JP4872119B2 - 金属表面処理剤用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金等のメッキ鋼板のような金属の表面に塗装し、優れた表面硬度や耐傷つき性と加工性、耐食性、塗膜密着性を付与するための新規な金属表面処理剤用水性樹脂組成物に関する。
屋根、壁材等の建材用途や家電製品の外板、部品等の器物加工用に用いられているプレコート鋼板は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金等のメッキ鋼板のような金属の表面に塗装された後、加工、成型し組み立てられている。従来、プレコート鋼板に用いられる塗料は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、グリシジル基などの熱硬化性官能基を有するポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを骨格樹脂とし、これにメラミンやベンゾグアナミン樹脂、ポリイソシアネート樹脂などの多官能化合物を硬化剤成分として含有させたプライマーおよびトップコートを、塗装焼き付け時の熱により、硬化反応させることにより、3次元編目構造を有する塗膜を形成させていた。
しかしながら、より高度な加工性を付与させるためには、ガラス転移温度を低くせざるを得ないため、表面硬度や耐傷つき性の低下をきたすと言う問題があった。上記の問題を解決するために、両末端に官能基を有する直鎖状の骨格樹脂を2官能性の官能基を有する化合物を硬化剤として使用する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記特許文献1の方法では、硬化剤のジイソシアネート化合物の毒性から、実用化に問題もある。
また、実用化されている上記の塗料は、有機溶剤を媒体とした油性塗料が殆どであり、アフターバーナーにより大気中に有機溶剤を排出しないとはいえ、多量の有機溶剤を使用しているという問題もある。
特開2002−249725号公報
本発明の課題は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム・亜鉛系合金等のメッキ鋼板のような金属にクロム処理なしで、塗装し、優れた表面硬度や耐傷つき性と加工性、耐食性、塗膜密着性を付与するための新規な金属表面処理剤用水性樹脂組成物、特に表面処理剤やプライマーとして有用な高分子量3次元編目構造を有する塗膜を形成する水性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は鋭意検討を行った結果、3次元編目構造を有する高分子量の自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)に、さらに共重合可能なエチレン性不飽和単量体および/または、脂肪族共役ジエン単量体を乳化重合させることにより、より高分子量化させたエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III)と硬化剤(IV)とを必須成分として含有してなる金属表面処理剤用水性樹脂組成物が、優れた表面硬度や耐傷つき性、耐ブロッキング性と加工性、耐食性、塗膜密着性を両立させることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、溶剤不溶で有機溶剤中では製造することのできない高分子量3次元編目構造を有する自己水分散性樹脂(III)を硬化剤(IV)を添加して焼き付けることにより、更に3次元高分子量化させることにより、硬さと靭性を両立することができた。さらに脂肪族共役ジエン系単量体を成分として含むことにより、内部架橋とゴム弾性を付与できるために、より硬さと靭性を両立できる。
本発明でいう自己水分散性とは、乳化剤や分散剤を使用せずに、水に乳化分散できることを言い、いわゆるソープフリーのエマルジョン、ディスパージョンを生成することである。乳化剤や分散剤が存在しないことは、皮膜化したときの耐水性や耐薬品性に優れることは言うまでもなく、被塗物と生成皮膜間、生成皮膜の表面に乳化剤や分散剤の移行がないために、密着性や上塗り適性に優れるという特長がある。
即ち、本発明は、ラジカル重合性を有するアルコキシシランを含有するエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III)と硬化剤(IV)とを必須成分として含有し、前記アルコキシシランが、前記自己水分散性樹脂(III)の固形分100重量部に対して0.1重量部〜5重量部であることを特徴とする金属表面処理剤用水性樹脂組成物であり、特に表面処理剤やプライマーとして有用な金属表面処理剤用水性樹脂組成物を提供するものである。
本発明によれば例えば、優れた表面硬度や耐傷つき性と加工性、耐食性、塗膜密着性を両立させた屋根、壁材等の建材用途や家電製品の外板、部品等の金属製品の塗装に用いられる表面処理剤やプライマーを容易に得ることができる。
本発明で用いる自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)としては、水酸基とカルボキシル基とを有するアクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)が挙げられ、カルボキシル基の一部乃至全部を塩基性化合物で中和することにより水性媒体中に分散できる。
上記自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の製造方法としては、例えば、
(1)芳香族エポキシ樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性不飽和カルボン酸(b)と、他の共重合性不飽和単量体(c)とを有機溶媒中で重合させて得られるカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)とを、エポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる反応基濃度(当量比)で、塩基性化合物の存在下、有機溶媒中でエステル化反応させる方法、
(2)芳香族エポキシ樹脂(A)と、(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性不飽和カルボンル酸(b)と、他の共重合性不飽和単量体(c)とを、エポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる反応基濃度(当量比)で、重合開始剤の存在下、有機溶媒中で重合させる方法、
(3)無水(メタ)アクリル酸(d)を用いて芳香族エポキシ樹脂(A)にアクリロイル基を導入して得られた変性芳香族エポキシ樹脂(dA)と、(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性不飽和カルボンル酸(b)と、他の共重合性不飽和単量体(c)とを、エポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となる反応基濃度(当量比)で、重合開始剤の存在下で、有機溶媒中で重合させる方法、等が挙げられるが、その他の方法によって得られたカルボキシル基含有自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂も自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)として使用することができる。これらの製造方法の中では、上記製造方法(1)が、分子量の高く、硬化性に優れるものが得られることから好ましい。
ここで用いる芳香族エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、フェノール系化合物変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの芳香族エポキシ樹脂の中でも、1分子中に平均1.1〜2.0個のエポキシ基を有し、数平均分子量が1,000以上、特に2,000〜6,000のものが好ましい。市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の「エピコート1007」、「エピコート1009」、「エピコート1010」、「エピコート4010P」、「エピコート4110」、大日本インキ化学工業株式会社製の「エピクロン7050」、「エピクロンHM−091」、「エピクロンHM−101」等が挙げられる。このような芳香族エポキシ樹脂の中から1種類以上のものを選択して使用できる。
(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性不飽和カルボンル酸(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸を50重量%以上含有し、更に必要によりその他のエチレン性不飽和カルボン酸を含有するものが挙げられる。その他のエチレン性不飽和カルボンル酸としては、例えば、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、並びに、不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル、例えばマレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、等が挙げられる。上記エチレン性不飽和カルボンル酸(b)としては、なかでも、(メタ)アクリル酸を80重量%以上含有するものが好ましく、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
他の共重合性単量体(c)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロムスチレン等のエチレン性不飽和芳香族化合物、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン単量体、(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のビニリデンハライド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、(メタ)アクリルアミド,N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等、ラジカル重合可能な各種の化合物が挙げられ、なかでも(メタ)アクリル酸エステルやスチレンが好ましい。
これら単量体の重合反応に用いる重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの重合開始剤の使用量は、単量体の総量100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲が好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール,n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ダイアセトンアルコール等の親水性有機溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の親油性有機溶媒が挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよく、必要に応じて水と併用してもよい。
前記自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の製造方法において、エチレン性不飽和カルボン酸(b)は他の共重合性単量体(c)と併用する。この場合、エチレン性不飽和カルボン酸(b)の使用量は、エチレン性不飽和カルボン酸(b)と他の共重合性単量体(c)との合計を100重量部としたとき、その20重量部以上とすることが好ましい。この範囲であると、最終的に得られる水性媒体中における樹脂の分散安定性が良好になる傾向があるので好ましい。
前記自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の製造方法(1)において芳香族エポキシ樹脂(A)とカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)の重量比(A)/(B)、同製造方法(2)において芳香族系エポキシ樹脂(A)とエチレン性不飽和カルボン酸(b)と他の共重合性単量体(c)の合計(bc)の重量比(A)/(bc)、および、同製造方法(3)において変性芳香族エポキシ樹脂(dA)とエチレン性不飽和カルボン酸(b)と他の共重合性単量体(c)の合計(bc)の重量比(dA)/(bc)は、いずれも、40/60〜90/10の範囲であることが好ましく、なかでも、エポキシ基(EP)に対してカルボキシル基(COOH)が過剰となる反応基濃度(当量比)範囲、例えば当量比(COOH/EP)が4/1〜30/1であることが好ましく、なかでも6/1〜15/1であることが特に好ましい。
芳香族エポキシ樹脂(A)または変性芳香族エポキシ樹脂(dA)の使用割合が40重量%以上の場合には、得られる熱硬化性水性樹脂組成物の耐熱性がより向上し、かつ熱硬化性水性樹脂組成物自体の分散安定性も良好になるので好ましい。
自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)は、含まれるカルボキシル基の一部乃至全部を塩基性化合物で中和し、水性媒体中に分散される。なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の製造時に用いた有機溶媒は、必要に応じて、蒸留除去した後、乳化重合することができる。
カルボキシル基の中和に使用される塩基性化合物としては、各種のものがいずれも使用できるが、揮発性のアミンが好ましい。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、アミノメチプロパノール、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;モルホリン等が使用できる。また、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の多価アミンも使用できる。塩基性化合物の使用量は、水性媒体のpHが5〜8となる量が好ましい。
エチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III)は、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の水性分散体中で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体を、乳化剤を用いることなくラジカル重合開始剤により重合することにより得られる。共重合可能なエチレン性不飽和単量体および/または、脂肪族共役ジエン単量体は、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の水性分散体中に一括投入して常圧もしくは加圧下に重合してもよく、また常圧もしくは加圧滴下してもよい。反応温度はラジカル重合開始剤が解離する温度であればよいが、50℃〜95℃が好ましい。
なお、乳化重合に用いられる他の添加剤、例えばエチレンジアミン4酢酸などの重合安定化剤、t−ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤、pH調整のための塩基性物質を必要に応じて使用することは何ら差しつかえない。乳化重合工程の後、有機溶剤や未反応の単量体は、例えば減圧水蒸気蒸留等の方法によって除去し、必要とされる固形分含量に濃縮、脱臭する工程も行うことができる。
本発明の金属表面処理剤用水性樹脂組成物は、取り扱いや作業性の容易さから、自己水分散性樹脂(III)を固形分濃度20〜50重量%の水性分散体としておくことが好ましく、25〜40%が特に好ましい。
エチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)を形成する共重合可能な不飽和単量体としては、前記(c)が挙げられる。前記(メタ)アクリル酸を含有するエチレン性不飽和カルボンル酸(b)等の使用は、重合系内が不安定化し、凝集物が多量に発生したり、ゲル化したりするので好ましくない。
エチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)を形成する共重合可能な硬化剤(IV)と反応性の官能基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(c)の中(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、(メタ)アクリルアミド,N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられるが、後記する硬化剤(IV)の種類によって適宜決定される。硬化剤(IV)と反応性の官能基を有するエチレン性不飽和単量体の使用量は、自己水分散性樹脂(III)固形分の中、0.5〜10重量部が好ましい。この範囲より少ないと架橋効果が得られず、多いと硬く脆くなり、靭性が失われ、金属表面処理剤用水性樹脂組成物としての加工性が低下する。
エチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)を形成する共重合可能なラジカル重合性を有するアルコキシシランとしては、有機官能基と加水分解性アルコキシ基を1分子中に有し、有機官能基としてはビニル基、(メタ)アクリル基、加水分解性アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。ラジカル重合性を有するアルコキシシランの使用量は、自己水分散性樹脂(III)固形分の中、0.1〜5重量部が好ましい。この範囲より少ないと架橋効果が得られず、多いと重合系内が不安定化し、凝集物が多量に発生したり、ゲル化したりするので好ましくない。
ラジカル重合開始剤としては、通常の乳化重合に用いられるラジカル重合開始剤。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、過酸化水素等を挙げることができる。重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの重合開始剤の使用量は、単量体の総量100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
内包されたエチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)と自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)とは、上記の共重合可能なエチレン性不飽和単量体を自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)中で乳化重合する際に、芳香族エポキシ樹脂(A)に含まれるメチレン結合の水素引き抜き反応等により結合し、高分子量3次元編目構造を有する自己水分散性樹脂(III)を生成する。
内包されたエチレン性不飽和単量体および/または共役ジエン重合体(II)と、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の割合は重量比(II)/(I)=5/95〜80/20が好ましい。
次に、内包されたエチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)のガラス転移温度(Tg)と、自己水分散性樹脂(III)のガラス転移温度(Tg)とは、相互に関連性があるので、一概に規定できないところがあるが、内包されたエチレン性不飽和単量体および/または脂肪族共役ジエン単量体の共重合体(II)のガラス転移温度(Tg)は−30〜50℃が好ましく、自己水分散性樹脂(III)のガラス転移温度(Tg)は10〜60℃が好ましい。
それぞれのTgが上記の範囲を下回ると、表面硬度や耐傷つき性が低下し、越えると、加工性や密着性が低下する。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、下記の式で計算されるガラス転移温度である。なお、下記式のガラス転移温度は絶対温度(°K)である。
Tg−1=ΣXi・Tgi−1
ここで重合体は、i=1〜nまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率で、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度である。モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、Polymer Handbook(4th Edition)J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke著(Wiley Interscience)記載の値を使用した。上記に記載のないものについては、適宜仮定した値を用いた。
本発明の硬化剤(IV)としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、レゾ−ルフェノール樹脂、ポリイソシアネート、ブロックポリイソシアネート、エポキシ樹脂、アジリジン樹脂、オキサゾリン樹脂、ヒドラジン等が挙げられる。水性樹脂またはディスパージョンが好ましいが、油性系であっても自己水分散性樹脂(III)中に乳化分散することもできる。硬化剤(IV)の使用量は、自己水分散性樹脂(III)固形分100重量部に対して、固形分で1〜30重量部が好ましく、自己水分散性樹脂(III)の組成および、硬化剤(IV)の種類によって適宜決定される。
本発明の水分散性樹脂(III)は、上述のように硬化剤(IV)と併用し、特に表面処理剤やプライマーとして有用であるが、所望する皮膜量となるように水で希釈して、塗布するほかに、水と併用可能な有機溶剤を併用することもできる。
本発明の水分散性樹脂(III)と硬化剤(IV)と併用し、更に各種添加剤を加えて、金属表面処理剤として使用することができるが、添加剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤・充填剤、防錆剤、シランカップリング剤、キレート剤、分散剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、界面活性剤、消泡剤、防腐剤・殺菌剤、酸化亜鉛・硫黄・加硫促進剤等の加硫剤、沈降防止剤、レベリング剤、タック防止剤、ブロッキング防止剤、撥水・撥油剤、可塑剤等を挙げることができ、かかる添加剤の選択、添加量、添加順序等は、金属表面処理剤の製造条件、作業性、安定性、更に加工適性、塗布量等を考慮して、適宜に決定されれば良い。
前記無機顔料としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシュウム、炭酸マグネシュウム、硫酸バリウム、軽質・重質炭酸カルシュウム、タルク、クレー、シリカ、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、セピオライト、群青、コバルトブルー等が挙げられ、ハロゲン化銀(Cl、Br、I)、金属錯体等のその他の無機添加剤を添加しても良く、更にこれらを併用しても良い。
前記有機顔料としては、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニル顔料、インジゴ、インダントロン顔料、有機銀塩、その他の有機金属塩等が挙げられ、その他の無機添加剤を添加しても良く、更にこれらを併用しても良い。また、染料としては、アントラキノン染料、アゾメチン染料、インドアニリン染料、アゾ染料等が挙げられる。
前記防錆剤としては、各種金属塩、有機金属化合物、カルシウムイオン交換性の非晶質シリカ、リン酸亜鉛系、表面を金属化合物で処理したトリポリリン酸アルミニウム等のリン酸塩、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の金属の亜リン酸塩、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の金属のモリブデン酸塩等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、有機官能基と加水分解基を1分子中に有するシランカップリング剤、即ち有機官能基としては前記のビニル基、(メタ)アクリル基等の他に、エポキシ基、メルカプト基等、加水分解基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
前記キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩、エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム塩、オキザリニド、ジカルボン酸ジヒドラジド、ジカルボン−ビス−フェニルヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ビス−サリチロイル−ジカルボン酸ジヒドラジド、サリチロイル−ヒドラジノトリアジン、グリシン、アラニン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
前記分散剤としては、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸の共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルプロパンスルホン酸共重合体、アルギン酸、ペクチン酸、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシルメチルでんぷん、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、ピロリン酸カリウム、ビスナフタレンスルホン酸ソーダ等、が挙げられ、複数併用しても良い。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、硫黄系、リン系、アクリレート系等が挙げられ、複数併用しても良い。また、前記還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒド、L−アスコルビン酸、ナトリウムスルホキシレート、O−ポリフェノール、ビスフェノール類等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、アミン系、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系、オギザリニド系、フォルムアミジン系、トリアジン系、カルバジド系等が挙げられ、複数併用しても良い。
前記潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等のワックス等が挙げられる。
前記増粘剤としては親水性ポリマー、水溶性ポリマー、例えばポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸の共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルプロパンスルホン酸共重合体、アルギン酸、ペクチン酸等のナトリウム塩およびアンモニウム塩、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシルプロポキシルメチルセルロース、カルボキシルメチルでんぷん、ポバール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、澱粉等の有機系増粘剤のほか、ベントナイト等の無機系増粘剤が挙げられ、これらの中で単独または複数種を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、例えば、アルキルアリルエーテル系、アルキルエーテル系、アルキルエステル系、アルキルアミン系、ソルビタン誘導体系等のノニオン活性剤、及び脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、脂肪族アミン・脂肪族アミドの硫酸塩、脂肪アルコールの燐酸エステル、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ナフタリンスルホン酸塩、トリイシプロピルナフタレンスルホン酸塩等のアニオン系活性剤、カチオン系活性剤、或いはベタイン、アラニン、イミダゾリン系両性活性剤等が挙げられアニオン系、カチオン系の併用や、さらに複数併用しても良い。
前記防腐剤・殺菌剤としては、例えば、フェノール系、有機スズ系、四級アンモニウム系、ジチオカルバメート系、チアジアジン系、トリアジン系、ヨードプロパジル系、N−ハロメチルチオ系、チアゾリン系、イミダゾール系等が挙げられる。
また、前記ブロッキング防止剤、撥水・撥油剤としては、例えば、カルナバワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ロジン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、パラフィン系ワックス、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸亜鉛、フッ素系活性剤等が挙げられる。
前記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、トリクレジルホスフェート、グリセリルトリアセテート等が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物(III)には、必要に応じて各種エマルジョン、ディスパージョン、水溶性樹脂等、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、アクリルスチレン樹脂エマルジョン、スチレン樹脂エマルジョン、合成ゴムラテックス、ウレタン樹脂エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニリデン樹脂エマルジョン、これらのハイブリッド樹脂エマルジョン、親水性ポリマー、水溶性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸の共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、ビニルスルホン酸共重合体、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシルプロポキシルメチルセルロース、カルボキシルメチルでんぷん、ポバール、ゼラチン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、水溶性アルキッド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を加えることができる。
本発明の水分散性樹脂(III)と硬化剤(IV)とを併用し、更に前記した各種添加剤を適宜加えることによって、表面処理剤やプライマー等の金属表面処理剤として使用することができる。その際の皮膜量としては0.5〜20g/mが施され、塗装方法としては、ロールコーター塗装、スプレー塗装、カーテンコーター塗装、バーコーター塗装、ダイコーター塗装、刷毛塗り等の公知の方法が用いられる。
実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の「部」、「%」は断りのない限りそれぞれ重量部、重量%を示す。
合成例1〔自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の合成〕
n−ブタノール513部を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、撹拌溶解しながらリフラックス温度に保ち、この中に、スチレン20部とエチルアクリレート120部とメタクリル酸260部の混合物、および、t−ブチルパーオキシオクトエート14.4部とn−ブタノール109部の混合溶解物を2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、更に同温度で3時間撹拌し、固形分40%のカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液を得た。
エピコート1010〔ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂〕160部と上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液100部とn−ブタノール128部を、窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、リフラックス温度で2時間撹拌することによって完全に溶解した後、105℃に冷却した。この溶液に、ジメチルエタノールアミン16.9部を仕込み、2時間撹拌することによって固形分53.6%の自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂のn−ブタノール溶液を得た後、95℃に冷却し、イオン交換水376部を加え、転相乳化させた後、減圧蒸留により、n−ブタノールと水を留去し、固形分20%の自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)を得た。
参考例1
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)525部、1,3−ブタジエン15部、スチレン28.5部、N−メチロールアクリルアミド1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.04部を仕込み、撹拌を開始し、重合容器内温度が50℃に達したとき、過硫酸ナトリウム2%水溶液7.5部を添加して反応を開始した。4時間後、80℃に昇温し、さらに4時間反応させた。その後、得られた重合物の冷却を行なった。重合率は99.9%であった。pH6.6、固形分26.5%のエチレン性不飽和単量体の共重合体(II−1)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I−1)よりなる自己水分散性樹脂(III−1)が得られた。
内包された共役ジエン重合体(II−1)のガラス転移温度(Tg)は39℃、自己水分散性樹脂(III−1)のガラス転移温度(Tg)は52 ℃である。なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)のTgは75℃として計算した。
参考例2
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)525部、1,3−ブタジエン19.5部、メタアクリル酸メチル22.5部、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル3部、t−ドデシルメルカプタン0.04部を仕込み、撹拌を開始し、重合容器内温度が50℃に達したとき、過硫酸ナトリウム2%水溶液7.5部を添加して反応を開始した。4時間後、80℃に昇温し、さらに4時間反応させた。その後、得られた重合物の冷却を行なった。重合率は99.8%であった。pH6.5、固形分26.8%のエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III−2)が得られた。内包された共役ジエン重合体(II−2)のガラス転移温度(Tg)は−11℃、自己水分散性樹脂(III−2)のガラス転移温度(Tg)は44℃である。なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)のTgは75℃として計算した。
実施例3
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に、水247部、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)225部、1,3−ブタジエン25.5部、スチレン75.9部、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル2.1部、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.5部を仕込み、撹拌を開始し、重合容器内温度が50℃に達したとき、過硫酸ナトリウム2%水溶液10.5部を添加して反応を開始した。4時間後、80℃に昇温し、さらに4時間反応させた。その後、得られた重合物の冷却を行なった。重合率は99.9%であった。pH6.5、固形分26.6%のエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III−3)が得られた。
内包された共役ジエン重合体(II―2)のガラス転移温度(Tg)は−28℃、自己水分散性樹脂(III−2)のガラス転移温度(Tg)は41℃である。なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)のTgは75℃、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランのTgは150℃として計算した。
実施例4
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)525部、1,3−ブタジエン15部、メタアクリル酸メチル21.75部、N−メチロールアクリルアミド6部、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.25部を仕込み、撹拌を開始し、重合容器内温度が50℃に達したとき、過硫酸ナトリウム2%水溶液7.5部を添加して反応を開始した。4時間後、80℃に昇温し、さらに4時間反応させた。その後、得られた重合物の冷却を行なった。重合率は99.9%であった。pH6.5、固形分26.7%のエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III−4)が得られた。
内包された共役ジエン重合体(II―2)のガラス転移温度(Tg)は15℃、自己水分散性樹脂(III−2)のガラス転移温度(Tg)は55℃である。なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)のTgは75℃、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランのTgは150℃として計算した。
実施例5
撹拌装置を備えた耐圧重合容器に、水202部、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)300部、1,3−ブタジエン37.5部、メタアクリル酸メチル27部、N−メチロールアクリルアミド9部、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.5部を仕込み、撹拌を開始し、重合容器内温度が50℃に達したとき、過硫酸ナトリウム2%水溶液7.5部を添加して反応を開始した。4時間後、80℃に昇温し、さらに4時間反応させた。その後、得られた重合物の冷却を行なった。重合率は99.9%であった。pH6.5、固形分26.65%のエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III−5)が得られた。
内包された共役ジエン重合体(II―2)のガラス転移温度(Tg)は−19℃、自己水分散性樹脂(III−2)のガラス転移温度(Tg)は21℃である。なお、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)のTgは75℃、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランのTgは150℃として計算した。
比較例1
合成例1で製造した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂水分散体(I−1)を用いる。
試験例
(1)供試材
脱脂処理した55%アルミニウム・亜鉛系メッキ鋼板(0.5mm厚)を用いた。
(2)表面処理鋼板の作成方法
実施例及び比較例で製造した樹脂組成物を、塗布皮膜量の調整のために必要に応じて希釈して、バーコーターにて皮膜量10g/mになるように供試材に塗布し、250℃のオーブン中で45秒間焼き付けを行った。
(3)皮膜性能の評価
(鉛筆硬度) JIS−K−5600に準じて行った。
(T−bend加工性)180°折り曲げした際に、クラックが発生しない挟む板の最低枚数を測定した。
(密着性)JIS−K−5400の8.2記載の碁盤目テープ法(すきま間隔1mm)に準じて行った。
表1に試験結果を示す。
Figure 0004872119
*1;ベッカミンAPM 大日本インキ化学工業製 メラミン樹脂 有効成分80%

Claims (3)

  1. ラジカル重合性を有するアルコキシシランを含有するエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)を内包した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)よりなる自己水分散性樹脂(III)と硬化剤(IV)とを必須成分として含有し、前記アルコキシシランが、前記自己水分散性樹脂(III)の固形分100重量部に対して0.1重量部〜5重量部であることを特徴とする金属表面処理剤用水性樹脂組成物。
  2. 自己水分散性樹脂(III)が、カルボキシル基を導入した自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に分散してなる水性樹脂分散体中で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体および/または、脂肪族共役ジエン単量体とを重合したものである請求項に記載の金属表面処理剤用水性樹脂組成物。
  3. 内包されたエチレン性不飽和単量体の共重合体(II)と、自己水分散性アクリル化芳香族エポキシ樹脂(I)の重量割合が(II)/(I)=5/95〜80/20である請求項に記載の水性樹脂組成物。
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