JP4872392B2 - 窒素除去方法及び廃水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒素除去方法及び廃水処理方法に係り、特に、下水処理、産業廃液等の処理、湖沼の浄化処理等において、生物学的にアンモニアを除去する窒素除去方法及び廃水処理方法に関する。
廃水中に含まれるアンモニア性窒素は、河川、湖沼及び海洋などにおける富栄養化の原因物質のひとつであり、廃水処理工程で効率的に除去する必要がある。
一般に、アンモニア性窒素を生物学的に除去する脱窒処理方法は、種々知られている。脱窒処理方法の最も一般的な例として、アンモニアを硝化細菌により好気的に硝化反応させて亜硝酸や硝酸に酸化させた後、亜硝酸や硝酸を脱窒菌により嫌気的に脱窒反応させてアンモニア性窒素を除去する方法が挙げられる。
このような脱窒処理においては、脱窒菌は従属栄養性であるため脱窒反応には有機物が必要であり、全窒素濃度に対して3倍程度の有機物を添加する必要があった。また、この脱窒処理方法は、硝化反応において大量の酸素を必要とするので、ランニングコストが高いという問題があった。
これらを解決する手段として、近年、生物学的な脱窒処理を効率よく、かつ低コストで行うために、嫌気性アンモニア酸化法が提案されている。この方法は、まず、アンモニアの一部を、たとえば、式(1)に示されるような硝化反応によって亜硝酸に変換させ、次いで、残りのアンモニアと生成した亜硝酸とを嫌気性アンモニア酸化細菌により式(2)に示されるような脱窒反応によって脱窒させる方法である。
(化1)
NH +1.5O+2NaOH→NaNO+Na+3HO …(1)
(化2)
NH +1.31NO +0.0425CO→1.045N+0.22NO +1.87HO+0.09OH+0.0425CHO …(2)
この方法では、アンモニアの一部のみを亜硝酸に変換させるので、硝化反応に必要な酸素量を大幅に低減することができる。また、嫌気性アンモニア酸化細菌は独立栄養性であるため、脱窒反応に際して有機物を必要としないので、アンモニア含有水を低コストで脱窒処理することができるといわれている(例えば、特許文献1、2参照)。
このようなことから、嫌気性アンモニア酸化法は、特に有機物が少なくアンモニアを多く含む無機的な廃水、例えば半導体工場廃水、汚泥消化液等の処理に効果的である。半導体工場では、フッ化アンモニウムを含む廃水が排出されるので、フッ素とアンモニアの高濃度廃水が排出される。
ところで、嫌気性アンモニア酸化反応は、pHが8.0付近で起こりやすいことが知られている(文献 StrousM.,GervanE.V.,ZhengP.,KuenenJ.G.,JettenM.S.M(1997)Ammonium removal from concentrated wastewater streams with the anaerobic ammonium oxidation(ANNAMOX)process in different reactor configurations.Water Res.31:1955−1962参照)。これにより、嫌気性アンモニア酸化槽内は、廃水のpHが8.0付近となるように運転されることが好ましいとされている。
特開2001−170684号公報 特開2004−275997号公報
しかしながら、廃水がアルカリ性であると、廃水中に含まれるカルシウムやマグネシウム等の金属イオンが結晶化したスケールが生成し、配管を詰まらせる要因になるといった問題がある。
このようなスケールは、例えば、以下のように生成する。廃水中には二酸化炭素COが溶解しており、これは中性付近ではHCO 2−(炭酸水素イオン)として存在し、アルカリ性ではCO 2−(炭酸イオン)として存在する。廃水中に高濃度のカルシウムイオンを含むと、CO 2−(炭酸イオン)とCa2+(カルシウムイオン)とが結合し、炭酸カルシウムを生成する。
また、廃水がアルカリ性であると、OH(水酸化物イオン)が多く存在し、このOH(水酸化物イオン)とCa2+(カルシウムイオン)とが結合し、水酸化物の沈殿を生成する。
特に、半導体工場廃水等は、廃水中にフッ化アンモニウムを大量に含むため、大量のカルシウムを投入し、フッ化カルシウムとしてフッ素を除去する。この際、廃水中に過剰量のカルシウムを投入するため、このカルシウムと廃水中に含まれる炭酸イオンとにより炭酸カルシウムのスケールを生成しやすいという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、効率よく脱窒反応を行え、且つ廃水中に含まれるカルシウムやマグネシウム等によるスケールの生成を抑制することができる窒素除去方法及び廃水処理方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、カルシウム、マグネシウム、バリウムのうち少なくとも1以上の金属又は該金属イオンを含有する廃水中のアンモニア性窒素を、嫌気性アンモニア酸化細菌を固定化した固定化担体を備えた処理槽で処理する窒素除去方法において、前記処理槽内の廃水のpHを6.8〜7.4の中性から弱酸性の領域に調整して脱窒処理することによって、前記金属又は金属イオンによるスケールの生成を抑制すると共に前記固定化担体あたりの脱窒速度が2kg−N/m −担体/日以上になるように担体の菌体濃度を高密度化することによって、前記固定化担体の内部pHを前記嫌気性アンモニア酸化細菌の反応に適切なpHである8近傍に調整することを特徴とする窒素除去方法を提供する。
本発明者らは、処理槽内に嫌気性アンモニア酸化細菌を高密度に固定化することにより、廃水のpH設定値を下げることができることを見出した。すなわち、嫌気性アンモニア酸化細菌を、例えば、固定化材料内に包括固定化したり、グラニュール化したり、付着物に生物膜を付着させたりすることにより、廃水のpHが中性又は弱酸性であっても効率的に脱窒処理することができることを見出した。
本発明の請求項1によれば、カルシウム、マグネシウム、バリウムのうち少なくとも1以上の金属又は該金属イオンを含有する廃水中のアンモニア性窒素を除去する窒素除去方法において、処理槽内に嫌気性アンモニア酸化細菌を固定化した担体を備え、担体あたりの脱窒速度が2kg−N/m−担体/日以上であると共に、廃水のpHを6.8〜7.4に調整して脱窒処理する。これにより、効率よく脱窒反応を行え、且つ廃水中に含まれるカルシウムやマグネシウム等によるスケールの生成を抑制することができる。また、嫌気性アンモニア酸化細菌を包括固定化する固定化担体を用いることにより、嫌気性アンモニア酸化細菌を高密度に固定化でき、本発明の効果が良好に得られる。
ここで、担体あたりの脱窒速度とは、担体1mあたり1日に廃水中のアンモニアと亜硝酸を窒素ガスに変換する速度をいう。
請求項2は請求項1において、廃水中に含まれる前記金属又は該金属イオンの濃度が、100mg/L以上であることを特徴とする。
請求項1及び2の廃水は、アルカリ性になるとスケールを生成しやすい。このような廃水を処理する場合において、本発明が特に有効である。
請求項3は請求項1又は2において、前記担体が、嫌気性アンモニア酸化細菌を包括固定化する包括固定化担体であることを特徴とする。
請求項3に示されるように、嫌気性アンモニア酸化細菌を包括固定化する包括固定化担体を用いることにより、嫌気性アンモニア酸化細菌を高密度に固定化でき、本発明の効果が良好に得られる。
請求項4の廃水処理方法は、請求項1〜3の何れか1の窒素除去方法を含むことを特徴とする。
請求項4によれば、窒素除去方法を含む廃水処理方法に本発明を適用できる。
本発明によれば、効率よく脱窒反応を行え、且つ廃水中に含まれるカルシウムやマグネシウム等によるスケールの生成を抑制することができる。
先ず、本発明に至った理論的根拠について説明する。
嫌気性アンモニア酸化反応では、前述の(化2)式に示されるように、酸(例えば、亜硝酸等)が消費され、アルカリ(例えば、水酸化物イオン等)が生成されることが知られている。本発明者らは、嫌気性アンモニア酸化細菌を生物膜や包括固定化担体等の担体に高密度に固定化して廃水処理することにより、処理槽内における廃水のpHを中性〜弱酸性の領域まで低下させることができることを見出した。
この原因の一つとしては、以下のように推測される。すなわち、嫌気性アンモニア酸化細菌を生物膜や包括固定化担体等の担体に高密度に固定化すると、嫌気性アンモニア酸化反応により担体内部の廃水等のpHは、担体外部の廃水のpHよりも局所的に上昇する。
したがって、担体外部の廃水(以下、「処理槽内の廃水」と記す)のpHを、従来の設定値よりも低下させることで、嫌気性アンモニア酸化反応が行われる担体内部のpHを適切な範囲に調整することができる。但し、これは、嫌気性アンモニア酸化細菌本来が効率よく機能するpHが変化することを意味するものではなく、見かけ上、設定すべき処理槽内の廃水のpHが変化することを意味する。
図1は、処理槽内の廃水のpHと、嫌気性アンモニア酸化細菌を内部に包括固定化した包括固定化担体の脱窒活性(以下、活性比という)との関係を示したグラフである。
ここで、活性比とは、その試験での最高の脱窒速度(窒素除去速度ともいう)を1としたとき、各条件での脱窒速度をその相対比として表したものである。例えば、本試験では、pH=7.1のときが最大の脱窒速度であり、これを1として評価している。具体的には、pH=7.1のときの最大脱窒速度が13.5kg−N/m−担体/日であり、pH=6.6のときの脱窒速度が10.8kg−N/m−担体/日である場合、pH=6.6のときの活性比は、後者を前者で割った0.8となる。
図1に示されるように、従来の文献値ではpHが8.0付近をピークとするアルカリ性の領域で活性比が高いが、本発明では、pHが6.6〜7.6の範囲で活性比が高い。
このように、本発明では、廃水のpHを6.6〜7.6の範囲に設定することが好ましく、6.8〜7.4の範囲に設定することがより好ましい。また、廃水中のスケール生成を抑制するためには、できる限り酸性側で運転することが好ましく、pHが7.1付近(±0.2)に設定することがさらに好ましい。
本発明において、担体あたりの嫌気性アンモニア酸化細菌の活性が重要であり、嫌気性アンモニア酸化細菌の活性は低すぎないことが好ましい。すなわち、馴養途中の担体は、担体あたりの嫌気性アンモニア酸化細菌の活性が低く、廃水のpHを7.8に設定すると、脱窒速度は1kg−N/m−担体/日とやや低かった。さらに、廃水のpHを7.0に設定すると、脱窒速度は上記の値よりもさらに20%低下した。これより、担体あたりの脱窒速度が2kg−N/m−担体/日以上であることがより好ましい。ここで、担体あたりの脱窒速度とは、担体1mあたり1日に廃水中のアンモニアと亜硝酸を窒素ガスに変換する速度をいう。
本実施形態における脱窒速度の測定方法としては、先ず、アンモニア性窒素を160mg/L、亜硝酸性窒素を200mg/Lに調製した合成廃水を、窒素ガスでパージして溶存酸素が0.2mg/L以下となるように脱気する。そして、塩酸又は水酸化ナトリウムで所定のpHに調整したものを試験水とする。
次いで、密閉可能な三角フラスコに上記の試験水90mL(V1)と担体10mL(V2)を投入し、36℃の恒温槽内で振とう培養する。1〜3時間ごとに三角フラスコ内の試験水をサンプリングし、このときの窒素濃度の変化(脱窒速度)を測定する。この脱窒速度を担体容積あたりに換算し、担体あたりの脱窒速度とする。
上記脱窒速度の算出方法としては、上記試験において経過時間T1、T2のときの全窒素濃度をそれぞれC1、C2としたとき、担体あたりの脱窒速度Fは下記式1で示される。
(式1)
F=(C1−C2)/(T1−T2)×(V1+V2)/V2×24/1000、
V1:試験水の体積、V2:担体の体積
従って、1時間目(T1)と3時間目(T2)の全窒素濃度がそれぞれ300mg/L(C1)、200mg/L(C2)であったとき、担体あたりの脱窒速度Fは、F=(300−200)/(3−1)×(90+10)/10×24/1000=12(kg−N/m−担体/日)となる。
また、廃水にカルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属又はそれらの金属イオンが含まれると、廃水のpHがある条件、特にアルカリ性に近づくとスケールが生成しやすい。生成したカルシウム等のスケールが担体の表面に付着すると、担体の表面及び内部に生息する微生物に、除去対象物質であるアンモニア、亜硝酸が供給できなくなる。特に、本実施形態では、窒素を高速除去するため、カルシウム等のスケールの付着により拡散律速となり易く、微生物と窒素成分との接触効率が低下し、反応速度が低下する。また、スケールが微生物の表面を覆うので、微生物を失活させる。
このようなスケールの生成は、廃水中のカルシウムイオン等の濃度を100mg/L未満とすることで、ある程度は低減可能であるとされている(以下文献参照、廃棄物最終処分技術システムハンドブックp56、編集:最終処分技術システム研究会、出版:環境産業新聞社)。したがって、廃水中にカルシウムイオン等の濃度を100mg/L以上含有する場合に、特に本発明が有効である。
pHを本発明の範囲に設定することにより、以下のようにスケールの生成を抑制できると推測される。すなわち、水中の炭酸イオンCO 2−と炭酸水素イオンHCO とは、下記式2のような関係を満たす。
(式2)
=[CO 2−][H]/[HCO ] K:解離定数
pHが8.0から7.0に変化することは、水素イオン濃度[H]が10倍に増加することである。このとき、(式2)において、炭酸イオン濃度[CO 2−]は10分の1に減少する。このように、廃水中において、スケールの生成の原因となるカルシウムイオンと反応する炭酸イオン濃度を10分の1に低減できる。
また、水中の水酸化物イオンOHとカルシウムイオンCa2+とは、下記式3のような関係を満たす。
(式3)
=[Ca2+][OH]/[Ca(OH)] K:解離定数
pHが8.0から7.0に変化することは、水酸化物イオン濃度[OH]が10分の1に減少することである。このとき、(式3)において、炭酸カルシウム濃度[Ca(OH)]は100分の1に減少する。このように、廃水中において、スケールが生成するリスクを100分の1に低減できる。
また、廃水中に上記したカルシウムイオン等の金属イオンが高濃度に含まれなくても、廃水のpH調整用のアルカリ使用量を低減できる。嫌気性アンモニア酸化反応は、アンモニアと亜硝酸とを基質する反応であるので、廃水の約半量を嫌気性アンモニア酸化処理する前に、硝化処理工程において亜硝酸に硝化処理させる。硝化反応では酸を生じるので、硝化処理後の廃水は、酸性に近づき、pHが低下する。
したがって、嫌気性アンモニア酸化槽(以下、処理槽という)内にアルカリを添加して廃水のpHを8.0に調整する必要があるが、本発明では廃水のpHを中性〜弱酸性の領域に調整すればよいので、アルカリの添加量を低減できる。これにより、処理コストも低減できる。
上記した理論的根拠に基づいて、以下、添付図面に従って、本発明に係る窒素除去方法及び廃水処理方法の好ましい実施の形態について説明する。
図2は、本発明の一実施形態である廃水処理装置の構成を説明する図である。図2に示されるように、廃水処理装置10は、主に、原水を嫌気性アンモニア酸化処理する処理槽12と、処理槽12内の廃水のpHを測定するpH測定手段14と、pH測定手段14の測定結果に基づいて、酸又はアルカリの処理槽12内への添加量を制御するコントローラ16と、処理槽12内に酸又はアルカリを添加する試薬供給手段18と、を備えている。
廃水としては、主に、1)アンモニアのみを含む廃水、2)アンモニア及び亜硝酸を含む廃水等を使用することができる。1)の廃水を使用する場合、処理槽12に別途、亜硝酸を添加して、アンモニアと亜硝酸とから同時脱窒させる。2)の廃水を使用する場合、通常の嫌気性アンモニア酸化処理、すなわち、処理槽12の前段であらかじめアンモニアの一部を亜硝酸に変換させて、アンモニア:亜硝酸をほぼ1:1として同時脱窒させる。
処理槽12は、嫌気性アンモニア酸化細菌によって、原水中に含まれるアンモニアと亜硝酸とを同時脱窒する。処理槽12内には、嫌気性アンモニア酸化細菌が担持された包括固定化担体、付着担体、グラニュール等が充填されていることが好ましい。
嫌気性アンモニア酸化細菌は、その詳細は不明であるが、Planctonmyceteを代表とする菌群であると言われている。上記嫌気性アンモニア酸化細菌としては、活性汚泥等の微生物から集積培養したものでも、嫌気性アンモニア酸化細菌を含有する活性汚泥でもよく、純粋細菌でもよい。
嫌気性アンモニア酸化細菌の培養方法としては、不織布(生田創、井坂和一、角野立夫(2004)、連続培養系による嫌気性アンモニア酸化細菌の馴養、第38回水環境学会講演論文集、p372参照)やろ床などに付着させて培養し、その生物膜を剥がして利用する方法が好ましい。
嫌気性アンモニア酸化細菌等の微生物の固定化方法としては、特に限定はしないが、ゲル等の固定化材料内に包括固定する方法、プラスチックや不織布などの付着担体に付着固定する方法、プラスチック担体に生物膜を形成させて固定する方法、グラニュールとして使用する方法等、を用いることができる。なお、付着担体、プラスチック担体等に使用される担体としては、接触表面積の大きい部材、例えば、ボール状、円柱状、中空円筒状、回転円板体等が好ましい。
また、本実施形態のように、制御する廃水のpH範囲が比較的狭く、担体の活性によって制御すべきpH範囲が変化する場合は、嫌気性アンモニア酸化細菌が剥離しにくく高密度に固定化できる方法が好ましく、特に、包括固定化担体が好ましい。
また、包括固定化担体を、廃水処理の本運転前に活性化(馴養)させておくことが好ましい。包括固定化担体の活性化方法としては、アンモニアと亜硝酸とを含む実廃水又は合成廃水を包括固定化担体に接触させる方法が好ましい。
包括固定化担体の固定化材料としては、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリエチレングリコール系のゲル等を使用することができるが、これらに限定するものではない。固定化担体の形状については、球形、円筒形、立方形等に成形されたものを好ましく使用できる。固定化担体のサイズは、1mm〜5mmサイズの球形、円筒形、立方形等であることが好ましい。
付着担体としては、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリエチレングリコール系のゲルや、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニルなどのプラスチック担体、不織布等を使用することができるが、これらに限定するものではない。付着担体の形状については、球形、円筒形、立方形、多孔状、ハニカム状、スポンジ状等に成形されたものを好ましく使用できる。
接触ろ材としては、塩化ビニル製のものやポリエチレン製のものを好ましく使用することができる。また、微生物の自己造粒を利用したグラニュール(自己造粒体)、プラスチック担体に自然固定させたもの、生物膜を形成させたもの等も好ましく使用できる。
処理槽12における包括固定化担体の充填率としては、容積%として10%〜40%が好ましく、15%〜30%がより好ましい。不織布の充填率については、見かけ充填率として40%〜90%が好ましく、50%〜80%がより好ましい。接触ろ材の充填率については、みかけ容積として30%〜80%が好ましく、40%〜70%がより好ましい。グラニュールの充填率は、容積%として20%〜80%が好ましく、30%〜60%がより好ましい。
処理槽12の温度は、20℃〜39℃の範囲にすることが好ましい。
pH測定手段14は、処理槽12内の廃水のpHを測定する手段である。pH測定手段14としては、pH計等の公知公用のものを使用できるが、pH電極を用いることが簡易的であり好ましい。なお、pH測定手段は、処理槽12内の廃水のpHを精度よく測定可能であれば、他の手段でもよく、設置位置や設置個数等についても特に限定されない。
コントローラ16は、pH測定手段14の測定結果に基づいて、処理槽12内のpHを設定値に維持するための制御信号を、酸供給手段18a又はアルカリ供給手段18bに出力する。
試薬供給手段18は、酸供給手段18a及びアルカリ供給手段18bを備えている。酸供給手段18a及びアルカリ供給手段18bは、コントローラ16の制御信号に基づいて、酸又はアルカリを処理槽12内の廃水に添加する。酸供給手段18a又はアルカリ供給手段18bは、図示しない添加量調節手段(例えば、バルブ等)を備えてもよい。
本実施形態に使用される酸又はアルカリとしては、嫌気性アンモニア酸化細菌等の微生物の働きを阻害しないものであり、且つ環境負荷の小さいものが好ましい。例えば、酸としては、希硫酸等を使用することが好ましく、アルカリとしては水酸化ナトリウム等を使用することが好ましい。
次に、本発明に係る廃水処理装置10の作用について説明する。
先ず、アンモニア:亜硝酸がほぼ1:1の割合で含まれる廃水が、流入配管11を介して処理槽12に流入される。
処理槽12内には、嫌気性アンモニア酸化細菌を含む包括固定化担体(不図示)が充填されており、廃水中のアンモニアと亜硝酸とを基質として嫌気性アンモニア酸化反応が行われ、脱窒処理される。このとき、包括固定化担体内のpHは上昇する(アルカリ性に近づく)。
また、処理槽12内の廃水のpHは、pH測定手段14により測定される。このpH測定結果に基づいて、コントローラ16により酸供給手段18a又はアルカリ供給手段18bが制御され、所定量の酸又はアルカリが処理槽12内に添加される。例えば、処理槽12内の廃水のpHが6.8未満になると、アルカリ供給手段18bよりアルカリが処理槽12内に添加され、pHが7.4を超えると、酸供給手段18aより酸が処理槽12内に添加される。
このように、処理槽12内の廃水は、pHが6.6〜7.6の範囲となるように制御されるので、担体内部を嫌気性アンモニア酸化反応に適切なpH(pH8.0近傍)に調整される。
その後、処理された廃水は、流出配管19を介して処理槽12外へ流出される。
なお、処理槽12の運転初期と定常運転時とにおいて、必ずしも、廃水のpHを常に一定値に設定する必要はない。担体の活性が低い場合は、廃水のpHを文献値に近いpH(pH8.0近傍)に設定して運転し、馴養等により担体の活性が高くなった場合、廃水のpHを再び低い値に設定して運転することが好ましい。
以上に説明した本発明に係る窒素除去方法及び廃水処理方法によれば、効率よく脱窒反応を行え、且つ廃水中に含まれるカルシウムやマグネシウム等によるスケールの生成を抑制することができる。
以上、本発明に係る窒素除去方法及び廃水処理方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態において、嫌気性アンモニア酸化反応させる廃水処理装置の例について説明したが、嫌気性アンモニア酸化細菌のみに限らず、脱窒細菌等による脱窒反応のように、酸を消費してアルカリを生成する反応において、pHを調整する場合にも本発明を適用できる。
以下、本発明に係る実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(包括固定化担体の組成)
・嫌気性アンモニア酸化細菌の集積汚泥 50.00質量部
(嫌気性アンモニア酸化細菌の濃度2×10cells/mL)
・ポリエチレングリコールジアクリレート 4.00質量部
・アクリルアミド 1.00質量部
・NNN’N’テトラメチルエチレンジアミン 0.50質量部
・過硫酸カリウム 0.25質量部
・水 44.25質量部
先ず、上記の組成に従って、嫌気性アンモニア酸化細菌の集積汚泥を水に懸濁させた懸濁溶液にポリエチレングリコールジアクリレートを混合してよく攪拌し、原料溶液を調製した。次いで、過硫酸カリウム等の重合開始剤を原料溶液に添加して、重合温度20℃、0.5時間で重合させた。重合させた担体を約3mm角の角型形状に切断してペレット化し、嫌気性アンモニア酸化細菌を含む包括固定化担体を製造した。
(廃水処理条件)
・供試廃水:半導体工場廃水のフッ素処理後の廃水
(フッ素除去のために大量のカルシウムを投入したため、廃水中のカルシウム濃度は700mg/L。また、亜硝酸性窒素240mg−N/L含有するように亜硝酸ナトリウムを添加して調整。)
・処理槽12の容積:2L
・処理槽12内の包括固定化担体の充填率:20%
・処理槽12内の容積負荷:2kg−N/m/日
・水温:30℃
・pH設定値:実施例…希硫酸または水酸化ナトリウムでpH7.0〜7.4に調整
比較例…pH8.0に調整
あらかじめ前述したようなアンモニアと亜硝酸を含む合成廃水で馴養させた上記の包括固定化担体を使用した。また、図2の廃水処理装置10において、上記の条件で、1ヶ月間にわたり廃水処理の連続運転を行った。なお、本例では、廃水のpH測定手段14としては、pH電極を用いた。また、処理水中のアンモニア濃度は、イオンクロマトグラフィーで測定したが比色法等で測定してもよく、特に限定しない。
この結果、本発明を適用した実施例の処理水中のアンモニア濃度は、10mg/L以下を維持することができた。一方、従来法を適用した比較例のアンモニア濃度は、54〜103mg/L(平均62mg/L)となり、処理性能が低かった。
また、連続運転終了後、処理槽12内に付着したスケールの生成量を測定した結果、実施例のスケールの生成量は比較例のスケールの生成量の約1/6であり、大幅にスケールの生成量が低減された。
以上から、本発明を適用することにより、嫌気性アンモニア酸化反応が効率よく行え、廃水中のスケールの生成を抑制できることが解った。
本実施形態におけるグラフである。 本実施形態における廃水処理装置の構成を説明する図である。
符号の説明
10…廃水処理装置、11…流入配管、12…処理槽、14…pH測定手段、16…コントローラ、18…試薬供給手段、18a…酸供給手段、18b…アルカリ供給手段、19…流出配管

Claims (4)

  1. カルシウム、マグネシウム、バリウムのうち少なくとも1以上の金属又は該金属イオンを含有する廃水中のアンモニア性窒素を、嫌気性アンモニア酸化細菌を固定化した固定化担体を備えた処理槽で処理する窒素除去方法において、
    前記処理槽内の廃水のpHを6.8〜7.4の中性から弱酸性の領域に調整して脱窒処理することによって、前記金属又は金属イオンによるスケールの生成を抑制すると共に
    前記固定化担体あたりの脱窒速度が2kg−N/m −担体/日以上になるように担体の菌体濃度を高密度化することによって、前記固定化担体の内部pHを前記嫌気性アンモニア酸化細菌の反応に適切なpHである8近傍に調整することを特徴とする窒素除去方法。
  2. 廃水中に含まれる前記金属又は該金属イオンの濃度が、100mg/L以上であることを特徴とする請求項1の窒素除去方法。
  3. 前記担体が、嫌気性アンモニア酸化細菌を包括固定化する包括固定化担体であることを特徴とする請求項1又は2の窒素除去方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1の窒素除去方法を含むことを特徴とする廃水処理方法。
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