JP4869101B2 - p型半導体結晶及びその結晶を用いた半導体素子 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウム(Mg)を使用したp型半導体結晶及びその結晶を用いた半導体素子に関する。
III族窒化物系化合物半導体の半導体結晶の転位密度を低減させる結晶成長技法としては、例えば、下記の特許文献1〜特許文献3に記載されている技術などが公知である。特許文献1や特許文献2に記載されているものは、例えばSiO2 マスクなどの非晶質マスクを貫通転位の上に形成することによって、それらの貫通転位の上方への延長を阻止するものであり、これらの従来技術に従えば、非晶質マスクの上に横方向成長またはファセット成長などによって半導体結晶を成長させることにより、転位密度の低い半導体結晶を得ることができる。
また、特許文献3に記載の従来技術は、GaN下地層の結晶成長面上に、薄いシリコン(Si)の層を約1原子層程度の厚さで略平坦かつ一様に積層することにより、その結晶成長面の濡れ性を部分的に濡れる様に制御し、この濡れ性制御に基づいて、ボルマー・ウェーバーの島状成長を誘発して、その結晶成長面に形成される個々の三次元GaN島をそれぞれ三次元成長させるものである。
特開2002−170778 特開2004−193371 田中悟、青柳克信、「原子レベルの表面構造制御による窒化物半導体の欠陥密度の低減」応用物理第70巻、第5号(2001)p.542−545.
しかしながら、上記の様な非晶質の選択成長マスク(例:SiO2 マスクなど)を用いた横方向エピタキシャル成長法(ELO法)を実施する際には、半導体結晶の再成長が必要となったり、フォトリソグラフィー工程などによって製造工程が複雑になったりする生産性の問題や、転位が局所的に残留し易いなどの結晶品質の問題が生じる。
また、上記の特許文献3に記載されている従来技術では、結晶成長面の濡れ性を制御するアンチサーファクタント(反表面活性化因子)としてシリコン(Si)を用いているが、マグネシウム(Mg)にも同様な効果があるかは知られていない。また、この従来技術に基づいてp型の半導体結晶を得るには、シリコン(Si)をアンチサーファクタントとして用いつつ、同時に例えばビスシクロ・ペンタジエニル・マグネシウム(Mg(C5H5)2) (以下「CP2Mg 」と記す)などのp型化不純物を供給するための原料ガスを用いて、所望の半導体結晶を成長させる必要があった。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、貫通転位の面積密度が低いp型の半導体単結晶を従来よりも効率よく製造する方法を提供することである。また、本発明の更なる目的は、その製造方法に基づいて、高品質のp型半導体結晶や高品質の半導体素子を従来よりも低コストで製造することである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
ち、本発明の第1の手段は、不純物としてマグネシウム(Mg)を含有するp型の III族窒化物系化合物半導体からなる板状または層状のp型半導体結晶において、p型半導体結晶の厚さ方向を高さ方向とする時、この高さ方向の変化に対する、当該p型半導体結晶におけるマグネシウム(Mg)の体積密度の変化が極大を示す位置(高さ)を設け、その極大値を1×10 18 〔cm -3 〕以上とし、かつ、これらの設定に基づいて、上記の体積密度が極大値を示す高さ方向の一定の高さよりも上側を構成する上記のp型半導体結晶の上部結晶層の水平断面における貫通転位の面積密度を、この上部結晶層よりも先に形成されて上記の一定の高さよりも下側を構成する上記のp型半導体結晶の下部結晶層の水平断面における貫通転位の面積密度の半分以下の密度に低減したp型半導体結晶である。
ただし、上記のp型半導体結晶を製造する場合に、既に成長させた結晶の上に、Mg原子層が形成されるが、そのMg原子層の平均的な厚さは、マグネシウム(Mg)原子の直径未満の厚さであってもよいし、原子直径以上の厚さであってもよい。上記のMg原子層の平均的な厚さは、できるだけ均一に約1原子層程度に設定することが最も望ましい。ただし、このMg原子層を十分に均一な厚さに一様に積層することは必ずしも容易ではないので、上記のMg原子層の平均的な厚さは、Mg原子の直径の0.3倍から3倍程度に設定することが望ましく、この適正範囲内において、上記のMg原子層積層工程は有効であると考えられる。そして、この厚さが上記の適正範囲内にない場合には、第2の半導体結晶層が島状成長を開始すべき結晶成長面の濡れ性を適正に制御することができなくなるので、上記の低転位結晶層積層工程におけるボルマー・ウェーバーの島状成長を必ずしも十分には誘発することができなくなる。
また、上記のp型半導体結晶の製造においては、上記のMg原子層積層工程と低転位結晶層積層工程とは、複数サイクルに渡って交互に繰り返す様にしてもよい。即ち、例えば、下部結晶層である第1の半導体結晶層、Mg原子層、上部結晶層であり、下部結晶層でもある第2の半導体結晶層、Mg原子層、第2の半導体結晶層、Mg原子層、第2の半導体結晶層、Mg原子層、、、などの様にして、半導体結晶層とMg原子層とを交互に繰り返し積層する。ここでは、第2の半導体結晶層が繰り返し積層されるが、任意の1つの上部結晶層である第2の半導体結晶層から見れば、1層のMg原子層を介して直前に積層された半導体結晶層は、その第2の半導体結晶層に対しては本発明における下部結晶層である第1の半導体結晶層として作用する。そして、この様な工程の繰り返しによれば、得られる半導体結晶(第2の半導体結晶層)の転位密度を漸次段階的に低減させることができる。
また、上記のMg原子層の上に分散して発生する各成長核(各島)の三次元成長は、島同士の隣接、合体の過程を経て、その後は全体的な二次元成長モードに自然に移行するが、上記の作用・効果を狙ってMg原子層積層工程と低転位結晶層積層工程とを複数サイクルに渡って交互に繰り返す場合には、N回目以降のMg原子層積層工程(N≧2)は、N−1層目の第2の半導体結晶層の結晶成長が二次元成長モードに移行する前に開始してもよいし、二次元成長モードに移行してから開始してもよい。
また、上記の上部結晶層である第2の半導体結晶層を島状に三次元成長させる際の結晶成長条件は、例えば周知の横方向エピタキシャル成長法(ELO法)などに基づいてその半導体結晶の横方向成長が促される様に、例えばV/III 比(即ち、第2の半導体結晶層の III族材料の原料ガス供給量に対するV族材料の原料ガス供給量の比)や結晶成長温度や結晶成長速度などを適当に調整することによって、実現したり最適化したりすることができる。
なお、第2の半導体結晶層の結晶成長方法は任意で良いが、結晶品質の高い三次元成長(島成長)を促すためには、特にMOCVD法が有利である。また、その後の二次元成長モードにおいて第2の半導体結晶層を効率よく厚く成長させるために、結晶成長法を途中で例えばHVPE法などのその他の方法に切り換えてもよい。
また、上記の下部結晶層である第1の半導体結晶層を得るために用いる結晶成長方法や結晶成長基板の種類は任意でよい。
また、本明細書で言う III族窒化物系化合物半導体には、Iny Alx Ga1-x-y N(0≦x,0≦y,x+y≦1)からなる2元、3元または4元の任意の混晶比の化合物半導体が含まれ、更に、上記の III族元素(Al,Ga,In)の内の少なくとも一部をボロン(B)やタリウム(Tl)等で置換したり、或いは、窒素(N)の少なくとも一部をリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置換したりして得られる化合物半導体もが含まれる。また、上記の第1の半導体結晶層は、真性の半導体結晶であることがより望ましいが、その代わりに、p型またはn型の半導体結晶層を用いても特段差し支えない。
また、上記の下部結晶層である第1の半導体結晶層をp型化する不純物としては、基本的には上記のMg原子層を構成するマグネシウム(Mg)を専ら用いるが、本発明は、上記の第1の半導体結晶層を更に高濃度のp型層に形成するために、上記の低転位結晶層積層工程において、p型化不純物を供給するための原料ガスを結晶成長室内に流し込むことを特段妨げるものではない。
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、下部結晶層は、マグネシウム(Mg)を含有するp型のGaN結晶層から形成することである。
また、本発明の第3手段は、上記の第1または第2の手段において、マグネシウム(Mg)を含有するp型のGaN結晶層から上記の上部結晶層を構成することである。
ただし、これによって形成されるGaN単結晶層(上部結晶層である第2の半導体結晶層)には、上記のMg原子層を構成するMg原子の一部が熱拡散によって入り込むため、上記の低転位結晶層積層工程に基づいて真性のGaN単結晶が得られる訳ではない。
また、第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、マグネシウム(Mg)の体積密度が、高さ方向の変化に対して極大値を示す位置は、高さ方向に沿って、複数の位置に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、 III族窒化物系化合物半導体の結晶層を積層して形成される半導体素子において、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段のp型半導体結晶を備えることである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、上記のMg原子層が、結晶成長面の濡れ性を制御するアンチサーファクタント(反表面活性化因子)として作用して、ボルマー・ウェーバーの島状成長を誘発するので、このMg原子層の上に成長する上記の第2の半導体結晶層は、点在して島状に形成される三次元島を核とする三次元成長に基づいて結晶成長する。また、この三次元成長は、上記の横方向成長が支配的となる結晶成長条件に基づいて、個々の三次元島を立体的に良好に拡大させつつ進む。また、第1の半導体結晶層の結晶成長面は上記のMg原子層に覆われるので、第1の半導体結晶層の結晶成長面に現れる貫通転位の端部の多くは、これによって良好にマスクされる。
したがって、本発明の第1の手段によれば、これらの作用により、上記の三次元島は、互いに隣接、合体するまで良好に三次元成長し、かつ、貫通転位の上方への成長は、効果的に阻止されるか、その成長方向を水平方向に転換する。そして、この三次元成長は、その時の結晶成長条件を維持することによって、全体的な二次元成長モードに移行するまで良好に継続させることができる。
また、マグネシウム(Mg原子)は、シリコン(Si原子)よりも格段に熱拡散され易い性質を有するので、貫通転位をマスクしていない、アンチサーファクタントとしてのマグネシウム(Mg)原子は、その後、上記の第1及び第2の半導体結晶層の中にそれぞれ熱拡散していく。このため、この方法によれば、例えば、CP2 Mgなどのp型化不純物を供給するための原料ガスを結晶成長室内に流し込まなくても、上記の第1及び第2の半導体結晶層をp型に製造することができる。
したがって、本発明の第1の手段によれば、選択成長マスクなどを導入することなく、従来よりも効率よく低コストで、貫通転位の面積密度が低いp型の高品質の半導体単結晶を製造することができる。
また、本発明の第2または第3の手段によれば、Iny Alx Ga1-x-y N(0≦x,0≦y,x+y≦1)から第1または第2の半導体結晶層を構成する際に、各 III族原子の原子半径が全て揃うので、その結晶品質を高くし易くなる。また、これらの III族窒化物系化合物半導体を用いて所望の半導体素子の素子基板を製造すれば、それらの半導体素子の機能層の主要材料とされるGaN結晶に、該素子基板の格子定数や熱膨張係数などを合致させることができるなどの点でも有利となる。
また、本発明の第1乃至第3の手段によれば、請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載のp型半導体結晶を得ることができる。即ち、請求項4に記載のp型半導体結晶は、請求項1に記載の製造方法によって得ることができる。また、請求項5に記載のp型半導体結晶は、請求項2に記載の製造方法によって得ることができる。また、請求項6に記載のp型半導体結晶は、請求項3に記載の製造方法によって得ることができる。
また、請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載のp型半導体結晶を得る方法は、本発明の第1乃至第3の手段の何れか1つによる方法以外には、少なくとも今のところ全く知られていない。
請求項4(本発明の第4の手段)に記載のp型半導体結晶は、以下の作用に基づいて、請求項1に記載の製造方法(本発明の第1の手段)によってのみ得られる。即ち、本発明の第1の手段によれば、各層は、第1の半導体結晶層、Mg原子層、第2の半導体結晶層の順に順次積層されるが、中間に位置するMg原子層は1原子オーダーの厚さで非常に薄く積層されるため、このMg原子層を形成するMg原子は、第2の半導体結晶層の結晶成長中またはその結晶成長後に、第1の半導体結晶層及び第2の半導体結晶層の中にその殆どが熱拡散される。したがって、一旦積層されたMg原子層自身は確認され難くなるが、厚さ方向(即ち高さ方向)において、Mg原子層が位置した高さ、即ち、第1の半導体結晶層と第2の半導体結晶層との界面にマグネシウム(Mg)の体積密度の極大ピークが現れる。また、この熱拡散により、第1の半導体結晶層及び第2の半導体結晶層は、何れもマグネシウム(Mg)ドープのp型層に形成される。そして、この時、マグネシウムの体積密度の極大値が1×1018〔cm-3〕以上の高濃度となる理由は、元来その部位が上記のMg原子層から構成されていたためである。
また、上記の第1の半導体結晶層をGaNから形成すると上記の下部結晶層がp型のGaN結晶層から構成され、また、上記の第2の半導体結晶層をGaNから形成すると上記の上部結晶層がp型のGaN結晶層から構成されることも、これらの作用から明らかである。
また、請求項7乃至請求項9の何れか1項に記載の半導体素子には、少なくとも上記の第2の半導体結晶層、または同じことであるが上記の上部結晶層が用いられるので、本発明の第7乃至第9の手段によれば、その半導体素子のp型半導体層の結晶品質を従来よりも低コストで、従来よりも高くすることができる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
図1−Aに本実施例1で使用する下地基板8の模式的な断面図を示す。この下地基板8は、厚さ約500μmのサファイア基板1のA面上に、AlNバッファ層2、及びアンドープのGaNからなる第1の半導体結晶層3を順次積層したものである。これらの積層プロセスは、一般的なMOCVD法に基づいて実施したものであり、AlNバッファ層2は約30nm、第1の半導体結晶層3は2500nm、それぞれ同一のMOCVD装置内において結晶成長したものである。
以下、本願発明におけるこれら第1及び第2の半導体結晶層の製造工程について詳しく説明する。
まず最初に、サファイア基板1のA面上に成膜された上記のAlNバッファ層2の上に、上記の膜厚2500nmの第1の半導体結晶層3を、所定のMOCVD装置内の結晶成長温度を1130℃に設定して、キャリアガスであるH2 と、原料ガスであるトリメチルガリウム( Ga(CH3)3) (以下「TMG 」と記す)とアンモニア(NH3) とを供給することによって、結晶成長させた。
その後、引き続き同一のMOCVD装置内において、同一温度(1130℃)を維持したまま、TMGの供給は停止して、キャリアガスであるH2 と原料ガスであるCP2 Mgとを供給することによって、第1の半導体結晶層3の上部露出表面上にMg原子層4を積層した。この工程が本発明のMg原子層積層工程に相当する。その様子を図1−Bに模式的に示す。この時のCP2 Mgの供給量は、0.4μmol/minとし、積層時間は20分とした。これによって、1原子層オーダーの厚さを有するMg原子層4を形成することができた。
その後、引き続き同一のMOCVD装置内において、同一温度(1125℃)を維持したまま、CP2 Mgの供給は停止して、キャリアガスであるH2 を10リットル/分の流量で、原料ガスであるTMGを140μmol/minの流量で、同じく原料ガスであるアンモニア(NH3) を10リットル/分の流量で、それぞれ供給することによって、Mg原子層4の上にGaNからなる第2の半導体結晶層5を結晶成長させた。その様子を図1−Cに模式的に示す。この第2の半導体結晶層5は、最初は、Mg原子層4の上部露出表面上に散在する成長核から島状に三次元成長を開始し、その後、その島状成長によって各島同士が隣接、合体し、その後は、同一の結晶成長条件下にて自然に全体的な二次元成長モードに移行した。そして、この第2の半導体結晶層5を結晶成長させる工程が、本発明の低転位結晶層積層工程に相当する。
図1−Cに、この第2の半導体結晶層5の二次元成長モード(三次元成長完了後)における模式的な断面図を示す。本図1−Cに模式的に示す様に、Mg原子層4を構成していたMg原子の多くは、第2の半導体結晶層5の中に熱拡散される。また、図2には、その時の第1の半導体結晶層3及び第2の半導体結晶層5の断面のTEM画像を示す。点線で囲んだ領域A内には、半導体結晶層3中にある4本の貫通転位の上方への伸延が止まっている様子が観察される。また、これらの貫通転位の伸延が阻止される部位は、第2の半導体結晶層5の上部露出表面から測った深さdが1130nm程度となる位置(d=d1 )の近傍に集中している。また、図2中に示す領域B及び領域Cもそれぞれ深さd1 前後に位置しており、領域C内では、1本の貫通転位の上方への伸延が止まっている。また、領域B内では、1本の貫通転位の伸延方向が水平方向へと直角に屈曲している様子が観察される。
そして、これらの事実からも、深さd1 の一面に積層されたMg原子層4が、貫通転位の成長を阻止していることが分かる。また、このTEM画像(図2)から、第1の半導体結晶層3の貫通転位の水平断面における面積密度は、凡そ5×109 〔cm-2〕程度であり、第2の半導体結晶層5の貫通転位の上部露出表面における面積密度は凡そ1×109 〔cm-2〕程度であることが分かる。
図3に、上記の第2の半導体結晶層5の表面からの深さdに対するマグネシウムの体積密度を示す。このグラフは、SIMS(Secondary Ionization Mass Spectrometer)による測定結果を示したものであり、第2の半導体結晶層5の上部露出表面から測った深さdが1130nm程度となる位置(d=d1 )に、即ち上記のMg原子層積層工程によってMg原子層4が積層された図2の深さd1 に、マグネシウムの体積密度の極大ピークが現れている。その極大値は、1.2×1019〔cm-3〕程度である。ただし、このグラフ上には、Mg原子層4の成長時間を20分としたサンプルに関する測定結果の他にも、Mg原子層4の成長時間をそれぞれ5分、10分、15分とした各サンプルに関する測定結果についても合わせて記載してある。
また、図3のグラフにおいてこの極大ピークの山が横軸方向(深さd方向)にブロードに広がっていることは、上記の第2の半導体結晶層5の結晶成長の間に、即ち上記の低転位結晶層積層工程の実行中に、Mg原子層4を構成していたマグネシウム(Mg)原子が、高さh方向(深さd方向)に、即ちMg原子層4の垂直方向に、幅広く熱拡散したためである。
言い換えれば、上記の第1の半導体結晶層3は、請求項4の下部結晶層を構成するものであり、上記の第2の半導体結晶層5は、請求項4の上部結晶層を構成するものであり、その界面上(d=d1 )には、マグネシウム濃度が1×1018〔cm-3〕以上となる、高さh方向の変化に対する極大ピークが存在しており、この界面(d=d1 )の上側を構成する上部結晶層の貫通転位の面積密度は、この界面の下側を構成する下部結晶層の貫通転位の面積密度の半分以下に非常に効果的に低減されている。
そして、上記の第2の半導体結晶層5は、その転位密度が非常に低く結晶品質が十分に優れているので、工業的な有用性も高い。
例えば、上記の結晶成長を更に継続することによって半導体結晶層5を更に厚く積層すれば、その後サファイア基板1を取り除くことにより、バルク状のGaN単結晶からなる高品質の半導体自立基板を得ることができる。この時のサファイア基板1を取り除く方法としては、レーザリフトオフ法やドライエッチング、研磨などを単独または適当に組み合わせて適用することができる。また、サファイア基板1は、勿論必ずしも取り除く必要はない。そして、これらの方法に従って得られる半導体基板は、トランジスタなどの電子デバイスや、LEDまたは半導体レーザなどの発光素子などに利用することができる。
また、本発明に基づいて得られる低転位密度で高品質なp型半導体結晶(例:上記の第2の半導体結晶層5など)は、半導体基板に限らず、半導体素子の主要部分を構成するp型の機能層としても利用することができる。この様なp型の機能層としては、例えばp型のクラッド層やコンタクト層や光ガイド層などを挙げることができる。
図4に、本実施例2の半導体発光素子100の模式的な断面図を示す。本図4に示す様にこの半導体発光素子100では、厚さ約300μmのサファイヤ基板101の上に、窒化アルミニウム(AlN)から成る膜厚約15nmのバッファ層102が成膜されており、その上には、アンドープのGaNから成る膜厚約500nmの層103と、シリコン(Si)を2×1018〔cm-3〕の濃度でドープしたGaNから成る膜厚約5μmのn型コンタクト層104が積層されている。
更に、このn型コンタクト層104の上には、シリコン(Si)を1×1018〔cm-3〕の濃度でドープした膜厚500nmのGaNから成るnクラッド層105が形成されている。また、更にその上には、膜厚約3nmのアンドープのIn0.2 Ga0.8 Nから成る井戸層1061と、膜厚20nmのアンドープのGaNから成る障壁層1062とを交互に3ペア積層することによって、多重量子井戸構造の発光層106が形成されている。
更に、この発光層106の上には、マグネシウム(Mg)を2×1019〔cm-3〕の濃度でドープした膜厚25nmのp型Al0.15Ga0.85Nから成るp型層107が形成されており、更にこのp型層107の上には、マグネシウム(Mg)を8×1019〔cm-3〕の濃度でドープした膜厚100nmのp型のGaN結晶から成るp型コンタクト層108が形成されている。ただし、このp型コンタクト層108に対するマグネシウム(Mg)のドーピングについては、本発明のMg原子層積層工程と低転位結晶層積層とを2周期繰り返し実行することにより行った。
以下、このp型コンタクト層108の構成と製造工程について詳しく説明する。
このp型コンタクト層108は、2層構造を有しており、下から順にpコンタクト第1層1081とpコンタクト第2層1082とから構成されている。そして、下側のpコンタクト第1層1081は、上記のp型層107をベース(本発明の請求項1の第1の半導体結晶層(即ち、本発明の請求項4の下部結晶層))として成長した、本発明の請求項1の第2の半導体結晶層(即ち、本発明の請求項4の上部結晶層)を構成するものである。したがって、p型層107の上面には、本発明のMg原子層積層工程によって、約1原子層分の膜厚のMg原子層が積層され、上記のpコンタクト第1層1081は、そのMg原子層の上に積層されたものである。ただし、そのMg原子層を構成するマグネシウム(Mg)原子は、pコンタクト第1層1081を結晶成長させる工程(即ち本発明の低転位結晶層積層工程)の実施中に、p型層107及びpコンタクト第1層1081の各層内に熱拡散されたものと考えられるため、本図4の中には図示していない。
また、p型コンタクト層108は、上記のMg原子層積層工程と上記の低転位結晶層積層工程とを交互に合計2サイクル繰り返し実行することによって2層構造に形成したものである。即ち、以下同様にして、上側のpコンタクト第1層1082は、下側のpコンタクト第1層1081をベース(本発明の請求項1の第1の半導体結晶層(下部結晶層))として成長した、本発明の請求項1の第2の半導体結晶層(上部結晶層)を構成するものである。この様に、Mg原子層積層工程と低転位結晶層積層工程との繰り返しによって、その上下両界面にMg原子層が積層される半導体結晶層(本実施例では図4のpコンタクト第1層1081)は、先に第2の半導体結晶層(上部結晶層)として積層され、その後は、第1の半導体結晶層(下部結晶層)としても作用する。
そして、これらの繰り返しにより、p型コンタクト層108の貫通転位の面積密度は、漸次段階的に非常に効果的に低減される。また、上記の2工程を周期的に実施するサイクル数(繰り返し実行回数)を調整したり、或いは、Mg原子層積層工程におけるMg原子層の積層時間と、低転位結晶層積層工程における第2の半導体結晶層の積層時間との比を調整したりすることにより、p型コンタクト層108のマグネシウム(Mg)濃度を任意に制御することができる。また、その様な濃度制御は、更に、MOCVD装置の反応室内に供給するCP2 Mgの供給量によって調整する様にしてもよい。ただし、勿論、これらの低転位結晶層積層工程においては、ドーパント(Mg)の原料ガスであるCP2 Mgは必ずしも流し込まなくてもよい。
その後、p型コンタクト層108の上には透光性薄膜p電極110を、n型コンタクト層104の上にはn電極140を、それぞれ形成した。透光性薄膜p電極110は、p型コンタクト層108に直接接合する膜厚約15nmのITO(インジウム錫酸化物)より形成されている。
なお、厚膜p電極120は、膜厚約20nmのチタン(Ti)より成る第1層121と、膜厚約1.5μmの金(Au)より成る第2層122とを透光性薄膜p電極110の上から順次積層させることにより構成されている。
一方、多層構造のn電極140は、n型コンタクト層104の一部露出された部分の上から、膜厚約20nmのチタン(Ti)より成る第1層141と膜厚約100nmの金(Au)より成る第2層142とを積層させることにより構成されている。
また、当該素子の最上部には、SiO2 膜より成る保護膜130が形成されている。また、サファイヤ基板101の底面に当たる外側の最下部には、膜厚約500nmのアルミニウム(Al)より成る反射金属層150が、金属蒸着により成膜されている。尚、この反射金属層150を構成する材料は、Rh,Ti,W等の金属の他にも、例えばTiNやHfN等の窒化物でも良い。
図5に本実施例3の半導体ウェハ200の模式的な断面図を示す。この半導体ウェハ200は、レーザリフトオフ法を用いて得られるものであり、結晶成長工程後に追加して接合された支持基板21は導電性を有している。また、正電極50は、この半導体ウェハ200を個々の半導体チップ(個々のLED)に分割する際に、各半導体チップに一つずつ備えられる様に、各位置にそれぞれ形成されている。即ち、本図5の断面図には、1つの半導体チップの横幅を1周期とした時の4周期分の長さの垂直断面が示されている。
この半導体ウェハ200の主要部を構成する半導体部12の断面図を図6−Aに示す。ただし、本図6−Aでは、上下の向きを図5に対して逆さまにして断面が記載されている。図6−Aの下地基板11は、先の実施例1の下地基板8に相当する部位であり、その詳細は、先の実施例1と同様に、サファイア基板11aと、AlNバッファ層11bと、Mgドープのp型のGaN単結晶層11c(本発明の第1の半導体結晶層)から形成されている。また、その上に積層されているそれぞれp型の半導体層12a,12bは、実施例1の第2の半導体結晶層5や、或いは実施例2のp型コンタクト層108に相当する部位であり、これも実施例1、2と同様に、Mgドープのp型のGaN単結晶から形成されている。そして、これらのドーパント(Mg)は、一旦積層された本発明のMg原子層を構成していたマグネシウム(Mg)原子が、熱拡散することによって、その上下の各層(第1の半導体結晶層及び第2の半導体結晶層)に添加されたものである。即ち、これらの各層は、先の実施例1、2と同様にして、本発明の手段に基づいて形成された。
以下、この半導体層12a,12bの機能層としての構成と、製造工程について説明する。半導体層12aは、本実施例3のLEDにおいては、p型のコンタクト層として機能する層である。そこで、以下、この半導体層をpコンタクト層12aと言う。また同様に、上記の半導体層12bのことを以下、pクラッド層12bと言う。
まず最初に、実施例1の下地基板8と同じ方法で用意された下地基板11の上面にMg原子層を積層する。この場合、p型のGaN単結晶層11cを結晶成長させたのと同一のMOCVD装置内において、引き続き同一温度(1130℃)を維持したまま、TMGの供給は停止して、キャリアガスであるH2 と原料ガスであるCP2 Mgとを供給する。これによって、下地基板11(GaN単結晶層11c)の上面に所望のMg原子層を積層することができる。この積層工程が本発明のMg原子層積層工程に相当する。また、この時のCP2 Mgの供給量は、0.4μmol/minとし、積層時間は10分〜20分とする。これによって、1原子層オーダーの厚さを有するMg原子層を形成することができる。
その後、引き続き同一のMOCVD装置内において、同一温度(1125℃)を維持したまま、キャリアガスであるH2 と、原料ガスであるTMGとアンモニア(NH3) とを供給することによって、上記のMg原子層の上にGaNからなるpコンタクト層12aを結晶成長させる。これにより、膜厚約85nm、Mg濃度5×1019〔cm-3〕のpコンタクト層12aが形成された。
その後、引き続き同一温度(1130℃)を維持したまま、キャリアガスであるH2 と原料ガスであるCP2 Mgとを供給する。これによって、pコンタクト層12aの上面に再び新たなMg原子層を積層することができる。そして、この積層工程も本発明のMg原子層積層工程に相当する。また、この時のCP2 Mgの供給量は、0.4μmol/minとし、積層時間は10分〜20分とする。これによって、1原子層オーダーの厚さを有するMg原子層を形成することができる。
その後、引き続き同一温度(1080℃)を維持したまま、キャリアガスであるH2 と、原料ガスであるTMGとアンモニア(NH3) とトリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)を供給することによって、上記の新たなMg原子層の上にAl0.15Ga0.85Nからなるpクラッド層12bを結晶成長させる。これにより、膜厚約20nm、Mg濃度5×1019〔cm-3〕のpクラッド層12bが形成された。
その後、pクラッド層12bの上に、多重量子井戸構造の発光層12cを形成する。即ち、この発光層12cは、膜厚20nmのアンドープGaNから成る障壁層と膜厚3nmのアンドープIn0.2 Ga0.8 Nから成る井戸層とを交互に3ペア積層することにより構成される。この時、障壁層は、結晶成長温度を850℃に設定して、N2 、NH3 及びTMGを供給することにより積層する。また、井戸層は、結晶成長温度を730℃に設定して、N2 、NH3 、TMG及びトリメチルインジウム(In(CH3)3)を供給することにより積層する。
その後、発光層12cの上に、n型層12dを形成する。このn型層12dの具体的な積層構成としては、周知の任意の積層構成を採用することができ、これらの半導体層も、同一のMOCVD装置内において引き続き同様のMOCVD法に準拠して積層することができる。したがって、このn型層12dは例えば、発光層12cの上から順に、シリコン(Si)ドープのn型GaNから成る膜厚約0.5μmのクラッド層と、シリコン(Si)ドープのn型GaNから成る膜厚約4.0μmの高キャリア濃度n+ 層とを積層する二層構造に構成してもよい。
半導体ウェハ200の主要部を構成する半導体部12(図6−A)は、以上の様にして構成することができる。
また、n電極13を構成する金属層(13a〜13c)は、以下の様に構成する。まず最初に、上記のn型層12dの表面全面に銀(Ag)を電子ビーム蒸着することによって、膜厚約300nmの銀(Ag)からなる高反射金属層13aを積層する。ただし、この高反射金属層13aは、フォトリソグラフによって、図6−Aに示す様に各チップ単位に島状にパターンニングされる。
そして、この高反射金属層13aの上に積層する、膜厚約100nmのチタン(Ti)から成るn電極第2層13bと、膜厚約1μmのアルミニウム(Al)から成るn電極第3層13cは、その後の蒸着処理によって順次積層する。ここで、上方及び側方からも高反射金属層13aを覆う様にして、n電極第2層13bを積層するのは、高反射金属層13aのn型層12dに対する接着強度を、密着性の高いチタンによって補強するためである。
なお、以下では、下地基板11と半導体部12とn電極13とを合わせて、本体部10と言う。
図6−Bには、半導体ウェハ200の主要部を支持する支持基板21の断面図を示す。この支持基板21は、厚さ約400μmのn型のシリコン(Si)基板210の裏面に、3層の金属層を積層したものであり、この3層の金属層は、シリコン基板210の裏面に近い側から順に、厚さ約200nmのアルミニウム(Al)からなる第1層21aと、厚さ約20nmのチタン(Ti)からなる第2層21bと、厚さ約200nmの金(Au)からなる第3層21cとを順次積層して構成したものである。
一方、シリコン基板210の上面には、単層の膜厚約3μmのアルミニウム(Al)からなる接合層22が形成されている。この接合層22は、同じアルミニウム(Al)から成る上記のn電極第3層13cに接合される金属層であり、これらは後から説明する様に、その融点近傍の温度にまで昇温されて互いに接合される。
なお、以下では、支持基板21と接合層22とを合わせて、支持体20と言う。
以下、半導体ウェハ200の製造工程を説明する。
以上の様にして、図6−Aの本体部10や図6−Bの支持体20を用意する。その後、本体部10と支持体20とが互いに正確に対峙する様に位置合わせをし、約670℃の加熱プロセスを経て、セルフアライメント処理を行うことによって、両者(本体部10と支持体20)の接合状態を得る。
その後、サファイア基板11をレーザー照射によりリフトオフする。このレーザ照射により、例えば前述のp型のGaN単結晶層11cとの界面付近におけるpコンタクト層12aの一部分が薄膜状に溶融し、ガリウム(Ga)液滴と窒素(N2 )とに分解するので、これによって、下地基板11を本体部10からリフトオフすることができる。
そして、この後、露出したpコンタクト層12aの表面を希塩酸により洗浄する。この洗浄処理により、pコンタクト層12aの表面が綺麗に露出される。
その後、このpコンタクト層12aとpクラッド層12bとを、N2 雰囲気下における660℃の熱処理(アニーリング)によって低抵抗化させる。ただし、この低抵抗化処理は、N2 雰囲気下における電子線照射によって実施してもよい。このアニーリング処理の処理温度については、それを700℃以上とする時に、十分な低抵抗化作用が得られることが知られているが、その温度は、本体部10と支持体20との導電性接合材料として採用した前述のアルミニウム(Al)の融点(660.37℃)を大幅に超えているので、本体部10と支持体20との接合状態が不安定となり、望ましくない。
一方、電子線照射によれば、その低抵抗化処理は、随時局所的に実施することができ、派生する余分な熱エネルギーは、電子線が照射されていない周辺領域に効果的に放熱されるので、本体部10と支持体20との接合状態が不安定となる恐れはなくなる。また、これによって十分な低抵抗化作用を得ることができる。
その後、露出したpコンタクト層12aの表面に、正電極50をレジストマスクを用いた蒸着によって形成する。即ち、この正電極50も、実施例2の正電極(110,120)と同様にして形成することができ、透光性薄膜p電極51は膜厚約15nmのITO(インジウム錫酸化物)より形成されている。また、金属層52は膜厚約20nmのチタン(Ti)からなり、金属層53は膜厚約1.5μmの金(Au)より構成されている。
この様にして得られる半導体ウェハ200は、その後、レーザ照射、エッチング、ダイシング、ブレーキングなどの任意の分離加工手段を単独または組み合わせて用いることにより、単体のLEDにそれぞれ分離することができる。また、例えば屋内外の照明装置などを製造する場合などには、上記の半導体ウェハ200は、必ずしも個々に分離処理しなくてもよい。
以上の様にして半導体ウェハ200を製造すれば、pコンタクト層12aの貫通転位の密度は、Mg原子層の導入に基づく本発明の作用によって、容易に十分に低くすることができるので、この半導体ウェハ200の主要部を構成する半導体部12の各半導体結晶層の結晶品質は、低コストで非常に高くすることができる。
また、以上の様な製造方法(レーザーリフトオフ法)を用いると、半導体部12を傷つけることなく本体部10から下地基板11を取り除くことができるため、非導電性のサファイア基板11a上に結晶成長した半導体結晶層からなる半導体ウエハ(本体部10)においても、シリコン基板210に適当な導電性を与えておくことによって、例えば上記の様にして、半導体ウエハ200の表裏両面に電極を形成することができる。
また、サファイア基板があった裏面側から光を取り出すLEDなどを製造する場合には、この様な製造方法を用いてサファイア基板を排除することによって、光取り出し効率が向上するなどの利点も得られる。
本発明は、 III族窒化物系化合物半導体からなる貫通転位の密度が非常に低い半導体結晶とその製造方法、並びにこれらを用いた半導体素子に関するものであるから、その応用範囲は非常に広く、LEDやLDなどの半導体発光素子や半導体受光素子や、或いはトランジスタや圧力センサなどの各種の電子デバイス等に用いることができる。また、特に、マグネシウム(Mg)ドープのp型の半導体結晶層を利用する際に有用な手段を与えるものであるから、例えば特に、光素子や電子デバイスを構成する主要部の機能層(p型半導体層)としての利用価値が高い。また、先に例示した様に、本発明に基づいて得られるp型半導体結晶は、高品質の半導体基板として利用することもできる。
実施例1で使用する下地基板8の模式的な断面図 表面にMg原子層4が積層された下地基板8の模式的な断面図 第2の半導体結晶層5の二次元成長モードにおける模式的な断面図 第1の半導体結晶層3及び第2の半導体結晶層5の断面のTEM画像 層5の表面からの深さdに対するマグネシウムの体積密度を示すグラフ 実施例2の半導体発光素子100の模式的な断面図 実施例3の半導体ウェハ200の模式的な断面図 半導体ウェハ200の主要部を構成する半導体部12の断面図 半導体ウェハ200の主要部を支持する支持基板21の断面図
1 : サファイア基板
2 : AlNバッファ層
3 : 第1の半導体結晶層
4 : Mg原子層
5 : 第2の半導体結晶層

Claims (5)

  1. 不純物としてマグネシウム(Mg)を含有するp型の III族窒化物系化合物半導体からなる板状または層状のp型半導体結晶であって、
    前記p型半導体結晶の厚さ方向を高さ方向とする時、前記p型半導体結晶におけるマグネシウム(Mg)の体積密度は、前記高さ方向の変化に対して極大値を示し、
    前記極大値は、1×1018〔cm-3〕以上であり、
    前記体積密度が前記極大値を示す前記高さ方向の一定の高さよりも上側を構成する前記p型半導体結晶の上部結晶層の水平断面における貫通転位の面積密度は、前記上部結晶層よりも先に形成されて前記一定の高さよりも下側を構成する前記p型半導体結晶の下部結晶層の水平断面における貫通転位の面積密度の半分以下の密度に低減されている
    ことを特徴とするp型半導体結晶。
  2. 前記下部結晶層は、マグネシウム(Mg)を含有するp型のGaN結晶層からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のp型半導体結晶。
  3. 前記上部結晶層は、マグネシウム(Mg)を含有するp型のGaN結晶層からなる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のp型半導体結晶。
  4. 前記マグネシウム(Mg)の体積密度が、前記高さ方向の変化に対して極大値を示す位置は、高さ方向に沿って、複数の位置に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のp型半導体結晶。
  5. III族窒化物系化合物半導体の結晶層を積層して形成される半導体素子において、
    請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のp型半導体結晶を有する
    ことを特徴とする半導体素子。
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