。
この場合、フォーカスリングに、前記プラズマが存在する空間と第1の電極とを連通する貫通孔を形成し、この貫通孔に導電性を有する部材を挿入するようにしてもよい。また、第1の電極の側面に延在する絶縁材料で形成されたインシュレータを更に備え、このインシュレーターに、前記プラズマが存在する空間と第1の電極とを連通する貫通孔を形成し、この貫通孔に導電性を有する部材を挿入するようにしてもよい。
また、導電性を有する部材の一端は、基板の材料を主成分とする材料で形成されてもよい。これにより、容器内の汚染を抑制できる。
【0010】
また、導通手段は、フォーカスリングに形成された第1の電極側の面と第2の電極側の面との間を貫通する貫通孔により構成し、この貫通孔に面する第1の電極上の領域は導電性を有するようにしてもよい。
ここで、フォーカスリングに形成された貫通孔に面する第1の電極上の領域は、基板に含まれる材料を主成分とする材料で形成されてもよい。これにより、容器内の汚染を抑制できる。
【0011】
また、フォーカスリングは、導体で形成され、導通手段は、フォーカスリングと第1の電極とが電気的に接続されることにより構成してもよい。
ここで、フォーカスリングと第1の電極との間に、直流電圧の透過量を調整するフィルタを介在させてもよい。このフィルタを調整することにより、フォーカスリングに印加された直流電圧の値を所望の値に調整して、基板の裏面に与えることができる。
また、第2の電力を第1の電極に供給する電源を更に備え、フィルタは、第2の電力の通過位相を調整して、第2の電力の位相を基板とフォーカスリングとの間で一致させる機能を有していてもよい。これにより、第1及び第2の電極間の全域に均一なバイアスを印加することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ここでは、本発明によるプラズマ装置をエッチング装置に適用した場合を例にして説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態であるエッチング装置の構成を示す図である。また、図2は、このエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。
【0013】
図1(a)に示すように、このエッチング装置では、気密に閉塞自在な円筒形状の処理容器11の内部が処理室12となっている。処理容器12はアルミニウム等の導電材料で形成され、接地されている。処理容器11の底部には、真空ポンプ(図示せず)に通ずる排気口13が設けられており、処理室11内を所望の真空度にすることができる。また、処理容器11の側壁には、処理室12内にAr,O2 ,C48等のプロセスガスを供給するガス供給ノズル14が設けられている。
処理室12内には、一対の平行平板電極を構成する第1の電極としてのサセプター31と、第2の電極としての上部電極21とが対向配置されている。サセプター31及び上部電極21は、例えばアルミニウムで形成されている。
【0014】
上部電極21には給電棒22を介して高周波電源24が接続されている。この高周波電源24は、処理室12内にプラズマを生成するための第1の電力を供給する電源であり、周波数が10MHz以上で電力値が数kW程度の電力を出力するものであればよい。ここでは周波数が60MHz、電力値が2kWの電力を出力するものとする。また、給電棒22の途中には、高周波電源24と上部電極21とのインピーダンスを整合させるマッチャー23が介装されている。
【0015】
一方、サセプター31には給電棒32を介して高周波電源34が接続されている。この高周波電源34は、サセプター31と上部電極21との間にバイアスを印加するための第2の電力を供給する電源である。この第2の電力は、プラズマ励起用の第1の電力の周波数よりも実質的に低い周波数で、電力値が数kW程度であればよい。ここでは周波数が2MHz、電力値が1.5kWの電力であるとする。また、給電棒32の途中には、高周波電源34とサセプター31とのインピーダンスを整合させるマッチャー33が介装されている。マッチャー23,33は例えば可変コンデンサで構成される。
【0016】
サセプター31は、図2に示すように、セラミック等の絶縁材料で形成されたインシュレーター44を介して、処理容器11の底部に固定されている。このインシュレータ44をサセプター31の側部に延在させることにより、サセプター31の側方にプラズマが存在できる空間が小さくなるので、上部電極21とサセプター31との間の空間に効率よくプラズマを生成できる。
【0017】
また、サセプター31の載置面には静電チャック41が設けられている。図1(b)に示すように、静電チャック41は例えば、2枚の高分子ポリイミドフィルム41A,41B間に、銅箔等の導電膜41Cを絶縁状態で挟み込んだ構成をしている。静電チャック41の導電膜41Cは、処理容器11の外部に設けられた可変直流高圧電源42に接続されている。この電源42から導電膜41Cに高電圧を印加することにより、静電チャック41の上面にウェーハ(基板)Wを静電力で吸着保持することが可能となる。
【0018】
図2に示すように、サセプター31の載置面の周縁部には、静電チャック41を囲むように、環状のフォーカスリング43が配置されている。フォーカスリング43は、ウェーハWが載置されたときに、ウェーハWの上面がフォーカスリング43の上面と同じ高さになるように形成されている。プラズマはウェーハWのエッジに集中する傾向にあるが、フォーカスリング43をウェーハWと見立てることで、プラズマがウェーハWのエッジに集中することを抑制し、ウェーハWの全域でプラズマをより均一に分布させることができる。フォーカスリング43は、処理室12内を汚染しないように、ウェーハWの材料を主成分とする材料で形成される。例えばウェーハWがSiウェーハである場合、フォーカスリング43はSi,SiO2 等で形成される。なお、フォーカスリング43は導電性の有無を問わない。
【0019】
フォーカスリング43には、その上面と下面との間を貫通するネジ穴(貫通孔)が形成され、このネジ穴に対応するサセプター31上の位置にもネジ穴が形成されている。これらのネジ穴にネジ45を通すことにより、フォーカスリング43はサセプター31に固定される。
ネジ45についても、フォーカスリング43と同様に、処理室12内を汚染しない材料で形成する必要がある。したがって、例えばウェーハWがSiウェーハである場合には、Siにドープして導電性をもたせたものが使用される。あるいは、金属製のネジの表面をSiで覆ったものを使用してもよい。少なくとも、プラズマと接触するネジ頭(ネジ45の一端)が、ウェーハWの材料を主成分とする材料で形成されていればよい。
【0020】
次に、図1,図2に示したエッチング装置の動作について簡単に説明する。
まず、ウェーハWを静電チャック41上に固定した状態で、処理室12内を2.7Pa程度の真空度にする。この真空度を維持しつつ、ガス供給ノズル14から処理室12内に、Ar,O2 ,C48をそれぞれ400sccm,10sccm,8sccm,の流量で導入する。
この状態でプラズマ励起用の電源24から周波数が60MHz、電力値が2kWの電力を上部電極21に供給すると、上部電極21とサセプター31との間の空間で放電が起こり、この放電によりAr,O2 が電離してプラズマが生成される。
【0021】
そして、バイアス用の電源34から周波数が2MHz、電力値が1.5kWの電力(電圧振幅750V)をサセプター31に供給して、上部電極21とサセプター31との間にバイアスを印加することにより、プラズマのエネルギー及び異方性を制御しつつ、ウェーハWをエッチングをすることができる。
一方、サセプター31及び上部電極21の電位はプラズマバルクPの電位よりも低いので、サセプター31及び上部電極21はプラズマバルクP中のイオンを引き寄せて電子を引き離すように作用する。この結果、プラズマバルクPの周縁に電界を伴ったイオンの層ができる。この層をイオンシースSHという。このとき、イオンシースSHの表面に、−700V程度の直流電圧Vdcが発生する。
【0022】
図3は、プラズマバルクPからバイアス用の電源34に至る立体回路の回路図である。この図では、図11に相当する部分を同一符号で示している。図3が図11と異なるのは、直流電圧Vdcをサセプター31に導く導通手段を有しているところである。この導通手段は、フォーカスリング43をサセプター31に固定するネジ45により構成される。このネジ45の一端は、プラズマが生成されたときにプラズマの存在する空間に露出し、他端はサセプター31に電気的に接続されている。このため、直流電圧Vdcはネジ45を介してサセプター32に与えられる。
【0023】
図4は、図3に示した立体回路の各部における電圧変化を示す図である。ここで、図4(a)はマッチャー33の高周波電源34側(図3のa点)の電圧変化、図4(b)はマッチャー33のサセプター31側(図3のb点)の電圧変化、図4(c)はウェーハWの表面であるエッチング面(図3のc点)の電圧変化をそれぞれ示している。
上述したように、プラズマが生成されると、−700V程度の直流電圧Vdcが発生する。この直流電圧VdcはウェーハWのエッチング面に印加される(図4(c))と共に、ネジ45を介してサセプター32にも印加される(図4(b))。これにより、ウェーハWのエッチング面と裏面とが同電位となるので、両面に大きな電位差が発生することによって起こる素子の破壊を防止できる。
なお、図1に示したエッチング装置では、上部電極21にプラズマ励起用の第1の電力を供給し、サセプター32にバイアス用の第2の電力を供給するようにしたが、これとは逆に、サセプター32にプラズマ励起用の第1の電力を供給し、上部電極21にバイアス用の第2の電力を供給するようにしてもよい。
【0024】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態であるエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。この図は、第1の実施の形態における図2に相当するものであり、図2と同一部分又は相当部分を同一符号で示している。
インシュレーター44には、外周と内周との間を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に対応するサセプター31側面の位置にも孔が形成されている。これらの孔に導体線46を通し、その一端をインシュレータ44の外部に露出させ、他端をサセプター31に電気的に接続させる。この導体線46も、図2に示したネジ45と同様に、処理室12内の汚染防止を考慮して作成される。
【0025】
このエッチング装置では、直流電圧Vdcをサセプター31に導く導通手段を、インシュレーター44及びサセプター31の孔に挿入された導体線46で構成している。上部電極21とサセプター31との間で生成されたプラズマは、処理室12内に拡散し、インシュレーター44の外周に沿った領域にも存在する。この領域のプラズマから導体線46を介してサセプター31に直流電圧Vdcが与えられる。よって、ウェーハWの表裏が同電位となるので、図1,図2に示したエッチング装置と同様に、ウェーハWに形成された素子の破壊を防止できる。
【0026】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態であるエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。この図は、第1の実施の形態における図2に相当するものであり、図2と同一部分又は相当部分を同一符号で示している。
フォーカスリング43には、その上面と下面との間を貫通する貫通孔43Aが形成されている。このエッチング装置では、直流電圧Vdcをサセプター31に導く導通手段を、この貫通孔43Aで構成している。上部電極21とサセプター31との間で生成されたプラズマは、貫通孔43A内に進入して、サセプター31の載置面と接触する。
【0027】
プラズマが接触した載置面上の領域が導電性を有していれば、サセプター31に直流電圧Vdcが与えられるので、上述と同様にウェーハWに形成された素子の破壊を防止できる。ただし、サセプター31を形成するアルミニウムはプラズマによって酸化されやすいので、プラズマによって容易に酸化されない導体板47を、貫通孔43Aに面する載置面上の領域に配置しておくとよい。このとき、処理室12内の汚染防止を考慮して、上記導体板47はウェーハWの材料を主成分とする材料で形成する必要がある。例えばウェーハWがSiウェーハである場合には、Siにドープして導電性をもたせたものを使用できる。
【0028】
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態であるエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。この図は、第1の実施の形態における図2に相当するものであり、図2と同一部分又は相当部分を同一符号で示している。
フォーカスリング43は、導体で形成されている。例えばウェーハWがSiウェーハである場合には、Siにドープして導電性をもたせたものが使用される。このフォーカスリング43はフィルタ48を介して給電棒32に接続されている。このフィルタ48は、直流電圧の透過量を調整するフィルタである。このエッチング装置では、直流電圧Vdcをサセプター31に導く導通手段を、フォーカスリング43とフィルタ48と給電棒32との電気的接続により構成している。
【0029】
例えば、サセプター31上におけるプラズマ分布が不均一である場合に、フォーカスリング43上に発生する直流電圧Vdcf が、ウェーハW上に発生する直流電圧Vdcw よりも絶対値が大きくなる場合がある。このような場合には、フィルタ48の透過量を調整し、Vdcf を減衰させVdcw と等しくして、給電棒32に供給するようにする。これにより、ウェーハWのエッチング面と裏面とが同電位となるので、両面に大きな電位差が発生することによって起こる素子の破壊を防止できる。
【0030】
また、フィルタ48は、バイアス用の第2の電力の通過位相を調整する機能を有している。直流電圧に対する透過特性を変化させると、第2の電力の通過位相が変化して、第2の電力の位相がウェーハWとフォーカスリング43との間で異なることになる。この場合、ウェーハW上とフォーカスリング43上とで電位差が生じ、サセプター31上の全域で均一なバイアスを印加することができなくなる。しかし、フィルタ48の上述した機能を用いて第2の電力の通過位相を調整し、第2の電力の位相をウェーハWとフォーカスリング43との間で一致させることにより、サセプター31上の全域で均一なバイアスを印加することができる。
なお、フィルタ48の透過特性と位相特性は、プロセス条件等の変更に応じて最適値に調整できるように、可変とすることが望ましい。
【0031】
以上では、プラズマを生成する第1の電力が供給される平行平板電極の一方をプラズマ源とする平行平板型エッチング装置を例にして説明したが、図8に示すように第1の電力が供給されるコイル61をプラズマ源とする誘導結合プラズマエッチング装置(ICPエッチング装置)や、図9に示すような処理室12内にマイクロ波MWを供給するラジアルアンテナ71などのアンテナをプラズマ源とするマイクロ波エッチング装置など、他のプラズマ源を用いるエッチング装置にも本発明を適用できる。なお、図8,図9において、図1,図2と同一部分又は相当部分には同一符号が付してある。16は誘電体窓、17はマイクロ波MW漏洩防止用のシールド材、72は導波路、73はマイクロ波発生器である。
また、本発明は、エッチング装置のみならず、プラズマCVD装置やアッシング装置など、他のプラズマ処理装置に適用してもよいことは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラズマ処理装置は、プラズマが生成されたときにイオンシースに発生する直流電圧を、基板が置かれる第1の電極に導く導通手段を有するものである。この直流電圧を第1の電極に導くことにより、直流電圧が基板の表面及び裏面のいずれにも印加されることになるので、基板の両面が同電位となる。したがって、基板の両面に大きな電位差が発生することによって起こる素子の破壊を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態であるエッチング装置の構成を示す図である。
【図2】 図1に示したエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。
【図3】 プラズマバルクからバイアス用の電源に至る立体回路の回路図である。
【図4】 図3に示した立体回路の各部における電圧変化を示す図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態であるエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態であるエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。
【図7】 本発明の第4の実施の形態であるエッチング装置の一部構成を拡大して示す断面図である。
【図8】 本発明に適用可能な誘導結合プラズマエッチング装置の構成を示す切り欠き図である。
【図9】 本発明に適用可能なマイクロ波エッチング装置の構成を示す断面図である。
【図10】 従来のプラズマ処理装置をエッチング装置に適用した場合の一構成例を示す図である。
【図11】 プラズマバルクからバイアス用の電源に至る立体回路の回路図である。
【図12】 図11に示した立体回路の各部における電圧変化を示す図である。
【符号の説明】
11…処理容器、12…処理室、13…排気口、14…ガス供給ノズル、21…上部電極(第2の電極)、22,32…給電棒、23,33…マッチャー、24,34…高周波電源、31…サセプター(第1の電極)、41…静電チャック、41A,41B…高分子ポリイミドフィルム、41C…導電膜、42…可変直流高圧電源、43…フォーカスリング、43A…貫通孔、44…インシュレータ、45…ネジ(導電性を有する部材)、46…導体線(導電性を有する部材)、47…導体板、48…フィルタ、C…容量、P…プラズマバルク、R…抵抗、SH…イオンシース、W…ウェーハ(基板)。

Claims (1)

  1. 所定の真空度を維持する容器と、この容器内にプラズマを生成するためのプラズマ源と、前記容器内に配置され前記プラズマによる処理がなされる基板が置かれる第1の電極と、この第1の電極の周縁部に配置されたフォーカスリングとを備えたプラズマ処理装置において、
    前記プラズマが生成されたときにイオンシースに発生する直流電圧を前記第1の電極に導く導通手段と、
    前記フォーカスリングと前記第1の電極との間に接続され、前記直流電圧の透過量を調整するフィルタと、
    第2の電力を前記第1の電極に供給する電源とを更に備え、
    前記フォーカスリングは、導体で形成され、
    前記導通手段は、前記フォーカスリングと前記第1の電極とが電気的に接続されるように構成され、
    前記フィルタは、前記導通手段に含まれ、前記第2の電力の通過位相を調整して、前記第2の電力の位相を前記基板と前記フォーカスリングとの間で一致させる
    ことを特徴とするプラズマ処理装置。
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