JP2006294332A - 非水電解液、非水電解液電池、非水電解液電気二重層キャパシタ、並びに非水電解液の安全性評価方法 - Google Patents

非水電解液、非水電解液電池、非水電解液電気二重層キャパシタ、並びに非水電解液の安全性評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性の高い非水電解液、並びに非水電解液の安全性の新規評価方法を提供する。
【解決手段】700〜800℃の炎を接炎させた際の火炎温度が2700℃以下であることを特徴とする非水電解液、並びに、非水電解液に700〜800℃の炎を接炎させ、非水電解液の火炎温度を測定することを特徴とする非水電解液の安全性評価方法である。該非水電解液は、非水電解液電池や非水電解液電気二重層キャパシタに適用できる。また、上記非水電解液は、上記火炎温度が2585℃以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液、該非水電解液を備えた非水電解液電池及び非水電解液電気二重層キャパシタ、並びに非水電解液の安全性評価方法に関し、特に接炎時の火炎温度が低く、安全性が高い非水電解液に関するものである。
近年、小型電子機器の電源、又は電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源としてとして、軽量且つ長寿命で、高エネルギー密度の電池が求められている。これに対し、リチウムを負極活物質とする非水電解液電池は、リチウムの電極電位が金属中で最も低く、単位体積当りの電気容量が大きいために、エネルギー密度の高い電池の一つとして知られており、1次電池・2次電池を問わず多くの種類のものが活発に研究・実用化され、市場に供給されている。
また、電気二重層キャパシタは、瞬間充放電特性に優れ、充放電を繰り返しても瞬間充放電特性が殆ど劣化せず、また、充放電時に充放電過電圧がないため、簡単で且つ安価な電気回路で足り、更には、残存容量が分かり易く、-30〜90℃の広範囲の温度条件下に渡って耐久温度特性を有し、無公害性である等の種々の優れた点を有しているため、近年地球環境に優しい新エネルギー貯蔵製品として、電気自動車、燃料電池車やハイブリッド電気自動車のエネルギー回生やエンジン始動時の電源として脚光を浴びるようになってきた。該電気二重層キャパシタの電解質としては、従来、水系電解液、非水電解液及び固体電解質等が知られているが、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を向上させる点から、高い作動電圧を設定可能な非水電解液が特に脚光を浴び、実用化が進んでいる。
上記電池及び電気二重層キャパシタに用いられる非水電解液は、一般に、エステル化合物やエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒に支持塩を溶解させてなるが、非プロトン性有機溶媒は、例えば、電池やキャパシタが異常に発熱した際に、気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱により電池及びキャパシタの破裂・発火を引き起こしたりする危険性がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、安全性の高い非水電解液を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる非水電解液を備えた非水電解液電池及び非水電解液電気二重層キャパシタを提供することにある。更に、本発明のその他の目的は、非水電解液の安全性の新規評価方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、700〜800℃の炎を接炎させた際の火炎温度が一定の値以下の非水電解液が優れた安全性を有し、電池やキャパシタが異常に発熱等しても、破裂や発火等の危険性を大幅に抑制でき、更には、非水電解液の火炎温度を測定することで、非水電解液の安全性を評価できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の非水電解液は、700〜800℃の炎を接炎させた際の火炎温度が2700℃以下であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液の安全性評価方法は、非水電解液に700〜800℃の炎を接炎させ、非水電解液の火炎温度を測定することを特徴とする。
本発明の非水電解液は、下記式(I):
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記式(II):
Figure 2006294332
[式中、R2は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基及びアリールオキシ基のいずれかであり、2つのR2のうち少なくとも1つは、アルコキシ基又はアリールオキシ基である]で表されるフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、支持塩とからなることが好ましい。ここで、前記式(II)において、2つのR2のうち1つがフッ素であり、他の1つがアルコキシ基又はアリールオキシ基であることが更に好ましい。また、前記式(I)において、R1が、それぞれ独立してフッ素、アルコキシ基及びアリールオキシ基のいずれかであることも更に好ましい。更に、前記式(I)において、R1のうち少なくとも3つがフッ素であることも更に好ましい。なお、前記式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記式(II)で表されるフルオロリン酸エステル化合物との体積比は、30/70〜70/30の範囲であることが好ましい。また、前記非水溶媒は、更に非プロトン性有機溶媒を含むことができる。更に、前記非水溶媒における、前記式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記式(II)で表されるフルオロリン酸エステル化合物との総含有量は、15体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることが更に好ましい。
本発明の非水電解液は、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物と、支持塩とを含むことも好ましい。ここで、非水電解液中の前記ホスフィンオキサイド化合物の含有率は、3体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることが更に好ましい。また、前記ホスフィンオキサイド化合物は、下記式(III):
O=PR3 3 ・・・ (III)
[式中、R3は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR3はフッ素又はアミノ基である]で表されることが好ましい。前記式(III)中のR3が、それぞれ独立してフッ素、アミノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選択され、且つ少なくとも一つのR3がフッ素又はアミノ基であることが更に好ましい。また、前記式(III)中のR3の少なくとも一つがフッ素で、且つ式(III)中のR3の少なくとも一つがアミノ基であることも更に好ましい。前記式(III)中のR3がそれぞれ独立してフッ素又はアミノ基であることも更に好ましい。なお、上記非水電解液は、更に非プロトン性有機溶媒を含むことができる。
本発明の非水電解液は、リン酸エステル誘導体のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなることも好ましい。ここで、前記リン酸エステル誘導体は、ホスホネート及びホスフィネートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、前記ホスホネートは、下記式(IV):
Figure 2006294332
[式中、R4は、それぞれ独立して炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基又は炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基を示し;A4は、アミノ基又はハロゲン元素を示す]で表されることが好ましく、前記ホスフィネートは、下記式(V):
Figure 2006294332
[式中、R5は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基又は炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基を示し;A5は、それぞれ独立してアミノ基又はハロゲン元素を示す]で表されることが好ましい。
本発明の非水電解液は、40〜100体積%のリン酸エステル誘導体及び60〜0体積%のホスファゼン化合物のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなることも好ましい。ここで、前記非水電解液の溶媒は、リン酸エステル誘導体のみからなることが更に好ましい。また、前記リン酸エステル誘導体は、ホスホネート及びホスフィネートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。更に、該ホスホネートは、前記式(IV)で表されることが好ましく、該ホスフィネートは、前記式(V)で表されることが好ましい。また更に、前記ホスファゼン化合物は、下記式(VI):
Figure 2006294332
[式中、R6は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y6は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表す]で表される鎖状ホスファゼン化合物又は下記式(VII):
(NPR7 2)m ・・・ (VII)
[式中、R7はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;mは3〜15を表す]で表される環状ホスファゼン化合物であることが好ましい。
更に、本発明の非水電解液電池は、上記の非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とし、本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、上記の非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、接炎時の火炎温度が一定の値以下で優れた安全性を有する非水電解液を提供することができる。また、かかる非水電解液を備えた、安全性の高い非水電解液電池及び非水電解液電気二重層キャパシタを提供することができる。更に、非水電解液の安全性の新規評価方法を提供することができる。
<非水電解液及びその安全性評価方法>
以下に、本発明の非水電解液を詳細に説明する。本発明の非水電解液は、700〜800℃の炎を接炎させた際の火炎温度が2700℃以下であることを要する。また、本発明の非水電解液の安全性評価方法は、非水電解液に700〜800℃の炎を接炎させ、非水電解液の火炎温度を測定することを特徴とする。本発明者らが検討したところ、非水電解液に700〜800℃の炎を接炎させた際の火炎温度は、非水電解液の安全性と関係があり、即ち、火炎温度が低い非水電解液は、発火・引火し難く、一方、火炎温度が高い非水電解液は、発火・引火し易い傾向があることが分った。そして、接炎時の火炎温度が2700℃以下の非水電解液は、自己消火性を有し、限界酸素指数が約21体積%以上となる傾向があり、安全性が高いことを見出した。従って、非水電解液に700〜800℃の炎を接炎させ、非水電解液の火炎温度を測定することで、非水電解液の安全性を評価することができる。
また、接炎時の火炎温度が2575℃以下の非水電解液は、難燃性を有し、限界酸素指数が約23体積%以上となる傾向があるため、更に安全性が高い。更に、接炎時の火炎温度が2464℃以下の非水電解液は、不燃性を有し、限界酸素指数が約25体積%以上となる傾向があるため、更に一層安全性が高い。なお、自己消火性・難燃性・不燃性とは、UL94HB法に準拠する方法で定義されるものであり、不燃性石英ファイバーに1.0mLの電解液を染み込ませ127mm×12.7mmの試験片を作製し、該試験片を大気環境下で着火した際、着火した炎が25〜100mmラインの間で消火し、かつ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を自己消火性有りとし、着火した炎が装置の25mmラインまで到達せず、かつ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を難燃性ありとし、着火が認められなかった場合(燃焼長0mm)を不燃性ありとしたものである。
ここで、本発明において、非水電解液の火炎温度は、UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法により、大気環境下において接炎・着火した火炎の温度を二色法熱画像解析システムを用いて測定して求められ、具体的には、UL評価基準に基づき、不燃性石英ファイバーに非水電解液1.0mLを染み込ませて127mm×12.7mmの試験片を作製し、該試験片をステンレス網の上に載せて、その一端から45°の角度でガスバーナーにより30秒間接炎し、その際、該試験片の、バーナー火炎(700〜800℃)との接炎端部分の温度を火炎温度として二色法熱画像解析システムを用いて計測される。なお、本発明においては、接炎後5秒後の火炎温度を解析して火炎温度とする。
本発明の非水電解液としては、上記式(I)で表される環状ホスファゼン化合物及び上記式(II)で表されるフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、支持塩とからなる非水電解液が好ましく、該非水電解液は、更に、非水溶媒として、非プロトン性有機溶媒を含有してもよい。式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のフルオロリン酸エステル化合物を組み合わせて使用することで、非水電解液の火炎温度を低下させることができる。なお、理由は必ずしも明らかではないが、例えば、該非水電解液を電池に使用した場合、式(I)のホスファゼン化合物と式(II)のフルオロリン酸エステル化合物との相乗効果によって、電極表面に安定な被膜が形成され、その結果、電池の充放電特性が安定化する効果もある。
上記式(I)のR1は、ハロゲン元素又は一価の置換基である限り特に制限はなく、各R1は、同一でも、異なってもよい。ここで、R1におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好ましく、これらの中でも、低粘度である点で、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。また、R1における一価の置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アリール基、アシル基、置換又は非置換アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられ、これらの中でも、不燃性に優れる点で、アルコキシ基及びアリールオキシ基が好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられ、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、上記置換又は非置換アミノ基としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アジリジル基、ピロリジル基等が挙げられ、上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられ、上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。なお、式(I)のR1は、安全性が向上する点で、ハロゲン元素であることが好ましく、更に、低粘度である点で、フッ素であることがより好ましい。また、安全性及び低粘度の両立の点で、R1のうち3つ以上がフッ素であることが好ましい。また、式(I)のnは、3〜4であるが、コスト及び調製が容易な点で、nは3であることが好ましい。なお、式(I)の環状ホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記式(II)のR2は、ハロゲン元素、アルコキシ基及びアリールオキシ基のいずれかであり、2つのR2のうち少なくとも1つは、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。ここで、R2におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好ましく、これらの中でも、低粘度である点で、フッ素が最も好ましい。R2におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。これらアルコキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。これらの中でも、安全性に優れ且つ低粘度である点で、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロエトキシ基、プロポキシ基が更に好ましい。R2におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。これらアリールオキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。これらの中でも、安全性に優れ且つ低粘度である点で、フェノキシ基、フルオロフェノキシ基が更に好ましい。上記式(II)の2つのR2は、同一でも、異なってもよく、互いに結合して環を形成してもよい。また、安全性及び低粘度の両立の点で、2つのR2のうち1つがフッ素であり、他の1つがアルコキシ基又はアリールオキシ基であるジフルオロリン酸エステルが最も好ましい。なお、式(II)のフルオロリン酸エステルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(II)のフルオロリン酸エステルの具体例としては、フルオロリン酸ジメチル、フルオロリン酸ジエチル、フルオロリン酸ビストリフルオロエチル、フルオロリン酸エチレン、フルオロリン酸ジプロピル、フルオロリン酸ジアリル、フルオロリン酸ジブチル、フルオロリン酸ジフェニル、フルオロリン酸ジフルオロフェニル、クロロフルオロリン酸メチル、クロロフルオロリン酸エチル、クロロフルオロリン酸トリフルオロエチル、クロロフルオロリン酸プロピル、クロロフルオロリン酸アリル、クロロフルオロリン酸ブチル、クロロフルオロリン酸シクロヘキシル、クロロフルオロリン酸メトキシエチル、クロロフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、クロロフルオロリン酸フェニル、クロロフルオロリン酸フルオロフェニル、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸アリル、ジフルオロリン酸ブチル、ジフルオロリン酸シクロヘキシル、ジフルオロリン酸メトキシエチル、ジフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、ジフルオロリン酸フェニル、ジフルオロリン酸フルオロフェニル等が挙げられる。これらの中でも、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸フェニルが好ましい。
上記式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のフルオロリン酸エステル化合物との体積比は、5/95〜95/5の範囲が好ましく、非水電解液を電池に使用した場合の電池性能及び安全性のバランスの観点から、30/70〜70/30の範囲が更に好ましい。
また、上記式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のフルオロリン酸エステル化合物とを含む非水電解液には、本発明の目的を損なわない範囲で非プロトン性有機溶媒を添加することができる。該非プロトン性有機溶媒の添加量としては、非水電解液中85体積%以下とすることで、非水電解液を不燃性にすることができるが、より高い不燃性を非水電解液に付与するためには、30体積%以下にすることが好ましい。ここで、上記非水電解液を非水電解液電池に使用する場合、非水電解液に添加する非プロトン性有機溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフェニルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)等の炭酸エステル類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(DEE)、フェニルメチルエーテル等のエーテル類、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、メチルフォルメート(MF)等のカルボン酸エステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホン類が挙げられる。また、上記非水電解液を非水電解液電気二重層キャパシタに使用する場合、非水電解液に添加する非プロトン性有機溶媒としては、アセトニトリル(AN)、プロピオノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル化合物;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジフェニルカーボネート、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン等のエステル化合物が好適に挙げられる。これらの中でも、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン及びアセトニトリルが好ましい。
本発明の非水電解液としては、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物と、支持塩とを含む非水電解液も好ましく、該非水電解液は、必要に応じて、上述した非プロトン性有機溶媒等を含んでもよい。非水電解液に上記ホスフィンオキサイド化合物を添加することで、非水電解液の火炎温度を低下させることができる。
上記ホスフィンオキサイド化合物は、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有する限り特に制限はないが、かかるホスフィンオキサイド化合物の中でも、上記式(III)で表されるホスフィンオキサイド化合物が好ましい。式(III)において、R3は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR3はフッ素又はアミノ基である。ここで、R3におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が特に好ましい。一方、R3における一価の置換基としては、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、電解液の発火・引火の危険性を低減する効果に優れる点で、アミノ基及びアルコキシ基が好ましい。また、上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられ、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素が最も好ましく、次いで、塩素が好ましい。
上記ホスフィンオキサイド化合物は、分子中の10質量%以上がハロゲン元素であるのが好ましく、分子中の15質量%以上がハロゲン元素であるのが更に好ましい。また、該ホスフィンオキサイド化合物は、分子中の7質量%以上がフッ素であるのが好ましく、分子中の10質量%以上がフッ素であるのが更に好ましい。分子中の10質量%以上がハロゲン元素であるホスフィンオキサイド化合物は、非水電解液の火炎温度を低下させる効果に優れ、分子中の7質量%以上がフッ素であるホスフィンオキサイド化合物は、非水電解液の火炎温度を低下させる効果に特に優れる。
上記ホスフィンオキサイド化合物としては、式(III)中のR3の少なくとも一つがフッ素で、且つ式(III)中のR3の少なくとも一つがアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物、並びに、式(III)中のR3の二つ以上がフッ素又はアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物が特に好ましい。これらホスフィンオキサイド化合物は、電解液の火炎温度の低下に寄与するフッ素及びアミノ基の分子中に占める割合が高いため、電解液の火炎温度を大幅に低下させることができる。
上記式(III)のホスフィンオキサイド化合物として、具体的には、トリフルオロホスフィンオキサイド[O=PF3]、トリアミノホスフィンオキサイド[O=P(NH2)3]、アミノジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2NH2]、ジアミノフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(NH2)2]、メチルジアミノホスフィンオキサイド[O=P(NH2)2CH3]、メチルアミノフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(NH2)CH3]、ジメトキシフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(OCH3)2]、エトキシジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(OC25)]、メトキシジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(OCH3)]、ジメチルフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(CH3)2]、ジエトキシフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(OC25)2]、メチルジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(CH3)]等が挙げられる。
上記ホスフィンオキサイド化合物の非水電解液中における含有率は、3体積%以上であることが好ましく、5体積%以上であることが更に好ましい。上記ホスフィンオキサイド化合物の非水電解液中における含有率が3体積%以上であれば、非水電解液の火炎温度を十分に低下させ、非水電解液の発火・引火の危険性を十分に抑制することができる。なお、上記ホスフィンオキサイド化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の非水電解液としては、リン酸エステル誘導体のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなる非水電解液も好ましい。該非水電解液は、溶媒がリン酸エステル誘導体のみからなり、従来の非水電解液に用いられているエステル化合物やエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒を含まないため、火炎温度が十分に低い。また、電池やキャパシタの短絡時等に大電流が急激に流れ異常に発熱しても、排圧弁から非プロトン性有機溶媒由来の可燃性ガスが発生することがなく、また、短絡時に生じる火花が引火する危険性もない。また、該非水電解液を構成するリン酸エステル誘導体の作用によって、電池やキャパシタに使用されている高分子材料の連鎖分解が抑制されるため、発火・引火の危険性が低い。また更に、該非水電解液は、リン酸エステル誘導体を含み、該リン酸エステル誘導体の導電性が非常に高いため、電池やキャパシタの内部抵抗を小さくすることができる。
なお、上記リン酸エステル誘導体とは、リン酸エステルから誘導される化合物であって、リン酸エステル自体を包含しない。ここで、上記非水電解液においては、上記リン酸エステル誘導体の中でも、ホスホネート及びホスフィネートが好ましく、上記式(IV)で表されるホスホネート及び上記式(V)で表されるホスフィネートが更に好ましい。上記非水電解液の溶媒は、リン酸エステル誘導体のみからなるが、リン酸エステル誘導体がホスホネートの場合、負極上での耐還元性が悪いためか、充放電回数が増すにつれ、徐々に充放電容量が低下する。そのため、該非水電解液を電池に使用する場合は、電気化学的な安定性、電池の繰り返し充放電にかかる長寿命化の観点から、リン酸エステル誘導体の化学構造としては、ホスフィネートが好ましい。
上記式(IV)において、R4は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基又は炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基であり、各R4は、同一でも、異なってもよく、一方、A4は、アミノ基又はハロゲン元素である。また、式(V)において、R5は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基又は炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基であり、一方、A5は、アミノ基又はハロゲン元素であり、各A5は、同一でも、異なってもよい。これらホスホネート及びホスフィネートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(IV)のR4及び式(V)のR5において、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びi-プロピル基等のアルキル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基(アリールアルキル基)が挙げられ、炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基としては、アリル基、ビニル基等のアルケニル基が挙げられる。これらの中でも、上記式(IV)のR4及び式(V)のR5としては、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基及びフェニル基が好ましい。また、上記式(IV)のA4及び式(V)のA5において、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。ここで、上記式(IV)のA4及び式(V)のA5としては、アミノ基及びフッ素が好ましい。
具体的に、上記式(IV)のホスホネートとしては、フルオロリン酸ジメチル、フルオロリン酸ジエチル、フルオロリン酸ビストリフルオロエチル、フルオロリン酸ジプロピル、フルオロリン酸ジブチル、フルオロリン酸ジフェニル、フルオロリン酸ジフルオロフェニル等が挙げられ、一方、上記式(V)のホスフィネートとしては、クロロフルオロリン酸メチル、クロロフルオロリン酸エチル、クロロフルオロリン酸トリフルオロエチル、クロロフルオロリン酸プロピル、クロロフルオロリン酸ブチル、クロロフルオロリン酸メトキシエチル、クロロフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、クロロフルオロリン酸フェニル、クロロフルオロリン酸フルオロフェニル、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸ブチル、ジフルオロリン酸メトキシエチル、ジフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、ジフルオロリン酸フェニル、ジフルオロリン酸フルオロフェニル等が挙げられる。
本発明の非水電解液としては、40〜100体積%のリン酸エステル誘導体及び60〜0体積%のホスファゼン化合物のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなる非水電解液も好ましい。該非水電解液は、溶媒がリン酸エステル誘導体単独又はリン酸エステル誘導体及びホスファゼン化合物の混合溶媒であり、従来の非水電解液に用いられているエステル化合物やエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒を含まないため、火炎温度が十分に低い。また、電池やキャパシタの短絡時等に大電流が急激に流れ異常に発熱しても、非プロトン性有機溶媒由来の可燃性ガスが発生することがなく、また、短絡時に生じる火花が引火する危険性もない。また、非水電解液を構成するリン酸エステル誘導体の作用によって、電池やキャパシタに使用されている高分子材料の連鎖分解が抑制されるため、発火・引火の危険性が低い。更に、非水電解液がホスファゼン化合物を含む場合、該ホスファゼン化合物は、電池やキャパシタが異常に発熱した際、分解して、窒素ガスやリン酸エステル等を発生するため、発生した窒素ガスの作用によって、電池やキャパシタを構成する高分子材料の燃焼を抑制できると共に、発生したリン酸エステルが上記リン酸エステル誘導体と同様に作用して、電池やキャパシタを構成する高分子材料の連鎖分解を抑制するため、発火・引火の危険性を更に効果的に低減することができる。また更に、該非水電解液は、リン酸エステル誘導体を含み、該リン酸エステル誘導体の導電性が上記ホスファゼン化合物の導電性よりも高いため、ホスファゼン化合物の単独溶媒を用いた電解液よりも導電性が高い。そのため、該非水電解液は、放電容量が大きい。なお、非水電解液の火炎温度を低下させ、発火・引火の危険性を低減する効果は、一般にホスファゼン化合物の方がリン酸エステル誘導体よりも高く、一方、導電性は、一般にリン酸エステル誘導体の方がホスファゼン化合物よりも高いため、リン酸エステル誘導体及びホスファゼン化合物の混合溶媒を用いることで、双方の利点を引き出して、電解液の導電性と安全性とを高度にバランスすることができると考えている。
上記非水電解液の溶媒は、上記リン酸エステル誘導体40〜100体積%及び上記ホスファゼン化合物60〜0体積%のみからなる。ここで、リン酸エステル誘導体の含有量が40体積%未満では、非水電解液の導電性を向上させる効果が小さい。また、非水電解液の導電性の観点から、上記非水電解液の溶媒は、リン酸エステル誘導体含有量が高い程好ましく、リン酸エステル誘導体のみからなることが特に好ましい。
上記非水電解液に用いるリン酸エステル誘導体は、上述の通りである。一方、上記非水電解液に用いることができるホスファゼン化合物としては、上記式(VI)で表される鎖状ホスファゼン化合物及び上記式(VII)で表される環状ホスファゼン化合物が好適に挙げられる。また、上記式(VI)又は式(VII)で表されるホスファゼン化合物の中でも、25℃(室温)において液体であるものが好ましい。該液状ホスファゼン化合物の25℃における粘度は、300mPa・s(300cP)以下が好ましく、20mPa・s(20cP)以下が更に好ましく、5mPa・s(5cP)以下が特に好ましい。ホスファゼン化合物の25℃における粘度が300mPa・sを超えると、支持塩が溶解し難くなり、正極材料、負極材料、セパレーター等への濡れ性が低下し、電解液の粘性抵抗の増大によりイオン導電性が著しく低下し、特に氷点以下等の低温条件下での使用において性能不足となる。これらホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(VI)のR6は、一価の置換基又はハロゲン元素である限り特に制限はなく、各R6は、同一でも、異なってもよい。ここで、R6における一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、R6におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基及びメトキシエトキシエトキシ基が好ましく、低粘度・高誘電率の観点から、メトキシ基及びエトキシ基が更に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、該ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素が好適であり、フッ素が最も好ましく、次いで塩素が好ましい。
上記式(VI)のY6は、2価の連結基、2価の元素又は単結合である限り特に制限はなく、各Y6は、同一でも、異なってもよい。ここで、Y6における2価の連結基としては、CH2基の他、酸素、硫黄、セレン、窒素、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の連結基が挙げられ、電解液の発火・引火の危険性を効果的に低減する観点から、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基が好ましい。また、Y6における2価の元素としては、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの中でも、式(VI)のY6としては、単結合が好ましい。
上記式(VI)のXは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基である限り特に制限はない。有害性、環境等への配慮の観点から、式(VI)のXとしては、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素及び硫黄からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基が好ましく、下記式(VIII)、式(IX)又は式(X):
Figure 2006294332
[式(VIII)、式(IX)及び式(X)中、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y8、Y9及びY10は、それぞれ独立に2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Zは2価の基又は2価の元素を表す]で表される置換基が更に好ましい。また、これら置換基の中でも、特に効果的に発火・引火の危険性を低減し得る点で、式(VIII)で表されるようなリンを含む置換基が特に好ましく、また、電解液の小界面抵抗化の点で、式(IX)で表されるような硫黄を含む置換基が特に好ましい。
式(VIII)のR8、式(IX)のR9及び式(X)のR10としては、式(VI)のR6で述べたのと同様の一価の置換基又はハロゲン元素がいずれも好適に挙げられる。なお、式(VIII)の2つのR8、並びに式(X)の2つのR10は、それぞれ同一でも、異なってもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。また、式(VIII)のY8、式(IX)のY9及び式(X)のY10としては、式(VI)のY6で述べたのと同様の2価の連結基又は2価の元素がいずれも好適に挙げられる。同様に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の連結基の場合には、電解液の発火・引火の危険性を大きく低減できるため特に好ましい。また、Y8、Y9及びY10としては、単結合も好ましい。なお、式(VIII)の2つのY8、並びに式(X)の2つのY10は、それぞれ同一でも、異なってもよい。
上記式(VIII)のZは、2価の基又は2価の元素である限り特に制限はない。ここで、2価の基としては、CH2基、CHR基(ここで、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基等を表す)、NR基の他、酸素、硫黄、セレン、ホウ素、アルミニウム、スカンジウム、ガリウム、イットリウム、インジウム、ランタン、タリウム、炭素、ケイ素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、鉛、リン、バナジウム、ヒ素、ニオブ、アンチモン、タンタル、ビスマス、クロム、モリブデン、テルル、ポロニウム、タングステン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基等が挙げられ;2価の元素としては、酸素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらの中でも、式(VIII)のZとしては、CH2基、CHR基、NR基の他、酸素、硫黄、セレンからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む2価の基が好ましい。特に、硫黄及び/又はセレンの元素を含む2価の基の場合には、電解液の発火・引火の危険性を大幅に低減できるため好ましい。
上記式(VII)のR7は、一価の置換基又はハロゲン元素である限り特に制限はない。ここで、R7における一価の置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、ホスファゼン化合物が低粘度となる点で、アルコキシ基が好ましい。一方、R7におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が特に好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基が特に好ましい。また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ;上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ;上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。また、R7は、置換基中に炭素−炭素二重結合を有するアリルオキシ基のような置換基でもよい。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素原子で置換された置換基としては、トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。また、式(VII)のmは、3〜15であり、3〜4の範囲が好ましい。
本発明の非水電解液を非水電解液電池に使用する場合、非水電解液に用いる支持塩としては、リチウムイオンのイオン源となる支持塩が好ましい。該支持塩としては、特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC49SO3、Li(CF3SO2)2N及びLi(C25SO2)2N等のリチウム塩が好適に挙げられる。これらの中でも、不燃性に優れる点で、LiPF6が更に好ましい。これら支持塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、電池用非水電解液における支持塩の濃度としては、0.2〜1.5mol/L(M)が好ましく、0.5〜1mol/L(M)が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L未満では、電解液の導電性を充分に確保することができず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがあり、1.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオンの移動度を充分に確保できないため、前述と同様に電解液の導電性を充分に確保できず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがある。
一方、本発明の非水電解液を非水電解液電気二重層キャパシタに使用する場合、非水電解液に用いる支持塩としては、四級アンモニウム塩が好ましい。該四級アンモニウム塩は、非水電解液において、電気二重層を形成するためのイオン源としての役割を担う溶質であり、電解液の電気伝導性等の電気特性を効果的に向上させることが可能な点で、多価イオンを形成し得る四級アンモニウム塩が好ましい。上記四級アンモニウム塩としては、例えば、(CH3)4N・BF4、(CH3)325N・BF4、(CH3)2(C25)2N・BF4、CH3(C25)3N・BF4、(C25)4N・BF4、(C37)4N・BF4、CH3(C49)3N・BF4、(C49)4N・BF4、(C613)4N・BF4、(C25)4N・ClO4、(C25)4N・AsF6、(C25)4N・SbF6、(C25)4N・CF3SO3、(C25)4N・C49SO3、(C25)4N・(CF3SO2)2N、(C25)4N・BCH3(C25)3、(C25)4N・B(C25)4、(C25)4N・B(C49)4、(C25)4N・B(C65)4等が好適に挙げられる。また、これらの四級アンモニウム塩の陰イオン部(例えば、・BF4、・ClO4、・AsF6等)を、・PF6で置き換えたヘキサフルオロリン酸塩も好ましい。これらの中でも、分極率を大きくすることで溶解度を向上させることができる点で、異なるアルキル基がN原子に結合した四級アンモニウム塩が好ましい。更に、上記四級アンモニウム塩としては、例えば、以下の式(a)〜(j)で表わされる化合物等も好ましい。ここで、式(a)〜(j)において、Meはメチル基を、Etはエチル基を表わす。
Figure 2006294332
これらの四級アンモニウム塩の中でも、特に、高い電気伝導性を確保する点からは、陽イオンとして(CH3)4+や、(C25)4+等を発生し得る塩が好ましい。また、式量が小さい陰イオンを発生し得る塩が好ましい。これらの四級アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、電気二重層キャパシタ用非水電解液における支持塩の濃度としては、0.2〜2.5mol/L(M)が好ましく、0.8〜1.5mol/L(M)が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L未満では、電解液の電気伝導性等の電気特性を充分に確保できないことがあり、2.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が上昇し、電気伝導性等の電気特性が低下することがある。
<非水電解液電池>
次に、本発明の非水電解液電池を詳細に説明する。本発明の非水電解液電池は、上述の非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
本発明の非水電解液電池の正極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の正極活物質としては、フッ化黒鉛[(CFx)n]、MnO2(電気化学合成であっても化学合成であってもよい)、V25、MoO3、Ag2CrO4、CuO、CuS、FeS2、SO2、SOCl2、TiS2等が好適に挙げられ、これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には放電電位が高く電解液の濡れ性に優れる点で、MnO2、フッ化黒鉛が好ましい。一方、非水電解液2次電池の正極活物質としては、V25、V613、MnO2、MnO3等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられる。上記リチウム含有複合酸化物は、Fe、Mn、Co及びNiからなる群から選択される2種又は3種の遷移金属を含む複合酸化物であってもよく、この場合、該複合酸化物は、LiFexCoyNi(1-x-y)2(式中、0≦x<1、0≦y<1、0<x+y≦1)、LiMnxFey2-x-y、あるいはLiNixCoyMn1-x-y2等で表される。これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiNi1/3Co1/3Mn1/32が特に好適である。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の非水電解液電池の負極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体の他、リチウム合金等が挙げられる。リチウムと合金をつくる金属としては、Sn、Si、Pb、Al、Au、Pt、In、Zn、Cd、Ag、Mg等が挙げられる。これらの中でも、埋蔵量の多さ、毒性の観点からAl、Zn、Mgが好ましい。一方、非水電解液2次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体、リチウムとAl、In、Sn、Si、Pb又はZn等との合金、リチウムをドープした黒鉛等の炭素材料等が好適に挙げられ、これらの中でも安全性がより高く、電解液の濡れ性に優れる点で、黒鉛等の炭素材料が好ましく、黒鉛が特に好ましい。ここで、黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等、広くは易黒鉛化カーボンや難黒鉛化カーボンが挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記正極及び負極には、必要に応じて導電剤、結着剤を混合することができ、導電剤としてはアセチレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができる。また、上記正極及び負極の形状としては、特に制限はなく、電極として公知の形状の中から適宜選択することができる。例えば、シート状、円柱形状、板状形状、スパイラル形状等が挙げられる。
本発明の非水電解液電池に使用できる他の部材としては、非水電解液電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、且つ電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルム、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが特に好適である。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電池に使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
以上に説明した本発明の非水電解液電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。ボタンタイプの場合は、シート状の正極及び負極を作製し、該正極及び負極でセパレーターを挟む等して、非水電解液電池を作製することができる。また、スパイラル構造の場合は、例えば、シート状の正極を作製して集電体を挟み、これに、シート状の負極を重ね合わせて巻き上げる等して、非水電解液電池を作製することができる。
<非水電解液電気二重層キャパシタ>
次に、本発明の非水電解液電気二重層キャパシタを詳細に説明する。本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、上述の非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の電気二重層キャパシタの技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
本発明の非水電解液電気二重層キャパシタの正極及び負極としては、特に制限はないが、通常、多孔質炭素系の分極性電極が好ましい。該電極としては、通常、比表面積及びかさ比重が大きく、電気化学的に不活性で、抵抗が小さい等の特性を有するものが好ましい。ここで、上記多孔質炭素としては、活性炭等が挙げられる。
上記電極は、一般的には、活性炭等の多孔質炭素を含有し、必要に応じて導電剤や結着剤等のその他の成分を含有する。上記電極に好適に用いることができる活性炭の原料としては、特に制限はなく、例えば、フェノール樹脂の他、各種の耐熱性樹脂、ピッチ等が好適に挙げられる。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ビスマレイミドトリアジン、アラミド、フッ素樹脂、ポリフェニレン、ポリフェニレンスルフィド等が好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記活性炭の形態としては、より比表面積を高くして、非水電解液電気二重層キャパシタの充電容量を大きくする点から、粉末状、繊維布状等の形態が好ましい。また、これらの活性炭は、電気二重層キャパシタの充電容量をより高くする目的で、熱処理、延伸成形、真空高温処理、圧延等の処理がなされていてもよい。
上記電極に用いる導電剤としては、特に制限はないが、黒鉛、アセチレンブラック等が挙げられる。また、上記電極に用いる結着剤としては、特に制限はないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができる。
本発明の非水電解液電気二重層キャパシタは、上述した電極(正極及び負極)、非水電解液の他、セパレーター、集電体、容器等を備えるのが好ましく、更に通常電気二重層キャパシタに使用されている公知の各部材を備えることができる。ここで、セパレーターは、非水電解液電気二重層キャパシタの短絡防止等を目的として、正負電極間に介在される。該セパレーターとしては、特に制限はなく、通常、非水電解液電気二重層キャパシタのセパレーターとして用いられる公知のセパレーターが好適に用いられる。セパレーターの材質としては、例えば、微多孔性フィルム、不織布、紙等が好適に挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルムが特に好適である。上記集電体としては、特に制限はなく、通常非水電解液電気二重層キャパシタの集電体として用いられる公知のものが好適に用いられる。該集電体としては、電気化学的耐食性、化学的耐食性、加工性、機械的強度に優れ、低コストであるものが好ましく、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、導電性樹脂等の集電体層等が好ましい。また、上記容器としては、特に制限はなく、通常非水電解液電気二重層キャパシタの容器として用いられる公知のものが好適に挙げられる。該容器の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、導電性樹脂等が好適である。
本発明の非水電解液電気二重層キャパシタの形態としては、特に制限はなく、シリンダ型(円筒型、角型)、フラット型(コイン型)等の公知の形態が、好適に挙げられる。これらの非水電解液電気二重層キャパシタは、例えば、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源や、種々の電子機器、産業用機器、航空用機器等のメモリーバックアップ用や、玩具、コードレス用機器、ガス機器、瞬間湯沸し機器等の電磁ホールド用や、腕時計、柱時計、ソーラ時計、AGS腕時計等の時計用の電源等として好適に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
上記式(I)において、nが3であって、全R1のうち2つがメトキシ基(MeO)で、4つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物70体積%と、ジフルオロリン酸エチル30体積%との混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を下記の方法で評価・測定し、表1に示す結果を得た。
(1)電解液の火炎温度の測定
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法により、大気環境下において接炎・着火した火炎の温度を、二色法熱画像解析システムを用いて測定した。具体的には、UL評価基準に基づき、不燃性石英ファイバーに非水電解液1.0mLを染み込ませて127mm×12.7mmの試験片を作製し、該試験片をステンレス網の上に載せて、その一端から45°の角度でガスバーナーにより30秒間接炎し、接炎後5秒後における、試験片のバーナー火炎(700〜800℃)との接炎端部分の温度を火炎温度として二色法熱画像解析システム(ノリタケエンジニアリング製SPRITE)を用いて計測した。
(2)電解液の限界酸素指数
JIS K 7201に準じて、電解液の限界酸素指数を測定した。限界酸素指数が大きい程、電解液が燃焼し難いことを示す。具体的には、SiO2シート(石英濾紙、不燃性)127mm×12.7mmをU字型のアルミ箔で補強して自立可能とし、該SiO2シートに前記電解液1.0mLを含浸して試験片を作製した。該試験片を試験片支持具に垂直に、燃焼円筒(内径75mm、高さ450mm、直径4mmのガラス粒を底部から100±5mmの厚さに均等に満たし金属製の網をその上に置いたもの)の上端部から100mm以上の距離に位置するように取り付け、次に、燃焼円筒に酸素(JIS K 1101又はこれと同等以上のもの)及び窒素(JIS K 1107の2級又はこれと同等以上のもの)を流し、試験片を所定の酸素濃度下で点火し(熱源はJIS K 2240の1種1号)、燃焼状態を調べた。但し、燃焼円筒内の総流量は11.4L/minである。この試験を3回行い、その平均値を表1に示す。なお、酸素指数とは、材料が燃焼を持続するのに必要な容量パーセントで表される最低酸素濃度の値をいい、本願では、試験片が3分以上継続して燃焼するか、着炎後の燃焼長さが50mm以上燃えるのに必要な最低の酸素流量とそのときの窒素流量から、下記の式:
限界酸素指数=(酸素流量)/[(酸素流量)+(窒素流量)]×100
に従って限界酸素指数を算出した。
次に、LiCoO2(正極活物質)94質量部に対して、アセチレンブラック(導電剤)3質量部と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部とを添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの正極シートを作製した。また、人造グラファイト(負極活物質)90質量部に対してポリフッ化ビニリデン(結着剤)10質量部を添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmの銅箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの負極シートを作製した。得られた正極シートに、厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン製)を介して負極シートを重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。該円筒型電極に、上記電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池(非水電解液2次電池)を作製した。得られた電池の初期放電容量及びサイクル特性を下記の方法で測定し、表1に示す結果を得た。
(3)電池の初期放電容量及びサイクル特性評価
20℃の環境下で、上限電圧4.3V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で充放電を行い、この時の放電容量を既知の電極重量で除することにより初期放電容量(mAh/g)を求めた。更に、同様の充放電条件で50サイクルまで充放電を繰り返して、50サイクル後の放電容量を求め、下記の式:
容量残存率S=50サイクル後の放電容量/初期放電容量×100(%)
に従って容量残存率Sを算出し、電池のサイクル特性の指標とした。
(実施例2)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが3であって、全R1のうち2つが塩素(Cl)で、4つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物50体積%と、ジフルオロリン酸メチル50体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが3であって、全R1のうち1つがエトキシ基(EtO)で、5つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物30体積%と、ジフルオロリン酸プロピル70体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが3であって、全R1のうち1つがトリフルオロエトキシ基(TFEO)で、5つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物40体積%と、ジフルオロリン酸メチル30体積%と、エチレンカーボネート10体積%と、エチルメチルカーボネート20体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが4であって、全R1がフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物40体積%と、フルオロリン酸ジメチル30体積%と、エチレンカーボネート10体積%と、ビニレンカーボネート5体積%と、ジエチルカーボネート15体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが4であって、全R1のうち1つがメトキシ基(MeO)で、7つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物10体積%と、ジフルオロリン酸フェニル5体積%と、エチレンカーボネート28体積%と、ジメチルカーボネート57体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、エチレンカーボネート33体積%と、エチルメチルカーボネート67体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、リン酸トリメチル30体積%と、エチレンカーボネート23体積%と、エチルメチルカーボネート47体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、ジフルオロリン酸フェニル30体積%と、エチレンカーボネート23体積%と、エチルメチルカーボネート47体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基(PhO)で、5つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物18体積%と、エチレンカーボネート27体積%と、ジエチルカーボネート55体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1の「非水電解液の調製」に用いた混合溶媒に代えて、上記式(I)において、nが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基(PhO)で、5つがフッ素(F)である環状ホスファゼン化合物50体積%と、リン酸トリエチル50体積%との混合溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を評価・測定し、また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、初期放電容量及びサイクル特性を測定・評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006294332
表1の実施例から、火炎温度が本発明で規定する範囲にある非水電解液は、限界酸素指数が高く、安全性が高いことが分る。また、実施例1〜6の結果から、上記式(I)の環状ホスファゼン化合物及び上記式(II)のフルオロリン酸エステルを含む非水電解液は、火炎温度が非常に低く、且つ放電容量及びサイクル特性が非常に優れていることが分る。なお、実施例7〜10の非水電解液は、実施例1〜6の非水電解液よりも、電池特性が低かったため、安全性に加え、電池特性も考慮する場合、上記式(I)の環状ホスファゼン化合物及び上記式(II)のフルオロリン酸エステルを非水電解液に添加することが好ましいことが分る。
(実施例11〜14)
メトキシジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(OCH3)]、ジメトキシフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(OCH3)2]、アミノジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2NH2]又は環状ホスファゼン化合物A[上記式(I)で表され、nが3であって、6つのR1中、1つがエトキシ基で、5つがフッ素の環状ホスファゼン化合物, 25℃における粘度:1.2mPa・s]10体積%と、プロピレンカーボネート(PC)90体積%とを混合し、更に、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート[Et4N・BF4](支持塩)を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を上記の方法で測定し、表2に示す結果を得た。
次に、活性炭[AC, 商品名:Kuractive-1500、クラレケミカル社製]、アセチレンブラック(導電剤)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)(結着剤)を、それぞれ、質量比(活性炭:アセチレンブラック:PVDF)で8:1:1となるように混合して、混合物を得た。得られた混合物の100mgを採取し、これを20mmφの耐圧カーボン製容器に入れて、圧力150kgf/cm2、常温の条件下で圧粉成形し、正極及び負極(電極)を作製した。得られた電極(正極及び負極)と、アルミニウム金属板(集電体)(厚み:0.5mm)と、ポリプロピレン/ポリエチレン板(セパレーター)(厚み:25μm)とを用いてセルを組み立て、真空乾燥によって十分に乾燥させた。該セルを上記非水電解液で含浸し、非水電解液電気二重層キャパシタを作製した。得られた電気二重層キャパシタのサイクル特性及び低温特性を下記の方法で試験した。結果を表2に示す。
(4)電気二重層キャパシタのサイクル特性
得られた非水電解液電気二重層キャパシタについて、20℃において初期及び1000サイクル充電・放電後の放電容量を測定して、初期における放電容量と1000サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量維持率S=1000サイクル後の放電容量/初期放電容量×100(%)
に従って容量維持率Sを算出し、キャパシタのサイクル特性の指標とした。
(5)電気二重層キャパシタの低温特性
得られた非水電解液電気二重層キャパシタについて、20℃、-20℃のそれぞれの環境下で1000サイクル充電・放電後の放電容量を測定した。20℃における1000サイクル後の放電容量と、-20℃における1000サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量維持率L=放電容量(-20℃)/放電容量(20℃)×100(%)
に従って容量維持率Lを算出し、キャパシタの低温特性の指標とした。
Figure 2006294332
表2に示すように、火炎温度が本発明で規定する範囲にある非水電解液は、限界酸素指数が高く、安全性が高いことが分る。なお、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物を電解液に添加することにより、非水電解液の火炎温度を更に低下させ、非水電解液の安全性を更に改善できることが確認された。
表3に示す配合の溶媒にLiPF6(支持塩)を1M(mol/L)の濃度で溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を上記の方法で測定・評価した。結果を表3に示す。
次に、LiCoO2(正極活物質)94質量部に対して、アセチレンブラック(導電剤)3質量部と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部とを添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)にドクターブレードで塗工した後、熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの正極シートを作製した。次に、厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン製)を介して、上記正極シート及びリチウム金属シートを重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。該円筒型電極に、上記電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池(非水電解液2次電池)を作製した。得られた電池に対して、20℃の環境下、上限電圧4.2V、下限電圧3.0V、放電電流0.2C時間率の条件で、50サイクルまで充放電を繰り返し、初期における放電容量及び50サイクル後の放電容量を測定した。また、下記式:
放電容量維持率=50サイクル後の放電容量/初期放電容量×100(%)
から放電容量維持率を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2006294332
表3中、リン酸エステル誘導体Aは、ジフルオロリン酸エチル[F2P(O)OEt]であり;リン酸エステル誘導体Bは、ジフルオロリン酸メチル[F2P(O)OMe]であり;リン酸エステル誘導体Cは、ジフルオロリン酸フェニル[F2P(O)OPh]であり;リン酸エステル誘導体Dは、フルオロリン酸ジエチル[FP(O)(OEt)2]であり;リン酸エステル誘導体Eは、フルオロリン酸ジメチル[FP(O)(OMe)2]であり;リン酸エステルXは、リン酸トリエチル[P(O)(OEt)3]であり;リン酸エステルYは、リン酸トリメチル[P(O)(OMe)3]であり;ECは、エチレンカーボネートであり;DECは、ジエチルカーボネートであり;EMCは、エチルメチルカーボネートであり;DMCは、ジメチルカーボネートである。
表3の実施例から、火炎温度が本発明で規定する範囲にある非水電解液は、限界酸素指数が高く、安全性が高いことが分る。また、実施例15〜19の結果から、リン酸エステル誘導体のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなる非水電解液は、火炎温度が非常に低く、且つ放電容量維持率が非常に高いことが分る。なお、実施例20及び21の非水電解液は、実施例15〜19の非水電解液よりも、放電容量維持率が低かったため、安全性に加え、電池特性も考慮する場合、リン酸エステル誘導体のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなる非水電解液が好ましいことが分る。
表4に示す配合の溶媒にLiBF4(支持塩)を0.75mol/Lの濃度で溶解させて非水電解液を調製した。得られた非水電解液の火炎温度及び限界酸素指数を上記の方法で測定・評価した。結果を表4に示す。
次に、MnO2(正極活物質)と、アセチレンブラック(導電剤)と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)とを8:1:0.6の割合(質量比)で混合・混錬した後、該混練物を厚さ25μmのニッケル箔(集電体)に圧着・ペレット化し、更に加熱乾燥(100〜120℃)して、厚さ500μmの正極ペレットを作製した。得られた正極ペレットをφ16mmに打ち抜いたものを正極とし、リチウム箔(厚み0.5mm)をφ16mmに打ち抜いたものを負極とし、セルロースセパレーター[日本高度紙工業社製TF4030]を介して上記正負極を対座させ、上記電解液を注入して封口し、CR2016型の非水電解液1次電池(リチウム1次電池)を作製した。得られた電池に対して、25℃の環境下、下限電圧1.5Vで、0.2C放電を行い、放電容量を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2006294332
表4中、リン酸エステル誘導体A〜Dは、表3中のリン酸エステル誘導体A〜Dと同じであり;ホスファゼンXは、式(VI)において、全Y66がエトキシ基で、Xが式(VIII)で表される置換基で、式(VIII)中のZが酸素で、全Y88がフッ素である鎖状ホスファゼン化合物であり;ホスファゼンYは、式(VII)において、mが3であって、6つのR7のうち1つがフェノキシ基(PhO−)、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物(25℃における粘度:1.7mPa・s、沸点195℃)であり;PCは、プロピレンカーボネートである。
表4の実施例から、火炎温度が本発明で規定する範囲にある非水電解液は、限界酸素指数が高く、安全性が高いことが分る。また、実施例22〜41の結果から、40〜100体積%のリン酸エステル誘導体及び60〜0体積%のホスファゼン化合物のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなる非水電解液は、火炎温度が非常に低く、且つ放電容量が非常に高いことが分る。なお、実施例42〜44の非水電解液は、実施例22〜41の非水電解液よりも、放電容量が小さく、実施例45〜47の非水電解液は、実施例22〜41の非水電解液よりも、火炎温度が高いことから、安全性と電池特性の両方を考慮する場合、40〜100体積%のリン酸エステル誘導体及び60〜0体積%のホスファゼン化合物のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなる非水電解液が好ましいことが分る。

Claims (30)

  1. 700〜800℃の炎を接炎させた際の火炎温度が2700℃以下であることを特徴とする非水電解液。
  2. 下記式(I):
    (NPR1 2)n ・・・ (I)
    [式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記式(II):
    Figure 2006294332
    [式中、R2は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基及びアリールオキシ基のいずれかであり、2つのR2のうち少なくとも1つは、アルコキシ基又はアリールオキシ基である]で表されるフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、支持塩とからなることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記式(II)において、2つのR2のうち1つがフッ素であり、他の1つがアルコキシ基又はアリールオキシ基であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液。
  4. 前記式(I)において、R1が、それぞれ独立してフッ素、アルコキシ基及びアリールオキシ基のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液。
  5. 前記式(I)において、R1のうち少なくとも3つがフッ素であることを特徴とする請求項2又は4に記載の非水電解液。
  6. 前記式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記式(II)で表されるフルオロリン酸エステル化合物との体積比が30/70〜70/30の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液。
  7. 前記非水溶媒が、更に非プロトン性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の非水電解液。
  8. 前記非水溶媒における、前記式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記式(II)で表されるフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が15体積%以上であることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の非水電解液。
  9. 前記非水溶媒における、前記式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記式(II)で表されるフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が70体積%以上であることを特徴とする請求項8に記載の非水電解液。
  10. 分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物と、支持塩とを含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
  11. 前記ホスフィンオキサイド化合物の含有率が3体積%以上であることを特徴とする請求項10に記載の非水電解液。
  12. 前記ホスフィンオキサイド化合物の含有率が5体積%以上であることを特徴とする請求項11に記載の非水電解液。
  13. 前記ホスフィンオキサイド化合物が下記式(III):
    O=PR3 3 ・・・ (III)
    [式中、R3は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR3はフッ素又はアミノ基である]で表されることを特徴とする請求項10に記載の非水電解液。
  14. 前記式(III)中のR3が、それぞれ独立してフッ素、アミノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選択され、且つ少なくとも一つのR3がフッ素又はアミノ基であることを特徴とする請求項13に記載の非水電解液。
  15. 前記式(III)中のR3の少なくとも一つがフッ素で、且つ式(III)中のR3の少なくとも一つがアミノ基であることを特徴とする請求項14に記載の非水電解液。
  16. 前記式(III)中のR3が、それぞれ独立してフッ素又はアミノ基であることを特徴とする請求項14に記載の非水電解液。
  17. 更に非プロトン性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項10に記載の非水電解液。
  18. リン酸エステル誘導体のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
  19. 前記リン酸エステル誘導体がホスホネート及びホスフィネートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項18に記載の非水電解液。
  20. 前記ホスホネートが下記式(IV):
    Figure 2006294332
    [式中、R4は、それぞれ独立して炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基又は炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基を示し;A4は、アミノ基又はハロゲン元素を示す]で表されることを特徴とする請求項19に記載の非水電解液。
  21. 前記ホスフィネートが下記式(V):
    Figure 2006294332
    [式中、R5は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基又は炭素−炭素二重結合を有する炭素数2〜6の炭化水素基を示し;A5は、それぞれ独立してアミノ基又はハロゲン元素を示す]で表されることを特徴とする請求項19に記載の非水電解液。
  22. 40〜100体積%のリン酸エステル誘導体及び60〜0体積%のホスファゼン化合物のみからなる溶媒に支持塩を溶解させてなることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
  23. 前記非水電解液の溶媒がリン酸エステル誘導体のみからなることを特徴とする請求項22に記載の非水電解液。
  24. 前記リン酸エステル誘導体がホスホネート及びホスフィネートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項22又は23に記載の非水電解液。
  25. 前記ホスホネートが前記式(IV)で表されることを特徴とする請求項24に記載の非水電解液。
  26. 前記ホスフィネートが前記式(V)で表されることを特徴とする請求項24に記載の非水電解液。
  27. 前記ホスファゼン化合物が下記式(VI):
    Figure 2006294332
    [式中、R6は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;Y6は、それぞれ独立して2価の連結基、2価の元素又は単結合を表し;Xは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル及びポロニウムからなる群から選ばれる元素の少なくとも1種を含む置換基を表す]で表される鎖状ホスファゼン化合物又は下記式(VII):
    (NPR7 2)m ・・・ (VII)
    [式中、R7はそれぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素を表し;mは3〜15を表す]で表される環状ホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項22に記載の非水電解液。
  28. 請求項1〜27のいずれかに記載の非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電池。
  29. 請求項1〜27のいずれかに記載の非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電気二重層キャパシタ。
  30. 非水電解液に700〜800℃の炎を接炎させ、非水電解液の火炎温度を測定することを特徴とする非水電解液の安全性評価方法。

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