JP4873855B2 - 電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池 - Google Patents

電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池 Download PDF

Info

Publication number
JP4873855B2
JP4873855B2 JP2004353906A JP2004353906A JP4873855B2 JP 4873855 B2 JP4873855 B2 JP 4873855B2 JP 2004353906 A JP2004353906 A JP 2004353906A JP 2004353906 A JP2004353906 A JP 2004353906A JP 4873855 B2 JP4873855 B2 JP 4873855B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous electrolyte
battery
combustion
group
additive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004353906A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005340161A (ja
Inventor
正珠 大月
眞一 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2004353906A priority Critical patent/JP4873855B2/ja
Publication of JP2005340161A publication Critical patent/JP2005340161A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4873855B2 publication Critical patent/JP4873855B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Primary Cells (AREA)

Description

本発明は、電池の非水電解液用添加剤、該添加剤を含む電池用非水電解液及び該非水電解液を備えた非水電解液電池に関し、特に優れた燃焼抑制効果を有する電池の非水電解液用添加剤に関するものである。
近年、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源として、又は小型電子機器の電源として、軽量且つ長寿命で、高エネルギー密度の電池が求められている。これに対し、リチウムを負極活物質とする非水電解液電池は、リチウムの電極電位が金属中で最も低く、単位体積当りの電気容量が大きいために、エネルギー密度の高い電池の一つとして知られており、1次電池・2次電池を問わず多くの種類のものが活発に研究され、一部が実用化し市場に供給されている。例えば、非水電解液1次電池は、カメラ、電子ウォッチ及び各種メモリーバックアップ用電源として用いられている。また、非水電解液2次電池は、ノート型パソコン及び携帯電話等の駆動電源として用いられており、更には、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源として用いることが検討されている。
これらの非水電解液電池においては、負極活物質のリチウムが水及びアルコール等の活性プロトンを有する化合物と激しく反応するため、該電池に使用される電解液は、エステル化合物及びエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒に限られている。
しかしながら、上記非プロトン性有機溶媒は、負極活物質のリチウムとの反応性が低いものの、例えば、電池の短絡時等に大電流が急激に流れ、電池が異常に発熱した際に、気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱により電池の破裂・発火を引き起こしたり、短絡時に生じる火花が引火する等の危険性が高い。
これに対して、電池用非水電解液にホスファゼン化合物を添加して、非水電解液に不燃性、難燃性又は自己消火性を付与して、短絡等の非常時に電池が発火・引火する危険性を大幅に低減した非水電解液電池が開発されている(特許文献1参照)。
特開平6−13108号公報
上記ホスファゼン化合物は、短絡等により非水電解液電池が非常に高温になった際に、熱分解して電解液中の非プロトン性有機溶媒の燃焼を抑制する物質を放出し、電池の安全性を改善できるものの、使用するホスファゼン化合物の分子構造によっては、燃焼抑制に寄与しない部分があるため、更に改良の余地がある。
そこで、本発明の目的は、燃焼時に特に優れた燃焼抑制効果を有する燃焼抑制物質を放出することが可能な燃焼抑制物質放出化合物を含有する電池の非水電解液用添加剤を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる非水電解液用添加剤を含み、優れた安全性を有する電池用非水電解液及び該非水電解液を備えた安全性の高い非水電解液電池を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造の燃焼抑制物質が優れた燃焼抑制効果を有し、かかる燃焼抑制物質を放出することが可能な燃焼抑制物質放出化合物を非水電解液に添加することで、非水電解液及び該非水電解液を備えた非水電解液電池の安全性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電池の非水電解液用添加剤は、燃焼時に燃焼抑制物質を放出する燃焼抑制物質放出化合物を含有し、前記燃焼抑制物質が分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物であって、且つ、自己消火性物質、難燃性物質及び不燃性物質の少なくともいずれかであり、前記ホスフィンオキサイド化合物が下記式(I):
O=PR 1 3 ・・・ (I)
(式中、R 1 は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR 1 がフッ素で、少なくとも一つのR 1 がアミノ基である)で表されることを特徴とする。
本発明の電池の非水電解液用添加剤おいては式(I)中のR1が、それぞれ独立してフッ素、アミノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選択され、且つ少なくとも一つのR1がフッ素で、少なくとも一つのR 1 アミノ基であるの好ましい。また式(I)中のR1の総てが、フッ素又はアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物が特に好ましい。
本発明の電池の非水電解液用添加剤の他の好適例においては、前記燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン並びにフッ素及び窒素を含む。ここで、該燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン−窒素結合を有するのが更に好ましく、分子中にリン−窒素間二重結合を有するのがより一層好ましい。また、前記燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン−フッ素結合を有するのも好ましい。かかる燃焼抑制物質放出化合物としては、ホスファゼン化合物及びホスファゼン化合物の異性体が好適に挙げられる。
本発明の電池用非水電解液は、上記電池の非水電解液用添加剤と、支持塩とを含むことを特徴とする。
本発明の電池用非水電解液は、更に非プロトン性有機溶媒を含むのが好ましい。ここで、該非プロトン性有機溶媒としては、環状及び鎖状のエステル化合物並びに鎖状のエーテル化合物が好ましい。
また、本発明の電池用非水電解液は、UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法に準拠する方法による燃焼時に、前記電池用非水電解液1L当り燃焼抑制物質を0.03 mol以上放出できるのが好ましい。
本発明の電池用非水電解液は、前記燃焼抑制物質放出化合物を3体積%以上含有するのが好ましく、5体積%以上含有するのが更に好ましい。
更に、本発明の非水電解液電池は、上記電池用非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、燃焼時に燃焼抑制物質として、自己消火性物質、難燃性物質及び不燃性物質の少なくともいずれかであり、上記式(I)で表わされ、分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物を放出する燃焼抑制物質放出化合物を含有し、非水電解液の燃焼性を大幅に低減することが可能な電池の非水電解液用添加剤を提供することができる。また、かかる添加剤を含み、発火・引火の危険性が大幅に抑制された電池用非水電解液を提供することができる。更に、該非水電解液を備え、安全性が著しく改善された非水電解液電池を提供することができる。
<電池の非水電解液用添加剤>
以下に、本発明の電池の非水電解液用添加剤を詳細に説明する。本発明の電池の非水電解液用添加剤は、燃焼時に燃焼抑制物質を放出する燃焼抑制物質放出化合物を含有し、前記燃焼抑制物質が分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物であって、且つ、自己消火性物質、難燃性物質及び不燃性物質の少なくともいずれかであり、前記ホスフィンオキサイド化合物が上記式(I)で表されることを特徴とし、必要に応じてその他の成分を含有することができる。分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物は、電解液に通常含まれる非プロトン性有機溶媒の燃焼性を大幅に抑制する作用を有する。そのため、燃焼時に燃焼抑制物質として分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物を放出する燃焼抑制物質放出化合物を非水電解液に添加することで、非水電解液の燃焼性を大幅に抑制することができる。
上記燃焼抑制物質は、燃焼時に非水電解液に着火した炎の燃焼を抑制できる限り特に制限はないが、非水電解液を自己消火性、難燃性又は不燃性にできるもの、即ち、自己消火性物質、難燃性物質又は不燃性物質である。ここで、自己消火性、難燃性及び不燃性とは、UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法に準拠する方法で定義されるものであり、具体的には、不燃性石英ファイバーに1.0 mLの電解液を染み込ませ127 mm×12.7 mmの試験片を作製し、該試験片を大気環境下で着火した際、着火した炎が25〜100 mmラインの間で消火し、かつ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を「自己消火性」有りとし、着火した炎が装置の25 mmラインまで到達せず、かつ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を「難燃性」ありとし、着火が認められなかった場合(燃焼長0 mm)を「不燃性」ありとしたものである。
上記燃焼抑制物質は、分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物であって、上記式(I)で表される式(I)において、R1は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR1はフッ素で、少なくとも一つのR 1 はアミノ基である。ここで、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が特に好ましい。一方、一価の置換基としては、アミノ基、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、電解液の発火・引火の危険性を低減する効果に優れる点で、アミノ基が好ましい。また、上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素が最も好ましく、次いで、塩素が好ましい。
上記ホスフィンオキサイド化合物は、分子中の10質量%以上がハロゲン元素であるのが好ましく、分子中の15質量%以上がハロゲン元素であるのが更に好ましい。また、該ホスフィンオキサイド化合物は、分子中の7質量%以上がフッ素であるのが好ましく、分子中の10質量%以上がフッ素であるのが更に好ましい。分子中の10質量%以上がハロゲン元素であるホスフィンオキサイド化合物は、非水電解液の燃焼を抑制する効果に優れ、分子中の7質量%以上がフッ素であるホスフィンオキサイド化合物は、非水電解液の燃焼を抑制する効果に特に優れる。
上記ホスフィンオキサイド化合物としては式(I)中のR1の総てがフッ素又はアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物が特に好ましい。これらホスフィンオキサイド化合物は、電解液の燃焼抑制に寄与するフッ素及びアミノ基の分子中に占める割合が高いため、優れた燃焼抑制効果を有する。
上記式(I)のホスフィンオキサイド化合物として、具体的にはアミノジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2NH2]、ジアミノフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(NH2)2が挙げられる。
本発明の電池の非水電解液用添加剤に用いられる燃焼抑制物質放出化合物は、燃焼時に上記燃焼抑制物質を放出できる限り特に制限はなく、CO2やリン酸エステル等の他の燃焼抑制物質を放出してもよい。ここで、「燃焼時」とは、非水電解液に炎が着火した時を意味する。該燃焼抑制物質放出化合物としては、上記燃焼抑制物質を好適に放出できる点で、分子中にリン並びにフッ素及び窒素を含む化合物が好ましい。
ここで、燃焼抑制物質放出化合物が、分子中にリン及びフッ素を含む場合、上記燃焼抑制物質に加え、燃焼時に発生するフッ素ガスの作用によって、より効果的に電解液の燃焼性を抑制することができる。なお、フッ素を含む化合物においては、フッ素ラジカルの発生が問題となることがあるが、上記燃焼抑制物質放出化合物においては、分子中のリンがフッ素ラジカルを捕捉して、安定なフッ化リンを形成するため、このような問題は発生しない。上記フッ素の燃焼抑制物質放出化合物における含有量は、2〜80質量%の範囲が好ましく、2〜60質量%の範囲が更に好ましく、2〜50質量%の範囲がより一層好ましい。燃焼抑制物質放出化合物のフッ素含有量が、2質量%未満では、電解液の燃焼性を抑制する効果が小さく、80質量%を超えると、粘度が高くなり、電解液の導電率が低下することがある。
また、上記燃焼抑制物質放出化合物としては、燃焼抑制物質として分子中にP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物を好適に放出できる点で、分子中にリン−窒素結合を有する化合物が好ましく、分子中にリン−窒素間二重結合を有する化合物が更に好ましい。ここで、分子中にリン−窒素結合を有する化合物としては、ホスファゼン化合物及びホスファゼン化合物の異性体を挙げることができ、分子中にリン−窒素間二重結合を有する化合物としては、ホスファゼン化合物を挙げることができる。
更に、上記燃焼抑制物質放出化合物としては、燃焼抑制物質として分子中にP−F結合を有するホスフィンオキサイド化合物を好適に放出できる点で、分子中にリン−フッ素結合を有する化合物が好ましい。分子中にリン−フッ素結合を有する化合物としては、ホスフィン化合物、シクロホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、シクロホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンボラン化合物、シラホスファン化合物、ホスホアルセニックシクロシラザン化合物、ホスフォキシドボラン化合物、並びに鎖状及び環状のホスファゼン化合物等の含リン化合物であって、分子中のリンにフッ素が直接結合した化合物を用いることができる。
上記ホスファゼン化合物としては、下記式(II):
Figure 0004873855

[式中、R2は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y2は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;X2は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表す]で表される鎖状ホスファゼン化合物、及び下記式(III):
(NPR3 2)n ・・・ (III)
[式中、R3はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;nは3〜15を表す]で表される環状ホスファゼン化合物が好適に挙げられる。
また、上記式(II)又は式(III)で表されるホスファゼン化合物の中でも、25℃(室温)において液体であるものが好ましい。該液状ホスファゼン化合物の25℃における粘度は、300mPa・s(300cP)以下が好ましく、20mPa・s(20cP)以下が更に好ましく、5mPa・s(5cP)以下が特に好ましい。なお、本発明において粘度は、粘度測定計[R型粘度計Model RE500-SL、東機産業(株)製]を用い、1rpm、2rpm、3rpm、5rpm、7rpm、10rpm、20rpm及び50rpmの各回転速度で120秒間づつ測定し、指示値が50〜60%となった時の回転速度を分析条件とし、その際の粘度を測定することによって求めた。ホスファゼン化合物の25℃における粘度が300mPa・s(300cP)を超えると、支持塩が溶解し難くなり、正極材料、負極材料、セパレーター等への濡れ性が低下し、電解液の粘性抵抗の増大によりイオン導電性が著しく低下し、特に氷点以下等の低温条件下での使用において性能不足となる。また、これらのホスファゼン化合物は、液状であるため、通常の液状電解質と同等の導電性を有し、二次電池の電解液に使用した場合、優れたサイクル特性を示す。
式(II)のR2は、一価の置換基又はハロゲン元素である限り特に制限はなく、各R2は、同一でも、異なってもよい。ここで、一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基及びメトキシエトキシエトキシ基が好ましく、低粘度・高誘電率の観点から、メトキシ基及びエトキシ基が更に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、該ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素が好適であり、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。一価の置換基中の水素元素がフッ素で置換されているものは、塩素で置換されているものに比べて2次電池のサイクル特性を向上させる効果が大きい傾向がある。上記一価の置換基及びハロゲン元素の中でも、式(II)のR2としては、フッ素が特に好ましい。
式(II)のY2は、2価の連結基、2価の元素又は単結合である限り特に制限はなく、各Y2は、同一でも、異なってもよい。ここで、2価の連結基としては、CH2基の他、酸素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が挙げられ、電解液の発火・引火の危険性を効果的に低減する観点から、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基が好ましい。また、上記2価の元素としては、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの中でも、式(II)のY2としては、単結合が好ましい。式(II)の少なくとも一つのY22がフッ素であるホスファゼン化合物は、分子中にP-F結合を有し、燃焼時に燃焼抑制物質として分子中にP−F結合を有するホスフィンオキサイド化合物を好適に放出できる。
式(II)のX2は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基である限り特に制限はない。有害性、環境等への配慮の観点から、式(II)のX2としては、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基が好ましく、下記式(IV)、式(V)又は式(VI):
Figure 0004873855

Figure 0004873855

Figure 0004873855

[式(IV)、式(V)及び式(VI)中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y4、Y5及びY6は、それぞれ独立に2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Zは2価の基又は2価の元素を表す]で表される置換基が更に好ましい。
式(IV)のR4、式(V)のR5及び式(VI)のR6としては、式(II)のR2で述べたのと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。また、式(IV)の2つのR4、並びに式(VI)の2つのR6は、それぞれ同一でも、異なってもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(IV)のY4、式(V)のY5及び式(VI)のY6としては、式(II)のY2で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素がいずれも好適に挙げられる。同様に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基の場合には、電解液の発火・引火の危険性が大きく低減するため特に好ましい。また、Y4、Y5及びY6としては、単結合も好ましい。式(IV)の2つのY4、並びに式(VI)の2つのY6は、それぞれ同一でも、異なってもよい。
式(IV)のZは、2価の基又は2価の元素である限り特に制限はない。ここで、2価の基としては、CH2基、CHR基(ここで、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基等を表す)、NR基の他、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基等が挙げられ;2価の元素としては、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの中でも、式(IV)のZとしては、CH2基、CHR基、NR基の他、酸素、硫黄、セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の基の場合には、電解液の発火・引火の危険性が大幅に低減するため好ましい。
これら置換基としては、特に効果的に発火・引火の危険性を低減し得る点で、式(IV)で表されるようなリンを含む置換基が特に好ましい。また、置換基が式(V)で表されるような硫黄を含む置換基である場合には、電解液の小界面抵抗化の点で特に好ましい。
式(III)のR3は、一価の置換基又はハロゲン元素である限り特に制限はない。ここで、一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が特に好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基が特に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ;上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ;上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素原子で置換された置換基としては、トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。上記一価の置換基及びハロゲン元素の中でも、式(III)のR3としては、フッ素が特に好ましい。少なくとも一つのR3がフッ素のホスファゼン化合物は、分子中にP-F結合を有し、燃焼時に燃焼抑制物質として分子中にP−F結合を有するホスフィンオキサイド化合物を好適に放出できる。
式(II)〜式(VI)におけるR2〜R6、Y2、Y4〜Y6、Zを適宜選択することにより、より好適な粘度、添加・混合に適する溶解性等を有するホスファゼン化合物が得られる。これらホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記ホスファゼン化合物の異性体として、具体的には、下記式(VII):
Figure 0004873855

[式中、R7は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y7は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;X7は、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群より選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表す]で表される化合物が挙げられる。なお、上記式(VII)の化合物は、下記式(VIII):
Figure 0004873855

[式中、R7、Y7、及びX7は、上記と同義である]で表されるホスファゼン化合物の異性体である。
式(VII)におけるR7としては、一価の置換基又はハロゲン元素であれば特に制限はなく、上述した式(II)におけるR2で述べたのと同様の一価の置換基及びハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。また、式(VII)において、Y7で表される2価の連結基又は2価の元素としては、式(II)におけるY7で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素等がいずれも好適に挙げられる。更に、式(VII)において、X7で表される置換基としては、式(II)におけるX2で述べたのと同様の置換基がいずれも好適に挙げられる。ここで、少なくとも一つのY7がフッ素であるホスファゼン化合物の異性体は、分子中にP-F結合を有し、燃焼時に燃焼抑制物質として分子中にP−F結合を有するホスフィンオキサイド化合物を好適に放出できる。
式(VII)で表される化合物は、式(VIII)で表されるホスファゼン化合物の異性体であり、例えば、式(VIII)で表されるホスファゼン化合物を生成させる際の真空度及び/又は温度を調節することで製造できる。また、該ホスファゼン化合物の異性体の含有量(体積%)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定できる。
本発明の非水電解液用添加剤は、上述した燃焼抑制物質放出化合物以外に、電解液の燃焼を抑制する効果を阻害しない限り、任意の添加剤を含有することができる。なお、非水電解液用添加剤中の燃焼抑制物質放出化合物の含有量は、後述する非水電解液中の燃焼抑制物質放出化合物の含有量に応じて適宜選択される。
<電池用非水電解液>
次に、本発明の電池用非水電解液を詳細に説明する。本発明の電池用非水電解液は、上述の電池の非水電解液用添加剤と、支持塩とを含み、必要に応じて、非プロトン性有機溶媒等を含んでもよい。
本発明の電池用非水電解液に用いられる支持塩としては、リチウムイオンのイオン源となる支持塩が好ましい。該支持塩としては、特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC49SO3、Li(CF3SO2)2N及びLi(C25SO2)2N等のリチウム塩が好適に挙げられる。これら支持塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記非水電解液中の支持塩の濃度としては、0.2〜1.5mol/L(M)が好ましく、0.5〜1mol/L(M)が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L未満では、電解液の導電性を充分に確保することができず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがあり、1.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオンの移動度を充分に確保できないため、前述と同様に電解液の導電性を充分に確保できず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがある。
本発明の非水電解液に用いることができる非プロトン性有機溶媒は、負極と反応することなく、更には非水電解液の粘度を低く抑えることができる。該非プロトン性有機溶媒として、具体的には、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフェニルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、メチルフォルメート(MF)等のエステル類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が好適に挙げられる。これらの中でも、1次電池の非水電解液用の非プロトン性有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン及びγ-ブチロラクトンが好ましく、一方、2次電池の非水電解液用の非プロトン性有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルフォルメートが好ましい。なお、環状のエステル類は、比誘電率が高く支持塩の溶解性に優れる点で好適であり、一方、鎖状のエステル類及び鎖状のエーテル類は、低粘度であるため、電解液の低粘度化の点で好適である。これら非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の電池用非水電解液は、燃焼時に、該非水電解液1L当り上記燃焼抑制物質を0.03mol以上放出するのが好ましく、0.05〜0.5mol放出するのが更に好ましい。燃焼時の燃焼抑制物質の放出量が非水電解液1L当り0.03mol未満では、非水電解液の燃焼性を充分に抑制できないことがある。
本発明の電池用非水電解液中の上記燃焼抑制物質放出化合物の含有率は、3体積%以上であるのが好ましく、5体積%以上であるのが更に好ましい。上記燃焼抑制物質放出化合物の非水電解液中における含有率が3体積%以上であれば、非水電解液の発火・引火の危険性を充分に抑制することができる。なお、本発明の電池用非水電解液は、上記燃焼抑制物質放出化合物を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
<非水電解液電池>
次に、本発明の非水電解液電池を詳細に説明する。本発明の非水電解液電池は、上述の電池用非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
本発明の非水電解液電池の正極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の正極活物質としては、フッ化黒鉛[(CFx)n]、MnO2(電気化学合成であっても化学合成であってもよい)、V25、MoO3、Ag2CrO4、CuO、CuS、FeS2、SO2、SOCl2、TiS2等が好適に挙げられ、これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には放電電位が高く電解液の濡れ性に優れる点で、MnO2、フッ化黒鉛が好ましい。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、非水電解液2次電池の正極活物質としては、V25、V613、MnO2、MnO3等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられる。上記リチウム含有複合酸化物は、Fe、Mn、Co及びNiからなる群から選択される2種又は3種の遷移金属を含む複合酸化物であってもよく、この場合、該複合酸化物は、LiFexCoyNi(1-x-y)2(式中、0≦x<1、0≦y<1、0<x+y≦1)、あるいはLiMnxFey2-x-y等で表される。これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24が特に好適である。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水電解液電池の負極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体の他、リチウム合金等が挙げられる。リチウムと合金をつくる金属としては、Sn、Pb、Al、Au、Pt、In、Zn、Cd、Ag、Mg等が挙げられる。これらの中でも、埋蔵量の多さ、毒性の観点からAl、Zn、Mgが好ましい。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、非水電解液2次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体、リチウムとAl、In、Pb又はZn等との合金、リチウムをドープした黒鉛等の炭素材料等が好適に挙げられ、これらの中でも安全性がより高く、電解液の濡れ性に優れる点で、黒鉛等の炭素材料が好ましく、黒鉛が特に好ましい。ここで、黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等、広くは易黒鉛化カーボンや難黒鉛化カーボンが挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記正極及び負極には、必要に応じて導電剤、結着剤を混合することができ、導電剤としてはアセチレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができる。
また、上記正極及び負極の形状としては、特に制限はなく、電極として公知の形状の中から適宜選択することができる。例えば、シート状、円柱形状、板状形状、スパイラル形状等が挙げられる。
本発明の非水電解液電池に使用できる他の部材としては、非水電解液電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、且つ電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルム、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが特に好適である。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電池に使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
以上に説明した本発明の非水電解液電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。ボタンタイプの場合は、シート状の正極及び負極を作製し、該正極及び負極でセパレーターを挟む等して、非水電解液電池を作製することができる。また、スパイラル構造の場合は、例えば、シート状の正極を作製して集電体を挟み、これに、シート状の負極を重ね合わせて巻き上げる等して、非水電解液電池を作製することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
エチレンカーボネート(EC)27体積%、エチルメチルカーボネート(EMC)63体積%及び上記式(III)において、nが3で、6つのR3中、1つがエトキシ基で、5つがフッ素の環状ホスファゼン化合物A[25℃における粘度:1.2mPa・s]10体積%からなる混合溶液に、LiPF6(支持塩)を1mol/L(M)になるように溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液の安全性を、上述のUL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法に準拠する方法で評価した。なお、該試験で着火した炎が100mmラインを超えた場合は「燃焼性」とした。また、非水電解液の限界酸素指数、及び燃焼時のホスフィンオキサイド化合物の発生量を下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
(1)電解液の限界酸素指数
JIS K 7201に準じて、電解液の限界酸素指数を測定した。限界酸素指数が大きい程、電解液が燃焼し難いことを示す。具体的には、SiO2シート(石英濾紙、不燃性)127mm×12.7mmをU字型のアルミ箔で補強して自立可能とし、該SiO2シートに前記電解液1.0mLを含浸して試験片を作製した。該試験片を試験片支持具に垂直に、燃焼円筒(内径75mm、高さ450mm、直径4mmのガラス粒を底部から100±5mmの厚さに均等に満たし金属製の網をその上に置いたもの)の上端部から100mm以上の距離に位置するように取り付け、次に、燃焼円筒に酸素(JIS K 1101又はこれと同等以上のもの)及び窒素(JIS K 1107の2級又はこれと同等以上のもの)を流し、試験片を所定の条件下で点火し(熱源はJIS K 2240の1種1号)、燃焼状態を調べた。但し、燃焼円筒内の総流量は11.4L/minである。この試験を3回行い、その平均値を表2に示す。なお、酸素指数とは、材料が燃焼を持続するのに必要な容量パーセントで表される最低酸素濃度の値をいい、本願では、試験片が3分以上継続して燃焼するか、着炎後の燃焼長さが50mm以上燃えるのに必要な最低の酸素流量とそのときの窒素流量から、下記の式:
限界酸素指数=(酸素流量)/[(酸素流量)+(窒素流量)]×100(体積%)
に従って限界酸素指数を算出した。
(2)燃焼時のホスフィンオキサイド化合物の発生量
燃焼室(30×30×30cm)中で、不燃性石英シートに染み込ませた電解液に、800℃炎温度で着火し、発生するガスをガス捕集管(TenaxTA充填)に吸着させTDS-GC-MSで分析した。なお、GCには、DB-5カラム(カラム長30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用い、カラム温度40〜300℃(昇温速度25℃/分)であり、MSの測定質量範囲を5〜500とした。
<非水電解液2次電池の作製>
次に、LiMn24(正極活物質)94質量部に対して、アセチレンブラック(導電剤)3質量部と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部とを添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの正極シートを作製した。得られた正極シートに、厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン製)を介して、厚さ150μmのリチウム金属箔を重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。該円筒型電極に、上記電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池(非水電解液2次電池)を作製した。得られた電池の初期電池特性(電圧、内部抵抗)を20℃で測定した後、下記の方法で、電池のサイクル特性及び低温特性を評価した。結果を表1に示す。
(3)電池のサイクル特性
20℃の環境下で、上限電圧4.5V、下限電圧3.0V、放電電流100mA、充電電流50mAの条件で、50サイクルまで充放電を繰り返し、初期における放電容量と50サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量残存率S=50サイクル後の放電容量/初期放電容量×100(%)
に従って容量残存率Sを算出し、電池のサイクル特性の指標とした。
(4)電池の低温特性
20℃と-10℃の環境下のそれぞれで、上限電圧4.5V、下限電圧3.0V、放電電流100mA、充電電流50mAの条件で、50サイクルまで充放電を繰り返し、50サイクル後の放電容量を測定した。20℃における50サイクル後の放電容量と、-10℃における50サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量残存率L=放電容量(-10℃)/放電容量(20℃)×100(%)
に従って容量残存率Lを算出し、電池の低温特性の指標とした。
(実施例2)
環状ホスファゼン化合物Aに代えて、環状ホスファゼン化合物B[式(III)において、nが3であって、6つのR3のうち2つがエトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物25℃における粘度:1.2mPa・s]を用いる以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、該非水電解液の安全性及びホスフィンオキサイド化合物発生量を評価・測定した。更に、該非水電解液を用いて、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、該電池の性能を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
環状ホスファゼン化合物Aに代えて、環状ホスファゼン化合物C[式(III)において、nが3であって、6つのR3のうち1つがフェノキシ基(PhO−)で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物、25℃における粘度:1.7mPa・s(1.7cP)]を用いる以外は、実施例1と同様にして非水電解液及び非水電解液2次電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
エチレンカーボネート(EC)30体積%及びエチルメチルカーボネート(EMC)70体積%からなる混合溶液に、LiPF6(支持塩)を1mol/L(M)になるように溶解させて、非水電解液を調製し、実施例1と同様にして評価した。また、該非水電解液を用いて、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004873855
実施例1〜3では、非水電解液の燃焼時に分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物が発生し、該非水電解液の燃焼性が抑制されていることが分る。また、実施例1〜3の非水電解液電池は、電池として充分な特性を有していた。

Claims (15)

  1. 燃焼時に燃焼抑制物質を放出する燃焼抑制物質放出化合物を含有する電池の非水電解液用添加剤において、
    前記燃焼抑制物質が分子中にP−F結合及びP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物であって、且つ、自己消火性物質、難燃性物質及び不燃性物質の少なくともいずれかであり、
    前記ホスフィンオキサイド化合物が下記式(I):
    O=PR 1 3 ・・・ (I)
    (式中、R 1 は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR 1 がフッ素で、少なくとも一つのR 1 がアミノ基である)で表されることを特徴とする電池の非水電解液用添加剤。
  2. 前記式(I)中のR1が、それぞれ独立してフッ素、アミノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選択され、且つ少なくとも一つのR1がフッ素で、少なくとも一つのR 1 アミノ基であることを特徴とする請求項1に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  3. 前記式(I)中のR1が、それぞれ独立してフッ素又はアミノ基であり、少なくとも一つのR 1 がフッ素で、少なくとも一つのR 1 がアミノ基であることを特徴とする請求項1に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  4. 前記燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン並びにフッ素及び窒素を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  5. 前記燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン−窒素結合を有することを特徴とする請求項4に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  6. 前記燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン−窒素間二重結合を有することを特徴とする請求項5に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  7. 前記燃焼抑制物質放出化合物が分子中にリン−フッ素結合を有することを特徴とする請求項4に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  8. 前記燃焼抑制物質放出化合物が、ホスファゼン化合物又はホスファゼン化合物の異性体であることを特徴とする請求項5に記載の電池の非水電解液用添加剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の電池の非水電解液用添加剤と、支持塩とを含む電池用非水電解液。
  10. 更に非プロトン性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項9に記載の電池用非水電解液。
  11. 前記非プロトン性有機溶媒が、環状若しくは鎖状のエステル化合物又は鎖状のエーテル化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の電池用非水電解液。
  12. UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法に準拠する方法による燃焼時に、前記電池用非水電解液1L当り燃焼抑制物質を0.03 mol以上放出することを特徴とする請求項9に記載の電池用非水電解液。
  13. 前記燃焼抑制物質放出化合物を3体積%以上含有することを特徴とする請求項9に記載の電池用非水電解液。
  14. 前記燃焼抑制物質放出化合物を5体積%以上含有することを特徴とする請求項13に記載の電池用非水電解液。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の電池用非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電池。
JP2004353906A 2004-04-27 2004-12-07 電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池 Active JP4873855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004353906A JP4873855B2 (ja) 2004-04-27 2004-12-07 電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004130800 2004-04-27
JP2004130800 2004-04-27
JP2004353906A JP4873855B2 (ja) 2004-04-27 2004-12-07 電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005340161A JP2005340161A (ja) 2005-12-08
JP4873855B2 true JP4873855B2 (ja) 2012-02-08

Family

ID=35493463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004353906A Active JP4873855B2 (ja) 2004-04-27 2004-12-07 電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4873855B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111710910A (zh) * 2020-07-01 2020-09-25 香河昆仑化学制品有限公司 一种含有双四氟磷酰亚胺盐的电解液及锂离子电池

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4396675B2 (ja) 2006-06-16 2010-01-13 ソニー株式会社 非水電解質二次電池
KR100998102B1 (ko) 2009-03-04 2010-12-02 주식회사 엘지화학 공융혼합물을 포함하는 전해질 및 이를 구비한 전기화학소자
CN117728034B (zh) * 2024-02-07 2024-05-24 新乡华锐锂电新能源股份有限公司 一种超低温下倍率放电的锂离子电池电解液及其制备方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5830600A (en) * 1996-05-24 1998-11-03 Sri International Nonflammable/self-extinguishing electrolytes for batteries
EP1329974B1 (en) * 2000-09-07 2018-05-02 Bridgestone Corporation Non-aqueous liquid electrolyte secondary cell and non-aqueous liquid electrolyte electric double layer capacitor
KR20040005899A (ko) * 2001-03-30 2004-01-16 가부시키가이샤 브리지스톤 전지 및 전기이중층 캐패시터용 첨가제
CN1279649C (zh) * 2001-07-05 2006-10-11 株式会社普利司通 非水电解液电池、磷腈衍生物及其制造方法
JP3768127B2 (ja) * 2001-08-31 2006-04-19 三洋電機株式会社 非水電解質電池
KR100647052B1 (ko) * 2002-04-19 2006-11-23 가부시키가이샤 브리지스톤 비수전해액 전지용 양극 및 그 제조 방법, 그리고비수전해액 전지
CN1871740A (zh) * 2003-10-07 2006-11-29 株式会社杰士汤浅 非水电解质二次电池
JP4701599B2 (ja) * 2003-10-10 2011-06-15 株式会社Gsユアサ 非水電解質二次電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111710910A (zh) * 2020-07-01 2020-09-25 香河昆仑化学制品有限公司 一种含有双四氟磷酰亚胺盐的电解液及锂离子电池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005340161A (ja) 2005-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5315674B2 (ja) 非水電池用電解液及びこれを用いた非水電池
JP5738011B2 (ja) 二次電池の非水電解液用添加剤、二次電池用非水電解液及び非水電解液二次電池
JP4911888B2 (ja) 非水電解液及びそれを備えた非水電解液2次電池
JP2008053212A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池
WO2006109443A1 (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液二次電池
JP2007200605A (ja) 非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池
JP4458841B2 (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池
JP2010015719A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液二次電池
JP5738010B2 (ja) 二次電池用非水電解液及び非水電解液二次電池
JP4785735B2 (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池
JP2006286571A (ja) リチウム二次電池用非水電解液及びそれを備えたリチウム二次電池
WO2005064734A1 (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池、並びにポリマー電池用電解質及びそれを備えたポリマー電池
JP2004006301A (ja) 非水電解液2次電池用の正極及びその製造方法、並びに該正極を備えた非水電解液2次電池
JP5095883B2 (ja) 非水電解液二次電池用添加剤及び非水電解液二次電池
JP2006294332A (ja) 非水電解液、非水電解液電池、非水電解液電気二重層キャパシタ、並びに非水電解液の安全性評価方法
JP2006294334A (ja) 非水電解液、非水電解液電池、非水電解液電気二重層キャパシタ、並びに非水電解液の安全性評価方法
JP2005190869A (ja) ポリマー電池用電解質及びそれを備えたポリマー電池
JP2010015717A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液二次電池
JP2001217001A (ja) 非水電解液二次電池用添加剤
JP2008300125A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液2次電池
JP2006286277A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液二次電池
JP2006286570A (ja) リチウム二次電池用非水電解液及びそれを備えたリチウム二次電池
JP4873855B2 (ja) 電池の非水電解液用添加剤、電池用非水電解液及び非水電解液電池
JP2010050026A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液二次電池
JP2008052988A (ja) 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060608

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070822

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111025

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111122

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141202

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4873855

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250