以下、本発明にかかる印画装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用された印画装置は、例えば医療現場で用いられ、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、CR(Computed Radiography)、CT(Computerized Tomography)、超音波撮影装置等の画像取得装置で取得された画像データを受信し、感熱性の印刷媒体に該画像データをサーマルヘッドを用いて熱転写により印刷するサーマルヘッドプリンタ(以下、プリンタ装置1という。)である。
プリンタ装置1は、図1及び図2に示すように、印画シートをそのシート面が垂直方向を向いた状態で搬送するように横置きに設置可能であると共に印画シートをそのシート面が水平方向を向いた状態で搬送するように縦置きに設置可能な横置き縦置き兼用型のプリンタである。このため、プリンタ装置1は、設置場所のスペースに応じて設置することができ、設置場所の自由度を向上することができ、例えば縦置きにした場合、図3に示すように、パソコンテーブル100のテーブル上に設置されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器101の下方にプリンタ装置1を設置することができる。
かかるプリンタ装置1は、図4に示すように、略矩形状の装置本体2を備え、この装置本体2の前面に印刷媒体となる印画シート3が複数積層されて収納されるトレイ4が装着される。また、プリンタ装置1は、装置本体2内に、トレイ4に収納された印画シート3を1シートずつ取り出すピックアップ部5と、取り出された印画シート3を装置本体2内に搬送する搬送部6と、装置本体2の所定位置まで搬送された印画シート3に対して印画する印画部7と、印画部7に搬送される前に印画シート3の位置を補正する位置補正部8と、印画された印画シート3を排出する排出部9とを備える。
ここでプリンタ装置1によって画像が印刷される印画シート3について説明する。印画シート3は、支持体に感熱材料を塗布することにより感熱層が形成された感熱性記録紙であり、支持体をポリエチレンテレフタレート(PET)等の可撓性を有する弾性シート材により構成し、この支持体上に塗布形成される感熱層を例えばポリビニルアルコール、顔料、発色剤、添加剤を用いて構成している。また印画シート3は、複数サイズ用意され(例えば14×17、11×14、10×12、8×10 単位:インチ)、用途に応じて使い分けられる。また装置本体2には、各種サイズに応じた複数のトレイ4が装着される。
また印画シート3は、未使用時には防湿性のパッケージに収納され、使用時においてパッケージが開封されると共に、このパッケージごとトレイ4内に収納される。そして印画シート3は、開封されたパッケージ内よりピックアップ部5によって取り出される。かかるパッケージには、所定位置に印画シート3のサイズなどの情報が記録されたICタグが取り付けられ、トレイ4内に設けられた読み取り手段によって、印画シート3のサイズ等の情報がプリンタ装置1に読み取られる。プリンタ装置1は、パッケージに取り付けられたICタグ情報を参照して、後述する位置補正部8の基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を制御する。
この印画シート3が収納されるトレイ4は、図2に示すように、装置本体2に対して着脱自在とされ、印画シート3を収納する際には装置本体2より引き出され、印画シート3の収納後に再度、装置本体2に装着される。このトレイ4は、前後方向に長い扁平な箱状に形成されると共に上方に開口されたトレイ本体10と、該トレイ本体10の開口を閉塞するカバー体11とから成る。
ピックアップ部5は、図4に示すように、トレイ4の後端側に配置され、トレイ4に収納された印画シート3を1枚ずつ取り出すための取出機構20を備えている。
取出機構20はピックアップローラ21を有し、該ピックアップローラ21はその後方において支持された一対の分離ローラ22,22のうちの一方の分離ローラ22とタイミングベルト23によって連結されている。
タイミングベルト23によって連結されたピックアップローラ21の回転軸と分離ローラ22の回転軸とを連結するようにして連結部材24が設けられ、該連結部材24は、トレイ本体10の下面部10a側に一端を係止された付勢バネの他端が係止されることによりトレイ本体10の下面部10a側に付勢され、これによりトレイ4に積層して収納された印画シート3の一枚目にピックアップローラ21が押し付けられる。ピックアップローラ21は、印画シート3の幅方向略中央に当接される。
分離ローラ22,22の後方にはピックアップ用モータ25が配置され、分離ローラ22,22とピックアップ用モータ25との間にギヤ群26が支持されている。
取出機構20においてピックアップ用モータ25が回転されると、その駆動力がギヤ群26、分離ローラ22及びピックアップローラ21に順に伝達され、該ピックアップローラ21が回転されて印画シート3がトレイ4から取り出され、取り出された印画シート3が分離ローラ22,22間を経由して搬送部6へ向けて送られる。
搬送部6は、詳細を省略する複数の搬送ローラ27及び搬送ローラ27を駆動するモータ(図示せず)を備え、印画シート3を位置補正部8へ搬送する。
また印画部7は、サーマルヘッド30と、このサーマルヘッド30を駆動するヘッド駆動機構31とを備える。サーマルヘッド30は、ヘッド支持体に印画ヘッドが形成され、この印画ヘッドによって印画シート3を加熱し、画像を転写する。印画ヘッドには、複数の発熱素子がライン状に配列されており、これら複数の発熱素子に階調レベルに応じて通電量を制御し、その際に発生する熱エネルギを利用して印画シート3に印刷を行う。
またサーマルヘッド30はプラテンローラ32と対向配置され、ヘッド駆動機構31によってプラテンローラ32に対して接離自在とされている。ヘッド駆動機構31は、サーマルヘッド30をプラテンローラ32と近接離間させると共に、印画シート3及びプラテンローラ32に対するヘッド圧を調整する。
また、印画部7には、搬送部6により搬送された印画シート3を受けてサーマルヘッド30及びプラテンローラ32の間を搬送させるキャプスタンローラ33aとピンチローラ34aが設けられ、さらに印画された印画シート3を印画部7より排出部9へと引き渡すキャプスタンローラ33b及びピンチローラ34bが設けられている。このうち、印画部7と位置補正部8の間に設けられたキャプスタンローラ33aには、図示しない昇降機構が設けられ、位置補正部8による印画シート3の位置補正中は下方に退避され、補正後に上昇されピンチローラ34aとともに位置補正された印画シート3を挟持する。
次いで、印画シート3を印画部7へ搬送する過程で印画シート3の位置ずれを補正する位置補正部8について説明する。位置補正部8は、印画シート3の位置ずれを補正することにより印画シート3を印画部7の適正な位置、すなわち、印画シート3の上側縁が印画部7のサーマルヘッド30に対して正対する向きに補正するものである。
位置補正部8は、図5及び図6に示すように、装置本体2内に組み込まれたベースプレート40に配設され、印画シート3の一側縁を支持する基準プレート41と、基準プレート41と対向配置され、印画シート3の他側縁を押圧するレバーガイドプレート42とを備え、図7に示す移動機構43によって、これら基準プレート41及びレバーガイドプレート42がベースプレート40上を、印画シート3の搬送方向と直交する方向に、互いに近接離間可能とされている。
また、位置補正部8は、装置本体2の上面に設けられた天板44を開放することにより外部に現れる。これによりプリンタ装置1は、位置補正部8で印画シート3の紙詰まり等が発生したときに、天板44を開けてメンテナンスを行うことができるようになっている。なお図5では、外部から見た位置補正部8を示すため、装置本体2より天板44を省略している。
図7に示すように、ベースプレート40は、全体を略矩形状に形成され、長手方向を印画シート3の搬送方向と直交させて配設されている。ベースプレート40は、長手方向の一端から略中間部にかけて一対のガイド軸45,45が設けられ、このガイド軸45,45により基準プレート41を挿通支持している。またベースプレート40は、長手方向の他端から略中間部にかけて一対のガイド軸46,46が設けられ、このガイド軸46,46によりレバーガイドプレート42を挿通支持している。これにより、基準プレート41及びレバーガイドプレート42は、各ガイド軸45,46に沿って移動可能とされ、印画シート3の搬送方向と直交する方向に、近接離間可能とされる。
また図7に示すように、ベースプレート40は、ガイド軸45,45間及びガイド軸46,46間に、後述する移動機構43を構成する無端ベルト65及び無端ベルト65が巻回される一対のプーリ66,67が配設されている。なお、各ガイド軸45,46及び移動機構43は、図6に示すように、ベースプレート40上に配設されている保護カバー47によって覆われ、印画シート3との接触が防止されている。
またベースプレート40は、長手方向の略中間部に、印画シート3を印画部7へ搬送する中間ピックアップローラ48が設けられている。中間ピックアップローラ48は、特にサイズの小さい印画シート3を、キャプスタンローラ33a及びピンチローラ34a側に送るものであり、詳細を省略する昇降機構によって保護カバー47に設けられた開口部49より保護カバー47上を昇降可能とされている。また中間ピックアップローラ48は、位置補正部8上を閉塞する天板44に設けられた図示しない従動ローラと対向されており、保護カバー47上に上昇されると、従動ローラとともに印画シート3を挟持して搬送する。
かかる中間ピックアップローラ48は、保護カバー47上に上昇されることにより、搬送部6から搬送された印画シート3を位置補正部8に搬送する。そして中間ピックアップローラ48は、位置補正部8による印画シート3の位置補正を行う際には保護カバー47の下方に退避され、印画シート3の位置が補正された後、再度保護カバー47上に上昇し、位置補正された印画シート3を、キャプスタンローラ33a及びピンチローラ34a側に送る。
またベースプレート40は、開口部49近傍であって印画シート3の搬送方向上流側に、印画シート3が位置補正部8の所定位置に搬送されたことを検出する搬送検出レバー50が設けられている。搬送検出レバー50は、印画シート3の搬送方向に回動可能に支持されるとともに、付勢部材によって常時、保護カバー47上に先端が臨まされ、印画シート3と当接可能とされている。そして搬送検出レバー50は、印画シート3が搬送されてくると、印画シート3の上側縁に押圧されて傾倒する。これにより搬送検出レバー50は、印画シート3が位置補正部8の所定位置まで搬送されたことを検出することができる。プリンタ装置1は、予め検出された印画シート3のサイズに応じて、搬送検出レバー50が傾倒されたときから所定時間の経過後に中間ピックアップローラ48を停止して印画シート3を位置補正部8の所定位置まで搬送する。
なお、中間ピックアップローラ48及び搬送検出レバー50は、基準プレート41及びレバーガイドプレート42の構成を明確にするため、図7においては省略している。また、プリンタ装置1は、位置補正部8と印画部7との間に、大きいサイズの印画シート3の搬送位置を検出するための第2の搬送検出レバーが設けられている(図示せず)。第2の搬送検出レバーも、搬送検出レバー50と同様に、印画シート3の搬送方向に傾倒可能に支持され、搬送されてきた印画シート3の上側縁に押圧されることにより傾倒されることにより、印画シート3が位置補正部8の所定位置まで搬送されたことを検出する。
これら搬送検出レバー50と第2の搬送検出レバーとは、搬送される印画シート3のサイズに応じて使い分けられる。すなわち、印画シート3の搬送位置は、いずれのサイズの印画シート3においても、搬送方向の中心が2つのレバーガイドプレート42の支持部60,60間に位置される必要があり、このため印画シート3の位置補正部8における搬送量はサイズによって異なる。したがって、プリンタ装置1は、小さいサイズの印画シート3では、搬送検出レバー50が傾倒されたときから所定時間だけ搬送し、大きいサイズの印画シート3では、第2の搬送検出レバーが傾倒されるまで、あるいは傾倒されてから所定時間だけ搬送するように制御する。
かかるベースプレート40に支持された基準プレート41は、図8に示すように、合成樹脂を成型することにより矩形状に形成されている。この基準プレート41は、基準プレート台52上にビス止めされており、これにより長手方向を印画シート3の搬送方向に向けて支持されている。すなわち、基準プレート41は、長手方向に亘って直線状に印画シート3の一側縁を支持することにより、印画シート3の上側縁とサーマルヘッド30とが正対する適正な向きに印画シート3を補正することができる。また、基準プレート41は、基準プレート台52上に支持されることにより、保護カバー47の長孔51を介して保護カバー47上に配設されている。
基準プレート台52は、ベースプレート40の一端側に支持されている一対のガイド軸45,45に挿通される挿通孔52aが形成され、ガイド軸45,45に沿って移動可能とされている。また、基準プレート台52は、無端ベルト65の一対のプーリ66,67を挟んだ一方と連結され、無端ベルト65の回転に応じて移動される。
また基準プレート41は、長手方向に亘って断面略コ字状に形成されることにより、印画シート3の一側縁を長手方向に亘って支持する支持壁41aが形成されたガイド溝形状とされている。したがって基準プレート41は、印画シート3の一側縁と当接されると、支持壁41aによって当該一側縁を長手方向に亘って支持する。
レバーガイドプレート42は、図8及び図9に示すように、合成樹脂を成型することにより矩形状に形成されている。このレバーガイドプレート42は、長手方向の一端部に軸受け部53が形成され、この軸受け部53にレバーガイドプレート台54より立設された支軸が挿通されることにより、レバーガイドプレート台54上に回動自在に軸支されている。レバーガイドプレート42は、レバーガイドプレート台54上に支持されることにより、保護カバー47の長孔62を介して保護カバー47上に配設されている。
また軸受け部53は、中継レバー55と連結されている。中継レバー55は、一端がレバーガイドプレート台54に係止されている付勢バネ56の他端が係止されている。これによりレバーガイドプレート42は、中継レバー55を介して付勢バネ56の付勢力を受けることにより、基準プレート41側である図8及び図9中矢印A方向に回動付勢されている。なおレバーガイドプレート42は、中継レバー55がレバーガイドプレート台54に設けられたストッパ片57に係止されることにより、矢印A方向への回動位置が規定され、この規定位置から反矢印A方向へ回動可能とされている。
このレバーガイドプレート42は、長手方向に沿って断面略コ字状に形成されることにより、印画シート3の他側縁を支持するガイド溝形状とされている。またレバーガイドプレート42は、印画シート3の搬送方向に亘って基準プレート41側に傾斜していく第1の傾斜ガイド部58と、印画シート3の搬送方向に亘って基準プレート41と反対側に向かって傾斜していく第2の傾斜ガイド部59とが形成されている。これら第1の傾斜ガイド部58と第2の傾斜ガイド部59とは、長手方向に亘って連続されることにより、両ガイド部58,59との接点部分が屈折され、この接点部分が基準プレート41側に膨出することにより印画シート3の他側縁を点接触により支持する支持部60とされる。従ってレバーガイドプレート42は、印画シート3の他側縁と当接されると、支持部60が当該他側縁と点接触される。
なお、第1の傾斜ガイド部58よりも搬送方向下流側の第2の傾斜ガイド部59は、付勢バネ56によってレバーガイドプレート42が矢印A方向へ回動され、中継レバー55がストッパ片57に係止されているとき、すなわちレバーガイドプレート42が最も矢印A方向へ回動されているときにも、支持部60よりも基準プレート41側に回動しない方向及び角度で第1の傾斜ガイド部58と接している。そしてレバーガイドプレート42は、中継レバー55がストッパ片57に係止された規定位置よりさらに矢印A方向へ回動されることはないため、必ず印画シート3の他側縁と支持部60とが点接触されることとなる。
また、図8、図9に示すように、レバーガイドプレート42は、レバーガイドプレート台54上に、印画シート3の搬送方向に沿って2つ隣接して支持されている。したがって、印画シート3は、他側縁を2つのレバーガイドプレート42の各支持部60によって2点で接触されることとなる。具体的に、2つのレバーガイドプレート42,42は、図10に示すように、両支持部60,60によって、印画シート3の搬送方向の中心線Cを挟んだ両側を当接する。これによりレバーガイドプレート42は、印画シート3が、搬送方向の前側がレバーガイドプレート42側に偏倚したり、搬送方向の後ろ側がレバーガイドプレート42側に偏倚するなど、どのような向きで搬送されてきても、支持部60によって他側縁の前後を基準プレート41側に付勢して、適正な位置に補正することができる。なお、印画シート3は、上記搬送検出レバー50を傾倒することにより所定位置まで搬送されたことが検出されるため、その後、所定時間だけ搬送されることにより、印画シート3の搬送方向の中心線Cが、両支持部60,60間に位置される。
またレバーガイドプレート42は、第1の傾斜ガイド部58が、印画シート3の搬送方向と反対側に向かって、基準プレート41と反対側に拡がるように傾斜されることにより、挿入端に、印画シート3を基準プレート41とレバーガイドプレート42との間に引き込む導入部61が形成されている。後述するように、基準プレート41とレバーガイドプレート42とは、印画シート3の搬送待機状態においては、ガイド溝形状によって印画シート3の両側縁を受け得る幅を隔てているが、印画シート3の位置ズレがこの待機幅を超えている場合には、レバーガイドプレート42の導入部61によって、かかる印画シート3の位置ズレを吸収する。レバーガイドプレート42は、導入部61に印画シート3の他側縁が当接すると、反矢印A方向に回動しながら付勢バネ56の付勢力によって印画シート3を基準プレート41側に押圧していく。これにより、レバーガイドプレート42は、印画シート3を基準プレート41との間にもってくることができる。なお、基準プレート41は、レバーガイドプレート42側に回動する構成を有さず、レバーガイドプレート42のように回動しつつ回動方向と反対方向に印画シート3を押圧することができないため、かかる導入部は設けられていない。
また、レバーガイドプレート台54は、ベースプレート40の他端側に支持されている一対のガイド軸46,46に挿通される挿通孔54aが形成され、ガイド軸46,46に沿って移動可能とされている。また、レバーガイドプレート台54は、無端ベルト65の一対のプーリ66,67を挟んだ他方と連結され、無端ベルト65の回転に応じて移動される。
次いで、基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54を移動させる移動機構43について説明する。移動機構43は、基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54を、ガイド軸45,45あるいはガイド軸46,46に沿って移動させることにより、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を近接あるいは離間させるものである。
かかる移動機構43は、基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54と連結された無端ベルト65と、無端ベルト65が巻回される一対のプーリ66,67と、駆動プーリ66を回転させる駆動モータ68と、駆動モータ68の駆動力を駆動プーリ66に伝達するギヤ列69とを備える。
無端ベルト65は、ベースプレート40の長手方向の両側に配設された駆動プーリ66と従動プーリ67との間に巻回されている。また無端ベルト65は、各プーリ66,67を挟んだ一方側に基準プレート台52が連結され、他方側にレバーガイドプレート台54が連結されている。したがって、無端ベルト65は、一対のプーリ66,67が回転されることにより、基準プレート台52とレバーガイドプレート台54とを互いに逆方向にかつ同期させて移動させることができる。
駆動モータ68は、ステッピングモータであり、ギヤ列69、一対のプーリ66,67及び無端ベルト65を介して基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54を互いに近接離間する方向へステップ送りする。
基準プレート台52の移動領域上であって、駆動プーリ66の近傍には、基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54の位置を検出する検出スイッチ70が配設されている。検出スイッチ70は、基準プレート台52が直上に搬送されたことを検出することにより、基準プレート台52及びこれと同期して移動するレバーガイドプレート台54の初期位置を検出する。そして移動機構43は、搬送される印画シート3のサイズに応じて、初期位置から所定量だけステップ送りされる。
すなわち、上述したように、印画シート3は、用途に応じてサイズが例えば4種類用意されているため、サイズに応じて基準プレート41及びレバーガイドプレート42の幅を変える。例えば、印画シート3が8×10(インチ)と小さいサイズの場合は、図11(a)に示すように、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を近接させる。また、印画シート3が14×17(インチ)と大きいサイズの場合は、図11(b)に示すように、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を離間させる。また、移動機構43は、かかる印画シート3のサイズに応じた基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54の幅調整を印画毎に行う。
なお、検出スイッチ70は、図8に示すように、例えばベースプレート40上に設けられたフォトセンサ70aと、基準プレート台52の下面より下方に突設されフォトセンサ70aを通過するリブ70bとにより構成することができる。また検出スイッチ70は、例えばベースプレート40上に設けられたレバースイッチと、基準プレート台52の下面より下方に突設されレバースイッチを押下するリブとにより構成してもよい。また検出スイッチ70は、ベースプレート40の他方側に設け、レバーガイドプレート台54の初期位置を検出してもよい。
また、移動機構43は、一対のプーリ66,67に、基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54が連結された無端ベルト65を巻回させ、一つの駆動モータ68で駆動する構成とすることにより、部品点数の削減、省スペース化を図ることができる。なお、移動機構43は、基準プレート台52及びレバーガイドプレート台54のそれぞれに駆動モータ及び駆動モータの駆動力を伝達する伝達機構を用意し、別個に移動させてもよい。
かかる位置補正部8は、搬送部6の搬送ローラ27及び中間ピックアップローラ48によって印画シート3がサイズに応じた所定の補正位置まで搬送されると、移動機構43により、印画シート3の幅よりも若干広い幅で待機していた基準プレート41及びレバーガイドプレート42が、支持壁41aと支持部60との幅が印画シート3の幅以下の所定間隔まで近接される。
これにより基準プレート41は、支持壁41aに印画シート3の一側縁が長手方向に亘って当接される。またレバーガイドプレート42は、支持部60が印画シート3の他側縁に点接触される。このとき、基準プレート41とレバーガイドプレート42とは、印画シート3の幅以下の所定幅とされており、また基準プレート41の位置は固定されているため、各レバーガイドプレート42は、印画シート3からの反力によって反矢印A方向へ回動されるとともに、付勢バネ56の付勢力によって支持部60が印画シート3の他側縁を押圧している。
また、印画シート3は、搬送検出レバー50によって搬送位置が検出されることにより、2つのレバーガイドプレート42,42の各支持部60,60間に、長手方向の中心線Cが位置するように搬送されている。
このように位置補正部8は、印画シート3の一側縁を基準プレート41によって直線的に支持すると共に、他側縁を2つのレバーガイドプレート42の支持部60によって、長手方向の中心を挟んだ両側を点接触にて押圧しているため、印画シート3の上側縁がサーマルヘッド30の長手方向と非平行で搬送されてきても、印画シート3の上側縁がサーマルヘッド30の長手方向と平行に正対する適正な姿勢に補正することができる。
また、位置補正部8は、移動機構43を備え、印画シート3に対する位置補正動作時における基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離を可変とされているため、複数のサイズを備える印画シート3の位置補正を行うことができる。また、位置補正部8は、各印画シート3の位置補正動作においても、印画シート3のサイズや装置本体2の設置姿勢など様々な要因に応じて、基準プレート41の位置を基準とした補正位置や、レバーガイドプレート42の支持部60による押圧力を調整し、搬送される印画シート3にとって最適な位置補正を行うことができる。
なお、後述するように、基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離の調整は、移動機構43を駆動する補正制御部85の設定値を変更することにより行うことができる。例えば、位置補正部8は、搬送される印画シート3のサイズに応じて、印画シート3の幅以下となるように基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離を調整する。また、位置補正部8は、装置本体2が、印画シート3のシート面が水平方向を向いた状態で搬送される縦置きに設置された場合には、印画シート3や基準プレート41あるいはレバーガイドプレート42が重力方向へ下がらないように、基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離を調整することによりレバーガイドプレート42による押圧力を調整することができる。
かかる印画シート3の位置補正が終了すると、中間ピックアップローラ48が上昇して天板44に設けられた従動ローラとともに印画シート3を挟持し、あるいはキャプスタンローラ33a及びピンチローラ34aが印画シート3を挟持する。次いで、移動機構43によって基準プレート41とレバーガイドプレート42とが離間する方向に移動され、印画シート3をリリースする。これにより位置補正部8は、適正な姿勢に補正された状態で印画シート3を印画部7へ搬送することができる。
なお、基準プレート41及びレバーガイドプレート42は、印画シート3の両側縁を上下及び側方から支持する断面略コ字状のガイド溝形状をなすため、印画シート3の搬送をガイドすることができると共に上下方向及び左右方向の撓みを防止することができる。プリンタ装置1では、基準プレート41及びレバーガイドプレート42が近接離間可能に形成されていることから、かかる移動領域には、基準プレート41及びレバーガイドプレート42との衝突や摺動などを防止するため、天板44やベースプレート40上に印画シート3の搬送をガイドするガイドリブ等を設けることができない。したがって、プリンタ装置1は、基準プレート41及びレバーガイドプレート42をガイド溝形状に形成し、印画シート3の搬送をガイドしている。
排出部9は、印画シート3を排出するための排出用ローラ75と該排出用ローラ75に圧着される送りローラ76とを備え、画像が印刷された印画シート3を装置本体2の前面から排出させる。
以上のように構成されたプリンタ装置1の回路構成について説明すると、図12に示すように、プリンタ装置1は、印刷する画像データが入力されるインタフェース(以下、単にI/Fという。)80と、I/F80より入力された画像データを蓄積する画像メモリ81と、制御プログラム等が格納される制御メモリ82と、サーマルヘッド30の動作を制御するヘッド制御部83と、印画シート3をトレイ4から排出部9まで走行させる搬送ローラ27やキャプスタンローラ33等の駆動源となるモータ等を駆動する搬送制御部84と、印画シート3のサイズ等に応じて位置補正部8の移動機構43を駆動する補正制御部85と、補正制御部85やヘッド制御部83を制御する制御部86が、バス87を介して接続されている。
I/F80は、印刷する画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置、MRI等の撮像装置から送られた画像データが記録されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器101(図3)等の電気機器が接続される。そして、I/F80は、各種電気機器に記録された画像データや、光ディスク、ICカード等の記録媒体に記録されている画像データが入力される。なお、このI/F80には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394、ブルートゥース(Bluetooth)等の規格に基づいて有線又は無線で電気機器が接続される。
画像メモリ81には、少なくとも画像データを1枚分記憶することができる容量を有し、I/F80より入力された印刷する画像データが入力され、一時的に保存される。制御メモリ82は、プリンタ装置1の全体の動作を制御する制御プログラム等が格納されている。ヘッド制御部83は、制御メモリ82に格納された制御プログラムに基づいてサーマルヘッド30の動作を制御する。例えば、ヘッド制御部83は、サーマルヘッド30の駆動電流を制御し、印刷する画像に応じてサーマルヘッド30を駆動する。搬送制御部84は、制御メモリ82に格納された制御プログラムに基づいて取出機構20のピックアップローラ21やピックアップ用モータ25、あるいは搬送部6の搬送ローラ27による印画シート3の搬送速度を制御する。補正制御部85は、制御メモリ82に格納された制御プログラムに基づき、印画シート3のサイズや印画枚数などに応じて、移動機構43の駆動モータ68を制御し、基準プレート41やレバーガイドプレート42の近接離間動作を行う。制御部86は、画像メモリ81や制御メモリ82に格納された情報や、トレイ4に装着されたパッケージのICタグから読み取られた印画シート3のサイズ等の情報、印画シート3の搬送位置を検出する搬送検出レバー50、あるいは移動機構43の検出スイッチ70によって検出された情報に基づき、補正制御部85やヘッド制御部83を制御する。
次いで、以上のように構成されたプリンタ装置1の印画工程について説明する。図13に示すように、制御部86は、ホスト機器101から印画操作が指示されると、ステップS1として、トレイ4に設けられた読み取り手段によって、印画シート3のサイズを検出する。ステップS2において、制御部86は、検出された印画シート3のサイズ情報に基づいて、補正制御部85を制御し、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を、搬送される印画シート3の幅よりも広い待機幅となるように移動機構43を駆動させる。
このとき、移動機構43は、図11(b)に示すように、先ず基準プレート41とレバーガイドプレート42を離間させ、基準プレート台52に設けられたリブをベースプレート40に設置された検出スイッチ70にて検出することにより初期位置まで搬送し、その後、図14(a)に示すように、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を近接させ、印画シート3の両側縁を支持可能な所定の待機位置まで送る。
ステップS3において、搬送制御部84により、取出機構20のピックアップローラ21や搬送部6の搬送ローラ27が駆動されることにより、トレイ4より印画シート3が位置補正部8内に搬送される。ステップS4において、印画シート3が所定の搬送位置、すなわち、搬送方向の中心が2つのレバーガイドプレート42の支持部60,60間まで搬送されたか否かが検出される。印画シート3の搬送位置の検出は、搬送検出レバー50あるいは第2の搬送検出レバーが印画シート3の上側縁に傾倒された後、所定時間だけ搬送されたかどうかを計ることにより行う。制御部86は、検出された印画シート3のサイズに応じて搬送検出レバー50あるいは第2の搬送検出レバーの何れを搬送位置検出の基準として用いるか決定し、搬送制御部84を駆動する。
そして、制御部86は、印画シート3が所定位置まで搬送されていないときは、搬送部6を駆動し続け、ステップS5において、図14(b)に示すように、印画シート3が所定位置まで搬送されると搬送部6を停止する。
なお、このとき、レバーガイドプレート42には、印画シート3の搬送方向と反対方向に向かって基準プレート41と反対側に拡がる導入部61が形成されているため、図15に示すように、印画シート3が待機位置まで搬送されている基準プレート41とレバーガイドプレート42との間の領域よりも幅方向にずれて搬送されてきた場合にも、導入部61によって基準プレート41とレバーガイドプレート42との間に印画シート3を引き込むことができる。
なお、印画シート3が位置補正部8に搬送される前には、中間ピックアップローラ48がベースプレート40上より下降され、また、ピンチローラ34aが上昇されキャプスタンローラ33aと離間されることにより、印画シート3の搬送領域上から退避される。
ステップS6において、図14(c)に示すように、補正制御部85によって基準プレート41及びレバーガイドプレート42が近接するように制御され、印画シート3の位置補正が行われる。このとき、移動機構43は、基準プレート41の支持壁41aと及びレバーガイドプレート42の支持部60との間隔が、印画シート3の幅以下となるように制御される。したがって印画シート3は、一側縁が基準プレート41の支持壁41aに長手方向に亘って支持され、他側縁が、反矢印A方向に回動されることにより矢印A方向への付勢力が生じているレバーガイドプレート42の支持部60に押圧される。これにより印画シート3は、他側縁が点接触されている支持部60に押圧されるとともに、一側縁が支持壁41aにより直線状に支持されるため、搬送部6により上側縁がサーマルヘッド30の長手方向と非平行で搬送されてきても、上側縁とサーマルヘッド30の長手方向とが平行となる適正な姿勢に補正される。
また、図10に示すように、印画シート3は、搬送方向の中心が2つのレバーガイドプレート42の支持部60,60間に位置されているため、搬送方向に対して左右どちらにズレていても、適正な姿勢に補正されることができる。
なお、基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離は、予め補正制御部85によって所定の値に設定されている。かかる距離は、印画シート3のサイズに応じて設定される他、例えば印画シート3とサーマルヘッド30との位置や、レバーガイドプレート42による印画シート3の位置補正に最適な押圧力、装置本体2の設置姿勢などの要因、及びこれらの要因の組み合わせに応じて適宜設定される。
印画シート3の位置補正が行われると、ステップS7において、図16に示すように、中間ピックアップローラ48が上昇して従動ローラとともに印画シート3を挟持し、又はピンチローラ34aが下降してキャプスタンローラ33aとともに印画シート3を挟持する。
次いで、ステップS8において、図14(d)に示すように、基準プレート41及びレバーガイドプレート42が待機位置まで離間され、印画シート3をリリースし印画部7へ搬送可能とする。印画シート3は、中間ピックアップローラ48及び従動ローラ、あるいはキャプスタンローラ33a及びピンチローラ34aによって挟持されているため、リリース時に位置ズレが生じることはない。このように印画部7へ搬送される印画シート3から基準プレート41及びレバーガイドプレート42をリリースさせるのは、仮に、基準プレート41及びレバーガイドプレート42によって支持された状態で印画部7へ搬送されると、印画シート3の側縁が基準プレート41及びレバーガイドプレート42の搬送方向上流側の縁を通過するとき、レバーガイドプレート42の付勢が解除される際の衝撃が印画シート3に加わり、位置ズレや印画品質に悪影響を与えるおそれがあるためである。
プリンタ装置1は、かかる印画シート3に対する位置補正動作を、印画シート3毎に行う。印画部7に搬送された印画シート3は、サーマルヘッド30によって印画され、その後、折り返しローラ77によって濃度測定部78へ搬送される(図4)。濃度測定部78には、搬送された印画シート3の印画濃度を測定するための図示しない濃度測定器が配置され、測定の結果、印画濃度にバラツキがある等の不具合が生じている場合には、例えば、ホスト機器101側に設けられたモニタ等に当該不具合がある旨が表示される。最後に、印画シート3は、濃度測定部78を経由した後、排出部9の排出トレイ79に排出される。
なお、プリンタ装置1は、かかる位置補正動作を一つの印画シート3に対して複数回行うようにしてもよい。例えば位置補正動作を2回行うことで、印画シート3の位置ズレが大きく、1度目の補正動作で位置補正が不十分な場合にも、2度目の補正動作によって適正な姿勢に補正することができる。
このとき、制御部86は、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を、支持壁41aと支持部60との距離が印画シート3の幅以下となるまで近接させた後、離間させ、再度、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を近接させ、位置補正を行う。その後、印画シート3が中間ピックアップローラ48及び従動ローラ、あるいはキャプスタンローラ33a及びピンチローラ34aに挟持され、基準プレート41及びレバーガイドプレート42からリリースされる。
またプリンタ装置1は、位置補正を複数回行う際に、図17(a)及び(b)に示すように、位置補正の度に基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を、支持壁41aと支持部60との距離が印画シート3の幅以下となる範囲内で、異ならせるようにしてもよい。例えば、制御部86は、位置補正動作を2回行う際に、基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を異ならせる場合、基準プレート41の位置が1回目の補正動作時の位置よりも左右どちらかに移動するように補正制御部85を制御する。レバーガイドプレート42は、レバーガイドプレート台54上を回動自在に支持されていることから、例えば基準プレート41が1回目の補正動作時よりも近接した場合、1回目よりも大きく反矢印A方向に回動され、基準プレート41が1回目の補正動作時よりも離間した場合には、1回目よりも小さく反矢印A方向に回動され、付勢バネ56の付勢力によって支持部60が印画シート3の他側縁を押圧する。
このように基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離を1回目と2回目とで異ならせることで、付勢バネ56の付勢力による印画シート3への押圧力を異ならせることができ、1回目の補正動作における付勢力ではで吸収しきれない印画シート3の位置ズレを補正することが可能となる。なお、基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離を異ならせた場合でも、基準プレート41の支持壁41aの位置が左右方向に移動されるだけであるため、印画シート3の上側縁とサーマルヘッド30の長手方向との平行は保たれており、適正な姿勢に補正することはできる。なお、この場合、サーマルヘッド30は、最後の補正動作における印画シート3の補正位置に対応して通電エリアが設定される。
ここで、基準プレート41及びレバーガイドプレート42は、1回目の補正動作時と、2回目の補正動作とで、例えば±1.5mm程度左右方向に移動される。かかる移動量は、適宜選択することができ、また補正動作の度に異なる移動量で移動させてもよい。また、基準プレート41及びレバーガイドプレート42は、1回目の補正動作時における近接距離よりも2回目の補正動作時における近接距離を狭めることで、支持部60からの付勢力を強めて、1回目に粗調整、2回目に精調整を行うことができる。
さらに、プリンタ装置1は、印画シート3のサイズに応じて、位置補正動作の回数を異ならせてもよい。例えばプリンタ装置1は、10×12、8×10(単位:インチ)といいたサイズの小さな印画シート3に印画する場合には補正動作を2回行い、14×17、11×14(単位:インチ)といった大きいサイズの印画シート3に印画する場合には、位置ズレのおそれが少ないことから1回のみ位置補正動作を行う、あるいは逆に小さいサイズの印画シート3に印画する場合には印画シート3が軽量で位置補正が容易であることから位置補正動作を1回のみ行い、大きいサイズの印画シート3に印画する場合には位置補正動作を2回行うようにしてもよい。そして位置補正動作を複数回行う場合には、その都度、基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を同じにしてもよく、また異ならせてもよい。
またさらに、プリンタ装置1は、装置本体2の設置姿勢に応じて、位置補正動作の回数を異ならせてもよい。例えばプリンタ装置1は、印画シート3のシート面が垂直方向を向いた状態でトレイ4から位置補正部8を経て印画部7に搬送される横置きに設置された場合には、位置ズレのおそれが少ないことから1回のみ位置補正動作を行い、図18に示すように、印画シート3のシート面が水平方向を向いた状態でトレイ4から位置補正部8を経て印画部7に搬送される縦置きに設置された場合には位置補正動作を2回行うようにしてもよい。そして位置補正動作を複数回行う場合には、その都度、基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を同じにしてもよく、また異ならせてもよい。
次いで、複数の印画シート3に対して連続して画像を印刷する場合の印画工程について説明する。プリンタ装置1は、同一サイズの印画シート3に対して複数枚に亘って連続印刷を行う場合、制御部86によって、一の印画シート3に対する印画時と、他の印画シート3に対する印画時とで、基準プレート41及びレバーガイドプレート42との近接距離を異ならせるように移動機構43が制御される。
すなわち、印画シート3は、複数メーカーから提供されており、中には外側縁にバリを有しているものもある。したがって、同一サイズの印画シート3に対して連続印刷を行う場合、常に同じ位置に印画シート3を補正し印画部7へ搬送させていると、印画シート3の外側縁に生じたバリにより、サーマルヘッド30の印画シート3との当接面が傷ついたり、塵埃などが集積されて、これがスジとなって印刷画像に現れるなど、印刷品質の低下を招くおそれがある。
そこで、プリンタ装置1では、連続印刷に際しては、所定枚数毎に、基準プレート41及びレバーガイドプレート42との近接距離の設定を変更し、印画シート3の補正位置を左右方向に移動させて、サーマルヘッド30の同一箇所に印画シート3の外側縁が摺動し続ける事態を回避することとしている。すなわち、位置補正部8は、図17(a)及び(b)に示すように、基準プレート41とレバーガイドプレート42との距離を変更することにより、基準となる基準プレート41の位置が左右方向に移動されるため、印画シート3の補正位置も左右方向に移動される。したがって、位置補正部8は、サーマルヘッド30に対する印画シート3の搬送位置を移動させることができ、同一箇所への摺動を防止することができる。なお、印画シート3の補正位置を移動するに際しては、レバーガイドプレート42を矢印A方向へ付勢する付勢バネ56の付勢力が一定の範囲内でレバーガイドプレート42が回動されるように、基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離や付勢バネ56のバネ定数を調整してもよい。
先ず、図19に示すように、制御部86は、ホスト機器101から印画操作が指示されると、ステップS10として、トレイ4に設けられた読み取り手段によって、印画シート3のサイズを検出する。ステップS11において、制御部86は、検出された印画シート3のサイズ情報に基づいて、補正制御部85を制御し、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を、搬送される印画シート3の幅よりも広い待機幅となるように移動機構43を駆動させる。
なお、このときも移動機構43は、検出スイッチ70によって基準プレート台52及びこれと連動するレバーガイドプレート台54の初期位置を検出した後、印画シート3のサイズに応じた所定の待機位置までステップパルス搬送する。
ステップS12において、搬送制御部84により、取出機構20のピックアップローラ21や搬送部6の搬送ローラ27が駆動されることにより、トレイ4より印画シート3が位置補正部8内に搬送される。ステップS13において、上記ステップS4と同様に、印画シート3が所定の搬送位置、すなわち、搬送方向の中心が2つのレバーガイドプレート42の支持部60,60間まで搬送されたか否かが検出される。そして、制御部86は、印画シート3が所定位置まで搬送されていないときは、搬送部6を駆動し続け、ステップS14において、印画シート3が所定位置まで搬送されると搬送部6を停止する。
なお、このときも、印画シート3が位置補正部8に搬送される前には、中間ピックアップローラ48がベースプレート40上より下降されまた、ピンチローラ34aが上昇されキャプスタンローラ33aと離間されることにより、印画シート3の搬送領域上から退避される。
次いで、ステップS15において、制御部86は、連続印刷が開始されてからの印刷枚数nを更新し、ステップS16において、連続印刷の枚数が所定数に到達したか否かを検出する。例えば、100枚毎に印画シート3の補正位置を変更する場合には、当該印刷枚数nを設定変更枚数100で割った値が整数であるか否かを検出する。その結果、整数である場合には、制御部86は、ステップS17において、位置補正動作時における基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を変更するように、補正制御部85の設定値を変更させ、新たに設定された値に基づいて移動機構43を駆動し、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を所定の補正位置まで近接させる。
これにより印画シート3は、一側縁が基準プレート41の支持壁41aに長手方向に亘って支持され、他側縁がレバーガイドプレート42の支持部60に押圧され、上側縁とサーマルヘッド30の長手方向とが平行となる適正な姿勢に補正される(ステップS18)。また、位置補正部8は、補正制御部85の設定値が変更されることにより、基準プレート41の位置が前回の補正動作時と異なるため、印画シート3の補正位置が変更される。したがって、位置補正部8は、印画シート3とサーマルヘッド30との摺接位置を変更でき、同一箇所に繰り返し摺接することによる傷や塵埃の堆積が防止できる。
一方、制御部86は、ステップS16において、印刷枚数nを設定変更枚数100で割った値が整数でない場合には、補正制御部85の設定値の変更を行わず、従来の設定値に基づいて移動機構43を駆動し、基準プレート41及びレバーガイドプレート42を所定の補正位置まで近接させて印画シート3の位置補正を行う(ステップS18)。
印画シート3の位置補正が行われると、ステップS19において、図16に示すように、中間ピックアップローラ48が上昇して従動ローラとともに印画シート3を挟持し、又はピンチローラ34aが下降してキャプスタンローラ33aとともに印画シート3を挟持する。次いで、ステップS20において、基準プレート41及びレバーガイドプレート42が待機位置まで離間され、印画シート3をリリースし印画部7へ搬送可能とする。
次いで、ステップS21において、印画シート3の補正位置に応じて、サーマルヘッド30の通電エリアを演算する。これは、サーマルヘッド30には、複数の発熱素子がライン状に配列されており、これら複数の発熱素子に階調レベルに応じて通電量を制御し、その際に発生する熱エネルギを利用して印画シート3に印刷を行うことから、印画シート3の搬送位置補正に応じて、通電エリアを修正し、印画シート3に対する印画位置ズレなどを防止する必要があるためである。
次いで、ステップS22において、通電エリアが修正されたサーマルヘッド30によって印画シート3に印画を行う。印画された印画シート3は、濃度測定部78を経て排出部9の排出トレイ79へ搬送される。次いで、ステップS23において、連続印刷を続行するか否かを判定し、続行する場合にはステップS10に戻る。
なお、プリンタ装置1は、かかる連続印刷工程においても、各印画シート3の位置補正動作を複数回に亘って行うようにしてもよい。また、各印画シート3の位置補正動作を複数回行う場合には、図17(a)及び(b)に示すように、例えば1回目と2回目とで基準プレート41及びレバーガイドプレート42の近接距離を異ならせてもよい。さらに、基準プレート41及びレバーガイドプレート42は、1回目の補正動作時における近接距離よりも2回目の補正動作時における近接距離を狭めることで、支持部60からの付勢力を強めて、1回目に粗調整、2回目に精調整を行うことができる。
また、プリンタ装置1は、かかる連続印刷工程においても、上述したように、印画シート3のサイズに応じて、各印画シート3に対する位置補正動作の回数を異ならせてもよく、また装置本体2の設置姿勢に応じて、各印画シート3に対する位置補正動作の回数を異ならせてもよい。そして印画シート3のサイズや装置本体2の設置姿勢に応じて位置補正動作を複数回行う場合には、その都度、基準プレート41とレバーガイドプレート42との近接距離を同じにしてもよく、また異ならせてもよい。
そして、制御部86は、各印画シート3に対して複数回に亘って位置補正動作を行う場合には、各印画シート3に対する最後の補正位置を、一定枚数毎に変更することで、サーマルヘッド30と印画シート3との繰り返し摺接が防止される。
以上、本発明について、レバーガイドプレート42を印画シート3の搬送方向に沿って2つ設けたプリンタ装置1について説明したが、本発明は、レバーガイドプレート42を3つ以上設けることもできる。この場合、印画シート3の搬送方向の中心線Cを挟んだ前後を均等に押圧するために、レバーガイドプレート42の数は偶数とすることが好ましい。
また本発明を、感熱方式のサーマルヘッドプリンタに適用した場合を例に説明したが、本発明は、昇華方式、溶融方式等のサーマルヘッドプリンタや、印画シート3に対してインクを吐出することにより画像形成を行うインクジェットプリンタにも適用することができる。
また、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、シート体に液体を吐出することにより画像等を形成する液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−253200号公報)、プリンタ配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する液体吐出装置等にも適用可能である。
1 プリンタ装置、2 装置本体、3 印画シート、4 トレイ、5 ピックアップ部、6 搬送部、7 印画部、8 位置補正部、9 排出部、30 サーマルヘッド、32 プラテンローラ、33 キャプスタンローラ、34 ピンチローラ、40 ベースプレート、41 基準プレート、41a 支持壁、42 レバーガイドプレート、43 移動機構、44 天板、45,46 ガイド軸、47 保護カバー、48 中間ピックアップローラ、50 搬送検出レバー、52 基準プレート台、54 レバーガイドプレート台、55 中継レバー、56 付勢バネ、58 第1の傾斜ガイド部、59 第2の傾斜ガイド部、60 支持部、61 導入部、70 検出スイッチ