JP4872445B2 - 樹脂粒子分散液及びその製造方法、静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法 - Google Patents

樹脂粒子分散液及びその製造方法、静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法 Download PDF

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本発明は、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)の構成材料に用いられる架橋ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体を含む樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液及びその製造方法、並びに、それを用いた静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。また、本発明は、前記静電荷像現像トナーを用いた静電荷像現像剤、及び、画像形成方法に関する。
近年、省エネルギー、低環境負荷な製造方法、製造から廃棄までの中でトータルな環境負荷低減商品の提供が企業にとって求められている。このような中、ポリエステル構造を持つ重縮合樹脂を低環境負荷で製造する技術が大学を中心に検討されている。
例えば、スカンジウムなどの希土類元素からなる重合触媒により、100℃以下の温度において重合が可能であることが見出されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、新規な重合触媒により重合されたポリエステルは、その触媒ケミストリー、メカニズム、副反応、残留触媒影響など現在活発に検討されているものの、いかなる特徴を制御すれば実用に供するか技術検討は十分でない。当然ながらこの樹脂を用いたトナー用樹脂への応用においてもまだまだ検討が充分なされていない。
更にまた、水系媒体でポリエステルの重縮合が可能であるといった報告がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、その技術においては重合メカニズムに不明な点が多く、また高分子量ポリマーを得ることが困難であるなど工業的実用化には未だ至ってない。当然ながら、このポリエステルの重合技術のトナーへの応用に関しても充分な検討は全くなされておらず、単に上記方法を適用したとしても充分なトナーとしての帯電特性、環境安定性、画質特性を得ることは到底できない。
一方、電子写真法において可視画像を得るためには、トナー像を定着することが必要であり、従来は熱効率が高くて高速定着が可能な熱ローラ定着方式が広く採用されている。しかるに最近は、(イ)定着器を作動せしめてから熱ローラが定着可能な温度にまで上昇するのに要するウォームアップタイムを短くすること、(ロ)転写紙へ熱が吸収されることによる熱ローラの温度低下を小さくして多数回にわたる連続コピーを可能にすること、(ハ)熱的な安全性を高くすることなどの要請から、定着用ヒーターの消費電力を低減させて熱ローラの温度をより低くした状態で定着処理を可能にすることが強く要求されている。従ってトナーにおいても低温で良好に定着し得るものであることが必要とされる。
しかもトナーにおいては、使用若しくは貯蔵環境条件下において凝集せずに粉体として安定に存在し得ること、即ち耐ブロッキング性に優れていることが必要であり、更に定着法として好ましい熱ローラ定着方式においては、オフセット現象、即ち定着時に像を構成するトナーの一部が熱ローラの表面に転移し、これが次に送られて来る転写紙に再転移して画像を汚すという現象が発生し易いので、トナーにオフセット現象の発生を防止する性能、即ち耐オフセット性を付与せしめることが必要とされる。
こうした中、ポリエステルとして結晶性ポリエステルをトナーに用いる技術が提案されている。しかしながら、結晶性のポリエステルは、常温においても、現像器等において前記ブロッキング現象を起こすという欠点がある。また、摩擦帯電性及び流動性が悪いために現像性が悪く、得られる画像はカブリの多い不鮮明な画質のものとなる。またトナーが軟質であるため、多数回の複写によってキャリア粒子や感光体表面へ付着するというフィルミング現象が発生し、更に、クリーニングブレード等のクリーニング部材へ融着することとなり、得られる画像もカブリが多く、濃度の低い不鮮明なものとなってしまう。加えてこのトナーは粘着性が高いため、オイルを塗布しない熱ローラ定着器においては、オフセット現象が発生しやすいものである。
上記に対し、結晶性ポリエステルと結合を形成する官能基を有し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定された分子量分布において2つ以上のピークを有し、少なくとも一つのピーク分子量が100,000〜1,000,000、他の一つのピーク分子量が2,000〜20,000である無定型ビニル重合体とが結晶性ポリエステルと化学的に結合してなるブロック共重合体、グラフト共重合体を主成分として含有するトナーの提案がある(例えば、特許文献2参照)。
この提案は、結晶性ポリエステルの持つ軟質さ、機械的強度不足に起因する課題を結合させるビニル系樹脂の分子量に分布を持たせることにより両立させようとするものであるが、最低定着温度とホットオフセット性とのみを両立させれば良い白黒トナーの設計においては一応の効果があるものの、種々の要求特性が求められるカラートナーにおいては使用が困難であった。その理由は、結晶性ポリエステル樹脂と無定形ビニル共重合体とは一般に非相溶構造を取り、トナー中での結晶性ポリエステルと無定型ビニル共重合体との分散構造、海島構造のサイズ、分散単位がトナー特性に重要な影響を及ぼすが、前記提案に記載されているトナー製造法(溶融混練粉砕法)でこの海島のサイズを制御するには製造機に応じ混練条件を経験的に試行錯誤し決める必要があり、トナー製法の最適なスケールアップ時に多大な開発工数を要し、またトナー性能を再現良く発現させるのは困難であったことによる。
また、三官能以上の多官能単量体成分を1〜50モル%含む、ガラス転移点が50〜100℃の芳香族ポリエステルよりなる無定形重合体ブロックの40〜99重量%と、ポリエステルよりなる結晶性重合体ブロックの1〜60重量%とを分子中に含有するブロック共重合体またはグラフト共重合体をバインダー樹脂として用いたことを特徴とする静電像現像用トナーが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしこの提案では、芳香族ポリエステルよりなる無定形重合体と脂肪族ポリエステルとの相溶性を制御し所望とするトナー特性を得ることは困難であった。すなわち、多官能単量体成分を含む無定形高分子と結晶性ポリエステルと反応させるとどうしても溶融粘度が増加してしまい、特に高グロス特性、高画質が要求されるカラー画像においては不都合があった。更に前記提案のトナー製法である溶融混練粉砕法は、前述したように製造安定性、適合性の課題を有している。
また、結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーの特徴である常温で塑性変形性を有す軟質な性質を隠蔽し、近年の高画質トナー、特に摩擦帯電性、粉体流動性、トナー保管性、画像定着特性に関し高度に機能機能を要求されるカラートナーに適する。
特定の画像光沢を有するトナーを作製する目的で、あるいはトナーの定着ラチチュードを広げる目的にトナー用樹脂ラテックスとして、線状ポリマー及び架橋ポリマー粒子の混合物を含むラテックスエマルジョンを基にし、凝集・合一しトナー化する方法はすでに公知として幾つか挙げられる。
例えば、特許文献4には、約50〜90重量%の線状重合体、好ましくは約1〜約50重量%の架橋ポリマー粒子を混合して用いらトナー用樹脂分散液の提案がある。本発明のトナー組成物の画像光沢特性は、使用される架橋ポリマー粒子の量、これらの粒子径、架橋密度、及び構成によって主に制御することができるとしており、ここに用いる架橋樹脂としては、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−ブチルアクリレート等を例とするビニル系モノマーからなる群より選択された架橋ポリマーが記載されている。
また更に、特許文献5には、乳化重合法によって架橋された高分子量水分散ラテックス(架橋ラテックスと略す)が製造される。スチレン20〜90w%,アクリレート系モノマー5〜90w%,および架橋性モノマー5〜50w%が使われ、架橋ラテックスとビニル系線状ラテックスを混合し、凝集・合一したトナーが提案されている。このように、トナー用樹脂分散液として架橋構造を有すラテックスは乳化重合法での作製が主であり、使用できるモノマーとしては、ビニル系モノマーに限れていた。こうした架橋ポリマーには、スチレン及びその誘導体、ジエン、アクリレート、及びメタクリレート等のビニルモノマーの重合から得られ、具体的にはジビニルモノマー(例えばジビニルベンゼン)を乳状物の重合中に組み込むことによって作製に供されていた。
しかしながら、こうしたビニル系架橋ラテックスは、架橋剤が乳化重合過程でミセル中に取り込まれることにより粒子化が行なわれるが、ラテックス間の架橋密度にばらつきが生じ易く、トナーに用いた時に画像グロスの均一性、定着ラチチュード拡大に充分な効果が得られない場合があった。更にまた、架橋ラテックスと線状ラテックスを混合し凝集・合一した場合、トナー中に架橋ラテックスのドメインが形成され易く、トナーの機械的強度が低減したり、定着ラチチュードの拡大に寄与できないといった課題があった。これは線状ラテックスと架橋ラテックスの間で凝集・合一に必要な表面の電荷量を調整しにくいためであり特にこうした課題は、トナーの低温定着を意図した、エステルラテックスとの凝集・合一をおこなった場合顕著であり、こうした架橋ラテックスのドメインは、高温高湿下での長期の維持性試験において感光体のフィルミングを引き起こす場合があり問題であった。
また更に、トナーの結着樹脂としては、従来よりビニル系の付加重合型樹脂が広く使用されてきたが、高分子量のビニル系の付加重合型樹脂はその軟化点が高いため、優れた光沢性を備えた定着像を得るために、ヒートローラの温度を高く設定する必要があり、省エネルギー化傾向に逆行する。
一方、ポリエステル樹脂は、鎖中に剛直な芳香環を有すことからビニル系重合体にくらべ可撓性を有し、機械強度を同一にした際の分子量を低く設定することができる。更に分子鎖の絡み合い性、限界分子量等の点で低温定着用樹脂としてビニル系結着樹脂とに比べ設計し易いという利点を有するため、ポリエステルが省エネルギートナーの結着樹脂として多く使用されている。
しかしながら、ポリエステルを使用したトナーの定着ラチチュードを広げる目的で架橋ポリエステルを使用する技術は知られているが、乳化重合凝集法でトナーを作製するに際し、好適な粒径である架橋構造を有するポリエステルラテックスは種々の困難さが生じてしまう。
一般的に架橋ポリエステルを作製するには、単量体として、多官能の酸あるいは多官能アルコールを共重合させる方法が一般的であるが、こうした架橋構造を有するポリエステルは汎用の有機溶剤に不溶となり溶剤乳化法(有機溶剤に溶解後、界面活性剤と共に水中に分散・乳化し、脱溶媒後に粒子化する方法)、転相乳化法(有機溶剤に溶解し、水を加えながら転相させ粒子化する方法)を用いてトナー用に好適な粒径を有するエマルジョンを作製するのは困難となってしまう。
使用する多官能酸、多官能アルコールの量を最適化し、所謂微架橋構造のポリエステルを用い有機溶剤に溶解する状態でエマルションを作製する方法もあるが、こうした微架橋ポリエステルは前述した低温定着トナーの定着課題を完全に回避することはできない。
有機溶剤法以外に架橋ポリエステルを用いたトナーが提案されている。乳化重合凝集法以外では、例えば、特許文献6には、少なくとも官能基含有ポリエステル系樹脂および非反応性樹脂が溶解されている有機溶媒相と、活性水素含有化合物と、着色剤とを、樹脂粒子が分散されている水系媒体相中に分散させて、前記官能基含有ポリエステル系樹脂と前記活性水素含有化合物との伸長反応および/または架橋反応を起こさせることにより得られた分散液からトナー粒子が形成される技術が開示されている。しかしながら、本方法の架橋ポリエステルで乳化重合凝集法に好適な0.1〜2ミクロンのラテックスを得るのは困難である。
米国特許第4355154号明細書 特公平7−85179号公報 特公平8−3660号公報 特開平10−282717号公報 特表2005−513531号公報 特開2005−148726号公報 A. Takasu, Y. Oishi, Y. Iio, Y. Inai, and T. Hirabayashi, Macromolecules, vol.36, p.1772-1774 (2003)
本発明の目的は、保存安定性に優れ、また、静電荷像現像トナーに用いた場合に耐オフセット性、耐ブロッキング性及びトナー流動性に優れた樹脂粒子分散液及びその製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、耐オフセット性、耐ブロッキング性及びトナー流動性に優れた静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法を提供することである。
上記課題は、以下に示す<1>、<7>及び<12>〜<15>の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<6>及び<8>〜<11>と共に以下に記す。
<1> 付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を含む混合成分を重縮合及び付加重合して得られる架橋ポリエステル及び付加重合型樹脂の重合体を含む樹脂粒子が水系媒体中に分散している樹脂粒子分散液であって、前記重合体が1以上の架橋ポリエステルドメインを有することを特徴とする樹脂粒子分散液、
<2> 樹脂粒子の体積平均粒径(d1)が、0.1〜7μmの範囲である上記<1>に記載の樹脂粒子分散液、
<3> 樹脂粒子の体積平均粒径(d1)と架橋ポリエステルのドメイン大きさ(d2)とが、d2≦0.8×d1である上記<1>又は<2>に記載の樹脂粒子分散液、
<4> 架橋ポリエステルのドメインが2個以上有する上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液、
<5> 前記ポリエステルが結晶性ポリエステルであり、その融点が40〜150℃の範囲である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂微粒子分散液、
<6> 架橋剤が、多官能カルボジイミド、アジリジン、アルコール、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、カルボキシル化合物、これらのプレポリマー、及び、これらの組み合わせよりなる群から選ばれたものである上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液、
<7> 付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を少なくとも含有した混合成分を水系媒体中に分散する分散工程、前記混合成分を重縮合し架橋ポリエステルを得る重縮合工程、及び、前記重縮合工程後、付加重合を行い樹脂粒子を形成する重合工程を含む上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<8> 架橋剤を0.1〜20重量%、及び、付加重合性単量体を5〜90重量%を用いる上記<7>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<9> 架橋ポリエステルを構成する単量体量Aと付加重合型樹脂を構成する単量体量Bとの重量比(A/B)が、10/90〜95/5の範囲である上記<7>又は<8>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<10> 前記重縮合工程において、重縮合触媒を用いる上記<7>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<11> 前記重縮合触媒が、界面活性効果を有する酸及び/又は酵素触媒である上記<7>〜<10>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<12> 少なくとも樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、前記凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子分散液が、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液、又は、上記<7>〜<11>のいずれか1つに記載の製造方法により製造された樹脂粒子分散液である静電荷像現像トナーの製造方法、
<13> 上記<12>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、
<14> 上記<13>に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<15> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程を含む画像形成方法であって、前記トナーとして上記<13>に記載の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として上記<14>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法。
本発明によれば、保存安定性に優れ、また、静電荷像現像トナーに用いた場合に耐オフセット性、耐ブロッキング性及びトナー流動性に優れた樹脂粒子分散液及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の他の目的は、耐オフセット性、耐ブロッキング性及びトナー流動性に優れた静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<樹脂粒子分散液>
本発明の樹脂粒子分散液は、少なくとも付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を含む混合成分を重縮合及び付加重合して得られる架橋ポリエステル及び付加重合型樹脂の重合体を含む樹脂粒子が水系媒体中に分散している樹脂粒子分散液であって、前記重合体が1以上の架橋ポリエステルドメインを有することを特徴とする。
本発明の樹脂粒子分散液は、静電荷像現像トナー用樹脂粒子分散液として好適に用いることができる。また、本発明の樹脂粒子分散液は、静電荷像現像トナーに用いた場合、定着温度が低く、高温高湿下でのフィルミング性、クリーニング性及び画質維持性に優れるため好ましい。
本発明においては、少なくとも付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を含む混合成分を水系媒体中に分散し重縮合及び付加重合を行ってもよく、前記混合成分を重縮合した後、水系媒体中に分散し付加重合を行ってもよいが、前記混合成分を水系媒体中に分散し重縮合及び付加重合を行うことが樹脂粒子の粒径制御や粒度分布の面で好ましい。
このように、本発明では樹脂粒子原料として、ポリエステルを構成する単量体(以下、「ポリエステル単量体」という場合がある)としてのジカルボン酸成分、ジオール成分、架橋剤成分に加え、付加重合性単量体を用いることで、水系媒体中の反応場である油滴(油相)の微粒化が促進され、小粒径でシャープな粒度分布を持つ粒子となるため好ましい。
また、ポリエステル単量体の重縮合時に架橋剤が架橋することによって、架橋したドメインを有するポリエステル/付加重合型樹脂の重合体となることから、前記のように共に非相溶なポリエステルと付加重合性樹脂とが分散した状態の樹脂を得ることができる。更に、このような樹脂からなる樹脂粒子の水系媒体中での分散状態も均一となり、分散安定性、保存安定性も良好な樹脂粒子分散液を得ることができる。
なお、ここで非相溶とは、両者の化学構造が同一又は類似し、あるいは官能基の作用により両者が充分に分散する性質のないことをいい、溶解性パラメータ(SP値)として、例えば、フェドースの方法によるSP値(R. F. Fedors, Polym. Eng. Sci., 14(2), 147 (1974)参照)の差が0.55より大きいものをいう。
また、得られる樹脂粒子では、例えば、親水性が高く、加水分解などに対し化学的に不安定なポリエステルに比べ、比較的安定な付加重合型樹脂が表面に被覆されるように形成されるため、化学的に安定であり、その結果、保存安定性に優れることとなる。また、水系媒体中での低温重合である場合、得られる樹脂に高温処理が施されることがないため(熱履歴が少ないため)、熱劣化することなく、良好な樹脂特性を発揮することもできるため好ましい。本発明の樹脂粒子分散液中の樹脂粒子は、架橋ポリエステルが表面に出ていない又はほんの一部しか表面に存在しないことが好ましく、架橋ポリエステルが樹脂粒子表面積の平均5%以下であることがより好ましく、平均1%以下であることが更に好ましい。測定方法としては、例えば、20〜50個の樹脂粒子を切断し、その断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し、確認する方法が挙げられる。このとき、観察を容易にするために、酸化オスミウム等の公知の方法で染色しても良く、また、画像解析装置を用いてもよい。
また、本発明に用いることができるポリエステルとしては、結晶性ポリエステルであることが好ましい。ポリエステルとして結晶性ポリエステルを用いた場合、該結晶性ポリエステルが付加重合型樹脂中で架橋したドメイン構造を有することによって得られるポリエステル/付加重合型樹脂の重合体を含む樹脂粒子を用いたトナーは、その軟化点がポリエステルの融点によって支配的に定まるため、該ポリエステルとして融点の低いものを用いることにより最低定着温度の低いものとなると共に、ポリエステルが架橋されたものであるため溶融時に大きな粘弾性が得られ、この結果、低温定着性を確保しながら優れた耐オフセット性を得ることができる。
まず、本発明の樹脂粒子分散液を得るためのプロセスについて概略を説明する。
水系媒体中でのポリエステルの重縮合に関しては、前記ポリエステル単量体を水系媒体中で重縮合反応を行なうことにより高分子量化することができる。この場合、水系媒体中での重合においては、予め重縮合に用いる単量体を機械的なせん断力、超音波などを用いて、必要により少量の界面活性剤、高分子安定剤などを溶解した水系媒体中に乳化または分散した後、加熱を行うことにより重合を進める。
この際、重合を行う単量体成分として、付加重合性単量体を重縮合性のポリエステル単量体と共に混合し、重縮合反応と同時又は別途付加重合を行う。更に、上記単量体成分と共に重縮合触媒をモノマー中に混合しておくことも可能であり、付加重合を行う場合はモノマー混合物中又は水系媒体中に重合開始剤を重縮合前、または重縮合中、重縮合後に添加することが可能である。
本発明における前記ポリエステルは、単量体成分としてジカルボン酸成分、ジオール成分、架橋剤成分とより得られるポリエステルである。したがって、重縮合したポリエステルの連鎖中に架橋点が存在し、架橋密度が上昇するにつれ、付加重合性単量体中でドメイン構造をとることが可能となる。
本発明における架橋ポリエステルは、脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸及びそれらのアルキルエステル(ジカルボン酸成分)と、ジオール及びそれらのエステル化合物(ジオール成分)と、架橋剤とを用いた直接エステル化反応、エステル交換反応、架橋反応等により重縮合を行うことができる。この場合、重合されるポリエステルとしては、アモルファス(無定形)ポリエステル、結晶性ポリエステルなどのいずれかの形態、またはそれらの混合形態をとることができるが、特に低温定着トナーを目指す場合においては、融点が40〜150℃の範囲で融点を示す結晶性ポリエステルを少なくとも含むことが好ましい。また、そのポリエステルを重縮合するための単量体の例としては、特に限定されるものではないが、特にポリアルキレンポリエステルが好ましい。
本発明におけるポリエステル単量体としてのジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ペプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,19−ノナデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等、及び、これらのエステル化合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。これらは1種単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明におけるポリエステル単量体としてのジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸などの2塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;など、及び、これらの低級エステルが挙げられる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することもできる。
次に、本発明において重要な架橋したポリエステルの説明を行う。
架橋ポリエステルにおいては、架橋点と架橋密度が重要な指標となるが、前述した乳化重合法で作製したビニル系の架橋樹脂粒子においては、架橋点は粒子内に分布している(特表2005−513531号公報等参照)。この時の分布は均一では無く、粒子表面に存在しているものもあるし、また樹脂粒子間で架橋密度に違いが生じるものもある。これは、乳化重合での粒子形成のメカニズムが、水系媒体中に分散したモノマータンクからミセルへの物質移動とミセル内での粒子核形成に伴うもので原理上精密に制御することはできない。
これに対し、本発明における架橋ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体とは、粒子表面に架橋点を有さない、あるいは粒子の内部に架橋密度が高いポリエステルのドメインを形成するポリエステル/付加重合型樹脂の重合体である。
本発明における架橋剤は、重縮合反応により生成したポリエステル鎖を架橋し架橋ポリエステルを形成する架橋剤であり、本発明において「内部架橋剤」又は「ポリエステル架橋剤」ともいう。
架橋剤としては、多官能の、アジリジン、カルボジイミド、オキシラン、アルコール、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、カルボキシル化合物、アミン、ビニルスルホン、アミド、アリル化合物、これらのプレポリマー、及び、これらの組み合わせを好ましく例示できる。
多官能アジリジンは、トリメチロールプロパントリ[β−(N−アジリジニル)プロピオネート]、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジン)プロピオネート]、アジリジン−2−メチロールアクリレート、アジリジン−2−メチロールメタクリレート、N−(2−アジリジニル)メチルアクリルアミド、N−(2−アジリジニル)メチルメタクリルアミド、1−(アジリジン−2−イル)−2−オキサブタ−3−エン、4−(アジリジン−2−イル)ブタ−1−エン、5−(アジリジン−2−イル)ペンタ−1−エン、これらのプレポリマー、及び、これらの組み合わせを好ましく例示できる。
多官能カルボジイミドは、カルボジイミド、カルボジイミド誘導体、これらのプレポリマー、又は、これらの組み合わせを好ましく例示できる。
多価アルコールは、3価以上のアルコールであり、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,2,3−プロパントリオール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピルブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及び、これらの組み合わせを好ましく例示できる。
ポリグリシジルエーテル化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、及び、これらの組み合わせを好ましく例示できる。
本発明に用いることができる架橋剤としては、多官能アジリジン、多官能カルボジイミド、多価アルコール、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルエステル化合物、多官能カルボキシル化合物、これらのプレポリマー、及び、これらの組み合わせよりなる群から選ばれたものであることが好ましく、多官能アジリジン、多官能カルボジイミド、多価アルコール、ポリグリシジルエーテル化合物、又は、カルボキシル化合物であることがより好ましい。
このような架橋剤は、重合したポリエステル/付加重合型樹脂の重合体の100重量部中に、0.1〜20重量部含まれることが好ましく、0.2〜15重量部含まれることがより好ましい。含有量が0.1重量部以上であると、ポリエステルの架橋が充分であり、ポリエステルの持つ機械的強度を改善することができ、粉体流動性の低下やトナーの潰れが発生しにくいため好ましい。20重量部以下であると、ポリエステルの架橋点が適度であり、ポリエステルの持つ低温定着性が十分発揮でき好ましい。
重合体又は樹脂粒子中のポリエステルドメインの観察は、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察、確認することができる。このとき、観察を容易にするために、酸化オスミウム等の公知の方法で染色しても良い。重合体又は樹脂粒子中のドメインの大きさは、得られたTEM写真を20〜50個の粒子を選択し、画像解析装置によりそのドメインの平均径、粒子中のドメインの数を観察、測定することが可能である。
好適なドメインは粒子内に存在し、その個数は、1つであっても、複数有していても構わない。ドメインの数は、染色法によりマトリックス樹脂とのコントラスト差を得ることが可能となる。複数とは2個以上を意味し、ドメインが明らかに有着した構造を有する場合は、それぞれの元になるドメイン数の和で表す。
本発明の樹脂粒子分散液において、樹脂粒子が含有する重合体が有するドメインの数としては、1個以上であり、2個以上であることが好ましい。ドメインが存在しないとポリエステルの架橋密度にも影響するが、結晶性ポリエステルの持つ機械強度の弱さを回避することができなくなり、トナーに用いた場合に感光体フィルミング性能が劣ってしまう。
上述の方法で測定した、ドメインの平均径(d2)と重合体の平均粒径(d1)との間にはd2≦0.8×d1の関係があるのが好ましく、更に好ましくはd2≦0.7×d1である。
d2≦0.8×d1の関係であれば、トナーの機械的強度と低温定着性との両立を図ることができる。
本発明に用いることができるジカルボン酸成分としては、不飽和基を有するカルボン酸及び/又はその誘導体を用いても良い。該誘導体としては、不飽和基を有するカルボン酸の酸無水物や低級エステルが好ましく用いられる。
不飽和基を有するカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アルケニルこはく酸、イタコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などが好ましく挙げられる。これらの不飽和基を有するカルボキシル酸又は酸無水物含有モノマーは単独、あるいは混合して用いられる。
上記の不飽和カルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸及びこれらのモノエステルが好適に用いられる。モノエステルとしては、例えば、マレイン酸を炭素数1から8の脂肪族アルコールでエステル化したものが好ましく、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノペンチル、マレイン酸モノヘキシルなどが挙げられる。
前記のように、得られるポリエステルのうち、結晶性ポリエステルはその融点が40〜150℃の範囲であることが好ましく、特に55〜110℃の範囲であることが好ましい。用いる結晶性ポリエステルの融点が40℃以上の場合には、得られるトナーの耐ブロッキング性に優れるため好ましく、また、150℃以下場合には、トナーの低温における熔融流動性が良好であり、定着性に優れるため好ましい。
なお、結晶性ポリエステルの融点は付加重合型樹脂と結合されていない状態におけるポリエステルの融点であるが、後述する樹脂粒子の融点として検出することができる。
この結晶性ポリエステル(樹脂粒子)の融点の測定には、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DSC−20」(セイコー電子工業社製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークから融点を求めた。
ここで、ポリエステルにおける結晶性の有無については、上記方法により測定された熱吸収曲線が JIS K7121の融解温度の定義に従い、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と融解ピーク(吸熱ピーク)の低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点(融解開始温度)と高温側のベースラインを低温側に延長した直線と融解ピーク(吸熱ピーク)の高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点(融解終了温度)の温度差が50℃以内であって、その曲線の形態が同じくJIS K7121で示される階段状形状を示さない場合を結晶性を有すると判断した。
前記ポリエステル単量体を用いたポリエステルの重縮合においては、必要により既知の重縮合触媒(有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化合物等)を予めポリエステル単量体中に配合することもできる。より低温度での重縮合を達成するために、界面活性効果を有するブレンステッド酸型重縮合触媒及び/又は酵素触媒を用いることが特に有効である。例えば、これら触媒の1種あるいは複数種を、例えば、0.1〜10,000ppm程度の割合で予めポリエステル原料と共に水系媒体中に添加することで、150℃以下(好ましく100℃以下)の温度で重縮合することができる。
ここで、界面活性効果を有するブレンステッド酸型触媒とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有するものであり、乳化機能と触媒機能を併せ持つ触媒である。
前記ブレンステッド酸型触媒としては、無機酸、有機酸、希土類元素触媒が挙げられる。特に、より低温度での重縮合を達成する観点から、ブレンステッド酸型触媒としてはY、Sc、Yb、Smから選択される希土類元素をその構成成分とする希土類元素触媒の使用が好ましい。
無機酸としては、硫酸、塩酸、臭酸などが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸基を有する無機酸が好適である。
有機酸としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸及びそのスチレン共重合体などのスルホン酸基を有する有機酸が挙げられる。
希土類元素触媒としては、その構成元素として特にY、Sc、Yb、Smから選ばれた少なくとも1種類の元素を含むことが好ましく、その好ましい触媒形態としてはそれら元素のトリフラート形態(構造式として、X(OSO2CF33で示される化合物であり、XはSc、Y、Yb、Smを表す。)、トリスドデシル硫酸型形態などを例示することができる。具体的には、例えば、トリスドデシル硫酸スカンジウムが挙げられる。
前記酵素触媒としては、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼなどが挙げられる。これらの例としては、シュードモナスフルオレッセンス由来のもの、シュードモナスセパシア由来のもの、キャンデイタルコーサ由来のもの、アスペルギルスニガー由来のもの、リゾプースデレマー由来のもの、リゾーフスジャポニクス由来のものを挙げることができる。これら触媒は単独で使用が可能であるが、必要に応じて複数の触媒を使用することも可能である。
更に、これらの触媒は必要により回収再生することも可能である。
ポリエステルの分子量は、数平均分子量Mnが1,000〜20,000の範囲、重量平均分子量Mwが2,000〜100,000の範囲のものが好ましく、より好ましくは、数平均分子量Mnが1,500〜10,000の範囲、重量平均分子量Mwが3,000〜50,000のものである。分子量がこの範囲にある場合には、トナーの耐オフセット性及び樹脂製造における重縮合効率が良好となる。
なお、上記ポリエステルの分子量は、ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体におけるビニル重合体が結合する前の分子量であるが、本発明においては、後述するように単量体混合系においてポリエステルの重縮合が先行して進行するため、ポリエステル単独の分子量として検出することができる。
次に、本発明における付加重合型樹脂について説明する。
本発明においては、前記ポリエステル重縮合反応を付加重合性単量体の存在下で行うことが可能である。付加重合性単量体は、最終的には付加重合により重合し、ポリエステルと付加重合型樹脂とを含む樹脂粒子を与える。
本発明に用いることのできる付加重合性単量体は、ラジカル重合性単量体であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることがより好ましい。
本発明に用いることができるラジカル重合性のエチレン性不飽和単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等の核置換スチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン等の核置換ハロゲン化スチレンなどのビニル芳香族類;(メタ)アクリル酸(なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものとし、以下も同様とする。)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;(メタ)アクリルアルデヒド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸誘導体類;N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物類;N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド等のN−置換不飽和アミド類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン等の多官能ビニル化合物類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類;等が挙げられる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び多官能アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。
本発明において、前記付加重合性単量体の使用量としては、最終的なポリエステル/付加重合型樹脂の重合体100重量部中に前記付加重合性単量体由来成分として1〜90重量部含むことが好ましく、5〜90重量部含むことがより好ましく、5.0〜70.0重量部含むことが更に好ましい。
含有量が1重量部以上であると、効果的に粒子化を行うことができ、トナー粉体特性及び定着性に優れるため好ましい。90重量部以下であると、溶融粘度が適度であり、低温定着性に優れるため好ましい。
これら付加重合性単量体は、その重合法としてラジカル重合開始剤を用いる方法、熱による自己重合、紫外線照射を用いる方法など、既知の重合方法を用いることができる。
前記ラジカル開始剤を用いる方法においては、ラジカル開始剤は、油溶性、水溶性のものがあるがどちらの開始剤を使用しても構わない。
具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾビスニトリル類;アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシアセテート、α−クミルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル;t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート;などの有機過酸化物類、過酸化水素等の無機過酸化物類、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類等のラジカル重合開始剤が挙げられる。なお、レドックス重合開始剤を併用することもできる。
付加重合型樹脂の分子量は、数平均分子量Mnが500〜50,000の範囲、重量平均分子量Mwが1,000〜1,000,000の範囲のものが好ましく、より好ましくは、数平均分子量Mnが1,000〜20,000の範囲、重量平均分子量Mwが2,000〜500,000の範囲のものである。分子量がこの範囲にある場合には、トナーの粉体特性及び定着性が良好となり好ましい。
また、付加重合型樹脂のガラス転移点(Tg)は45〜80℃の範囲であることが好ましい。
上記のようにして重合した付加重合型樹脂は、前記ポリエステルと共に海島構造を形成し、ポリエステル/付加重合型樹脂重合体を形成する。
以上の如きポリエステル/付加重合型樹脂重合体をトナーの結着樹脂に用いた場合に、トナーの低温定着性に有効でありかつその流動性を良好にすることができるのは、次のような理由によるものと思われる。すなわち、ポリエステル樹脂のような縮合系の樹脂では低分子量のものを容易に得ることができ、更にスチレン等のビニル系樹脂に比較して、溶融した際転写紙等の支持体に対する「濡れ」が良く、同等の軟化点を持つ他の樹脂をバインダーとして含有するトナーに比較して、低い温度で十分な定着を行うことができるためである。
前記ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体において、ポリエステルを構成する単量体量Aと付加重合型樹脂を構成する単量体量Bとの重量比(A/B)が、10/90〜95/5の範囲であることが好ましく、より好ましくは20/80〜90/10の範囲であり、更に最も好ましくは30/70〜60/40の範囲である。ポリエステル単量体の割合が10重量%以上であると、低温定着性に対する効果が十分得られるため好ましく、また、付加重合型樹脂の割合が5重量%以上であると、得られるトナーの流動性、現像性、耐フィルミング性、耐オフセット性、及び、耐久性に優れるため好ましい。
また本発明においては、ポリエステルとして不飽和基を有する多価カルボン酸を用い、付加重合性単量体や付加重合型樹脂とグラフト結合を有していても良い。
また本発明では、前記ポリエステル/付加重合性樹脂の重合体において、ポリエステルにアイオノマーが化学的に結合しても良い。重合体としてイオン架橋結合を持ったアイオノマーを結合させることにより、ポリエステル/付加重合性樹脂の重合体の弾性を更に高めることができ、トナーとした場合の耐オフセット性や保存性を向上させることができる。
本発明に用いることができるアイオノマーとしては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体のNa塩,Zn塩,Ca塩;エチレンアクリル酸共重合体のNa塩,Zn塩,Ca塩,Mg塩;などを単独または混合して使用することができる。
イオン架橋構造を導入するためには、前記付加重合性単量体から得られる重合体に多価金属を反応させればよく、カルボキシル基と金属イオンとの配位結合(イオン結合)によってイオン架橋構造が形成される。ここに、好適な多価金属化合物としては、例えばアルカリ土類金属、亜鉛族金属の酢酸塩、酸化物等を挙げることができる。イオン架橋及び共有結合性架橋構造が導入されたポリエステル/付加重合性樹脂の重合体は脆性が緩和され、常温下における強靭性が発現される。その結果、トナーに用いた場合に現像器内での撹拌によるストレスによっても破砕されず、外添剤の埋没等も生じさせない。
本発明の樹脂粒子分散液の分散媒は、水系媒体である。
本発明に用いることのできる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
本発明においては、樹脂粒子分散液中に前記樹脂粒子が固形分量として5〜40重量%の範囲で含まれることが好ましく、10〜30重量%の範囲で含まれることがより好ましい。固形分量が5重量%以上であると、工業的な効率が良好であり、トナー用の分散液として使い難くなるとなる場合があり、40重量%以下であると、分散液の粘度が適度であり、凝集が起こりにくいため好ましい。
また、前記樹脂粒子の体積平均粒径は0.1〜7μmの範囲であることが好ましく、0.15〜5μmの範囲であることがより好ましく、0.15〜2μmが更に好ましく、0.2〜1μmが特に好ましい。体積平均粒径が7μm以下であると、後述するこの樹脂粒子からなるトナーの粒径を容易に制御することができ、使用に際してその解像度など画質特性上好ましい。一方、0.1μm以上であると、一定以上の粒径のトナーを得ることが容易であるため好ましい。
更に、本発明の樹脂粒子分散液においては、前記架橋ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体における、ポリエステルと化学的に結合及び/又は機械的に分子鎖が絡み合った付加重合型樹脂が、樹脂粒子を取り囲む水系媒体側に向けて配向し、該樹脂粒子の内部から表面にかけて前記付加重合型樹脂の存在比率が高くなっていることが好ましい。すなわち、付加重合性単量体がポリエステルに比べ比較的親水性であるため、付加重合型樹脂が全体として水系媒体側に配向し、付加重合型樹脂の存在比率が樹脂粒子の内部に比べ表面側の方が高くなるようにすることが好ましい。
その結果、前述のようにポリエステルの存在比率の高い樹脂粒子表面に付加重合型樹脂が被覆されることとなり、加水分解などに対して化学的に不安定なポリエステルと水系媒体との接触を抑制することができるため、ポリエステルの高分子量化を図ることができる。また、この場合にも付加重合型樹脂がポリエステルに化学的及び/又は機械的に分子鎖が絡み合っているため、上記のような手法により均一な擬似的な被覆層を形成することが可能となる。
<樹脂粒子分散液の製造方法>
次に、以上述べた本発明の樹脂粒子分散液を製造する方法について説明する。
本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は、付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を少なくとも含有した混合成分を水系媒体中に分散する分散工程、前記混合成分を重縮合し架橋ポリエステルを得る重縮合工程、及び、前記重縮合工程後、付加重合を行い樹脂粒子を形成する重合工程を含む本発明の樹脂粒子分散液を製造する製造方法であることが好ましい。
水系媒体中で所定の粒子径の樹脂粒子を得るためには、重縮合及び重合方法として懸濁重合法、溶解懸濁法、ミニエマルジョン法、マイクロエマルジョン法、ミクロエマルジョン法、多段膨潤法やシード重合を含む乳化重合法など通常の水系媒体中での不均一系重合形態を利用することがよい。また、この場合、重縮合反応、重合反応、特に最終分子量や重合速度が粒子の最終粒子径に依存することから、最も好ましい粒子径形態としての1μmを達成し、しかも効率的な製造を達成することが可能である製造形態としては、ミニエマルジョン法、マイクロエマルジョン法など、1μm以下のサブミクロン粒子をその最終形態とする重合方法がより好ましい。
本発明の樹脂粒子の製造方法では、樹脂粒子原料として、ポリエステル単量体及び付加重合性単量体を水系媒体中で混合し分散させる分散工程と、これらの単量体の重縮合及び重合反応(ポリエステル単量体の重縮合及び付加重合性単量体のラジカル重合、並びに、ポリエステルの架橋反応)を行い樹脂粒子を形成する重合工程とを有するものである。
本製造方法では、ポリエステル重縮合反応を付加重合性単量体の存在下に行うことが可能で、付加重合性単量体は最終的には付加重合により重合し、ポリエステルが架橋構造を有することより架橋ポリエステルと付加重合性重合体との重合体粒子を与える。
このように、付加重合性単量体の存在下でのポリエステル重縮合反応を良好に行わせるためには、前記分散工程において、ポリエステル単量体を付加重合性単量体中に溶解または分散した後、当該付加重合性単量体を水系媒体中で乳化分散等により分散させることが好ましい。
ここで、水系媒体中での重合に際し、重合前の単量体成分に加え、後述する着色剤、離型剤等を予め混合しておくことも可能である。こうすることにより、着色剤や離型剤(ワックス)を取り込んだ形で樹脂粒子を作製することが可能となる。
また、分散工程においては、単量体(ポリエステル単量体及びビニル系単量体)を含有する油相の平均粒子径を特定の範囲に保つために、共界面活性剤を併用することができ、その共界面活性剤としては、水不溶性若しくは難溶性で且つ単量体可溶性であり、詳細については後述する、従来公知の“ミニエマルジョン重合”において用いられているものを用いることができる。
好適な前記共界面活性剤の例としては、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の炭素数8〜30のアルカン類;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数8〜30のアルキルアルコール類;ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数8〜30のアルキル(メタ)アクリレート類;ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等の炭素数8〜30のアルカンチオール類;及び、その他、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂またはポリアダクト類、カルボン酸類、ケトン類、アミン類等が挙げられる。
また、分散工程においては、粒子エマルジョンを形成することとなるが、粒子エマルジョンをなすには、例えば、共界面活性剤を加えた単量体溶液と、界面活性剤の水溶液とを、ピストンホモジナイザー、マイクロ流動化装置(例えば、マイクロフルー、ディックス社製「マイクロフルーダイザー」)、超音波分散機等の剪断混合装置によって均一に混合し、乳化させることができる。その際、水に対する単量体の仕込み量は、水との合計量に対して0.1〜50重量%程度とし、界面活性剤の使用量は、形成されるエマルジョンの存在下において臨界ミセル濃度(CMC)未満とすることが好ましく、また共界面活性剤の使用量は、単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部の範囲、更に好ましくは0.1〜10重量部の範囲とする。
なお、臨界ミセル濃度(CMC)未満の界面活性剤量及び共界面活性剤の併用による単量体エマルジョンの重合開始剤の存在下での該単量体の重合は、例えば、P.L.Tang,E.D.Sudol,C.A.Silebi,M.S.El−Aasser;J.Appl.Polym.Sci.,第43巻,1059頁(1991)等に記載されている、所謂“ミニエマルジョン重合”として知られており、臨界ミセル濃度(CMC)以上の界面活性剤量の存在下での、数μm程度の粒径の単量体粒子の水性エマルジョンを水溶性重合開始剤を用いて重合させる従来の乳化重合が、界面活性剤ミセル内で重合を開始し、単量体粒子からの単量体の拡散による供給を受けて重合体粒子が成長し形成されるのに対して、“ミニエマルジョン重合”では、単量体粒子内で単量体が重合することから均一な重合体粒子が形成され、また更に、本発明のようなポリエステル/付加重合型樹脂の重合体の“ミニエマルジョン重合”では、重合過程において単量体の拡散が不要なことから、ポリエステルはそのまま重合体粒子内に存在し得る利点を有する。
また、例えば、J.S.Guo,M.S.El−Aasser,J.W.Vanderhoff;J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.,第27巻,691頁(1989)等に記載されている、粒子径5〜50nmの粒子の所謂“マイクロエマルジョン重合”は、本発明における“ミニエマルジョン重合”と同様の分散構造及び重合機構を有するものであるが、“マイクロエマルジョン重合”では、臨界ミセル濃度(CMC)以上の界面活性剤を多量に使用するものであり、得られる重合体粒子中に多量の界面活性剤が混入するとか、あるいは、その除去のために水洗浄、酸洗浄、或いはアルカリ洗浄等の工程に多大な時間を要する等の問題が存在する。
本発明においては、単量体の分散液を形成するために、ポリエステル単量体と液体又は固体の付加重合性単量体とが混合され、その混合物が水相に分散されることがよい。該付加重合性単量体が室温において固体である場合には、ポリエステル単量体と混合するために、その融点より高温まで加熱してよい。同様のことはポリエステル単量体が室温において固体である場合にも当てはまる。
また、ポリエステル単量体/付加重合性単量体混合物は、水相中に分散された場合に1,000nm以下の体積平均粒径を有する小滴を形成する条件の下で水相に分散される。このように形成された小滴の体積平均粒径は、50〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは70〜350nmの範囲、更に好ましくは70〜250nmの範囲であり、200nmまでの体積平均粒径を有することが特に好ましい。
前記要求とされる小滴サイズを生じさせるためには、高剪断混合技術、例えば均質化(ホモジナイゼーション)又は高圧衝突混合(インピンジメントミキシング)が有用である。適当な高剪断衝突混合装置は、Microfluidics Corporationから利用可能なマイクロフルイダイザー乳化機(MICROFLUIDIZER(登録商標) emulsifier)である。そのような混合装置は、米国特許第4,533,254号に記載されている。超音波混合も適当である。電気エネルギーを高周波機械エネルギーに変換する電気分散機及び超音波破砕機も使用し得る。更に、機械分散装置、例えばIKA、OMNI型混合機も、ポリエステル単量体/付加重合性単量体混合物を水相に分散させるために使用することができる。
一方、本発明における分散工程において、水相には粒子を安定化する界面活性剤を含有することが好ましい。油滴の不安定性は、一般にはブラウン衝突及び該小滴からの単量体の拡散によって生じ、ここで該単量体は再び核となって新たな粒子を形成するか又は既存の粒子を膨潤させる。ブラウン衝突による不安定性は、小滴の表面上に界面活性剤層が十分に被覆されることによって減少し得る。単量体の拡散は、適当に小滴が安定化されることと、より小さなサイズの小滴が生じることによって減少し得る。界面活性剤は、比較的疎水性基のみならず比較的親水性基も含有するため、小滴よりも水相に可溶である。その疎水性基は小滴に吸着する一方、親水性基は水相に入り込んで安定化を生じさせる。界面活性剤は、分散された小滴に吸着し、小滴と水相との間の界面張力を5dyn/cm以下まで減少させることが好ましい。
前記界面活性剤としては、広範囲の陰イオン系、陽イオン系及び非イオン系界面活性剤が用いられる。陰イオン系及び非イオン系界面活性剤が一般的には好ましい。陰イオン系及び陽イオン系界面活性剤は、一般にそれらが1以上のイオン性(陰イオン性又は陽イオン性)基と疎水性基を含有することによって特徴付けられる。好ましい陰イオン性基としては、カルボン酸基及びスルホン酸基がある。好ましい陽イオン性基としては、アンモニウム基及びホスホニウム基がある。疎水性基は、好ましくは6以上の炭素原子を有する芳香族基、6以上の炭素原子を有する脂肪族基、又は、合計6〜30の炭素原子を有する芳香族基及び脂肪族基の組合せ、より好ましくは8〜30の炭素原子を有する脂肪族基、又は、合計6〜30の炭素原子を有する芳香族基及び脂肪族基の組合せである。
好ましい陰イオン系及び陽イオン系界面活性剤は、6以上の炭素原子を有する少なくとも1つの非環式アルキル又はアルケニル基を含む。更に、この陰イオン系及び陽イオン系界面活性剤は、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含むオキシアルキレン基のような他の部分を含むことができる。
好ましい陰イオン系及び陽イオン系界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、直鎖状ドデシルベンジルスルホネート、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ナトリウムドデシルジフェニルオキシドジスルホネート(sodium dodecyl diphenyl oxide disulfonate)、ナトリウムn−デシルジフェニルオキシドジスルホネート(sodium n−decyl diphenyl oxide disulfonate)、ナトリウムヘキシルジフェニルオキシドジスルホネート(sodium hexyl diphenyl oxide disulfonate)、ドデシルベンゼンスルホン酸、ステアリン酸ナトリウム又はアンモニウム、アビエチン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの種類の市販されている界面活性剤の例としては、Stepan ChemicalからのPolystep(商標)A−15及びBisfot(商標)S−100、DeforestからのDesulf(商標)TLS−40、The Dow Chemical CompanyからのDowfax(商標)2A1、3B2及びC6L、EmkayからのEmkapol(商標)PO−18、HerculesからのDresinate(商標)TX、及びUnion CarbideからのTriton(商標) X−100、X−405及びX−165が挙げられる。
本発明における重縮合工程及び重合工程は、上記のようにして分散させた単量体粒子の分散液に対し、加熱を行うことにより実施する。この場合、系においてポリエステル単量体の重縮合と付加重合性単量体の重合とがともに起こり得る。すなわち、重縮合工程において、付加重合性単量体が一部重合していてもよい。また、前述の各種重縮合触媒及び重合触媒を使い分けることにより、例えば、ポリエステル単量体の重縮合を先に行い、次いで付加重合性単量体の付加重合を行うこともできる。
なお、前記のように本発明におけるポリエステルの重縮合は従来より低温で行うことが可能であり、重縮合温度は50〜99℃の範囲で行うことが好ましい。
上記重合工程を経て、ポリエステルと付加重合性樹脂とが化学的に結合及び/又は機械的に分子鎖が絡み合ったポリエステル/付加重合性樹脂の重合体が得られ、該ポリエステル/付加重合性樹脂の重合体を含む樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を作製することができる。
本発明の樹脂粒子分散液における樹脂粒子の重量平均分子量は、1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
<静電荷像現像トナー及びその製造方法>
本発明の静電荷像現像トナーの製造方法は、少なくとも樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、前記凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子分散液が、本発明の樹脂粒子分散液、又は、本発明の製造方法により製造された樹脂粒子分散液である静電荷像現像トナーの製造方法である。
本発明の静電荷像現像トナーは、少なくとも、上記本発明の樹脂粒子分散液中の樹脂粒子及び着色剤粒子等を凝集させた後、加熱により融合して得られる。
具体的には、前記のようにして形成された樹脂粒子を凝集(会合)させる既知の凝集法などの粒子凝集融着法により、トナー粒子径及び分布を調整することが可能である。以下に示す乳化重合凝集法では、例えば、本発明において調製したポリエステル/付加重合型樹脂の重合体を含む樹脂粒子分散液を、着色剤分散液及び離型剤分散液と混合し、更に凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し(凝集工程)、その後樹脂粒子のガラス転移点以上または融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し(融合工程)、洗浄、乾燥することにより得られる。
なおトナー形状は、不定形から球状までのものが好ましく用いられる。また、凝集剤としては界面活性剤の他、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性の特性において望ましい。
また前述の凝集工程において、本発明の樹脂粒子分散液、着色剤分散液を混合し予め第一の凝集粒子形成後、更に本発明の樹脂粒子分散液または別ポリマー粒子分散液を添加して第一の凝集粒子表面に第二のシェル層を形成することも可能である。またこの例示においては、着色剤分散液を別に調製しているが、当然樹脂粒子に予め着色剤が配合されても良い。
ここで、凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。また、例えば、樹脂の乳化重合、顔料の分散、樹脂粒子の分散、離型剤の分散、凝集、凝集粒子の安定化などに界面活性剤を用いることができる。具体的には硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
本発明において、前記凝集工程における凝集法としては、特に限定されるものではなく、従来より静電荷像現像トナーのための乳化重合凝集法において用いられている凝集法、例えば、昇温、pH変化、塩添加等によってエマルジョンの安定性を低減化させてディスパーザー等で撹拌する方法等が用いられる。
更に、凝集工程後、粒子表面からの着色剤の滲出を抑える等の目的で、熱処理を施す等により粒子表面を架橋せしめてもよい。なお、用いられた界面活性剤等は、必要に応じて、水洗浄、酸洗浄、あるいはアルカリ洗浄等によって除去してもよい。
本発明のトナーに用いる着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、チタンブラックなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などを1種単独でまたは2種以上を併せて使用することができる。
上記着色剤の使用量は、トナー100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲であることが好ましく、特に0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
これらの分散方法としては、任意の方法、例えば、回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段回で添加してもよい。
本発明の静電荷像現像トナーは、必要に応じ磁性体、特性改良剤を含有してもよい。前記磁性体としては、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金属若しくは合金又はこれらの元素を含む化合物、あるいは強磁性元素を含まないが、適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、又は二酸化クロム、その他を挙げることができる。例えば黒色のトナーを得る場合においては、それ自身黒色であり着色剤としての機能をも発揮するマグネタイトを特に好ましく用いることができる。またカラートナーを得る場合においては、金属鉄などのように黒みの少ないものが好ましい。またこれらの磁性体のなかには着色剤としての機能をも果たすものがあり、その場合には着色剤として兼用してもよい。
これらの磁性体の含有量は、磁性トナーとする場合にはトナー100重量部当り20〜70重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは40〜70重量部の範囲である。
また、本発明においては、必要に応じて、この種トナーに用いられる帯電制御剤が用いられてもよく、その場合、帯電制御剤の添加は、前記単量体粒子エマルジョンの製造開始時、あるいは重合開始時、または前記樹脂粒子の凝集開始時等に、水性分散液等として添加することができる。帯電制御剤の添加量としては、単量体又は樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは1〜25重量部の範囲、更に好ましくは5〜15重量部の範囲である。
その帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン系樹脂等の正荷電性帯電制御剤、またはクロム、コバルト、アルミニウム、鉄等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸若しくはアキルサリチル酸やベンジル酸等のヒドロキシカルボン酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等の金属塩や金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物等の負荷電性帯電制御剤等、公知のものを用いることができる。
また、本発明の静電荷像現像トナーの製造には、必要に応じて、この種トナーに用いられる離型剤としてのワックス類が用いられてもよく、その場合、離型剤の添加は、前記単量体粒子エマルジョンの製造開始時、あるいは重合開始時、または前記樹脂粒子の凝集開始時等に、水性分散液等として添加することができる。離型剤の添加量としては、単量体又は樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは1〜25重量部の範囲、更に好ましくは5〜15重量部の範囲である。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ワックス、パラフィン系ワックス、水添ヒマシ油、カルナバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、モンタン酸エステル等の高級脂肪酸エステル系ワックス、アルキル変性シリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級アルコール、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン等、公知のものを用いることができる。
更に電荷像現像用トナーの製造方法には、必要に応じて、この種のトナーに用いられる酸化防止剤、紫外線吸収剤等の公知の各種内添剤が用いられてもよい。
前記製造方法により得られる本発明の静電荷像現像トナーの体積平均粒径D50は3.0〜9.0μmの範囲であることが好ましく、3.0〜5.0μmの範囲であることがより好ましい。D50が3.0μm以上であると、付着力が適度であり、現像性に優れるため好ましい。また、9.0μm以下であると、画像の解像性に優れるため好ましい。
また、得られるトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30以下であると、解像性に優れ、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥が起こりにくいため好ましい。
ここで、体積平均粒径D50や平均粒度分布指標は、コールターカウンターTAII(ベックマン−コールター社製)で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、累積50%となる粒径を体積D50v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V1/2として算出される。
得られたトナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100〜140の範囲、好ましくは110〜135の範囲が適当である。形状係数SF1は次のようにして求められる。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて、下記式のSF1を計算し、平均値を求めることにより得られたものである。
Figure 0004872445
式中、MLはトナー粒子の絶対最大長を示し、Aは粒子の投影面積を示す。
これらは、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡画像を画像解析装置によって解析することによって数値化される。
また、本発明のトナーには、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけながらトナー粒子表面に添加して使用することができる。
また、水系媒体中にてトナー表面に付着せしめる場合、無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
無機粒子として詳細には、一次粒子径が5nm〜2μmの範囲であり、好ましくは5nm〜500nmの範囲である粒子である。また、BET法による比表面積は20〜500m2/gの範囲であることが好ましい。トナーに混合される割合は0.01〜5重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01〜2.0重量%の範囲である。
このような無機粉末としては、例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。
なお、ここでいうシリカ粉末はSi−O−Si結合を有する粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれもが含まれる。また、無水二酸化ケイ素の他、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれでもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが好ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上、アエロジル社製)、タラックス500(タルコ社製)等を挙げることができる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル、側鎖にアミンを有するシリコーンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用可能である。
<静電荷像現像剤>
本発明の静電荷像現像トナーは、静電荷像現像剤として使用することもできる。この現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することのほかは特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
キャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、例えば、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が好ましく挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
なお、静電荷像現像剤における、トナーと、キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましい混合比としては、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして本発明の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
本発明の画像形成方法としては、上記のような特定のトナーを用いて現像剤を調製し、それを用いて常用の電子写真複写機により静電像の形成及び現像を行い、得られたトナー像を転写紙上に静電転写した上加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により定着して複写画像を形成する。
本発明の画像形成方法は、転写紙上のトナーと加熱ローラとの接触時間が1秒間以内、特に0.5秒間以内であるような高速定着を行う際に特に好ましく用いられる。
また、本発明の静電荷像現像剤(静電荷像現像トナー)は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。本発明の画像形成方法は、具体的には、例えば、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、及び、クリーニング工程を含む方法であることが好ましい。前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担体上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、前記本発明の静電荷像現像トナーを含有する本発明の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を転写体上に転写する工程である。
前記定着工程では、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する。
本発明の静電荷像現像トナーは、転写紙上のトナーと加熱ローラとの接触時間が1秒間以内、特に0.5秒間以内であるような高速定着を行う画像形成プロセスに特に好ましく用いられる。
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
本発明の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、これらの実施例に本発明が限定されるものではない。実施例中「部」とあるのは、特に断りがない限り重量部を表す。
なお、本実施例のトナーは、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定の割合で混合し撹拌しながら、金属塩の重合体を添加し、イオン的に中和させて凝集粒子を形成した。次いで、無機水酸化物を添加して系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂粒子のガラス転移点以上又は融点以上の温度に加熱して融合・合一を行った。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得たる。以下、それぞれの調製方法、及び、各特性値の測定方法を説明する。
<融点及びガラス転移点の測定>
示差走査熱量測定法(DSC)に従い、「DSC−20」(セイコー電子工業社製)を使用し、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークから融点を求めた。
<重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定>
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって、以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し、測定を行った。また、試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択するものとする。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、用いたGPCのカラムとしては、TSK−GEL、GMH(東ソー(株)社製)を用いた。
なお、溶媒及び測定温度は、測定試料にあわせ、適当な条件に変更して行った。
ポリエステルとして脂肪族ポリエステルを用い、付加重合型樹脂として芳香族を含むモノマーを用いた樹脂粒子分散液を作製した場合、両者の分子量をGPCで解析する際、検出器としてUVとRIを分離する装置を後付けし、それぞれの分子量を解析した。
<樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒径の測定>
樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定した。
<樹脂の融点、ガラス転移温度の測定>
非結晶性樹脂のガラス転移点(Tg)及び結晶性樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製:DSC−20)を用い、室温から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、融点は吸熱ピークの頂点の温度とした。
<実施例1>
(油相1の調製)
・1,9−ノナンジオール 10.0部
・ドデカンジオニック酸 14.0部
・アジリジン架橋剤 Closslinker CX-100(DSM NeoResins社製) 0.5部
・スチレン 25部
・ヘキサデカン 0.5部
上記各モノマー(ポリエステル単量体、付加重合性単量体)を130℃で加熱溶解させ均一な油相1を調製した。
(水相1の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸 1.66部
・水 200部
上記を混合して均一な水層1を調製した。
(樹脂粒子分散液1の作製)
前記調製した水相1を75℃恒温槽中で1時間撹拌した。この水相1と前記油相1とを容器に入れ、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて8,000rpmで3分攪拌した後、ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力:504kgf/cm2)で5パス分散し乳化物を得た。このときドロップレットの体積平均径は0.5μmであった。
次いで、撹拌機を備えたリアクターに上記乳化物を投入し、窒素雰囲気下、70℃で24時間重縮合を実施した。この反応物を少量取り出し、下記種々の分析を実施したところ、この時点の重合体はほぼポリエステルであることが分った。作製した反応物の物性は以下の通りである。
・GPCによる重量平均分子量:4,200
・エステル転化率:81%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:2%
なお、上記エステル転化率は、例えばM.Barrere,K.Landfester/Polymer 44(2003)2833−2841のp2836に記載に従い、NMRのケミカルシフト4.05ppmと3.6ppmとの面積強度比から算出した。以下同様である。
更に、示差走査熱量計にて樹脂の熱特性を調べたところ、75℃に融点を示す結晶性ポリエステルであることが分った。
上記で得られた樹脂粒子分散液に、0.8部の過硫酸アンモニウムを10部のイオン交換水に溶解した溶液を添加し、窒素雰囲気下で更に6時間重合を行ったところ、体積平均粒径が0.4μmの安定な樹脂粒子分散液1を得た。同様に樹脂粒子を少量とり、ポリエステル/ポリスチレンの重合体(ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体)の物性を測定した。
・GPCによるポリスチレンの重量平均分子量:500,000
・GPCによるポリエステルの重量平均分子量:5,100
・GPCによる樹脂粒子の重量平均分子量:500,000
・エステル転化率:84%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:99%
・ポリエステルの融点:75℃
・ポリスチレンのガラス転移点:60.0℃
上記のようにして得られた樹脂粒子は、ポリスチレンとポリエステルの重合体粒子であることが確認された。また重合体のドメイン数、径をTEM(日本分光社製、透過型電子顕微鏡により観察し、画像解析装置(ルーゼックス AP、LUZEX社製)により解析した。
・ドメインの数:1個
・ドメイン平均径:150nm
(評価)
−エステル転化率−
前記のように測定したエステル転化率については、以下の基準により良否を判断した。
○(良好)・・・・エステル転化率が70%以上。
△(合格)・・・・エステル転化率が50%以上70%未満。
×(不合格)・・・エステル転化率が50%未満。
−樹脂粒子分散液(ラテックス)の保存安定性−
作製したラテックスを300ccのガラス瓶に150cc入れ、85℃の恒温槽中に20週間放置した。20週間後のラテックスの保存安定性を以下で判断した。評価基準は以下の通りであるる。なお、○を合格とした。
○・・・沈降、分離無く良好な分散性を示す。かつ、樹脂分散液を77μmメッシュでろ過した時に全く凝集物が残っていない。
△・・・・やや分離が見られる。メッシュ上に残った凝集物が固形分量に対し、0.1重量%以上1.5重量%以下。
×・・・・沈降、分離あり。メッシュ上に残った凝集物が1.5重量%を超える場合。
配合及び評価結果を表1及び2にまとめて示す。
<実施例2>
(油相2の調製)
・1,6−ヘキサンジオール 10.0部
・セバシン酸 13.0部
・カルボジイミド化合物(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製)
1.0部
・スチレン 25部
・ヘキサデカン 1.0部
上記各モノマー(ポリエステル単量体、付加重合性単量体)を130℃で加熱溶解させ均一な油相2を調製した。
(水相2の作製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸 1.66部
・水 200部
上記を混合して均一な水相2を調製した。
(樹脂粒子分散液2の作製)
前記調製した水相2を75℃恒温槽中で1時間撹拌した。この水相2と前記油相2とを容器に入れ、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて8,000rpmで3分撹拌した後、ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力:504kgf/cm2)で5パス分散し乳化物を得た。このときドロップレットの体積平均径は0.7μmであった。
次いで、撹拌機を備えたリアクターに上記乳化物を投入し、窒素雰囲気下、70℃で24時間重縮合を実施した。この反応物を少量取り出し、下記種々の分析を実施したところ、この時点の重合体はほぼポリエステルであることが分った。作製した反応物の物性は以下の通りである。
・GPCによる重量平均分子量:5,800
・エステル転化率:73%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:2%
更に、示差走査熱量計にて樹脂の熱特性を調べたところ、72℃に融点を示す結晶性ポリエステルであることが分った。
上記で得られた樹脂粒子分散液に、0.8部の過硫酸アンモニウムを10部のイオン交換水に溶解した溶液を添加し、窒素雰囲気下で更に6時間重合を行ったところ、体積平均粒径が0.4μmの安定な樹脂粒子分散液2を得た。同様に樹脂粒子を少量とり、ポリエステル/ポリスチレンの重合体(ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体)の物性を測定した。
・GPCによるポリスチレンの重量平均分子量:750,000
・GPCによるポリエステルの重量平均分子量:5,900
・GPCによる樹脂粒子の重量平均分子量:750,000
・エステル転化率:75%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:99%
・ポリエステルの融点:72℃
・ポリスチレンのガラス転移点:100℃
上記のようにして得られた樹脂粒子は、ポリスチレンとポリエステルの重合体粒子であることが確認された。この樹脂粒子分散液2について、実施例1と同様の評価を行った。
・ドメインの数:2個
・ドメイン平均径:180nm
結果を表1、表2にまとめて示す。
<実施例3>
(油相3の調製)
・1,9−ノナンジオール 10.0部
・ドデカン二酸 12.0部
・マレイン酸 1.0部
・ジメチロールブタン酸 1.2部
・スチレン 22部
・ブチルアクリレート 3部
・ステアリルメタクリレート 2部
・スカンジウムトリフルオロメタンスルホネート 2.0部
上記各モノマー(ポリエステル単量体、付加重合性単量体)を130℃で加熱溶解させ均一な油相3を調製した。
(水相3の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.9部
・水 200部
上記を混合して均一な水相3を調製した。
(樹脂粒子分散液3の作製)
前記調製した水相3を75℃恒温槽中で1時間撹拌した。この水相3と前記油相3とを1リットルの容器に入れ、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて8,000rpmで3分撹拌した後、ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力:504kgf/cm2)で5パス分散し乳化物を得た。このときドロップレットの体積平均径は1.1μmであった。
次いで、撹拌機を備えたリアクターに上記乳化物を投入し、窒素雰囲気下、70℃で24時間重縮合を実施した。この反応物を少量取り出し、下記種々の分析を実施したところ、この時点の重合体はほぼポリエステルであることが分った。作製した反応物の物性は以下の通りである。
・GPCによる重量平均分子量:4,500
・エステル転化率:83%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:2%
更に、示差走査熱量計にて樹脂の熱特性を調べたところ、72℃に融点を示す結晶性ポリエステルであることが分った。
上記で得られた樹脂粒子分散液に、0.8部の過硫酸アンモニウムを10部のイオン交換水に溶解した溶液を添加し、窒素雰囲気下で更に6時間重合を行ったところ、体積平均粒径が0.7μmの安定な樹脂粒子分散液3を得た。同様に樹脂粒子を少量とり、ポリエステル/スチレン−ブチルアクリレート共重合体の重合体(ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体)の物性を測定した。
・GPCによるポリスチレンの重量平均分子量:700,000
・GPCによるポリエステルの重量平均分子量:5,000
・GPCによる樹脂粒子の重量平均分子量:700,000
・エステル転化率:82%
・プロトンNMRでのスチレン系ポリマーの重合収率:99%
・ポリエステルの融点:73℃
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体のガラス転移点:56℃
上記のようにして得られた樹脂粒子は、スチレン−ブチルアクリレート共重合体とポリエステルの重合体粒子であることが確認された。この樹脂粒子分散液3について、実施例1と同様の評価を行った。
・ドメインの数:1個
・ドメイン平均径:60nm
結果を表1及び表2にまとめて示す。
<実施例4〜8、及び、比較例1〜3>
配合を各々表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ樹脂粒子分散液を得た。これらについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
<実施例9>
(油層9の調製)
・スチレン 460部
・n−ブチルアクリレート 140部
・アクリル酸 12部
・ドデカンチオール 9部
・1,6−ヘキサンジオール 310部
・セバシン酸 280部
・エチレングリコールジグリシジルエーテル 30部
・ヘキサンデカン 0.5部
以上を油浴にて120℃に加熱し均一な混合を得た。
(水相9の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸 20.0部
・水 2,000部
上記を混合して均一な水相を調製した。
(樹脂粒子分散液9の作製)
水相9を75℃恒温槽中で1時間撹拌した。この水相と前記油相とを容器に入れ、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて8,000rpmで10分撹拌した後、ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力:504kgf/cm2)で10パス分散し乳化物を得た。このときドロップレットの体積平均径は1.2μmであった。
次いで、撹拌機を備えたリアクターに上記乳化物を投入し、窒素雰囲気下、70℃で24時間重縮合を実施した。この反応物を少量取り出し、下記種々の分析を実施したところ、この時点の重合体はほぼポリエステルであることがわかった。作製した反応物の物性は以下の通りである。
・GPCによる重量平均分子量:3,900
・エステル転化率:73%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:2%
更に、示差走査熱量計にて樹脂の熱特性を調べたところ、73℃に融点を示す結晶性ポリエステルであることが分った。
更に上記で得られた樹脂粒子分散液に、4.5部の過硫酸アンモニウムを20部のイオン交換水に溶解した溶液を添加し、窒素雰囲気下で更に6時間重合を行ったところ、体積平均粒径が0.6μmの安定な樹脂粒子分散液を得た。同様に樹脂粒子を少量とり、ポリエステル/ポリスチレンの重合体(ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体)の物性を測定した。
・GPCによるポリスチレンの重量平均分子量:45,000
・GPCによるポリエステルの重量平均分子量:3,900
・GPCによる樹脂粒子の重量平均分子量:45,000
・エステル転化率:82%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:99%
・ポリエステルの融点:73℃
上記分散液を少量取り、乾燥後分析に供した。NMRによるケミカルシフトの同定から、架橋したポリスチレンとポリエステルの重合体粒子であることが確認された。
上記のようにして得られた樹脂粒子は、ポリスチレンとポリエステルの重合体粒子であることが確認された。この樹脂粒子分散液9について、実施例1と同様の評価を行った。
・ドメインの数:1個
・ドメイン平均径:100nm
結果を表1、表2にまとめて示す。
<実施例10>
配合を各々表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子分散液を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004872445
Figure 0004872445
<実施例11〜14>
(樹脂粒子分散液L1の作製)
−油相の調製−
・1,9−ノナンジオール 10.0部
・ドデカン二酸 13.0部
・ペンタエリスリトール 2部
・スチレン 21部
・アクリル酸ブチル 3部
・ドデカンチオール 1部
・ヘキサデカン 1部
上記モノマー(ポリエステル単量体、付加重合性単量体)を130℃で加熱溶解させ均一な油相を調製した。
−水相の調製−
・ドデシルベンゼンスルホン酸 1.66部
・水 200部
上記を混合して均一な水相を調製した。
−樹脂粒子分散液の作製−
前記調製した水相を75℃恒温槽中で1時間撹拌した。この水相と前記油相とを容器に入れ、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて8,000rpmで3分攪拌した後、ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力:504kgf/cm2)で5パス分散し乳化物を得た。このときドロップレットの体積平均径は1.1μmであった。
次いで、撹拌機を備えた1リットルのリアクターに上記乳化物を投入し、窒素雰囲気下、70℃で24時間重縮合を実施した。この反応物を少量取り出し、下記種々の分析を実施したところ、この時点の重合体はほぼポリエステルであることが分った。作製した反応物の物性は以下の通りである。
・GPCによる重量平均分子量:5,000
・エステル転化率:84%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:2%
更に、示差走査熱量計にて樹脂の熱特性を調べたところ、72℃に融点を示す結晶性ポリエステルであることが分った。
上記で得られた樹脂粒子分散液に、0.8部の過硫酸アンモニウムを10部のイオン交換水に溶解した溶液を添加し、窒素雰囲気下で更に6時間重合を行ったところ、体積平均粒径が0.5μmの安定な樹脂粒子分散液を得た。同様に樹脂粒子を少量とり、ポリエステル/ポリスチレンの重合体(ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体)の物性を測定した。
・GPCによるポリスチレンの重量平均分子量:40,000
・GPCによるポリエステルの重量平均分子量:5,500
・GPCによる樹脂粒子の重量平均分子量:41,000
・エステル転化率:85%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:99%
・ポリエステルの融点:73℃
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体のガラス転移点:58℃
・ドメインの数:2個
・ドメイン平均径:100nm
上記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて、分散液中の固形分濃度を40%に調整した。固形分濃度は、3gの分散液を秤量し、130℃で30分加熱して水分を揮発させ、残留した乾燥物の質量から算出した。この樹脂粒子分散液をL1とした。
(離型剤粒子分散液(W1)の調製)
・ポリエチレンワックス(東洋ペトロライト社製、Polywax725、融点:103℃) 30部
・カチオン性界面活性剤(花王社製、サニゾールB50) 3部
・イオン交換水 67部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で分散処理し、離型剤粒子分散液(W1)を調製した。得られた分散液中の離型剤粒子の個数平均粒子径D50nは310nmであった。その後イオン交換水を加えて、分散液の固形分濃度を30%に調整した。
(マゼンタ顔料分散液(M1)の調製)
・マゼンタ顔料(大日精化工業社製、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドン)) 20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 2部
・イオン交換水 78部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、3000rpmで2分間、顔料を水になじませ、更に5,000回転で10分間分散後、通常の撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで約1時間分散させてマゼンタ顔料分散液(MN1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは106nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15%に調整した。
(シアン顔料分散液(C1)の調製)
・シアン顔料(大日精化工業社製、C.I.ピグメントブルー15:3) 20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 2部
・イオン交換水 78部
上記成分を、マゼンタ顔料分散液(M1)と同様にして調整し、シアン顔料分散液を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは121nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15%に調整した。
(イエロー顔料分散液(Y1)の調製)
・イエロー顔料(クラリアントジャパン社製、C.I.ピグメントイエロー74)
20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 2部
・イオン交換水 78部
上記成分を、マゼンタ顔料分散液(M1)と同様にして調製し、イエロー顔料分散液を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは118nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15%に調整した。
(ブラック顔料分散液(K1)の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製、リーガル330) 20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 2部
・イオン交換水 78部
上記成分を、マゼンタ顔料分散液(M1)と同様にして調製し、ブラック顔料分散液を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは120nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15%に調整した。
(マゼンタトナー(トナーM1)の作製)
・樹脂粒子分散液(L1) 160部
・離型剤粒子分散液(W1) 33部(トナーに対して10%)
・マゼンタ顔料分散液(M1) 60部(トナーに対して9%)
・ポリ塩化アルミニウム10%水溶液(浅田化学社製、PAC100W) 15部
・1%硝酸水溶液 3部
上記成分を、丸型ステンレス鋼製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて5,000rpmで3分間分散した後、前記フラスコに磁力シールを有した撹拌装置、温度計とpH計を具備した蓋をしてから、加熱用マントルヒーターをセットし、フラスコ中の分散液全体が撹拌される最低の回転数に適宜調節して攪拌しながら、48℃まで1℃/1minで加熱し、48℃で30分間保持し、凝集粒子の粒径をコールターカウンター(ベックマン−コールター社製、TA II)で確認した。
昇温停止後、直ちに樹脂粒子分散液(L1)を50部追加し、30分間保持したのち、系内のpHが6.5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えてから、1℃/1minで97℃まで加熱した。昇温後、硝酸水溶液を加えて系内のpHを5.0にして、10時間保持して凝集粒子を加熱融合した。この後、系内を50℃まで降温し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを12.0に調節して10分間保持した。その後フラスコから取り出し、イオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄した後、更に固形分量が10%となるようにイオン交換水中に分散し、硝酸を加えてpH3.0で10分間撹拌した後、再びイオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄して得られたスラリーを凍結乾燥してマゼンタトナー粒子を得た。
マゼンタトナー粒子の体積平均粒径D50Vは5.5μmであった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ125であり、形状の分布もとくに見られなかった。
前記マゼンタ着色粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、それぞれ1%づつ添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、マゼンタトナー(トナーM1)を作製した。
(シアントナー(トナーC1)の作製)
前記マゼンタトナー粒子の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)をシアン顔料分散液に変えた以外は同様にしてシアントナー粒子を得た。シアントナー粒子の体積平均粒径D50Vは6.6μmであった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ128であり、形状の分布もとくに見られなかった
本トナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添しシアントナー(トナーC1)を得た。
(イエロートナー(トナーY1)の作製)
前記マゼンタトナー粒子の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)をイエロー顔料分散液(Y1)に変えた以外は同様にしてイエロートナー粒子を得た。イエロートナー粒子の体積平均粒径D50Vは5.4μmであった。このトナーの表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ134であり、形状の分布もとくに見られなかった。
本トナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添し、イエロートナー(トナーY1)を得た。
(ブラックトナー(トナーK1)の作製)
前記マゼンタトナー粒子の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)をブラック顔料分散液(K1)に変えた以外は同様にしてブラックトナー粒子を得た。このブラックトナー粒子の体積平均粒径D50Vは5.5μmであった。このトナーの表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナー粒子の形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ132であり、形状の分布もとくに見られなかった。
本トナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添し、ブラックトナー(トナーK1)を得た
(キャリアの作製)
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト粒子100部に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、更に120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5%となるように樹脂被覆型キャリアを製造した。
(現像剤D1〜D4の作製)
マゼンタトナーM1を4部を、得られた樹脂被覆型キャリア100部に混合して、マゼンタ色現像用の静電荷像現像剤を作製し、これを実施例11〜14の現像剤として使用した。
(評価)
−定着特性−
画像形成装置としてDocuCentreColor F450(富士ゼロックス社製)を用い、現像剤として二成分現像剤を用いることができるよう現像器部分を改造し、現像剤D1〜D4を搭載して画像形成を行い定着特性を評価した。すなわち、前記画像形成装置の定着装置を取り外し、画像形成後、未定着画像として排出できるようにした。この未定着画像を用いて定着テストを行ない、下記の方法により最低定着温度(定着可能な加熱ローラの最低温度)、オフセット発生温度(オフセット現象が生ずる最低温度)を測定した。
・最低定着温度
上記画像形成装置にて、64g/m2の転写紙に未定着画像を作成した後、表層がテフロン(登録商標)で形成された直径30mmの熱ローラと、表層がシリコーンゴムで形成された圧着ローラとよりなる定着器により、トナー像を線速度180mm/秒、線圧0.8kg/cm、ニップ幅4.9mmで定着せしめる操作を、熱ローラの設定温度を80〜240℃の範囲内で5℃づつ段階的に高くして各温度において繰り返し、形成された定着画像に対してキムワイプ摺擦を施し、十分な耐摺擦性を示す定着画像となる最低の設定温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた定着器はシリコーンオイル供給機構を有さないものである。なお、定着ロールは表層がPFAチューブであり、定着器はオイルレス仕様のものである。
上記のようにして決定される最低定着温度を以下の基準により評価し、○を合格とした。
120℃以下・・・・・・・・・・・○
120℃を超え130℃以下・・・・△
130℃を超え150℃以下・・・・×
・オフセット発生温度
オフセット発生温度の測定は、最低定着温度の測定に準ずるが、上記画像形成装置にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の定着器により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で定着器に送ってこれにトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記定着器の熱ローラの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。
上記のようにして決定されるオフセット発生温度について、以下の基準により評価した。なお、○を合格とした。
230℃以上・・・・・・・・・・○
210℃以上230℃未満・・・・△
180℃以上210℃未満・・・・×
−耐ブロッキング性−
耐ブロッキング性テスト(保存性)は、温度45℃、相対湿度43%RHの環境条件下に2時間放置して凝集塊が生ずるか否かに、以下の基準により評価した。なお、○を合格とした。
凝集塊なし・・・・○
凝集塊発生・・・・×
−現像剤流動性−
現像剤の流動性は、現像器内の現像剤を目視にて判定し、実用レベルにあるものを良好とした。
−フィルミング性−
フィルミング性は、キャリアや感光体表面を観察し、付着物の有無により判定した。評価の環境は28℃、85%RHとした。
−クリーニング性−
クリーニング性は、クリーニング部材により感光体の表面をクリーニングした後の感光体表面を観察し、付着物の有無により判定した。
評価の環境は28℃、85%RHとした。
−画質維持性の評価−
前記DocuCentreColor F450改造機により、ブレードクリーニング法での10万枚連続走行試験を行い、以下の判断基準により画質維持性を評価した。
評価の環境は28℃、85%RHとした。
◎:初期の良好な画質を完全に維持している。
○:若干の変化はあるが良好に維持している。
△:画像欠陥はあるが、許容可能。
×:画像欠陥が見られ画質上での問題あり(例えば、クリーニング不良や感光体フィルミングによる背景部汚れ、筋などの発生)。
評価結果を表3に示した。
<比較例4〜7>
(樹脂粒子分散液L2の作製)
−油層の調製−
・1,9−ノナンジオール 10.0部
・ドデカン二酸 15.0部
・スチレン 21部
・アクリル酸ブチル 3部
・ドデカンチオール 1部
上記各モノマーを130℃で加熱溶解させ均一な油相を調製した。
−水相の調製−
・ドデシルベンゼンスルホン酸 1.66部
・水 200部
上記を混合して均一な水相を調製した。
−樹脂粒子分散液の作製−
前記調製した水相を75℃恒温槽中で1時間撹拌した。この水相と前記油層とを容器に入れ、ウルトラタラックス(IKA社製)を用いて8,000rpmで3分撹拌した後、ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用い、吐出速度60(吐出圧力:504kgf/cm2)で5パス分散し乳化物を得た。このときドロップレットの体積平均径は1.0μmであった。
次いで、撹拌機を備えたリアクターに上記乳化物を投入し、窒素雰囲気下、70℃で24時間重縮合を実施した。この反応物を少量取り出し、下記種々の分析を実施したところ、この時点の重合体はほぼポリエステルであることが分った。作製した反応物の物性は以下の通りである。
・GPCによる重量平均分子量:2,500
・エステル転化率:48%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:2%
更に、示差走査熱量計にて樹脂の熱特性を調べたところ、71℃に融点を示す結晶性ポリエステルであることが分った。
上記で得られた樹脂粒子分散液に、0.8部の過硫酸アンモニウムを10部のイオン交換水に溶解した溶液を添加し、窒素雰囲気下で更に6時間重合を行ったところ、体積平均粒径が0.5μmの安定な樹脂粒子分散液L2を得た。同様に樹脂粒子を少量とり、ポリエステル/ポリスチレンの重合体(ポリエステル/付加重合型樹脂の重合体)の物性を測定した。
・GPCによるポリスチレンの重量平均分子量:40,000
・GPCによるポリエステルの重量平均分子量:2,600
・GPCによる樹脂粒子の重量平均分子量:40,000
・エステル転化率:48%
・プロトンNMRでのスチレンポリマーの重合収率:99%
・ポリエステルの融点:71℃
・スチレン−ブチルアクリレート共重合体のガラス転移点:63℃
上記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加えて、分散液中の固形分濃度を40%に調整した。
(トナーM2、C2、Y2、K2の作製)
樹脂粒子分散液L1の代わりに樹脂粒子分散液L2を用いた以外は、トナーM1、C1、Y1、K1と同様にして、トナーM2、C2、Y2、K2を作製した。
(現像剤D5〜D8の作製、評価)
トナーM1、C1、Y1、K1の代わりに、トナーM2、C2、Y2、K2を用いた以外は現像剤D1〜D4と同様にして、現像剤D5〜D8を作製し、これを用いて、実施例11〜14と同様の評価を行った。
結果を表3にまとめて示す。
Figure 0004872445
これらの結果から、実施例11〜14のトナーはトナー最低定着温度が低く、更にトナー流動性、フィルミング性、クリーニング性が高いレベルで両立されている。一方、比較例4〜7のトナーは、最低定着温度は達するものの、トナー流動性、フィルミング性、クリーニング性との両立が図られていない。
以上の結果より、本発明のポリエステルと付加重合型樹脂との重合体による樹脂粒子分散液は、低環境負荷な製法であり、また、その樹脂粒子の軟化点がポリエステルの融点によって支配的に定まるため、最低定着温度の低いトナー用樹脂を提供すると共に、ポリエステルがドメインを有した架橋構造を取るため、溶融時の大きな粘弾性が得られ、この結果、低温定着性を確保しながら優れた耐オフセット性、粉体流動性、耐トナーフィルミング性が得られることがわかる。結果としてポリエステルトナーの高性能化と環境負荷低減を両立できる解決策を提供することができる。
更に、本発明の樹脂粒子分散液は、粒度分布が小粒径でシャープ化されており、保存安定性にも優れ、トナー製造上、非常に有利であることもわかる。

Claims (11)

  1. 付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を含む混合成分を重縮合及び付加重合して得られる架橋ポリエステル及び付加重合型樹脂の重合体を含む樹脂粒子が水系媒体中に分散している樹脂粒子分散液であって、
    前記架橋剤が、多官能アジリジン、多官能カルボジイミド、多価アルコール、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルエステル化合物、多官能カルボキシル化合物、これらのプレポリマー、及び、これらの組み合わせよりなる群から選ばれた化合物であり、
    前記重合体が以上の架橋ポリエステルドメインを有することを特徴とする
    樹脂粒子分散液。
  2. 前記樹脂粒子の体積平均粒径(d1)が、0.1〜7μmの範囲である請求項1に記載の樹脂粒子分散液。
  3. 前記樹脂粒子の体積平均粒径(d1)と前記架橋ポリエステルドメインの平均径(d2)とが、d2≦0.8×d1である請求項1又は2に記載の樹脂粒子分散液。
  4. 前記重合体が2〜3の架橋ポリエステルドメインを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液。
  5. 前記樹脂粒子表面における前記架橋ポリエステルの存在量が、樹脂粒子表面積の平均5%以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液。
  6. 前記架橋剤が、多官能アジリジン、多官能カルボジイミド、ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルエステル化合物、これらのプレポリマー、及び、これらの組み合わせよりなる群から選ばれた化合物である請求項1〜5のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液。
  7. 付加重合性単量体、並びに、ジカルボン酸、ジオール、及び、架橋剤を少なくとも含有した混合成分を水系媒体中に分散する分散工程、
    前記混合成分を重縮合し架橋ポリエステルを得る重縮合工程、及び、
    前記重縮合工程後、付加重合を行い樹脂粒子を形成する重合工程を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
  8. 少なくとも樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、
    前記凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、
    前記樹脂粒子分散液が、請求項1〜6のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液、又は、請求項に記載の製造方法により製造された樹脂粒子分散液である
    静電荷像現像トナーの製造方法。
  9. 請求項に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー。
  10. 請求項に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
  11. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
    前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
    前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
    前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
    前記トナーとして請求項に記載の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として請求項10に記載の静電荷像現像剤を用いる
    画像形成方法。
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