JP4866191B2 - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方で自動車用燃料や、家庭用発電機などの用途に水素燃料を適用した時、重要となるのがガス漏洩対策である。ガスを漏洩させないことはもとより、万が一ガスが漏洩した場合に高感度に検知し、迅速に燃料を遮断する高信頼の保安システムが望まれる。
一様な基板であるため、さほど熱容量は小さくなっていない。
仮に、この基板を薄くしすぎるとかえってセンサとしての強度が低下してしまうために、この基板部分はこれ以上薄くすることはできない。
本発明の目的とするところは、このような課題を解決し、ガスセンサとして強度を低下させずに熱容量を小さくし、検出感度を向上させるガスセンサの提供である。
絶縁膜または絶縁基板の表面に、溝の深さ距離を溝の開口距離で割った比率値が1以上の数値を有しているとともに、開口距離の値が形成する白金膜の膜厚の値よりも小さい環状の溝部を設け、
環状の溝部に囲まれる領域の表面を第1の表面とし、環状の溝部に囲まれていない領域の表面を第2の表面とするとき、
絶縁膜または絶縁基板の表面に白金膜を設けることにより、第1の表面上に第1の白金膜を設け、環状の溝部によって隔てられて第2の表面上に第2の白金膜を設け、
触媒金属は、第1の白金膜の上部に設け、
第1の表面の触媒金属と平面的に重なる部分に狭溝部を設けることを特徴とする。
すなわち、
白金による配線を用いるガスセンサの製造方法であって、
基板上に絶縁膜を形成する工程と、
絶縁膜の表面に、溝の深さ距離を溝の開口距離で割った比率値が1以上の数値を有しているとともに、開口距離の値が後の工程で形成する白金膜の膜厚の値よりも小さい環状の溝部と、環状の溝部の内周に接する絶縁膜の表面に、環状の溝部よりも溝の開口距離が小さい狭溝部と、を形成する工程と、
絶縁膜の上部に白金膜を形成し、環状の溝部によって白金膜が分割され、狭溝部によっては白金膜が分割されないようにして、配線を形成することを特徴とする。
このような構成にすることで、触媒金属および配線部を支える絶縁膜または絶縁基板の熱容量を小さくすることができる。熱容量が小さいために従来よりもヒータの熱応答性が高くなり、かつ触媒燃焼時の温度に対する感度は向上する。すなわちセンサとしての感度がさらに向上する。
以下、図1、図2を用いて本発明のガスセンサを実施するための第1の実施形態におけ
る構造を説明する。図1(a)は、本発明のガスセンサを説明するために模式的に示す平面図である。図1(b)は、図1(a)に示す切断線A−A’における断面図である。さらに図2は狭溝部の平面的な位置関係を説明するための拡大図である。なお、図2は、狭溝部の状態をわかりやすく表記するため、第1の白金膜および触媒金属は透過して表している。
しかしながら、平坦化という観点から、絶縁膜21の上部に白金膜をできるだけ一様に設ける方が好ましい。したがって、第1の白金膜51,第2の白金膜52は略同じ膜厚で形成する方が好ましい。
白金膜は、その形成過程で狭溝部32の上部を覆ってしまう。これは、狭溝部32の開口幅W1,その深さL2が、環状の溝部31の開口幅W1,その深さL1に比べて小さいため、その内部にまで白金膜が形成できないからである。
したがって、白金膜の形成過程において、狭溝部32の上端部では、第1の表面41と水平方向に白金膜が徐々に成長し、やがてピンチオフして連続膜となる。結果、狭溝部32内部には空隙70が形成されるのである。
とができる。
これらの選択は、形成する白金膜の膜厚や形成装置の性能や機種が予めわかっているために、簡単に選択できる。例えば、環状の溝部31上に形成する図示しない白金膜(第1の白金膜51または第1の白金膜51になる膜)の膜厚をT1とすると、環状の溝部31の溝の深さL1は、上方に形成する白金膜の膜厚T1の約1倍以上とし、上端面の開口幅W1は、同じく膜厚T1より小さくなるよう設定する。
これらの選択は、形成する白金膜の膜厚や形成装置の性能や機種が予めわかっているために、簡単に選択できる。例えば、狭溝部32上に形成する図示しない白金膜(第1の白金膜51になる膜)の膜厚をT2とすると、狭溝部32の溝の深さL2は、上方に形成する白金膜の膜厚T2の約2倍以上とする。狭溝部32の上端面の開口幅W2は、同じく膜厚T2より小さくなるよう設定する方が好ましい。
本発明のガスセンサの構造は、すでに説明する構成に限定されない。図3は、絶縁膜21の膜厚によって深い溝が形成できない場合や、成膜装置の特性によって溝側面の被覆率が高い場合における構造を示す断面図である。図3において、33はオーバーハング形状を有する環状の溝部、34はオーバーハング形状の狭溝部である。すでに説明した同一の構成には同一の番号を付与している。
本発明のガスセンサの構造は、すでに説明した構成に限定されない。図4は、センサの熱容量を最小限に抑えながらセンサ部全体の強度を保持できる構造を示すものであって、環状の溝部31で分割された第1の表面41と第2の表面42との部分を拡大する平面図である。
触媒金属60を積層する配線部下部と触媒金属60が積層されない配線部下部とで、開口幅を変化させた狭溝部を説明するものである。図4において、35はそのような形状を有する狭溝部であって、35aは狭溝部35における幅広部、35bは同じく幅狭部である。図4において、触媒金属60は見やすいように点線で示している。すでに説明した同一の構成には同一の番号を付与している。
本発明のガスセンサの構造において、狭溝部の形状は自由に選択することができる。図5は、同一形状で独立した狭溝部を複数並べる例を説明するものであって、環状の溝部31で分割された第1の表面41と第2の表面42との部分を拡大する平面図である。なお、狭溝部の状態をわかりやすく表記するため、第1の白金膜51および触媒金属60は透過して表している。図5において、36は、円形状の狭溝部である。すでに説明した同一の構成には同一の番号を付与している。
円形状の狭溝部36は、その底部を絶縁膜21またはこの絶縁膜21が乗る図示しない基板などの裏面まで貫通させて形成してもよい。溝部の底部をそれら裏面にまで貫通させることで、さらに熱容量を低減することができる。
次に、本発明のガスセンサの製造方法を図6から図8を用いて説明する。なお、シリコン基板上に絶縁膜としてシリコン窒化膜を設け、フォトリソグラフィにより環状の溝部31および狭溝部32を設け、第1の表面41および第2の表面42を形成し、白金膜をスパッタし、第1の白金膜51および第2の白金膜52を形成する場合を説明する。すでに説明した構成には同一の番号を付与している。
次に、図7に示すように、反応ガスに六フッ化硫黄を用いるドライエッチングにより絶縁膜21をエッチングし、環状の溝部31および狭溝部32を形成する。その後、レジストパターンはアッシングにより除去する。
このエッチング処理により、絶縁膜21の表面は、環状の溝部31によって分割され、環状の溝部31の内周に接する表面に第1の表面41、環状の溝部31の外周に接する面に第2の表面42が形成される。同時に、環状の溝部31の内周に接する表面に第1の表面41上に狭溝部32が形成される。
21 絶縁膜
31 絶縁膜21上面に形成する環状の溝部
32 狭溝部
33 オーバーハング形状を有する環状の溝部
34 オーバーハング形状を有する狭溝部
35 開口幅を変化させた狭溝部
36 円形状を有する狭溝部
41 環状の溝部31の内周に接する絶縁膜21の第1の表面
42 環状の溝部31の外周に接する絶縁膜21の第2の表面
50 環状の溝部31の底部に堆積した白金膜
51 第1の表面41上に形成する第1の白金膜
52 第2の表面42上に形成する第2の白金膜
60 触媒金属
70 空隙
Claims (4)
- 触媒金属を有するガスセンサであって、
絶縁膜または絶縁基板の表面に、溝の深さ距離を溝の開口距離で割った比率値が1以上の数値を有しているとともに、前記開口距離の値が形成する白金膜の膜厚の値よりも小さい環状の溝部を設け、
前記環状の溝部に囲まれる領域の表面を第1の表面とし、前記環状の溝部に囲まれていない領域の表面を第2の表面とするとき、
前記絶縁膜または前記絶縁基板の表面に白金膜を設けることにより、前記第1の表面上に第1の白金膜を設け、前記環状の溝部によって隔てられて前記第2の表面上に第2の白金膜を設け、
前記触媒金属は、前記第1の白金膜の上部に設け、
前記第1の表面の該触媒金属と平面的に重なる部分に狭溝部を設けることを特徴とするガスセンサ。 - 前記狭溝部は、溝の深さ距離を溝の開口距離で割った比率値が2以上の数値を有していることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
- 前記環状の溝部または前記狭溝部は、その断面形状がオーバーハング形状をなしていることを特徴とする請求項1または2に記載のガスセンサ。
- 白金による配線を用いるガスセンサの製造方法であって、
基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の表面に、溝の深さ距離を溝の開口距離で割った比率値が1以上の数値を有しているとともに、前記開口距離の値が後の工程で形成する白金膜の膜厚の値よりも小さい環状の溝部と、前記環状の溝部の内周に接する前記絶縁膜の表面に、前記環状の溝部よ
りも溝の開口距離が小さい狭溝部と、を形成する工程と、
前記絶縁膜の上部に白金膜を形成し、前記環状の溝部によって前記白金膜が分割され、前記狭溝部によっては前記白金膜が分割されないようにして、前記配線を形成することを特徴とするガスセンサの製造方法。
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