以下、本発明に係る遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機を図面に沿って説明する。後述する各実施の形態では、本発明の遊技機を所謂1種のパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、1種1種など他の種別のパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。なお、図1は、本発明の実施形態におけるパチンコ機1の外部構造を示す正面図である。
本パチンコ機1は、図1に示すように、発射ハンドル2の操作による発射装置(図示せず)の作動で遊技球(所謂パチンコ玉)を遊技盤3の遊技領域3aに向かって打ち出しつつ遊技を行うもので、所謂確率変動等の大当たりが発生した状態でアタッカー93に入球した遊技球に対応する数の遊技球を払い出すように構成されている。上記確率変動当たり(「確変当たり」とも言う)とは、抽選の結果、確変モードの大当たりが当選したとき、少なくとも当該確変モードによる遊技状態において次なる大当たりを引くまでの間、遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態を意味する。これに対し、当該特殊状態にならない大当たりとして「通常当たり」がある。
図1に示すように、本パチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体6と、この筐体6に開閉可能に装着された前扉7とを有しており、前扉7の前面には、透明ガラス9を有するガラス枠10が開閉可能に取り付けられている。透明ガラス9の奥側には、遊技盤3が配設されている。前扉7における遊技盤3の左右には演出用照明装置11が配設されており、前扉7における遊技盤3の上部中央には演出用照明装置8が配設されている。そして、前扉7における遊技盤3の左右上方及び左右下方には、スピーカー(図示せず)を有する放音装置12がそれぞれ配設されている。また、ガラス枠10における右側部には、前扉7を筐体6側に施錠したり解放したりするための施錠装置18が配設されている。なお、筐体6及び前扉7等から遊技機本体が構成されている。
前扉7における遊技盤3の下方には皿ユニット16が設けられており、皿ユニット16における右上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口17が設けられ、皿ユニット16における右上部壁面には、球貸ボタン19a及びプリペイドカード返却ボタン19bが設けられている。皿ユニット16には、該皿ユニット16上の遊技球を発射装置(図示せず)付近から皿ユニット下部の球排出口(図示せず)を通して下方に排出するための第1球抜きボタン20aと、皿ユニット16上の遊技球を球供給口17付近から上記球排出口を通して下方に排出するための第2球抜きボタン20bとが設けられている。
また、皿ユニット16の右側には、発射装置を操作して遊技球を遊技領域3aに向けて打ち出すための発射ハンドル2が配設されている。更に、皿ユニット16の左下方には灰皿21、及び遊技者参加ボタン(所謂チャンスボタン)22が配設されている。なお、図1中の符号14は、発射ハンドル2の操作で発射された遊技球を遊技領域3aに導くガイドレールを示し、符号15は、遊技者参加ボタン22を配置するための平坦部を示している。
遊技領域3aの中央部には、最上部に一般入賞口13及び始動チャッカー(始動入賞口)27を有し、かつ内方に演出役物28を有し、遊技領域3aに打ち出されて該始動チャッカー27に入賞した遊技球を内方に導入して演出に用いるように構成されたセンター役物(ユニット役物)23が配設されている。画像表示装置35が、該センター役物23の右上部に形成された開口部36から画面35aを露出させた状態で固定されている。センター役物23の左右下方には、大当たり抽選に寄与しない一般の入賞が行われる一般入賞口25a,25b,26a,26bが配設されており、センター役物23の中央部下方にはアタッカー93が配設されている。センター役物23の左右上方及び左右下方にはそれぞれ風車31が配置されており、センター役物23の左右にはスルーゲート32a,32bが配設されている。一方のスルーゲート32bはダミーである。アタッカー93の下方には、遊技領域3aにおいてどの入賞口等にも入賞しなかった遊技球を遊技盤背面側に流すアウト口29が形成されている。
始動チャッカー27は、大当たり抽選実行の契機となり得る入賞が行われるものであり、始動チャッカー開閉ソレノイド70(図13参照)によって開放位置と閉止位置とに開閉動作するように作動させられる。始動チャッカー27の直上方には一般入賞口13が位置しているため、該始動チャッカー27は、その開放時にのみ入賞し得る状態となる。
アタッカー93は、大当たり発生時に、アタッカー開閉ソレノイド71(図13参照)の作動で開放され、遊技領域3aに打ち出されて転動落下する遊技球を入賞させるものであり、大当たり発生中、例えば、1回の開放で9個の入球を完了した時点で閉じ、当該開閉動作を15回繰り返すように構成される。なお、これらの入球数並びに開閉動作の回数は、9個や15回に限定されることはなく、必要に応じて適宜設定され得るものである。
スルーゲート32aは、遊技球が通過した際に始動チャッカー27を開閉動作させるための遊技部品である。該スルーゲート32aを遊技球が通過したことが入賞判定手段81(図13参照)で判定されて入賞信号出力手段82(図13参照)からその旨の信号が出力されると、始動チャッカー開閉制御手段94(図13参照)の制御により始動チャッカー開閉ソレノイド70が作動させられ、始動チャッカー27が、予め定められた短時間だけ開放動作する。
遊技領域3aにおけるスルーゲート32a,32b、一般入賞口25a,25b,26a,26b、一般入賞口13、始動チャッカー27、アタッカー93等の周囲には、遊技球を適宜散らし、或いは入賞(入球)に導くようにするための多数の障害釘が打ち込まれている。
次に、上記センター役物23の構成について、図2ないし図6を参照して詳細に説明する。なお、図2ないし図6はセンター役物23を異なる状態でそれぞれ拡大して示す斜視図である。
すなわち、センター役物23は、全体が外周壁面23bによって囲まれた空間内に種々の役物を有すると共に、最上部に位置する上部壁面23aの中央部分に配置された一般入賞口13及び始動チャッカー27を一体的に有している。
図2ないし図6に示すように、センター役物23の上記空間内には、始動チャッカー27に入賞して入賞検知された後の遊技球Baを受け入れる受容部4と、該受容部4から所定の契機で落下させられる所定数(本実施形態では4個)の遊技球Baを受け入れるトロッコ状の移動部材39を有する演出役物28と、上記受容部4に上記所定数の遊技球Baが貯留された後に流下してくる遊技球Baが流入する流入部5と、該流入部5から送られる遊技球Baを貯留して所定の契機で開口57bから放出する貯留部57と、該貯留部57の開口57bから放出される遊技球Baを受け入れるトレー部55と、所定の契機で放出位置に移動した移動部材39から落下する遊技球Baを受け入れるトレー部49と、該トレー部49及び上記トレー部55の少なくとも一方から送られる遊技球Baを受け入れる回転振分け部材50と、貯留部57から放出される遊技球Baを所定の契機でトレー部55に掻き入れるように動作するキャラクタ部材58と、を有している。なお、符号44は、導火線の付いた爆弾を模った照明灯である。
受容部4は、始動チャッカー27に入賞した遊技球Baが上部壁面23aの裏側に設けられた不図示の通路を介して送られる貯留部30と、所定の契機で動作して該貯留部30から遊技球Baを受け入れて移動部材39に送り込む送込部33と、を有している。
演出役物28は、センター役物23の奥側に設けられた壁面60と、該壁面60と略平行に延在するレール部材42と、送込部33から遊技球Baを送り込まれると共にレール部材42に沿って移動する移動部材39と、該移動部材39をレール部材42に沿って左方向と右方向に選択的に移動させる第1駆動部63(図9参照)と、該第1駆動部63に支持された上記移動部材39をレール部材42に対して揺動させるように駆動する第2駆動部64(図9参照)と、を有している。
流入部5は、貯留部30で所定数(例えば4個)が貯留された後、始動チャッカー27に入賞した場合に該貯留部30から溢れた遊技球Baが送り込まれる受入部37と、該受入部37からの遊技球Baを後流側に送る通路部48と、を有している。該通路部48は、受け入れた遊技球Baを後流側に放出する開口48aと、該開口48aから放出された遊技球Baを貯留部57に送る通路48bと、を有している。
貯留部57は、上記通路部48の通路48bから送られる遊技球Baを堰き止め、所定の契機で作動した際に所定数(例えば4個)の遊技球Baを上記トレー部55に放出する。その際、キャラクタ部材58が、手に把持したスコップ56を、開口57bから遊技球Baをトレー部55側に掻き入れるように作動する。
トレー部55は、全体的に、貯留部57の開口57bから放出される遊技球Baを受け入れる形状を呈しており、該遊技球Baを順次下流に送り出す送出部55aと、該送出部55aから送られた遊技球Baを受け入れて下流の滞留部55cに送る送り部55bと、を有している。
トレー部49は、全体的に、レール部材42に沿って図4の右側に傾斜した移動部材39の積載部39d(図10参照)から落下する遊技球Baを受け入れる形状を呈しており、受け入れた遊技球Baを下流側に放出する開口49bと、該開口49bから放出された遊技球Baを滞留部49cに向けて流下させる流路49aと、を有している。
滞留部49cと滞留部55cとの間には、回転振分け部材50に対向する位置で、流下してきた遊技球Baを該回転振分け部材50に順次送り込む揚送機構54が配置されている。該回転振分け部材50は、センター役物23に配置されて、始動チャッカー27への入賞を契機として行われる特別遊技状態に移行するか否かの抽選(大当たり抽選)の結果を演出するものであり、全体的に円盤状に形成され、外周縁部に等角度間隔で形成された凹部50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50hを有している。上記凹部50aは、「V」の文字が記載された所謂Vゾーンであり、該凹部50aを含む凹部50b〜50hは、いずれも揚送機構54側に向いた状態にあっては有底で遊技球Baを保持した状態で、回転振分け部材50とともにゆっくりと回転し、揚送機構54の反対側に移動した時点で底部が抜けた状態となって遊技球Baを落下させる。該落下した遊技球Baは、遊技盤3の背面側に放出される。なお、凹部50a〜50hを伴った回転振分け部材50の上記回転動作としては、単に一方向に連続回転する動作、時間を空けながら間歇的に回転する動作、順番でなく途中の凹部を飛ばして大きく回転する動作、一旦停止して逆方向に回転する動作、等が挙げられる。
上述した受容部4、演出役物28、流入部5、貯留部57、トレー部55、トレー部49、回転振分け部材50、及びキャラクタ部材58は、図7に示すような位置関係となっている。即ち、センター役物23の奥側に壁面60が起立状態で配置され、該壁面60の前側に位置する演出役物28の移動部材39の右方にトレー部49が位置し、該トレー部49の右方に貯留部57、キャラクタ部材58及びトレー部55がそれぞれ位置している。そして、トレー部49の下方に回転振分け部材50が位置している。
ここで、図7ないし図10を参照して、上記演出役物28の詳細な構成について説明する。なお、図7はセンター役物23における演出役物28等を上方から見下ろした状態で示す平面図、図8は演出役物28を手前側のレール部材42を取り外した状態で示す正面図、図9は図8の演出役物28を一側方から見た状態で示す側面図、図10は移動部材39の動作原理を模式的に示す側面図、図11は移動部材39の動作原理を模式的に示す平面図である。
図7、図9及び図10に示すように、移動部材39の背面側(つまり、図7の上側)に設けられた壁面60の裏側には、レール部材42に対して揺動する力を移動部材39に付与する揺動ソレノイド(駆動部材)59が配置されている。
なお、本実施形態では、移動部材39を揺動させる駆動部材として揺動ソレノイド59を用いた例を挙げて述べるが、モータの回転力をギヤ列若しくはカム機構を介して突出部材61に伝達するようにしたものを駆動部材として用いることもできることは勿論である。
本実施形態では、上記移動部材39は、遊技領域3aに打ち出されて始動チャッカー27に入賞した後の遊技球Baを複数個(例えば4個)積載してレール部材42に沿って移動するように構成される。そして、該移動部材39のレール部材42に沿った一方向(つまり、図2の右方)の進退移動が、該移動部材39の積載部39dに積載した遊技球Baを回転振分け部材50側に放出する演出動作となり、移動部材39のレール部材42に沿った他方向(つまり、図2の左方)の進退移動が、該移動部材39に積載した遊技球Baをトレー部55とは逆側に放出する演出動作となる。
図8に示すように、演出役物28は、壁面60の前側(紙面の手前側)における前後方向に2本が左右方向に延在するように平行に配置された一対のレール部材42と、移動部材39をレール部材42に沿って移動させる第1駆動部63と、移動部材39を、第1駆動部63の回動軸部76(図10参照)を中心に揺動させる第2駆動部64と、を有している。なお、図8及び図9において、手前側(つまり、遊技者側)のレール部材42は取り外した状態で描かれている。
第1駆動部63は、移動部材39を、その車輪62が正面視においてレール部材42上に位置する状態で保持する保持部材24と、該保持部材24の下部に固定された状態で軸72を介して支持部65に回動自在に支持されたギヤ部材73と、支持部65側に固定された駆動モータ69と、該駆動モータ69の回転軸67の先端に固定されたピニオン68と、を有している。ギヤ部材73は、図8における下方に向いた半周分にのみ歯部が形成されており、それら歯部がピニオン68に噛合している。
支持部65は、センター役物23側に支持されており、その最上部には、レール部材42の略山形形状に沿うように曲がった形状の案内溝66が形成されている。該案内溝66には、保持部材24の裏側に設けられた凸部78(図9参照)が摺動自在に挿入されている。ギヤ部材73が、駆動モータ69の回転駆動時にピニオン68の一方向、他方向(時計回り方向、反時計回り方向)の回転を受けると、保持部材24は、裏側の凸部78を案内溝66に沿わせつつレール部材42に沿うように動作する。
第2駆動部64は、図9ないし図11に示すように、移動部材39の側面部39cから所定距離だけ離間した位置にあって、該移動部材39の側面部39cに対し、プランジャ59aを介して突出部材61を進退動作させて該移動部材39に揺動力を与えるように構成される。壁面60における移動部材39の側面部39cに対向する位置には、開口60aが形成されており、該開口60aには、移動部材39の上記側面部39cに対し進退動作して当接/離反し得るように突出部材61が摺動自在に挿入されている。該突出部材61の後端には、揺動ソレノイド59のプランジャ59aの先端が固定されている。
移動部材39は、保持部材24の上端部24aに図8及び図9に示す状態で固定された基台部39aを下部に有すると共に、該基台部39aの上部において該基台部39aに対して揺動し得る本体部39bを有している。基台部39aの図8における紙面手前−奥方向には、それぞれ2個ずつの車輪62が固定されている。図11に示すように、保持部材24に対し固定された基台部39aの平面視の中心部分には、回動軸部(回動軸)76が固定されており、該回動軸部76の上端部には本体部39bの中心部分が回動自在に支持されている。回動軸部76には、トーションコイルバネ77のコイル部77cが巻き掛けられており、該トーションコイルバネ77の一端部77bが回動軸部76に固定され、かつ該トーションコイルバネ77の他端部77aが本体部39b側に固定されている。
これにより、図11において、揺動ソレノイド59が作動してプランジャ59aを進出させた際、該プランジャ59aの先端に固定された突出部材61が本体部39bの回動中心(つまり、回動軸部76)からずれた位置の側面部39cを押圧するため、実線で示す初期位置(以下、実線位置という)の本体部39bが、トーションコイルバネ77の付勢力に抗して、基台部39aに対し(即ち保持部材24に対し)回動軸部76を中心に回動して二点鎖線位置に回動する。そして、プランジャ59aが後退し、本体部39bが突出部材61による押圧力から解放されると、該本体部39bは、今度はトーションコイルバネ77の戻り方向の付勢力に準じて実線位置に復帰する。本体部39bは、該往復する回動動作を数回繰り返す、回動軸部76を中心とした矢印A方向の揺動動作を行う。揺動ソレノイド59は、後述する演出制御手段91の制御で、一回の演出動作に関してプランジャ59aを矢印B方向に複数回進退動作させて、本体部39bの側面部39cを適切なタイミングで押圧・解放する。これにより、移動部材39は、本体部39bを基台部39aに対し複数回、揺動させて、大当たり当選に対する期待度を高めるように演出動作する。
ついで、本パチンコ機1の背面構造について図12を参照して説明する。同図は、本パチンコ機1の背面構造を示す背面図である。
すなわち、図12に示すように、パチンコ機1の前扉背面における上部左方には、賞球タンク43が取り付けられており、この賞球タンク43の下方に、副制御基板38、主制御基板40、及び払出し制御基板51がこの順に配設されている。また、前扉背面における上部右方には、外部端子板52が取り付けられており、この外部端子板52の下方に、整列待機通路45、賞球装置46、賞球排出通路47、電源ユニット41、及び発射装置(図示せず)用の発射制御基板53がこの順に配設されている。パチンコ機1の前扉背面における左側部には、施錠装置18が配設されている。
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の制御系を図13に沿って説明する。なお、同図は本パチンコ機の制御系を示すブロック図である。
すなわち、本制御系は、遊技制御装置80と、該遊技制御装置80に電気的に接続された、始動チャッカー開閉ソレノイド70、アタッカー開閉ソレノイド71、放音装置12、演出用照明装置8,11、画像表示装置35、第1駆動部63の駆動モータ69、及び第2駆動部64の揺動ソレノイド59と、を備えている。
遊技制御装置80は、図12に示した主制御基板40や副制御基板38等から構成されている。主制御基板40は、本パチンコ機1の動作全体を統括的に管理するものであり、当該パチンコ機1の動作全体を管理するシステムプログラム及び遊技用の実行プログラムが予め記憶された半導体メモリ等からなる記憶部(図示せず)と、これらのプログラムを実行する不図示のマイクロプロセッサ(MPU)とを備えている。また、副制御基板38は、主に画像表示、効果音等の演出、効果光等の表示制御を行うように構成されている。
遊技制御装置80は、入賞判定手段81、入賞信号出力手段82、抽選手段83、始動チャッカー開閉制御手段94、遊技制御手段86、保留手段87、作動制御手段88、作動判定手段89、作動決定手段90、演出制御手段91、及び表示制御手段92を備えている。
入賞判定手段81は、発射ハンドル2の操作で作動する発射装置(図示せず)によって遊技領域3aに打ち出された遊技球が始動チャッカー27、一般入賞口25a,25b,26a,26b、アタッカー93等の何れかに入賞したとき、当該入賞があった旨を判定する。また、入賞判定手段81は、スルーゲート32aを遊技球が通過した際にも、当該通過があった旨を判定する。
入賞信号出力手段82は、入賞判定手段81によって入賞が判定されたとき、対応する始動チャッカー27、一般入賞口25a,25b,26a,26b、アタッカー93等に入賞した旨の入賞信号を出力する。また、入賞信号出力手段82は、入賞判定手段81によってスルーゲート32aの遊技球通過が判定されたとき、該ゲート32aを遊技球が通過した旨の信号を出力する。
抽選手段83は、遊技領域3aに打ち出された遊技球の入賞を契機として大当たり抽選(即ち、特別遊技状態に移行するか否かの抽選)を実行する。すなわち、抽選手段83は、入賞信号出力手段82からの始動チャッカー27に対応する入賞信号の入力時、最大保留球数未満での入賞を契機として、次なる大当たりを当選させるまで遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態となる確率変動当たりや、該特殊状態とならない通常当たりに当選したり外れたりするように、大当たり乱数値を取得して、大当たり抽選を実行する。
そして抽選手段83は、大当たり抽選で確変当たりに当選した場合、演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、確変当たりに対応する「111」等の図柄が画像表示装置35の大当たり有効ライン上で最終的に揃う旨の変動パターンを決定し、その旨の変動パターン信号を出力する。なお、上記「大当たり有効ライン」は、大当たりを得るため図柄が一列に並ぶべき位置(ライン)を意味する。また抽選手段83は、大当たり抽選で通常当たりに当選した場合、変動の結果、通常当たりに対応する「222」等の図柄が大当たり有効ライン上で最終的に揃う旨の変動パターンを決定し、その旨の変動パターン信号を出力する。更に抽選手段83は、大当たり抽選に外れた場合、変動の結果、外れに対応する「252」等の図柄が大当たり有効ライン上で最終的に揃う旨の変動パターンを決定し、その旨の変動パターン信号を出力する。
始動チャッカー開閉制御手段94は、スルーゲート32aを遊技球が通過した旨の信号が入賞信号出力手段82から出力されたとき、始動チャッカー開閉ソレノイド70に駆動信号を出力して作動させ、始動チャッカー27を、予め設定された短時間だけ開閉動作させる。
遊技制御手段86は、放音装置12、演出用照明装置8,11、第1駆動部63、第2駆動部64に放音、発光等の演出をさせる契機となる指令を、演出制御手段91に送る。また遊技制御手段86は、予め設定された演出データや、抽選手段83での抽選結果に応じて、画像表示装置35に表示すべき大当たり抽選に関連する演出内容に関する信号を表示制御手段92に送る。
保留手段87は、抽選手段83から出力された変動パターン信号を入力し、変動パターンを、始動チャッカー27への入賞の都度に行われた抽選の結果となる保留球として順次記憶する。当該記憶状況は、保留表示装置(図示せず)に、最大4個の保留球となるように点灯表示される。保留手段87は、保留球数が例えば4個になっているか否かを常時判定し、保留球数が4個表示されている間は、始動チャッカー27への入賞に拘わらず大当たり抽選は行わない。なお、保留球として点灯表示される保留球数は上記「最大4個」に限らず、例えば3個以下、又は5個以上として適宜設定することも可能である。
作動制御手段88は、アタッカー開閉ソレノイド71に駆動信号を送って該ソレノイド71を作動させ、抽選手段83での抽選による大当たり発生時にアタッカー93を開放して所定数入賞が終了する(又は所定時間が経過する)毎に閉塞する動作を所定回数(所定ラウンド)だけ繰り返すように制御する。
作動判定手段89は、アタッカー開閉ソレノイド71を作動させるための条件を満たすか否かを判定する。つまり、アタッカー開閉ソレノイド71にあって、アタッカー93の開放の「条件を満たす」時とは、所謂リーチ(所謂スーパーリーチ、ノーマルリーチを含む)の状態から3つの同じ図柄が大当たり有効ライン上で揃って大当たりが発生した場合であり、アタッカー93の閉塞の「条件を満たす」時とは、大当たり発生時の全てのラウンドにおける入賞を完了した場合である。
作動決定手段90は、作動判定手段89からの判定信号を受けて、アタッカー開閉ソレノイド71の作動開始を決定する。
演出制御手段91は、遊技制御手段86からの指令に応答して、放音装置12を放音駆動し、演出用照明装置8,11を発光駆動し、遊技者の聴覚や視覚に訴える演出を行う。また演出制御手段91は、遊技制御手段86からの指令に応答して、第1駆動部63の駆動モータ69や第2駆動部64の揺動ソレノイド59を駆動し、遊技者の視覚に訴える演出を行う。
表示制御手段92は、遊技制御手段86からの信号に従って、画像表示装置35を駆動し、大当たり抽選結果を中心とした内容等の演出を、遊技者の視覚に訴えるように演出表示する。
次に、本パチンコ機1による作用について、図14のフローチャートを併せて参照しつつ説明する。
すなわち、本パチンコ機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル2を握り、適宜の角度に回動操作すると(ステップS1)、発射装置の作動で遊技球が所定の時間間隔で遊技領域3aに向けて連続的に発射される。すると、遊技領域3aに打ち出されて転動する多数の遊技球は、始動チャッカー27や一般入賞口25a,25b,26a,26bに適時入賞し、或いは、これらに関与せずに流下して、遊技領域3a最下部のアウト口29から遊技盤3背面側に排出される。
遊技領域3aに打ち出された遊技球の一部が、スルーゲート32aへの遊技球通過に応答して開放した始動チャッカー27に入賞すると、入賞判定手段81が当該入賞を判定し、且つ入賞信号出力手段82が入賞信号を出力する(ステップS2)。そして、該遊技球は、入賞ごとに貯留部30に順次貯留され、該貯留部30に4個が溜まると、その後に入賞してくる遊技球は、貯留されている4個目の遊技球により貯留部30への進入を拒まれて、受入部37側に流出することになる。貯留部30に貯留された4個の遊技球Baは、当該4個目の遊技球Baがセンサ(図示せず)によって検知されている。
一方、受入部37側に流出した遊技球Baは、通路部48の通路48bを経由して貯留部57に5個が貯留されると、該5個目がセンサによって検知される。これら遊技球Baの検知結果は、遊技制御手段86によって認識されている。この間、一般入賞口25a,25b,26a,26bの何れかに遊技球が入賞した場合にも、入賞判定手段81が当該入賞を判定し、且つ入賞信号出力手段82が入賞信号を出力する(ステップS2)。
始動チャッカー27への入賞時、最大保留球数未満の状態であれば、抽選手段83による大当たり抽選が実行される(ステップS3)。その際、大当たり抽選に当選して抽選手段83が当たりフラグをオンすると、演出乱数値に基づく抽選で、大当たりの種別、つまり確変当たり又は通常当たりに対応する変動パターンが決定される。これにより、画像表示装置35に表示されるべき当たり図柄がセットされ、抽選手段83は、その旨の変動パターン信号を出力すると共に、当該変動パターン信号に基づく演出表示が終了するまでは次の変動パターン信号を送信しないようにするために図柄変動禁止フラグをオンし、当該オンした図柄変動禁止フラグを解除する時間を計測するための図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする(ステップS4)。
一方、ステップS3で大当たり抽選に外れた場合は、演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、外れに対応する図柄が最終的に揃う旨の変動パターンが決定される。これにより、画像表示装置35に表示される外れ図柄がセットされ、抽選手段83は、その旨の変動パターン信号を出力すると共に、図柄変動禁止フラグをオンし、図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする。
そして、遊技制御手段86が、画像表示装置35の画面35aに表示すべき演出内容に関する信号を、表示制御手段92に送信することに基づき、表示制御手段92は、画像表示装置35を駆動し、大当たり抽選結果(大当たり当選又は外れ)に関する内容等を、遊技者の視覚に訴えるように演出表示する(ステップS5)。この際、遊技制御手段86から指令が出ていれば、演出制御手段91は、画面35a上の演出に合わせて、放音装置12を放音駆動し、或いは、演出用照明装置8,11を発光駆動して、演出を盛り上げるように作動制御する。
上記演出において、演出制御手段91は、例えばスーパーリーチに発展した場合、期待感を盛り上げるため、放音装置12を放音駆動し、或いは演出用照明装置8,11を発光駆動する。そして、画面35a上に大当たり決定の抽選結果が表れた場合、作動制御手段88は、作動決定手段90の作動開始決定の旨の信号に基づき、所定のタイミングでアタッカー開閉ソレノイド71に駆動信号を送り、当該ソレノイド71を作動させてアタッカー93を開放し、所定数入賞が終了する(又は所定時間が経過する)毎に閉塞する動作を所定回数(所定ラウンド)だけ繰り返させる。これにより、アタッカー93に入賞した遊技球に対応する多量の遊技球が球供給口17から皿ユニット16に払い出される(ステップS6)。
ここで、大当たり抽選結果の表示演出時におけるセンター役物23内の各役物の動作等について説明する。
すなわち、スルーゲート32aへの遊技球通過に応じて始動チャッカー27が短時間開放した場合に、該始動チャッカー27に遊技球が入賞すると、抽選手段83による大当たり抽選が行われると共に、入賞検知を施された後の遊技球Baは、受容部4の貯留部30に順次送り込まれる。その際、貯留部30内に遊技球が存在しない状態から、送り込まれた遊技球Baが4個溜まると、該4個目の遊技球Baが不図示のセンサで検知され、演出役物28による演出に必要な個数の遊技球Baが揃った旨が遊技制御手段86により認識される。そして、5個目以降の遊技球Baは、流入部5の受入部37側に流出される。
これにより、受入部37には、受容部4側から流出された遊技球Baが順次送りこまれ、通路48bを通って貯留部57に貯留される。その際、不図示のセンサで5個目の遊技球Baが検知されると、トレー部55での演出に必要な個数の遊技球Baが揃った旨が遊技制御手段86によって認識される。
そして、画像表示装置35の画面35aには、始動チャッカー27の入賞に対応して抽選手段83で抽選された抽選結果が時系列で表示される。本実施形態において、センター役物23での演出は、回転振分け部材50に対する遊技球Baの物理的な動きで表すことがメインであるため、画面35a上に表示される演出内容は、派手さを抑えたものであり、遊技者の注意ができるだけ回転振分け部材50など、遊技球Baの流れに向き易いように構成されている。
画面35a上で、大当たり抽選結果に基づいた内容の演出表示が行われている間、遊技制御手段86によって、遊技球Baを実際に用いた演出を実行する旨の指令が出力されている場合には、例えば以下のように演出が実行される。すなわち、画面35a上での演出に対応したタイミングで送込部33が作動すると、貯留部30内に貯留されている4個の遊技球Baが、個別に(或いは一斉に)、下方の移動部材39内に落下される。このとき、移動部材39は、空の状態で、かつ図2に示すようにレール部材42の最上部に位置している。この際に落下する遊技球の個数に応じて、大当たり当選に対する期待度が変わることになる。
この状態から、遊技者の期待感を膨らませるため、移動部材39の倒れる方向が選択される。すなわち、遊技制御手段86が、大当たりの期待度を低くする指令を出力していた場合は、演出制御手段91が、移動部材39を図2の左方に傾斜させるように駆動モータ69を駆動する。このため、図8においてピニオン68が時計回り方向に回動し、これにより、該ピニオン68に噛合しているギヤ部材73が反時計回り方向に回動する。このため、保持部材24が案内溝66に沿って左方に傾斜するように傾動し、移動部材39が大きく傾斜することにより、積載している4個の遊技球Baが全て排出部74(図2参照)からセンター役物23の外方である遊技盤背面側に排出される。この演出の場合、大当たり演出のそれ以上の発展は無く、従って、この回の演出はこれで終了することになる。
一方、遊技制御手段86が、大当たりの期待度を高くする指令を出力していた場合は、演出制御手段91が、移動部材39を図2の右方に傾斜させるように駆動モータ69を駆動する。このため、図8においてピニオン68が反時計回り方向に回動し、これにより、ギヤ部材73が時計回り方向に回動する。このため、保持部材24が案内溝66に沿って右方に傾斜するように傾動し、移動部材39が大きく傾斜することで、積載している4個の遊技球Baがトレー部49に落下する。従って、待機状態の移動部材39に受容部4から遊技球Baが4個一斉に落下することで、遊技者は、期待できる何かが起きていることにハッと驚き、移動部材39の動きに注目することになる。この演出の場合、大当たり演出の更なる発展が期待できる。
上記の場合、例えば遊技制御手段86から移動部材39を揺動させる演出についても指令が出されていた際は、移動部材39の傾動動作に先立ち、演出制御手段91の制御で揺動ソレノイド59が小刻みに進退動作させられる。これにより、レール部材42の曲がりの最上部に位置している移動部材39が、その側面部39cを突出部材61の先端で連続的に突かれることにより、レール部材42上で該レール部材42に対し水平方向にて捩れるように揺動動作する。これにより、遊技者は、この移動部材39の動きが、更に次なる演出に発展するか否かに目を見張り、想像通りに右方に傾動してトレー部49に遊技球Baを落下させた場合は、大きな喜悦感を得て、大当たりへの期待に胸を膨らませることになる。
そして、移動部材39が、図2及び図3に示す状態から、図4〜図6に示す状態になると、移動部材39内の遊技球Baが全てトレー部49に落下し、更に、トレー部49の傾斜に伴って開口49bから流路49aを通って、滞留部49cに向けて順次流下し、揚送機構54に対面する(図7参照)。なお、図7には、1個が揚送機構54に乗り、滞留部49c側の1個が揚送機構54に対面し、かつ滞留部55c側の1個が揚送機構54に対面している様子が描かれている。つまり、同図のこの状況は、トレー部49から滞留部49cに送られた複数の遊技球Baと、トレー部55から滞留部55cに送られた複数の遊技球Baとが、揚送機構54の昇降動作によって凹部50a以外の凹部50b,50c等に進入させられて減少した際の様子を示している。この際、図7に示される移動部材39上の遊技球は、遊技の進行上、実際にはまだ存在しない。
例えば、滞留部49cに4個の遊技球が存在し、滞留部55c側には遊技球が存在せず、Vゾーンである凹部50aが揚送機構54に対する4つ手前側に位置している状態を想定する。ここで大当たり抽選に当選していたとすると、図7の時計回り方向にゆっくりと回転する回転振分け部材50の凹部50aが揚送機構54に対向するまで、凹部50f,50g,50hに対して揚送機構54が1個ずつ遊技球Baを進入させるように作動する。
一方、大当たり抽選に当選していない場合は、滞留部49cや滞留部55cにおける遊技球Baの個数、及びVゾーンの位置とは無関係に、凹部50aに入賞させることはない。つまり、そのような演出実行のために遊技制御手段86から出されている指令に基づき、演出制御手段91は、十分な個数の遊技球Baが存在していても、凹部50aが揚送機構54に対向した際には該揚送機構54を作動させず、該凹部50aに遊技球の進入させなるように制御する。
以上のように本実施形態によれば、移動部材39から離間した位置に設けられた第2駆動部64が、突出部材61を進退動作させて移動部材39に揺動力を与えるので、従来技術の可動体に内蔵されるソレノイドのような駆動手段が存在しないことにより、第1駆動部63による移動動作に加え該第1駆動部63の回動軸部76を中心に揺動するという複雑かつ玄妙な動作を実現しながらも、移動部材39そのものの構造を簡素化でき、演出役物28の可動構造を可及的にシンプルにし、可動体としての移動部材39をコンパクト化することができる。
また、本実施形態では、揺動ソレノイド59が、移動部材39の背面側に設けられた壁面60の裏側に配置され、該壁面60の開口60aから突出部材61を移動部材39に対して進退動作させるので、遊技者から見えない位置に設けた揺動ソレノイド59により移動部材39を確実に揺動動作させることができる。そして、移動部材39から離れた位置に配置された駆動用の手段が、簡素で且つ比較的低価格な揺動ソレノイド59であるので、演出役物28の全体構造をより簡素化できると共に、製造コストの削減も期待することができる。
更に、本実施形態では、始動チャッカー27を一体的に有し、かつ該始動チャッカー27に入賞した後の遊技球Baを導入して演出に用いるセンター役物23を遊技領域3aに備え、演出役物28が、センター役物23の内方空間に配置されて、始動チャッカー27に入賞した後の遊技球Baを移動部材39に積載して演出動作を行う。これにより、始動チャッカー27に入賞した後の遊技球Baを演出に自由に用いることができ、演出の幅を広げることができる。
また、本実施形態では、移動部材39のレール部材42に沿った一方向への移動動作を、移動部材39に積載した遊技球Baを回転振分け部材50に向けて放出する演出動作とし、移動部材39のレール部材42に沿った他方向への移動動作を、移動部材39に積載した遊技球Baを回転振分け部材50とは逆の方向に放出する演出動作としている。これにより、移動部材39のレール部材42に沿った別方向の動作により、大当たりの期待を高めたり低めたりするような興趣の高い演出を提供することができる。
そして、本実施形態では、移動部材39を、遊技領域3aに打ち出されて始動チャッカー27に入賞した後の遊技球Baを複数個積載してレール部材42に沿って移動するトロッコ状の部材として構成した。このため、例えば炭坑の内部で移動するトロッコに、石炭を連想させる遊技球を複数個積載した状態でレール部材42に沿って移動させ、該トロッコの移動で遊技球を積載したり落下させたりすることで、あたかも炭坑の中を覗いているような臨場感を遊技者に与えることができ、新奇で興趣の高い演出を提供できる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。