JP4873056B2 - 加圧ポンプ装置、液体噴射装置及び加圧流体の加圧解除方法 - Google Patents

加圧ポンプ装置、液体噴射装置及び加圧流体の加圧解除方法 Download PDF

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本発明は、吸入と吐出を繰り返して加圧流体を排出する加圧ポンプ装置、液体噴射装置及び加圧流体の加圧解除方法に関する。
従来、多種多様な印刷装置が開発されているが、例えばオフィス用や業務用向けの機種では印刷頻度の多さに伴い大量のインクを消費することから、大容量のインクカートリッジを搭載する必要がある。しかし、キャリッジ上にインクカートリッジを乗せた機種(オンキャリッジ式)で、単純に大容量のインクカートリッジを乗せると、キャリッジひいては印刷装置が大型化し、キャリッジ自身にも大きな負荷がかかる。従って、キャリッジとインクカートリッジを別々にしたオフキャリッジ式の印刷装置が開発されている。
オフキャリッジ式の印刷装置では、インクカートリッジ内のインクをキャリッジ側(キャリッジ上のサブタンク)に送る必要がある。このため、印刷装置に加圧ポンプを搭載し、加圧ポンプによる加圧空気をインクカートリッジ内の空間に送り出すことでカートリッジ内のインクパックを押し潰し、それによってインクをキャリッジ側へ押し出している。そして、加圧ポンプが加圧空気を送り出す排気と、その排気後に加圧ポンプ内に大気を取り込む吸気とを繰り返して、インク供給を行っている。
この加圧ポンプとしては、例えば特許文献1に示すダイヤフラム式ポンプが知られている。このダイヤフラム式ポンプは、駆動モータの回転運動をダイヤフラムの上下運動に変換し、それに伴ってポンプ室を伸縮させることで加圧空気を送り出すポンプである。このダイヤフラム式ポンプはポンプ室が同一平面上に複数(特許文献1のポンプは3つ)配置され、駆動モータの回転に伴ってそれらが順に伸縮動作を繰り返して加圧空気を順に送り出している。
また、加圧ポンプの吐出経路上には、加圧動作を繰り返すごとに加圧量が上昇するように逆止弁が配設されている。このため、加圧ポンプが加圧動作を行った後には、加圧空気の通り道となる空気供給チューブ内が高圧状態を維持する。ところで、空気供給チューブ内が過度に高圧状態になると安定した空気圧がインクカートリッジに供給できない。また、インクカートリッジを取り替えるときに空気供給チューブ内が高圧状態のままだと、同チューブと連通したインクカートリッジ内の空間も高圧状態となり、インクカートリッジが膨張した状態となることから、インクカートリッジが取り外し難くなる。
従って、空気供給チューブの経路上に、チューブ内の加圧空気を外部に開放する加圧解除機構を配設する必要がある。この加圧解除機構としては、例えば特許文献2に示す大気開放弁を兼ねた圧力調整弁が知られている。この圧力調整弁は電磁バルブを用いた弁開閉構造であり、詳しくは制御装置からの指令により電磁プランジャーを通電するとレバー等が動いて開弁状態となる構造である。そして、過度な高圧状態になったときや印刷装置が電源オフとなったときに、圧力調整弁を開弁して空気供給チューブ内を大気開放する。
特開2000−352379号公報(第4〜7頁、第2図) 特開2001−212975号公報(第8〜9頁、第7図)
ここで、オフキャリッジ式で圧力調整弁(大気開放弁を兼ねる)を備えた印刷装置としては、例えば特許文献1と特許文献2とを組み合わせた構成が考えられる。しかし、特許文献1に示すダイヤフラム式ポンプを用いた場合、このポンプはポンプ室が同一平面上に複数存在するので、加圧ポンプの径が大きくなるという現状があることから、加圧ポンプひいては印刷装置が大型化する問題があった。
また、特許文献2に示す圧力調整弁はサイズが大きい電磁バルブを用いた構造であるので、この圧力調整弁を用いた場合も、加圧ポンプと圧力調整弁とを含めたポンプユニットひいては印刷装置が大型化する問題があった。さらに、特許文献2に示す圧力調整弁を用いた場合、加圧ポンプを動かす駆動モータの制御に加えて圧力調整弁の制御も必要になり、制御系が複雑になる問題もあった。
本発明は、装置サイズを小型化することができる加圧ポンプ装置、液体噴射装置及び加圧流体の加圧解除方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明では、ポンプ駆動源となる駆動モータと、ポンプ室を押圧する押圧部材が往復直線運動することで、前記ポンプ室の容積が増減して該ポンプ室から加圧流体を排出するポンプ部と、前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換して、前記押圧部材を往復直線運動させる変換機構と、前記加圧流体が流れる流体流路管の途中に設置され、前記加圧流体による加圧を解除可能な弁機構と、前記駆動モータを少なくとも一方向に回転させることで、その回転を前記変換機構によって前記押圧部材の往復直線運動に変換して加圧動作を行い、前記駆動モータを他方向に回転させることで、前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行う制御手段とを備え、前記弁機構は、弁本体に対し揺動可能に支持されたレバー部材と、前記レバー部材と連動する弁と、前記弁により開閉される弁孔と、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材とを備え、前記駆動モータが一方向に回転しているとき、前記付勢部材の付勢力により前記レバー部材が弁孔側に付勢されて前記弁が閉弁状態となり、前記駆動モータが他方向に回転すると前記弁機構が作動して前記レバー部材が揺動し、前記弁が開弁状態となるように構成され、さらに、前記弁機構は、前記駆動モータが他方向へ回転したとき、従動部品が摩擦クラッチを介して前記駆動モータと連れ回りし、前記従動部品の押込部が前記レバー部材に当接して該レバー部材を揺動させる摩擦クラッチ機構を備え、前記摩擦クラッチの減速比が、前記駆動モータの回転を前記変換機構に伝達するギヤ機構の減速比よりも大きく設定されているたことを要旨とする。
この構成によれば、加圧動作を行うときには駆動モータを一方向に回転させることで行い、加圧解除を行うときには駆動モータの回転を他方向への回転に切り換えることで行う。従って、加圧動作と加圧解除との両方で同一の駆動モータが使用可能となり、加圧解除時の開弁機構に例えば部品サイズの大きい電磁バルブ等を使用せずに済むことから、加圧ポンプ装置の小型化が図られる。また、弁機構の開弁状態にするには、駆動モータを他方向に回転させるだけであるので、弁機構の開弁制御が簡単な制御で済む。
また、この構成によれば、モータが逆回転するとそれに基づき弁機構が動作してレバー部材が揺動し、弁機構の弁が開弁状態となる。従って、機械的な構造で弁機構の弁が開閉可能となるので、弁機構の弁開閉構造が簡単なものとなる。
さらに、この構成によれば、弁機構に摩擦クラッチ機構を用いれば、押込部がレバー部材に当接した後にモータが回転し続けても支障は生じないので、従動部品の押込部がレバー部材に当接しても駆動モータの回転を止めずに済む。従って、駆動モータのモータ制御が簡単になり、さらには駆動モータの回転位置を見る位置検出器等も不要となる。
またさらに、この構成によれば、弁機構に摩擦クラッチ機構を用いれば、駆動モータが一方向に回転する加圧動作時にも、摩擦クラッチを介して従動部材が回転する。しかし、摩擦クラッチの減速比が大きく設定されるので、加圧動作に必要な負荷、即ちポンプ部を動作させるに必要な負荷以外の負荷を小さくすることが可能となる。
本発明では、前記流体流路管を流れる加圧流体の圧力を検出する圧力検出手段を備え、前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出値に基づき圧力値を算出し、前記圧力値が過剰な圧力値である第1閾値以上になったとき、前記駆動モータを他方向に回転させて前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行うことを要旨とする。
この構成によれば、過剰圧力値としてみなせる第1閾値が設定され、加圧流体の圧力値が第1閾値以上となったとき、弁機構の弁が開弁される。従って、加圧流体が過剰に圧力上昇せずに済み、加圧ポンプ装置の耐久性向上等に寄与する。
本発明では、前記ポンプ部は、外部流体の吸気のみを許容する逆止弁を吸気口に配し、前記加圧流体の排気のみを許容する逆止弁を排気口に配したダイヤフラムによって構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、外部から流体(例えば、外気)の吸気のみを許容する逆止弁(即ち、吸気用一方向弁)を吸気口に有し、加圧流体の排気のみを許容する逆止弁(即ち、排気用一方向弁)を排気口に有するダイヤフラムを採用した。従って、ダイヤフラムを往復直線運動させるに従いダイヤフラムの加圧力が上昇していく構成となるので、ダイヤフラムを小型化しても充分な加圧力を得ることが可能となり、ダイヤフラムひいては加圧ポンプ装置の小型化が図られる。
本発明では、前記ポンプ部は、外部流体の吸気のみを許容する逆止弁を吸気口に配し、前記加圧流体の排気のみを許容する逆止弁を排気口に配したシリンダによって構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、外部から流体(例えば、外気)の吸気のみを許容する逆止弁(即ち、吸気用一方向弁)を吸気口に有し、加圧流体の排気のみを許容する逆止弁(即ち、排気用一方向弁)を排気口に有するシリンダを採用した。従って、ピストンを往復動させるに従いシリンダの加圧力が上昇していく構成となるので、シリンダを小型化しても充分な加圧力を得ることが可能となり、シリンダひいては加圧ポンプ装置の小型化が図られる。
本発明では、前記弁機構は、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材と、前記弁が開弁している時に、前記レバー部材の開弁方向への揺動を規制する揺動規制手段とを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、開弁している時、付勢部材が、レバー部材の開弁方向への揺動によってその付勢力を増大することがないように、揺動規制手段がそのレバー部材の揺動を規制する。つまり、揺動規制手段が、付勢部材の付勢力の増大を阻止する。しかも、その揺動規制手段は、閉弁するための付勢力を規制して、開弁するための揺動力よりも小さくなるようにする。
従って、レバー部材を開弁方向へ揺動するときに、増大した付勢力による閉弁状態への移行を回避することができる。その結果、レバー部材の開弁方向の揺動によって、弁機構の開弁状態を確実に維持することができ、弁機構の弁開閉構造を簡単して、その圧力調整の安定性を向上することができる。
前記揺動規制手段は、前記弁本体に設けられ、前記弁が開弁している時に、前記レバー部材に当接して前記レバー部材の開弁方向への揺動を規制する当接部であることを要旨とする。
この構成によれば、揺動規制手段が弁本体に設けられ、レバー部材に当接してその開弁方向への揺動を規制する当接部となる。従って、レバー部材が揺動する弁本体の経路上に当接部を形成する簡単な構成によって、その圧力調整の安定性を向上することができる。
本発明では、前記弁機構は、自身の弁室に滞留する前記加圧流体の圧力値が、第1閾値よりも大きな値に設定した第2閾値以上となると、自動的に前記弁が開弁状態となることを要旨とする。
この構成によれば、自身の弁室に滞留する加圧流体の圧力値が第2閾値(>第1閾値)以上となると、弁機構が自動的に開弁状態となる。従って、圧力検出手段が故障したり、制御手段による制御システムが暴走したりしても、加圧流体の圧力が第2閾値以上とならないことから加圧流体が過剰に圧力上昇せずに済み、加圧ポンプ装置の耐久性向上に一層寄与する。
本発明では、内部の空間に加圧流体が供給されることで内部の液体収容部が伸縮して液体を排出する液体カートリッジと、前記液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、前記液体カートリッジの液体を前記液体噴射ヘッドに導く液体流路管と、前記液体カートリッジの前記空間に加圧流体を供給する加圧ポンプ装置と、前記加圧流体を前記液体カートリッジの前記空間に導く流体流路管とを備えた液体噴射装置において、前記加圧ポンプ装置は、ポンプ駆動源となる駆動モータと、ポンプ室を押圧する押圧部材が往復直線運動することで、前記ポンプ室の容積が増減して該ポンプ室から加圧流体を排出するポンプ部と、前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換して、前記押圧部材を往復直線運動させる変換機構と、前記加圧流体が流れる流体流路管の途中に設置され、前記加圧流体による加圧を解除可能な弁機構と、前記駆動モータを少なくとも一方向に回転させることで、その回転を前記変換機構によって前記押圧部材の往復直線運動に変換して加圧動作を行い、前記駆動モータを他方向に回転させることで、前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行う制御手段とを備え、前記弁機構は、弁本体に対し揺動可能に支持されたレバー部材と、前記レバー部材と連動する弁と、前記弁により開閉される弁孔と、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材とを備え、前記駆動モータが一方向に回転しているとき、前記付勢部材の付勢力により前記レバー部材が弁孔側に付勢されて前記弁が閉弁状態となり、前記駆動モータが他方向に回転すると前記弁機構が作動して前記レバー部材が揺動し、前記弁が開弁状態となるように構成され、さらに、前記弁機構は、前記駆動モータが他方向へ回転したとき、従動部品が摩擦クラッチを介して前記駆動モータと連れ回りし、前記従動部品の押込部が前記レバー部材に当接して該レバー部材を揺動させる摩擦クラッチ機構を備え、前記摩擦クラッチの減速比が、前記駆動モータの回転を前記変換機構に伝達するギヤ機構の減速比よりも大きく設定されていることを要旨とする。
この構成によれば、加圧動作を行うときには駆動モータを一方向に回転させることで行い、加圧解除を行うときには駆動モータの回転を他方向への回転に切り換えることで行う。従って、加圧動作と加圧解除との両方で同一の駆動モータが使用可能となり、加圧解除時の開弁機構に例えば部品サイズの大きい電磁バルブ等を使用せずに済むことから、加圧ポンプ装置ひいては液体噴射装置の小型化が図られる。また、弁機構の開弁状態にするには、駆動モータを他方向に回転させるだけであるので、弁機構の開弁制御が簡単な制御で済む。
また、この構成によれば、モータが逆回転するとそれに基づき弁機構が動作してレバー部材が揺動し、弁機構の弁が開弁状態となる。従って、機械的な構造で弁機構の弁が開閉可能となるので、弁機構の弁開閉構造が簡単なものとなる。
さらに、この構成によれば、弁機構に摩擦クラッチ機構を用いれば、押込部がレバー部材に当接した後にモータが回転し続けても支障は生じないので、従動部品の押込部がレバー部材に当接しても駆動モータの回転を止めずに済む。従って、駆動モータのモータ制御が簡単になり、さらには駆動モータの回転位置を見る位置検出器等も不要となる。
またさらに、この構成によれば、弁機構に摩擦クラッチ機構を用いれば、駆動モータが一方向に回転する加圧動作時にも、摩擦クラッチを介して従動部材が回転する。しかし、摩擦クラッチの減速比が大きく設定されるので、加圧動作に必要な負荷、即ちポンプ部を動作させるに必要な負荷以外の負荷を小さくすることが可能となる。
本発明では、ポンプ駆動源となる駆動モータと、ポンプ室を押圧する押圧部材が往復直線運動することで、前記ポンプ室の容積が増減して該ポンプ室から加圧流体を排出するポンプ部と、前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換して、前記押圧部材を往復直線運動させる変換機構と、前記加圧流体が流れる流路管の途中に設置され、前記加圧流体による加圧を解除可能な弁機構と、前記駆動モータを制御する制御手段とを備えた加圧ポンプ装置に用いられる加圧流体の圧力解除方法であって、前記弁機構は、弁本体に対し揺動可能に支持されたレバー部材と、前記レバー部材と連動する弁と、前記弁により開閉される弁孔と、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材とを備え、前記駆動モータが一方向に回転しているとき、前記付勢部材の付勢力により前記レバー部材が弁孔側に付勢されて前記弁が閉弁状態となり、前記駆動モータが他方向に回転すると前記弁機構が作動して前記レバー部材が揺動し、前記弁が開弁状態となるように構成され、さらに、前記弁機構は、前記駆動モータが他方向へ回転したとき、従動部品が摩擦クラッチを介して前記駆動モータと連れ回りし、前記従動部品の押込部が前記レバー部材に当接して該レバー部材を揺動させる摩擦クラッチ機構を備え、前記摩擦クラッチの減速比が、前記駆動モータの回転を前記変換機構に伝達するギヤ機構の減速比よりも大きく設定され、前記制御手段は、前記駆動モータを少なくとも一方向に回転させることで、その回転を前記変換機構によって前記押圧部材の往復直線運動に変換して加圧動作を行い、前記駆動モータを他方向に回転させることで、前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行うことを要旨とする。この発明によれば、請求項1と同様の作用が得られる。
一実施形態における印刷装置のケース内の概略構成を示す平面図。 インクカートリッジの構成を示す断面図。 インクカートリッジに加圧空気を送る加圧ユニットの斜視図。 インクカートリッジに加圧空気を送る加圧ユニットの平面図。 伝達部材とそれに関係する部品の斜視図。 図5を反対側から見たときの斜視図。 吸気状態のときのポンプ部の側断面図 排気状態のときのポンプ部の側断面図。 クラッチ機構の分解状態を示す平面図。 閉弁状態のときの大気開放弁の断面図。 開弁状態のときの大気開放弁の断面図。 自ら開弁状態となったときの大気開放弁の断面図。 印刷装置の電気構成を示すブロック図。 加圧解除時にASICが実行するフローチャート。 変更例におけるポンプ部の側断面図であり、(a)は吸気状態のときのポンプ部の側断面図、(b)は排気状態のときのポンプ部の側断面図。 他の別例におけるポンプ部の側断面図であり、(a)は吸気状態のときのポンプ部の側断面図、(b)は排気状態のときのポンプ部の側断面図。 変更例における大気開放弁の閉弁状態を示す断面図。 変更例における大気開放弁の開弁状態を示す斜視図。 変更例における大気開放弁の開弁状態を示す断面図。 変更例における大気開放弁の閉弁状態を示す断面図。 変更例における大気開放弁の閉弁状態を示す断面図。
以下、本発明を具体化した加圧ポンプ装置、液体噴射装置及び加圧流体の加圧解除方法の一実施形態を図1〜図14に従って説明する。
図1は、印刷装置1のケース内の概略構成を示す平面図である。印刷装置1は本体ケース2の内部にキャリッジ3とインクカートリッジ4とを備え、これらキャリッジ3とインクカートリッジ4とが別体となったオフキャリッジ式である。キャリッジ3は駆動プーリ5と従動プーリ6とにより張設された無端のタイミングベルト7に取り付けられ、このタイミングベルト7がキャリッジモータ8により駆動されることで、ガイド軸9に案内された状態で主走査方向(図1の左右方向)に往復移動する。なお、印刷装置1が液体噴射装置に相当し、インクカートリッジ4が液体カートリッジに相当する。
キャリッジ3の下面には、複数のノズル孔を有する記録ヘッド10が取り付けられている。印刷装置1の下部端側には、印刷用紙を紙送りするときの駆動源となる紙送りモータ11(図13参照)が搭載されている。紙送りモータ11の出力軸にはギヤが固定され、このギヤがギヤ列を介して紙送りローラ12及び排紙ローラ13(両者ともに図13参照)に連結されている。紙送りモータ11が回転すると、紙送りローラ12及び排紙ローラ13が回転して、用紙14が紙送り部材15に沿って副走査方向(図1の上下方向)に紙送りされる。なお、記録ヘッド10が液体噴射ヘッドに相当する。
キャリッジ3には、記録ヘッド10にインクを供給するサブタンク(バルブユニットとも言う)16が搭載されている。インクカートリッジ4及びサブタンク16はインク色(例えばブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)の数だけ配設され、サブタンク16は各色毎にインク供給チューブ17を介して各色のインクカートリッジ4に接続されている。各サブタンク16はインクカートリッジ4から取り込んだインクを一時貯留し、その貯留インクを所定圧に圧力調整して記録ヘッド10に供給する。
本体ケース2の端部には、インクカートリッジ4の上面に加圧ユニット18が搭載されている。加圧ユニット18は空気供給チューブ19を介して加圧空気をインクカートリッジ4に送り出す装置であり、加圧ポンプ20、圧力センサ21及び大気開放弁22を備えている。空気供給チューブ19は大気開放弁22の下流側の分配器23によって複数(本例は4本)に枝分かれし、分岐した各チューブがインクカートリッジ4の各色に接続されている。なお、インク供給チューブ17が液体流路管に、加圧ユニット18が加圧ポンプ装置に、空気供給チューブ19が液体流路管に、圧力センサ21が圧力検出手段に相当する。
インクカートリッジ4は、本体ケース2が有するカートリッジホルダ24に着脱可能に収容される。インクカートリッジ4は、図2に示すようにインクが封入されたインクパック25と、そのインクパック25を収納するインクケース26とからなる。インクパック25はインク排出口25aを有し、このインク排出口25aにインク供給チューブ17が接続される。インクパック25はインク排出口25aのみが外部に露出し、それ以外の部分が気密状態でインクケース26に収納され、これによりインクケース26の内部には気密状態の空間27が形成される。なお、インクパック25が液体収容部に相当する。
また、インクケース26には空間27に連通する連通孔(図示省略)が形成され、この連通孔に空気供給チューブ19が接続されることで、連通孔と空気供給チューブ19とが導通した状態となっている。加圧ポンプ20が作動して加圧空気が排出されると、その加圧空気が空気供給チューブ19を伝ってインクカートリッジ4内の空間27に導入され、加圧空気の空気圧によってインクパック25が押し潰される。これにより、インクパック25内のインクがインク供給チューブ17を介してサブタンク16に供給される。
このように、加圧ポンプ20の排気・吸気の繰り返しに伴い加圧空気の圧力が上昇し、インクパック25が押し潰されることでインクがサブタンク16に供給される。そのインクはサブタンク16で一時貯留され、圧力調整された状態で記録ヘッド10へと供給される。印刷装置1は、ホストコンピュータやメモリーカードから取り込んだ印刷データに基づきキャリッジモータ8及び紙送りモータ11を駆動し、記録ヘッド10からインクを吐出して印刷処理を実行する。
図3は加圧ユニット18の斜視図であり、図4は加圧ユニット18の平面図である。加圧ポンプ20はダイヤフラム式ポンプであり、ポンプ駆動源であるポンプモータ28と、内部にポンプ室29(図7及び図8参照)を有するポンプ部30とを備えている。加圧ユニット18は加圧ポンプ20、圧力センサ21及び大気開放弁22が金属製の取付板31に取着されることでユニット化されている。従って、加圧ユニット18の本体ケース2への組付けは取付板31を複数のネジ等で本体ケース2に取付けることで行われる。ポンプモータ28の回転は、歯車機構32及びカム機構33を介して往復直線運動に変換されてポンプ部30に伝達される。
歯車機構32及びカム機構33を以下に説明すると、ポンプモータ28は例えば小型のDCモータが用いられ、その出力軸にはモータ歯車34が固着されている。一方、取付板31の端縁には同取付板31の底壁に対して垂直に立設した壁部31aが折曲げ形成され、その壁部31aには第1支軸35がポンプモータ28側に延びるように一体形成されている。第1支軸35は根元が大径で先端側が小径となっており、第1支軸35の小径部分には第1歯車36が回転可能な状態で支持されている。第1歯車36は大径歯車36aと小径歯車36bとを有し、大径歯車36aがモータ歯車34と噛合っている。なお、ポンプモータ28が駆動モータに相当し、歯車機構32及びカム機構33が変換機構を構成する。
ポンプ部30は、一端が円形状に開口したダイヤフラム(蛇腹)37と、ダイヤフラム37の開口部37a(図7及び図8参照)を密封状態で閉じる蓋部38とを備えている。従って、蓋部38で閉じられたダイヤフラム37の内部がポンプ室29として機能する。ダイヤフラム37は側壁が複数に折り返された蛇腹形状をなし、樹脂等をブロー成形することで製造される。ダイヤフラム37はポンプモータ28を駆動源として長手方向(図4に示す矢印A方向)に伸縮可能であり、この伸縮動作に伴ってポンプ室29の容積が増減する。
蓋部38の端面には複数(本例は3つ)の爪部38aが形成されている。一方、蓋部38の端面と対向する位置において取付板31には、同取付板31の底壁に対して垂直に立設した保持壁31bが折曲げ形成されている。保持壁31bの中央部には円形状の係止孔31cが形成されている。ポンプ部30は、爪部38aを係止孔31cに係止することによって、基端側(即ち、蓋部38側)が取付板31に対して固定されている。ダイヤフラム37の他端には、ポンプモータ28の回転運動に基づき往復直線運動してダイヤフラム37を伸縮させる押圧部材39が取り付けられている。
図5は押圧部材39とそれに関係する部品の斜視図であり、図6は図5を反対側から見た斜視図である。この押圧部材39は、平板状をなす基部40と、基部40に一体形成された円柱状のピストン41とを備えている。基部40の裏面には、互いに近づく方向に延出した係合片40aが形成されている。この係合片40aは、係合片40aの内側に生じる収容溝40bが基部40の側面40cで開放した形状をなすように、基部40の側面40cを除いた部位に形成されている。
一方、ダイヤフラム37の端部には、収容溝40bに合わせた形状で係合部37b(図7及び図8参照)が形成されている。この係合部37bは、ダイヤフラム37の端部(端面)から突出した状態となっており、押圧部材39の収容溝40bに係止可能となるように外側が内側よりも大径となった階段状に形成されている。従って、ダイヤフラム37は係合部37bを基部40の側面40cから収容溝40bに嵌め込むことによって押圧部材39に組み付けられる。
図3及び図4に示すように、ピストン41に相対する位置において取付板31には、一対の支持片31d,31dが折曲げ形成されている。これら支持片31d,31dは取付板31の底壁に対し垂直に延びており、各支持片31d,31dには同じ高さ位置に支持孔31e,31e(図4参照)が形成されている。ポンプ部30のピストン41は往復直線運動可能な状態で一対の支持孔31e,31eに挿通され、これによってピストン41が取付板31に支持された状態となる。
図3及び図4に示すように、一対の支持片31d,31dの間には、第1歯車36とともに連れ回り可能な第2歯車42が配設されている。図5及び図6に示すように、第2歯車42は、大径部分の歯部42aと、小径部分の円筒部42bとを備えている。第2歯車42には、歯部42aと円筒部42bとの両方に亘って連通する連通孔42cが形成されている。歯部42aと円筒部42bとは同軸上に位置している。第2歯車42は、連通孔42cにピストン41が挿通されることによって、ピストン41に対して相対回転可能に支持されている。なお、歯車機構32はモータ歯車34、第1歯車36及び第2歯車42で構成される。また、第1歯車36及び第2歯車42がギヤ機構を構成する。
ピストン41の外周面には、ポンプモータ28の回転運動をピストン41の往復直線運動に変換可能な形状でカム溝43が形成されている。一方、円筒部42bの側壁には円形状の孔部42dが形成され、円筒部42bの外周面には孔部42dを挟んだ状態で一対の掛止部42e,42eが形成されている。孔部42dには、ピストン41のカム溝43に係止可能な連結片44が、略コ字形状の金属製の固定片45により位置決めされた状態で取り付けられている。なお、カム機構33は押圧部材39、カム溝43、連結片44及び固定片45で構成される。
連結片44の裏面にはカム溝43に係止可能な係止部44aが形成され、連結片44の表面には突部44bが形成されている。また、固定片45の一対の側壁には掛止部42e,42eを掛止可能な掛止孔45a,45aが形成され、側壁を繋ぐ底壁には突部44bを係止可能な凹部45b(図6参照)が形成されている。連結片44は、円筒部42bの孔部42dに位置したとき、自身の突部44bが固定片45の凹部45bに嵌り込み、さらに一対の掛止部42eが固定片45の掛止孔45aに掛止した状態となることで位置決めされた状態に保持される。
連結片44は、自身の係止部44aがカム溝43に係止した状態で固定片45によって位置決め固定されている。ところで、ポンプモータ28が回転すると、それに連れて第1歯車36及び第2歯車42が回転し、第2歯車42が回転すると連結片44もそれと一緒に回転する。このとき、連結片44の係止部44aが係止するカム溝43の形状によって、ポンプモータ28の回転運動がピストン41の往復直線運動に変換され、ポンプモータ28の回転に伴ってピストン41が往復直線運動して、ダイヤフラム37が伸びたり(図4の実線の状態)、縮んだり(図4の一点鎖線の状態)する。
図7及び図8は、ポンプ部30の側断面図である。ポンプ部30の蓋部38には、大気のポンプ室29への流入口となる吸気口38bと、ポンプ室29内の加圧空気の排出口となる排気口38cとが形成されている。吸気口38bにはポンプ室29内への空気流通のみを許容する吸気用一方向弁46が接続され、排気口38cにはポンプ室29外への空気流通のみを許容する排気用一方向弁47が接続されている。従って、ポンプ部30はこの逆止弁構造によって、ダイヤフラム37が伸縮動作するごとに加圧量が上昇する。なお、吸気用一方向弁46及び排気用一方向弁47が逆止弁に相当する。
ポンプモータ28の回転に伴いピストン41がダイヤフラム37側(図7に示す矢印B方向)に直線運動(往動)すると、ダイヤフラム37が図7に示す状態から図8に示す状態へと縮む。このとき、ダイヤフラム37が排気状態となり、ポンプ室29内の加圧空気が排気口38cからインクカートリッジ4に供給される。一方、ポンプモータ28の回転に伴いピストン41が反ダイヤフラム側(図7に示す矢印C方向)に直線運動(復動)すると、ダイヤフラム37が図8に示す状態から図7に示す状態へと伸びる。このとき、ポンプ室29が吸気状態となり、大気中の空気が吸気口38bからポンプ室29内に送られる。
図3及び図4に示すように、圧力センサ21は、ポンプ部30が排出する加圧空気の圧力を検出し、その圧力に応じた検出値を出力可能なセンサである。圧力センサ21は、加圧空気の入口となる入力接続管21aと、取り込んだ加圧空気の出口となる出力接続管21bとを備えている。圧力センサ21は、入力接続管21aが第1空気供給チューブ19aを介してポンプ部30の排気接続管30aに接続され、出力接続管21bが第2空気供給チューブ19bを介して大気開放弁22の吸入接続管22aに接続されている。
図9は、摩擦クラッチ機構の分解状態を示す平面図である。第1歯車36及び大気開放弁22の間には摩擦クラッチ機構48が配設されている。これを以下に説明すると、取付板31の壁部31aには第2支軸49が固着されている。第2支軸49は根元が大径で先端側が小径となっており、第2支軸49の小径部分には第3歯車50が回転可能に取り付けられている。第2支軸49の先端にはワッシャ51aを介して固定ピン51bが固着され、第3歯車50は固定ピン51bによって第2支軸49から抜け落ちない状態に保持されている。なお、大気開放弁22及び摩擦クラッチ機構48が弁機構を構成する。
第3歯車50は、第1歯車36の小径歯車36bと噛合っている。第3歯車50及び壁部31aの間には、摩擦クラッチ機構48によって第3歯車50と連れ回り回転可能な従動部品52が取り付けられている。この従動部品52は中央部に貫挿孔52aを有し、この貫挿孔52aが第2支軸49の大径部分に貫挿されることによって第2支軸49に対し回転可能に支持されている。従動部品52の側面には、従動部品の外径よりも大きく側方に突出した押込部52bが形成されている。押込部52bの突出長さは、大気開放弁22に届く長さに設定されている。
従動部品52と壁部31aとの間には、従動部品52を第3歯車50側に付勢するスプリングバネ(以下、第1バネと記す)53が介装されている。第1バネ53は、一端が壁部31aの側面に当接し、他端が従動部品52の内壁52cに当接した状態となっている。第3歯車50と従動部品52とは第1バネ53の付勢力に応じた押圧力で接触し合った状態となり、第3歯車50は従動部品52と接触する壁面がクラッチ面50aとして機能する。また、第3歯車50及び従動部品52の間の摩擦クラッチによる減速比は、第1歯車36及び第2歯車42の間の減速比よりも大きく設定されている。
ポンプモータ28が回転すると第1歯車36を介して第3歯車50が回転し、この回転動作に伴って摩擦クラッチ機構48が作動して、従動部品52が第3歯車50と同方向に回転する。ちなみに、ポンプモータ28は正転及び逆転が可能であることから、本例はポンプモータ28が正転すると従動部品52が大気開放弁22の反対側(即ち、図3に示す矢印D方向)に回転することとし、ポンプモータ28が逆転すると大気開放弁22側(即ち、図3に示す矢印E方向)に回転することとする。なお、摩擦クラッチ機構48は、第3歯車50、従動部品52及び第1バネ53により構成される。
図10〜図12は、大気開放弁22の動作状態を示す断面図である。大気開放弁22は、大気開放機能とレギュレータ機能との2つの機能を有する弁であり、加圧空気の通路を有する弁本体54と、大気開放弁22の弁開閉を行う弁開放レバー55とを備えている。弁本体54は、加圧ポンプ20から圧力センサ21を介して送られた加圧空気の入口となる吸入口54aと、弁内の加圧空気の圧力検出室として機能する弁室54bと、弁内の加圧空気の出口となる排出口54cとを備えている。
弁本体54には弁室54bとその室外(大気)とを連通する弁孔56が形成され、弁孔56の出口周縁には弁座57が形成されている。弁本体54には第2支軸49の軸方向に沿って延びる回転軸58が架設され、弁開放レバー55は回転軸58に揺動可能に支持されている。弁開放レバー55の先端において弁孔56側の面には、弁孔56を開閉可能な弁(バルブ)59が突出形成されている。
一方、弁本体54の上壁と弁開放レバー55との間には、弁開放レバー55の先端を弁孔56側に付勢するスプリングバネ(以下、第2バネと記す)60が介装されている。弁本体54の上壁の下面と、弁開放レバー55の先端において弁孔56の反対側の面とには、第2バネ60を係止するバネ受け54d,55aが各々形成されている。大気開放弁22の排出接続管22bには、分配器23から延びる第3空気供給チューブ19cが接続されている。なお、弁開放レバー55がレバー部材に相当し、第2バネ60が付勢部材に相当する。
通常状態(即ち、ポンプモータ28の正転時)のとき、図10に示すように弁開放レバー55が第2バネ60の付勢力を受けてレバー先端が下方に傾き、弁開放レバー55の弁59が弁孔56を閉じることから、大気開放弁22が閉弁状態となる。このとき、ポンプモータ28の正転によって従動部品52が図10の矢印D方向に回転することになるが、ポンプモータ28が正転を続けても従動部品52は暫くすると第1支軸35に当接して回転が規制されることになり、それ以上回転しない状態となる。
加圧ポンプ20は、圧力センサ21の検出値から求まる圧力値Pに基づき、動作が停止状態及び駆動状態の間で切り換わる。即ち、加圧ポンプ20は、ポンプ駆動を開始してから圧力値Pが設定圧Pa以上になると停止状態になってポンプ駆動を一旦停止し、設定圧Paを下回るとポンプモータ28が正転を開始してポンプ駆動を再開する。そして、この処理が繰り返されることで、インクカートリッジ4に供給される加圧空気が所定範囲の圧力値に維持される。
一方、圧力値Pが過剰に上昇して閾値Pb(>Pa)以上となると、大気開放弁22の大気開放機能が作動する。このとき、まずポンプモータ28が正転に代えて逆転を開始し、これに伴って従動部品52が図10の矢印E方向に回転を開始する。従動部品52が矢印E方向に暫く回転すると、図11に示すように従動部品52の押込部52bが弁開放レバー55の基端に当接し、レバー基端が下方に押し込まれる。すると、第2バネ60の付勢力に抗して弁開放レバー55が揺動し、レバー先端が上方に持ち上がって弁59が弁孔56から離間し、大気開放弁22が開弁状態となる。
また、大気開放弁22はレギュレータ機能も備えているが、これは圧力センサ21や印刷装置1が制御システムが故障(暴走)しても、空気供給チューブ19内の加圧空気が過剰圧力とならないようにするためである。これを以下に説明すると、レギュレータ機能を作動させるべき閾値Pc(>Pb)が、第2バネ60のバネ力(付勢力)に基づき設定されている。従って、加圧空気の圧力値Pが閾値Pc以上となると、図12に示すように弁室54b内の空気圧によってレバー先端が上方に持ち上がり、自ら開弁状態となる。
さらに、印刷装置1の電源がオフとなったときにも、大気開放弁22の大気開放機能が作動する。これは、印刷装置1が電源オフ状態のときに空気供給チューブ19内が加圧状態のままであると、インクカートリッジ4が取り出し難かったり、インクがインク排出口25aの隙間から漏れ出たりするなどの問題が生じるからである。従って、印刷装置1の電源がオフされたとき、遅延回路等を用いて電源回路に電源が供給された状態を所定時間の間で維持し、その間にポンプモータ28を逆転させて大気開放弁22を開弁状態にする。
図4に示すように、押圧部材39の近傍において取付板31には、ダイヤフラム37の伸縮位置Xを検出するホーム検出器61が取着されている。ホーム検出器61は、ダイヤフラム37が最大に伸びきった状態となった(即ち、ホームポジション(ホーム位置)X0に位置した)か否かを検出する検出器であり、例えばリミットスイッチや光センサ等が用いられる。ホーム検出器61は検出レバー61aを備え、ダイヤフラム37がホームポジションX0に位置すると押圧部材39の基部40が検出レバー61aを押し込み、これによりオン状態となって検出信号を出力する。
図13は、印刷装置1の電気構成を示すブロック図である。印刷装置1はCPU62、ROM63、RAM64、I/F65及びASIC66を備え、これらデバイスはバス67を通じて電気接続されている。CPU62は印刷装置1のメイン制御を司り、ROM63に記憶された制御プログラムに基づきRAM64を作業領域として動作する。また、印刷装置1はI/F65を介してホストコンピュータ68に接続され、ホストコンピュータ68から送信された印刷データに基づき印刷処理を行う。なお、CPU62及びASIC66が制御手段を構成する。
ASIC66はCPU62からの指令に基づき動作し、第1モータ駆動回路69を介してキャリッジモータ8を、第2モータ駆動回路70を介して紙送りモータ11を、ヘッド駆動回路71を介して記録ヘッド10を駆動制御する。ASIC66は圧力センサ21に電気接続され、圧力センサ21からの検出値に基づき加圧空気の圧力値Pを算出する。そして、ASIC66は算出した圧力値Pに基づき、第3モータ駆動回路72を介してポンプモータ28を駆動制御する。また、ASIC66はホーム検出器61に電気接続され、ホーム検出器61から検出信号を入力するとダイヤフラム37がホームポジションX0にあると判断する。
さて、印刷装置1が印刷を開始すると、インクカートリッジ4内のインクをサブタンク16に送り出すために加圧ポンプ20による加圧動作が開始される。ASIC66は圧力センサ21の検出値に基づき加圧空気の圧力値Pを逐次算出しており、ポンプ駆動を開始してから圧力値Pが設定圧Pa以上となるとポンプモータ28を停止し、圧力値Pが設定圧Paを下回ると再びポンプモータ28を回転させる。ASIC66は、加圧ポンプ20の駆動或いは停止を繰り返し行い、加圧空気を所定範囲内の圧力に維持する。
ところで、印刷装置1の動作状態によっては、空気供給チューブ19内の加圧空気が意に反して過剰に圧力上昇する場合も考えられる。圧力の過剰上昇の原因としては、例えば印刷装置1の長時間使用による自身の温度上昇等がある。ASIC66は算出した加圧空気の圧力値Pが閾値Pb以上となると、加圧空気が過剰上昇していると判断する。従って、ASIC66は空気供給チューブ19内の圧力を低くするために加圧解除動作、即ち大気開放弁22を開弁する動作を実行する。
次に、ASIC66が実行する加圧解除動作を、図14に示すフローチャートに従って説明する。ASIC66は、加圧空気の圧力値Pが閾値Pbを超えたことをトリガとして、このフローチャートを実行する。
ステップ100では、ポンプモータ28を逆転させる。従って、ポンプモータ28の逆転に伴い従動部品52が図10に示す状態から同図の矢印E方向に回転を開始する。
ステップ101では、モータ逆転後の経過時間Taが設定時間Tmを経過した(経過時間Ta>設定時間Tmが成立した)か否かを判断する。ここで、従動部品52が正規の通りに回転すれば、図11に示すように従動部品52の押込部52bが弁開放レバー55を倒し、大気開放弁22が開弁状態になる。従って、空気供給チューブ19内の加圧空気が外部に放出され、過剰加圧状態が解消される。経過時間Ta>設定時間Tmが成立すればステップ102に移行し、経過時間Ta>設定時間Tmが不成立ならばそのまま待機する。
ステップ102では、逆転中のポンプモータ28を停止させる。
ステップ103では、加圧空気の圧力値Pが閾値Pb以上である(圧力値P≧閾値Pbが成立する)か否かを判断する。ここで、加圧空気の圧力値Pが閾値Pbを下回っていれば大気開放弁22による大気開放が正常に行なわれた状態となり、ステップ104に移行する。一方、加圧空気の圧力値が閾値Pb以上のままの状態が継続していれば大気開放弁22による大気開放が正常に行われなかった状態となり、ステップ107に移行する。
ステップ104では、ポンプモータ28の逆転を再開する。ここで、ポンプモータ28が逆転しているときもピストン41の往復直線運動は行われるので、ポンプモータ28の逆転を再開することで、ダイヤフラム37をホームポジションX0に位置させる。また、ポンプモータ28の逆転を再開するとき、押込部52bが弁開放レバー55に当接したままの状態となるが、摩擦クラッチが機能することからポンプモータ28の回転は許容される。
ステップ105では、ホーム検出器61から検出信号を入力したか否かを判断する。ここで、ホーム検出器61から検出信号を入力すればダイヤフラム37がホームポジションX0に位置したと判断してステップ106に移行し、ホーム検出器61から検出信号を入力しなければダイヤフラム37がまだホームポジションX0に位置していないと判断してステップ110に移行する。
ステップ106では、ポンプモータ28を停止する。従って、加圧ポンプ20はダイヤフラム37がホームポジションX0に位置した状態、即ち最大限伸びきった状態で伸縮動作が停止する。
一方、圧力値P≧閾値Pbが成立しているとステップ103で判断されたとき、ステップ107では、ポンプモータ28を正転させる。従って、従動部品52が図10に示す矢印D方向に回転を開始し、従動部品52の押込部52bが弁開放レバー55から離れた位置に戻される。
ステップ108では、正転中のポンプモータ28を停止させる。
ステップ109では、リトライが設定回数行われたか否かを判断する。ところで、ポンプモータ28を逆転させても圧力値Pが下がらないときには、ポンプモータ28を一旦正転して再度逆転させる動作(即ち、ポンプモータ28の逆転による大気開放)がリトライされる。リトライは決められた回数(設定回数)だけ実行可能となるように予め設定されており、例えば設定回数が3回に設定されていれば、リトライの総回数が3回に達したか否かが判断される。
そして、リトライの総回数が設定回数に達していなければステップ100に戻ってポンプモータ28の逆転による大気開放がリトライされ、リトライの総回数が設定回数に達していれば装置のどこか(例えば、ポンプモータ28やダイヤフラム37等)に異常が生じていると判断されてフェータルエラーが報知される。印刷装置1には表示画面(LCD、モニタ)、表示ランプ(LED)、ブザー(スピーカ等も含む)が搭載されていることから、表示画面、表示ランプ及びブザーの少なくともいずれか1つでフェータルエラーの報知が行われる。
一方、ホーム検出器61から検出信号を入力していないとステップ105で判断されたとき、ステップ110では、その検出信号の入力検出開始からの経過時間Tbが設定時間Tnを経過した(経過時間Tb>設定時間Tnが成立した)か否かを判断する。経過時間Tbが設定時間Tnを経過していなければステップ105に戻って検出信号の入力検出を継続し、経過時間Tbが設定時間Tnを経過していればフェータルエラーが報知される。
本例は、ポンプモータ28を正転させることで加圧ポンプ20の加圧動作が行われ、ポンプモータ28を逆転させることで加圧ポンプ20の加圧解除が行われる。従って、同一モータ28を用い、その回転方向を変えることで加圧動作と加圧解除とを切り換えるので、例えば大気開放弁22の弁開閉に装置サイズの大きい電磁バルブを用いずに済み、加圧ユニット18ひいては印刷装置1の小型化が可能となる。また、大気開放弁22の開弁制御が、ポンプモータ28を逆転させるだけという制御で済むので、簡単な制御で済む。
従って、この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)同一モータ28の回転方向を切り換えることによって、加圧ポンプ20の加圧動作と加圧解除とを各々行う構成であるので、大気開放弁22の弁開閉に電磁バルブ等を用いずに済み、加圧ユニット18ひいては印刷装置1を小型化することができる。また、大気開放弁22を開弁するときには、ポンプモータ28を逆転させるという簡単な制御で済むので、大気開放弁22の開弁制御が簡単なものとなる。
(2)圧力センサ21からの検出値に基づき加圧空気の圧力値Pを逐次算出し、その圧力値Pが閾値Pb以上となると、ポンプモータ28が逆転して大気開放弁22が開弁状態に制御される。従って、加圧空気が過剰に圧力上昇せずに済み、空気供給チューブ19やインク供給チューブ17が破損するような状況に陥り難くなり、加圧ユニット18ひいては印刷装置1の耐久性を向上することができる。
(3)ポンプ部30の吸気口38bに吸気用一方向弁46を設け、ポンプ部30の排気口38cに排気用一方向弁47を設けた。従って、ダイヤフラム37を伸縮運動させるに従いダイヤフラム37の加圧力が上昇していく構成となるので、ダイヤフラム37を小型化しても充分な加圧力を得ることができ、加圧ポンプ20ひいては印刷装置1の小型化に一層寄与する。
(4)大気開放弁22の弁開閉構造は、ポンプモータ28の逆転によって押込部52bが弁開放レバー55に当接し、これにより弁開放レバー55が揺動して大気開放弁22が開弁状態となる機械的構造である。従って、大気開放弁22の弁開閉構造が簡単な構造で済む。
(5)大気開放弁22の弁室54bに滞留する加圧空気の圧力値Pが閾値Pc(>Pb)以上となると、第2バネ60の付勢力に抗して弁開放レバー55が揺動を開始し、自動的に大気開放弁22が開弁する。従って、例えば圧力センサ21が故障したり、CPU62の制御システムが故障したりしても、自動的に大気開放弁22が開弁するので、加圧空気が過剰に圧力上昇せずに済み、印刷装置1の信頼性が向上する。
(6)ポンプモータ28の回転を従動部品52へ伝達する機構に摩擦クラッチを用いたので、大気開放弁22を開弁状態にするとき、押込部52bが弁開放レバー55に当接した後にポンプモータ28を回転し続けても支障は生じない。従って、ポンプモータ28の制御が簡単なものとなり、ポンプモータ28の回転位置を見る位置検出器等も不要となる。
(7)ポンプモータ28の回転を従動部品52へ伝達する機構に摩擦クラッチを用いると、ポンプモータ28の正転に基づく加圧ポンプ20の加圧動作時にも従動部品52が連れ回りする。しかし、第3歯車50及び従動部品52の間の摩擦クラッチによる減速比は、第1歯車36及び第2歯車42の間の減速比よりも大きく設定されているので、加圧動作に必要な負荷、即ちポンプ部30を動作させるに必要な負荷以外の負荷を小さくすることができる。
(8)印刷装置1の電源をオフしたときも、ポンプモータ28を逆転させて大気開放弁22を開弁状態にするので、印刷装置1に電源が入っていない状態のとき、空気供給チューブ19やインクカートリッジ4内に加圧空気が充填していない状態となる。従って、印刷装置1に電源が入っていないときには、空気供給チューブ19やインクカートリッジ4内を大気圧とすることができ、インク漏れ等の問題を発生し難くすることができる。
(9)圧力過剰常時の加圧解除や、印刷装置1の電源をオフしたときには、加圧解除を終了する際、ホーム検出器61の検出結果に基づきダイヤフラム37が伸びきった状態で停止する。ところで、ダイヤフラム37は縮んだ状態のまま長時間放置されると、クリープ変形が生じて加圧力が減少してしまうが、本例はダイヤフラム37が伸びきった状態で停止するので、ダイヤフラム37にクリープ変形等が生じ難くなり、加圧ポンプ20が圧力劣化し難くなる。
(10)大気開放弁22の開弁動作を行っても圧力が低下しないときや、加圧ポンプ20を停止するときにダイヤフラム37がホームポジションX0に位置しないときには、視覚又は音声によってフェータルエラーを報知するので、印刷装置1に異常が生じた旨をユーザに通知することができる。
なお、実施形態は前記構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
(変形例1)ダイヤフラム37は蛇腹形状に限らず、例えば図15(a),(b)に示すように椀型としてもよい。
(変形例2)ポンプ部30はダイヤフラム37を用いた構造に限らず、例えば図16(a),(b)に示すようにシリンダ81を用いてもよい。この構造では、シリンダ81にピストン82が往復動可能に収容され、ピストン82とシリンダ内壁との間にOリング83が介装されている。そして、ピストン82が往復動することでポンプ室29の容積が増減し、加圧空気が排出される。この場合も、シリンダ81に吸気用一方向弁46及び排気用一方向弁47が接続された構造であれば、シリンダ自体が小さくても充分な加圧特性を得ることが可能であるので、加圧ユニット18ひいては印刷装置1を小型化することができる。
(変形例3)ポンプモータ28はDCモータに限らず、ACモータを用いてもよい。
(変形例4)ポンプモータ28の回転をカム機構33や摩擦クラッチ機構48に伝達する機構は歯車機構32に限らず、例えばタイミングベルトによってポンプモータ28の回転をカム機構33や摩擦クラッチ機構48に伝達してもよい。
(変形例5)カム機構33は実施形態の円筒カムに限らず、例えばハートカム、正面カム、エンドカム等の各種方法を採用してもよい。
(変形例6)ポンプモータ28の回転を従動部品52に伝達する機構は摩擦クラッチ機構48に限らず、ポンプモータ28が逆転したときに、大気開放弁22が開弁状態になる構造のものであれば特に限定されない。また、この機構にクラッチ機構を用いた場合、クラッチ機構は摩擦クラッチに限らず、噛合いクラッチ等を採用してもよい。
(変形例7)上記実施形態では、ポンプモータ28が逆転すると、その逆転駆動力が、摩擦クラッチ機構を介して弁開放レバー55に伝達されるようにした。そして、第2バネ60の付勢力に抗して、弁開放レバー55の先端が上方に持ち上がり、大気開放弁22を開弁するようにした。
ところで、例えば摩擦クラッチ機構によってポンプモータ28の逆転駆動を減速するとき等に、弁開放レバー55の先端が過剰に持ち上げられている(第2バネ60が過剰に収縮されている)と、一旦持ち上げられた弁開放レバー55の先端が、第2バネ60の付勢力によって、再び下方に押し戻される。すなわち、大気開放弁22を閉弁するようになる。そして、弁開放レバー55は、下方に押し戻されると、再びポンプモータ28による駆動力を受けて持ち上げられる。すなわち、大気開放弁22を再び開弁するようになる。つまり、ポンプモータ28を逆転駆動すると、大気開放弁22が、開弁状態と閉弁状態を繰り返して、加圧ポンプ装置の圧力調整不良を招く可能性がある。
そこで、上記実施形態に加え、図17及び図18に示すように、弁本体54の上壁下面であって弁開放レバー55に一対のストッパ片55bを設け、そのストッパ片55bと相対する位置に、同ストッパ片55bに向かって下方に延びる揺動規制手段としての当接部101を設けるようにしてもよい。
詳述すると、当接部101は、図18に示すように、その下端と弁開放レバー55のストッパ片55bとの間の距離を揺動量Lにするように形成されている。この揺動量Lは、弁開放レバー55を開弁方向に揺動させる揺動力(ポンプモータ28の逆転駆動力)に基づいて設定されている。すなわち、揺動量Lは、弁開放レバー55のストッパ片55bが揺動量L分だけ持ち上がるとき(第2バネ60が揺動量Lに相対する分だけ収縮するとき)、その第2バネ60の付勢力が所定の揺動力よりも小さくなるように設定されている。なお、本変更例における所定の揺動力は、摩擦クラッチ機構48の減速比に基づいて従動部品52が減速する時、つまり第3歯車50(ポンプモータ28)が逆転方向に空転する時に、従動部品52と第3歯車50(クラッチ面50a)との間の摩擦力によって得られる揺動力である。
そして、ポンプモータ28が逆転すると、弁開放レバー55のストッパ片55bは、第2バネ60の付勢力に抗して上方に持ち上がり、図19に示すように、やがて当接部101の下端に当接する。つまり、当接部101が、弁開放レバー55のストッパ片55bの持ち上がる量(第2バネ60の収縮する量)を揺動量Lに規制する。すると、弁開放レバー55の揺動負荷が増大し、その増大した揺動負荷によって、従動部品52の逆転動が規制される。つまり、増大した揺動負荷によって、第3歯車50(ポンプモータ28)が空転する。この時、第2バネ60は、前記揺動量Lに基づいて、その付勢力が前記所定の揺動力よりも小さくなる状態を維持する。すなわち、第2バネ60の付勢力が揺動力と釣り合う前に、摩擦クラッチ機構48は、当接部101によって第3歯車50(ポンプモータ28)を空転し、同第2バネ60の付勢力の増大を阻止する。そのため、弁開放レバー55は、下方に押し戻されることなく、前記所定の揺動力によって当接部101に当接し続ける。
従って、第2バネ60の付勢力を揺動力よりも確実に小さくすることができ、例えば摩擦クラッチ機構によってポンプモータ28の逆転駆動を減速する場合であっても、大気開放弁22の開弁状態を確実に維持することができる。ひいては、弁開放レバー55の移動経路上に当接部101を設けるため、装置サイズを小型化することができる。
(変形例8)上記変更例7では、当接部101を弁本体54の上壁下面に設けた。これを変更し、図20に示すように、弁開放レバー55のストッパ片55bから上方に延びる当接部102を形成し、同当接部102がストッパ片55bの持ち上がる量を揺動量Lに規制するようにしてもよい。さらには、図21に示すように、取付板31の上面であって弁開放レバー55の基端と相対する位置に同基端に向かって延びる当接片103を形成し、同当接部102がストッパ片55bの持ち上がる量を揺動量Lに規制するようにしてもよい。
(変形例10)弁59が弁開放レバー55と別部材で形成され、弁開放レバー55の揺動と連動して弁孔56を開閉するものであってもよい。
(変形例11)加圧ポンプ20からインクカートリッジ4に供給される流体は空気に限らず、液体等を用いてもよい。
(変形例12)液体噴射装置は印刷装置1に限定されない。例えば、液体噴射装置は液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造装置、有機ELディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極形成装置、バイオチップ製造用の生体有機物を噴射する噴射装置、精密ピペット用の製造装置等でもよい。また、印刷装置1はインクジェット式、熱転写式等の種々の機種を採用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)請求項2〜8のいずれかにおいて、押圧部材の移動開始位置であるホーム位置に前記押圧部材がいるか否かを検出する位置検出手段(61)とを備え、前記制御手段は圧力解除実行時、前記圧力値が前記第1閾値を下回った後、前記位置検出手段からの検出値に基づく前記押圧部材の位置判断を開始し、前記押圧部材が前記ホーム位置に到達すると前記駆動モータを停止する。
(2)請求項1〜8のいずれかにおいて、前記変換機構は、前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換するカム機構と、前記駆動モータの回転を前記カム機構に伝達する歯車機構とを備え、前記歯車機構は前記変換機構及び弁機構の両方に前記駆動モータの回転力を伝達し、前記カム機構は前記駆動モータが少なくとも一方向に回転したときに動作して前記ポンプ部に加圧動作を行わせ、前記弁機構は前記駆動モータが他方向に回転したときにのみ開弁状態となるように動作する。この場合、歯車機構がカム機構と弁機構とで共有されるので、部品点数の低減や、装置の小型化を図ることができる。
1…液体噴射装置としての印刷装置、4…液体カートリッジとしてのインクカートリッジ、10…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、17…液体流路管としてのインク供給チューブ、18…加圧ポンプ装置としての加圧ユニット、19…流体流路管としての空気供給チューブ、21…圧力検出手段としての圧力センサ、22…弁機構を構成する大気開放弁、25…液体収容部としてのインクパック、27…空間、28…駆動モータとしてのポンプモータ、29…ポンプ室、30…ポンプ部、32…変換機構を構成する歯車機構、33…変換機構を構成するカム機構、36…ギヤ機構を構成する第1歯車、37…ダイヤフラム、38b…吸気口、38c…排気口、39…押圧部材、42…ギヤ機構を構成する第2歯車、46…逆止弁を構成する吸気用一方向弁、47…逆止弁を構成する排気用一方向弁、48…弁機構を構成する摩擦クラッチ機構、52…従動部品、52b…押込部、54…弁本体、54b…弁室、55…レバー部材としての弁開放レバー、56…弁孔、59…弁、60…付勢部材としての第2バネ、62…制御手段を構成するCPU、66…制御手段を構成するASIC、81…シリンダ、101…揺動規制手段としての当接部、P…圧力値、Pb…第1閾値としての閾値、Pc…第2閾値としての閾値。

Claims (9)

  1. ポンプ駆動源となる駆動モータと、
    ポンプ室を押圧する押圧部材が往復直線運動することで、前記ポンプ室の容積が増減して該ポンプ室から加圧流体を排出するポンプ部と、
    前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換して、前記押圧部材を往復直線運動させる変換機構と、
    前記加圧流体が流れる流体流路管の途中に設置され、前記加圧流体による加圧を解除可能な弁機構と、
    前記駆動モータを少なくとも一方向に回転させることで、その回転を前記変換機構によって前記押圧部材の往復直線運動に変換して加圧動作を行い、前記駆動モータを他方向に回転させることで、前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行う制御手段と
    を備え、
    前記弁機構は、弁本体に対し揺動可能に支持されたレバー部材と、前記レバー部材と連動する弁と、前記弁により開閉される弁孔と、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材とを備え、前記駆動モータが一方向に回転しているとき、前記付勢部材の付勢力により前記レバー部材が弁孔側に付勢されて前記弁が閉弁状態となり、前記駆動モータが他方向に回転すると前記弁機構が作動して前記レバー部材が揺動し、前記弁が開弁状態となるように構成され、
    さらに、前記弁機構は、前記駆動モータが他方向へ回転したとき、従動部品が摩擦クラッチを介して前記駆動モータと連れ回りし、前記従動部品の押込部が前記レバー部材に当接して該レバー部材を揺動させる摩擦クラッチ機構を備え、
    前記摩擦クラッチの減速比が、前記駆動モータの回転を前記変換機構に伝達するギヤ機構の減速比よりも大きく設定されていることを特徴とする加圧ポンプ装置。
  2. 前記流体流路管を流れる加圧流体の圧力を検出する圧力検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記圧力検出手段の検出値に基づき圧力値を算出し、前記圧力値が過剰な圧力値である第1閾値以上になったとき、前記駆動モータを他方向に回転させて前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行うことを特徴とする請求項1に記載の加圧ポンプ装置。
  3. 前記ポンプ部は、外部から流体の吸気のみを許容する逆止弁を吸気口に配し、前記加圧流体の排気のみを許容する逆止弁を排気口に配したダイヤフラムによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧ポンプ装置。
  4. 前記ポンプ部は、外部から流体の吸気のみを許容する逆止弁を吸気口に配し、前記加圧流体の排気のみを許容する逆止弁を排気口に配したシリンダによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧ポンプ装置。
  5. 前記弁機構は、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材と、前記弁が開弁している時に、前記レバー部材の開弁方向への揺動を規制する揺動規制手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の加圧ポンプ装置。
  6. 前記揺動規制手段は、前記弁本体に設けられ、前記弁が開弁している時に、前記レバー部材に当接して前記レバー部材の開弁方向への揺動を規制する当接部であることを特徴とする請求項5に記載の加圧ポンプ装置。
  7. 前記弁機構は、自身の弁室に滞留する前記加圧流体の圧力値が、第1閾値よりも大きな値に設定した第2閾値以上となると、自動的に前記弁が開弁状態となることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の加圧ポンプ装置。
  8. 内部の空間に加圧流体が供給されることで内部の液体収容部が伸縮して液体を排出する液体カートリッジと、前記液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、前記液体カートリッジの液体を前記液体噴射ヘッドに導く液体流路管と、前記液体カートリッジの前記空間に加圧流体を供給する加圧ポンプ装置と、前記加圧流体を前記液体カートリッジの前記空間に導く流体流路管とを備えた液体噴射装置において、
    前記加圧ポンプ装置は、
    ポンプ駆動源となる駆動モータと、
    ポンプ室を押圧する押圧部材が往復直線運動することで、前記ポンプ室の容積が増減して該ポンプ室から加圧流体を排出するポンプ部と、
    前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換して、前記押圧部材を往復直線運動させる変換機構と、
    前記加圧流体が流れる流体流路管の途中に設置され、前記加圧流体による加圧を解除可能な弁機構と、
    前記駆動モータを少なくとも一方向に回転させることで、その回転を前記変換機構によって前記押圧部材の往復直線運動に変換して加圧動作を行い、前記駆動モータを他方向に回転させることで、前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行う制御手段と
    を備え、
    前記弁機構は、弁本体に対し揺動可能に支持されたレバー部材と、前記レバー部材と連動する弁と、前記弁により開閉される弁孔と、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材とを備え、前記駆動モータが一方向に回転しているとき、前記付勢部材の付勢力により前記レバー部材が弁孔側に付勢されて前記弁が閉弁状態となり、前記駆動モータが他方向に回転すると前記弁機構が作動して前記レバー部材が揺動し、前記弁が開弁状態となるように構成され、
    さらに、前記弁機構は、前記駆動モータが他方向へ回転したとき、従動部品が摩擦クラッチを介して前記駆動モータと連れ回りし、前記従動部品の押込部が前記レバー部材に当接して該レバー部材を揺動させる摩擦クラッチ機構を備え、
    前記摩擦クラッチの減速比が、前記駆動モータの回転を前記変換機構に伝達するギヤ機構の減速比よりも大きく設定されていることを特徴とする液体噴射装置。
  9. ポンプ駆動源となる駆動モータと、ポンプ室を押圧する押圧部材が往復直線運動することで、前記ポンプ室の容積が増減して該ポンプ室から加圧流体を排出するポンプ部と、前記駆動モータの回転運動を往復直線運動に変換して、前記押圧部材を往復直線運動させる変換機構と、前記加圧流体が流れる流路管の途中に設置され、前記加圧流体による加圧を解除可能な弁機構と、前記駆動モータを制御する制御手段とを備えた加圧ポンプ装置に用いられる加圧流体の圧力解除方法であって、
    前記弁機構は、弁本体に対し揺動可能に支持されたレバー部材と、前記レバー部材と連動する弁と、前記弁により開閉される弁孔と、前記レバー部材を閉弁方向に付勢する付勢部材とを備え、前記駆動モータが一方向に回転しているとき、前記付勢部材の付勢力により前記レバー部材が弁孔側に付勢されて前記弁が閉弁状態となり、前記駆動モータが他方向に回転すると前記弁機構が作動して前記レバー部材が揺動し、前記弁が開弁状態となるように構成され、
    さらに、前記弁機構は、前記駆動モータが他方向へ回転したとき、従動部品が摩擦クラッチを介して前記駆動モータと連れ回りし、前記従動部品の押込部が前記レバー部材に当接して該レバー部材を揺動させる摩擦クラッチ機構を備え、
    前記摩擦クラッチの減速比が、前記駆動モータの回転を前記変換機構に伝達するギヤ機構の減速比よりも大きく設定され、
    前記制御手段は、前記駆動モータを少なくとも一方向に回転させることで、その回転を前記変換機構によって前記押圧部材の往復直線運動に変換して加圧動作を行い、前記駆動モータを他方向に回転させることで、前記弁機構を開弁状態にして加圧解除を行うことを特徴とする加圧流体の加圧解除方法。
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