JP4873139B2 - ガスケットの製造方法 - Google Patents

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本発明は、密封装置の一種であるガスケットの製造方法に関するものである。本発明のガスケットは例えば、燃料電池用セルシールとして用いられる。
燃料電池用セルシールの一体成形において、射出成形の場合、ゴム材料が射出されランナー部を経て各ゲート（注入口）部からキャビティへ流れ込み、セパレータ、フィルムまたはＭＥＡ（膜電極複合体）等のガスケット装着部材上に一体成形される。
図２は、このように金型を用いて装着部材１上に一体成形された燃料電池用ガスケット１１の一例を示しており、このガスケット１１は、シールリップ１２の両側または片側（図では両側）にシールリップ１２よりも高さの低い側部１３を一体に有している。
上記ガスケット１１の一体成形において、ガスケット１１の幅ｗ１が狭くてゲートの開口部を配置するのが難しい場合は、図３に示すようにゲート部分のみガスケット幅ｗ２を広くする形状としているが、ガスケット幅を広げる余裕がない場合には、金型３１におけるゲート３２の開口部３３を小さくしなければならない。
また、図４に示すガスケット１１は、上記セパレータ等の装着部材１の平面上に設けたガスケット装着溝２内に一体成形されるものであって、シールリップ１２の両側または片側（図では両側）にシールリップ１２よりも高さの低い側部１３を一体に有するとともに側部１３の上面に溝状凹部１４を有している。
上記ガスケット１１の一体成形においては、金型３１におけるゲート３２の開口部３３を図５または図６に示す位置に設けることが考えられるが、図５のようにガスケット側部１３の上段部１５に対応する位置にゲート３２の開口部３３を設けることは、ゲート痕の影響で圧縮時にこの箇所に反力が立つ可能性があることから、面位置まで圧縮する場合には適さない。また、図６のようにガスケット側部１３の溝状凹部１４に対応する位置にゲート３２の開口部３３を設ける場合は、ガスケット幅ｗ１が狭い場合やはりゲート３２の開口部３３を小さくしなければならない。
上記のようにゲート３２の開口部３３を小さくした場合、射出抵抗が大きくなり、成形材料の充填不足が発生しやすくなる問題がある。
特開２００５−１６６５０８号公報 特開２００６−４７９９号公報
本発明は以上の点に鑑みて、金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する場合、金型のゲートの開口部を十分に大きく設定することができ、もって射出抵抗の増大により充填不足が発生するのを未然に防止することができるガスケットの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項１による製造方法は、金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する方法であって、前記ガスケットはシールリップの両側または片側に前記シールリップよりも高さの低い側部を一体に有するとともに前記側部の上面に溝状凹部を有し、前記金型はキャビティ内面における前記溝状凹部に対応する位置に注入ゲートの開口部を有するガスケットの製造方法において、前記注入ゲートの開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填することを特徴とする。
また、本発明の請求項２による製造方法は、上記した請求項１記載の製造方法において、注入ゲートの開口部の長円形状は、その短径を溝状凹部の幅よりも小さく、長径を溝状凹部の幅よりも大きく設定されていることを特徴とする。
更にまた、本発明の請求項３による製造方法は、上記した請求項１または２記載の製造方法において、ガスケットは、燃料電池用ガスケットであることを特徴とする。
従来一般のゲートの開口部は真円形状であり、これに対して開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填するようにすると、開口部の開口面積を実質増大させることが可能となる。請求項１は上記図４および図６に対応して、ガスケット側部の溝状凹部に対応する位置にゲートの開口部を設ける場合であって、開口部の開口面積を実質増大させることが可能となる。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の請求項１による製造方法においては、開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定するとともにこの長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填するようにしたために、開口部の開口面積を実質増大させることが可能とされている。したがってガスケット幅が限られている場合であっても、開口部を十分な大きさに設定することができ、これにより射出抵抗の増大により充填不足が発生するのを未然に防止することができる。尚、この作用効果は、請求項２に記載したように、開口部長円形状の短径を溝状凹部の幅よりも小さく設定するとともに長径を溝状凹部の幅よりも大きく設定した場合に最も良く発揮される。また請求項３によれば、燃料電池用ガスケットにおいて、上記請求項１および２の作用効果を得ることができる。
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
すなわち、幅が狭いガスケットの一体成形において、金型のゲートの開口部を長円形状とする。これはガスケットを狭い幅で成形することが求められる場合に有効な手段であり、溝部に成形するセパレータ一体品のほかに、フィルムやＭＥＡの一体品で用いることも可能である。上記構成によれば、省スペースが要求される燃料電池用のガスケットの成形において、ゲートの開口部を長円形状にすることにより、狭いスペースでもゲートを配置することが可能となる。
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
当該実施例は、上記図４に示したシールリップ１２の両側または片側（図では両側）にシールリップ１２よりも高さの低い側部１３を一体に有するとともに側部１３の上面に溝状凹部１４を有するガスケット１１を成形するものであって、この場合、図１（Ａ）に示すように、金型３１はキャビティ３４の内面における溝状凹部１４に対応する位置に注入ゲート３２の開口部３３を有している。したがってこの場合は、図１（Ｂ）に示すように、キャビティ３４内面における溝状凹部１４対応位置に設ける注入ゲート３２の開口部３３をガスケット１１の長手方向に沿って長径ａを配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部３３からキャビティ３４へと成形材料を充填する。符号１はセパレータ、フィルムまたはＭＥＡ（膜電極複合体）等の装着部材を示しており、この装着部材１の上面に設けたガスケット装着溝２内にガスケット１１を一体成形する。
長円形状の開口部３３は、その短径ｂを溝状凹部１４の幅ｗ４よりも小さく設定されるとともにその長径ａを溝状凹部１４の幅ｗ４よりも大きく設定されている。したがって、溝状凹部１４の幅ｗ４が限られている場合であっても、開口部３３を十分な大きさに設定することができる。
長円形状の開口部３３は、その短径ｂを実寸で例えば０．２〜０．４ｍｍとし、長径ａを実寸で例えば０．７〜１．５ｍｍとする。本願発明者らの知見によると、長径ａは短径ｂの１．５〜５倍程度とするのが好適である。
（Ａ）は本発明の実施例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、（Ｂ）は要部下面図 ガスケットの一般構造を示す要部断面図 （Ａ）は従来例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、（Ｂ）は要部下面図 本発明の実施例に係る製造方法で製造するガスケットの要部断面図 （Ａ）は従来例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、（Ｂ）は要部下面図 （Ａ）は従来例に係る製造方法で使用する金型の要部断面図、（Ｂ）は要部下面図
１ 装着部材
２ ガスケット装着溝
１１ ガスケット
１２ シールリップ
１３ 側部
１４ 溝状凹部
１５ 上段部
３１ 金型
３２ 注入ゲート
３３ 開口部
３４ キャビティ

Claims (3)

  1. 金型を用いて装着部材上にガスケットを一体成形する方法であって、前記ガスケットはシールリップの両側または片側に前記シールリップよりも高さの低い側部を一体に有するとともに前記側部の上面に溝状凹部を有し、前記金型はキャビティ内面における前記溝状凹部に対応する位置に注入ゲートの開口部を有するガスケットの製造方法において、
    前記注入ゲートの開口部をガスケットの長手方向に沿って長径を配した長円形状に設定し、この長円形状に設定した開口部からキャビティへ成形材料を充填することを特徴とするガスケットの製造方法。
  2. 請求項１記載の製造方法において、
    注入ゲートの開口部の長円形状は、その短径を溝状凹部の幅よりも小さく、長径を溝状凹部の幅よりも大きく設定されていることを特徴とするガスケットの製造方法。
  3. 請求項１または２記載の製造方法において、
    ガスケットは、燃料電池用ガスケットであることを特徴とするガスケットの製造方法。
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