JP4866251B2 - 光束分岐素子および光束干渉光学系および光束干渉露光装置 - Google Patents

光束分岐素子および光束干渉光学系および光束干渉露光装置 Download PDF

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Description

この発明は、光束分岐素子および光束干渉光学系および露光装置に関する。
偏光を利用して光束を分離する光学素子は、従来から種々知られている。
このような光学素子で構造複屈折を利用したものとして特許文献1、2記載のものが知られている。また、液晶を利用したものとして、特許文献3記載のものが知られている。
特許文献1には、入射光の偏光方向に依存して光路を切り替える光学素子として、略周期的に形成された複数の面積領域の一周期内で、少なくとも一つの面積領域が入射光の波長以下の1次元周期構造を有する凹凸形状の形成領域であり、この凹凸形状の形成領域に、屈折率の異なる等方性媒質からなる多層膜が、屈折率の配列が周期的になるように積層されているホログラム素子が開示されている。
特許文献1記載のホログラム素子は、入射光の波長以下の1次元周期構造を有する凹凸形状による構造複屈折を利用するが、ホログラム素子の構成要素として「等方性媒質からなる多層膜」を必要とする。
特許文献2には、微細構造を持つ1次元格子より成る格子層を複数層に形成して成る偏光分離層を平行平板の面上に密着させた部材を、光入射面と光射出面及び該平行平板と密着する面とを有する第1光学部材と、第1光学部材の光入射面からの光束のうち、該偏光分離層を通過した光束を射出させる光射出面を有する第2光学部材とで挟持し、第1光学部材の光入射面からの入射光束の偏光方向に応じて、光束を反射又は透過させる偏光分離素子が開示されている。
特許文献2記述の偏光分離素子は、1次元周期構造を複数層に積層して作製されるものであり、構造的にやや複雑であり、製造に多くの工程を要する。
特許文献3は、液晶の複屈折性を利用するものであり、構造複屈折を利用するものではない。
特開2000−292617 特開2006−133403 特開2006−189695
この発明は、構造複屈折を利用し、構造が簡素で、入射光束を4光束に分岐することもできる光束干渉露光装置用の新規な光束分岐素子の実現を課題とする。この発明はまた、この光束分岐素子を用いる光束干渉光学系および光束干渉露光装置の実現を課題とする。
この発明の光束分岐素子は「光束干渉露光装置に用いられて入射光束を分岐する光束分岐素子」であって、以下の如き特徴を有する(請求項1)。
即ち、平面上で互いに直交する2方向をX方向およびY方向、上記平面に直交する方向をZ方向とするとき、光束分岐素子をなす基板の表面形状として、第1〜第4の面積領域の配列を有する。
「第1の面積領域」は、Z方向の高さが「X方向に周期的に変化し、Y方向には一定」である凹凸による1次元周期構造を有する。「Z方向の高さがY方向に一定」であるとは、XZ面内における凹凸構造の断面形状がY方向に一定であることを意味する。
「第2の面積領域」は、Z方向の高さが「Y方向に周期的に変化し、X方向には一定」である凹凸による1次元周期構造を有する。「Z方向の高さがX方向に一定」であるとは、YZ面内における凹凸構造の断面形状がX方向に一定であることを意味する。
「第3の面積領域」は、Z方向の高さが「X方向およびY方向に同一周期で周期的に変化」する凹凸による2次元周期構造を有する。
「第4の面積領域」は、Z方向の高さが「X方向およびY方向に同一周期で周期的に変化」する凹凸による2次元周期構造を有する。
第3および第4の面積領域は互いに「2次元周期構造におけるフィルファクタ」が異なる。そして、第1〜第4の面積領域における1次元周期構造および2次元周期構造の凹凸の周期は全て入射光の波長以下である。即ち、第1、第2の面積領域の1次元周期構造は「1次元のサブ波長構造」であり、第3、第4の面積領域の2次元周期構造は「2次元のサブ波長構造」であり、これら第1〜第4の面積領域では「構造複屈折」が発現する。
第1〜第4の面積領域は、以下のように配列される。
即ち、第1の面積領域は、Y方向において第3の面積領域と交互に配列されるとともに、X方向において第4の面積領域と交互に配列され、且つ、Y方向に対して傾く斜め方向においては第2の面積領域と交互に配列される。このように、第1〜第4の面積領域は、それぞれが多数個あり、上記の如くに配列されるのである。
そして、X方向の偏光光束に対してY方向の回折格子として作用し、Y方向の偏光光束に対してX方向の回折格子として作用するように、第1〜第4の面積領域の大きさと配列形態、および各面積領域のX、Y方向の偏光光束に対する有効屈折率が定められている。
「X方向の回折格子」は、Z方向からの入射光の回折がXZ面内で、X方向に生じるような回折格子である。
「Y方向の回折格子」は、Z方向からの入射光の回折がYZ面内で、Y方向に生じるような回折格子である。
「有効屈折率」、「フィルファクタ」に関しては後述する。
上記第1〜第4の面積領域は、基板の同一表面に形成しても良いが、基板が平行平板である場合、例えば、第1、第2の面積領域を表面側に、第3、第4の面積領域を裏面側に形成し、表面側から見て、第1〜第4の面積領域が上記の如くに配列するようにしてもよい。
「光束分岐素子をなす基板」は、形状としては平行平板を好適に用いることができるが、これに限らず、各種のプリズム等を用い、その光束入射面および/または光束射出面に「表面形状」として、上記第1〜第4の面積領域の配列を形成することができる。
請求項1記載の光束分岐素子は「第1〜第4の面積領域における1次元周期構造、2次元周期構造におけるZ方向の高さ(凹凸構造における凸部の高さ)が全て同一」であることが好ましい(請求項2)。このように1次元周期構造、2次元周期構造のZ方向の高さが同一であると光束分岐素子の製造が容易である。
請求項2記載の光束分岐素子は、第1〜第4の面積領域における1次元周期構造、2次元周期構造におけるZ方向の高さ:H、入射光束の波長:λ、第3の面積領域と第4の面積領域の有効屈折率の差:Δnが、条件:
Δn×H≒λ/2
を満足することが好ましい(請求項3)。このような条件を満足すると、0次光の強度を0もしくは「0に近く」することができる。
この発明の光束干渉光学系は、光源と、この光源から放射される光束を分岐する光束分岐素子と、この光束分岐素子により分岐された光束を集光する集光素子とを有し、光束分岐素子として、請求項1〜3の任意の1に記載の光束干渉露光装置用の光束分岐素子を用いることを特徴とする(請求項4)。集光された光束は互いに干渉させられる。
この発明の光束干渉露光装置は、請求項4記載の光束干渉光学系を用いて光束干渉露光を行う装置である(請求項5)。
以上に説明したように、この発明の光束分岐素子は、基板の表面形状として上記第1〜第4の面積領域の配列を形成するのみで、構造複屈折を利用して入射光束を4光束に分岐させることもでき、素子構造が簡素であり製造も容易であるところから低コストで実現できる。従って、このような光束分岐素子を用いることにより、構成の簡素で性能良好な光束干渉光学系や光束干渉露光装置を安価に実現できる。
以下、図面を参照しつつ、発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の光束分岐素子の実施の形態を説明するための図である。
図1(a)において符号10で示す光束分岐素子は平行平板状の透明板を基板とするものであり、図における上下の面の何れを入射面としてもよいが、簡単のために図1(a)の上方の面を入射面、下方の面を射出面として説明する。
光束分岐素子10に入射面側から入射光Lを入射させると、射出面側から分岐された4本の光束L1〜L4が射出する。図1(a)のようにX方向、Y方向(図面に直交する方向)、Z方向を設定すると、光束L1とL2とはXZ面に平行な面内でX方向に分岐し、光束L3とL4とはYZ面に平行な面内でY方向に分岐する。
光束分岐素子10の入射側面または射出側面に、前述の第1〜第4の面積領域が配列形成されている。ここでは入射面に第1〜第4の面積領域が配列形成されているものとして説明する。
図1(b)左図は、光束分岐素子10の入射面に設定されたX軸(X方向)、Y軸(Y方向)と各面積領域とを説明図的に示している。
X軸およびY軸は、光束分岐素子10の表面に適宜に設定された仮想的な軸であり、光束分岐素子10の外観形状とは無関係である。なお、図1(b)左図の図面に直交する方向がZ方向である。
さて、図1(b)左図に示すように、光束分岐素子10の入射面には、第1〜第4の面積領域A〜Dが配列されている。第1の面積領域A、第2の面積領域B、第3の面積領域C、第4の面積領域Dの配列は以下の如くである。
即ち、第1の面積領域Aは、Y方向において第3の面積領域Cと交互に配列されるとともに、X方向において第4の面積領域Dと交互に配列される。また、Y方向に対して傾く斜め方向においては、第1の面積領域Aと第2の面積領域Bとが交互に配列される。換言すれば、第2の面積領域Bは、Y方向においては第4の面積領域Dと交互に配列され、X方向においては第3の面積領域Cと交互に配列される。
第1〜第4の面積領域A〜Dには「互いに異なるサブ波長構造」が形成されている。
図1(b)右図は、これら4種のサブ波長構造を説明図的に示している。
図1(b)右図において(A)(B)(C)(D)は、図1(b)左図における4つの面積領域A〜Dのそれぞれを表している。
まず、第1の面積領域Aは、Z方向(図面に直交する方向)の高さが、X方向に周期的に変化し、Y方向には一定である凹凸による1次元周期構造を有する。
第2の面積領域Bは、Z方向の高さが、Y方向に周期的に変化し、X方向には一定である凹凸による1次元周期構造を有する。
第3の面積領域Cは、Z方向の高さが、X方向およびY方向に同一周期で周期的に変化する凹凸による2次元周期構造を有する。
第4の面積領域Dは、Z方向の高さが、X方向およびY方向に同一周期で周期的に変化する凹凸による2次元周期構造を有する。
これら1次元周期構造・2次元周期構造は、光束分岐素子10の表面形状として形成されている。
上記の如く、第1および第2の面積領域A、Bは共に1次元周期構造を有するが、これら1次元周期構造は、凹凸が周期的に変化する方向が互いに直交している。
また、第3および第4の面積領域は共に2次元周期構造を有するが、これら各2次元周期構造において凹凸の変化は「X方向およびY方向に同一周期」であるので、各2次元周期構造における「凸部」の形状はX、Y方向の長さが等しい。この実施の形態においては2次元周期構造における凸部の形状(Z方向から見た形状)は「正方形形状」である。
第3の面積領域Cに形成されている2次元周期構造と、第4の面積領域Dに形成されている2次元周期構造は、互いにフィルファクタが異なる。
上記の如く、第1〜第4の面積領域A〜Dの有する1次元周期構造・2次元周期構造はサブ波長構造であり、凹凸の周期(第1の面積領域AではX方向の周期、第2の面積領域ではY方向の周期、第3、第4の面積領域ではX方向およびY方向の周期)は全て入射光の波長以下である。また、説明中の実施の形態において、1次元周期構造・2次元周期構造における凸部の高さは「全て同一」である(請求項2)。
ここで、図2を参照して、構造複屈折を説明する。
図2(a)において、符号1は基板を示し、符号2は基板1の表面形状として形成された波長以下の微細な凹凸構造(サブ波長構造)による1次元周期構造を示している。この1次元周期構造2は、基板1の面に直交する方向(図の上下方向であり、上述の説明におけるZ方向である。)における断面矩形波状の凹凸の高さ(凸部の高さ:H)が、図の左右方向に周期的に変化し、図面に直交する方向には一定である。
このような1次元周期構造2において、図の如く、凹凸の周期をPとすると、波長:λに対して、P<λである。
一般に「格子定数:Tの回折格子」による回折に関するブラッグの条件は、回折次数:mと、回折角:θ、格子定数:Tを用いて、
T・sinθ=mλ
で表される。
図2に示したサブ波長構造の1次元周期構造の場合、凹凸の周期:Pが格子定数:Tに対応するから、有限の回折角:θを持つ最も次数の低い「m=±1次」の回折条件は、
P・sinθ=λ (1)
であるが、P<λであるので、
sinθ=λ/P>1
となり、この条件を満足する回折角:θは存在しない。即ち、サブ波長構造の1次元周期構造2では回折は生じない。
図2(a)に示すように、1次元周期構造2に対して光を入射する。このとき、入射する光において、1次元周期構造2の凹凸の周期方向(図の左右方向)に平行な偏光成分をTM偏光成分(図中に「TM」と表示する。)と呼び、周期方向と入射方向とに直交する偏光成分、即ち、図面に直交する方向の偏光成分をTE偏光成分(図中に「TE」と表示する。)と呼ぶ。
また、図2(a)において、1次元周期構造2における凹凸の1周期:P内における凸部の幅を「w」とすると、「w/P」を「フィルファクタ」と呼び「f」で表す。
1次元周期構造2による構造複屈折は、1次元周期構造2の部分における屈折率が、TE偏光成分とTM偏光成分とで異なる現象である。
ここで、図2(a)における1次元周期構造2は基板1と同一材料であるとし、この材料の屈折率をn、入射光の波長をλとする。
このとき、TE偏光成分に対する有効屈折率をnTE、TM偏光成分に対する有効屈折率をnTMとすると、これらと上記屈折率:n、波長:λ、1次元周期構造2の凹凸の周期:P、フィルファクタ:f(=w/P)との間に近似的に以下の関係が成り立つ。
TE 2=fn2+(1−f)+[π222(1−f)2(n2−1)2]/3λ2・ (2)
TM 2={fn-2+(1−f)}-1
22f2(1−f)2{fn2+(1−f)}(n-2−1)2]/[3λ2{f/n2+(1−f)}-3]
(3)
(2)、(3)式により、有効屈折率:nTE、nTMを求めることができる。
図2(a)のように、1次元周期構造2の凸部の高さ:Hを用いると、1次元周子構造2の部分で「TE偏光成分とTM偏光成分とに与えられる位相差:φ」は、
φ=2π(nTE−nTM)H/λ (4)
と表すことができる。従って、波長:λの光におけるTE偏光成分とTM偏光成分の位相差:φを「1次元周期構造の構造要素である屈折率:n、フィルファクタ:f、凹凸の周期:P、凹凸の高さ:H」によって制御できる。
図2(b)は、TE偏光成分、TM偏光成分に対する有効屈折率の「フィルファクタ」に対する依存性の1例を、上記(2)、(3)式において、屈折率:n、周期:Pと波長:λを一定とし、フィルファクタ:fを変化させて算出したものを示している。
ここで図1に戻ると、図1(b)右図に示す第1の面積領域A、第2の面積領域Bにおいて、1次元周期構造は、図2(a)に示す如きもの、即ち、第1、第2の面積領域における周期的な凹凸構造の断面形状は「矩形波状」であるとする。また、第3の面積領域C、第4の面積領域Dの2次元周期構造における2次元的な周期的な凹凸構造の断面形状は、ZX面内の断面形状、YZ面内の断面形状とも矩形波状であるとする。2次元周期構造ではX、Y両方向において凹凸の周期が等しいので、2次元周期構造をZ方向から見た状態では凸部の形状は前述の如く正方形形状である。
また、第3、第4の面積領域における2次元周期構造ではフィルファクタが異なる。2次元周期構造におけるフィルファクタは、第3、第4の面積領域における2次元周期構造に即して言えば、X方向における凹凸の周期:P、凸部の幅:w、Y方向における凹凸の周期:P、凸部の幅:wとして、X方向につきf=w/P、Y方向につきf=w/Pである。第3、第4の面積領域における2次元周期構造では、凹凸の周期がX方向およびY方向において互いに等しいから、f=f=f2D(2次元周期構造のフィルファクタ)である。
しかしながら、第3、第4の面積領域における2次元周期構造は「互いにフィルファクタが異なる」ので、これら第3、第4の面積領域C、Dにおける2次元周期構造のフィルファクタをfC2D、fD2Dとすると、fC2D≠fD2Dである。このため、図1(b)右図に示すように、第3の面積領域Cの2次元周期構造における正方形形状の凸部の大きさは、第4の面積領域Dにおける2次元周期構造における正方形形状の凸部の大きさよりも大きい。なお、第3、第4の面積領域C、Dにおける2次元周期構造における「凹凸の周期」は、互いに均しく設定されている。
2次元周期構造の有効屈折率:n2Dは、上に与えられるnTE、nTMを用いて一般に次式(5)により近似できる。
2D=[(1−f+fnTM )1/2+(1−f+fnTE −2)−1/2]/2
(5)
説明中の実施の形態において、第3、第4の面積領域における2次元周期構造は、X、Y両方向において凹凸構造の周期が同一であるので、TE偏光成分、TM偏光成分に対する有効屈折率は、X方向、Y方向について同一となり「両偏光成分に対して共通の値」となる。そして、この有効屈折率はフィルファクタ(fC2D、fD2D)により変化する。
そうすると、第1の面積領域Aにおいて、TE偏光成分となるのはY方向の偏光成分であり、TM偏光成分となるのはX方向の偏光成分である。第2の面積領域Bにおいては、TE偏光成分となるのはX方向の偏光成分であり、TM偏光成分となるのはY方向の偏光成分である。従って、第1、第2の面積領域A、Bでは、X方向の偏光成分とY方向の偏光成分とに対して有効屈折率が互いに異なる。
また、第3、第4の面積領域C、Dにおける有効屈折率は「各面積領域ごとにTE偏光成分、TM偏光成分に共通の値となる」が、これら面積領域における2次元周期構造ではフィルファクタが異なるので、第3の面積領域Cと第4の面積領域Dの有効屈折率は、フィルファクタの差異により異なったものとなる。
具体例に即して説明すると、基板として屈折率:1.46の石英の平行平板を用い、周期:P=264nmによる1次元周期構造、2次元周期構造(X、Y方向とも周期:P=264nm)を形成するものとし、フィルファクタを変化させたときの、波長:λ=405nmの入射光に対する有効屈折率の変化を図3に示す。
図3において「縦軸」は有効屈折率、「横軸」はフィルファクタであり、「TE」はTE偏光成分の有効屈折率変化、「TM」はTM偏光成分の有効屈折率変化であって、1次元周期構造に対するものである。「2次元」は2次元周期構造による有効屈折率変化を示す。
これらの有効屈折率変化は、上記式(2)、(3)、(5)において、n=1.46、P=264nmとし、フィルファクタ:fを変化させて算出したものである。この図から明らかなように、フィルファクタを変えることによって、1次元周期構造、2次元周期構造の有効屈折率を調整することが可能である。
以下、光束分岐素子の具体的な実施例に即して説明する。
上記の「屈折率:1.46の石英の平行平板」を基板として用い、その表面形状として、図1(b)左図のような第1〜第4の面積領域A〜Dを以下の如くに形成した。
各面積領域A〜Dの形状は「1辺の長さ:1.166μmの正方形形状」とした。
第1の面積領域Aには、Z方向の高さがX方向に周期的に変化する断面矩形波状の1次元周期構造を、凹凸の周期:P=264nm、フィルファクタ:f=0.35として形成した。第2の面積領域Bには、Z方向の高さがY方向に周期的に変化する断面矩形波状の1次元周期構造を、凹凸の周期:P=264nm、フィルファクタ:f=0.35として形成した。
また、第3の面積領域Cには、Z方向の高さがX、Y方向に同周期で変化する断面矩形波状の2次元周期構造を、凹凸の周期:P=264nm、フィルファクタ:f=0.7として形成した。第4の面積領域Dには、Z方向の高さがX、Y方向に同周期で変化する断面矩形波状の2次元周期構造を、凹凸の周期:P=264nm(X、Y方向とも同周期)、フィルファクタ:f=0.52として形成した。
これらの面積領域の配列は、基板の同一面に形成した。
入射光Lの波長は405nmとした。上記の如く、1次元周期構造、2次元周期構造とも凹凸の周期:P(=264nm)が波長:405nmよりも小さいため、この光束分岐素子は入射光Lに対して構造複屈折性を発現させる。
図1(a)に示すように、Z方向から入射光L(波長:405nmのコヒーレント光)を入射させた場合の、入射光Lにおける「X方向の偏光成分」に対する有効屈折率を前述の式(2)、(3)、(5)によって求めると、第1の面積領域Aの有する1次元周期構造(フィルファクタ:f=0.35)では、X方向の偏光成分はTM偏光成分であるので、その有効屈折率は1.12となる。第2の面積領域Bの有する1次元周期構造(フィルファクタ:f=0.35)では、X方向の偏光成分はTE偏光成分となるので、その有効屈折率は1.22となる。
また、第3の面積領域Cに形成された2次元周期構造(フィルファクタ:f=0.7)での有効屈折率は、偏光方向に拘わり無く1.22であり、第4の面積領域Dに形成された2次元周期構造(フィルファクタ:f=0.52)での有効屈折率は、偏光方向に拘わり無く1.12である。
そうすると、この光束分岐素子においては「X方向の偏光成分」に対しては、第1の面積領域Aおよび第4の面積領域Dで有効屈折率:1.12、第2の面積領域Bおよび第3の面積領域Cにおいて有効屈折率:1.22である。
また「Y方向の偏光成分」は、第1の面積領域AではTE偏光成分、第2の面積領域BではTM偏光成分であるから、第1の面積領域Aおよび第3の面積領域Cで有効屈折率:1.22、第2の面積領域Bおよび第4の面積領域Dにおいて有効屈折率:1.12である。
図1の(c)、(D)は、上記X、Y方向の偏光成分に対する光束分岐素子10の有効屈折率の配分状態を示している。
まず、Y方向の偏光成分についてみると、図1(b)における第1の面積領域Aと第3の面積領域Cに対しては有効屈折率:1.22、第2の面積領域Bと第4の面積領域Dに対しては有効屈折率:1.12である。第1の面積領域Aと第3の面積領域CはY方向に交互に配列し、第2の面積領域Bと第4の面積領域DもY方向に交互に配列している。
従って、Y方向の偏光成分に対しては、光束分岐素子10の有効屈折率分布は「第1の面積領域Aと第3の面積領域CとのY方向の交互の配列」による屈折率:1.22の帯状領域Y1と、「第2の面積領域Bと第4の面積領域DとのY方向の交互の配列」による屈折率:1.12の帯状領域Y2とが交互にX方向に配列したものとなる。
このように、Y方向の偏光成分に対する有効屈折率:1.22の帯状領域Y1と、有効屈折率:1.12の帯状領域Y2との交互の配列は、Y方向の偏光成分に対して「X方向の回折格子」として作用する。
一方、X方向の偏光成分に対しては、光束分岐素子10の有効屈折率分布は「第1の面積領域Aと第4の面積領域DとのX方向の交互の配列」による屈折率:1.12の帯状領域X1と、「第2の面積領域Bと第3の面積領域CとのX方向の交互の配列」による屈折率:1.22の帯状領域X2とが交互にY方向に配列したものとなる。
このように、X方向の偏光成分に対する有効屈折率:1.12の帯状領域X1と、有効屈折率:1.22の帯状領域X2との交互の配列は、X方向の偏光成分に対して「Y方向の回折格子」として作用する。
なお、第1〜第4の面積領域A〜Dは「長さ:1.166μmの正方形形状」であるから、上記X方向の回折格子、Y方向の回折格子における格子周期は2.232μmであり、回折が起こるのに十分な大きさである。
従って、説明中の実施例において、図1(a)に示すように、光学分岐素子10にZ方向から入射光Lを入射させると、X方向の偏光成分はY方向に回折して光束L3、L4として分岐し、Y方向の偏光成分はX方向に回折して光束L1、L2として分岐する。
このようにして、入射光Lを4本の光束L1〜L4に分岐させることができる。なお、上の説明から明らかなように、入射光LがX(またはY)方向に偏光した光である場合には、回折はYZ(またはXZ)面内でのみ生じるので、入射光を2光束に分岐させることができる。
即ち、分岐された光束を±1次の回折光と考え、0次光を考慮しなければ、入射光を2光束または4光束に分岐させることができる。
上に説明した実施例の光束分岐素子は、入射光束を分岐する光束分岐素子であって、平面上で互いに直交する2方向をX方向およびY方向、上記平面に直交する方向をZ方向とするとき、基板の表面形状として、第1〜第4の面積領域A〜Dを有し、第1の面積領域Aは、Z方向の高さが、X方向に周期的に変化し、Y方向には一定である凹凸による1次元周期構造を有し、第2の面積領域Bは、Z方向の高さが、Y方向に周期的に変化し、X方向には一定である凹凸による1次元周期構造を有し、第3および第4の面積領域C、Dは、Z方向の高さが、X方向およびY方向に同一周期で周期的に変化する凹凸による2次元周期構造を有し、且つ、第3および第4の面積領域C、Dは互いに2次元周期構造におけるフィルファクタが異なり、第1〜第4の面積領域における1次元周期構造および2次元周期構造の凹凸の周期は全て入射光の波長以下であり、第1の面積領域Aは、Y方向において第3の面積領域Cと交互に配列されるとともに、X方向において第4の面積領域Dと交互に配列され、且つ、Y方向に対して傾く斜め方向において、第2の面積領域Bと交互に配列されており、X方向の偏光光束に対してY方向の回折格子として作用し、Y方向の偏光光束に対してX方向の回折格子として作用するように、上記第1〜第4の面積領域A〜Dの大きさと配列形態、および各面積領域のX、Y方向の偏光光束に対する有効屈折率が定められている。
また、第1〜第4の面積領域における1次元周期構造、2次元周期構造におけるZ方向の高さ:Hが全て同一である(請求項2)。
なお、上に説明したように、この発明の光束分岐素子による光束分岐は、回折によるものであるから、場合によって、±1次より高い次数の回折光を発生させることも可能であり、このような場合には、4本より多くの本数の光束への分岐を行うことができるが、上に説明した回折格子の周期を適宜に選択することにより±2次以上の回折光が発生しないようにすることができる。
また、光束分岐素子10を「回折されずに透過する0次光成分」も一般に発生するが、このような0次光を発生させないようにするには、第3、第4の面積領域C、Dの各2次元周期構造の有効屈折率の差:Δn、凹凸の高さ:H、入射光の波長:λが、条件:
Δn×H=λ/2
を満足するようにすればよい。このとき、これら2次元周期構造を透過した光の位相が半波長分だけずれるため、干渉により互いに打ち消しあい、0次光が発生しなくなるのである。勿論、請求項3のように、
Δn×H≒λ/2
を満足させることにより、0次光の発生を実質的に防止することができる。
上に説明した実施例においては、フィルファクタ:f=0.7の第3の面積領域Cでの有効屈折率は1.22、フィルファクタ:0.52の第4の面積領域Dでの有効屈折率は1.12であるからΔn=0.1、入射光Lの波長:λ=405nmであるから、0次光が発生しないようにするには、H=2.025μmに設定すれば良い。
また、第1〜第4の面積領域A〜Dは1辺の長さ:a=1.166μmの正方形形状としたので、前述の(1)式において、P=2a、λ=405とすれば、sinθ=λ/P=405/2a=405nm/2.332μm=0.174であり、sinθ=0.174を満足する回折角:θは10度となる。即ち、上記実施例の光束分岐素子に波長:405nmのコヒーレント光を入射させれば、X方向、Y方向に回折角:θ=10度で回折する4光束が得られる。
ここで、上に説明した実施例の光束分岐素子の作製方法を説明する。
基板として石英の平行平板を用い、表面に紫外光やオゾンを照射して表面上の有機物やパーティクルを除去した後、フォトレジストとの密着性を上げるために、ヘキサジメチルジシラザンなどの有機溶媒を塗布する。露光を行う際に生じる基板からの反射光を防ぐため、反射防止膜を塗布してもよい。
次いで、フォトレジスト(東京応化製:商品名OFPR800など)をスピンコートし、プリベークをしてレジストを安定させたのち、使用波長以下の1次元周期構造(第1、第2の面積領域A、B)、2次元周期構造(第3、第4の面積領域C、D)の配列を形成するために、電子線による描画や、ステッパーなどの露光機もしくは多光束干渉などを用いる露光を行い、上記1次元周期構造・2次元周期構造に対応するパターンをフォトレジスト膜に書込む。
その後、現像工程によってフォトレジストのパターンを作成した後、このパターンをマスクとしてエッチングを行う。エッチングはプラズマによるドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングではプラズマ条件によってウエットエッチングよりも高い垂直性(異方性)でエッチングを行うことが可能である。このようにして、基板表面を上記パターンに従って侵刻することにより、基板の表面形状として、上記の如き1次元周期構造・2次元周期構造を有する第1〜第4の面積領域の配列を形成する。
上に説明した実施例では、基板として、石英基板を用いたが、基板の材料は石英に限らず種々のものが可能であり、有機材料(例えばポリカーボネ―ト、アクリル樹脂等)や、無機材料(例えば上記石英や酸化チタン等)などを用いることができる。また、例えば、石英の平行平板上に上記有機材料の層を積層し、この有機材料の層に第1〜第4の面積領域の配列を形成しても良い。
また、上の実施例では、第1〜第4の面積領域A〜Dの形状を「正方形形状」としたが、例えば、これらの面積領域の形状を「Y方向に長い長方形形状」とすれば、X方向とY方法とで回折角を異ならせることができ、Y方向の回折角を小さくできる。「第1〜第4の各面積領域の形状」は、正方形や長方形に限らず、多角形や円形、楕円形等とすることも可能である。
図4を参照して、上に説明した光束分岐の様子を説明する。
図4(a)は、図面に直交する方向(Z方向)から、直線偏光の入射光を入射させた場合を示している。入射直線偏光の電場ベクトルをEとし、電場ベクトル:EとX方向の成す角をξとすると、X方向の偏光成分:Ex=Esinξ、Y方向の偏光成分:Ey=Ecosξである。即ち、入射直線偏光の電場ベクトル:Eは、X方向の偏光成分:ExとY方向の偏光成分:Eyのベクトル和である。
電場ベクトル:E、偏光成分:Ex、Eyは何れも振動方向はZ方向に直交している。図4(b)は、入射光Lのうちの偏光成分:EyがXZ面内で回折されて、回折光L1、L2として分岐される様子を示している。また、図4(c)は、入射光Lのうちの偏光成分:ExがYZ面内で回折され、回折光L3、L4として分岐される様子を示している。
上の説明から明らかなように、入射直線偏光の電場ベクトル:EとX方向の成す角:ξが45度のとき、回折光L1〜L4の光強度は互いに等しくなるが、角:ξが45度からはずれると、回折光L1、L2と回折光L3、L4の大きさが異なる。角:ξ=0のとき、回折光L1、L2の強度は0であり、角:ξ=90のとき、回折光L3、L4の強度が0である。
また、何れの場合にも、回折光L1〜L4における電場の振動方向はZ方向に直交する方向であり、換言すれば、光束分岐素子10の表面に平行な方向である。このような偏光、即ち、光束分岐素子10の表面に平行な振動を行う偏光はS偏光と呼ばれる。分岐した回折光L1〜L4は、何れもS偏光である(振動方向が図面に直交する方向であることを示すためにドットを付してある。)。
図5は、光束分岐素子を用いた光束干渉光学系の実施の1形態を説明するための図である。
半導体レーザー90(波長:405nm)から出たコヒーレント光100は、コリメートレンズ101で平行光に変換された後、ビーム整形プリズムなどのビーム強度均一化素子102でビームの強度分布を均一化される。コヒーレント光100の強度は射出直後で数十mW程度であり、偏光は図のX、Y軸に対して45°方向の直線偏光である。
符号103で示す光束分岐素子は、上に説明した実施例のものであって、X方向の偏光成分に対してY方向の回折格子として作用し、Y方向の偏光成分に対してはX方向の回折格子として作用する。
従って、光束分離素子103に入射したコヒーレント光100は光束分岐素子103により4光束に分岐される。これら4光束のうち2光束はX方向に偏光し、他の2光束はY方向に偏光している。そして、これら4光束は何れも、露光面105に対して「S偏光」である。
なお、光束分岐素子103に0次光が生じる場合は、遮光板などで露光面105に到達しないように0次光をカットする必要があるが、上記の如く、0次光が生じないようにしておけばその必要はない。
分岐された4光束を、レンズやミラーなどの集光素子104により光路を変換させて露光面104上に集光し、露光面105上に4光束干渉パターンを生成させる。
即ち、この光束干渉光学系は、光源90と、この光源90から放射される光束を分岐する光束分岐素子103と、この光束分岐素子103により分岐された光束を集光する集光素子104とを有し、光束分岐素子103として請求項1に記載のものを用いるものである(請求項4)。
ここで、光束の干渉による干渉露光について若干補足する。
干渉露光では、分岐された2つの光束を干渉させることで、材料ウエハ上のレジストに明暗パターンを形成する。一般に露光では明暗のコントラストが高いほど、シャープな構造を作製することが可能である。
図6(a)は、P偏光(図の面内において、光の進行方向に直交する方向に偏光している)どうしの干渉の場合を示す。P偏光どうしが図の如く干渉し合う場合、干渉領域で2光束の電場ベクトルの向きが異なっているため、単純に2つの振幅を足し算できず、電場ベクトルを水平方向と垂直方向の振動成分に分解し、それぞれを足し合わせることで、電場ベクトルの和を求める。電場ベクトルの水平成分は同じ向きであるが、垂直成分は逆向きとなり、波は打ち消し合うことになる。光強度は振幅の自乗であるので、振幅を単純に足した場合に比べて明るい面積領域は暗くなり、暗い面積領域は明るくなる。つまり、図6(b)に示す光強度の分布のようにコントラストが低下する。
図6(c)は、S偏光(図に直交する面内において光の進行方向に直交する方向に偏光している)どうしの干渉の場合を示す。S偏光どうしの干渉の場合には、電場ベクトルの向きが互いに一致しているため、これらが単純に加算され、図6(d)に示す光強度分布のように、コントラストのよい明暗を得ることができる。干渉露光によって微細な周期構造を作るには、P偏光を干渉させるよりも「S偏光どうしを干渉させる」方が良い。
図7はP偏光の干渉の場合と、S偏光の干渉の場合とにおける「開口数によるコントラスト」を表している。横軸が開口数、縦軸がコントラストである。入射光の開口数が大きくなるにつれて、S偏光の干渉とP偏光の干渉におけるコントラストの差が顕著になる。これは開口数が大きくなるにつれて、電場ベクトルの垂直成分が大きくなるためである。
多光束干渉においても、コントラストを上げるために入射面に対してすべての光束をS偏光にするのがよい。
前述の如く、実施例1の光束分岐素子では、分岐される4光束が全てS偏光であるので、図5に示した光束干渉光学系を用いることにより、4光束を干渉させてコントラストの高い明暗を実現できる。
図8は、光束干渉露光装置の実施の1形態を説明するための図である。
符号201は、図5に即して説明した光束干渉光学系を略示している。この光束干渉光学系201により、ステージ202上にセットされた露光対象物Obの露光面上に4光束干渉パターンを生成する。ステージ202は制御コンピュータ205で制御され、露光中にステージ202を走査することにより「つなぎ合わせの露光」を行うことができる。
また、ステージ202上の露光対象物Obの露光面をCCDカメラ204によって観察できるようになっており、露光面の画像をディスプレイ206に出力し、アライメントを行うことができるようになっている。また、レーザ変位計203を用いて、光束干渉光学系201から出射された4光束の集光面がステージ202上の露光対象物Obの露光面と一致しているかどうかを測定する。そして、それらが一致するように、露光面に対して垂直方向のステージ位置の変位を調整する。
この露光装置により、液浸などの「入射光の開口数の高い4光束干渉」においても、λ/2板を用いずに、露光面に対して4光束ともS偏光となり、結果としてX、Y方向ともに同等の高いコントラストをもった2次元周期構造を作成することが可能となる。
光束分岐素子の実施の形態を説明するための図である。 構造副屈折を、1次元周期構造を例として説明するための図である。 フィルファクタによる有効屈折率の変化を示す図である。 光束の分岐を説明するための図である。 光束干渉光学系の実施の1形態を説明するための図である。 P偏光の干渉による明暗とS偏光の干渉による明暗を説明する図である。 回口数によるコントラストの変化を示す図である。 光束干渉露光装置の実施の1形態を示す図である。
符号の説明
10 光束分岐素子
L 入射光
L1〜L4 分岐した光束
A〜D 第1〜第4の面積領域

Claims (5)

  1. 光束干渉露光装置に用いられて入射光束を分岐する光束分岐素子であって、
    平面上で互いに直交する2方向をX方向およびY方向、上記平面に直交する方向をZ方向とするとき、
    基板の表面形状として、第1〜第4の面積領域の配列を有し、
    第1の面積領域は、Z方向の高さが、X方向に周期的に変化し、Y方向には一定である凹凸による1次元周期構造を有し、
    第2の面積領域は、Z方向の高さが、Y方向に周期的に変化し、X方向には一定である凹凸による1次元周期構造を有し、
    第3および第4の面積領域は、Z方向の高さが、X方向およびY方向に同一周期で周期的に変化する凹凸による2次元周期構造を有し、且つ、第3および第4の面積領域は互いに上記2次元周期構造におけるフィルファクタが異なり、
    上記第1〜第4の面積領域における上記1次元周期構造および2次元周期構造の凹凸の周期は全て入射光の波長以下であり、
    上記第1の面積領域は、Y方向において上記第3の面積領域と交互に配列されるとともに、X方向において上記第4の面積領域と交互に配列され、且つ、上記Y方向に対して傾く斜め方向において、第2の面積領域と交互に配列されており、
    X方向の偏光光束に対してY方向の回折格子として作用し、Y方向の偏光光束に対してX方向の回折格子として作用するように、上記第1〜第4の面積領域の大きさと配列形態、および各面積領域の上記X、Y方向の偏光光束に対する有効屈折率が定められていることを特徴とする光束干渉露光装置用の光束分岐素子。
  2. 請求項1記載の光束分岐素子において、
    第1〜第4の面積領域における1次元周期構造、2次元周期構造におけるZ方向の高さが全て同一であることを特徴とする光束干渉露光装置用の光束分岐素子。
  3. 請求項2記載の光束分岐素子において、
    第1〜第4の面積領域における1次元周期構造、2次元周期構造におけるZ方向の高さ:H、入射光束の波長:λ、第3の面積領域と第4の面積領域の有効屈折率の差:Δnが、条件:
    Δn×H≒λ/2
    を満足することを特徴とする光束干渉露光装置用の光束分岐素子。
  4. 光源と、この光源から放射される光束を分岐する光束分岐素子と、この光束分岐素子により分岐された光束を集光する集光素子とを有し、上記光束分岐素子として請求項1〜3の任意の1に記載の光束干渉露光装置用の光束分岐素子を用いることを特徴とする光束干渉光学系。
  5. 請求項4記載の光束干渉光学系を用いて光束干渉露光を行う光束干渉露光装置。
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