JP4867594B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
まず、実施例1における車両の駆動系の構成を説明する。
図1は、実施例1の車両の制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。このハイブリッド車両の駆動系は、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有している。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装された締結要素であり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧(第1クラッチ圧)により、その締結および開放が制御される。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装された締結要素(クラッチ)であり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、その締結および開放が制御される。第2クラッチCL2は、ハイブリッド車両専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の締結要素のうち、いくつかの締結要素を流用している。なお、第2クラッチCL2には、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いているが、他の構成としてもよい。
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を、車速VSPやアクセル開度AP等に応じて、予め設定されATコントローラ7に記憶された変速マップに従って自動的に切り替える変速機である。自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
このハイブリッド車両の駆動系は、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じた3つの走行モードを有している。第1の走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」)である。第2の走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」)である。
次に、実施例1におけるハイブリッド車両の制御系を説明する。ハイブリッド車両の制御系は、後述する各種センサおよびスイッチの他、エンジンコントローラ1、モータコントローラ2、インバータ3、バッテリ4、第1クラッチコントローラ5、第1クラッチ油圧ユニット6、ATコントローラ7、第2クラッチ油圧ユニット8、ブレーキコントローラ9、および統合コントローラ10を有している。
第1クラッチ油圧ユニット6および第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに備えられた図外の油圧コントロールバルブ内に設けられている。
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12が検出したエンジン回転数Neや統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令Te*等の情報に基づき、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。エンジンコントローラ1内には、エンジンEの燃料噴射量やスロットル開度等に基づいてエンジントルクTeを推定するエンジントルク推定部1aが設けられている。エンジン回転数Ne(第1クラッチCL1入力回転数)や推定されたエンジントルクTeの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
モータコントローラ2は、レゾルバ13が検出したモータジェネレータMGのロータ回転位置、および統合コントローラ10からの目標モータトルク指令Tm*等に基づき、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。モータコントローラ2内には、モータジェネレータMGに流れる電流値に基づいてモータトルクTmを推定するモータトルク推定部2aが設けられている。推定されたモータトルクTmの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14が検出した第1クラッチ圧、ストロークセンサ15が検出したストロークセンサ値C1S、および統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令(ストローク目標値C1S*)に基づき、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令(ストローク目標値C1S*を実現する第1クラッチ圧指令値)を演算し、これを第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。検出したストロークセンサ値C1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10に入力される。
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16が検出したアクセル開度AP、車速センサ(AT出力回転数センサ)17が検出した車速VSP、第2クラッチ油圧センサ18が検出した第2クラッチ圧、AT油温センサ7aが検出したAT油温、および統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令(第2クラッチ締結トルク目標値)等に基づき、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令を第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセル開度AP、車速VSP、およびAT油温は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10に入力される。
ブレーキコントローラ9は、車輪速センサ19が検出した4輪の各車輪速、ブレーキストロークセンサ20が検出したブレーキストロークBS、および統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づき、回生協調ブレーキ制御を行う。例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから算出される要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように制御する。
統合コントローラ10は、主に、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせる機能を有している。統合コントローラ10は、モータ回転数センサ21が検出したモータ回転数Nm、第2クラッチ出力回転数センサ22が検出した第2クラッチ出力回転数N2out、ブレーキ油圧センサ24が検出したブレーキ圧、バッテリ電力センサ25が検出したバッテリ4の使用可能な電力容量(以下、バッテリSOC)、およびCAN通信線11を介して得られた各情報、すなわちエンジン回転数Ne(第1クラッチCL1入力回転数)、ストロークセンサ値C1S、第1、第2クラッチ圧、アクセル開度AP、車速VSP、およびブレーキストロークBS等の入力を受ける。
目標駆動力演算部100では、図5に示す目標駆動力マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
モード選択部200では、図6に示すEV-HEV選択マップを用いて、走行状態(アクセルペダル開度APOおよび車速VSP)から、目標モードを演算する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標モードとする。
目標充放電演算部300では、所定の目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
動作点指令部400は、目標駆動力tFoO等に基づき目標エンジントルクTe*を演算し、これをエンジンコントローラ1に出力して、エンジンEの動作を制御する。
また、動作点指令部400には、EV走行モードからHEV走行モードに移行するときにエンジンEを始動する図外のエンジン始動制御部が設けられている。
動作点指令部400は、目標駆動力tFoO等に基づき目標モータ回転数Nm*および目標モータトルクTm*を演算し、これらをモータコントローラ2に出力して、モータジェネレータMGの動作を制御する。すなわち、モータ回転数制御とモータトルク制御を行う。
さらに、切換部406が、後述する第2クラッチ締結トルク目標値TCL2*と推定された第2クラッチ締結トルクTCL2とに基づいて、モータ回転数制御部403による制御とモータトルク制御部404による制御とを切り換える。
動作点指令部400では、シフトスケジュールに沿って目標変速段(目標ATシフト)を自動的に設定し、変速制御部500に出力する。変速制御部500は、この目標変速段を達成するように、自動変速機AT内のソレノイドバルブを駆動制御し、自動変速機AT内の各クラッチ締結トルクを制御する。尚、このシフトスケジュールは、車速VSPとアクセルペダル開度APOに基づいて予め目標変速段が設定されたものであり、アップシフト線、ダウンシフト線等が設定されている。
第1クラッチCL1の締結状態は、所定の制御ロジックに基づいて決定される。エンジン始動を必要としているとき(HEV走行モードへの移行要求時)はスリップ制御が行われ、エンジンEが始動した状態でトルクを出力しているとき(HEV走行モード)は完全締結状態とされ、エンジンEの駆動力を必要としないとき(EV走行モード)は完全解放状態とされる。
エンジン始動要求時には第2クラッチCL2をスリップ制御すると共に、切換部406によりモータトルク制御からモータ回転数制御に切り換える。一方、エンジン始動が完了すると、モータ回転数制御からモータトルク制御に切り換えると共に、第2クラッチCL2を完全締結する。
HEV走行モード時には第1クラッチCL1の締結制御を実行し、EV走行モード時には第1クラッチCL1のスタンバイ制御を実行する。
HEV走行モードにおける第1クラッチCL1の締結時には、ストロークセンサ値C1Sに基づくことなく、締結時のストローク目標値C1S*(β)に応じた第1クラッチ圧指令を出力して、クラッチピストン35の実位置をオープン制御する。以下、HEV走行モード時の締結状態におけるクラッチピストン35の位置を締結位置C1S(β)という。締結時のストローク目標値C1S*(β)は、クラッチピストン35の締結目標位置C1S*に相当する。
スタンバイ制御部412は、スタンバイ制御を実行する。スタンバイ制御は、第1クラッチCL1を完全開放するEV走行モード時において、第1クラッチCL1を(HEV走行モードに切り替わった後)すぐに締結できるぎりぎりの開放状態に待機させる制御である。以下、EV走行モード時の待機状態におけるクラッチピストン35の位置C1Sをスタンバイ位置C1S(α)という。
図8は、スタンバイ制御処理を表すフローチャートである。下記のように、第1クラッチCL1の締結状態からスタンバイ状態への切り替えはフィードバック制御により行い、スタンバイ状態の維持はオープン制御により行う。
本実施例1では、ストロークセンサ値C1Sがストローク目標値C1S*に収束した状態が所定時間継続したとき、上記終了条件が成立したものとする。なお、ステップS10におけるスタンバイ制御開始判定後、所定時間経過したとき、上記終了条件が成立したものとしても良く、特に限定しない。
本実施例1では、装置を小型・軽量化し、コストを低減するために、第1クラッチCL1として、湿式クラッチではなく乾式クラッチを使用している。乾式クラッチでは、湿式クラッチとは異なり、油圧ではなくクラッチピストンの位置(ストローク)を調整することにより、締結容量を制御する。よって、乾式クラッチを用いて上記スタンバイ制御を行う場合、クラッチピストンのスタンバイ目標位置を設定し、センサにより検出したクラッチピストンの実位置とスタンバイ目標位置とに基づいてフィードバック制御を実行することになる。したがって、ストロークセンサ等、クラッチピストンの位置を検出するセンサが必要となり、しかも、センサ検出値の正確性・信頼性を確保することが重要となる。
図9に示すように、第1クラッチ異常診断部420は、ストロークセンサ値検出部421と、エンジン始動時間計測部422と、エンジン回転数検出部423と、ストロークセンサ値記憶部424と、エンジン始動時間記憶部425と、ストロークセンサ値比較部426と、エンジン始動時間比較部427と、判定部428と、を有している。
図10は、第1クラッチ異常診断部420で実行される診断処理を表すフローチャートである。
ステップS20では、第1クラッチ締結トルク指令TCL1*とストロークセンサ値C1S、および両者の関係を検出する。また、応答時間T1を検出する。その後、ステップS21に移る。
ステップS21では、記憶したストロークセンサ値C1Sと検出したストロークセンサ値C1Sとの比較結果に基づき、ストロークセンサ値C1Sが締結側に所定値以上オフセットしているか否かを判定する。締結側に所定値以上オフセットしていればステップS22に移り、締結側に所定値以上オフセットしていなければステップS25に移る。
ステップS25では、記憶したストロークセンサ値C1Sと検出したストロークセンサ値C1Sとの比較結果に基づき、ストロークセンサ値C1Sが開放側に所定値以上オフセットしているか否かを判定する。開放側に所定値以上オフセットしていなければステップS29に移り、開放側に所定値以上オフセットしていればステップS26に移る。
ステップS29では、正常応答時間T1*と検出した応答時間T1との比較結果に基づき、ストロークセンサ値C1Sに応答遅れが発生しているか否かを判定する。応答遅れが発生していればステップS30に移り、応答遅れが発生していなければステップS32に移る。
ステップS32では、ストロークセンサ値C1Sのモニタ結果に基づき、ストロークセンサ値C1Sが固定値であるか否かを判定する。固定値であればステップS33に移り、固定値でなければステップS20に戻る。
図11および図14〜図17は、第1クラッチCL1の締結トルク指令値TCL1*およびストロークセンサ値C1Sのタイムチャートを示す。図中(a)(b)はそれぞれ、(a)締結状態からスタンバイ状態へ移行する場合、および(b)スタンバイ状態から締結状態に移行する場合を示す。
第1クラッチ正常時の制御においては、ストロークセンサ値を記憶しておく。また、第1クラッチ締結トルク指令に対するストロークセンサ値の関係、具体的には、ストロークセンサ値の応答を記憶しておく。
図11(a)に示すように、t1以前において、第1クラッチCL1は締結状態である。締結トルク指令値TCL1は所定の値TCL1*(β)に維持されており、オープン制御により、ストロークセンサ値C1Sは、締結時のストローク目標値C1S*(β)に維持されている。
図11(b)に示すように、t4以前において、第1クラッチCL1はスタンバイ状態である。オープン制御により、上記のようにクラッチピストン35はスタンバイ位置に固定されている。よって、ストロークセンサ値C1Sも目標値C1S*(α)に固定される。
図12は、図11(a)のt1以前においてストロークセンサ15が締結側にオフセットした場合、具体的には、ストロークセンサ値C1Sがクラッチピストン35の実位置に対して締結側にΔC1Sだけオフセットした場合における第1クラッチCL1の模式図を示す。
図14(a)は、t1以前における締結時に、ストロークセンサ値C1Sが、正常時のストロークセンサ値C1S*(β)に対して締結側にΔC1Sだけオフセットした場合(図12参照)のタイムチャートを示す。
図14(b)は、図14(a)のt1〜t31においてストロークセンサ値C1Sを開放側にΔC1Sだけフィードバック補正した後、第1クラッチCL1を締結制御する場合のタイムチャートを示す。
ストロークセンサ値C1Sのオフセットを検知した場合、以下の診断ロジックにより、締結側オフセットと判定できる。
図13は、図11(a)のt1以前においてストロークセンサ15が開放側にオフセットした場合、具体的には、ストロークセンサ値C1Sがクラッチピストン35の実位置に対して開放側にΔC1Sだけオフセットした場合における第1クラッチCL1の模式図を示す。
図15(a)は、t1以前における締結時に、ストロークセンサ値C1Sが、正常時のストロークセンサ値C1S*(β)に対して開放側にΔC1Sだけオフセットした場合(図13参照)のタイムチャートを示す。
図15(b)は、図15(a)のt1〜t31においてストロークセンサ値C1Sを締結側にΔC1Sだけフィードバック補正した後、第1クラッチCL1を締結制御する場合のタイムチャートを示す。
ストロークセンサ値C1Sのオフセットを検知した場合、以下の診断ロジックにより、開放側オフセットと判定できる。
図16(a)(b)は、第1クラッチCL1の油圧系に故障が発生した場合のタイムチャートを示す。
図16(a)に示すように、t1以降、ストロークセンサ値C1Sのフィードバック制御が行われ、t32において、ストロークセンサ値C1Sがスタンバイ時のストローク目標値C1S*(α)に収束する。この収束時刻t32は正常時の時刻t3よりも遅い。すなわち、応答時間T1(α)は、正常応答時間T1*(α)よりも長い。言い換えれば、フィードバック制御が行われるt1からt32までの間、締結トルク指令TCL1*に対するストロークセンサ値C1Sの応答が正常時よりも遅れる。t1からt21までの間におけるストロークセンサ値C1Sの変化勾配の大きさ(時間当たり変化量)は、t1からt2までの間において記憶された正常時のストロークセンサ値C1Sの変化勾配の大きさよりも小さい。
図16(b)に示すように、t4以降、クラッチピストン35の実位置のオープン制御が行われ、t71において、ストロークセンサ値C1Sが締結時のストローク目標値C1S*(β)に一致する。この一致時刻t71は正常時の時刻t7よりも遅い。すなわち、応答時間T1(β)は、正常応答時間T1*(β)よりも長い。言い換えれば、締結が行われるt4からt71までの間、締結トルク指令TCL1*に対するストロークセンサ値C1Sの応答が正常時よりも遅れる。t4からt71までの間におけるストロークセンサ値C1Sの変化勾配の大きさは、t4からt7までの間において記憶された正常時のストロークセンサ値C1Sの変化勾配の大きさよりも小さい。
応答時間T1のズレを検知した場合、以下の診断ロジックにより油圧故障の発生を判定できる。
図17(a)(b)は、ストロークセンサ15にオープン故障またはショート故障が発生した場合のタイムチャートを示す。
このように、締結トルク指令TCL1*に対してストロークセンサ値C1Sに変化が生じず、開放側または締結側に固定値を出力し続けた場合には(図10のステップS32)、ストロークセンサ15の断線または短絡、すなわちオープン故障またはショート故障が発生していると判定できる(ステップS33)。
フェイルセーフ制御部430は、第1クラッチ異常診断部420による診断結果に応じたフェイルセーフ制御を行う。
ステップS40では、フェイルセーフ処理の前段階として、第1クラッチ異常診断部420が、上記のように、図10のステップS20〜S33に示す診断処理を実行する。
ステップS41では、締結側オフセットと判定したか否かを検出する。締結側オフセットと判定したときはステップS42に移り、その他のときはステップS43に移る。
図18のステップS43では、開放側オフセットと判定したか否かを検出する。開放側オフセットと判定したときはステップS44に移り、その他のときはステップS45に移る。
図18のステップS45では、油圧系故障と判定したか否かを検出する。油圧系故障と判定したときはステップS52に移り、通常制御を継続する。その他のときはステップS46に移る。
図18のステップS46では、オープン故障またはショート故障と判定したか否かを検出する。オープン故障またはショート故障と判定したときはステップS47に移り、その他のときはステップS41に戻る。
以下、実施例1から把握される、本発明のハイブリッド車両の制御装置が有する効果を列挙する。
また、ストロークセンサ15の検出値の正確性・信頼性を確保することができるため、第1クラッチCL1として乾式クラッチを用いた場合でも、ストロークセンサ15により検出したクラッチピストン35の実位置と目標位置C1S*とに基づいてフィードバック制御を実行することが可能になる。よって、第1クラッチCL1として乾式クラッチを利用するシステムにおいてスタンバイ制御の機能を追加することができ、装置の小型・軽量化によりコストを低減することと、スタンバイ制御を実行することとを両立できる。
また、上記オープン制御において用いるスタンバイ目標位置C1S*(α)を、EV走行モード時に検出したエンジン回転数Ne(ステップS48)に応じた所定値だけ開放側にオフセット補正する(ステップS49)。これにより、エンジン連れ回りが発生した場合であっても、エンジン連れ回りを抑止し、運転者に与える違和感を低減しつつ、オープン制御によるスタンバイ制御を継続できる。
さらに、所定回数以上、エンジン連れ回りを検出したときには、第1クラッチCL1を常時締結としてHEV走行モードに固定する(ステップS50、S51)。これにより、エンジン連れ回りを解消でき、運転者に与える違和感を解消できる。
MG モータジェネレータ
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
7a AT油温センサ
10 統合コントローラ
12 エンジン回転数センサ
14 第1クラッチ油圧センサ
15 第1クラッチストロークセンサ
21 モータ回転数センサ
22 第2クラッチ出力回転数センサ
35 クラッチピストン
410 第1クラッチ締結トルク目標値演算部
411 第1クラッチストローク目標値演算部
412 スタンバイ制御部
420 第1クラッチ異常診断部
421 ストロークセンサ値検出部
422 エンジン始動時間計測部
423 エンジン回転数検出部
424 ストロークセンサ値記憶部
425 エンジン始動時間記憶部
426 ストロークセンサ値比較部
427 エンジン始動時間比較部
428 判定部
430 フェイルセーフ制御部
Claims (15)
- エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの間に介装され前記エンジンと前記モータとを断接する締結要素とを備え、前記締結要素を締結することで前記エンジンを始動する車両の制御装置において、
前記締結要素は、互いに押圧されることで前記締結要素の締結トルクを発生する複数の摩擦部材を有し、
前記締結要素の実際の締結状態として、前記複数の摩擦部材間の距離に相関するパラメータを検出する実締結状態検出手段と、
前記締結要素の締結トルクの指令値に応じて前記パラメータの目標値を設定し、前記パラメータの目標値を実現するように前記締結要素の締結状態を制御する締結要素制御手段と、
前記エンジンの作動状態を検出するエンジン作動状態検出手段と、
前記実締結状態検出手段の異常を診断する異常診断手段とを設け、
前記締結要素制御手段は、前記エンジンの始動を開始する前に、前記締結要素が締結トルクを発生しない範囲で前記複数の摩擦部材間の距離が縮まるような前記パラメータのスタンバイ目標値を設定し、前記パラメータの検出値が前記スタンバイ目標値となるように前記締結要素を制御するスタンバイ制御を行い、
前記エンジン作動状態検出手段は、前記エンジンの作動状態として、前記スタンバイ制御中に前記締結要素の締結が指令されてから前記エンジンが始動を開始するまでの時間であるエンジン始動時間を検出し、
前記異常診断手段は、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して締結側に所定値以上偏倚し、かつ検出される前記エンジン始動時間が所定値よりも長ければ、前記パラメータの検出値が実値に対して締結側に偏倚する異常が発生していると診断する
ことを特徴とする車両の制御装置。 - エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの間に介装され前記エンジンと前記モータとを断接する締結要素とを備え、前記締結要素を締結することで前記エンジンを始動する車両の制御装置において、
前記締結要素は、互いに押圧されることで前記締結要素の締結トルクを発生する複数の摩擦部材を有し、
前記締結要素の実際の締結状態として、前記複数の摩擦部材間の距離に相関するパラメータを検出する実締結状態検出手段と、
前記締結要素の締結トルクの指令値に応じて前記パラメータの目標値を設定し、前記パラメータの目標値を実現するように前記締結要素の締結状態を制御する締結要素制御手段と、
前記エンジンの作動状態を検出するエンジン作動状態検出手段と、
前記実締結状態検出手段の異常を診断する異常診断手段とを設け、
前記締結要素制御手段は、前記エンジンの始動を開始する前に、前記締結要素が締結トルクを発生しない範囲で前記複数の摩擦部材間の距離が縮まるような前記パラメータのスタンバイ目標値を設定し、前記パラメータの検出値が前記スタンバイ目標値となるように前記締結要素を制御するスタンバイ制御を行い、
前記エンジン作動状態検出手段は、前記エンジンの作動状態として、前記スタンバイ制御中におけるエンジン回転数を検出し、
前記異常診断手段は、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して開放側に所定値以上偏倚し、かつ検出される前記エンジン回転数がゼロよりも大きければ、前記パラメータの検出値が実値に対して開放側に偏倚する異常が発生していると診断する
ことを特徴とする車両の制御装置。 - エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの間に介装され前記エンジンと前記モータとを断接する締結要素とを備え、前記締結要素を締結することで前記エンジンを始動する車両の制御装置において、
前記締結要素は、互いに押圧されることで前記締結要素の締結トルクを発生する複数の摩擦部材を有し、
前記締結要素の実際の締結状態として、前記複数の摩擦部材間の距離に相関するパラメータを検出する実締結状態検出手段と、
前記締結要素の締結トルクの指令値に応じて前記パラメータの目標値を設定し、前記パラメータの目標値を実現するように前記締結要素の締結状態を制御する締結要素制御手段と、
前記モータの回転数が目標モータ回転数に一致するように前記モータを制御するモータ回転数制御を行い、または前記モータのトルクが目標モータトルクに一致するように前記モータを制御するモータトルク制御を行うモータ制御手段と、
前記モータの作動状態として、前記モータのトルクまたは回転数を検出するモータ作動状態検出手段と、
前記実締結状態検出手段の異常を診断する異常診断手段とを設け、
前記締結要素制御手段は、前記エンジンの始動を開始する前に、前記締結要素が締結トルクを発生しない範囲で前記複数の摩擦部材間の距離が縮まるような前記パラメータのスタンバイ目標値を設定し、前記パラメータの検出値が前記スタンバイ目標値となるように前記締結要素を制御するスタンバイ制御を行い、
前記異常診断手段は、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して締結側に所定値以上偏倚し、かつ前記モータ回転数制御中の前記モータのトルクの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記モータのトルクの検出値よりも小さいか、または前記モータトルク制御中の前記モータの回転数の検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記モータの回転数の検出値よりも大きければ、前記パラメータの検出値が実値に対して締結側に偏倚する異常が発生していると診断する
ことを特徴とする車両の制御装置。 - エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの間に介装され前記エンジンと前記モータとを断接する締結要素とを備え、前記締結要素を締結することで前記エンジンを始動する車両の制御装置において、
前記締結要素は、互いに押圧されることで前記締結要素の締結トルクを発生する複数の摩擦部材を有し、
前記締結要素の実際の締結状態として、前記複数の摩擦部材間の距離に相関するパラメータを検出する実締結状態検出手段と、
前記締結要素の締結トルクの指令値に応じて前記パラメータの目標値を設定し、前記パラメータの目標値を実現するように前記締結要素の締結状態を制御する締結要素制御手段と、
前記モータの回転数が目標モータ回転数に一致するように前記モータを制御するモータ回転数制御を行い、または前記モータのトルクが目標モータトルクに一致するように前記モータを制御するモータトルク制御を行うモータ制御手段と、
前記モータの作動状態として、前記モータのトルクまたは回転数を検出するモータ作動状態検出手段と、
前記実締結状態検出手段の異常を診断する異常診断手段とを設け、
前記締結要素制御手段は、前記エンジンの始動を開始する前に、前記締結要素が締結トルクを発生しない範囲で前記複数の摩擦部材間の距離が縮まるような前記パラメータのスタンバイ目標値を設定し、前記パラメータの検出値が前記スタンバイ目標値となるように前記締結要素を制御するスタンバイ制御を行い、
前記異常診断手段は、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して開放側に所定値以上偏倚し、かつ前記モータ回転数制御中の前記モータのトルクの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記モータのトルクの検出値よりも大きいか、または前記モータトルク制御中の前記モータの回転数の検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記モータの回転数の検出値よりも小さければ、前記パラメータの検出値が実値に対して開放側に偏倚する異常が発生していると診断する
ことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記パラメータの検出値が実値に対して偏倚していると診断されたときに、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して偏倚している分だけ、前記パラメータの目標値を補正する第1フェイルセーフ手段を設けたことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項5に記載の車両の制御装置において、
前記第1フェイルセーフ手段は、前記パラメータの検出値が実値に対して締結側に偏倚していると診断されたときに、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して偏倚している分だけ、前記パラメータの目標値を締結側に補正することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項5または6に記載の車両の制御装置において、
前記第1フェイルセーフ手段は、前記パラメータの検出値が実値に対して開放側に偏倚していると診断されたときに、前記締結要素の制御時における前記パラメータの検出値が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値に対して偏倚している分だけ、前記パラメータの目標値を開放側に補正することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記異常診断手段は、前記締結要素の制御時に、締結トルクの指令値に対して前記パラメータの検出値が開放側または締結側に固定されていると、前記実締結状態検出手段の断線故障または短絡故障が発生していると診断することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項8に記載の車両の制御装置において、
前記実締結状態検出手段の断線故障または短絡故障が発生していると診断されたときに、前記スタンバイ目標値を実現する前記締結要素の制御指令値を前記パラメータの検出値によらず所定のマップにより設定して前記スタンバイ制御を行う第2フェイルセーフ手段を設けたことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項9に記載の車両の制御装置において、
前記第2フェイルセーフ手段は、前記マップを用いたスタンバイ制御中、検出される前記エンジン回転数がゼロよりも大きければ、前記スタンバイ目標値を前記エンジン回転数に応じた所定値だけ開放側に補正することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項10に記載の車両の制御装置において、
前記第2フェイルセーフ手段は、前記スタンバイ目標値を補正した後、前記エンジン回転数がゼロより大きい状態を所定回数以上検出すると、前記締結要素を締結状態とすることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1ないし11のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記異常診断手段は、前記締結要素の制御時における締結トルクの指令値に対する前記パラメータの検出値の応答が、前記締結要素の正常制御時に記憶された前記パラメータの検出値の前記応答よりも所定以上遅れると、前記締結要素の故障が発生していると診断することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項12に記載の車両の制御装置において、
前記締結要素の故障が発生していると診断されたときに、前記故障を運転者に報知する第3フェイルセーフ手段を設けたことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1ないし13のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記パラメータは、前記複数の摩擦部材間の距離を制御するクラッチピストンの位置であることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1ないし13のいずれか1つに記載の車両の制御装置において、
前記パラメータは、前記複数の摩擦部材間の距離を制御する油圧であることを特徴とする車両の制御装置。
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