JP4874851B2 - 真空成膜装置 - Google Patents
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Description
この放射線画像検出器としては、放射線を電気的な画像信号として取り出す放射線固体検出器(いわゆる「Flat Panel Detector」 以下、FPDとする)や、放射線像を可視像として取り出すX線イメージ管などがある。
また、防着板は、真空蒸着装置(真空チャンバ内)に着脱可能に構成され、成膜を終了した後、保守作業として、防着板を装置から取り外して洗浄し、また、洗浄済の防着板を装置に装填することにより、防着板への膜の多量な堆積を防止して、前述のようなパーティクルに起因する品質悪化を防止している。
このような厚膜を真空蒸着によって成膜すと、図5に模式的に示すように、防着板100を設けても、蒸発源102から蒸発し、基板Sに至らなかった蒸気が、防着板100を超えて回り込んでしまい、基板ホルダ106の裏面や、真空チャンバ108の内壁に付着し、堆積してしまう。
しかしながら、このような構成とすると、装置構成によっては、防着板の着脱に手間がかかり、保守作業の作業性が悪化してしまう。また、この構成では、基板が大型化して、装置が大型になると、防着板のサイズも非常に大きくなり、防着板のコストすなわち真空蒸着装置のコストも向上し、さらに、防着板の清掃作業にも時間がかかるため、装置の保守作業にかかるコストも増大してしまう。
しかも、この構成でも、基板保持手段(基板キャリア)の裏面に回り込む蒸気による成膜材料の付着は、防止することができない。
そのため、本発明によれば、直接方式のFPDの光導電層のように、200〜1000μm程度の厚い膜を成膜する場合であっても、成膜材料の蒸気が防着部材を超えて回り込み、真空チャンバの内壁や基板保持手段の裏面に膜が付着することを防止できる。また、防着部材も小型化できるので、良好な保守作業性も確保することができ、かつ、装置のコストアップや保守作業のコストアップも押さえることができる。
図1に示すように、真空成膜装置10(以下、成膜装置10とする)は、真空チャンバ12と、基板保持手段14と、回転・昇降手段16と、蒸発源18と、真空ポンプ20と、バルブ22と、排気経路24と、防着板26とを有して構成される。
なお、本発明の成膜装置10は、図示した部材以外にも、アルゴンなどの不活性ガス等の各種のガスを真空チャンバ12内に導入するためのガス導入手段、蒸発源18からの蒸発蒸気を遮蔽するためのシャッタ等、公知の真空蒸着装置が有する各種の部材を有してもよいのは、もちろんである。
また、基板Sに成膜(形成)する膜にも、特に限定はなく、真空蒸着によって成膜可能なものが、全て利用可能である。
そのため、本発明は、厚膜の成膜には特に好適であり、特に200〜1000μm程度の膜厚が必要な、直接方式の放射線画像検出器(フラットパネル検出器(FPD(Flat Panel Detector))の光導電層の成膜には好適である。中でも特に、成膜材料であるセレンが低い温度で蒸発して、回り込みによる真空チャンバ内壁や基板保持手段裏面への膜の付着が起こり易い等の点で、FPDの光導電層となるアモルファスセレンの成膜には、好適に利用される。
真空ポンプ20は、排気経路24から真空チャンバ12内を排気して、真空チャンバ12内を減圧する(真空にする)ものである。また、バルブ22は、排気経路24を気密に閉塞し、また、真空ポンプ20からの排気量を調整する、公知のバルブである。なお、本発明において、真空ポンプは、油拡散ポンプ、クライオポンプ、ターボモレキュラポンプ等の公知のものである。また、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。
従って、蒸発源18には、特に限定はなく、抵抗加熱によるものでも、電子線(EB)加熱によるものでも、誘導加熱によるものでも、成膜する膜や成膜条件等に応じて、好適なものを、適宜、選択して用いればよい。
なお、成膜装置10が有する蒸発源18は、1個に限定はされず、複数の蒸発源18を有してもよく、また、成膜装置10は、互いに異なる成膜材料を収容する複数の蒸発源18によって、多元の真空蒸着を行なうものであってもよい。
基板ホルダ30は、基板Sにおける成膜領域を蒸発源18に向けて開放した状態で、基板Sを収容/保持するものである。基板ホルダ30としては、基板Sの四辺を保持する枠体、成膜領域に対応する部分が開放する基板Sを収容する筐体等、真空蒸着装置等の真空成膜装置で利用されている各種の基板ホルダが全て利用可能である。また、基板ホルダ30が、基板Sの成膜面における成膜領域を規制するマスクを兼ねてもよく、あるいは、別途、マスクを設けてもよい。
すなわち、図示例の成膜装置10において、基板Sは、基板ホルダ30に収容されて、この基板ホルダ30が基板プレート32に装着されることにより、成膜装置10の所定位置に装填され、真空蒸着による成膜に供される。
なお、図示例においては、回転軸34(回転中心)と基板プレート32とは、互いの中心を一致して固定され、さらに、基板プレート32は、基板Sの中心と自身の中心とが一致するように、基板ホルダ30を装着する。
さらに、基板ホルダ30の内面にも、基板Sの裏面(成膜面の逆面)に密着して、基板プレート32が有する加熱手段による熱をムラなく均一に基板Sに伝えるための熱伝導性シート等が設けられてもよい。
回転・昇降手段16は、回転軸34を、その中心線を中心に回転し、さらに、回転軸34を、その軸線方向に移動する。なお、回転・昇降手段16による回転軸34の回転方法および昇降方法は、公知の方法によればよい。
従って、基板ホルダ30すなわち基板Sは、この回転・昇降手段16によって回転される。また、基板ホルダ30は、かつ、この回転・昇降手段16によって昇降(後述する防着板26(その上面)に対して接離)され、防着板26の上面に配置された弾性部材42に接触/離間される。
また、成膜装置10においては、必要に応じて、この防着板26以外の防着部材を有してもよい。
図示例において、防着板26は、上側(基板保持手段14側)の第1防着板38と、下側の第2防着板40と、弾性部材42とを有する。
第1防着板38は、真空チャンバ12内の所定位置に、自身の中心線を回転軸34の回転中心とを一致して、着脱自在に装着される。また、第1防着板38は、真空チャンバ12内の所定位置に装着された際には、公知の手段によって、自身の中心線を中心に回転自在に保持される。
第1防着板38の上面に形成される円形の開口38も、その中心を回転軸34の回転中心とを一致して形成され、その大きさは、基板ホルダ30に収容された基板Sを内包し、かつ、基板ホルダ30の下面に内包されるサイズである。
弾性部材42は、後述する基板ホルダ30との接触時に、基板ホルダ30と略気密状態を保って密着できる程度の弾性を有し、かつ、耐熱性などの要求される特性を満たす材料で形成すればよく、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴム等で形成すればよい。
第2防着板40は、自身の中心線と回転軸34の回転中心(すなわち、第1防着板38の中心)とを一致して、真空チャンバ12内の所定位置に、着脱自在に装着される。また、所定位置に装着された時点では、第2防着板40は、蒸発源18を収容し、かつ、第1防着板38を挿入する。
図示例の成膜装置10において、最初は、図1(A)に示すように、回転・昇降手段16は、回転軸34すなわち基板プレート32を上方(防着板26の第1防着板38から離間する方向)に移動した状態とする。
なお、成膜材料の加熱開始のタイミングは、これに限定はされず、後述する基板ホルダ30の降下と同時あるいはその後、減圧開始から後述する基板ホルダ30の降下までの間等、成膜材料の融点や、蒸発源の加熱能力等に応じて、適宜、設定すればよい。
この際において、第1防着板38と基板保持手段14とは、互いに係合する凹凸や係合部材などによって、少なくとも回転方向には一体的に動くように互いに係合する。あるいは、基板ホルダ30を弾性部材42に押圧することにより、第1防着板38と基板保持手段14とが少なくとも回転方向には一体的に動くようにしてもよい。
さらに、シャッタ等を開放して、基板Sヘの成膜を開始する。
その後、真空チャンバ12が大気開放され、成膜を終了した基板Sを収容する基板ホルダ30が基板プレート32から取り外され、次の工程に供給される。
すなわち、基板ホルダ30を降下して第1防着板38の上面に接触させることにより、図1(B)に示すように、防着板26および基板ホルダ30(あるいはさらに基板プレート32)によって、基板Sの近傍において、基板Sを内包して成膜面が対面している略気密空間を形成した状態で、真空蒸着によって基板Sに成膜を行なうことができる。
しかも、防着板26と基板ホルダ30(あるいはさらに基板プレート32)とによって、基板Sの近傍で、基板Sの成膜面が対面している略気密空間を形成するので、防着部材の大型化も抑制でき、良好な保守作業性も確保することができ、かつ、装置のコストアップや保守作業のコストアップも押さえることができる。
また、第2防着板40への第1防着板38の挿入量(第1防着板38と第2防着板40との重ね合わせ量)が長い程、良好な真空チャンバ12の内壁等への膜の付着防止効果を得られるので、この挿入量も、可能な範囲で長くするのが好ましい。
図2に、その一例を示す。なお、図2に示す成膜装置50は、多くの部材を図1に示す成膜装置10と共有するので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行なう。
防着板52は、下が閉塞する筒状(円筒でも角筒でもよい)のものであり、上面には、前記開口38aと同様に、基板Sを内包可能で、かつ、基板ホルダ30に内包されるサイズの開口52aを有する。また、防着板52の上面の開口50a周辺には、弾性部材42が配置される。
この防着部材52は、真空チャンバ12内の所定位置に着脱可能にされ、かつ、真空チャンバ12内に装着された状態では、固定される。
また、防着部材52は、基板プレート32に装着された基板ホルダ30に収容される基板Sが、上下方向(軸56の昇降方向)において開口52a内となる位置に装着される。
さらに、基板ホルダ30と防着板(防着部材)とを略接触させる構成として、図3に成膜装置10の防着板26を例示して模式的に示すように、基板ホルダ30の下面に基板Sを囲むように壁部64を形成し、第1防着板38の上端に、この壁部64を挿入する凹部68を形成して、壁部64を凹部68に挿入することにより、第1防着板38と基板ホルダ30とを略接触させて、前記略気密空間を形成する構成も、利用可能である。
さらに、基板ホルダ30や基板プレート32ではなく、基板Sに防着板26や防着板52を接触あるいは略接触させてもよく、この際においては、防着板(防着部材)を、基板S上における成膜領域を規制するためのマスクとして作用させてもよい。さらに、基板Sと防着板とを接触(あるいは略接触)させる場合には、基板Sのみを移動して、防着板と基板Sとを接触/離間する構成であってもよい。
このインライン方式の成膜装置70(以下、インライン装置70とする)は、前述の図1に示す(真空)成膜装置10を応用して構成したものであり、基板仕込み室72(以下、仕込み室72とする)と、第1成膜室74a、第2成膜室74b、……との複数の成膜室74とを有して構成される。各成膜質は、前記成膜装置10を応用して構成されるものであり、いずれも同じ構成を有する。
また、各部屋には、複数の搬送ローラ77が設けられている。
また、載置手段78は、一例として、フック78aの下端を基板ホルダ30の下方に挿入して、基板ホルダ30を下から支えて保持し、搬送キャリア80に載置する。
搬送キャリア80は、搬送ローラ77によって移動されるものであり、すなわち、基板ホルダ30(基板S)は、搬送キャリア80に載置されて、搬送ローラ77によって各成膜室74に移動される。
成膜部12aには、前述の防着板26(第1防着板38の上端部は搬送部12bに位置する)および蒸発源18が配置される。また、基板保持部12bには、前述の基板保持手段14(基板ホルダ30を除く)および回転・昇降手段16、ならびに搬送ローラ77が配置される。
なお、基板プレート32(および載置手段78)による基板ホルダ30の保持は、フック32aによる把持に限定はされず、公知の各種の方法が利用可能である。
図示例のインライン装置70において、仕込み室72の所定位置に基板ホルダ30が供給されると、載置手段78が、フック78aで基板ホルダ30を保持して、所定位置に配置された搬送キャリア80に基板ホルダ30を載置する。
仕込み室72において、搬送キャリア80に基板ホルダ30が載置されると、必要なシャッタ76が開放して、搬送ローラ77が、搬送キャリア80を成膜室74(例えば第1成膜室74a)に搬送する。
搬送キャリア80が停止すると、回転・昇降手段16が回転軸34すなわち基板プレート32を降下する。基板プレート32は、所定位置まで降下すると、フック32aによって基板ホルダ30を保持する。基板保持手段32が基板ホルダ30を保持すると、回転・昇降手段16が回転軸34を上昇して、搬送キャリア80から基板ホルダ30を持ち上げ、さらに、搬送ローラ77が搬送キャリア80を逆方向に搬送し、仕込み室72に戻し、シャッタ76を閉塞する。
基板Sに、所定膜厚の膜が成膜されると、蒸発源18は、成膜材料の加熱を中止し、回転・昇降手段16は、回転軸34すなわち基板Sの回転を停止し、さらに、回転軸34を上昇する。
その後、回転・昇降手段16は、回転軸34すなわち基板ホルダ30を降下し、所定位置まで降下した時点で、基板プレート32がフック32aによる保持を開放して、基板キャリア80の載置部80bに基板ホルダ30を載置する。
基板キャリア80に基板ホルダ30が載置されると、搬送ローラ77が、次の成膜室74に基板ホルダ30を搬送し、以下、同様にして、次層の成膜が行なわれる。
例えば、以上の例は、本発明を真空蒸着装置に利用した例であるが、本発明は、これに限定はされず、スパッタリング装置、CVD装置等、各種の真空成膜装置(気相堆積法による成膜装置)に利用可能である。
12 真空チャンバ
14 基板保持手段
16 回転・昇降手段
18 蒸発源
20 真空ポンプ
22 バルブ
24 排気経路
26,52 防着板
30 基板ホルダ
32 基板プレート
34 回転軸
38 第1防着板
40 第2防着板
42 弾性部材
54 昇降手段
56 軸
64 壁部
68 凹部
70 インライン装置(インライン方式の成膜装置)
72 仕込み室
74 成膜室
76 シャッタ
77 搬送ローラ
78 載置手段
80 基板キャリア
Claims (8)
- 真空成膜法によって基板に成膜を行なう真空成膜装置であって、
前記基板を保持する基板保持手段、蒸発源、装置内の不要な位置への膜の付着を防止する、前記蒸発源を内包して配置される筒状の防着部材、および、前記基板もしくは基板保持手段と前記防着部材とが離間している状態から、前記基板あるいはさらに基板ホルダを移動して、前記基板もしくは基板保持手段と前記防着部材とを接触もしくは略接触させることにより、前記基板もしくは基板保持手段と前記防着部材とで、前記基板の成膜面および蒸発源を含む略気密空間を形成する接触手段を有することを特徴とする真空成膜装置。 - 前記接触手段は、前記基板あるいはさらに前記基板保持手段を前記防着部材方向に移動することにより、前記基板もしくは基板保持手段と前記防着部材と接触もしくは略接触させる請求項1に記載の真空成膜装置。
- 前記基板もしくは基板保持手段と前記防着部材との接触部に弾性体が設けられる請求項1または2に記載の真空成膜装置。
- 前記防着部材が、前記基板もしくは基板保持手段と接触もしくは略接触する第1部材と、前記第1部材を挿入する、もしくは、前記第1部材に挿入される第2部材とを有する請求項1〜3のいずれかに記載の真空成膜装置。
- 前記基板の回転手段を有する請求項4に記載の真空成膜装置。
- 前記防着部材が、基板への成膜領域を規制するマスクを兼ねる請求項1〜5のいずれかに記載の真空成膜装置。
- 前記基板の搬送機構を有する請求項1〜6のいずれかに記載の真空成膜装置。
- 前記基板保持手段が、防着部材に接離するように移動する保持手段本体と、前記保持手段本体に着脱自在な、前記基板を保持する基板ホルダとから構成され、
前記搬送機構は、前記基板ホルダを搬送することにより、前記基板を搬送するものであり、かつ、基板保持手段は、前記基板ホルダを前記保持手段本体に自動着脱する着脱機構を有する請求項7に記載の真空成膜装置。
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