JPH06293954A - 摺動材料及びその製造方法 - Google Patents

摺動材料及びその製造方法

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JPH06293954A
JPH06293954A JP10376393A JP10376393A JPH06293954A JP H06293954 A JPH06293954 A JP H06293954A JP 10376393 A JP10376393 A JP 10376393A JP 10376393 A JP10376393 A JP 10376393A JP H06293954 A JPH06293954 A JP H06293954A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 少なくともCrN を含有する窒化クロム系皮膜
を、PVD法によりCr及びNを混合した気相と基材とを
接触させることにより、基材上に形成させ、その皮膜の
破断面結晶が基材表面から皮膜表面に向って柱状の形態
にあり、皮膜が1.5〜20%の空孔率を有し、かつ単一
相で摺動面に平行な(111)面が方位配向しているよ
うに形成させた窒化クロム系皮膜を有する摺動材料及び
その製造方法。 【効果】 従来から使用されている皮膜に比し、皮膜の
耐剥離性、耐摩耗性、耐焼き付き性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CrN を主成分とし、Cr
2Nを含有してなる窒化クロム系皮膜を有する耐摩耗性お
よび耐焼き付き性に優れた摺動材料及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば自動車のエンジン部
品、各種機械部品などの摺動部には摺動特性に優れた皮
膜を表面処理により形成した摺動部品が使用されてい
る。従来より行われている表面処理方法には、窒化処
理、クロムめっき処理、モリブデン溶射処理などの方法
がある。しかし、近年摺動部品の使用条件が高速度化か
つ高荷重化するに伴い、部品に要求される摺動特性はま
すます過酷なものとなり、従来の表面処理では対応でき
ない場合が生じてきて、更に優れた耐摩耗性及び耐焼付
性を有する皮膜が望まれていた。
【0003】このような要請に対し、最近PVD(Phys
ical Vapor Deposition)法により摺動部材の摺動面に金
属窒化物や金属炭化物等の皮膜を被覆することが提案さ
れている。TiN 、TiC 、CrN 等のPVD皮膜は、優れた
耐摩耗性、耐焼付性を示しており、特に窒化チタンや窒
化クロムなどが実用化可能な皮膜として注目され、一部
の機械部品やエンジン部品で使用されている。
【0004】しかし、現在では使用条件がさらに苛酷に
なり、これら窒化チタンや窒化クロムを用いても、摺動
特性が充分とは言えない状況が生じている。特に摺動運
動に加え摺動面に法線方向の振動運動が相乗し、接触面
が離れることが生じる場合、または摺動運動において法
線方向の荷重が変動する場合など摺動条件が厳しい使用
条件下では、イオンプレーティングによる窒化クロム皮
膜をはじめとする硬質皮膜において欠け状剥離が発生
し、摺動材料の寿命を短くすることがある。また使用温
度が高かったり、接触荷重が大きく摺動部分に潤滑油膜
が形成されにくい場合など潤滑条件が厳しい使用条件下
でも同様な硬質皮膜の欠け状剥離が観察される。そこで
現状の表面処理よりも耐剥離性に優れたセラミックスコ
ーティング皮膜を被覆した摺動材料が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、厳しい使用条件下でも欠け状剥離が発生せず、同時
に耐摩耗性、耐焼き付き性に優れた皮膜を被覆した摺動
材料、およびその製造方法を提供することである。
【0006】
【問題を解決するための手段とその作用】上記問題に鑑
み鋭意研究の結果、本発明者は、PVD法によりクロム
および窒素を混合した気相を基材に接触させ、基材の表
面上にCrN を主成分とし、Cr2Nを含有してなる窒化クロ
ム系皮膜を形成させ、その際、皮膜の破断面結晶が基材
表面から皮膜表面に向かって柱状の形態とすること、さ
らに皮膜の空孔率を1.5〜20%に限定することによ
り、欠け状剥離が発生しにくく、かつ耐摩耗性、耐焼き
付き性に優れた摺動材料が得られることを見出し、本発
明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の摺動材料は、少なくと
もCrN を主成分とし、Cr2Nを含有してなる窒化クロム系
化合物を基材上に被覆してなる摺動材料であって、前記
皮膜の破断面結晶が基材表面から皮膜表面に向かって柱
状なる形態を有することおよび制限された皮膜空孔率を
有することを特徴とする。
【0008】皮膜を被覆する基材は、鉄系材料、アルミ
系材料、および、チタン系材料の中から用途により適宜
選択する。以下詳しく説明するPVD法は、CVD(Che
mical Vapor Deposition) 法などに比べ低温処理に類す
るが、蒸着現象による入熱は避けられないので、できれ
ば耐熱性のある鉄系材料およびチタン材料を基材として
使用することが好ましい。
【0009】本発明の摺動材料における皮膜は、少なく
ともCrN を主成分とし、Cr2Nを含有してなる窒化クロム
系化合物よりなり、かつ皮膜破断面の結晶が基材表面か
ら皮膜表面に向かって柱状なる形態を有する。破断面が
柱状結晶で有る皮膜は、ピッチングによると考えられる
欠け状剥離が発生しにくい。また窒化クロム系皮膜は、
緻密性が高くなると皮膜が脆くなり、欠け状剥離が発生
しやすくなる。CrN の理論密度は6.14g/cm3 である
が、剥離を防止するためには、皮膜空孔率を1.5%以上
とすることが必要である。一方、皮膜空孔率をあまり高
くすると、硬さが低下し、耐摩耗性が劣化する。従っ
て、皮膜空孔率の上限を20%とすることが必要であ
る。空孔率は得られた皮膜の密度を測定することによ
り、理論密度との比として容易に計算できる。皮膜硬さ
は、皮膜の結晶形態、皮膜空孔率、結晶配向により影響
を受ける。本発明皮膜の硬さは、表面から測定してHmV
で約600から1000程度である。また窒化クロム系
皮膜において、さらに耐剥離性を向上するために、摺動
面に平行に(111)面を方位配向させることは、なお
一層効果がある。
【0010】皮膜の厚みは1〜80μm、特に好ましく
は35〜50μmであることが好ましい。皮膜の厚みが
1μm未満の場合、摩耗により皮膜の寿命が短い。一
方、皮膜の厚みが50μmを超える場合、皮膜が剥離し
たり、皮膜に亀裂が生じたりすることがあり、基材との
密着力が低下する。また必要以上に皮膜を厚くすること
は、経済上好ましくない。
【0011】本発明においては、PVD法によりクロム
および窒素を混合した気相と基材とを接触させる。PV
D法は、皮膜を形成する技術の一種であり、基本的には
蒸着スパッタリング、イオンプレーティングの三法に分
類できる。特に、本発明においては、クロムの蒸気物質
を窒素と反応させて窒化クロムの皮膜を基材上に堆積さ
せる反応性イオンプレーティング法が最も好ましい。ク
ロムの蒸気は、HCDガンや電子ビームなどの高エネル
ギービームをクロムに照射し、蒸発させることにより得
る。また陰極アークプラズマ式イオンプレーティング
法、およびスパッタリング法のように、陰極からクロム
粒子を飛出させることにより、クロム蒸気を得てもよ
い。そのクロム蒸気に窒素を混合した気相中でプラズマ
を発生させると、クロムはイオン化し、窒素イオンと化
合し窒化クロム系化合物を生成する。その結果、基材表
面に窒化クロム系の皮膜が形成される。
【0012】以下において、イオンプレーティング法を
例にとって説明するが、本発明はこれに限定されない。
まず、基材を洗浄し、表面に付着した汚れを取り、充分
清浄化してイオンプレーティング装置の真空チャンバー
内に挿入する。チャンバー内圧力が1.3×10 -3〜5×
10-3Paになるまで真空引きを行なってから、イオンプ
レーティング装置に内蔵されているヒーターにより加熱
して基材の内在ガスを放出させる。加熱温度は300〜
500℃とするのが好ましい。その後100〜400℃
まで冷却する。チャンバー内圧力が4×10-3Pa以下に
なった時点でターゲットであるクロムを陰極として、そ
の表面でアーク放電を発生させクロムイオンを飛び出さ
せる。この際、基材にはバイアス電圧を印加しておき、
陰極より飛び出した金属イオンを基板表面に高エネルギ
ーで衝突させる方法、いわゆるボンバードクリーニング
により基材表面の酸化物除去と活性化処理を行う。その
ときのバイアス電圧は−700〜−900Vとするのが
好ましい。その後バイアス電圧を低下させ、クロムイオ
ンを基材表面に堆積させながら、窒素ガスをチャンバー
内に導入し、プラズマ内を通過させる。それにより窒素
をイオン化して、窒素分圧を1.3×10-1〜13.3Pa程
度にして、バイアス電圧を0〜−100V印加して基材
表面にイオンプレーティング皮膜を形成させる。皮膜形
成後、真空チャンバー内で200℃以下になるまで冷却
してから、摺動材料をチャンバーから取り出す。皮膜の
空孔率は使用する圧力を調整することにより制御でき
る。以上の方法により、皮膜破断面結晶が柱状の形態を
示し、所定の空孔率を有する耐摩耗性及び焼き付き性に
優れた窒化クロム系の皮膜を摺動材料の摺動面に形成す
ることができる。
【0013】以上が窒化クロム系皮膜を皮膜破断面の結
晶が柱状なる形態で基材に形成させる方法であるが、本
発明においては皮膜と基材との間に金属下地層を介在さ
せてもよい。上述における皮膜形成の工程中、窒素ガス
の導入前にイオンプレーティングを行うと基材にクロム
金属の下地層が形成される。このクロム金属の下地層
は、熱膨張率が基材に近く、熱応力の影響を受けにくい
ため、密着性は良好で柔軟性に富む。クロム金属の下地
層は0.1〜2μmの厚さに形成するのが好ましい。0.1
μm未満では効果が密着性向上の効果が薄く、0.1〜2
μmの厚さで充分な効果を示す。また2μmを超えても
それ以上の効果を得ることはできず、また経済上も好ま
しくない。このように皮膜と基材との間に、密着性およ
び柔軟性に富む下地層を形成することは、皮膜の剥離防
止に効果がある。
【0014】
【実施例】本発明を以下に、具体的実施例によりさらに
詳細に説明する。 (実施例1)本実施例では、材質がSUS440材の基
材を使用した。PVD処理は、陰極アークプラズマ式イ
オンプレーティング装置を用いた。基材をフロン洗浄
し、イオンプレーティング装置の真空チャンバー内に挿
入した。チャンバー内圧力が1.3×10-3Paになるまで
真空引きを行なってから、イオンプレーティング装置に
内蔵されているヒーターにより300〜500℃で加熱
して基材の内在ガスを放出させ、その後200℃まで冷
却した。チャンバー内圧力が4×10-3Pa以下になった
時点でバイアス電圧を−700〜900V印加してお
き、アーク放電を発生させクロムイオンを飛び出させ
る。その後チャンバー内に導入した窒素ガス分圧を1.3
×10-1〜13.3Pa程度の範囲で変化させ、バイアス電
圧を0〜−100V印加して基材表面に厚さ5μmのイ
オンプレーティング皮膜を形成させた。皮膜形成後、真
空チャンバー内で200℃以下になるまで冷却して摺動
材料を得た。得られた皮膜の、破断面形態、組成、空孔
率、表面微小硬さを調べた。皮膜の破断面を走査型電子
顕微鏡により二次電子像を観察した。母材から皮膜表面
に向かって柱状なる結晶を確認できた。また、X線回折
により組成を分析した結果、CrN の単一相でかつ摺動面
に平行な(111)面が方位配向していることも確認し
た。さらに空孔率は、3.9%でその表面硬さはHmV 77
0であった。
【0015】(実施例2、3、比較例1)本発明材料の
耐焼付性を評価する。SKD61材からなり、縦5mm×
横5mm×高さ5mmのピン状突起10(図1、図2参照)
を同心円上に等間隔に三個配置した試験片5を用いて、
5mm角の正方形端面に本発明による皮膜を厚さ10μm
形成した試験片を作成して、超高圧摩耗試験機によって
耐焼付性試験を行なった。試験片の皮膜は、実施例1に
記述した方法により形成し、破断面の結晶が基材表面か
ら皮膜表面に向かって柱状の形態を有し、かつCrN 単一
相で摺動面に平行な(111)面が方位配向している、
皮膜空孔率が3.9%である皮膜(実施例2)、および破
断面の結晶が基材表面から皮膜表面に向かって柱状の形
態を有し、皮膜空孔率が2.3%である皮膜(実施例3)
であった。皮膜の表面微小硬さは実施例2なる皮膜がHm
V 770、実施例3なる皮膜がHmV 845であった。比
較例として、試験片の5mm角の端面に厚さ100μmの
クロムめっき皮膜(比較例1)を形成した試験片を用い
て同様な試験を行なった。本試験に用いた超高圧摩耗試
験機の装置と試験条件は次の通りである。試験装置は図
1および図1のA−A矢視断面図である図2に要部を図
解的に示すものであって、ステータホルダ1に取外し可
能に取り付けられた直径80mm×厚さ10mmの研磨仕上
げを施した円盤2(相手材)の中央には、裏側から注油
口3を通して潤滑油が注油される。ステータホルダ1に
は図示しない油圧装置によって図において右方に向けて
所定圧力で押圧力Pが作用するようにしてある。円盤2
に相対向してロータ4があり、図示しない駆動装置によ
って所定速度で回転するようにしてある。ロータ4には
試験片5が表面処理層を形成した5mm角の正方形の端面
を摺動面として円盤2に対し摺動自在に取り付けてあ
る。このような装置において、ステータホルダ1に所定
の押圧力Pをかけ、所定の面圧で円盤2と試験片5のピ
ン状突起10とが接触するようにしておいて、注油口3
から摺動面に所定給油速度で給油しながらロータ4を回
転させる。一定時間毎にステータホルダ1に作用する圧
力を段階的に増加していき、ロータ4の回転によって試
験片5と相手の円盤2との摩擦によってステータホルダ
1に生ずるトルクTをステンレスファイバー6を介して
ロードセル7に作用せしめ、その変化を動歪計8で読取
り、記録計9に記録させる。トルクTが急激に上昇した
とき焼付が発生したものとして、この時の接触面圧をも
って耐焼付特性の良否を判断する。相手材としては、鉄
系FC25材を用いた。試験条件は次の通りである。 摩擦速度:8m/秒 相手材:FC25 接触面圧:20kg/cm2 でならした後、焼付発生まで1
0kg/cm2 ずつ増圧。各面圧に3分間保持。 潤滑油:モーターオイル#30 油温80℃、供給量250cc/分 表1に試験結果を示した。
【0016】
【表1】
【0017】FC25相手で本発明品は接触面圧280
および283kg/cm2 で焼付が発生した。比較品のクロ
ムめっきの耐焼付面圧253kg/cm2 以上であり、耐焼
付性が優れている。
【0018】(実施例4、比較例2)科研式摩耗試験機
により本発明材料の腐食摩耗試験を実施した。基板材質
がSKD−61材で、形状は縦5mm×横5mm×高さ20
mm、長手方向の一方の先端をR6mmの曲面とした試験片
を用い、実施例1に記述した方法により、試験片の先端
に、破断面の結晶が基材表面から皮膜表面に向かって柱
状の形態を有し、かつCrN 単一相で摺動面に平行な(1
11)面が方位配向している。皮膜空孔率が3.9%であ
る皮膜(実施例4)を10μmの厚さで被覆した。皮膜
の表面微小硬さはHmV 770であった。比較例として試
験片先端R部に厚さ100μmのクロムめっき試験片を
用いて同様な試験を行なった。試験は、表面処理を施し
た試験片の先端R部をドラム状に加工した相手材の外周
部に曲面同士が線接触するように合わせ、所定荷重を加
え、所定速度で回転する。潤滑は、PH=2に調整した
硫酸水溶液を接触部に一定量滴下して行ない、酸雰囲気
とした。試験条件は次の通りである。 摺動相手材:FC25材 摩擦速度:0.25m/秒 摩擦時間:6時間 接触荷重:4kg 雰囲気:摺動部にPH=2.0に調整した硫酸水溶液を1.
5cc/分滴下 皮膜摩耗量の測定値を表2に示した。結果はクロムめっ
き皮膜の摩耗量を100とした相対値で示した。比較品
であるクロムめっき品に比べ、本発明品は摩耗量が約1
/30と大幅に減少している。
【0019】
【表2】
【0020】(実施例5、6、比較例3)すべりを伴う
転がり疲労試験機(ローラーピッチング試験機)により
本発明材料に被覆した皮膜の耐剥離性を評価した。試験
片の基板材質はSCM420材を浸炭処理した材料で、
形状はφ26mm×28mmのローラー状でその外周表面に
本発明皮膜を45μmの厚さ処理した。試験片の皮膜
は、実施例1に記述した方法により形成し、破断面の結
晶が基材表面から皮膜表面に向かって柱状の形態を有
し、かつCrN 単一相で摺動面に平行な(111)面が方
位配向している、皮膜空孔率が3.9%である皮膜(実施
例5)、および破断面の結晶が基材表面から皮膜表面に
向かって柱状の形態を有し、皮膜空孔率が2.3%である
皮膜(実施例6)であった。また皮膜の表面微小硬さは
実施例5なる皮膜がHmV 770、実施例6なる皮膜がHm
V 845であった。比較例として実施例5、6と同材質
の試験片本体外周に、破断面の形態が柱状ではなく皮膜
空孔率が0.2%程度と極めて低いCrN 皮膜を42μm被
覆し、実施例5、6と同様に耐剥離性を測定した。本試
験に用いたピッチング試験機の装置と試験条件は次の通
りである。試験装置は、図3は要部を図解的に示すもの
であって、φ26mm×28mmの試験片13を取り付けた
テストローラー11と相対向して負荷ローラー12があ
り、所定圧力で押圧力が作用するようにしてある。テス
トローラー11は、図示しない駆動装置により所定速度
で回転するようにしてあり、その試験片13の外周には
表面処理相を形成する。負荷ローラー12は、φ130
×18の大きさで、外周はR300mmの形状をして微視
的には試験片13と点接触し、大きな押圧力をかけられ
るようになっている。また負荷ローラー12はテストロ
ーラー11に対し図示しない歯車を介して従動し、相対
的に滑りながら回転するようになっている。滑り率は試
験片周速(U13)と負荷ローラー周速(U12)により、
(U13−U12)/U13で表され、任意に選定できる。試
験片11と負荷ローラー12の接触部には、図示しない
注油口を通して潤滑油が注がれる。このような装置にお
いて、試験片13に所定の押圧力をかけ、所定の面圧で
試験片13と負荷ローラー12とが接触するようにして
おいて、接触部に所定注油速度で注油しながらテストロ
ーラーを所定速度で回転させるとともに、所定滑り率で
負荷ローラー12を回転させる。試験中定期的に試験片
表面を注意深く観察し、試験片の表面に欠け状剥離が発
生するまでの回転の累計より耐剥離性の良否を判断す
る。相手材である負荷ローラーの材質はFC25材を用
いた。試験条件は次の通りである。 試験条件 面圧(ヘルツ圧力):160kgf /mm2 試験片周速:82m/s 滑り率:20% 使用オイル:#30(ベースオイル) オイル流量:1200cc/分 オイル温度:80℃ 表3に試験結果を示した。本発明品は、比較例に対し、
耐剥離性が非常に優れている。
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明は基材表面に被覆される窒化クロム系皮膜の破断
面の結晶を基材表面から皮膜表面に向かって柱状の形態
とし、さらに皮膜空孔率を限定することによって、従来
から使用されている皮膜に比較して、耐剥離性に優れた
摺動材料を提供するものでありならびに、その摺動材料
を製造し得る方法を提供できる。本発明材料は、ピスト
ンリング、カムフォロアなどのエンジン部品さらにはシ
ューディスクなどのコンプレッサー部品をはじめとする
摺動部品や切削工具などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】超高圧摩耗試験機による破砕試験の説明図であ
る。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】転がり疲労試験機の概要説明図である。
【図4】本発明で使用するピストンリングの外周面に形
成された窒化クロム層の金属組織の顕微鏡写真である。
【図5】比較例3に使用したピストンリングの外周面に
形成された柱状でない窒化クロム層の金属組織の顕微鏡
写真である。
【符号の説明】
1 ステータホルダ 2 円盤(相手材) 3 注油口 4 ロータ 5 試験片 6 ステンレスファイバー 7 ロードセル 8 動歪計 9 記録計 10 試験片のピン状突起(5mm角) 11 テストローラー 12 負荷ローラー 13 試験片

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともCrN を含有する窒化クロム系
    の皮膜を基材上に被覆してなる摺動材料であって、前記
    皮膜の破断面結晶が基材表面から皮膜表面に向かって柱
    状の形態を有することを特徴とする摺動材料。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の摺動材料において、窒
    化クロム系皮膜の空孔率が1.5〜20%であることを特
    徴とする摺動材料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の摺動材料におい
    て、前記皮膜がCrN組成でかつ摺動面に平行な(11
    1)面が方位配向していることを特徴とする摺動材料。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか一項に記載の摺
    動材料において前記皮膜の微小硬さが表面から測定して
    HmV 600〜1000の値を有することを特徴とする摺
    動材料。
  5. 【請求項5】 請求項1から4の何れか一項に記載の摺
    動材料において、前記皮膜と前記基材との間にクロムか
    らなる下地層が介在することを特徴とする摺動材料。
  6. 【請求項6】 請求項1から5の何れか一項記載の摺動
    材料において、前記皮膜をPVD法によりクロム及び窒
    素を混合した気相と基材を接触させることにより形成す
    ることを特徴とする摺動材料の製造方法。
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