以下、本発明に係るセルトレイ用自動播種システムの実施の形態について、図1乃至図15を参照して詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は本発明に係るセルトレイ用自動播種システムの一部を構成する第1の実施の形態における球状物自動落下装置(ゲル被覆種子球状物自動落下装置)の概略斜視図である。図2は図1の球状物自動落下装置の側面図である。ここでは球状物としてゲル被覆種子を適用することとしている。
図1及び図2に示すように、球状物自動落下装置は、円盤状の繰出しドラム42をA板37a及びB板37bにより回転可能に挟持した繰出しドラムユニット30と、繰出しドラムユニット30の側面に装着され、繰出しドラム42を駆動させるための駆動装置等を装備するC板37cから構成されている。
繰出しドラムユニット30において、A板37a、B板37b、規制板39、繰出しドラム42及び揺動板35により囲まれた空間がゲル被覆種子50を保持するホッパ部34を形成している。このホッパ部34に保持されたゲル被覆種子50は繰出しドラム42の外周に設けられたゲル被覆種子用凹部42a(以下凹部42aと略す)に供給される。繰出しドラム42は、C板37c側から見て反時計方向に回転し、凹部42aに保持されたゲル被覆種子50は、繰出しドラム42の回転につれて繰出しドラムユニット30の下部に運ばれ繰出し部51から落下する。
ホッパ部34において、繰出しドラム42の円周上に設けられた凹部42aが進む方向の側には、規制板39がA板37aとB板37bに挟み込まれるように固着されている。
ここで、規制板39の繰出しドラム42の外周に面する一端には図2(b)に示すように超高分子ポリエチレンの滑落シート36aが被覆されている。この規制板39は、ゲル被覆種子50がホッパ部34からこぼれ落ちるのを防止すると共に、凹部42aに入ったゲル被覆種子50上にくっついた別のゲル被覆種子50をなめらかに取り除く。これにより、1つの凹部42aには1つのゲル被覆種子50のみが保持された状態で、繰出しドラム42はゲル被覆種子50を下部繰出し部51に運ぶことが出来る。
また、ホッパ部34のもう一方の側には、一端を揺動板軸45に枢着させもう一端を繰出しドラム42外周面とわずかな間隔(1〜2mm)で対向させた揺動板35が回動自在に装着されている。揺動板軸45はC板37cに装備された揺動機構により回動する。この、揺動板35と繰出しドラム42の円弧部がホッパ部34部の底面を構成する。さらに、A板37aとB板37bにおいて、繰出しドラム42の円弧と揺動板35とでホッパ部34の下部を形成する略逆三角形の領域には超高分子ポリエチレンの滑落シート36が設けられている。この滑落シート36は、2枚のシートからなり、A板37aとB板37bとに貼り付けられている。
繰出しドラム42は、ゲル被覆種子用凹部42aを外周に設けた2枚の円盤の間に、繰出しドラム42より径の小さい円盤を同心円状に挟着した構成となっており、A板37aとB板37bとにより挟持されている。また、この繰出しドラム42の中心は繰出しドラムシャフト44に軸着され、ドラムシャフト44により一定方向に回転させられる構造になっている。
なお、繰出しドラム42の構成を、ゲル被覆種子用凹部42aを外周に設けた2枚の円盤の間に、繰出しドラム42より径の小さい円盤を同心円状に挟着した構成とはせず、一枚の円盤で構成してもよい。すなわち、一枚の円盤の外周にゲル被覆種子用凹部42aを設け、さらに外周の円周方向にゲル被覆種子用凹部42aより深い溝を設けてもよい。この場合、後述のスクレパー41はこの溝に挟み込まれるように挿入される。
繰出しドラム42の回転方向に沿って繰出しドラム42の上部から下部繰出し部51にかけての円弧部には、繰出しドラム42の円周面と微小な間隔(2mm以下の間隔)をあけてガイド40aが、A板37aとB板37bに挟み込まれるように固着されている。このガイド40aは、繰出しドラム42の回転に伴って、ゲル被覆種子50が凹部42aから落下しないように、かつゲル被覆種子50が容易に擦動して行けるようゲル被覆種子50を凹部42aに保持する。
繰出しドラムユニット30下部において、繰出しドラム42を構成する2枚の円盤の間には、2枚の円盤の間に設けられた同心円盤の外周に接するようにスクレパー41が挿入されている。このスクレパー41は、繰出しドラム42の外周に沿った円弧部に設けられたスクレパー保持ガイド40bに嵌着され、スクレパー保持ガイド40bは、A板37aとB板37bに挟み込まれるように固着されている。そして、ガイド40aの先端部とスクレパー41の先端部とはゲル被覆種子50が落下できる程度の間隔が設けられ、この間隔部分が繰出し部51を構成する。
本実施の形態において、繰出しドラム42の直径は200mmとしている。また、凹部42aの深さは、ゲル被覆種子50の直径に合わせて、直径6mmのゲル被覆種子50に適用する場合は5.5mmとし、直径8mmのゲル被覆種子50に適用する場合は8.5mmとし、直径10mmのゲル被覆種子50に適用する場合は10.5mmとしている。凹部42aの深さをこのように決めることにより、ゲル被覆種子50を確実に凹部42aで保持すると共に、1つの凹部42aに2個以上のゲル被覆種子50が入り込んでしまうことを防止する。
C板37cは、繰出しドラムユニット30の側面に装着され、C板37cには、繰出しドラム42を駆動させるための駆動装置(不図示)、繰出しドラムシャフト44の回転角を検出するためのロータリエンコーダ46(図9)及び、繰出しドラムユニット30に設けられた揺動板35を揺動させるための揺動機構が装備されている。
繰出しドラム42を駆動させるための電動機からの回転運動はドラムシャフト44に伝達され、繰出しドラム42をC板37c側から見て反時計方向に回転させる。また、ロータリエンコーダ46は、繰出しドラム42が一回転したとき繰出しドラム42の外周に設けられた凹部42aの数だけ、一定角度毎にパルス出力を出力する。本実施の形態においては、凹部42aは繰出しドラム42の円周上に30個設けられているから、繰出しドラム42が12°回転する毎に1パルス出力することになる。
図3(a)(b)に示すように揺動機構は、カム31、カム31を回転させるための電動機(不図示)、カム31の回転運動を回動運動に変換して揺動板軸45に伝達するためのカムアーム32、カムアーム32をカム31に押しつけるためのスプリング32aとで構成される。
カムアーム32の一端は揺動板軸45に枢着され、カム31の回転により、スプリング32aによりカム31に押しつけられていたカムアーム32の摺動部は揺動板軸45を支点として上下に動く。カムアーム32の上下動は、揺動板軸45に伝えられ、一端を揺動板軸45に枢着させた揺動板35を揺動させる。ここで、揺動板35の揺動により揺動板35の先端と繰出しドラム42の外周面との間隔が変化することになるが、この間隔は揺動板35の揺動により変化したとしても最大2mm以下となるようカム31やカムアーム32等の寸法が定められている。
なお、ここでは揺動板35の先端と繰出しドラム42の外周面との間隔を2mm以下としたが、この寸法はこのすき間からゲル被覆種子50が落ちない程度であればよく、おおむね、適用するゲル被覆種子50の直径の半分以下であればよい。
また、カムアーム32を上部に引き上げると図3(b)の点線で示すように、揺動板35の先端部と繰出しドラム42及び、スクレパー保持ガイド40bとの間の間隔が大きく拡がるので、ホッパ部34に保持したゲル被覆種子50を繰出しドラムユニット30の下に排出することが出来る。
上記のように構成された第1の実施の形態の球状物自動落下装置の動作を以下に説明する。
繰出しドラム42及びカム32の運転がなされている状態で、繰出しドラムユニット30において、繰出しドラム42の凹部42aに保持されていたゲル被覆種子50は、下部の繰出し部51で下に落とされる。したがって、繰出しドラム42の回転と共に再びホッパ部34に戻ってきた凹部42aには、ゲル被覆種子50は保持されず空になっている。
この空になった凹部42aにホッパ部34に保持されたゲル被覆種子50が供給される。
このとき、ホッパ部34の底部を構成する揺動板35が揺動板軸45を支点として揺動するので、ホッパ部34の底部にブリッジが形成されることが妨げられ、確実に凹部42aにゲル被覆種子50が供給される。したがって、凹部42aを空にしたまま繰出しドラム42が回転することを避けることが出来る。
このように、全ての凹部42aにゲル被覆種子50を保持した状態で繰出しドラム42はホッパ部34底部から規制板39の方向に回転する。規制板39は、凹部42aに入ったゲル被覆種子50上にくっついた別のゲル被覆種子50をなめらかに取り除く。ゲル被覆種子50は、円弧状のガイド40aにより凹部42aに1個ずつ保持されたまま繰出し部51に運ばれ、繰出し部51に設けられたスクレパー41の先端部により掻き落とされる。
ここで、繰出しドラム42は、繰出しドラム42の外周に設けられた凹部42aの一箇所が繰出し部51を通過するたびに起動停止を繰り返す。すなわち、本実施の形態においては、凹部42aは繰出しドラム42の円周上に30個設けられているので、繰出しドラム42が12°回転する毎に起動停止を繰り返し、確実に所定の場所にゲル被覆種子50を播種できるようにしている。
図4は繰出しドラムユニット30の繰出し部51におけるゲル被覆種子50の落下を説明する説明図である。
図4において、step−d3は繰出しドラム42の回転により凹部42aに保持されたまま繰出し部51に運ばれてきたゲル被覆種子50がスクレパー41の先端部により掻き落とされている状態を示している。すなわち、凹部42aに保持されていたゲル被覆種子50は、繰出しドラム42の回転に伴い、スクレパー41の先端の湾曲部にそのままの勢いでぶつかるが、この湾曲部によりスムーズに勢いが抑えられて、湾曲部によって落下する。
このとき、繰出しドラム42の回転角を検出するロータリエンコーダ46は繰出し部51を凹部42aが一箇所通過するたびON・OFFする接点出力を出力する。ただし、ロータリエンコーダ46からの出力接点がONになった直後に繰出しドラム42を停止させると、出力接点ONの状態を維持してしまう場合がある。
そこで、STEP−d4に示すように、ロータリエンコーダの接点がONになった後その接点が確実にOFFになってから繰出しドラム42の回転を停止させることを目的として、ロータリエンコーダの接点がONになってからΔt秒後に繰出しドラム42の回転を停止させる。このとき、ゲル被覆種子50がスクレパー41の先端により落とされたあと、凹部42aがスクレパー41の先端を少し通り越した位置で繰出しドラム42は停止する。
このとき、STEP−d5に示すように、繰出しドラム42が停止したとき、ゲル被覆種子50はゲル被覆種子50がこぼれ落ちないようガイド40aにより保持される。
このように、第1の実施の形態によれば、ホッパ部34の繰出しドラム42の凹部42aへゲル被覆種子50を供給する部分に、揺動板35設け、この揺動板35を揺動板軸45を支点として揺動させるので、ホッパ部34の底部でブリッジ発生が発生することを防止し、確実に1個ずつゲル被覆種子用凹部42aにゲル被覆種子50を保持させることが出来る。
また、繰出しドラム42の下部のゲル被覆種子繰出し口に、スクレパー41を設けたので、繰出しドラム42の外周の凹部42aに一粒ずつ把持されたゲル被覆種子50を確実に落下させることが出来る。
さらに、繰出しドラム42の下部のゲル被覆種子繰出し口から所定の播種位置までの「ゲル被覆種子落下距離」を、真空播種機等の従来の播種機に比べて短くすることができるため、ゲル被覆種子50が、落下した勢いで転がったりすることがなく、一粒ずつ確実に所定の位置に播種することが出来る。
また、繰出しドラムシャフト44の一端に設けられたロータリエンコーダ46の出力接点がONになってから、繰出しドラム42を停止させるまでにΔt秒後の時間遅れを持たせ確実にロータリエンコーダの出力接点をOFFにさせることで、一度に2粒以上のゲル被覆種子50を落下させてしまうことがなく、一粒ずつ確実に所定の位置に播種することが出来る。
さらに、ホッパ部34の下部を形成する略逆三角形の領域に超高分子ポリエチレンの滑落シート36を設けたので、ゲル被覆種子50がホッパ部34の壁に付着することなくスムーズに繰出しドラム42の外周の凹部42aに入り込む。
また、規制板39の先端部を超高分子ポリエチレンの滑落シート36a{図2(b)}で覆ったので、凹部42aに入ったゲル被覆種子50の上に別のゲル被覆種子50がくっついた場合でも余分なゲル被覆種子50をなめらかに取り除くことが出来る。
<実施の形態2>
次に、本発明に係るに係るセルトレイ用自動播種システムの一部を構成する球状物自動落下装置の第2の実施の形態について図5を参照して詳細に説明する。
本実施の形態は、繰出しドラムユニット30に略相当する繰出しドラムユニット相当(30)を2ユニット以上(ここでは14ユニット)積層的に連結させたときと同様な機能を有する球状物自動落下装置である。
図5は第2の実施の形態における多列連結の球状物自動落下装置の概略斜視図である。
図5に示すように、本実施の形態においては、繰出しドラム42、揺動板35、規制板39、ガイド40a、スクレパー41、スクレパー保持ガイド40b等をB板37bとで挟持した繰出しドラムユニット相当(30)を多数並列に連結している(最端部のみA板37a)。
この並列連結を実現するために、C板37cと同様に側面の役を担うD板37dとで各繰出しドラムユニット相当(30)を挟持している。
これらの繰出しドラムユニット相当(30)は、連結棒52a、52b、52cによって並列に連結されている。また、各繰出しドラムユニット相当(30)の間隔は、連結棒52a、52b、52cの各々に設けられたボルト(図示せず)により、固定されている。また、C板37cとD板37dは連結された連結繰出しドラムユニットを挟み込むように調整軸53a、53b、53cにより固定されている。さらに、各繰出しドラム42を固着した繰出しドラムシャフト44及び揺動板軸45は共通としているので、C板37cに設けられた駆動装置及び揺動機構により各繰出しドラム42及び各揺動板35は、同時に回転し揺動する。
このため、並列連結された繰出しドラムユニット相当(30)の数のゲル被覆種子50を同時に所定の箇所に精度良く1列毎に落下させることが可能となる。
<実施の形態3>
次に、第3の実施の形態として、本発明に係るセルトレイ用自動播種システムについて図6乃至図15を参照して詳細に説明する。
本実施の形態は、実施の形態2で説明した多列連結の球状物自動落下装置をセルトレイ用自動播種システムに適用したものである。
図6は第3の実施の形態の全体構成図を示す。
本実施の形態に係るセルトレイ用自動播種システムは各セルに土を充填した育苗用セルトレイ(セルトレイ)15を搬送ベルト11上に乗せて穴あけ部2に搬送し各セルの土に窪みを作った後、播種部3に搬送し各セル61の窪みにゲル被覆種子を播種し、その後、次の工程に搬送する搬送部1、土を充填した育苗用セルトレイ15の各セル61の土に窪みを作る穴あけ部2、及び育苗用セルトレイ15の各セル61の窪みにゲル被覆種子50を播種する播種部3とからなる。
さらに、育苗用セルトレイ15の各セル位置を検出するため、穴あけ部2及び播種部3の各々にそれぞれ穴あけ用位置センサ23及び播種用位置センサ33が設置される。これらの位置センサ(23,33)はレーザー光線をトレイガイド14bに照射しその反射光の有無を検出することで物体の有無を判断するタイプで、レーザー光線が搬送ベルト11上のトレイガイド14b面に垂直に照射するよう取り付けられる。
搬送部は、搬送ベルト11、搬送ベルト11を駆動するための搬送モータ(不図示)及び搬送ベルト11上部にあって育苗用セルトレイ15がずれないようにガイドするトレイガイド(14a,14b)により構成される。
トレイガイド(14a,14b)の内の一本(14a)は搬送ベルト11の中央上部に搬送ベルト11の表面に接触しないような微小な間隔をあけて、搬送ベルトを上流から下流に縦断するように設置される。他の一本(14b)も同様にして、中央にあるトレイガイド14aと搬送ベルト11の端部との中間位置に設置される。
搬送ベルト11の中央に設置されたトレイガイド14aは、搬送ベルト11の中央に不図示のトレイガイド固定枠にトレイガイド14aを固定するためのボルト位置を調整することにより、トレイガイド14aが搬送ベルト11の中央に来るよう微調整可能となっている。一般的に使用されている育苗用セルトレイ15のセル行数が偶数であることから、育苗用セルトレイ15の下部中央のセルとセルの間に一列の隙間ができる。この中央にできた一列の隙間が、中央に設置されるトレイガイド14aを跨ぐような状態で育苗用セルトレイ15を搬送ベルト11に乗せることで、育苗用セルトレイ15が搬送中左右にずれないようにするものである。
もう一方のトレイガイド14bは上記と同様に育苗用セルトレイ15が搬送中左右にずれないようにする機能を果たすとともに、位置センサ(23,33)から照射されるレーザ光線を反射させ、育苗用セルトレイ15の各セル位置を検出するために用いられるものである。このトレイガイド14bは、適用する育苗用セルトレイ15の行数によって育苗用セルトレイ15下部のセル61とセル61との間に出来た溝にはまるような位置に搬送ベルト11上を平行移動させることができる。
図7は穴あけ部の構成を示す図である。
穴あけ用シリンダ22は、スライドベース21により搬送ベルト11の長手方向に自在に平行移動できるような方法で、穴あけ用フレーム28の上部板に固定される。穴あけ用シリンダ22から下方に突き出た穴あけ用シリンダアーム29に、本実施の形態においては14行、29列の育苗用セルトレイ15に播種するので、14本の穴あけ棒24を下部に一列に並べて取り付けた穴あけ棒取付フレーム27が連結されている。一列に並んだ14本の穴あけ棒24は、シリンダアーム29の前進後退に伴い下降上昇する。
ここで、穴あけ棒取付フレーム27は、断面が図7(c)に示すように四方に溝が作られたような形状になっている。そして、この溝にナット24bを埋込み、このナット24bに、穴あけ棒24の上部に設けられたボルト穴を貫通させたボルト24aをねじ込むようにして穴あけ棒24を固定する。このような構成となっているので、ボルト24aをゆるめると、穴あけ棒24は穴あけ棒取付フレーム27の溝に沿って左右にずらすことが出来る。また、穴あけ棒取付フレーム27に取り付ける穴あけ棒24の数量、形及び大きさも任意に変更可能である。
したがって、育苗用セルトレイ15の行数等に応じて穴あけ棒24の大きさ、形状、個数及び取付位置を変更することが出来る。
穴あけ用フレーム28の上部板には、播種部高さ調整ノブ26が取り付けられている。播種部高さ調整ノブ26は、図7(b)に示すように球状物自動落下装置のC板37cとD板37dを連結する調整軸53cの中央に設けられたねじ穴にねじ込んで貫通させたボルトの一部を形成し、播種部3の球状物自動落下装置の上流側の一方の端を支えると共に、播種部高さ調整ノブ26を回すことにより、球状物自動落下装置の高さを調整する。
穴あけ部2には、搬送ベルト11上面とほぼ同じ高さの位置にレーザ光線タイプの穴あけ用位置センサ23が取り付けられている。そして、穴あけ用位置センサ23からの位置検出用レーザ光線は、トレイガイド14bに垂直に、搬送ベルト11面の上部を横切るように照射される。
穴あけ用シリンダ22には、供給空気配管81(図12)と排気空気配管82(図12)の接続を切り換える電磁弁251(図9,図12)が付属する。この電磁弁25により、穴あけ用シリンダ22の動作は前進開始後所定の時間が経過したとき、前進から後退に切り換えられる。
次に、播種部3の構成について説明する。
図5及び図6に示すように本実施の形態においては14行、29列の育苗用セルトレイ15に播種するので、繰出しドラム42、ホッパ部34等からなる繰出しユニット相当(30)を14ユニット積層的に連結してなる球状物自動落下装置を用いる。ここで、繰出しユニット相当(30)のユニット相互間の間隔及び繰出しユニット相当(30)の数は、育苗用セルトレイ15の行数により変更することが出来る。
この積層的な連結を実現するために、C板37cと同様に側面の役を担うD板37dとで各繰出しドラムユニット相当(30)を挟持している。
これらの繰出しドラムユニット相当(30)は、連結棒52a、52b、52cによって並列に連結されている。また、各繰出しドラムユニット相当(30)の間隔は、連結棒52a、52b、52cの各々に設けられたボルト(図示せず)により、固定されている。また、C板37cとD板37dは連結された各繰出しドラムユニット相当(30)を挟み込むように調整軸53a、53b、53cにより固定されている。
球状物自動落下装置のC板37cには、各繰出しドラムユニット相当(30)に設けられた繰出しドラム42を駆動させるための駆動装置(不図示)、繰出しドラムシャフト44の回転角を検出するためのロータリエンコーダ46(不図示)及び、各繰出しドラムユニット相当(30)に設けられた揺動板35を揺動させるための揺動機構が装備されている。
また、繰出しドラム42の中心には、14ユニット相当に対して共通する一本の繰出しドラムシャフト44が水平に軸通されており、繰出しドラムシャフト44の回転により垂直に取り付けられた各繰出しドラム42が回転する。
さらに、各繰出しドラムユニット相当(30)の揺動板軸45は共通としているので、C板37cに設けられた駆動装置及び揺動機構により各繰出しドラムユニット相当(30)の繰出しドラム42及び揺動板35は、同時に回転し揺動する。
球状物自動落下装置の下流側下部には、調整軸53bの両端にC板37c及びD板37dの外側から長方形の調整板54が調整板54下部を球状物自動落下装置の下に出っ張らせた状態で挿着されている。この調整板54の出っ張り部分は搬送コンベア12のフレームに固着される。一方、球状物自動落下装置の上流側に設けた、調整軸53cには中央に上下方向にねじ穴が貫通されており、穴あけ部2に設けられた播種部高さ調整用ノブ26のボルトがねじ込まれている。
この調整板54及び播種部高さ調整用ノブ26のボルトにより球状物自動落下装置は、搬送ベルト11の表面とは育苗用セルトレイ15が通過できる程度の間隔をあけて、搬送コンベア12のフレームに固定される。また、搬送コンベア12のフレームに固定された球状物自動落下装置は、播種部高さ調整用ノブ26によりその高さを調整することが出来る。
図8(a)は育苗用セルトレイ立体図、図8(b)は育苗用セルトレイを側面から見た模式図である。
図8(a)に示すように、本実施の形態においては、搬送ベルト11を横断する方向に14行、搬送ベルト11の進行方向に29列のセル61が設けられた育苗用セルトレイ15を用いている。また、図8(b)に示すようにセル61とセル61の間には間隙が存在する。
搬送コンベア12において、穴あけ部2には穴あけ用位置センサ23が、また、播種部3には播種用位置センサ33が、位置検出用レーザ光線が育苗用セルトレイ15の進行方向に対して垂直に、すなわちトレイガイド14b面に対して垂直に照射され、かつ各セル61の列と列との隙間を通り抜けることができるような高さに取り付けられている。
図9は本実施の形態における制御システムのブロック図である。
制御システムは、自動播種システムの制御を司る自動播種システム用シーケンサ71、搬送部1の搬送ベルト11、穴あけ部2に設けられた穴あけ用位置センサ23、穴あけシリンダ用電磁弁25、及び播種部3に設けられた播種用位置センサ33、繰出しドラム42、ロータリエンコーダ46からなる。
穴あけ用位置センサ23、播種用位置センサ33、及びロータリエンコーダ46からの信号は自動播種システム用シーケンサ71に入力され、シーケンス制御処理が行われた後、穴あけシリンダ用電磁弁25、繰出しドラム42、及び搬送ベルト11に出力される。
ここで、穴あけ用位置センサ23及び播種用位置センサ33は、搬送ベルト上のトレイガイド14bに向けて光線を照射し、トレイガイド14bからの反射光の有無で、育苗用セルトレイ15の各セル列を検出している。
次に、本実施の形態における自動播種システムの動作について図6を参照して説明する。
まず、搬送ベルト11中央に位置するトレイガイド14aの位置を確認し必要ならば搬送ベルト11の中央になるよう微調整を行う。次いでもう一方のトレイガイド14bが、育苗用セルトレイ15の端から1行目のセル61と2行目のセル61との隙間にはまり込むようトレイガイド14bの位置を調整する。
続いて、搬送ベルト11の上流に各セル61に土を充填した育苗用セルトレイ15を端から7行目のセルと8行目のセルとの隙間が中央のトレイガイド14aに跨るようして搬送ベルト11の上に置く、このとき、1行目のセル61と2行目のセル61との隙間はトレイガイド14bに跨ることになる。
この状態でセルトレイ用自動播種システムを起動すると、育苗用セルトレイ15は搬送ベルト11により、穴あけ部2に搬送される。穴あけ部2では育苗用セルトレイ15の各セル列の位置を穴あけ用位置センサ23により検出し、セル列が来るたびに搬送ベルト11を停止させることなく穴あけ棒24を前進後退させ、自動的にその列の各セルに充填した土に窪みを作るという動作を繰り返すことによって育苗用セルトレイ15の全てのセル61に窪みを作る。
その後、育苗用セルトレイ15は播種部3に搬送され、同様に播種部3において育苗用セルトレイ15の各セル列の位置を播種用位置センサ33により検出し、セル列が来るたびに搬送ベルト11を自動停止させ、自動的にその列の各セルに充填した土の窪みにゲル被覆種子50を播種した後、搬送ベルト11を自動再起動するという動作を繰り返すことによって育苗用セルトレイ15の全てのセル61にゲル被覆種子50を播種し、育苗用セルトレイ15を搬送ベルト11にて次の工程へ搬送する。
以上で、一連の自動播種動作は完了する。なお、一旦セルトレイ用自動播種システムを起動した後は、いちいちシステムを停止することなく各セル61に土を充填した育苗用セルトレイ15を搬送ベルト11に順番に乗せれば自動的に上記一連の動作が次々と行われる。
次に、穴あけ部2での動作について図10から図12を参照して詳細に説明する。
図10は、穴あけ動作フローチャートである。
図10に示すように、各セル61に土を充填した育苗用セルトレイ15を搬送ベルト11に乗せてセルトレイ用自動播種システムを起動すると、搬送ベルト11が起動し、運転が継続する(Step1,Step2)。このとき育苗用セルトレイ15はまだ穴あけ部2まで搬送されて来ていないから穴あけ用位置センサ23はONにならないので(Step3)フリップフロップはセットされており(Step4)、また、搬送ベルト11の運転も継続される(Step2)。その後、育苗用セルトレイ15の先頭のセル列が穴あけ部2に搬送されてくると穴あけ用位置センサ23からのレーザ光線はセル61の先頭部分によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので、穴あけ用位置センサ23がONになる(Step3)。そして、セットされていたフリップフロップはリセットされる(Step5,Step6,Step7)。
ここで、一列に並べられた14本の穴あけ棒はセル列の各セル61の真上に来るよう調整されている。また穴あけ用シリンダ22の前進開始後、後退に切り換える最適な時間を調整しておき、調整された最適な時間は、あらかじめ自動播種システム用シーケンサ71に「所定時間」として記憶しておく。
セル列が穴あけ部2に搬送されて穴あけ用位置センサ23がONになり、セットされていたフリップフロップがリセットされると、穴あけ用シリンダ22が前進し(Step7)時間計測を開始する(Step8)。各セル61に充填された土に適当な深さの窪みを作る位置まで穴あけ棒24を押し下げたところで、所定の時間が経過することとなり(Step9)、所定の時間が経過すると、穴あけ用シリンダ22が後退し上限位置で停止する(Step10,Step11,Step12)。
ここで、Step2にもどる。このとき穴あけ用位置センサ23からのレーザ光線はまだセル61によりトレイガイド14bへの照射が遮られているので、穴あけ用位置センサ23はON状態である(Step3)。また、フリップフロップはリセットしたままなので(Step5,Step6)、Step2に戻る。
さらに、搬送ベルトにより育苗用セルトレイ15が移動し穴あけ用位置センサ23からのレーザ光線の照射位置にセル列とセル列の隙間が来るとレーザ光線はセル61により遮られずトレイガイド14bからの反射光が戻って来るので穴あけ用位置センサ23はOFFになり、フリップフロップはセットされる(Step3,Step4,Step5)。
次いで、育苗用セルトレイ15がさらに移動し穴あけ用位置センサ23からのレーザ光線の照射位置に次のセル列が来ると、レーザ光線はセル61によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので穴あけ用位置センサ23はONになり、セットされていたフリップフロップはリセットされる(Step3,Step5,Step6)。
このようにして、セル列が一列シフトされたことを検出する。
セル列が一列シフトされたことを検出すると、穴あけ用シリンダ22が前進し(Step7)各セルの土に適当な深さの窪みを作る位置まで穴あけ棒24を押し下げる。穴あけ用シリンダ22の前進開始後所定の時間が経過すると(Step8,Step9)穴あけ用シリンダ22が後退し上限位置で停止し(Step10,Step11,Step12)、再びStep2に戻る。
このように、次のセル列が来るたびに一列単位で穴あけ動作が行われ育苗用セルトレイ15の全てのセル61の土に窪みが作られる。
次に穴あけ部のセル列シフト動作について図11を参照しながら説明する。
図11において、STEP−a1はセル列イのセル61の穴あけ動作が終わった状態を示す。このとき穴あけ用位置センサ23のレーザ光線はセル61の右端部分によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので穴あけ用位置センサ23はONとなっている。
次いで、STEP−a2においては、搬送ベルト11により育苗用セルトレイ15が多少移動しているがなお穴あけ用位置センサ23のレーザ光線はセル61によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので穴あけ用位置センサ23はONの状態でありSTEP−a1の状態と変化はないので、穴あけ用シリンダ22は上限位置のままである。
更にSTEP−a3において、育苗用セルトレイ15が移動し穴あけ用位置センサ23からのレーザ光線の照射位置62にセル列とセル列の隙間が来るとレーザ光線はセル61により遮られず反射光が戻って来るので穴あけ用位置センサ23はOFFになりフリップフロップはセットされる。
続いてSTEP−a4及びSTEP−a5において、育苗用セルトレイ15が移動し穴あけ用位置センサ23からのレーザ光線の照射位置62にセル列ロの右端が現れると、穴あけ用位置センサ23のレーザ光線はセル列ロによりトレイガイド14bへの照射が遮られるので穴あけ用位置センサ23はONとなる。このとき、フリップフロップはセットされた状態にあるので、自動播種システム用シーケンサ71はフリップフロップをリセットすると同時に穴あけシリンダ24を前進させ、列ロの各セル61の土に適当な深さの窪みを作る。穴あけ用シリンダ22の前進開始後所定の時間が経過すると、穴あけ棒は上限位置まで後退する。
その後、再びSTEP−a1からの一連の動作を繰り返す。また、この一連の穴あけ動作中も搬送ベルト11は動き続けている。
このように、穴あけ用位置センサ23が一旦OFFになった後再度ONになってはじめて、穴あけ用シリンダ22を前進させるので育苗用セルトレイ15のセル列の一列ずつ穴あけ動作を行うことが出来る。
続いて、穴あけ動作について図12を参照して説明する。
図12に示すように、穴あけ部2には、穴あけ用シリンダ22への供給空気配管81と排気空気配管82の接続を切り換えるための電磁弁25が設置されている。また、自動播種システム用シーケンサ71に記憶された「所定の時間」を変更することにより、穴あけ用シリンダ22が前進から後退へ切り替わる迄のタイミングを変更することが出来る。また、一列に並んだ14本の穴あけ棒24は、穴あけ用シリンダアーム29の前進後退に伴い下降上昇する。
図12において、STEP−b1はセル列イのセル61の穴あけ動作が終わり、搬送ベルト11により一列シフトされセル列ロのセル61が穴あけ棒24の下に来て穴あけ用位置センサ23がONになる直後の状態である。この状態では、供給空気配管81は電磁弁25を経由して下部シリンダ室に接続され排気空気配管82は電磁弁25を介して上部シリンダ室に接続されている。従って、穴あけ用シリンダアーム29は下部シリンダ室の空気圧により上限まで後退しており、穴あけ用シリンダアーム29に連結されたアングルに一列に並べて取り付けられた14本の穴あけ棒24も上部に後退している。
次いでSTEP−b2ではセル列ロが穴あけ棒24の下にあり、穴あけ用位置センサ23の信号を受け電磁弁25が切り替わった状態を示す。この状態で、電磁弁25により空気配管の接続が切り換えられるので、供給空気配管81は電磁弁25を経由して上部シリンダ室に接続され排気空気配管82は電磁弁25を介して下部シリンダ室に接続される。
この状態になると、穴あけ用シリンダアーム29は上部シリンダ室の空気圧により下方へ前進する。従って、14本の穴あけ棒24も下方に前進する。
続いてSTEP−b3では穴あけ用シリンダアーム29が下方へ前進することにより、穴あけ棒24をセル61に充填された土の上に押し下げ、窪みを作る。
この間、搬送ベルト11は動き続けているので、穴あけ用シリンダアーム29が下方へ前進している間もセル61は移動している。そこで、穴あけ用シリンダアーム29が前進を開始してから穴あけ棒24の先端がセル61に充填された土に達するまでの時間に、各セル61がどれだけ移動するかを考慮に入れ、穴あけ用位置センサ23の検出位置を調整しておき、セル61の中心部に穴あけ棒24の先端が来るようにしておく。
また、穴あけ用シリンダアーム29が下方へ前進を開始したときから自動播種システム用シーケンサ71は時間計測を開始する。ここで、穴あけ用シリンダアーム29が下方へ前進を開始してから穴あけ棒24の先端がセル61に適当な深さの窪みを作る迄の「所定の時間」をあらかじめ調整しておく。そして、この「所定の時間」が経過したとき、電磁弁25により空気配管の接続が切り換えられ、供給空気配管81は電磁弁25を経由して下部シリンダ室に接続され排気空気配管82は電磁弁25を介して上部シリンダ室に接続される。この状態になると、穴あけ用シリンダアーム29は下部シリンダ室の空気圧により上方へ後退する。
次いでSTEP−b4では穴あけ用シリンダアーム29が上限まで後退し、停止した状態を示している。続いてSTEP−b5では、搬送ベルト11によりセル列を一列シフトしセル列ロが右側に移動した状態を示す。この状態から再びSTEP−b1からの一連の動作を繰り返す。
次に、播種部3での動作について図13から図15を参照して詳細に説明する。
図13は、播種部動作フローチャートである。ここでは、レーザ光線タイプの位置センサ33を用い、育苗用セルトレイ15を側面から見たとき、セル61とセル61の間に隙間があることを利用し、育苗用セルトレイ15のセル列の位置を検出し、播種する。すなわち、位置センサ33は、セル61とセル61の間の隙間では、レーザ光線はセル61に遮られずトレイガイド14bからの反射光が戻ってくるので、セル61を検出せずOFFとなる。そこで、フリップフロップは位置センサ33が一旦OFFになったことを記憶しておき(フリップフロップをセットする)、その後位置センサ33がONになったときフリップフロップをリセットするとともに搬送ベルト11を停止させ、セル61に播種する。
フローチャートに即して説明すると、図13に示すように、育苗用セルトレイ15の全てのセル61の土に窪みが作られた状態で育苗用セルトレイ15を搬送ベルト11に乗せ、搬送ベルト11を起動し、運転を継続する(Step21,Step22)。このとき育苗用セルトレイ15はまだ播種部3まで搬送されて来ていないから播種用位置センサ33はONにならないので(Step23)フリップフロップはセットされており(Step24)、また、搬送ベルト11の運転も継続される(Step22)。その後、育苗用セルトレイ15の先頭のセル列が穴あけ部2に搬送されてくると播種用位置センサ33からのレーザ光線はセル61の先頭部分によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので、播種用位置センサ33がONになる(Step23)。このときフリップフロップはセットされているから搬送ベルト11は停止すると同時に、フリップフロップはリセットされる(Step25,Step26,Step27)。
ここで、播種用位置センサ33は、播種用位置センサ33の取り付け位置を移動することによって、播種部スクレパー41から掻き落とされたゲル被覆種子50がセル61の真ん中に落ちるような位置で育苗用セルトレイ15が停止するよう調整されている。この状態で繰出しドラム42が起動し(Step28)、ロータリエンコーダ46がONになると(Step29)タイマがカウントを開始し(Step30)Δt秒後に繰出しドラム42が停止する(Step31,Step32)。このようにしてゲル被覆種子50が14個(セル1列分)のセル61に播種される。
次いで、Step21にもどり、搬送ベルト11が起動し、運転が継続する(Step21,Step22)。このとき播種用位置センサ33からのレーザ光線はまだセル61によりトレイガイド14bへの照射が遮られているので、播種用位置センサ33はON状態である(Step23)。また、フリップフロップはリセットしたままなので(Step25)、Step22に戻り、搬送ベルト11の運転が継続される。
さらに、搬送ベルト11により育苗用セルトレイ15が移動し播種用位置センサ33からのレーザ光線の照射位置にセル列とセル列の隙間が来るとレーザ光線はセル61により遮られずトレイガイド14bからの反射光が戻って来るので播種用位置センサ33はOFFになる。したがって、フリップフロップはセットされるが(Step23,Step24)、Step22に戻るので、搬送ベルト11の運転は継続される。
次いで、育苗用セルトレイ15が移動し播種用位置センサ33からのレーザ光線の照射位置に次のセル列が来ると、レーザ光線はセル61によりトレイガイド14bへの照射が遮られ播種用位置センサ33はONになり、フリップフロップはセットされているので搬送ベルト11は停止し、フリップフロップはリセットされる(Step23,Step25,Step26,Step27)。このようにして、セル列は一列シフトされる。
続いて、繰出しドラム42が起動し(Step28)、ロータリエンコーダ46がONになると(Step29)タイマがカウントを開始し(Step30)Δt秒後に繰出しドラム42が停止し(Step31,Step32)、再びStep21に戻る。
このように、セル列は一列ずつシフトされ、シフトするたびに一列単位で播種動作が行われ育苗用セルトレイ15の全てのセル61にゲル被覆種子が播種される。
次に播種部3のセル列シフト動作について図14を参照して説明する。
図14において、STEP−c1はセル列イのセル61の播種動作が終わり、搬送ベルト11が起動した状態を示す。このとき播種用位置センサ33のレーザ光線はセル61の右端によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので播種用位置センサ33はONとなっている。また、フリップフロップはリセットされた状態にある。
次いで、STEP−c2においては、搬送ベルト11により育苗用セルトレイ15が多少移動しているがなお播種用位置センサ33はセル61によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので播種用位置センサ33はONの状態でありSTEP−c1の状態と変化はないので、搬送ベルト11は運転を継続する。
更にSTEP−c3において、育苗用セルトレイ15が移動し播種用位置センサ33からのレーザ光線の照射位置62にセル列とセル列の隙間が来るとレーザ光線はセル61により遮られずトレイガイド14bから反射光が戻って来るので播種用位置センサ33はOFFになりフリップフロップはセットされる。このとき、播種用位置センサ33がOFFの状態であっても搬送ベルト11は運転を継続する。
続いてSTEP−c4において、育苗用セルトレイ15が移動し播種用位置センサ33からのレーザ光線の照射位置62にセル列ロの右端が現れると、播種用位置センサ33のレーザ光線はセル列ロの右端によりトレイガイド14bへの照射が遮られるので播種用位置センサ33はONとなる。このとき、フリップフロップはセットされた状態にあるので、自動播種システム用シーケンサ71はフリップフロップをリセットすると共に、搬送ベルト11を停止し繰出しドラム42によりセル列ロの各セルに播種する。
播種動作の後STEP−c6において搬送ベルト11が起動し、再びSTEP−c1からの一連の動作を繰り返す。
このように、播種用位置センサ33が一旦OFFになった後再度ONになってはじめて、搬送ベルト11を停止させるので育苗用セルトレイ15のセル列を一列ずつシフトさせることができる。
続いて、播種動作について図15を参照して説明する。
図15において、STEP−d1はセル列イのセル61の播種動作が終わり、搬送ベルト11により一列シフトされセル列ロのセル61が繰出しドラム42の真下に来て停止している状態である。この状態では、繰出しドラムの外周に設けられたゲル被覆種子50を保持するための凹部42aの1つは、スクレパー41によりゲル被覆種子50をセル61の上に掻き落とした後、スクレパー41の先端を少し通り越した位置で停止しており、他の1つは、凹部42aにゲル被覆種子50を保持したまま、ガイド40の上部にあってゲル被覆種子50が落下しないよう支えられている。
次いでSTEP−d2では、繰出しドラム42の回転が開始された状態である。続いてSTEP−b3は、更に回転が継続し、繰出しドラムシャフト44の一端に設けられたロータリエンコーダ46の接点がONになるとともに、凹部42aに保持されたゲル被覆種子50がスクレパー41の先端によりセル61の上に掻き落とされた状態を示している。
ここで、ロータリエンコーダ46は繰出しドラム42が一回転したときその外周に設けられた凹部42aの数だけパルス状にON・OFFする接点出力を出力する。ここでは、凹部42aは繰出しドラム42の外周に30個あるので、繰出しドラム42が12°回転する毎に1つ接点出力を出力する。つまり、繰出しドラム42の外周に設けられた凹部42aが下部繰出し口に来るたびにパルス状の接点出力を出力する。ただしロータリエンコーダ46からの出力接点がONになった直後に繰出しドラム42を停止させると、出力接点ONの状態を維持してしまう場合がある。
そこで、STEP−b4においては、ロータリエンコーダ46の接点がONになった後その接点が確実にOFFになってから繰出しドラム42の回転を停止させるため、ロータリエンコーダの接点がONになってからΔt秒後に繰出しドラム42の回転を停止させる。このとき、ゲル被覆種子50がスクレパー41の先端によりセル61の上に掻き落とされたあと、凹部42aは、スクレパー41の先端を少し通り越した位置で停止する。
続いてSTEP−d5にて、搬送ベルト11が起動停止しセル列を一列シフトしセル列ロが右側に移動した状態を示す。この状態から再びSTEP−d1からの一連の動作を繰り返す。
なお、このとき、繰出しドラム42の回転と共に、図3に示すカム31が回転する。したがって、カム31の上部から押しつけられているカムアーム32はカム31の回転により揺動する。カムアーム32の揺動により揺動板軸45が回動し揺動板軸45の回動により揺動板35が揺動板軸45を中心として揺動する。
このとき揺動板軸45の先端部は繰出しドラム42の外周面と対向し、揺動板35の先端部と繰出しドラム42の外周面との間隔は、ゲル被覆種子50がこぼれ落ちない程度の間隔(1〜2mm)に維持される。揺動板35の揺動により、ホッパ部34から繰出しドラム42のゲル被覆種子用凹部42aへゲル被覆種子50を供給する部分でのブリッジ発生を防止し、確実に1個ずつゲル被覆種子用凹部42aにゲル被覆種子50を保持させることが出来る。また、揺動板35が揺動している場合においても、揺動板35と繰出しドラム42の外周面との間隔をゲル被覆種子50がこぼれ落ちない程度の間隔(1〜2mm)に維持しているので、この部分からゲル被覆種子50がこぼれ落ちることはない。
なお、本実施の形態においてはゲル被覆種子50を播種対象としたが、播種する種子はゲル被覆種子でなくてもよく、ある程度大きさと形が整っていればどんなものでも良く、例えばコート種子等にも適用できる。
また、本実施の形態においては、育苗用セルトレイ15の行数を14としたが、特に行数を14とする必要はなく、8行や10行等でも良い。
このように、第3の実施の形態によれば、ゲル被覆種子50を傷つけることなく育苗用セルトレイ15の全てのセル61に確実に自動的にゲル被覆種子50を播種することができる。
また、穴あけ部2における育苗用セルトレイ15の穴あけ位置等の調整と、播種部3における育苗用セルトレイ15の停止位置等の調整を独立に行うことが出来るようにしたので、より確実に育苗用セルトレイ15に自動的にゲル被覆種子50を播種することが出来る。
さらに、播種部3において、ホッパ部34底部の繰出しドラム42のゲル被覆種子用凹部42aへゲル被覆種子50を供給する部分に、揺動板35設け、この揺動板35を揺動させるので、ホッパ部34の底部でブリッジ発生が発生することを防止し、確実に1個ずつゲル被覆種子用凹部42aにゲル被覆種子50を保持させることが出来る。
また、繰出しドラム42の下部のゲル被覆種子繰出し口に、スクレパー41を設けたので、繰出しドラム42の外周の凹部42aに一粒ずつ把持されたゲル被覆種子50を確実に育苗用セルトレイ15の各セル61の中に落とすことが出来る。
さらに、繰出しドラム42の下部のゲル被覆種子繰出し口から育苗用セルトレイ15の各セル61までの「ゲル被覆種子落下距離」を、真空播種機等の従来の播種機に比べて短くすることができるため、ゲル被覆種子50が、落下した勢いで育苗用セルトレイ15の各セル61内を転がったりすることがなく、一粒ずつ確実に各セル61の中央部に播種することが出来る。
また、繰出しドラムシャフト44の一端に設けられたロータリエンコーダ46の出力接点がONになってから、繰出しドラム42を停止させるまでにΔt秒後の時間遅れを持たせ確実にロータリエンコーダの出力接点をOFFにさせることで、播種部3における誤動作を防止することが出来る。
さらに、穴あけ部2において、穴あけ棒24は、前進を開始したあと所定時間経過した時に後退させることにしたので、穴あけ棒24がセル61に押しつけられたまま停止するようなトラブルを回避することが出来るとともに、育苗用セルトレイ15の各セル61の穴あけ深さが最適になるよう調整することが出来る。
また、育苗用セルトレイ15のセル列の位置を検出する手段としてレーザ光線タイプの位置センサを用い、育苗用セルトレイ15を側面から見たとき、セル61とセル61の間に隙間があることを利用し、位置センサ(23,33)が一旦OFFになったことを記憶しておきその後ONになったとき穴あけ動作を開始し、あるいは、搬送ベルト11を停止させるので、穴あけ部2あるいは播種部3において育苗用セルトレイ15のセル列のシフト動作を確実に行うことが出来る。
さらに、搬送ベルト11の中央にトレイガイド14aを設置したので、中央にできた育苗用セルトレイ15の一列の隙間を、中央に設置されるトレイガイド14aに跨がせた状態で、育苗用セルトレイ15を搬送ベルト11に乗せることで、育苗用セルトレイ15が搬送中左右にずれないようにすることができる。
また、搬送ベルト上のトレイガイド14bに位置センサ(23,33)からの光線を照射し、その反射光の有無で、育苗用セルトレイ15の各セル列の位置を検出することとしたので、育苗用セルトレイ15の位置センサ(23,33)側のセルが変形していても、確実に各セル列の位置を検出することが出来る。