JP4874236B2 - トコフェリルアシレートの製造方法 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、トコフェロールをアシル化するための新規な方法およびそこで特定の触媒を使用することに関する。
本明細書において用いられる「トコフェロール」という用語は、遊離の6−ヒドロキシ基を有し、かつビタミンE活性を示す、トコール[2−メチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)−6−クロマノール]の基本構造から誘導される任意の化合物、すなわち、飽和の4’,8’,12’−トリメチルトリデシル側鎖を有する任意のトコフェロール(α−、β−、γ−、δ−、ζ−、またはη−トコフェロール等)に加えて、側鎖中に3つの二重結合を有する[4’,8’,12’−トリメチルトリデカ−3’,7’,11’−トリエニル]任意のトコトリエノール(ε−またはζ−トコフェロール等)を指すものと理解されたい。これらの様々なトコフェロールの中でも、ビタミンE群の中で最も活性が高くかつ最も工業的な重要性が高い、一般にビタミンEと称される(all−rac)−α−トコフェロールに主な関心が向けられている。
本発明は、好ましくは、トコフェロールのアシル化物(トコフェリルアシレート)、より具体的には酢酸トコフェリルを製造するための新規な方法に関する。より好ましい態様においては、本発明は、ビタミンEの主な市販形態である酢酸(all−rac)−α−トコフェリルを製造するための方法に関する。α−トコフェロールそのものや上述したような他のトコフェロールは本発明の方法により容易にアシル化することができる。一般に、このトコフェロールはそれぞれ、そのラセミ体または任意の個々の立体異性体の形態でアシル化することができる。
α−トコフェロールを触媒の非存在下に過剰の無水酢酸でエステル化することによる酢酸α−トコフェリルの合成が、米国特許第2,723,278号明細書において、J・D・サーマティス(J.D.Surmatis)らにより説明および例示されている。その生成物である酢酸(dl)−α−トコフェロールは、環流条件下で5時間かけて形成されているが、収率は記載されていない。この反応はピリジンを触媒として実施することもでき、室温で3日間反応させると収率96%で酢酸α−トコフェリルが得られることが、Helv.Chim.Acta、第64巻、1158〜1172頁(1981年)の1172頁においてN.コーエン(N.Cohen)らによって報告されている。S・ポール(S.Paul)らは、マイクロ波を数分間(16分まで)照射しながら、塩基性アルミナ上の無水酢酸/ピリジンを用いてヒドロキシ、チオール、およびアミノ化合物をアセチル化することによって好ましい結果が得られることを報告している(Tetrahedron Letters、第43巻、4261〜4265頁(2002年))。
不均一塩基触媒の種類および様々な反応における固体塩基触媒の触媒作用についての優れた総説が、H・ハットリ(H.Hattori(服部英))(例えば、Chem.Rev.第95巻、527頁(1995年))ならびにY・オノ(Y.Ono(小野嘉夫))およびT・ババ(T.Baba(馬場俊秀))(Catalysis Today、第38巻、321〜337頁(1997年))によって発表されている。様々な塩基を多種多様な反応に触媒として使用すること、特にこれらを二重結合の異性化、水素化、アミノ化、脱水素環二量化反応、アルドール付加、ニトロアルドール反応、マイケル付加、アルコールの共役付加、シアノエチル化、およびティシェンコ(Tiskchenko)反応に使用することが、例えば、Catalysis、第15巻、40〜72頁(2000年)においてE・J・ドスコシル(E.J.Doskocil)らによって総説されている。
これらの総説は、トコフェロールのアシル化に固体塩基触媒を使用することについては触れていない。
本発明による新規な方法により、優れた収率が得られ、腐食の問題も回避され、添加溶媒の非存在下に実施することが可能となり、したがって、溶媒を再使用する必要性が回避され、そして連続または回分式で実施することが可能となる。
本発明により、トコールのアシル化物(例えば、トコトリエニルアシレートまたはトコフェリルアシレート)を製造するための方法であって、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含む好ましくは固体担体上の固体塩基触媒の存在下にトコフェロールをアシル化剤と反応させることを含む方法を提供する。
このアシル化は、原則として、トコフェロール中に存在するようなフェノール性ヒドロキシル基のアシル化に従来使用されている任意のアシル化剤を用いて実施することができる。この種のアシル化剤のなかでも特に好適な種類は酸無水物およびハロゲン化アシルである。この種のアシル化剤のアシル基は、脂肪族カルボン酸から、例えば、線状もしくは分岐鎖状のアルカン酸、特に、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバリン酸等のC1〜7アルカン酸もしくは20個までの炭素原子を有するパルミチン酸等のより高級なアルカン酸(脂肪酸)から、または芳香族カルボン酸、特に安息香酸から誘導されたものであってもよく、それにより、どの場合においても、該アシル化方法によってトコールまたはトコフェロールの適切なアシル化物(それぞれアルカノアートまたは例えばベンゾアート)が生成する。脂肪族ハロゲン化アシルは、例えば、塩化アセチル、塩化プロピオニル、および塩化ブチリル等の線状または分岐鎖状の塩化アルカノイルであり、芳香族ハロゲン化アシルは、例えば、塩化ベンゾイルである。好ましいアシル化剤は無水酢酸または塩化アセチルであり、無水酢酸が最も好ましい。
本発明の方法によるアシル化は、添加溶媒の存在下または非存在下に実施してもよいが、好ましくは添加溶媒を使用せずに、反応体の1種、すなわちトコールまたはトコフェロールまたはアシル化剤を過剰に使用する。好ましくはアシル化剤を過剰とし、初期反応混合物中に存在するトコールまたはトコフェロールのモル量に対し、好ましくは1〜約3倍モル量、より好ましくは1.5〜2.5倍モル量、最も好ましくは1.75〜2.25倍モル量を使用する。しかしながら、添加溶媒を使用する場合は、極性または非極性の非プロトン性有機溶媒、特に脂肪族(好ましくはC〜C10脂肪族)炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、もしくはデカン、脂環式(好ましくはC〜C脂環式)炭化水素、例えばシクロヘキサン、または芳香族(特にC〜C10芳香族)炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、もしくはナフタレンが好適である。
本発明の反応には、以下に示す種類の塩基触媒:アルカリおよびアルカリ金属、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物、固体担体上のアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属のアミドおよびフッ化物、ゼオライト(zeolithes)(アルカリイオン交換およびアルカリイオン添加されたゼオライト)、ならびに粘土鉱物(ハイドロタルサイト、クリソタイル、およびセピオライト)を使用してもよい。さらなる詳細については、例えば上述したドスコシルらやハットリらを参照されたい。
本発明の固体触媒に使用されるアルカリ金属としては、例えば、Na、K、Rb、およびCsが挙げられ、アルカリ土類金属としては、例えば、Mg、Ca、Sr、およびBaが挙げられる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の1種または数種を互いに組み合わせ、様々な重量比で(重量比は決定的因子ではないため)使用してもよい。好ましい実施形態においては、少なくとも1種のアルカリ金属および少なくとも1種のアルカリ土類金属、例えばNa+Caが使用される。金属:担体材料の重量比も決定的因子ではないので、広い範囲内で変化させてもよい。これらは例えば0.1〜70%の範囲にあってもよく、好ましくは、1種類の金属を使用する場合は1〜10%の範囲にあり、2種類以上の金属を使用する場合は30〜60%の範囲にある。上記金属の担体としては、活性炭、シリカゲル、珪藻岩、アルミナ、タルク、ケイ酸塩、カオリン等の通常有用な担体であればどれを使用してもよく、SiO、A1、およびTiOが好ましい。
この触媒は市販されている。別法として、文献に記載されている通りに、または当該技術分野において周知の方法と同様にして、例えば、オノ・Y(小野嘉夫)およびババ・T(馬場俊秀)によるCatalysis Today、第38巻、321〜337頁(1997年)ならびにそこに引用されている文献に記載されているようにこれらを調製してもよい。これらの記事を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。触媒1〜19および20〜25(以下に示す表1および2)が、独国ハナウのデグサ社(Degussa AG,Hanau,Germany)により調製され、提供されている。
この触媒は、典型的には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩(水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、ケイ酸塩等)の水溶液から調製される。この金属塩を固体担体に、それ自体周知の方法、例えば、含浸、浸漬、またはイオン交換によって添加する。次いで、湿潤した材料を乾燥し、150℃〜800℃、好ましくは200℃〜700℃、最も好ましくは300℃〜650℃の範囲の温度で焼結する。触媒中の金属イオンの所望の最終濃度は、対応する高濃度の水溶液を用いることによって経験的に達成される。溶媒を添加するかまたは添加せずに、固体成分を互いに混合するかまたは成形することによって触媒を調製することもできる。
本発明の好ましい実施形態においては、この固体塩基触媒は、さらなる活性化も改質も施されることなく純粋な固体形態で反応混合物に添加される。触媒の使用量は、反応体すなわちトコフェロールまたはアシル化剤(使用モル量の少ない方、通常は前者)の量を基準とし、好適には、上記少ない方のモル量を基準として(この工程が回分操作方式で実施される場合は、トコール38.4mmol当たり)約0.005〜約15mmol、好ましくは約0.0l〜約1.0mmolの範囲にある。別法としての連続操作方式においては、反応器の大きさおよび反応体の流量に応じて触媒の相対量を調節することが必要であろう。その際に、回分操作方式の形態に基づき適切な相対量を決定することが製造化学当業者の技術範囲内であることが理解されるであろう。
本発明によるアシル化方法は、好都合には約80℃〜約120℃、好ましくは約90℃〜約110℃の温度で実施される。
さらにこの方法は、好都合には不活性ガス雰囲気中、好ましくは窒素またはアルゴンガス中、特に前者で実施される。
反応の進行は、好適には、反応中の反応混合物から様々な時間間隔で試料を採取してガスクロマトグラフィーにかけるなどの分析手段を用いて監視される。
生成したトコフェリルアシレートは、アシル化完了後にアシル化剤およびアシル化中に形成された副生成物(例えば、無水酢酸をアシル化剤として使用した場合は酢酸)を好ましくは減圧下で留去し、次いでさらに蒸留(これも同様に、好ましくは減圧下で)を行って、必要に応じた所望のアシル化生成物を純粋な画分として回収することにより単離することができる。
本発明の触媒をトコフェロールのアシル化に使用することの主な利点は、光学的に純粋なトコフェロールから出発した場合にクロマン核のエピマー化が起こらないことと、特定の触媒、例えば、Na+Caを含むものを用いた場合に反応時間の大幅な短縮が可能となることにある。
本発明のアシル化方法を以下の実施例によりさらに詳細に例示する。
概説
反応はすべてアルゴン中で実施した。(all−rac)−α−トコフェロール、(2R,4’R,8’R)−α−トコフェロール、KF/A1(フルカ(Fluka)、No 60244)、および無水酢酸(市販品)、および(all−rac)−γ−トコフェロール(実験室材料)をさらに精製することなく使用した。固体塩基触媒をデグサより入手し、さらなる活性化も改質も施すことなく使用した。これらは実施例1に記載するように調製することもできる。粗生成物はGCによって分析した。GC分析は、オートサンプラーHP7673、スプリットインジェクター、およびFIDを備えたガスクロマトグラフHP6890を用いて実施した。キャピラリーカラムとしてレステック(Restek)XTI5(溶融石英)(30m×0.32mm、0.25μm膜)を使用した。温度プログラムとして、150℃(0分間)−>5℃/分−>335℃(8分間)を適用した。(all−rac)−α−トコフェロールまたは(2R,4’R,8’R)−α−トコフェロール(シリル誘導体として検出)の保持時間tは26.4分、酢酸(all−rac)−α−トコフェリルまたは酢酸(2R,4’R,8’R)−α−トコフェリルのtは27.0分であった。(all−rac)−γ−トコフェロール(シリル誘導体として検出)の保持時間tは24.5分、酢酸(RRR)−γ−トコフェリルのtは26.1分であった。
キラルHPLC分析においては、試料をエタノール5mlに溶解し、試料5μlをキラルパック(Chiralpak)OP(+)カラム(240×4.6mm、流速0.5ml/分)に注入した。このカラムを、5体積%の水/メタノールで溶出させた。保持時間を以下に示す:酢酸(2R,4’R,8’R)−α−トコフェリル13.2分、酢酸(2S,4’R,8’R)−α−トコフェリル24.5分。
以下に示す実施例により本発明をより詳細に例示する。
実施例1
(a)触媒11(5%Ca/A1)の調製
細孔容積が約0.7ml/g(水の取り込みにより測定)であり、比表面積が約250m/gである市販のA1を、適切な濃度の硝酸カルシウム水溶液中に、溶液量が細孔容積に見合うように浸漬した。こうして得られた触媒を120℃で乾燥し、次いで500℃の空気中で2時間焼結した。
(b)触媒19(4%Na、10%Ca/A1)の調製
10%Ca/A1触媒((a)に記載した方法と同様にして得られたもの)を同様にして適切なケイ酸ナトリウム溶液に浸漬し、乾燥して500℃で2時間焼結することにより、所望の濃度のナトリウムおよびカルシウムを含む触媒を得た。
実施例2
酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの調製
KPG撹拌機、温度計、およびアルゴン導入口を有する環流冷却器を備えた50mlの四頚フラスコ内で、触媒No21(5%K/A1)0.5gの存在下に(all−rac)−α−トコフェロール16.8g(38.3mmol)を無水酢酸8.23g(80.6mmol)に溶解した。この混合物を380rpmで撹拌し、100℃(内部温度)で21時間加熱した。混合物を24℃に冷却し、NaCO5gで中和し、濾過し、ヘプタン70mlで洗浄し、減圧下(10mbar、40℃)で蒸発させた。純度94.54%の酢酸α−トコフェリルであることを示す(GCにより分析、内部標準)褐色油状物18.56gを得た。α−トコフェロールを基準とした収率は96.9%であった。この粗生成物をさらに210℃(0.016mbar)でクーゲルロール蒸留することにより精製した。純度94.88%(GC、内部標準)の純粋な生成物を無色〜淡黄色の油状物として単離した。酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの収量は16.87gであり、(all−rac)−α−トコフェロールを基準とした収率は93.2%であった。蒸留残渣中に酢酸(all−rac)−α−トコフェロール1.5%が検出された。
実施例3
酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの調製
KPG撹拌機、温度計、およびアルゴン導入口を有する環流冷却器を備えた50mlの四頚フラスコ内で、触媒No25(5%Mg/A1)0.5gの存在下に(all−rac)−α−トコフェロール16.8g(38.3mmol)を無水酢酸8.23g(80.6mmol)に溶解した。この混合物を380rpmで撹拌し、100℃(内部温度)で19時間加熱した。混合物を25℃に冷却し、NaCO5gで中和し、濾過し、ヘプタン70mlで洗浄し、減圧下(10mbar、40℃)で蒸発させた。純度92.93%の酢酸(all−rac)−α−トコフェリルであることを示す(GCにより分析、内部標準)褐色油状物18.72gを得た。α−トコフェロールを基準とした収率は96.1%であった。この粗生成物をさらに206℃(0.007mbar)でクーゲルロール蒸留することにより精製した。純度94.33%(GC、内部標準)の純粋な生成物を無色〜淡黄色の油状物として単離した。酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの収量は17.01gであり、(all−rac)−α−トコフェロールを基準とした収率は94.0%であった。蒸留残渣中に酢酸(all−rac)−α−トコフェロール0.4%が検出された。
本発明の他の固体塩基触媒を用いた場合の酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの収率を以下の表に示す。
Figure 0004874236
Figure 0004874236
実施例4
酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの調製
KPG撹拌機、温度計、およびアルゴン導入口を有する環流冷却器を備えた50mlの四頚フラスコ内で、固体触媒No2(22%Ca+26%Na/酸化ケイ素)0.5gの存在下に(all−rac)−α−トコフェロール16.8g(38.4mmol)を無水酢酸8.23g(80.6mmol)に溶解した。この混合物を400rpmで撹拌し、100℃(内部温度)で4時間加熱した。混合物を36℃に冷却し、NaCO5gで中和し、濾過し、ヘプタン70mlで洗浄し、減圧下(10mbar、40℃)で蒸発させた。純度94.46%の酢酸(all−rac)−α−トコフェリルであることを示す(GCにより分析、内部標準)黄色油状物18.57gを得た。α−トコフェロールを基準とした収率は96.7%であった。この粗生成物をさらに209℃(0.0071mbar)でクーゲルロール蒸留することにより精製した。純度96.27%(GC、内部標準)の純粋な生成物を無色〜淡黄色の油状物として単離した。酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの収量は17.44gであり、(all−rac)−α−トコフェロールを基準とした収率は96.1%であった。蒸留残渣中に酢酸エステル0.1%が検出された。
実施例5
酢酸(2R,4’R,8’R)−α−トコフェリルの調製
KPG撹拌機、温度計、およびアルゴン導入口を有する環流冷却器を備えた50mlの四頚フラスコ内で、固体触媒No1(11%Ca+50%Na/酸化ケイ素)0.51gの存在下に(2R,4’R,8’R)−α−トコフェロール17.2g(38.4mmol)を無水酢酸8.25g(80.8mmol)に溶解した。この混合物を400rpmで撹拌し、100℃(内部温度)で3時間30分加熱した。混合物を30℃に冷却し、NaCO5gで中和し、濾過し、ヘプタン70mlで洗浄し、減圧下(10mbar、40℃)で蒸発させた。純度87.88%の酢酸(2R,4’R,8’R)−α−トコフェリルであることを示す(GCにより分析、内部標準)黄色油状物20.58gを得た。α−トコフェロールを基準とした収率は99.7%であった。この粗生成物をさらに201℃(0.0071mbar)でクーゲルロール蒸留することにより精製した。純度92.49%(GC、内部標準)の純粋な生成物を無色〜淡黄色の油状物として単離した。酢酸(2R,4’R,8’R)−α−トコフェリルの収量は17.73gであり、α−トコフェロールを基準とした収率は97.7%であった。蒸留残渣中に酢酸エステル0.3%が検出された。
得られた酢酸(2R,4’R,8’R)−α−トコフェリルのキラルHPLC分析に基づく光学純度は99.83%であった。
実施例6
酢酸(all−rac)−γ−トコフェリルの調製
KPG撹拌機、温度計、およびアルゴン導入口を有する環流冷却器を備えた50mlの四頚フラスコ内で、固体触媒No1(11%Ca+50%Na/酸化ケイ素)0.51gの存在下に(all−rac)−γ−トコフェロール16.89g(38.4mmol)を無水酢酸8.23g(80.6mmol)に溶解した。この混合物を400rpmで撹拌し、100℃(内部温度)で4時間l5分加熱した。混合物を26℃に冷却し、NaCO5gで中和し、濾過し、ヘプタン70mlで洗浄し、減圧下(10mbar、40℃)で蒸発させた。純度90.61%の酢酸(all−rac)−γ−トコフェリルであることを示す(GCにより分析、内部標準)赤色油状物19.15gを得た。γ−トコフェロール(tocoperhol)を基準とした収率は98.6%であった。この粗生成物をさらに200℃(0.0076mbar)でクーゲルロール蒸留することにより精製した。純度92.68%(GC、内部標準)の純粋な生成物を無色〜淡黄色の油状物として単離した。酢酸(RRR)−γ−トコフェリルの収量は16.73gであり、γ−トコフェロールを基準とした収率は95.0%であった。
実施例7
酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの調製
KPG撹拌機、温度計、およびアルゴン導入口を有する環流冷却器を備えた50mlの四頚フラスコ内で、KF/A1(No20)0.5gの存在下に(all−rac)−α−トコフェロール17.04g(38.4mmol)を無水酢酸8.23g(80.6mmol)に溶解した。この混合物を400rpmで撹拌し、100℃(内部温度)で6時間加熱した。混合物を25℃に冷却し、NaCO5gで中和し、15分間撹拌し、濾過し、ヘプタン70mlで洗浄し、減圧下(10mbar、40℃)で蒸発させた。純度95.91%の酢酸(all−rac)−α−トコフェリルであることを示す(GCにより分析、内部標準)黄色油状物18.81gを得た。(all−rac)−α−トコフェロールを基準とした収率は99.4%であった。この粗生成物をさらに200℃(0.0092mbar)でクーゲルロール蒸留することにより精製した。純度95.93%(GC、内部標準)の純粋な生成物を無色〜淡黄色の油状物として単離した。酢酸(all−rac)−α−トコフェリルの収量は17.44gであり、(all−rac)−α−トコフェロールを基準とした収率は96.1%であった。蒸留残渣中に酢酸(all−rac)−α−トコフェリル1.4%が検出された。

Claims (15)

  1. 触媒としてのSiO またはA1 上のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の存在下にトコフェロールをアシル化剤と反応させることを含み、前記アシル化剤はC 1〜7 アルカン酸の無水物またはハロゲン化物であるトコフェリル 1〜7 アシレートの製造方法。
  2. 前記アシル化剤中のアシル基が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはピバリン酸から誘導されたものである、請求項に記載の方法。
  3. 前記アシル化剤が、無水酢酸または塩化アセチルである、請求項に記載の方法。
  4. 前記触媒が、SiOまたはA1上のアルカリ金属である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記触媒が、SiO またはA1 上のNaまたはKである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記触媒が、SiOまたはA1上のアルカリ土類金属である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記触媒が、SiO またはA1 上のCaである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記触媒が、SiO またはA1 上のNa及びCa、あるいはK及びCaである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記反応が、反応体の一方すなわち前記トコフェロールまたは前記アシル化剤を過剰とし、かつ添加溶媒の非存在下に実施される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記アシル化剤が過剰に使用される、請求項に記載の方法。
  11. 前記アシル化剤が初期反応混合物中に存在するトコフェロールのモル量に対し1〜3倍モル量使用される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記アシル化剤が初期反応混合物中に存在するトコフェロールのモル量に対し1.5〜2.5倍モル量で使用される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記アシル化剤が初期反応混合物中に存在するトコフェロールのモル量に対し1.75〜2.25倍モル量で使用される、請求項10に記載の方法。
  14. (all−rac)−α−トコフェロールまたは(RRR)−γ−トコフェロールがそれぞれ酢酸(all−rac)−α−トコフェリルまたは酢酸(RRR)−γ−トコフェリルにアシル化される、請求項1に記載の方法。
  15. 請求項1に記載の 1〜7 アルカン酸の無水物またはハロゲン化物を用いたトコフェロールのアシル化における、触媒としてのSiOまたはA1上のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の使用。
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