(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1乃至図7を参照して説明する。
図1乃至図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るペースト塗布装置1は、塗布対象物としての基板Kが水平状態(図1中、X軸方向とそれに直交するY軸方向に沿う状態)で載置される基板ステージ2と、その基板ステージ2上の基板Kにシール剤等のペーストをそれぞれ塗布する複数の塗布ヘッド3と、それらの塗布ヘッド3をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向(図1中)にそれぞれ移動させる第1ヘッド移動機構4A及び第2ヘッド移動機構4Bと、第1ヘッド移動機構4Aを介して各塗布ヘッド3を支持する第1支持部材5Aと、第2ヘッド移動機構4Bを介して各塗布ヘッド3を支持する第2支持部材5Bと、第1支持部材5AをY軸方向に移動させる一対のY軸移動機構6A、6Bと、第2支持部材5BをY軸方向に移動させる一対のY軸移動機構6C、6Dと、X軸方向に対する第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの各々の傾きを検出するための傾き検出部7と、基板ステージ2、一対のY軸移動機構6A、6B、一対のY軸移動機構6C、6D及び傾き検出部7を支持する架台8と、各部を制御する制御部9とを備えている。
基板ステージ2は、液晶表示パネルの製造に用いられるガラス基板等の基板Kが載置されるテーブル2aと、そのテーブル2aをY軸方向に移動させるY軸移動機構2bとにより構成されている。この基板ステージ2は、架台8の上面に設けられている。基板ステージ2は、基板Kを吸着する吸着機構等を備えており、その吸着機構によりテーブル2aの載置面に基板Kを固定して保持する。なお、吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。
各塗布ヘッド3は、ペーストを収容するシリンジ等の収容筒3aと、その収容筒3aに連通してペーストを吐出するノズル3bとをそれぞれ有している(図4参照)。図4に示すように、収容筒3aはクランプ31により保持され、このクランプ31はホルダ32に固定されている。これらの塗布ヘッド3は、気体供給チューブ等を介して気体供給部にそれぞれ接続されている。塗布ヘッド3は、収容筒3a内に供給される気体により、その内部のペーストをノズル3bからそれぞれ吐出する。ここで、ペーストとしては、例えば、シール性及び接着性を有するペーストを用いる。なお、ペーストとしては、シール性又は接着性のいずれか一方を有するペーストを用いるようにしてもよい。
第1ヘッド移動機構4A及び第2ヘッド移動機構4Bは、各塗布ヘッド3をX軸方向に移動させるX軸移動機構4aと、各塗布ヘッド3をY軸方向にそれぞれ移動させる複数のY軸移動機構4bと、各塗布ヘッド3をZ軸方向にそれぞれ移動させる複数のZ軸移動機構4cとによりそれぞれ構成されている(図4参照)。ここで、X軸移動機構4a、Y軸移動機構4b及びZ軸移動機構4cとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ機構やリニアモータを駆動源とする移動機構等を用いる。
X軸移動機構4aは、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bにそれぞれ設けられている。このX軸移動機構4aは、各Y軸移動機構4bをそれぞれ支持してX軸方向に移動可能に形成された複数の移動テーブル41と、それらの移動テーブル41をX軸方向に案内するガイド部材42とにより構成されている。
Y軸移動機構4bは、X軸移動機構4aとZ軸移動機構4cとを連結し、そのZ軸移動機構4cをY軸方向(基板Kの塗布面Kaに沿ってX軸方向に直交する方向)に移動させる機構である(図4参照)。このY軸移動機構4bは、第1移動機構として機能する。
Z軸移動機構4cは、ホルダ32を支持し、水平面に直交するZ軸方向(基板Kの塗布面Kaに直交する方向)、すなわち基板ステージ2に対して塗布ヘッド3を接離させる接離方向に移動させる機構である(図4参照)。また、各Z軸移動機構4cには、図4に示すように、基板ステージ2上の基板Kのアライメントマークやペーストの塗布状態等を撮像する撮像部33がブラケット34を介してそれぞれ取り付けられている。なお、撮像部33としては、例えば、CCDカメラ等を用いる。
第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、各塗布ヘッド3、すなわちヘッド移動機構4A、4Bを支持するコラム等の部材である。これらの第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、X軸方向に長尺な形状に形成されている。例えば、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、門型の形状にそれぞれ形成されている。これらの第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは基板ステージ2を跨ぐようにそれぞれ設けられている。このとき、第1支持部材5Aの梁部はX軸方向に平行に基板ステージ2の載置面に対して水平に位置付けられ、第1支持部材5Aの脚部は一対のY軸移動機構6A、6Bに連結されている。同様に、第2支持部材5Bの梁部もX軸方向に平行に基板ステージ2の載置面に対して水平に位置付けられ、第2支持部材5Bの脚部も一対のY軸移動機構6C、6Dに連結されている。このような第1支持部材5A及び第2支持部材5Bは、一対のY軸移動機構6A、6B及び一対のY軸移動機構6C、6DによりY軸方向に移動する。
一対のY軸移動機構6A、6Bは、基板ステージ2をX軸方向の両側から挟むように架台8の上面にそれぞれ設けられている。これらのY軸移動機構6A、6Bは、第1支持部材5AをY軸方向に移動可能に支持しており、その第1支持部材5AをY軸方向に沿って移動させる機構である。同様に、一対のY軸移動機構6C、6Dも、基板ステージ2をX軸方向の両側から挟むように架台8の上面にそれぞれ設けられている。これらのY軸移動機構6C、6Dは、第2支持部材5BをY軸方向に移動可能に支持しており、その第2支持部材5BをY軸方向に沿って移動させる機構である。なお、一対のY軸移動機構6A、6B及び一対のY軸移動機構6C、6Dとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ機構やリニアモータを駆動源とする移動機構等を用いる。
傾き検出部7は、架台8の上面に基板ステージ2をX軸方向の両側から挟むように設けられた一対の塗布台7a、7b及び一対の塗布台7c、7dと、一対の塗布台7a、7bの各々の塗布面及び一対の塗布台7c、7dの各々の塗布面に塗布されたペーストを撮像する一対の撮像部7e、7fと、それらの撮像部7e、7fをそれぞれ支持してX軸方向及びY軸方向に移動させる一対のXY軸移動機構7g、7hとにより構成されている。
一対の塗布台7a、7bの塗布面には、図2に示すように、中心位置マークPa、Pbがそれぞれ設けられている。これらの塗布台7a、7bは、中心位置マークPaと中心位置マークPbとを結ぶ直線がX軸方向に平行になり、X軸方向における中心位置マークPaと中心位置マークPbとの間隔が距離Lとなるように設けられている。同様に、一対の塗布台7c、7dの塗布面にも、中心位置マークPa、Pbがそれぞれ設けられている。これらの塗布台7c、7dも、中心位置マークPaと中心位置マークPbとを結ぶ直線がX軸方向に平行になり、X軸方向における中心位置マークPaと中心位置マークPbとの間隔が距離Lとなるように設けられている。
一対の撮像部7e、7fは、X軸方向及びY軸方向に移動可能に一対のXY軸移動機構7g、7hによりそれぞれ支持されている。例えば、これらの撮像部7e、7fは、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの移動を妨げない所定の待機位置から一対の塗布台7a、7bの塗布面に対向する上方の撮像位置までX軸方向に移動し、その撮像位置から各塗布面に塗布されたペーストを撮像し、その後、Y軸方向に移動して一対の塗布台7c、7dの塗布面に対向する上方の撮像位置から各塗布面に塗布されたペーストを撮像する。
一対のXY軸移動機構7g、7hは、塗布台7a、7b、7c、7dから所定の高さに撮像部7e、7fを位置付けてX軸方向に移動させるX軸移動機構71と、そのX軸移動機構71をY軸方向に移動させるY軸移動機構72とによりそれぞれ構成されている。なお、X軸移動機構71及びY軸移動機構72としては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ機構やリニアモータを駆動源とする移動機構等を用いる。
架台8は、床面上に設置され、基板ステージ2、一対のY軸移動機構6A、6B、一対のY軸移動機構6C、6D及び傾き検出部7を床面から所定の高さ位置に支持する台である。架台8の上面は、平面状に形成されており、この架台8の上面には、基板ステージ2、一対のY軸移動機構6A、6B、一対のY軸移動機構6C、6D及び傾き検出部7の塗布台7a、7b、7c、7dが載置されている。また、架台8の側面には、傾き検出部7の一対のXY軸移動機構7g、7hが互いに対向させて設けられている。
制御部9は、各部を制御するマイクロコンピュータ、さらに、制御プログラムや各種データ等を記憶する記憶部等を備えている。この制御部9は、各塗布ヘッド3、第1ヘッド移動機構4A、第2ヘッド移動機構4B、一対のY軸移動機構6A、6B、一対のY軸移動機構6C、6D及び傾き検出部7等の各部の駆動を制御する。
次に、ペースト塗布装置1の傾き検出動作及び補正塗布動作について説明する。ペースト塗布装置1の制御部9が、記憶部に格納された制御プログラムに基づいて傾き検出処理及び補正塗布処理を実行する。
図5に示すように、まず、制御部9は、傾き検出用の塗布を行う(ステップS1)。詳しくは、制御部9は、第1ヘッド移動機構4AのX軸移動機構4a及び一対のY軸移動機構6A、6Bを制御し、第1支持部材5Aの両端に位置する塗布ヘッド3を待機位置から塗布台7a、7b上の塗布位置に向けて移動させる。ここで、塗布位置は、塗布台7a、7b上における中心位置マークPa、Pb上の位置であり、この位置情報は制御部9の記憶部に予め記憶されている。したがって、制御部9は、記憶部に記憶された塗布位置の位置情報に基づいて塗布ヘッドを塗布位置上に移動させる。このとき、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bは、共通の基準位置に塗布ヘッド3を位置付けており、各塗布ヘッド3のノズル3bと第1支持部材5Aとの距離は同一になっている。ここで、基準位置は、例えば、Y軸移動機構4bの移動ストロークの中央位置である。
その後、制御部9は、第1ヘッド移動機構4Aの各Z軸移動機構4cを制御し、各塗布ヘッド3のノズル3bを所定の高さ位置に位置付け、所定量のペーストを吐出させ、一対の塗布台7a、7bの塗布面に点状のペーストパターンを塗布する。ペースト塗布後、制御部9は、第1ヘッド移動機構4Aの各Z軸移動機構4cを制御し、各塗布ヘッド3のノズル3bを元の高さ位置に位置付け、第1ヘッド移動機構4AのX軸移動機構4a及び一対のY軸移動機構6A、6Bを制御し、各塗布ヘッド3を元の待機位置に移動させる。
このような傾き検出用の塗布により、図6及び図7に示すように、一対の塗布台7a、7bには、点状のペーストパターンが塗布され、その塗布位置は点Qa及び点Qbとなる。このとき、第1支持部材5Aの回転ずれが発生している場合、すなわち第1支持部材5Aが回転中心Tを中心にして反時計回り方向に角度θだけ回転している場合には、図6又は図7に示すように、塗布位置Qa、Qbは、中心位置マークPa、Pbに一致しない位置となる。一方、第1支持部材5Aの回転ずれが発生していない場合には、塗布位置Qa、Qbは、中心位置マークPa、マークPbに一致する位置となる。
ここで、図6及び図7において、X軸方向については右方向がプラス(+)であり、Y軸方向については上方向がプラス(+)であり、傾きθ(傾き角度)について反時計回りがプラス(+)である。図6では、第1支持部材5Aの回転中心Tが第1支持部材5Aのセンタ(中央)SになくセンタSから中心位置マークPb側にずれており、図7では、第1支持部材5Aの回転中心Tが第1支持部材5AのセンタSにある。
次いで、制御部9は、傾き検出部7の一対の撮像部7e、7fによる撮像を行う(ステップS2)。詳しくは、制御部9は、傾き検出部7のXY軸移動機構7g、7hを制御し、傾き検出部7の一対の撮像部7e、7fを一対の塗布台7a、7bの塗布面を撮影可能な位置に移動させ、それらの撮像部7e、7fを制御し、一対の塗布台7a、7bの塗布面に塗布された点状のペーストパターンを撮像する。なお、撮像された画像は、一対の撮像部7e、7fから制御部9に送信される。
その後、制御部9は、傾き検出部7の一対の撮像部7e、7fから送信された撮像画像に基づいて、中心位置マークPa、Pbに対する塗布位置Qa、Qbの位置ずれ量Δa、Δb(図6及び図7参照)を求める(ステップS3)。例えば、一対の撮像部7e、7fは、その撮像視野中心が中心位置マークPa、Pbの真上に位置するようにそれぞれ位置付けられる。この場合には、撮像画像の中心位置は、中心位置マークPa、Pbの位置に一致する。したがって、位置ずれ量Δa、Δbは、撮像部7e、7fの撮像画像中において、撮像画像の中心位置に対する塗布位置Qa、Qbのずれ量を算出することによって求められる。
ここで、第1支持部材5Aの傾きθは比較的微小なものであるので、中心位置マークPa、Pb間の距離Lが比較的大きい場合には、第1支持部材5Aの傾きθによって生じる塗布位置Qa、Qbの位置ずれのうち、X軸方向の位置ずれはY軸方向の位置ずれに対して無視できるほど小さなものとなる。このため、本発明の実施の形態においては、X軸方向の位置ずれはないものと仮定する。
次いで、制御部9は、撮像画像から求めた塗布位置Qa、Qbの位置ずれ量(Y軸方向の位置ずれ量)Δa、Δbと、中心位置マークPa、Pb間の距離Lとを用いて、第1支持部材5Aの傾きθ(傾き角度)を求める(ステップS4)。詳しくは、制御部9は、tanθ=(Δa+Δb)/Lから第1支持部材5Aの傾きθを算出する(図6及び図7参照)。
最後に、制御部9は、位置ずれ量Δaと位置ずれ量Δbとの比に基づいて回転中心Tを求める(ステップS5)。詳しくは、制御部9は、位置ずれ量Δa、Δbを(Δa/(Δa+Δb))×Lに代入し、中心位置マークPaからの距離を算出し、回転中心Tを求める。
ここで、図6に示すように、三角形TPaQaと三角形TPbQbとが相似となるので、線分PaQa(Δa)と線分PbQb(Δb)との比と、線分PaTと線分PbTとの比は同じになる。したがって、線分PaPbの長さはLであるので、回転中心Tは、中心位置マークPaから距離(Δa/(Δa+Δb))×Lの位置となり、センタSから距離(Δa/(Δa+Δb))×L−L/2だけ中心位置マークPb側にずれた位置となる。一方、図7に示すように、ΔaとΔbとが同じ値である場合には、回転中心Tは、中心位置マークPaから距離L/2の位置となり、センタSと同じ位置となる。
その後、製造用の補正塗布動作を行う場合には、制御部9は、各塗布ヘッド3をX軸方向に移動させるとき、求めた回転中心Tを基準とし、この回転中心Tに対する塗布ヘッド3のX軸方向の移動量ΔXに応じて、その塗布ヘッド3をY軸方向に補正移動させる。このときの補正移動量ΔYは、X軸方向の移動量ΔXと第1支持部材5Aの傾きθから求められる。なお、ステップS4において、第1支持部材5Aの傾きθは、tanθ=(Δa+Δb)/Lから求められている。したがって、補正移動量ΔYは、ΔY=−ΔX×tanθで近似的に求められる。これにより、塗布ヘッド3をX軸方向に移動させたときに、第1支持部材5Aの傾きθによって生じる各塗布ヘッド3のY軸方向の位置ずれは補正される。
ここで、実際には、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bによるY軸方向への補正移動は、Y軸方向に対して角度θだけ傾いた方向となるので、厳密には、Y軸方向の補正移動により傾きθ分のX軸方向ずれが発生する。しかしながら、第1支持部材5Aの傾きθは微少であり、そのX軸方向ずれは塗布精度に影響を与えない程度である。このため、本発明の実施の形態においては、X軸方向ずれはないものと仮定する。
このようにして、第1支持部材5Aの回転中心T及び第1支持部材5Aの傾きθが求められ、第1支持部材5Aに支持されている各塗布ヘッド3のY軸方向の移動量が補正されながら、各塗布ヘッド3により同時にペースト塗布が行われる。同様にして、第2支持部材5Bの回転中心T及び第2支持部材5Bの傾きθも求められ、第2支持部材5Bに支持されている各塗布ヘッド3のY軸方向の移動量が補正されながら、各塗布ヘッド3により同時にペースト塗布が行われる。
例えば、基板K上にX軸方向に並んだ3つの矩形状の塗布パターンを第1支持部材5Aに支持された3つの塗布ヘッド3を用いて同時に形成するペースト塗布を行う場合には、次のようにして行う。
まず、制御部9は、第1ヘッド移動機構4AのX軸移動機構4a及び一対のY軸移動機構6A、6Bを制御し、基板ステージ2上に載置された基板Kの塗布面Ka上における各塗布パターンの塗布開始点上に塗布ヘッド3のノズル3bをそれぞれ移動させる。次いで、制御部9は、Z軸移動機構4cを制御し、ノズル3bを基板Kの塗布面Kaに向けて下降させ、距離計(図示せず)による測定値に基づいてノズル3bと塗布面Kaとの間のギャップを予め設定したギャップ値にする。
この後、制御部9は、収容筒3a内に気体を供給してノズル3bからのペーストの吐出を開始させるとともに、第1ヘッド移動機構4AのX軸移動機構4a及び一対のY軸移動機構6A、6Bを制御し、ノズル3bを塗布面Kaに形成する塗布パターンに沿って移動させる。このとき、各ノズル3b(塗布ヘッド3)のX軸方向の移動に伴って生じるY軸方向の位置ずれは、上述のステップS4によって求めた傾きθ及びステップS5によって求めた回転中心Tを用いて個々に求めた補正移動量によって個別に補正される。
制御部9は、ノズル3bがパターンの塗布終了点に到達するタイミングに合わせてノズル3bからのペーストの吐出を停止させるとともに、第1ヘッド移動機構4AのX軸移動機構4a及び一対のY軸移動機構6A、6Bを制御し、ノズル3bの移動を停止させる。その後、制御部9は、Z軸移動機構4cを制御し、ノズル3bを元の高さ位置まで上昇させて基板Kから離間させる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、X軸方向に対する支持部材5A、5Bの傾きθを求め、求めた傾きθに基づき、塗布ヘッド3のX軸方向の移動量ΔXに応じて塗布ヘッド3のY軸方向の補正移動量ΔYを求め、求めた補正移動量ΔYに基づいてヘッド移動機構4A、4BのY軸移動機構4bを制御することよって、支持部材5A、5Bの組付作業の困難さ等のため、X軸方向に対する支持部材5A、5Bの平行度が低い場合でも、塗布ヘッド3をX軸方向へ移動させたとき、支持部材5A、5Bの傾きθによって生じる塗布ヘッド3のY軸方向の位置ずれが補正され、基板K上の目的の箇所に正確にペーストを塗布することが可能になるので、塗布精度を向上させることができる。
さらに、長尺な支持部材5A、5B等の経年変形や支持部材5A、5BのY軸方向への繰り返し移動等により、X軸方向に対する支持部材5A、5Bの平行度が低くなった場合でも、支持部材5A、5Bの傾きθによって生じる塗布ヘッド3のY軸方向の位置ずれが補正され、基板K上の目的の箇所に正確にペーストを塗布することが可能になるので、塗布精度の低下を防止することができる。
特に、求めた傾きθに基づいて、塗布面Kaに平行な平面内における支持部材5A、5Bの回転ずれの回転中心Tを求め、求めた回転中心T及び補正移動量ΔYに基づいてヘッド移動機構4A、4BのY軸移動機構4bを制御することによって、支持部材5A、5Bの回転中心Tが支持部材5A、5BのセンタSからずれていた場合でも、回転中心Tに基づく補正が行われ、基板K上の目的の箇所に正確にペーストを塗布することが可能になるので、塗布精度を確実に向上させることができ、さらに、塗布精度の低下を確実に防止することができる。
また、X軸方向に離間させて設けられた一対の塗布台7a、7bと、それらの塗布台7a、7b上に塗布されたペーストをそれぞれ撮像する一対の撮像部7e、7fとを設け、それらの撮像部7e、7fにより撮像された画像から、一対の塗布台7a、7bに塗布されたペーストの塗布位置Qa、Qbを求め、求めた塗布位置Qa、Qbに基づいて支持部材5A、5Bの傾きθを求めることによって、簡単な構成で正確に支持部材5A、5Bの傾きθを求めることができる。
これらのことから、塗布対象物としての基板Kが液晶表示パネルの製造に用いるガラス基板である場合には、基板Kに形成された表示領域を囲む枠状の塗布パターンに沿ってペーストが均一な塗布量で塗布されることになる。そのため、基板Kに塗布されたペーストとその基板Kに貼り合わされる他の基板とが枠状に塗布されたペーストの全域において均一に密着され、部分的に密着力の弱い部分が生じることが防止される。これにより、貼り合わされた2枚の基板とペーストとで囲まれる空間内に空気が侵入したり、空間内から液晶が漏れ出したりすることが防止され、製造される液晶表示パネルの品質を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図8及び図9を参照して説明する。
本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分に同じ符号を付し、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。
第1の実施の形態では、ヘッド移動機構4A、4Bの各Y軸移動機構4bを用いて各塗布ヘッド3のY軸方向の補正移動を行うようにしているが、それらのY軸移動機構4bの移動ストロークは、基板ステージ2のY軸移動機構2b、一対のY軸移動機構6A、6B及び一対のY軸移動機構6C、6Dの移動ストロークに比べて非常に短い。このため、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの傾きθが大きい場合には、補正を十分に行うことができないことがある。
そこで、第2の実施の形態では、ヘッド移動機構4A、4Bの各Y軸移動機構4bによる塗布ヘッド3の移動が限界に達した場合、すなわち、Y軸方向の補正移動量ΔYがヘッド移動機構4A、4Bの各Y軸移動機構4bにより補正できる範囲を超えた場合には、基板ステージ2のY軸移動機構2b、又は、一対のY軸移動機構6A、6B及び一対のY軸移動機構6C、6Dを用いて補正を行うようにする。なお、Y軸移動機構2bは、第2移動機構として機能し、一対のY軸移動機構6A、6B及び一対のY軸移動機構6C、6Dは第3移動機構として機能する。
ペースト塗布装置1の補正塗布動作について説明する。ペースト塗布装置1の制御部9が、記憶部に格納された制御プログラムに基づいて補正塗布処理を実行する。
図8に示すように、制御部9は、第1支持部材5Aの傾きθを求めた後であってペースト塗布前に、X軸方向のノズル3b間隔が最も離れたノズル3b同士でのY軸方向の位置ずれ量ΔYt(図9参照)、1つのノズル3bにおけるY軸方向の補正移動量ΔYp及び最大補正移動量ΔYm等のデータを求める(ステップS11)。
制御部9は、塗布パターンの形状に関するデータ(例えば、矩形状の塗布パターンである場合、縦辺の長さや横辺の長さ等)や基板K上における塗布パターンの描画位置データ(例えば、XY座標データ)等の塗布データから、位置ずれ量ΔYt、補正移動量ΔYp及び最大補正移動量ΔYmを算出する。なお、基板Kは、基板ステージ2の中央に精度良く載置されるので、制御部9は基板Kが基板ステージ2の中央に載置されたものとしてデータの算出を行う。
例えば、塗布データは、図9に示すように、基板K上にX軸方向に長尺な矩形状の塗布パターンPを3つ並べて塗布するためのデータである。これらの矩形状の塗布パターンPは、それぞれ縦×横寸法が400mm×300mmであり、真ん中の塗布パターンPの中心は、基板Kの中心を通るY軸方向に沿う直線上にある。また、各塗布パターンPは50mmの間隔で配置される。加えて、各塗布パターンPの塗布はそれぞれ時計回りに行われる。なお、図9では、制御部9による算出の結果、第1支持部材5Aの傾きθは0.6度であり、第1支持部材5AのセンタSに対する回転中心Tの位置ずれは、右方向に100mmであると仮定する。
次いで、X軸方向の間隔が最も離れたノズル3b同士(図9中、左端のノズル3bと右端のノズル3b)でのY軸方向の位置ずれ量ΔYtが、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bの移動ストロークLgを超えるか否かを判断する(ステップS12)。これにより、3つのノズル3bによる同時塗布が可能であるか否かが判別される。
ここで、図9に示すように、基板K上に3つの塗布パターンPを塗布する場合には、3つのノズル3bは3つの塗布パターンPを同時に同様の動作で塗布する。そのため、3つのノズル3bの間で、X軸方向の間隔はパターンの塗布動作中一定に保たれている。その間隔は、300mm+50mm=350mmとなる。左端のノズル3bと右端のノズル3b同士のX軸方向の間隔は700mmとなる。また、第1支持部材5Aの傾きθは0.6度であるので、左端のノズル3bと右端のノズル3b同士でのY軸方向の位置ずれ量ΔYtは、700mm×tan0.6(tan0.6≒0.01)=7mmとなる。
このとき、例えば、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bの移動ストロークLgが6mmであれば、位置ずれ量ΔYt(7mm)は6mmを超えてしまうので、補正可能な範囲内になく、3つのノズル3bによる同時塗布が不可能である。一方、例えば、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bの移動ストロークLgが10mmであれば、位置ずれ量ΔYt(7mm)は10mmを超えないので、補正可能な範囲内にあり、3つのノズル3bによる同時塗布が可能である。
ステップS12で、位置ずれ量ΔYtが移動ストロークLgを超えたと判断した場合には(ステップS12のYES)、3つのノズル3bをX軸方向に沿う直線上に位置付けることができず、3つのノズル3bによる同時塗布が不可能であるため、3つのノズル3bによる同時塗布以外の動作を行う(ステップS13)。この同時塗布以外の動作としては、例えば、3つの塗布パターンPを1つのノズル3bで1つずつ塗布したり、あるいは、3つのノズル3bを順番に用いて3つの塗布パターンPを1つずつ塗布したり、又は、塗布実行不可能として作業者にその旨を報知(例えば、モニタ等に対する警告の表示、さらに、音や光による警報等)したりする等の動作を行う。
一方、位置ずれ量ΔYtが移動ストロークLgを超えていないと判断した場合には(ステップS12のNO)、3つのノズル3bによる同時塗布が可能であるため、続いて、1つのノズル3bにおけるY軸方向の補正移動量ΔYpが、移動ストロークLg−位置ずれ量ΔYtを超えるか否かを判断する(ステップS14)。これにより、補正移動量ΔYpが、Y軸移動機構4bだけで補正可能であるか否かが判別される。
ここで、図9に示すように、矩形状の塗布パターンPの上辺について、左端から右端へとペーストを塗布する場合、左端のノズル3bは点aから点bへ、中央のノズル3bは点cから点dへ、右端のノズル3bは点eから点fへとそれぞれ同時に移動する。このとき、前述の計算より、位置ずれ量ΔYtは7mmであるので、各ノズル3bは、Y軸移動機構4bによりY軸方向への補正移動を行う必要がある。例えば、左端のノズル3bは、右端のノズル3bに対して+7mm分、中央のノズル3bは、右端のノズル3bに対して+3.5mm分、Y軸方向の位置を補正する必要がある。
Y軸移動機構4bは、移動ストロークLgが10mmであり、移動ストロークLgの中央位置(5mm位置)を基準位置としてプラス方向とマイナス方向とに5mmずつ補正移動ができると仮定する。これに応じて、左端のノズル3bにおけるa点でのY軸移動機構4bの補正移動量は+5mmであり、中央のノズル3bにおけるc点でのY軸移動機構4bの補正移動量は+1.5mmであり、右端のノズル3bにおける点eでのY軸移動機構4bの補正移動量は−2mmであると仮定する。
また、各ノズル3bは、塗布パターンPの上辺の左端から右端へと距離300mm移動する間に、Y軸方向に+3mm(300mm×tan0.6=3mm)だけ位置ずれをする。したがって、各Y軸移動機構4bは、塗布パターンPの上辺の塗布中に、マイナス方向に3mm分の補正移動を行う必要がある。
ここで、左端のノズル3bのY軸移動機構4bは、点aにおいて+5mm補正移動しているので、マイナス方向に10mmの余裕があり、中央のノズル3bのY軸移動機構4bは、点cにおいて+1.5mm補正移動しているので、マイナス方向に6.5mmの余裕があり、右端のノズル3bのY軸移動機構4bは、点eにおいて−2mm補正移動しているので、マイナス方向に3mmの余裕がある。このとき、左端のノズル3bのY軸移動機構4b及び中央のノズル3bのY軸移動機構4bについては、マイナス方向にそれぞれ10mm及び6.5mmの余裕があるが、右端のノズル3bのY軸移動機構4bについては、マイナス方向に3mmの余裕しかないため、Y軸移動機構4b全体としては、マイナス方向に3mmの余裕しかないことになる。
このため、塗布パターンPの上辺の塗布中に必要な補正移動量ΔYpは−3mmであり、Y軸移動機構4b全体の余裕分(−3mm=Y軸移動機構4bの移動ストロークLg−位置ずれ量ΔYt)と同じになるので、Y軸移動機構4bのみによる補正移動を行うことができる。一方、補正移動量ΔYpがY軸移動機構4b全体の余裕分(−3mm)を超えた場合には、Y軸移動機構4bだけで補正しきれなくなる。そこで、補正移動量ΔYpがLg−ΔYtを超えた場合には、基板ステージ2のY軸移動機構2b又は一対の第1Y軸移動機構6A、6Bを用いて補正移動を行う必要がある。
ステップS14で、補正移動量ΔYpがLg−ΔYtを超えていないと判断した場合には(ステップS14のNO)、1つのノズル3bにおいて必要なY軸方向の最大補正移動量ΔYmがLg/2を超えるか否かを判断する(ステップS15)。これにより、オフセット移動が必要であるか否かが判定される。なお、オフセット移動は、基板ステージ2のY軸方向への移動又は第1支持部材5AのY軸方向への移動であり、基板ステージ2のY軸移動機構2b又は一対の第1Y軸移動機構6A、6Bを用いた移動である。
最大補正移動量ΔYmがLg/2を超えていないと判断した場合には(ステップS15のNO)、オフセット移動は必要なく、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bのみによる補正を行いながら、3つのノズル3bによる同時塗布を行う(ステップS16)。この同時塗布では、第1の実施の形態と同様のY軸方向の補正移動を行いながら、ペースト塗布を行う。
一方、最大補正移動量ΔYmがLg/2を超えていると判断した場合には(ステップS15のYES)、オフセット移動を行い(ステップS17)、処理をステップS16に進める。
ここで、例えば、Y軸移動機構4bの移動ストロークLgが10mmである場合には、Y軸移動機構4bにより補正可能な補正移動量ΔYは、基準位置(5mm位置)からプラス方向に5mm、マイナス方向に5mmとなる。なお、前述のように、Y軸移動機構4bの基準位置は移動ストロークLgの中央位置である。したがって、最大補正移動量ΔYmがLg/2(5mm)を超えた場合には、移動ストロークLgの中央位置を基準位置とすると、Y軸移動機構4bにより補正をしきれなくなる。そこで、基板ステージ2又は第1支持部材5AをY軸方向にスライド移動(オフセット移動)させて、移動ストロークLgの中央位置から基準位置をずらす必要がある。
図9に示すように、左端のノズル3bは点aから点bの範囲を移動するので、そのY軸方向の補正移動量ΔYは、ΔY=−ΔX×tanθから+6mm〜+3mmの範囲となる。点aのΔYは、ΔY=−(−300−50−150−100)×tan0.6=6mmであり、点bのΔYは、ΔY=−(−50−150−100)×tan0.6=3mmである。同様に、中央のノズル3bは、点cから点dの範囲を移動するので、そのY軸方向の補正移動量ΔYは、+2.5mm〜−0.5mmの範囲となる。また、右端のノズル3bは、点eから点fの範囲を移動するので、そのY軸方向の補正移動量ΔYは、−1mm〜−4mmの範囲となる。
したがって、左端のノズル3bの最大補正移動量ΔYmは6mmとなり、中央のノズル3bの最大補正移動量ΔYmは2.5mmとなり、右端のノズル3bの最大補正移動量ΔYmは4mmとなる。この場合、左端のノズル3bの最大補正移動量ΔYm(6mm)がLg/2(5mm)を超えるので、移動ストロークLgの中央位置を基準位置とすると、左端のノズル3bの補正移動量ΔYを補正することができなくなる。
そこで、例えば、基板ステージ2をY軸方向に−1mmオフセット移動させる。これにより、各Y軸移動機構4bの基準位置が見かけ上、移動ストロークLgの中央位置である5mmの位置から4mmの位置となり、プラス方向の補正移動量が6mmとなる。これにより、左端のノズル3bの補正移動量ΔYを補正することができるようになる。また、基板ステージ2をY軸方向に−1mmオフセット移動させる以外に、第1支持部材5AをY軸方向に+1mmオフセット移動させるようにしても良い。なお、最大補正移動量ΔYmが、Lg/2(5mm)を越えていない場合には、オフセット移動を行う必要はない。
次いで、補正移動量ΔYpがLg−ΔYtを超えたと判断した場合には(ステップS14のYES)、ステップS15と同様、1つのノズル3bにおける必要なY軸方向の最大補正移動量ΔYmがLg/2を超えるか否かを判断する(ステップS18)。これにより、ステップS15と同様、オフセット移動が必要であるか否かが判定される。
最大補正移動量ΔYmがLg/2を超えていないと判断した場合には(ステップS18のNO)、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4b及び基板ステージ2による補正を行いながら、3つのノズル3bによる同時塗布を行う(ステップS20)。
この同時塗布では、第1の実施の形態と同様のY軸方向の補正移動を行いながら、ペースト塗布を行う。このとき、Y軸方向の補正移動量ΔYpがLg−ΔYtを超えた時点から、Y軸方向の補正移動を行う機構を、例えばY軸移動機構4bから基板ステージ2に切り替える。すなわち、Y軸方向の補正移動量ΔYpがLg−ΔYtを超えた時点で、Y軸移動機構4bによるY軸方向への塗布ヘッド3の移動を停止させ、その後のY軸方向の補正を基板ステージ2の移動により行う。
このとき、ノズル3bのX軸方向における移動量ΔXと基板ステージ2によるY軸方向の補正移動量ΔYsとの関係は、ΔYs=ΔX×tanθで表すことができる。この場合には、Y軸移動機構4bによる補正移動量と同じ量だけ逆方向に補正を行うことになる。なお、基板ステージ2に換えて第1支持部材5Aの移動により補正を行うようにしてもよい。この場合には、Y軸移動機構4bによる補正移動量と同じ量だけ同じ方向に補正を行うことになる。
一方、最大補正移動量ΔYmがLg/2を超えていると判断した場合には(ステップS18のYES)、ステップS17と同様のオフセット移動を行い(ステップS19)、処理をステップS20に進める。
このようにして、位置ずれ量ΔYt、補正移動量ΔYp及び最大補正移動量ΔYmに応じて、補正に用いる補正手段が選択され、その選択された補正手段に基づいて補正塗布動作が行われる。したがって、第1ヘッド移動機構4Aの各Y軸移動機構4bによる塗布ヘッド3の移動が限界に達した場合でも、基板ステージ2又は一対のY軸移動機構6A、6Bを用いることによって、塗布ヘッド3の補正移動を行うことができる。また、同様に、第2支持部材5Bに支持されている各塗布ヘッド3の補正移動も行われる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。特に、ヘッド移動機構4A、4BのY軸移動機構4bによる塗布ヘッド3の移動が限界に達した場合、基板ステージ2による基板Kの移動又は一対のY軸移動機構6A、6B、6C、6Dによる支持部材5A、5Bの移動を行うことによって、Y軸方向に対する支持部材5A、5Bの平行度が著しく低い場合(例えば、平行度がY軸移動機構4bによる塗布ヘッド3の移動により補正ができないほど低い場合)でも、塗布ヘッド3をX軸方向へ移動させたとき、支持部材5A、5Bの傾きθによって生じる塗布ヘッド3のY軸方向の位置ずれが補正され、基板K上の目的の箇所に正確にペーストを塗布することが可能になるので、塗布精度を向上させることができる。加えて、複数の塗布ヘッド3のX軸方向への移動に合わせてそれぞれのY軸方向への移動を同時に制御することによって、XY軸方向にパターン化された複数の塗布パターンPを同時に高精度に形成することができる。
さらに、長尺な支持部材5A、5B等の経年変化による変形や支持部材5A、5BのY軸方向への繰り返し移動等により、X軸方向に対する支持部材5A、5Bの平行度が著しく低くなった場合(例えば、平行度がY軸移動機構4bによる塗布ヘッド3の移動により補正できないほど低い場合)でも、支持部材5A、5Bの傾きθによって生じる塗布ヘッド3のY軸方向の位置ずれが補正され、基板K上の目的の箇所に正確にペーストを塗布することが可能になるので、塗布精度の低下を防止することができる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、前述の実施の形態のペースト塗布装置1において、第1支持部材5Aの左右両端部における第2支持部材5Bに面した側壁に、レーザ光により第2支持部材5Bとの間の距離を測定する一対の距離計を設け、これらの距離計を制御部9に接続するようにしても良い。
この場合には、例えば、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bが互いに平行であるとき、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの間隔(すなわちY軸方向の離間距離)は一定となるので、各距離計からの第2支持部材5Bまでの距離測定データは一致する。一方、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bのいずれか一方がX軸方向に対して傾き、両者間の平行度が崩れた場合には、各距離計による距離測定データは不一致となる。したがって、制御部9は、一対の距離計による距離測定データが不一致の場合、それを一致させるように一対のY軸移動機構6A、6B、6C、6Dを制御することによって、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bが互いに平行となるように調整することができる。
さらに、一方の第1支持部材5Aに対する他方の第2支持部材5Bの傾きを求めることが可能になるので、前述の実施の形態において、傾き検出部7を用いて第1支持部材5A及び第2支持部材5Bのそれぞれについて行う傾き検出動作を第1支持部材5A及び第2支持部材5Bの一方についてだけ行うようにすることもできる。
また、前述の実施の形態においては、ペースト塗布装置1に支持部材5A、5Bの傾きθを検出する傾き検出部7を設けた例で説明したが、必ずしも、ペースト塗布装置1と一体に傾き検出部7を設けなくてもよい。例えば、ペースト塗布装置1とは個別に設けた測定器具を用いて、支持部材5A、5Bの傾きθを検出するようにしても良い。この場合には、検出した傾きθを制御部9が備える記憶部等の記憶手段にキーボード等の入力手段を用いて記憶させ、記憶させた傾きθから補正移動量ΔYを算出するようにすればよい。測定器具としては、ダイヤルゲージ等の接触式の変位計や、レーザ変位計等の非接触式の変位計を用いることができる。例えば、ダイヤルゲージを用いた場合には、ダイヤルゲージを塗布ヘッド3に固定し、平滑な垂直面を備える測定治具をその垂直面がX軸方向に平行となるようにテーブル2a上に載置する。そして、ダイヤルゲージの測定子を測定治具の垂直面に接触させた状態で、塗布ヘッド3をX軸方向に沿って所定の移動量で移動させる。そのときの移動によって生じた測定子の変位から、前述の実施の形態で用いた式(tanθ=(Δa+Δb)/L)より支持部材5A、5Bの傾きθを算出する。すなわち、塗布ヘッド3の移動量をLとし、測定子の変位を(Δa+Δb)として、傾きθを算出する。このようにすることによっても、前述の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、前述の実施の形態においては、支持部材5A、5Bの傾きθをtanθ=(Δa+Δb)/Lによって求め、補正移動量ΔYをΔY=−ΔX×tanθによって求めているが、これに限るものではなく、傾きθの値が微少、例えば10度以下である場合、tanθ≒sinθとなるので、tanθをsinθに置き換えても良い。
また、前述の実施の形態においては、支持部材5A、5Bの傾きθを補正するために行うY軸移動機構4bの制御を、回転中心Tを基準としたX軸方向における塗布ヘッド3の位置(回転中心Tからの距離)に応じて行っているが、これに限るものではなく、例えば、X軸方向における塗布ヘッド3の単位時間当たりの移動量(速度)に応じて行うようにしても良い。例えば、塗布ヘッド3をX軸方向へ速度Vxで移動させる場合には、塗布ヘッド3をY軸方向へ速度Vy(=−Vx×tanθ)で移動させるように、Y軸移動機構4bをX軸移動機構4aの駆動と同期して制御する。
また、前述の実施の形態においては、第1支持部材5A及び第2支持部材5Bとして支持部材を2つだけ設けているが、これに限るものではなく、例えば、1つでも、3つ以上設けるようにしても良い。
また、前述の実施の形態においては、塗布ヘッド3を、1つの支持部材5A、5Bに対して3つ設けているが、これに限るものではなく、例えば、1つ又は2つ、あるいは4つ以上設けるようにしても良い。
また、前述の実施の形態においては、塗布ヘッド3を基板Kに対して移動させているが、これに限るものではなく、塗布ヘッド3と基板Kとを相対的に移動させればよいので、基板Kを塗布ヘッド3に対して移動させるようにしても、基板Kと塗布ヘッド3の両方を移動させるようにしてもよい。したがって、塗布ヘッド3が1つである場合には、Y軸移動機構4bを用いて行う補正動作を、基板KをY軸方向に移動させる基板ステージ2を用いて行うようにしても良い。
また、前述の実施の形態においては、1つの支持部材5A、5Bに複数個の塗布ヘッド3を設け、左端の塗布ヘッド3を塗布台7aに対応させ、右端の塗布ヘッド3を塗布台7bに対応させているが、これに限るものではなく、例えば、1つの支持部材5A、5Bに1個の塗布ヘッド3のみを設けた場合には、その1個の塗布ヘッド3を移動させて一対の塗布台7a、7bに対応させるようにしても良い。
また、前述の実施の形態においては、傾き検出部7によりペーストの塗布位置に関する情報として、中心位置マークPa、Pbに対する塗布位置Qa、Qbの位置ずれ量Δa、Δbを検出しているが、これに限るものではなく、例えば、塗布位置Qa、Qbの絶対的な位置を検出するようにしても良い。
また、前述の実施の形態においては、複数の塗布ヘッド3を用いて複数の塗布パターンPを同時並行的に形成しているが、これに限るものではなく、例えば、1つずつ塗布パターンPを形成するようにしても良い。
最後に、前述の実施の形態においては、各種の数値を挙げているが、それらの数値は例示であり、限定されるものではない。