JP4870451B2 - 粉末成形金型及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形金型に関し、更に詳細には医薬品、薬品、菓子、ボタン電池、セラミックス、自動車の部品等の工業生産に用いる粉末の加圧成形金型及びその製造方法に関する。
成形金型は、工業製品やその部品を成形加工するときに用いられる。特に、加圧成形のときは、2種或いはそれ以上の金型がお互いに摺動するため、金型に必要とされる条件として、高硬度であること、耐摩耗性に優れていること、表面が平滑であること、摩擦係数が小さいこと、耐食性に優れていること、加圧成形後すぐに成形物が金型から離れる(離型性が良い)こと、耐衝撃性が良いこと等の各種特性が求められる。
このため、従来から金属製成形金型の材料には、合金工具鋼や高速度工具鋼が用いられてきた。しかし、高硬度且つ高活性を有する酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の酸化物粉末又はフェライト磁性粉、希土類磁性粉等の磁性体粉末を加圧成形する成形金型には、合金工具鋼や高速度工具鋼を硬質クロム膜又は窒化チタン膜で保護しても耐摩擦磨耗特性(トライボロジー)が満足できず実用に耐えなかった。このため、前記特殊粉末に対しては、超硬合金が主として用いられてきたが、これでも十分ではなかった。
上記弱点を改善するために、超硬合金からなる基材の表面に、低活性硬質保護膜としてTiやZrなどの炭化物、窒化物及び炭窒化物、並びにAlなどを成膜させることが行われている。
例えば、特開2005−281779公報(特許文献1)では、切削加工用工具、成形金型、摺動部を有する機械部品、人工骨や人工関節などの医療用部品などの部材の硬質保護膜として、Al、Ti、Zrのうちの少なくとも1種の元素の酸化物、又は、Siの炭化物若しくは窒化物からなる皮膜が提案されている。
また、特開2005−169816公報(特許文献2)では、小型薄型レンズ、高密度光学式記録ディスク、プラスチックシートなどの成形用部材、特に成形金型の材料の硬質保護膜として、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)が提案されている。
ここで、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)とは、炭素を主成分とし、ダイヤモンド構造(sp結合)とグラファイト構造(sp結合)の混合物質であり、結晶構造が長距離で無秩序になったアモルファス構造を有している。また、DLCには、炭素に水素などの助剤元素を添加したものも含まれる。従って、DLCは、ダイヤモンドとグラファイトの両方の特徴を有している。即ち、高硬度である、耐摩耗性に優れる、表面が平滑である、摩擦係数が小さい、離型性に優れている、耐薬品性・耐食性に優れている、潤滑効果があるなどの性質をDLCは併せ持っている。
特開2005−281779公報 特開2005−169816公報
前述したように、特開2005−281779公報(特許文献1)では、切削加工用工具、成形金型、摺動部を有する機械部品、人工骨や人工関節などの医療用部品などの部材の硬質保護膜として、Al、Ti、Zrのうちの少なくとも1種の元素の酸化物、又はSiの炭化物若しくは窒化物からなる皮膜が提案されている。しかし、前記保護膜は、成形金型の皮膜に求められる性質の内、硬度が高いという条件を満足しているが、他の条件を十分に満足するものではない。即ち、前記保護膜では、表面が平滑であること、摩擦係数が小さいこと、耐食性に優れていること、離型性が良いこと等の条件は十分に満足されていない。これらの諸条件を満足させる意味では、前記Al、Ti、Zrの酸化物やSiの炭化物若しくは窒化物からなる皮膜よりもDLC膜が適している。
しかし、上記のような優れた特性を持つDLC膜であるが、従来から知られているDLC膜は、残留応力が数GPa以上と非常に大きいため、耐衝撃性において脆弱で、衝撃荷重が作用すると破断し、破砕片が成形品に転移するという欠点を有している。しかも、一部欠落したDLC膜を有した金型で粉体を連続的に成形すると、成形品の表面に前記欠落段差が明瞭に刻印され、全部の成型品が不良品になるという損害が発生する。また、このDLC膜と金型表面との結合力が強固でないため、成形品を金型から脱離させる際にDLC膜が金型表面から剥離するという弱点も有していた。従って従来のDLC膜では、使用法に制限がある。そのため、特開2005−169816公報(特許文献2)の用途例では、小型薄型レンズ、高密度光学式記録ディスク、プラスチックシートなどの成形用部材、特に成形金型に制限されており、衝撃荷重の加わるプレス金型や圧縮金型は、特許文献2には含まれていない。
以上の欠点を克服するためには、用途を制限せずに使用できる従来のDLC膜よりも更に進んだ非晶質炭素系硬質膜の条件を解明し、金属基材の表面に成膜される非活性の硬質保護膜として有効な非晶質炭素系硬質膜及びその製造方法が開発される必要がある。
ここで云う非晶質炭素系硬質膜は、非晶質炭素を主成分とし従来のDLC膜よりも耐衝撃性等の性能が向上したものをいうが、非晶質炭素系硬質膜にDLC膜を含めても良い。
従って、本発明は、剥離しにくく、且つ衝撃荷重の作用するプレス金型や圧縮金型にも適用できる非晶質炭素系硬質膜の所要条件を解明し、この非晶質炭素系硬質膜を金属基材表面の硬質保護膜として使用することにより前記課題を解決し、同時にその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面層が、この金型表面に形成される粗面と、この粗面上に成膜された0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜から少なくとも構成される粉末成形金型である。
本発明の第2の形態は、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面層が、タングステンカーバイド(WC)と前記成形金型を形成する金属元素及び/又は金属合金物の表面層を相互溶解混合後に共晶析出させた混合層と、この混合層上に成膜された0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜から少なくとも構成される粉末成形金型である。
本発明の第3の形態は、前記第2の形態において、前記混合層が、少なくとも前記成形金型の表層にW及びCが熱拡散された傾斜構造を有する傾斜層であり、この傾斜層に粗面が形成された粉末成形金型である。
本発明の第4の形態は、前記第3の形態において、前記成形金型を形成する金属基材が、炭素鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼又はステンレス鋼である鉄系基材であり、前記傾斜層がWC−FeC傾斜層である粉末成形金型である。
本発明の第5の形態は、前記第1〜第4形態のいずれかにおいて、前記傾斜層及び/又は非晶質炭素系硬質膜に炭素、窒素、シリコン、チタン及びフッ素から選ばれた少なくとも2種以上をプラズマイオン注入により添加した粉末成形金型である。
本発明の第6の形態は、前記第1〜第5形態のいずれかにおいて、前記非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000である粉末成形金型である。
本発明の第7の形態は、前記第1〜第6形態のいずれかにおいて、前記非晶質炭素系硬質膜の膜厚が1μm以上20μm以下である粉末成形金型である。
本発明の第8の形態は、前記第1〜第7形態のいずれかにおいて、前記非晶質炭素系硬質膜に存在するピンホールを封口処理した粉末成形金型である。
本発明の第9の形態は、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型の製造方法において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面をショットブラスト法により粗面に加工し、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを用いて、プラズマイオン注入法による、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記粗面に成膜した粉末成形金型の製造方法である。
本発明の第10の形態は、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型の製造方法において、前記金型表面にタングステンカーバイド(WC)を主成分とする電極を近接させ、この電極と前記金型表面間に電圧を印加して前記金型の金属基材と電極基材を相互溶解させる放電加工により熱拡散と相互溶解した混合層が形成され、この加工により少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面に前記混合層を傾斜的に形成し、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを用いて、プラズマイオン注入法による、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記混合層上に成膜した粉末成形金型の製造方法である。
本発明の第11の形態は、前記第9又は第10形態において、前記イオン注入と成膜用ガスは、炭素系ガス、窒素ガス、シリコン含有有機金属ガス、チタン含有有機金属ガス及びフッ素系ガスから選択される2種以上のガスであり、前記非晶質炭素系硬質膜が成膜されると同時に2種以上のイオンが注入される粉末成形金型の製造方法である。
本発明の第12の形態は、前記第9〜第11形態のいずれかにおいて、前記非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000である粉末成形金型の製造方法である。
本発明の第13の形態は、前記第9〜第12形態のいずれかにおいて、前記非晶質炭素系硬質膜の膜厚が1μm以上20μm以下である粉末成形金型の製造方法である。
本発明の第14の形態は、前記第9〜第13形態のいずれかにおいて、前記非晶質炭素系硬質膜に存在するピンホールをフッ素系樹脂で封口処理した粉末成形金型の製造方法である。
本発明者等は、既に基材表面にDLC膜を高密着で厚く成膜すると共に膜内の残留応力を低減させるDLC膜の製造方法を発明し、その詳細を特開2004−323973(特許文献3)として開示している。
特開2004−323973公報
今回更に、粉末成形金型に中間層を介してDLC膜より耐衝撃性等が向上した非晶質炭素系硬質膜を形成し、前記非晶質炭素系硬質膜が、基材に高密着で、剥離しにくく、耐衝撃性があることを確認して本発明を完成させたものである。
本発明の第1の形態によれば、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面層は、この金型表面に形成される粗面と、この粗面上に成膜された0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜から少なくとも構成される粉末成形金型が提供される。前記非晶質炭素系硬質膜の作製においてプラズマイオン成膜法を用いることで、残留応力を0.3GPa以下に抑制することおよび膜硬度を適切な硬度分布とすることで、前記非晶質炭素系硬質膜は柔軟性を付与することができるので突刺状の力が作用しても前記非晶質炭素系硬質膜が損傷を受けなくなり、従来のDLC膜より耐久性、耐衝撃性が向上したものである。前記非晶質炭素系硬質膜を成膜するのは粉末を押圧する部位だけでよいが、成膜プロセスによっては他の部位にも前記非晶質炭素系硬質膜を成膜しても良い。
前記粗面加工により微小な凹凸面が無数に形成され前記粗面と前記非晶質炭素系硬質膜の密着面積が増加することによって非晶質炭素系硬質膜の高結合性、高密着性が実現され、非晶質炭素系硬質膜が金型表面より剥離することが防止できる。
また、本発明者等は、この粗面形成によって金型素材から混合層表面までの硬度分布を作製する非晶質炭素系硬質膜の硬度に傾斜的に近づけること、さらにプラズマイオン注入法を用いて最適なイオン種を注入することで基材と被膜の密着性が格段に良くなることを発見し、前記0.3GPa以下に抑制した残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜と金型表面との間に極めて緩やかな硬度分布と応力分布勾配を意図的に形成することに成功した。
その結果、非晶質炭素系硬質膜が金型表面に強固に結合し剥離防止効果が助長され、総合的に前記粗面と前記非晶質炭素系硬質膜との強結合を実現した。そのため、非晶質炭素系硬質膜本来の特性である高硬度、耐摩耗性等を損なうことなく、高密着で剥離しにくく、耐衝撃性がある非晶質炭素系硬質膜を実現したものである。
本発明の第2の形態によれば、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面層は、タングステンカーバイド(WC)と前記成形金型を形成する金属元素及び/又は金属合金物の表面層を相互溶解混合後に共晶析出させた混合層と、この混合層上に成膜された0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜から少なくとも構成される粉末成形金型が提供される。前記非晶質炭素系硬質膜の残留応力を0.3GPa以下に抑制することにより、前記非晶質炭素系硬質膜は柔軟性を有するので突刺状の力が作用しても前記非晶質炭素系硬質膜が損傷を受けなくなり、従来のDLC膜より耐久性、耐衝撃性が向上したものである。前記非晶質炭素系硬質膜を成膜するのは粉末を押圧する部位だけでよいが、成膜プロセスによっては他の部位にも前記非晶質炭素系硬質膜を成膜しても良い。前記金型中の金属と前記混合層は金属同士が強固に結合し、前記混合層中の炭素やタングステンと前記非晶質炭素系硬質膜を構成する炭素との化学的な相互結合により前記混合層と前記非晶質炭素系硬質膜とが強固に結合し、その結果前記非晶質炭素系硬質膜は前記金型と極めて強固な結合をする。そのため、非晶質炭素系硬質膜本来の特性である高硬度、耐摩耗性等を損なうことなく、高密着で剥離しにくく、耐衝撃性がある非晶質炭素系硬質膜を実現したものである。
非晶質炭素系硬質膜を形成する金属表面を、予め粗面加工するか混合層形成するかの選択は、前記金型表面の形状、その他の条件によって決まり、その条件に最適な選択を行えばよい。本発明は金型表面上に形成された粗面又は混合層の上に、0.3GPa以下の残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を成膜することを特徴とするものである。
本発明の第3の形態によれば、前記混合層は、少なくともこの混合層の表層にW及びCが熱拡散された傾斜構造を有する傾斜層であり、この傾斜層に粗面が形成された粉末成形金型が提供される。傾斜層とは、例えば前記混合層と金型基材の界面が明確でないものをいうが、W及びCが熱拡散されているため前記傾斜層と前記金型基材は強固に結びついている。更に、非晶質炭素系硬質膜と前記傾斜層が粗面を介して強固に結びつくことは、前述の通りである。そのため、前記非晶質炭素系硬質膜と前記金型基材は強固に結合するのである。
本発明の第4の形態によれば、前記粉末成形金型を形成する金属基材は、炭素鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼又はステンレス鋼である鉄系基材であり、前記傾斜層がWC−FeC傾斜層である粉末成形金型が提供される。前記非晶質炭素系硬質膜と前記金型基材は傾斜層を介して強固に結合することは、前述の通りである。特に、前記4種の鋼種は炭素を適量含んでおり、金属基材の主成分であるFeとWCとの溶解によりWC−FeC傾斜層を形成するので、前記傾斜層は前記基材と強固に結合する。その上前記4種の鋼種は、機械加工法が種々研究されているので、金型基材として好適な材料である。
本発明の第5の形態によれば、前記傾斜層及び/又は非晶質炭素系硬質膜に炭素、窒素、シリコン、チタン及びフッ素から選ばれた少なくとも2種以上をプラズマイオン注入により添加した粉末成形金型が提供される。
プラズマイオン注入により注入したイオンにより、非晶質炭素系硬質膜の性質を変えることができる。注入するイオンにより、炭素だと非晶質炭素系硬質膜の高密着化、窒素だと非晶質炭素系硬質膜の内部応力の減少による高密着で剥離しにくく耐衝撃性の向上、シリコンだと非晶質炭素系硬質膜の低摩擦化、チタンだと非晶質炭素系硬質膜の応力緩和と厚膜化、フッ素だと非晶質炭素系硬質膜の耐食性向上・低摩擦化・非粘着性(離型性向上)が図れる。もちろん、注入したイオンは、非晶質炭素系硬質膜を透過して傾斜層に達しても良い。これらを添加しても、非晶質炭素系硬質膜本来の特性である高硬度、耐摩耗性等を損なうことがないのは云うまでもない。
本発明の第6の形態によれば、前記非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000である粉末成形金型が提供される。従来のDLC膜のビッカース硬さHVは3000〜4000と高硬度であり、衝撃荷重が作用すると破砕する危険性があった。それに比べて本形態の非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVは800〜2000と比較的柔軟に制御されており、脆性が改善したため衝撃荷重が作用しても破砕する危険性がなく、高耐久性を有する。更に、上記金属材料の中で硬度が高い高速度工具鋼のビッカース硬さHVが800程度と比べると同程度からそれ以上の硬さを有している。そのため、前記非晶質炭素系硬質膜は、成形金型の皮膜に求められる性質の内、表面硬度が高いという条件を十分満足しているうえ、硬度が高過ぎないため、脆性が改善され耐衝撃性が向上したものである。
本発明の第7の形態によれば、前記非晶質炭素系硬質膜の膜厚が1μm以上20μm以下である粉末成形金型が提供される。前記非晶質炭素系硬質膜は残留応力や硬さを傾斜的に制御して、耐衝撃性の向上を図っている。さらに、残留応力を小さく制御できたことで厚膜化が可能になりピンホール数を低減させることができる。本発明者等は種々実験を重ねた結果、膜厚を5μm以上にすればそのピンホール数は激減するが皆無にすることはできないこと、および応力および硬さ分布の傾斜効果を得るには、膜厚が20μm以下で十分という値を得たものである。
本発明の第8の形態によれば、前記非晶質炭素系硬質膜に存在するピンホールを封口処理した粉末成形金型が提供される。ピンホールが前記非晶質炭素系硬質膜を有した金型で粉体を連続的に成形すると、ピンホール部位から亀裂を生じたりまた錠剤を構成する薬剤が浸入し糸状腐食を助長かつ誘発し部分剥離に至らしめる。この剥離膜は錠剤に混入して異物となり、またその剥離痕跡は成形品の表面に前記欠落段差が明瞭に刻印され、全部の成型品が不良品になるという損害が発生することは、前述したとおりである。これを未然に予防するため、ピンホールを封口処理するものである。
本発明の第9の形態によれば、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型の製造方法において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面をショットブラスト法により粗面に加工し、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを用いて、プラズマイオン注入法による、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記粗面に成膜した粉末成形金型の製造方法が提供される。
非晶質炭素系硬質膜の残留応力を0.3GPa以下に調整するためには、炭化水素系ガスの選択とイオン注入と成膜時の負の高電圧パルス電圧の設定が必要である。前記炭化水素系ガスとして例えばアセチレンガスを用いると、高電圧パルスの設定電圧を高くするとイオン注入がなされるとともに膜堆積もなされ、かつ残留応力は低くなるため、前記残留応力を0.3GPa以下にするためには、高電圧パルスの設定電圧を10kV以上〜20kVの範囲にする必要がある。さらに炭化水素系ガスとして例えばトルエンガスを用いると、非晶質炭素系硬質膜の残留応力は負の高電圧パルスの設定電圧1〜7kVにて0.3GPa程度以下が実現できる。これら炭化水素系ガスの選択とパルス電圧の設定で、本発明者等は残留応力が低く耐衝撃性が向上した非晶質炭素系硬質膜の成膜を実現したものである。
更に、粉末成形金型に用いる基材としては、炭素鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼又はステンレス鋼を用いることができる。前記粗面により、前記0.3GPa以下の残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜と金型表面との間に極めて緩やかな応力勾配を形成させることができる。更に、粗面加工した金属材料では、本発明の非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000、粗面処理後の金属表面のビッカース硬さHVが1000程度、例えば高速度工具鋼のビッカース硬さHVが800程度であるので、前記非晶質炭素系硬質膜と前記金型表面との間に極めて緩やかな硬さ勾配を形成させることができる。緩やかな応力勾配及び緩やかな硬さ勾配により、前記非晶質炭素系硬質膜と前記金型表面とが強固に結合する。更に、本発明に係る製造方法では、前記複合プロセスにより、非晶質炭素系硬質膜の残留応力分布と硬度分布を自在に調整できるから、柔らかい金属基材に高密着且つ硬度分布を持たせた非晶質炭素系硬質膜を成膜することができる。
本発明の第10の形態によれば、粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型の製造方法において、前記金型表面にタングステンカーバイド(WC)を主成分とする電極を近接させ、この電極と前記金型表面間に電圧を印加して前記金型の金属基材と電極基材を相互溶解させる放電加工により熱拡散と相互溶解した混合層が形成され、この加工により少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面に前記混合層を傾斜的に形成し、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを用いて、プラズマイオン注入・成膜法による、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記混合層上に成膜した粉末成形金型の製造方法が提供される。
混合層を形成した粉末成形金型の基材としては、炭素鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼又はステンレス鋼を用いることができる。前記金型中の金属と前記混合層は金属同士が強固に結合に加え、前記混合層中の炭素やタングステンと前記非晶質炭素系硬質膜を構成する炭素との強固な化学結合により前記混合層と前記非晶質炭素系硬質膜とが強固に結合し、その結果前記非晶質炭素系硬質膜は前記金型と極めて強固な結合をする。
このように混合層を形成した粉末成形金型では、前記非晶質炭素系硬質膜の前記金属材料への高結合性、高密着性が実現され、非晶質炭素系硬質膜本来の特性である高硬度、耐摩耗性等を損なうことなく、前記非晶質炭素系硬質膜が前記金型表面より剥離することが防止でき、耐衝撃性が向上する。
本発明の第11の形態によれば、前記イオン注入と成膜用ガスは、炭素系ガス、窒素ガス、シリコン含有有機金属ガス、チタン含有有機金属ガス及びフッ素系ガスから選択される2種以上のガスであり、前記非晶質炭素系硬質膜が成膜されると同時に2種以上のイオンが注入される粉末成形金型の製造方法が提供される。
非晶質炭素系硬質膜に、炭素、窒素、シリコン、チタン及びフッ素をイオン注入する効果は前述した通りである。非晶質炭素系硬質膜の成膜と各種のイオン注入を同時に行うことができるので、極めて効率的に意図的に機能設計された非晶質炭素系硬質膜を成膜することができるので、大量生産に最適である。
本発明の第12の形態によれば、前記非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000である粉末成形金型の製造方法が提供される。従来のDLC膜のビッカース硬さHVは3000〜4000であり、衝撃荷重が作用すると破砕する危険性があった。それに比べて本形態の非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVは800〜2000と比較的低く設定されており、衝撃荷重が作用しても破砕する危険性がなく、高耐久性を有する。更に、上記金属材料の中で硬度が高い高速度工具鋼のビッカース硬さHVが800程度と比べると同程度以上の硬さを有している。そのため、前記非晶質炭素系硬質膜は、成形金型の皮膜に求められる性質の内、硬度が高いという条件を十分満足しているうえ、脆性が改善し耐衝撃性が向上したため、取り扱いが容易になり、製造・運搬・保管時の作業員のストレスを低減できる。
本発明の第13の形態によれば、前記非晶質炭素系硬質膜の膜厚が1μm以上20μm以下である粉末成形金型の製造方法が提供される。前記非晶質炭素系硬質膜は残留応力や硬さを傾斜的に制御して、耐衝撃性の向上を図っている。さらに、残留応力を小さく制御できたことで厚膜化が可能になりピンホール数を低減させることができる。本発明者等は種々実験を重ねた結果、膜厚を5μm以上にすればそのピンホール数は激減するが皆無にすることはできないこと、および応力および硬さ分布の傾斜効果を得るには、膜厚が20μm以下で十分という値を得たものである。このため、耐衝撃性が向上し、金型基材を十分保護できる非晶質炭素系硬質膜が製造できる。
本発明の第14の形態によれば、前記非晶質炭素系硬質膜に残存するピンホールをフッ素系樹脂で封口処理した粉末成形金型の製造方法が提供される。ピンホールによる不具合及びその対策の必要性は、前述の通りである。フッ素系樹脂で封口処理をすると、非晶質炭素系硬質膜の特長を損なうことなく、離型性を付与することができる。
以下に、本発明に係る粉末成形金型の非晶質炭素系硬質膜及びその製造方法の実施例を図面及び表に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る粉末成形金型が複数配設された錠剤製造装置の概略構成図である。この実施例では、残留応力が0.3GPa以下に制御された非晶質炭素系硬質膜が被覆された粉末成形金型により、医薬品やサプリメント等の錠剤を製造する製造装置を示す。前記粉末成形金型は、上杵2、下杵4及び臼状部6から構成され、以下にこの粉末成形金型が複数配設された錠剤製造装置の製造工程を説明する。原料8がホッパ10からフィードシュー12に入れられ、矢印方向に、フィードシュー12及び臼状部6が回転卓20により、下杵4が第1圧力調整軌道14に従い夫々移動する間に、原料8は所定量が臼状部6及び下杵4に残るように調整される。回転卓20に従い臼状部6が移動する間に、下杵4が第2圧力調整軌道16に従い移動、上下することにより、所定量の原料8が臼状部6及び下杵4に残るように微調整され、さらに原料8が上杵2、臼状部6、下杵4で形状、圧力を調整される。下杵4が予圧下ロール22により、上杵2が予圧上ロール26により夫々原料8を予圧した後、下杵4が本圧下ロール24により、上杵2が本圧上ロール28により夫々原料8を加圧成形する。出来上がった錠剤30は、第3圧力調整軌道18に従い下杵4が動くことにより臼状部6から押し出され、スクレーパ32で所定の場所に集められる。
図1に示した錠剤製造装置では、残留応力が0.3GPa以下に制御された非晶質炭素系硬質膜を被覆した粉末成形金型が複数配列されることにより、高速で連続的に錠剤を製造することができ、多量の錠剤を高効率に製造する能力を有している。本発明に係る非晶質炭素系硬質膜は、優れた耐久性、耐衝撃性、離型性を有し、この非晶質炭素系硬質膜が被覆された粉末成形金型を配設した錠剤製造装置を用いることにより、高速で稼動できだけでなく、長時間連続的に稼動することができる。これは、本非晶質炭素系硬質膜の特性である高硬度、耐摩耗性等を有すると共に、残留応力が0.3GPa以下に制御されることにより高密着で剥離し難いためであり、以下に前記錠剤製造装置に配設された粉末成形金型及びその製造方法について詳述する。
図2は、本発明に係る粉末成形金型の構成概略図である。前述のように、図1の粉末成形金型は、上杵2、下杵4及び臼状部6から構成され、非晶質炭素系硬質膜が原料粉末を押圧する上杵先端部2a及び下杵先端部4aに形成されている。更に、上杵先端部2a及び下杵先端部4aが挿入され、これらと接触する臼状部内面6aに成膜されている。本発明に係る非晶質炭素系硬質膜には、硬度が高いこと、表面が平滑であること、摩擦係数が小さいこと及び耐食性に優れていることと共に、錠剤が加圧成形後すぐに金型から離れる(離型性が良い)ことがある。即ち、非晶質炭素系硬質膜と他の材料(金属や成形物)間の摺動性があることなどから、磨耗による消耗が小さく、粉末成形金型の長寿命化を図ることとができ、メンテナンス(補修や粉末成形金型の交換等)を頻繁に行う必要がなく、本発明に係る粉末成形金型を有する錠剤製造装置等のランニングコストを低減化することができる。
図3は、金型基材96上にWC−FeC傾斜層98を設け、更に非晶質炭素系硬質膜100を成膜したときの概略構成図である。金型基材96とWC−FeC傾斜層98の境界面は不明確であり、金属基材96とWC−FeC傾斜層98は強固に結びついている。非晶質炭素系硬質膜100はWC−FeC傾斜層98に強固に結びつくのは前述の通りであり、結果として金型基材96に強固に結びつくのである。そのため、非晶質炭素系硬質膜100が金型基材96から剥離しなくなる。
図4は、本発明に係る粉末成形金型における加圧成形(打錠)の工程図である。この図は、図1に示した錠剤製造装置において、本発明に係る粉末成形金型の加圧成形部で錠剤が成形される工程を簡略化したものである。(4A)に示すように、第1の工程では、下杵先端部4aが下孔から挿入された臼状部6内に所定量の原料8が充填される。(4B)に示すように、更に上杵先端部2aが臼状部6内に挿入されて加圧成形し、(4C)に示すように、次に下杵4が上昇し、成形された錠剤30が押し出される。従来のDLC膜が被膜された粉末成形金型では、上述のような工程を繰返すことにより、DLC膜が金型表面より剥離する惧れがあった。前述のように、本発明に係る非晶質炭素系硬質膜は、金型表面に強固に結合して剥離が防止される。従って、加圧成形により錠剤30を長時間連続的に製造することができる。
図5は、金型表面を粗面加工し非晶質炭素系硬質膜を成膜するときの工程図である。金型基材を設置(S1)した後、ショットブラスト法等で少なくとも粉末を押圧する部位の金型表面層を粗面に加工する(S2)。その後、前記金型基材を真空容器に設置し、前記容器を真空にした後、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを前記容器に導入する(S3)。前記ガス群を用いて、プラズマイオン注入法による、イオン注入と成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって(S4)、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記粗面に成膜する(S5)。残留応力が低く、成膜とイオン注入を同時に行うため、従来のDLC膜に比べて、剥離しにくく耐摩耗性、離型性などが向上した非晶質炭素系硬質膜が量産できる。使用目的により改善させる性質が決まるが、これに応じて注入するイオンの種類も決まる。
以下に、上述の非晶質炭素系硬質膜を被膜する成膜装置について詳述する。
図6は本発明に係る非晶質炭素系硬質膜の成膜装置の構成概略図である。この成膜装置は、本発明者等が開発したものであり、詳細は前述の特許文献3に記載されている。本発明者等は、鋭意研究の結果、この成膜装置の設定を調整して非晶質炭素系硬質膜の残留応力が0.3GPa以下に制御する方法を開発するに到った。前記成膜装置には、基材34を収容するチェンバー36と、基材34の所定部だけに非晶質炭素系硬質膜を成膜するためのカバー35と、チェンバー36の下壁36aに接続されたガス供給用パイプ38と、ガス供給用パイプ38の先端寄り部分に取り付けられたガス導入用バルブ40が設けられている。更に、前記チェンバー36の側壁36bには、排気用パイプ42が接続され、この排気用パイプ42の先端寄り部分に排気用バルブ44に取り付けられ、この排気用パイプ42の基端側にはチェンバー36内を真空にするための真空装置60が接続されている。前記ガス供給用パイプ38の基端側にはガス供給槽62が接続されており、ガス供給槽62内には非晶質炭素系硬質膜成膜に必要な種々のガスが個別に貯蔵されている。また、ガス供給槽62からのガス供給はマスフローコントロール(図示せず)で行う。
前記チェンバー36の上壁46には、導体48を介して基材34に接続されたフィードスルー50が取り付けられている。前記フィードスルー50の上部に接続された重畳装置52には、プラズマ発生用電源54と高電圧パルス発生用電源56が接続され、CPU58により、プラズマ発生用電源(高周波電源)54及び高電圧パルス発生用電源56を制御することができる。このプラズマ発生用電源54は、CPU58による制御に基づいて基材34に高周波パルスを印加するものであり、前記高電圧パルス発生用電源56は、CPU58による制御に基づいて基材34に負の高電圧パルスを印加するものである。 また、図6に示す非晶質炭素系硬質膜成膜装置は、図7及び図9に示す工程にも使用される。
図7は、金型表面を放電加工し非晶質炭素系硬質膜を成膜するときの工程図である。金型基材を設置(S11)した後、放電加工により(S12)タングステンカーバイド(WC)と前記粉末成形金型を形成する金属元素及び/又は金属合金物の表面層を相互溶解混合させ共晶析出させた混合層を形成する(S13)。その後、前記金型基材を真空容器に設置し、前記容器を真空にした後、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを前記容器に導入する(S14)。前記ガス群を用いて、プラズマイオン注入法による、イオン注入と成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって(15)、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記粗面に成膜する(S16)。残留応力が低く、成膜とイオン注入を同時に行うため、従来のDLC膜に比べて、剥離しにくく耐摩耗性、離型性などを向上させた非晶質炭素系硬質膜が量産できる。使用目的により改善させる性質が決まるが、これに応じて注入するイオンの種類も決まるのは、前述の通りである。
なお、前記非晶質炭素系硬質膜を成膜するのは粉末を押圧する部位だけでよいが、成膜プロセスによっては他の部位にも前記非晶質炭素系硬質膜を成膜しても良い。
図8は、金型表面を放電加工するときの工程図である。加工油中で前記金型基材72にWCを主成分とする電極70を数μmまで近づけ、高電圧で放電させる(8A)。放電による熱のため、金型基材72と電極70がともに溶解し、金型基材金属成分と電極のWCが共晶析出された混合層74が金型基材72の表層に形成される(8B)。この混合層74は金型基材72との界面が不明確な傾斜層であるため、金型基材72と強固に結びついている。
図9は、金型表面を放電加工しショットブラスト後、非晶質炭素系硬質膜を成膜するときの工程図である。図7との違いは、放電加工によりタングステンカーバイド(WC)と前記粉末成形金型を形成する金属元素及び/又は金属合金物の表面層を相互溶解混合させ共晶析出させた混合層を、ショットブラスト加工する工程(S24)が追加されたことである。残りの工程は、図7と図9で共通である。前記工程を追加することで、前記混合層と非晶質炭素系硬質膜が更に強く結合すのは、前述の通りである。
そのため、従来のDLC膜に比べて、剥離しにくく耐摩耗性などが向上した非晶質炭素系硬質膜が量産できることや、使用目的により改善させる性質が決まるが、これに応じて注入するイオンの種類も決まるのは、前述の通りである。
なお、本案件は前記非晶質炭素系硬質膜を成膜するのは粉末を押圧する部位につき主張しているが、金型の摺動面である胴体側面周囲、カム摺動面である金型頂部などの部位にも前記非晶質炭素系硬質膜を成膜しても良い。
図10は、本発明に係る非晶質炭素系硬質膜の性能を調べる各試験金型の先端面模視図である。図2に示した粉末成形金型の表面に被覆された非晶質炭素系硬質膜は、前記成膜装置を用いて非晶質炭素系硬質膜が成膜されており、図10の(10A)に示すように、図2の上杵先端部2a及び下杵先端部4aと同一形状に形成された直径8mmの試験金型88、90を作製している。棒状先端部88、90の表面には、それぞれ、非晶質炭素系硬質膜88a及び89aが成膜されている。(10B)に示すように、杵と臼の試験金型88、90と打錠試験機を用いて図4と同様の動作を繰り返し、各試験金型表面に成膜された非晶質炭素系硬質膜の耐久性能を調べた。
各試験金型の材料は、夫々炭素鋼(JIS S50C)、合金工具鋼(JIS SKD11)、及び高速度工具鋼(JIS SKH51)である。比較のために、従来から金型材として標準的に使用されている硬質クロムメッキを施した合金工具鋼(JIS SKD11)及び超硬合金でも打錠試験を行った。
各材質の試験金型の先端部表面は、平均粒子径が約35μmの炭化ケイ素(SiC)粉末により、5秒間ショットブラスト処理を施している。
ショットブラストによる粗面加工を施すことによって、ビッカース硬さHVを1000程度にすることができ、皮膜する非晶質炭素系硬質膜の硬度に相当する値となる。
また、ショットブラストによる粗面加工処理後における各試験片表面近傍のX線残留応力測定の結果、各試験片表面近傍に存在する残留応力は、約0.2GPaから約1GPaまで増大することがわかり、処理表面近傍に大きな残留応力を付与する。このため、プラズマイオン注入・成膜法におけるイオン注入層および基材と皮膜する非晶質炭素系硬質膜の界面下地処理層の応力値と近似させることができ、前記粗面加工により、0.3GPa以下の残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜と前記金型表面との間に極めて緩やかな応力勾配を形成させることができる。
ショットブラストによる粗面加工処理後、前記成膜装置を用いて、前記各材質の試験金型88、90の表面に約2μmの膜厚の非晶質炭素系硬質膜を成膜した。
以下に、図6に示した成膜装置を用いた非晶質炭素系硬質膜の製造方法と、この非晶質炭素系硬質膜の試験結果について詳述する。
[ステップ1]
真空装置60によりチェンバー36内を真空状態とした後、該チェンバー36内にガス供給槽62よりアルゴンと水素との混合ガスを導入する。その後、パルス幅100μsの高周波パルスを前記棒状試験片88、90に印加した後、その印加中や印加終了後から50μsまでの間に、パルス幅10μsの負の高電圧パルスを10kvの電圧で前記棒状試験片88、90に一回印加することを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行うことにより、各試験金型の表面調整を行った。
[ステップ2の1]
次に、ガス供給槽62よりチェンバー36内にメタンガスをキャリアガスとしてテトライソプロポキシチタンを、補助ガスとして水素、窒素を適量導入した。その後、パルス幅30μsの高周波パルスを前記各試験金型88、90に印加した後、その印加直後から40μsまでの間に、パルス幅10μsの負の高電圧パルスを15kvの電圧で前記試験金型88、90に一回印加することを約1000回/秒繰り返し、この操作を約30分間行った。
[ステップ2の2]
更に、前記ステップ2の1における負の高電圧パルス電圧を、パルス幅30μsの高周波パルスを各試験片に印加した後、その印加終了から100μsの後において、パルス幅10μsの負の高電圧パルスを10kvの電圧で各試験金型に一回印加することを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約10〜50分間行う。
[ステップ3の1]
次に、ガス供給槽62よりチェンバー36内にヘキサメチルジシロキサンと水素との混合ガスを導入した。その後、パルス幅30μsの高周波パルスを各試験金型に印加した後、その印加終了直後から40μsまでの間に、パルス幅3μsの負の高電圧パルスを20kvの電圧で前記各試験金型に一回印加することを約1000回/秒繰り返し、そして、この操作を約10〜30分間おこなう。
[ステップ3の2]
次に、ガス供給槽62よりチェンバー36内にヘキサメチルジシロキサンとメタン及びアセチレンの混合ガスを導入した。その後、パルス幅30μsの高周波パルスを各試験金型に印加した後、その印加直後から40μsまでの間に、パルス幅10μsの負の高電圧パルスを5kvの電圧で各試験金型に一回印加することを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約10〜50分間行う。以上の工程(ステップ)により、炭素と結合する上で好ましい表面状態が各試験片に形成される。
[ステップ4の1]
前記ステップ3の2とオーバーラップして、非晶質炭素系硬質膜の残留応力を0.3GPa以下に調整するために、ガス供給槽62よりチェンバー36内に非晶質炭素系硬質膜の主原料となる炭化水素系ガスとして、トルエン、メタン及びアセチレンの混合ガス、および補助ガスとして窒素、シリコン、フッ素原子を含む有機ガスを適量を時系列に制御しながら導入し、パルス幅30μsの高周波パルスを各試験片に印加した後、その印加終了直後から100μs後において、パルス幅10μsの高電圧パルスを15kvの電圧で各試験片に一回印加することを約4000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行う。
[ステップ4の2]
その後、負の高電圧パルスの印加電圧を15kvの電圧から、10〜3kvの範囲に暫減して、前記ステップ4の1と同様の操作を約60〜1800分間行い、所望の膜厚に調整する。
前記残留応力を0.3GPa以下にするためには、負の高電圧パルスの設定電圧を3〜10kVにする必要がある。炭化水素系ガスおよび補助ガスの選択とパルス電圧の設定でイオン注入量と成膜の比率を最適に制御することで、本発明者等は残留応力が低く耐衝撃性が向上した、本発明に係る非晶質炭素系硬質膜の成膜を実現したものである。
上記のステップを経て作製され、ナノインデンテーション試験により求めた前記本発明に係る非晶質炭素系硬質膜の表面部の硬さは、約21GPaという好適な値を有している。また、X線残留応力測定により各試験片の表面近傍に存在する残留応力を解析した結果、前記非晶質炭素系硬質膜の残留応力は、0.1GPa程度に低減されている。
このようにして、この非晶質炭素系硬質膜表面域からショットブラストによる粗面加工が施された混合層および金型基材までに亘って極めて緩やかな応力勾配と硬さ勾配が形成される。更に、前記非晶質炭素系硬質膜を成膜後に、各試験片の表面のピンホールを封口するために、四フッ化エチレン樹脂を前記非晶質炭素系硬質膜に薄く均一に塗布した後加熱乾燥する。
上記のようにして作製した図10の前記各試験金型88、90と、従来から金型材として標準的に使用されている硬質クロムメッキを施した合金工具鋼(JIS SKD11)及び超硬合金で作製した各試験金型と基準金型を用い、90%の酸化マグネシウムを含有する250mgの試験粉末94を加重19N(受圧面積50×10−6mm、圧力3.8×10Pa)、1分あたり50個の成形速度で成形する打錠試験機で性能比較試験を実施した。(10B)に打錠試験図として打錠試験時の概略を示す。前記各試験金型88、90の試験粉末94と接する面の表面粗さを随時観察し、前記表面の算術平均粗さ(Ra)が試験開始前の算術平均粗さ(Ra)の10倍に達した時点を各試験金型の寿命とみなし、試験粉末成形における打錠性能比較試験を行った。
前記性能比較試験の結果を下記の表1に示す。本発明に係る非晶質炭素系硬質膜により被覆された各金属基材からなる粉末成形金型は、従来の硬質クロムメッキを施した合金工具鋼よりも約7倍〜9倍程度寿命が長くなっており、高価で且つ加工し難い超硬合金基材よりも長寿命化が実現されている。即ち、本発明にて成膜される非晶質炭素系硬質膜の皮膜手法により、非晶質炭素系硬質膜の剥離が防止され、安価で長寿命であり、非晶質炭素系硬質膜本来の特性である高硬度、耐摩耗性等に加え耐衝撃性にも優れる粉末成形金型を提供できることが実証された。
Figure 0004870451
さらに、本発明に係る粉末成形金型の各試験片表面に混合層を形成して、この混合層上に0.3GPa以下の残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を成膜した場合の性能比較について以下に詳述する。
金属表面に粗面加工を施した場合の各試験金型と形状、材料とも同じ各試験金型を用いて、打錠比較試験を行った。炭素鋼(JIS S50C)、合金工具鋼(JIS SKD11)、及び高速度工具鋼(JIS SKH51)で夫々作製した前記各試験金型88、90の表面にタングステンカーバイド電極を用いて油中で微細放電加工処理をした。X線回折及びX線残留応力測定の結果、前記各試験片表面にはタングステンカーバイドと前記試験金型の表層を相互溶解混合後に共晶析出させた混合層が形成され、前記混合層には約0.8GPaの残留応力が存在した。更に、この混合層が被覆された金型に前記成膜装置を用いて、前述のステップ1からステップ4に従い、混合層形成後の各試験金型88、90の表面に約2μmの膜厚の非晶質炭素系硬質膜を成膜した。
ナノインデンテーション試験により求めた前記非晶質炭素系硬質膜の硬さは、前回試験と同様約21GPaであった。
また、X線残留応力測定により前記棒状試験片88、90の表面近傍に存在する残留応力を解析した結果、前記非晶質炭素系硬質膜の残留応力は、0.1GPa程度であった。
前述のように、混合層の残留応力は約0.8GPaであり、非晶質炭素系硬質膜と同じオーダーの残留応力に調整され、残留応力の急激な変化が抑制されている。前記非晶質炭素系硬質膜膜を成膜後に、前記棒状試験片88、90の表面のピンホールを封口するために、四フッ化エチレン樹脂を前記非晶質炭素系硬質膜に塗布後加熱乾燥した。
上記のようにして作製した前記各試験金型88、90と従来から金型材として標準的に使用されている硬質クロムメッキを施した合金工具鋼(JIS SKD11)及び超硬合金で作製した各試験金型92を用い、90%の酸化マグネシウムを含有する250mgの試験粉末94を加重19N(受圧面積50×10−6mm、圧力3.8×10Pa)、1分あたり50個の成形速度で成形する性能比較試験を実施した。(10B)に打錠試験として打錠試験時の概略を示す。前記各試験金型88、90の試験粉末94と接する面の表面粗さを随時観察し、前記表面の算術平均粗さ(Ra)が試験開始前の算術平均粗さ(Ra)の10倍に達した時点を各試験金型の寿命とみなし、試験粉末成形における打錠性能比較試験を行った。
前記性能比較試験の結果を下記の表2に示す。これにより、本発明にかかわる非晶質炭素系硬質膜を用いることにより、高価で加工が困難な超硬合金基材より同程度か又はそれ以上の寿命を有する粉末成形金型が得られている。更に、非晶質炭素系硬質膜本来の特性である高硬度、耐摩耗性等と共に、金型からの剥離が防止され、耐衝撃性にも優れた粉末成形金型を提供できることが実証されている。これは、混合層を形成した金属材料では、混合層中のタングステンと前記金属材料中の金属との強固な結合に加え、前記混合層に含有される炭素が前記非晶質炭素系硬質膜中の炭素と強固に結合することに起因している。その結果、混合層を形成した場合、非晶質炭素系硬質膜が強固に結合する。緩やかな応力勾配及び金属同士、炭素同士の強固な結合により、前記非晶質炭素系硬質膜と前記金型表面とが強固に結合する。更に、前述のように、混合層と非晶質炭素系硬質膜とが同じオーダーの残留応力に調整されていることも、剥離防止効果を有している。
Figure 0004870451
さらに、非晶質炭素系硬質膜の残留応力と耐衝撃性の関係を調べる実験を行った。合金工具鋼(JIS SKD11)で作製した各試験金型を、上記と同様にショットブラスト処理し、非晶質炭素系硬質膜を成膜した。前記棒状試験片88、90を1組とし、各組の前記非晶質炭素系硬質膜の残留応力をパルス電圧の設定により、3GPa、2GPa、1GPa、0.3GPa及び0.1GPaに設定した以外のショットブラスト処理と非晶質炭素系硬質膜成膜条件は、上記と同じである。試験前の前記非晶質炭素系硬質膜の様子を、目視及び実体顕微鏡で観測し、キズ、剥離等がないことを確認した。
これら5種の残留応力を有する5組の各試験金型を用い、90%の酸化マグネシウムを含有する250mgの試験粉末94を加重19N(受圧面積50×10−6mm、圧力3.8×10Pa)、1分あたり50個の成形速度で2分間成形する性能比較試験を実施した。試験後の前記非晶質炭素系硬質膜の様子を、目視及び実体顕微鏡で観測し、◎〜××で判定した結果を表3に示す。この結果より、非晶質炭素系硬質膜の残留応力が低いほど耐衝撃性があり、非晶質炭素系硬質膜の残留応力を0.3GPa以下に抑制した場合、金型表面との間に極めて緩やかな応力勾配が形成され、非晶質炭素系硬質膜が金型表面に強固に結合し剥離防止効果が増強されることが実証されている。
Figure 0004870451
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明に係る非晶質炭素系硬質膜を使用した粉末成形金型は、従来から金型材として使用されている硬質クロムメッキを施した合金工具鋼(JIS SKD11)及び超硬合金を用いた粉末成形金型よりも長寿命で、且つ安価である。DLC膜の特長である高硬度である、耐摩耗性に優れる、表面が平滑である、摩擦係数が小さい、離型性に優れている、耐薬品性・耐食性に優れている、摺動性があるなどの性質を持っているのは当然のことである。
また、従来からDLC膜の欠点とされてきた耐衝撃性も、長時間の比較試験により十分満足することが証明された。そのうえ、粉末成形金型に必要とされる前記性質はすべて有しているので、本発明に係わる非晶質炭素系硬質膜は、粉末成形金型と保護膜として最適である。
本発明に係る非晶質炭素系硬質膜を皮膜した粉末成形金型を用いた錠剤製造装置の概略構成図である。 本発明に係る非晶質炭素系硬質膜を皮膜した粉末成形金型の一例の全体図である。 傾斜層を介して本発明に係る非晶質炭素系硬質膜を成膜した基材の概略構成図である。 本発明に係る非晶質炭素系硬質膜を皮膜した粉末成形金型を用いた加圧成形(打錠)工程図である。 金型表面を粗面加工し非晶質炭素系硬質膜を成膜するときの工程図である。 非晶質炭素系硬質膜を形成するための製造装置の一例を示す正面図である。 金型表面を放電加工し非晶質炭素系硬質膜を成膜するときの工程図である。 金型表面を放電加工するときの工程図である。 金型表面を放電加工、ショットブラスト加工し非晶質炭素系硬質膜を成膜するときの工程図である。 本発明に係る非晶質炭素系硬質膜の試験装置の概略図である。
符号の説明
2 上杵
2a 上杵先端部
4 下杵
4a 下杵先端部
6 臼状部
6a 臼状部内面
8 原料
10 ホッパ
12 フィードシュー
14 第1圧力調整軌道
16 第2圧力調整軌道
18 第3圧力調整軌道
20 回転卓
22 予圧下ロール
24 本圧下ロール
26 予圧上ロール
28 本圧上ロール
30 錠剤
32 スクレーパ
34 基材
35 カバー
36 チェンバー
36a チェンバー下壁
36b チェンバー側壁
38 ガス供給用パイプ
40 ガス導入用バルブ
42 排気用パイプ
44 排気用バルブ
46 チェンバー上壁
48 導体
50 フィードスルー
52 重畳装置
54 プラズマ発生用電源
56 高電圧パルス発生用電源
58 CPU
60 真空装置
62 ガス供給槽
70 電極
72 金型基材
74 混合層
88 試験金型
88a 非晶質炭素系硬質膜
90 試験金型
90a 非晶質炭素系硬質膜
92 開孔円板
94 試験粉末
96 基材
98 傾斜層
100 非晶質炭素系硬質膜

Claims (12)

  1. 粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型において、少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面層が、タングステンカーバイド(WC)と前記成形金型を形成する金属元素及び/又は金属合金物の表層を相互溶解混合後に共晶析出させた混合層と、この混合層上に成膜された0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜から少なくとも構成され、前記混合層は、前記金型表面にタングステンカーバイド(WC)を主成分とする電極を近接させ、この電極と前記金型表面間に電圧を印加して前記金型の金属基材と電極基材を相互溶解させる放電加工により熱拡散と相互溶解して形成されることを特徴とする粉末成形金型。
  2. 前記混合層は、少なくとも前記成形金型の表層にW及びCが熱拡散された傾斜構造を有する傾斜層であり、この傾斜層に粗面が形成される請求項に記載の粉末成形金型。
  3. 前記成形金型を形成する金属基材は、炭素鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼又はステンレス鋼である鉄系基材であり、前記傾斜層がWC−FeC傾斜層である請求項に記載の粉末成形金型。
  4. 前記傾斜層及び/又は非晶質炭素系硬質膜に炭素、窒素、シリコン、チタン及びフッ素から選ばれた少なくとも2種以上をプラズマイオン注入により添加した請求項1〜のいずれかに記載の粉末成形金型。
  5. 前記非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000である請求項1〜のいずれかに記載の粉末成形金型。
  6. 前記非晶質炭素系硬質膜の膜厚が1μm以上20μm以下である請求項1〜のいずれかに記載の粉末成形金型。
  7. 前記非晶質炭素系硬質膜に存在するピンホールを封口処理した、請求項1〜のいずれかに記載の粉末成形金型。
  8. 粉末を金型により押圧して所定形状に成形する粉末成形金型の製造方法において、前記金型表面にタングステンカーバイド(WC)を主成分とする電極を近接させ、この電極と前記金型表面間に電圧を印加して前記金型の金属基材と電極基材を相互溶解させる放電加工により熱拡散と相互溶解した混合層が形成され、この加工により少なくとも前記粉末を押圧する部位の金型表面に前記混合層を傾斜的に形成し、少なくとも1以上の炭化水素系ガスと有機金属系ガスを用いて、プラズマイオン注入法による、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、0.3GPa以下の低い残留応力を有する非晶質炭素系硬質膜を前記混合層上に成膜したことを特徴とする粉末成形金型の製造方法。
  9. 前記イオン注入と成膜用ガスは、炭素系ガス、窒素ガス、シリコン含有有機金属ガス、チタン含有有機金属ガス及びフッ素元素含有ガスから選択される2種以上のガスであり、前記非晶質炭素系硬質膜が成膜されると同時に2種以上のイオンが注入されて膜内に混在する請求項に記載の粉末成形金型の製造方法。
  10. 前記非晶質炭素系硬質膜のビッカース硬さHVが800〜2000である請求項8又は9に記載の粉末成形金型の製造方法。
  11. 前記非晶質炭素系硬質膜の膜厚が1μm以上20μm以下である請求項8〜10のいずれかに記載の粉末成形金型の製造方法。
  12. 前記非晶質炭素系硬質膜に存在するピンホールをフッ素系樹脂で封口処理した、請求項8〜11のいずれかに記載の粉末成形金型の製造方法。
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