JP4876255B2 - 低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造、並びにこの接続構造を用いた構造体、並びにこの接続構造の形成方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような低密度木材は、前述のとおり強度的には充分ではなく、特に局部的に強度を求められる接続部位等には、使用することができない。例えば、木質材料相互の接続手法は、例えばダボ等を介在させた接続構造や、ホゾ組み等による接続構造が一般的であるが、素材そのものが低密度であって充分な機械強度を備えていない場合には、このような手法は採り得ることができない。
もちろん理屈の上では、寸法的に強度を発揮できる仕様とすることにより、低密度素材による構造体の実現は可能ではあるものの、現実的には鑑賞に耐えられないいわゆる不格好な製品となり、市場での評価を得ることは難しい。
本発明に用いられる木質構造材1、並びこれを用いた接続構造2、並びに接続構造を具えた構造体3、並びにこの接続構造体の製造方法に関しては、図1に示すような応用対象の一例である椅子30を例に以下説明し、接続構造の形成方法についても接続構造2の組み立て順序を追いながら実質的に説明する。
ここで厚み方向、厚み寸法Dとは、芯材11に対して表殻材12が積層される方向の寸法をいい、その方向を示すときは厚み方向という。なお表殻材12が貼り付けられる面の寸法を幅寸法Wといい、その方向を示すときは、幅方向という。
具体的には、例えば構造体3として椅子30を想定した場合、太寸材10Aにあっては、芯材11の厚み寸法が18mmであって、表殻材12の寸法が3mmであり、また細寸材10Bにあっては、芯材11の厚み寸法が12mmであって、表殻材12の寸法が3mmである。
一方、この接続用受入部21に対し、細寸材10Bをあてがうように嵌め込む。この状態で、細寸材10Bにおける下面になった表殻材12の外側面と、これに接する太寸材10Aの表殻材12の内側との間、及び接続用受入部21の切り取られた内端面と細寸材10Bの厚み方向端面との間、更に太寸材10Aの一体化されていなかった一方の表殻材12と太寸材10Aの露出した芯材11の表面との間、更にまた、組み付けられていない太寸材10Aにおける表殻材12の内側面と細寸材10Bの接続部位における表殻材12の上面との間、即ちそれぞれ素材同士が接触する部位に接着剤を充分塗布した上で、これらを治具等の介在により組み付けたのち、プレスして圧着し、接続構造2を完成させる。もちろんこの組み立てに当たっては、図5に示すようにすべての構成素材が未接着のものを出発状態として、これらを一例として熱接着させ一体化するようにしてもよい。
なお構造体3の一例である図1に示す椅子30は、前記座面34及び背もたれ35については、図1(e)(f)に示すように着座者との接触面は、その接触時の感触を良くするために低密度木材を適用し、一方の他面のみ高密度の表殻材12を貼り付けたものであり、これらをプレス成形により、幾分か湾曲するような形状としたものを適用している。
具体的には、座面に60Kgの荷重を与え、後脚柱下端を接地させたままとする一方、前脚柱を30mm引き上げ、これを落下させることを繰り返す試験であって、繰り返し速度は毎分25回、繰り返し回数は4000回で行った。
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が可能である。
まず木質構造材1自体の変形例としては、既に述べた実施例は、芯材11として無垢材の低密度木材を用い、表殻材12については、それとは異なる樹種の高密度の木質素材を用いたものであるが、適宜に異ならせることができる。
芯材11については、図6に示すように必ずしも、無垢材で構成する必要はなく、これらについては適宜の板厚の素材を集成して用いることが可能である。この実施例では、更に中心部を空間状に形成しており、これを電気配線等に用いるユーティリティスペース24として用いることができるようにしたものである。
更にまた図8(a)に示す実施例は、前記図7(b)の考え方を発展させ、芯材11に表殻材12の嵌め込み凹溝11aを複数筋形成し、帯状の表殻材12を貼り付けるようにしたものである。更に図8(b)に示すものは、芯材11について、これを連続した杆状とせず、分断してブロックを連続させたような形態としたものである。
また表殻材12については、既に述べた実施例では、両側のものがそれぞれ同厚のものを図示しているが、図9に示すように、それぞれの厚みが異なっているものであって差し支えない。
もちろんこのような場合には、先に図1、2等で述べたような接続構造2を構成する場合には、例えば太寸材10Aにあっては、その表殻材12の内側に形成されている、接合強化構造13の凹凸筋を除去し、図10(b)に示すように平板状として接続用受入部21を形成するようにすることが必要である。
次に接続構造2における種々のバリエーションについて説明する。
まず先に述べた基本的な実施例については、太寸材10Aと細寸材10Bとの組み合わせであったが、例えば同じ仕様の構造材要素10同士を接続させることもできる。この接続に当たっては、図11に示すように両者の中心C1 C2 がずれるように、いわば互い違いに接合するものである。
例えばジョイントピース22については、全体としてT字状、L字状、あるいは十字状となるような芯材11と表殻材12との組み合わせにより構成したものであり、例えばこの厚み寸法Dを細寸材10Bの寸法に設定しておき、これに太寸材10Aをそれぞれ嵌め込むようにして、二本の構造材要素10を接続するようにしたものである。
また各構造材要素10の側面がフラットに接続されるようにするための手法としては、図13(a)に示すように、一方の構造材要素10については、表殻材12を厚肉としておき、ここに全幅を薄くするような段差加工を施すことも可能である。
また更に図14に示す実施例は、接続構造2において、接着等を用いず、接続角度を調整し得るようにしたものであり、例えば太寸材10Aの上部の芯材11を除去し、ここに細寸材10Bを内嵌めし、両者をボルト締め等を行うクランプ23により固定するものである。このものは、後に述べる電気スタンド38に適用することが可能である。
更に構造体3たる製品についての応用例について説明する。
既に述べた実施例は、椅子30として適用したものであるが、図15(a)に示すように机36ないしはスツール等に用いることができる。
また図15(b)に示すような棚37、更には図15(c)に示すように電気スタンド38等に用いることができる。なお既に述べたように電気スタンド38に適用するにあたり、例えば接続構造2として角度屈曲自在の接続構造2を取り入れたり、更には構造材要素10の芯材11として複合材を用いて、中心部の空間をユーティリティスペース24として用いて配線L等を通すことが可能である。
また更に図15(d)に示すような障子等の建具39に適用することも可能である。
10 構造材要素
10A 太寸材
10B 細寸材
11 芯材
11a 嵌め込み凹溝
12 表殻材
13 接合強化構造
2 接続構造
21 接続用受入部
21a 嵌込部
21b 嵌込孔
21c 段差部
22 ジョイントピース
23 クランプ
24 ユーティリティスペース
3 構造体
30 椅子
31 脚柱
32 座面梁
33 横梁材
34 座面
35 背もたれ
36 机
37 棚
38 スタンド
39 建具
C1 中心
C2 中心
D 厚み寸法
D1 厚み寸法(芯材)
D2 厚み寸法(表殻材)
W 幅寸法
L 配線
R 湾曲面
Claims (9)
- 低密度木材を芯材とし、この芯材の少なくとも対向する2面に芯材より強度の大きな素材を適用した表殻材を積層固着させて成る木質構造材が、2要素以上組み合わされる接続部の構造であって、この接続部の構造は各構造材要素が互いに入れ組み状態とされ、各構造材要素における表殻材同士が面接触を保ちながら固定されていることを特徴とする低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 木質構造材における芯材と表殻材とは、無垢状または合板状の木質材が適用されることを特徴とする請求項1記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 前記木質構造材における芯材と表殻材とは、同一又は異なる樹種が適用され、表殻材は二次処理により、高密度化されたものが適用されることを特徴とする請求項1記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 前記木質構造材における表殻材は、非木質素材が適用されることを特徴とする請求項1記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 前記木質構造材における表殻材の厚さ寸法は、芯材の厚さ寸法の30%以下であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 前記組み合わせられる木質構造材は、その一方の構造材要素については、その厚み寸法を大きくした太寸材としたものであり、他方の構造材要素についてはその厚み寸法を小さくした細寸材とすると共に、太寸材における芯材の厚み寸法を細寸材の厚み寸法と合致させ、太寸材の芯材に形成した接続用受入部に、細寸材が嵌まり込んだ状態で、各構造材要素における表殻材同士が面接触を保ちながら固定されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 前記太寸材に対し、細寸材を合流接続させるにあたっては、太寸材の接続用受入部は、側端面まで貫かないように形成されていることを特徴とする請求項6記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造。
- 前記請求項6または7に記載された太寸材に細寸材を接続させるにあたっては、太寸材は少なくとも一方の面の表殻板を芯材に対し未接合とし、この状態で芯材には細寸材を嵌め込む接続用受入部を確保し、この受入部に細寸材を嵌め込んだのち、未接合の太寸材の表殻材を芯材上に積層接着させて接続することを特徴とする低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造の形成方法。
- 前記請求項1、2、3、4、5、6または7記載の低密度木材を活用できる木質構造材を用いた接続構造が適用される製品は、椅子、机、棚、建具を含む複数種類の家具であることを特徴とする低密度木材を活用できる木質構造材の接続構造を用いた構造体。
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