JP4868094B1 - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

アノード電極及びカソード電極に挟持された高分子電解質膜と、前記アノード電極に対して、燃料成分を少なくとも含む燃料ガスを供給するために該アノード電極に対面して配置された燃料ガス流路と、前記カソード電極に対して、酸化剤成分を少なくとも含む酸化剤ガスを供給するために前記カソード電極に対面して配置された酸化剤ガス流路と、を有する燃料電池を備え、無加湿条件下で運転される燃料電池システムであって、前記燃料ガス流路における前記燃料ガスと前記酸化剤ガス流路における前記酸化剤ガスの流れ方向が互いに対向しており、前記燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、目標とする目標湿潤状態よりも低い低湿潤状態側に変化した後、該低湿潤状態から前記目標湿潤状態に変化するように、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する湿潤状態制御手段を備えることを特徴とする、燃料電池システム。
【選択図】図5

Description

本発明は、固体高分子電解質型燃料電池を備えた燃料電池システム、特に、無加湿条件下、燃料電池を運転させる燃料電池システムであって、高温運転時にも燃料電池内部の乾燥状態を回避し、安定した発電を可能とする燃料電池システムに関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないため、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で狭持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノード電極(燃料極)では式(A)の反応が進行する。
→ 2H + 2e ・・・(A)
前記式(A)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード電極(酸化剤極)に到達する。そして、前記式(A)で生じるプロトンは、水和した状態で、固体高分子電解質内をアノード電極側からカソード電極側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソード電極では式(B)の反応が進行する。
2H + (1/2)O + 2e → HO ・・・(B)
カソード電極で生成した水は、ガス流路等を経て外部へと排出される。このように、燃料電池は、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
固体高分子電解質型燃料電池では、電解質膜や電極内の水分量によって、その発電性能が大きく左右される。すなわち、排出物である水分が過剰である場合には、燃料電池内部において凝縮した水が、電極内の空隙、さらにはガス流路を塞いで反応ガス(燃料ガスや酸化剤ガス)の供給を阻害し、発電のための反応ガスが電極に充分に行き渡らずに、濃度過電圧が増大し、燃料電池の出力や発電効率が低下するという問題が生じる。一方、燃料電池内の水分が不足し、電解質膜や電極が乾燥した場合には、電解質膜や電極内におけるプロトン(H)の伝導性が低下し、その結果、抵抗過電圧が増大し、燃料電池の出力及び発電効率が低下するという問題が生じる。
また、固体高分子電解質型燃料電池では、電解質膜の面方向(すなわち、電極の面方向)において、不均一な水分布、すなわち、水の偏在が生じる。その結果、電解質膜の面方向において、不均一な発電量分布が生じ、さらなる水の偏在化、ひいては、燃料電池の出力及び発電効率が低下する。
以上のように、固体高分子電解質型燃料電池において、高出力及び高発電効率を実現するためには、適切な水分管理が非常に重要である。水分の不足、特にいわゆるドライアップを回避すべく、加湿した反応ガスを供給することも提案されているが、この場合、上記のような水分過剰による問題がさらに生じやすくなる。また、加湿器搭載による燃料電池の大型化やシステムの煩雑化等が生じる。
そこで、反応ガスを加湿しない無加湿条件で、燃料電池の含水状態を適切に管理し、安定した発電性能を得る試みがなされている。
例えば、特許文献1には、無加湿条件及び/又は高温条件下、運転する燃料電池システムであって、燃料電池の抵抗値、電圧、酸化剤ガスの圧力損失のいずれかに基づいて酸化剤ガス流路入口近傍の乾燥状態を判定し、該判定に基づいて、燃料ガスの流量又は燃料ガスの圧力を制御することによって、燃料電池の面内水分量分布の発生を防止するシステムが開示されている。
また、燃料電池内の含水状態を管理する技術として、例えば、特許文献2には、燃料電池の出力電流値を測定する電流センサと、燃料電池の出力電圧値を測定する電圧センサと、燃料電池の運転状態が最適な運転状態であるときの基準となる前記出力電圧値と前記出力電流値との関係を記憶する記憶部とを備え、前記電流センサにより測定された測定電流値に対応する最適電圧値を前記記憶部から読み出し、読みだした前記最適電圧値と前記電圧センサにより測定された測定電圧値の差が予め定められた閾値よりも大きい場合に、燃料電池の水分状態が乾燥状態であると判定する燃料電池システムが開示されている。
また、特許文献3には、燃料電池の複数の計測箇所で電圧計測する計測手段と、計測された電圧のうち異なる計測箇所において計測された電圧の差から推定される前記複数の計測箇所間の含水量の差に基づいて、燃料電池の水分の偏在状況を推定する燃料電池システムが開示されている。
また、特許文献4には、燃料電池の電圧の時系列的な推移から、過渡的な負荷増加に対応した電圧の低下幅に基づいて、燃料電池の含水状態判定を行うための実行条件を具備するか判定し、該実行条件を具備すると判定された場合に、前記電圧の低下幅と、抵抗の時系列的な推移とに基づいて、燃料電池の含水状態を判定する、燃料電池システムが開示されている。
特開2009−259758号公報 特開2010−114039号公報 特開2009−193817号公報 特開2009−117066号公報
しかしながら、従来の燃料電池における水分管理技術では、燃料電池内における乾燥状態の発生を充分に回避することができない。例えば、特許文献1に記載の技術は、無加湿条件や高温条件の際に発生しやすい、酸化剤ガス流路の入口近傍におけるドライアップを抑制できるが、検出された燃料電池の電圧、抵抗や圧力損失に基づいて燃料ガスの流量や圧力を制御するフィードバック制御であるため、一時的に燃料電池内が乾燥状態になるおそれがある。一旦乾燥状態(ドライアップ)になった電解質膜や電極は、最適な含水状態になる、すなわち、発電性能が回復するまでに時間がかかり、また、乾燥状態になった電解質膜や電極の材料劣化が加速するという問題がある。従って、一時的であっても、燃料電池内のドライアップの発生は回避すべきである。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、燃料電池内のドライアップ、特に酸化剤ガス流路の入口近傍におけるドライアップの発生を回避する燃料電池システムを提供することである。
本発明の燃料電池システムは、
アノード電極及びカソード電極に挟持された高分子電解質膜と、
前記アノード電極に対して、燃料成分を少なくとも含む燃料ガスを供給するために該アノード電極に対面して配置された燃料ガス流路と、
前記カソード電極に対して、酸化剤成分を少なくとも含む酸化剤ガスを供給するために前記カソード電極に対面して配置された酸化剤ガス流路と、
を有する燃料電池を備え、無加湿条件下で運転される燃料電池システムであって、
前記燃料ガス流路における前記燃料ガスと前記酸化剤ガス流路における前記酸化剤ガスの流れ方向が互いに対向しており、
前記燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、目標とする目標湿潤状態よりも低い低湿潤状態側に変化した後、該低湿潤状態から前記目標湿潤状態に変化するように、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する湿潤状態制御手段を備えることを特徴とする。
本発明の燃料電池システムによれば、酸化剤ガス流路入口がドライアップ状態になるのを回避し、燃料電池の電解質膜の面方向において、均一な発電が進行するように、該面方向における水分量を適切に制御することが可能である。
前記湿潤状態制御手段は、前記湿潤状態を前記低湿潤状態側へ変化させるために、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を所定量変化させた後、該所定量変化に伴う所定のパラメータの変化量に基づいて、さらに前記湿潤状態を前記低湿潤状態側へ変化させるために、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を所定量変化させることができる。
前記湿潤状態制御手段は、前記燃料ガスの流量を、一旦、目標とする目標燃料ガス流量よりも高い高燃料ガス流量側に増加させた後、該高燃料ガス流量から前記目標燃料ガス流量まで低下させることができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、前記目標燃料ガス流量は、前記燃料電池の電圧と、前記燃料電池の所定温度における前記燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係から、予め取得されていてもよい。
本発明の燃料電池システムは、前記燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段を備え、
前記湿潤状態制御手段は、前記電圧測定手段により前記燃料電池の電圧が目標電圧に達したと判定したら、前記湿潤状態が前記低湿潤状態から前記目標湿潤状態まで変化するように前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する処理を終了させることができる。
また、本発明の燃料電池システムは、前記燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段を備え、
前記湿潤状態制御手段が、前記電圧測定手段により測定された燃料電池の電圧に基づいて、該湿潤状態制御手段による前記燃料ガスの流量又は圧力の変化量に対する前記燃料電池の電圧の変化量の割合を算出する算出部を有し、前記湿潤状態を現時点の湿潤状態から前記低湿潤状態側に変化させる前記燃料ガスの流量及び/又は圧力の制御を、該割合が所定の範囲になるまで繰り返すことができる。
前記湿潤状態制御手段は、前記燃料ガス流路の出口における水蒸気量が、一旦、目標とする目標燃料ガス出口水蒸気量よりも多い多燃料ガス出口水蒸気量側に変化した後、該多燃料ガス出口水蒸気量から前記目標燃料ガス出口水蒸気量まで低下するように、前記燃料ガスの流量及び/又は燃料ガスの圧力を制御することができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、
前記目標燃料ガス出口水蒸気量は、予め、前記燃料電池の電圧と、前記燃料電池の所定温度における前記燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係から、予め取得されていてもよい。
本発明の燃料電池システムは、前記燃料ガス流路出口における水蒸気量を測定する水蒸気量測定手段を備え、
前記湿潤状態制御手段が、前記水蒸気量測定手段により、前記燃料ガス流路出口における水蒸気量が、前記多燃料ガス出口水蒸気量から前記目標燃料ガス出口水蒸気量まで変化したと判定したら、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する処理を終了させることができる。
本発明の燃料電池システムにおいて、前記湿潤状態制御手段は、前記燃料電池の温度が70℃以上になったら前記燃料ガスの流量及び/又は圧力の制御を開始することができる。70℃以上のようなドライアップが発生しやすい温度条件下でも、本発明によれば、燃料電池の湿潤状態を最適に保持することが可能である。
本発明により提供される燃料電池システムは、高電圧を実現すると共に、ドライアップの発生を確実に防止して、高温条件下の運転でも安定した発電性能を示す。
燃料ガス平均流量と、燃料電池の電圧及び燃料電池抵抗との関係を示すグラフである。 燃料ガス出口水蒸気量と燃料ガス平均流量との関係を示すグラフである。 本発明の燃料電池システムの実施形態例100を示す図である。 本発明の燃料電池システムにおける単セルの構造例を示す断面図である。 燃料電池システム100における湿潤状態制御手段の制御フロー例を示す図である。 図5に示す制御フローにおけるk及びkの設定方法を説明する図である。 本発明の燃料電池システムの実施形態例101を示す図である。 燃料電池システム101における湿潤状態制御手段の制御フロー例を示す図である。
本発明の燃料電池システムは、
アノード電極及びカソード電極に挟持された高分子電解質膜と、
前記アノード電極に対して、燃料成分を少なくとも含む燃料ガスを供給するために該アノード電極に対面して配置された燃料ガス流路と、
前記カソード電極に対して、酸化剤成分を少なくとも含む酸化剤ガスを供給するために前記カソード電極に対面して配置された酸化剤ガス流路と、
を有する燃料電池を備え、無加湿条件下で運転される燃料電池システムであって、
前記燃料ガス流路における前記燃料ガスと前記酸化剤ガス流路における前記酸化剤ガスの流れ方向が互いに対向しており、
前記燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、目標とする目標湿潤状態よりも低い低湿潤状態側に変化した後、該低湿潤状態から前記目標湿潤状態に変化するように、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する湿潤状態制御手段を備えることを特徴とする。
本発明者らは、燃料ガス流路における燃料ガスと酸化剤ガス流路における酸化剤ガス流路の流れ方向が互いに対向する、いわゆるカウンターフロー型の燃料電池において、無加湿条件運転し、燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量(以下、燃料ガス平均流量ということがある。)を変化させた際の燃料電池の電圧と抵抗値とを測定しつつ、燃料ガス流路の出口を流れる燃料ガス中に含まれる水蒸気量(以下、燃料ガス出口水蒸気量ということがある)を測定したところ、図1及び図2に示す結果が得られた。図1は、燃料ガス平均流量と燃料電池の電圧及び抵抗のとの関係を示す図であり、図2は、燃料ガス平均流量と燃料ガス平均流量との関係を示す図である。図1及び図2における状態1〜3は対応しており、状態1〜3においては、以下のような燃料ガス出口水蒸気量と燃料電池電圧及び抵抗値との関係が観察された。
すなわち、燃料ガス流路出口から排出される水蒸気量が非常に少ない場合、燃料電池の電圧は低くなる(状態1)。
このように燃料ガス出口水蒸気量が非常に少ない状態というのは、燃料電池の電解質膜の面方向(すなわち電極の面方向であって、電解質膜と電極との積層方向に対して直交する方向。)において、酸化剤ガス流路入口近傍の領域(つまり、燃料ガス流路出口近傍の領域)が乾燥している状態であり、該領域での発電が行われず、酸化剤ガス流路出口近傍の領域(つまり、燃料ガス流路入口近傍の領域)で集中的に発電が行われる。このとき、アノード電極側の水蒸気は、カソード電極側の乾燥を補うべく、乾燥状態のカソード電極側へと移動するために、燃料ガス出口水蒸気量は少なくなると考えられる。また、酸化剤ガス流路入口近傍の領域では、乾燥により抵抗過電圧が大きくなり、一方、酸化剤ガス流路出口近傍の領域では、酸化剤成分の濃度低下により濃度過電圧が大きくなるために、燃料電池の電圧は低くなると考えられる。
一方、燃料ガス流路出口から若干の水蒸気が排出される場合、燃料電池の電圧は高くなる(状態2)。
このように若干の水蒸気が排出される状態というのは、燃料電池の上記面方向において、含水状態が均一且つ良好な状態であり、面内で均一な発電が行われるため、濃度過電圧が低下し、さらには酸化剤ガス流路出口近傍の領域における抵抗過電圧も低くなるため、高い電圧が得られると考えられる。
また、燃料ガス流路出口から排出される水蒸気量が多い場合、燃料電池の電圧は低くなる(状態3)。
このように燃料ガス出口水蒸気量が多い状態では、燃料電池の上記面方向の酸化剤ガス流路入口近傍領域では、充分な湿潤状態であると共に酸化剤成分の濃度が充分に確保されているため発電が集中的に進行すると考えられる。一方、燃料ガス流路入口近傍の領域(つまり、酸化剤ガス流路出口近傍の領域)では、燃料ガスによって燃料ガス流路出口側へと水分が持ち去られて乾燥し且つ酸化剤成分濃度も低いため、抵抗過電圧の増加と濃度過電圧との両方が生じるため、面内において均一な発電分布が得られず、燃料電池の電圧が低くなると考えられる。
本発明者らは、上記結果に基づき、カウンターフロー型の燃料電池において、無加湿条件運転する場合、所定の温度条件下、ピーク電圧を得るべく、燃料ガスの流量や圧力を追い込み制御する際、次のように燃料ガス及び/又は圧力を制御することによって、ドライアップ、特に酸化剤ガス流路の入口領域におけるドライアップを未然に防止し、安定且つ高い出力を示す燃料電池システムが得られることを見出した。
すなわち、本発明の燃料電池システムは、燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、目標とする目標湿潤状態よりも低い低湿潤状態側に変化した後、該低湿潤状態から前記目標湿潤状態に変化するように、燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する。
本発明において、燃料ガス流路の入口領域における目標湿潤状態とは、所定の温度条件下、ピーク電圧が得られる際の、燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態であり、ピーク電圧を得るべく該目標湿潤状態を目指して、燃料ガスの流量及び/又は圧力が制御される。ここで、目標湿潤状態とは、ピーク電圧が得られるある1点の湿潤状態のみを指す場合もあるし、ピーク電圧が得られる幅をもった範囲を指す場合もある。例えば、図1においては、状態2を目標湿潤状態として設定することができる。
ピーク電圧が得られる目標湿潤状態へ追い込み制御する際、湿潤状態の変化の経路としては、例えば、図1においては、状態1から状態2へ変化させる経路、及び状態3から状態2へ変化させる経路がある。
上記したように、状態1は、酸化剤ガス流路の入口領域が乾燥している又は乾燥しやすい状態である。カウンターフロー型の燃料電池において、無加湿運転する際、酸化剤ガス流路の入口領域は、一旦、ドライアップ状態になると、再び、良好な発電性能を示す湿潤状態に回復するのに時間を要する又は良好な発電性能を示す湿潤状態に回復しない。これは、酸化剤ガス流路の入口領域における水蒸気の供給は、カソード電極反応で生成する水による加湿効果が得られにくいからである。また、酸化剤ガス流路の入口領域は、電解質膜を挟んで燃料ガス流路の出口領域と対向している。燃料ガスが燃料ガス流路を上流側から下流側へと流れる間に、電解質膜やアノード電極から燃料ガスに供給される水蒸気量は少ないため、燃料ガス流路の出口領域において、燃料ガスから電解質膜やアノード電極へ供給される水蒸気供給量は少ない。従って、一度乾燥してしまった酸化剤ガス流路の入口領域は、燃料ガスの圧力や流量を変化させたとしても、湿潤状態が回復しにくく、その結果、発電性能も長期間にわたって回復しにくい。
一方、状態3は、燃料ガス流路の入口領域が乾燥している又は乾燥しやすい状態である。カウンターフロー型の燃料電池において、燃料ガス流路の入口領域は、電解質膜を挟んで酸化剤ガス流路の出口領域と対向している。酸化剤ガスは、カソード電極反応の生成水により加湿されるため、酸化剤ガス流路の出口領域は水蒸気量が多い。そのため、燃料ガスの流量や圧力を変化させることによって、燃料ガス流路の入口領域の乾燥状態は、酸化剤ガス流路の入口領域の乾燥と比較的して、速やかに改善、解消され、発電性能の回復も早い。
そこで、本発明では、燃料電池内の湿潤状態を、燃料ガス流路入口領域における湿潤状態を基準とし、且つ、状態1から状態2へ変化させる経路ではなく、状態3から状態2へ変化させる経路で、目標湿潤状態へ追い込み制御する。これによって、酸化剤ガス流路の入口領域が乾燥するのを防止し、発電性能を安定させることができる。さらに、電解質膜の乾燥が抑制されているため、電解質膜の膨潤収縮比が小さく、膨潤収縮による電解質膜及び電極等の劣化も抑えることができる。従って、燃料電池の発電耐久性も向上させることができる。
以下、本発明の燃料電池システムについて、図を参照しながら説明する。
尚、本発明の燃料電池システムの用途は、特に限定されず、例えば、移動体である車両、船舶等の駆動装置に対して電力を供給する電力供給源として、また、その他さまざまな装置の電力供給源として、利用可能である。
また、本発明において、燃料ガスとは燃料成分を含むガスであって、燃料電池内の燃料ガス流路を流れるガスを意味し、燃料成分以外の成分(例えば、水蒸気や窒素ガス等)も含み得る。また、酸化剤ガスとは酸化剤成分を含むガスであって、燃料電池内の酸化剤ガス流路を流れるガスを意味し、酸化剤成分以外の成分(例えば、水蒸気や窒素ガス等)も含み得る。燃料ガスと酸化剤ガスをまとめて反応ガスということがある。
図3は、本発明の燃料電池システムの実施形態例である燃料電池システム100を示している。
燃料電池システム100は、少なくとも、反応ガスの供給を受けて発電する燃料電池1と、燃料ガス配管系2と、酸化剤ガス配管系(図示せず)と、システムを統合制御する制御部3とを有する。
尚、本発明の燃料電池システムは、燃料電池に酸化剤ガスを供給し、燃料電池から未反応の酸化剤成分や水蒸気等を含むガス(排出酸化剤ガス)を排出する、酸化剤ガス配管系を有する。しかし、本発明においては、燃料ガス流路を流れる燃料ガスの方向と酸化剤ガス流路を流れる酸化剤ガスの方向とが、互いに対向するいわゆるカウンターフローであれば、酸化剤ガスの供給、排出の具体的な形態は特に限定されないため、酸化剤ガス配管系については、図中の説明を省略する。
燃料電池1は、固体高分子電解質型燃料電池により構成されており、通常、多数の単セルを積層したスタック構造を有し、酸化剤ガス及び燃料ガスの供給を受けて電力を発生させる。燃料電池1への酸化剤ガス及び燃料ガスの供給、並びに、燃料電池1からの酸化剤ガス及び燃料ガスの排出は、それぞれ、酸化剤ガス配管系及び燃料ガス配管系2によりなされる。以下では、酸化剤ガスとして酸素を含む空気を例に、また、燃料ガスとして水素ガスを含むガスを例に説明する。
図4は、燃料電池1を構成する単セル12の概略断面図である。
各単セル12は、固体高分子電解質膜13を、カソード電極(空気極)14及びアノード電極(燃料極)15で狭持した膜・電極接合体16を基本構造としている。カソード電極14は、電解質膜13側から順にカソード触媒層21とガス拡散層22とが積層した構造を有しており、アノード電極15は、電解質膜13側から順にアノード触媒層23とガス拡散層24とが積層した構造を有している。
膜・電極接合体16は、一対のセパレータ17、18で、カソード電極14及びアノード電極15を両側から挟みこまれている。カソード側のセパレータ17には、カソード電極14に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路を形成する溝が設けられており、該溝とカソード電極14とによって酸化剤ガス流路19が画成されている。アノード側のセパレータ18には、アノード電極15に燃料ガスを供給するための燃料ガス流路を形成する溝が設けられており、該溝とアノードとによって燃料ガス流路20が画成されている。
酸化剤ガス流路19と燃料ガス流路20は、酸化剤ガス流路19を流れる酸化剤ガスの流通方向と燃料ガス流路20を流れる燃料ガスの流通方向が互いに対向するように配置されている(いわゆるカウンターフロー構造)。図4においては、酸化剤ガス流路19及び燃料ガス流路20中の「丸に点」の記号は、ガスの流れ方向が、紙面の向こう側からこちら側の向かう方向であることを意味し、「丸にバツ印」の記号は、ガスの流れ方向が、紙面のこちら側から向こう側に向かう方向であることを意味している。さらに、図4には具体的に示されてはいないが、酸化剤ガス流路19の入口近傍領域と燃料ガス流路20の出口近傍領域とが電解質膜1を挟んで配置され、且つ、酸化剤ガス流路19の出口近傍領域と燃料ガス流路20の入口近傍領域とが電解質膜1を挟んで配置されている。尚、図4では、ガス流路が蛇行型流路(サーペンタイン型流路)であるものとして描かれているが、ガス流路の形態は特に限定されず、カウンターフロー構造を有していれば、どのような形態もとることができる。
燃料電池を構成する各部材は、特に限定されず、一般的な材料で形成された、一般的な構造を有するものであってよい。
燃料電池1には、燃料電池1の温度Tを計測する温度センサ(温度測定手段)9が設置されている。温度センサ9は、燃料電池内の温度を直接測定するものであってもよいし、燃料電池内を流通する熱交換媒体の温度を測定するものであってもよい。
また、燃料電池1には、各単セル又はスタック全体の電圧Vを検出する電圧センサ10が設置されている。
燃料ガス配管系2は、水素タンク4、燃料ガス供給路5、燃料ガス循環路6を有する。水素タンク4は、高圧の水素ガス(燃料成分)を貯留した水素ガス供給源であり、燃料供給手段である。尚、燃料供給手段としては、水素タンク4に代えて、例えば、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する水素貯蔵合金を有するタンクを採用することもできる。
燃料ガス供給路5は、燃料供給手段である水素タンク4から燃料成分である水素ガスを燃料電池1に供給するための流路であり、主流路5Aと、混合路5Bで構成される。主流路5Aは、燃料ガス供給路5と燃料ガス循環路6とを連結する連結部7の上流に位置している。主流路5Aには、水素タンク4の元弁として機能するシャットバルブ(図示せず)や水素ガスを減圧するレギュレータ等が設けられてもよい。水素タンク4から供給される水素ガスの流量(燃料成分ガスの流量)Qbは、燃料電池に対する要求出力に基づいて制御され、要求出力が担保される。混合路5Bは、連結部7の下流側に位置しており、水素タンク4からの水素ガスと燃料ガス循環路6からの排出燃料ガスとの混合ガスを燃料電池1の燃料ガス流路入口に導く。
燃料ガス循環路6は、燃料電池1の燃料ガス流路出口から排出された排出燃料ガスを燃料ガス供給路5に再循環させる。燃料ガス循環路6には、排出燃料ガスを燃料ガス供給路5に再循環させるための再循環ポンプ8が設けられている。排出燃料ガスは、燃料電池の発電によって水素が消費された結果、燃料電池に供給される燃料ガスよりも流量及び圧力が低下しているため、再循環ポンプにより流量や圧力が適宜制御され、連結部7へ圧送される。燃料ガス循環路6、燃料ガス供給路5及び燃料電池1内の燃料ガス流路を連ねた系統によって、燃料ガスを燃料電池に循環供給する循環系が構成される。
燃料電池1から排出される排出燃料ガスには、燃料電池の発電反応により生じた生成水や、燃料電池のカソード電極から電解質膜を介してアノード電極側に透過、すなわち、クロスリークした窒素ガス、未消費の水素ガス等が含まれる。燃料ガス循環路6上には、再循環ポンプ8の上流側に、気液分離器(図示せず)が設けられてもよい。気液分離器は、排出燃料ガスに含まれる水と、未消費の水素ガス等のガスとを分離する。また、燃料ガス循環路6上には、再循環ポンプ8の上流側に、排出燃料ガスの一部を燃料電池の外部に排出し、再循環させる排出燃料ガスの圧力を調整する排出燃料ガス圧力調整弁(図示せず)等が設けられてもよい。
尚、燃料ガス配管系は、水素ガス(燃料成分)の有効利用の観点から、燃料ガス循環路、再循環ポンプ等による循環系を有するものが好ましいといえるが、循環系を有していなくてもよいし、或いは、デッドエンド構造を有していてもよい。
酸化剤ガス配管系は、燃料電池1へ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給路、燃料電池1からの排出酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス排出路、及びコンプレッサを有する。コンプレッサは、酸化剤ガス供給路上に設けられ、コンプレッサにより取り込まれた大気中の空気が酸化剤ガス供給路を流れて圧送され、燃料電池1に供給される。燃料電池1から排出される排出酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出路を流れて、外部に排出される。
燃料電池システムの運転は、制御部3によって制御される。制御部3は、内部にCPU、RAM、ROM等を備えるマイクロコンピューターとして構成されており、ROMやRAM等に記憶された各種のプログラムやマップ等に従って、燃料電池に対する要求出力(出力電流密度、すなわち、燃料電池に接続される負荷の大きさ)や、燃料電池に接続された温度センサ、ガス圧力センサ、ガス流量センサ、電圧センサ、露点計等、各種センサの測定結果等に基づいて、CPUが、各種バルブ、各種ポンプ、燃料ガス配管系、酸化剤ガス配管系、熱交換媒体循環系等、種々の処理や制御を実行する。
燃料電池システム100は、制御部3が、燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、目標とする目標湿潤状態よりも低い低湿潤状態側に変化した後、該低湿潤状態から前記目標湿潤状態に変化するように、燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する湿潤状態制御手段を備える点に大きな特徴を有している。
尚、本発明において、燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態とは、燃料電池内の燃料ガス流路の入口近傍の領域の湿潤状態(含水状態)であり、具体的には、燃料ガス流路入口近傍のアノード電極、電解質膜、並びに、該電解質膜を挟んで該入口近傍のアノード電極と対向するカソード電極の湿潤状態を意味する。燃料電池内の該湿潤状態は、燃料電池の温度、燃料ガスの流量及び圧力、並びに、酸化剤ガスの流量及び圧力等、燃料電池の運転諸条件によって変化するものであり、これら諸条件によって制御可能である。
本発明においては、制御が容易であること、制御の応答が速いことから、燃料ガスの流量及び/又は圧力によって、燃料電池内の湿潤状態を制御する。中でも、特に制御の応答が速いことから、湿潤状態制御手段は、燃料ガスの流量によって燃料電池内の湿潤状態を制御することが好ましい。
具体的には、燃料ガスの流量を、一旦、目標とする目標燃料ガス流量よりも高い高燃料ガス流量側に増加させた後、該高燃料ガス流量から前記目標燃料ガスガス流量まで低下させることによって、燃料ガス流量の入口領域における湿潤状態を上記のような経路を経て目標湿潤状態に変化させることができる。
ここで、目標燃料ガス流量とは、燃料ガス流路の入口の目標湿潤状態を実現させる燃料ガスの流量である。目標燃料ガス流量は、燃料電池の電圧と燃料電池の所定温度における燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係から、予め取得されていてもよい。或いは、燃料電池の運転時における、実際の燃料電池電圧と燃料電池の所定温度における燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係に基づいて設定されてもよいし、該相関関係を記憶し、次回以降の制御の目標値として設定されてもよい。また、目標燃料ガス流量は、目標湿潤状態同様、目標湿潤状態を実現できる(ピーク電圧が得られる)ある1点の流量を指す場合もあるし、目標湿潤状態を実現できる(ピーク電圧が得られる)幅をもった範囲を指す場合もある。
尚、燃料ガス流量の制御に伴い、燃料ガスの圧力も変動することから、これら燃料ガスの流量及び圧力の両方を制御することにより、より効率良く燃料電池内の湿潤状態を目標とする状態に近づけることも期待できる。
燃料電池1は、燃料ガスの圧力を制御する場合、必要に応じて、燃料ガス流路を流れる燃料ガスの圧力を計測する圧力センサが設置されていてもよい。圧力センサは、所望の位置における燃料ガス流路内の燃料ガスの圧力を把握することができれば、具体的な設置位置は限定されない。例えば、燃料ガス流路の入口に設けられ、該入口における燃料ガスの圧力を測定する入口圧力センサと、燃料ガス流路の出口に設けられ、該出口における燃料ガスの圧力を測定する出口圧力センサとを用い、これら圧力センサで検出された燃料ガス入口圧力Pinと燃料ガス出口圧力Poutの平均値を燃料ガス圧力として検出、制御することができる。また、燃料ガス流路の入口及び出口に限らず、燃料ガス流路の複数個所に圧力センサを備え、それぞれの位置における燃料ガスの圧力を検出、制御してもよいし、平均値を算出し、平均値として制御してもよい。また、燃料電池内の圧力センサは一つであってもよい。さらに、燃料ガス流路外に設けられた圧力センサにより燃料ガスの圧力を推定してもよい。
燃料ガスの圧力の制御は、例えば、燃料ガス流路の入口における燃料ガスの圧力及び/又は燃料ガス流路の出口における燃料ガスの圧力を制御することでできる。具体的には、燃料ガス流路出口の下流側に設けられた背圧弁、水素タンクから燃料電池に水素を供給するためのレギュレータ、燃料ガス配管系が循環系の場合には、水素タンクから配管系に水素を供給するためのインジェクタ、配管系に設けた循環用ポンプ等によって、燃料ガスの圧力を制御することができる。
図5に、燃料電池システム100における湿潤状態制御手段の具体的な制御フロー例を示す。図5に示す制御フローは、排出燃料ガスの循環量を制御して燃料ガスの流量を制御することによって、燃料電池内の湿潤状態を制御する。
図5の制御フローにおいて、排出燃料ガスの循環量の制御の判断は、排出燃料ガス循環量の変化に対する燃料電池電圧の変化の割合(k、k)を基準として行う。k(k>0)及びk(k<0)は、任意に設定することができ、例えば、予め、図6に示すような排出燃料ガスの循環量Qaと電圧Vとの相関関係に基づいて設定することができる。図6において、循環量Qa及び電圧Vの相関関係を表わす曲線と、傾きkの接線との接点が、上記状態1と上記状態2(目標湿潤状態)との境界となる。また、上記曲線と傾きkの接線との接点が、上記状態2(目標湿潤状態)と上記状態3(低湿潤状態)との境界となる。
まず、燃料電池1の作動時、制御部3の湿潤状態制御手段は、温度センサ9によって燃料電池1の温度Tを検出し、温度Tが70℃以下か、それとも70℃を超えるかどうかを判定する。
温度Tが70℃以下である場合、湿潤状態制御手段は、排出燃料ガスの循環量Qaを変化させず、現時点での排出燃料ガスの循環量Qaを維持させる。
一方、温度Tが70℃を超える場合、湿潤状態制御手段は、排出燃料ガスの循環量Qaを、現時点での排出燃料ガスの循環量QaからΔQa増加させ、Qa+ΔQaとする。ΔQaは、任意に設定することができるが、燃料電池内の過剰な乾燥状態を防止するために、例えば、Qaの5%〜20%の範囲内で設定することが好ましい。
続いて、湿潤状態制御手段は、燃料電池の電圧Vを電圧センサ10で監視し、排出燃料ガス循環量の増加分ΔQaに対する燃料電池電圧Vの変化量の割合(dV/dQa)を算出する。
次に、算出されたdV/dQaが、0より大きいかどうか、すなわち、ΔQaの増加により電圧Vが上昇したか(dV/dQa>0)、或いは、ΔQaの増加により電圧Vが低下した若しくは変化しなかったか(dV/dQa≦0)を、を判定する。
dV/dQaが0より大きい場合、さらに、dV/dQaがkより大きいかどうか、すなわち、燃料電池内の湿潤状態が状態1であるか、それとも状態2であるかを判定する。dV/dQaがkより大きい場合、排出燃料ガス循環量QaをQaの2倍量に増加させ、再度、dV/dQaを計算するステップに戻る。一方、dV/dQaがk以下の場合、排出燃料ガス循環量の増加分ΔQaを前回の2倍量に増加させ、再度、dV/dQaを計算するステップに戻る。
一方、dV/dQaが0以下の場合、さらに、dV/dQaがkより小さいかどうか、すなわち、燃料電池内の湿潤状態が状態3であるか、それとも状態2であるかを判定する。dV/dQaがk以上の場合、排出燃料ガス循環量の増加分ΔQaを前回の1/2倍に減らし、再度、dV/dQaを計算するステップに戻る。一方、dV/dQaがkより小さい場合、電圧センサ10によりピーク電圧が検出されるまで、排出燃料ガス循環量Qaを低下させていき、湿潤状態制御手段により処理を終了させる。尚、dV/dQaがkより小さいと判定された際の排出燃料ガス循環量は、記憶し、次回以降の湿潤状態制御に反映させることもできる。
図5の制御フローでは、燃料電池温度が70℃以上になったことをきっかけに開始している。これは、70℃のような高温運転条件では、燃料電池内が乾燥しやすく、酸化剤ガス流路の入口領域におけるドライアップが発生しやすいからである。湿潤状態制御手段による制御の開始のきっかけとなる温度は特に限定されないが、燃料電池温度が70℃以上、特に80℃以上になったら、該制御が開始されることが好ましい。
なお、本発明の湿潤状態制御手段による制御の開始は、燃料電池温度の変化に限定されず、要求出力の変更等に伴う燃料電池のその他運転条件(反応ガスの圧力、流量等)の変更をきっかけに開始してもよい。
また、燃料電池の劣化に伴う性能変化をきっかけに開始してもよい。燃料電池の性能が変化することによって、燃料電池内の湿潤状態をピーク電圧が得られる状態にするための諸条件も変化する可能性がある。そのため、燃料電池の性能変化が生じた際或いは生じたと予想される際に、湿潤状態制御手段を作動させることで、燃料電池の劣化に応じた運転条件の最適化を行うことができる。性能変化をきっかけに制御を開始する場合、例えば、燃料電池の運転時間や、燃料電池を搭載した車両の走行距離や走行時間を、性能変化の目安として、自動的に、或いは、燃料電池の使用者の要求に応じて、湿潤状態制御手段を作動させることができる。
また、上記図5に示す制御フローでは、電圧センサにより燃料電池の電圧が目標とする目標電圧(ピーク電圧)に達したと判定されたら、燃料ガス流路入口における湿潤状態が前記低湿潤状態から前記目標湿潤状態まで変化するように燃料ガスの流量を制御する処理を、終了させているが、本発明において、湿潤状態制御手段による制御処理を終了させるきっかけは特に限定されない。例えば、検知された燃料ガス流路出口水蒸気量等をきっかけに終了させてもよい。
また、上記図5に示す制御フローでは、湿潤状態制御手段は、燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、低湿潤状態側へ変化するように、燃料ガスの流量(排出燃料ガス循環量)を所定量(ΔQa)変化させ、該変化に伴う所定のパラメータ(燃料電池電圧)の変化量に基づいて、さらに、前記湿潤状態を低湿潤状態側へ変化させるために、燃料ガスの流量(排出燃料ガス循環量)を所定量変化させているが、このように、燃料電池内の湿潤状態を制御するために変化させる制御パラメータ(燃料ガスの流量及び/又は圧力)を、該制御パラメータの変化量に伴い変化する所定のパラメータの変化量を基準として、必要に応じて、段階的に変化させることで、より精密に燃料電池内の湿潤状態を制御しつつ、効率良く、ピーク電圧が得られる燃料電池運転条件に追い込み制御することができる。ここで、制御パラメータの制御の基準とする所定のパラ−メータとしては、図5のような燃料電池電圧の他、例えば、燃料ガス流路出口水蒸気量等が挙げられる。
具体的には、上記図5に示す制御フローでは、湿潤状態制御手段は、電圧センサにより測定された燃料電池電圧に基づいて、湿潤状態制御手段による燃料ガス流量(排出燃料ガス循環量)の変化量に対する燃料電池電圧の変化量の割合(dV/dQa)を算出する算出部を有し、現時点での湿潤状態から上記低湿潤状態側に変化させる燃料ガス流量の制御を該割合が所定の範囲(k<dV/dQa)になるまで繰り返しているが、このように、湿潤制御手段による燃料ガス流量及び/又は燃料ガス圧力の制御を、これら制御パラメータ(燃料ガス流量及び/又は燃料ガス圧力)の変化量に対する燃料電池電圧の変化量の割合を基準として行うことによって、燃料電池電圧をピーク電圧(目標電圧)へ効率良く近づけることができる。
また、上記のように、燃料排出ガスを循環させる循環系の場合、燃料供給源である水素ポンプ4から供給される燃料成分ガスの流量Qbは水蒸気量制御手段による制御を行わずに、再循環ポンプ8により再循環させる燃料排出ガスの再循環流量Qaを制御することによって、要求出力を充分に担保した上で、燃料成分である水素の利用効率を高め、燃料電池の水分布を効果的に制御することができる。
尚、燃料電池に対する要求出力を担保できれば、湿潤状態制御手段による燃料ガス流量の制御形態は特に限定されず、例えば、要求出力を担保した上で、燃料供給源からの水素ガスの供給量Qbのみによる制御、或いは、Qa及びQbの両方による制御を行ってもよい。さらには、燃料ガス流量を制御するその他の手段を用いてもよい。
尚、燃料ガスの流量は、例えば、燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量(燃料ガス平均流量)Qaveに基づいて、制御することができる。ここで、燃料ガス平均流量Qaveとは、燃料ガス流路を流れる燃料ガスの平均流量であり、その算出方法は特に限定されず、例えば、燃料電池システム100のように燃料ガス配管系が循環系を有する場合には、下記式(1)により算出することができる。
Qave=Qa+Qb/2・・・式(1)
Qave:燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量
Qa:再循環ポンプにより再循環させる排出燃料ガスの流量
Qb:燃料供給手段から供給される燃料成分ガスの流量
上記式(1)では、燃料ガス流路の全流路長の1/2の位置において、要求出力に応じて燃料供給手段から供給された燃料成分ガスの流量Qbの半分が消費されているという仮定に基づいて、燃料ガスの平均流量Qaveを算出している。
また、燃料ガス平均流量Qaveは、下記式(2)により算出することもできる。
Qave=nRT/P・・・(2)
Qave:燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量
n:燃料ガス流路の全長の1/2の位置における燃料ガスのモル数
R:気体定数
T:燃料電池温度
P:燃料ガス流路の全長の1/2の位置における燃料ガスの圧力
上記式(2)では、燃料ガス流路の全流路長の1/2の位置における燃料ガスの流量を、燃料ガス平均流量Qaveとして採用しており、燃料ガス流路の全流路長の1/2の位置における燃料ガスのモル数及び圧力から、気体の状態方程式に基づいて、燃料ガスの平均流量Qaveを算出している。
ここで、式(2)において、燃料ガスのモル数は、燃料ガス流路の全流路長の1/2の位置における燃料ガス中に含まれる、全成分(水素ガスの他、窒素ガスや水蒸気等)のモル数であり、具体的には、燃料ガス流路入口の燃料ガスの全モル数から、燃料ガス流路の全流路長の1/2の位置に到達するまでに消費された燃料成分のモル数を減じたモル数である。燃料ガス流路の全流路長の1/2の位置に到達するまでに消費された燃料成分のモル数は、燃料電池の要求出力から必要燃料成分量の半分である。また、燃料ガス流路入口の燃料ガスの全モル数は、循環ポンプにより燃料ガス流路入口に戻ってくる燃料ガス流量と水素タンクから追加補充される水素量の合計流量の温度と圧力により求める。
また、式(2)において、燃料ガスの圧力は、燃料ガス流路の全長の1/2の位置における燃料ガスの圧力を実際に検出してもよいし、燃料ガス流路の全長の複数個所における燃料ガスの圧力を測定し、平均値を算出してもよい。或いは、燃料ガス流路の全長で発生する圧力損失の1/2が、燃料ガス流路の全長の1/2の位置において発生していると仮定して算出してもよく、このような圧力損出を仮定した上記燃料ガス圧力は、以下の式(3)により算出することができる。
P=(Pin+Pout)/2・・・(3)
Pin:燃料ガス流路の入口における燃料ガスの圧力
Pout:燃料ガス流路の出口における燃料ガスの圧力
燃料ガス配管系が循環系を有している場合には、式(2)の変形例として、下記式(4)により、燃料ガスの平均流量Qaveを算出することができる。
Qave=n’RT/P・・・(4)
Qave:燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量
n’:燃料ガス流路に供給された前記燃料ガスのうち、燃料ガス供給手段から燃料ガス流路に供給された前記燃料成分の1/2が消費されたと仮定して算出される燃料ガス流路の全長の1/2の位置における燃料ガスのモル数
R:気体定数
T:燃料電池温度
P:上記式(3)により算出される燃料ガス流路の全長の1/2の位置における燃料ガスの圧力
尚、燃料ガス平均流量Qaveは、上記のような仮定に基づく算出ではなく、燃料ガス流路内の複数個所における燃料ガス流量を実際に測定して平均化して得られる値や、燃料ガス流路の全長の1/2の位置において実際に測定される燃料ガスの流量値を用いてもよい。簡便に燃料電池システムを構築できるという観点からは、上記式(1)、(2)又は(4)を用いて燃料ガス平均流量を算出することが好ましい。
上記にて説明した燃料電池システム100は、燃料電池の電圧を検出、監視する電圧センサを備えており、湿潤状態制御手段は、電圧センサにより検出された燃料電池電圧に基づいて燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する、フィードバック制御を採用しているが、フィードフォワード制御を採用してもよい。
次に、図7及び図8を用いて、本発明の他の実施形態例である燃料電池システム101について説明する。
本発明者らは、図1及び図2に示すように、燃料ガス出口水蒸気量と、燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量(以下、燃料ガス平均流量ということがある)との間に高い相関関係があることを見出した。すなわち、図2に示すように、燃料ガス流路における燃料ガスの平均流量が低い場合、燃料ガス出口水蒸気量が少なく、燃料電池の電圧が低い状態(上記状態1)となり、該状態1よりも燃料ガス平均流量を高くした場合、燃料ガス出口水蒸気量が若干量となり、高い燃料電池の電圧が得られる状態(上記状態2)となり、該状態2よりもさらに燃料ガス平均流量を高くした場合、燃料ガス出口水蒸気量が多くなり、燃料電池の電圧が低い状態(上記状態3)になるという知見を得た。さらに、本発明者らは、図2に示すように、燃料ガス出口水蒸気量と燃料ガス平均流量とが、燃料ガス流路における燃料ガスの圧力に関わらず、一定の相関関係を示すことから、燃料ガス出口水蒸気量を判断基準として、燃料電池の湿潤状態を制御し、安定した出力を確保できることを見出した。
燃料電池システム101は、上記知見に基づくものであり、燃料電池システム101において、湿潤状態制御手段は、燃料ガス流路の出口における水蒸気量が、一旦、目標とする目標燃料ガス出口水蒸気量よりも多い多燃料ガス出口水蒸気量側に変化した後、該多燃料ガス出口水蒸気量から目標燃料ガス出口水蒸気量まで低下するように、燃料ガスの流量を制御する。
燃料電池システム101は、図7に示すように、電圧センサ10が配置されていない一方、燃料電池1に燃料ガス流路の出口における燃料ガス中の水蒸気量Sを計測する露点計(水蒸気量測定手段)11が配置されており、制御部3の湿潤状態制御手段による具体的な湿潤状態制御処理が異なること以外は、図5に示す上記燃料電池システム101と同じ構成である。尚、露点計11は、燃料ガス出口水蒸気量Sを検出することができれば、燃料ガス配管系2に設けられてもよい。
以下、燃料電池システム101について、燃料電池システム100と異なる点を中心に説明する。
燃料電池システム101において、湿潤状態制御手段は、露点計11によって検出、監視される燃料ガス出口水蒸気量Sが、一旦、多燃料ガス出口水蒸気量側に変化した後、該多燃料ガス出口水蒸気量から目標燃料ガス出口水蒸気量Stまで低下するように、燃料ガスの流量を制御する。
ここで、目標燃料ガス出口水蒸気量とは、燃料ガス流路の入口の湿潤状態が、目標湿潤状態であるときの燃料ガス出口水蒸気量である。目標燃料ガス出口水蒸気量は、燃料電池の電圧と燃料電池の所定温度における燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係から、予め取得されていてもよい。或いは、燃料電池の運転時における、実際の燃料電池電圧と燃料電池の所定温度における燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係に基づいて設定されてもよいし、該相関関係を記憶し、次回以降の制御の目標値として設定されてもよい。また、目標燃料ガス出口水蒸気量は、目標湿潤状態同様、目標湿潤状態を実現される(ピーク電圧が得られる)ある1点の水蒸気量を指す場合もあるし、目標湿潤状態が実現される(ピーク電圧が得られる)幅をもった範囲を指す場合もある。
燃料電池システム101における湿潤状態制御手段による制御フローの一例を示したものが図8である。図8において、湿潤状態制御手段は、露点計により測定される燃料ガス出口水蒸気量Sに基づいて、燃料ガスの流量を制御する。電圧センサによる燃料電池電圧の検出や監視を行っている燃料電池システム100に対して、燃料電池システム101は、電圧センサや抵抗センサ等のセルモニタを省くことができるため、燃料電池システムにおける制御をより簡素化することが可能であるとともに、燃料電池の費用削減も可能である。
図8において、燃料電池1の作動時、制御部3の湿潤状態制御手段は、温度センサ9によって燃料電池1の温度Tを検出し、温度Tが70℃以下か、それとも70℃を超えるかどうかを判定する。
温度Tが70℃以下である場合、排出燃料ガスの循環量Qaは変化させず、現時点での排出燃料ガスの循環量Qaを維持させる。
一方、温度Tが70℃を超える場合、排出燃料ガスの循環量Qaは、現時点での排出燃料ガスの循環量QaからΔQa増加させる。ΔQaは、任意に設定することができるが、燃料電池内の過剰な乾燥状態を防止するために、例えば、Qaの5%〜20%の範囲内で設定することが好ましい。
続いて、湿潤状態制御手段は、燃料ガス出口水蒸気量Sを露点計11で測定し、該燃料ガス流路出口水蒸気量Sが目標燃料ガス出口水蒸気量Stより多いかどうかを判定する。
燃料ガス流路出口水蒸気量Sが目標燃料ガス出口水蒸気量St以下の場合、排出燃料ガス循環量を増加させるステップに戻る。
一方、燃料ガス流路出口水蒸気量Sが目標燃料ガス出口水蒸気量Stより多い場合、排出燃料ガス循環量Qaを減少させる。排出燃料ガス循環量Qaの減少は、露点計11により測定される燃料ガス出口水蒸気量Sが目標燃料ガス出口水蒸気量St以下となるまで続けられる。
燃料ガス出口水蒸気量Sが目標燃料ガス出口水蒸気量St以下となったら、湿潤状態制御手段による処理を終了させる。
上記フローにおいて、燃料ガス出口水蒸気量Sが目標燃料ガス水蒸気量Stより多くなる排出燃料ガス循環量、及び/又は、燃料ガス出口水蒸気量Sが目標燃料ガス水蒸気量St以下となる排出燃料ガス循環量は、記憶し、次回以降の湿潤状態制御に反映させることもできる。
図8に示すフローでは、燃料ガスの流量Q(具体的には排出燃料ガス流量Qa)を制御することによって、燃料ガス出口水蒸気量を制御しているが、上記燃料電池システム100同様、燃料ガス出口水蒸気量Sを水蒸気量の目標値Stに近づけるための制御パラメータは燃料ガスの流量に限られず、燃料ガスの圧力でもよいし、燃料ガスの流量と圧力の両方を制御してもよい。
尚、上記したように、燃料ガス平均流量と燃料ガス出口水蒸気量とが、高い相関関係を有していることから、燃料ガス平均流量を制御することで、燃料ガス出口水蒸気量を間接的に制御することができる。
そこで、湿潤状態制御手段は、燃料ガス平均流量と燃料ガス出口水蒸気量との関係から、燃料ガス出口水蒸気量を所望の値又は範囲とする燃料ガス平均流量を、予め取得しておき、この平均流量に基づいて、燃料ガス出口水蒸気量が、多燃料ガス出口水蒸気量から目標燃料ガス出口水蒸気量まで低下するように、燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御するものであってもよい。
このように、予め取得された燃料ガス出口水蒸気量と燃料ガス平均流量との相関関係に基づいて、燃料ガスの流量/及び圧力を制御する場合、露点計のような水蒸気量測定手段がなくとも、燃料ガス出口水蒸気量を所望の値又は範囲とすることができるため、さらなる燃料電池システムの簡易化、低コスト化が可能である。
1…燃料電池
2…燃料ガス配管系
3…制御部
4…水素タンク(燃料供給手段)
5…燃料ガス供給路
5A…主流路
5B…混合路
6…燃料ガス循環路
7…連結部
8…再循環ポンプ
9…温度センサ(温度測定手段)
10…電圧センサ
11…露点計(水蒸気量測定手段)
12…単セル
13…高分子電解質膜
14…カソード電極
15…アノード電極
16…膜・電極接合体
17…セパレータ
18…セパレータ
19…酸化剤ガス流路
20…燃料ガス流路
21…カソード触媒層
22…ガス拡散層
23…アノード触媒層
24…ガス拡散層
100…燃料電池システム
101…燃料電池システム

Claims (10)

  1. アノード電極及びカソード電極に挟持された高分子電解質膜と、
    前記アノード電極に対して、燃料成分を少なくとも含む燃料ガスを供給するために該アノード電極に対面して配置された燃料ガス流路と、
    前記カソード電極に対して、酸化剤成分を少なくとも含む酸化剤ガスを供給するために前記カソード電極に対面して配置された酸化剤ガス流路と、
    を有する燃料電池を備え、無加湿条件下で運転される燃料電池システムであって、
    前記燃料ガス流路における前記燃料ガスと前記酸化剤ガス流路における前記酸化剤ガスの流れ方向が互いに対向しており、
    前記燃料ガス流路の入口領域における湿潤状態が、現在の湿潤状態から、一旦、目標とする目標湿潤状態よりも低い低湿潤状態側に変化した後、該低湿潤状態から前記目標湿潤状態に変化するように、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する湿潤状態制御手段を備えることを特徴とする、燃料電池システム。
  2. 前記湿潤状態制御手段は、前記湿潤状態を前記低湿潤状態側へ変化させるために、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を所定量変化させた後、該所定量変化に伴う所定のパラメータの変化量に基づいて、さらに前記湿潤状態を前記低湿潤状態側へ変化させるために、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を所定量変化させる、請求の範囲第1項に記載の燃料電池システム。
  3. 前記湿潤状態制御手段は、前記燃料ガスの流量を、一旦、目標とする目標燃料ガス流量よりも高い高燃料ガス流量側に増加させた後、該高燃料ガス流量から前記目標燃料ガス流量まで低下させる、請求の範囲第1項又は第2項に記載の燃料電池システム。
  4. 前記目標燃料ガス流量が、前記燃料電池の電圧と、前記燃料電池の所定温度における前記燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係から、予め取得されている、請求の範囲第3項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段を備え、
    前記湿潤状態制御手段は、前記電圧測定手段により前記燃料電池の電圧が目標電圧に達したと判定したら、前記湿潤状態が前記低湿潤状態から前記目標湿潤状態まで変化するように前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する処理を終了させる、請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池の電圧を測定する電圧測定手段を備え、
    前記湿潤状態制御手段は、
    前記電圧測定手段により測定された燃料電池の電圧に基づいて、該湿潤状態制御手段による前記燃料ガスの流量又は圧力の変化量に対する前記燃料電池の電圧の変化量の割合を算出する算出部を有し、
    前記湿潤状態を現時点の湿潤状態から前記低湿潤状態側に変化させる前記燃料ガスの流量及び/又は圧力の制御を、該割合が所定の範囲になるまで繰り返す、請求の範囲第1項乃至第5項のいずれかに記載の燃料電池システム。
  7. 前記湿潤状態制御手段は、前記燃料ガス流路の出口における水蒸気量が、一旦、目標とする目標燃料ガス出口水蒸気量よりも多い多燃料ガス出口水蒸気量側に変化した後、該多燃料ガス出口水蒸気量から前記目標燃料ガス出口水蒸気量まで低下するように、前記燃料ガスの流量及び/又は燃料ガスの圧力を制御する、請求の範囲第1項又は第2項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記目標燃料ガス出口水蒸気量が、予め、前記燃料電池の電圧と、前記燃料電池の所定温度における前記燃料ガスの流量及び/又は圧力との相関関係から、予め取得されている、請求の範囲第7項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料ガス流路出口における水蒸気量を測定する水蒸気量測定手段を備え、
    前記湿潤状態制御手段は、前記水蒸気量測定手段により、前記燃料ガス流路出口における水蒸気量が、前記多燃料ガス出口水蒸気量から前記目標燃料ガス出口水蒸気量まで変化したと判定したら、前記燃料ガスの流量及び/又は圧力を制御する処理を終了させる、請求の範囲第7項又は第8項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記湿潤状態制御手段は、前記燃料電池の温度が70℃以上になったら前記燃料ガスの流量及び/又は圧力の制御を開始する、請求の範囲第1項乃至第9項のいずれかに記載の燃料電池システム。
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