JP4866042B2 - 液状硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、光ファイバ素線、光ファイバテープ等の被覆材料として好適な、硬化被膜の透明性に優れた液状硬化性樹脂組成物に関する。
光ファイバは、ガラスを熱溶融紡糸して得たガラスファイバ素線に、保護補強を目的として樹脂を被覆して製造されている。この樹脂被覆としては、光ファイバの表面にまず柔軟な第一次の被覆層(一次被覆層)を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層(二次被覆層)を設けた構造が知られている。これらの樹脂被覆を施された光ファイバ素線を平面上に複数並べて結束材料で固めたテープ状ファイバもよく知られている。光ファイバ素線の第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をプライマリ材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をセカンダリ材、テープ状ファイバの結束材として用いられる樹脂組成物をテープ材と称している。これらの樹脂被覆方法としては、液状硬化性樹脂組成物を塗布し、熱または光、特に紫外線により硬化させる方法が広く用いられている。
紫外線硬化性樹脂組成物は種々の用途、例えば、光ファイバのコーティング材や光学特性が必要とされるディスプレースクリーンの張り合わせ用接着剤等に使用されている。
このような紫外線硬化性樹脂組成物においては、より少ない紫外線エネルギーで硬化させるため、開始効率の高い光開始剤を使用することが望まれている。開始効率の高い光開始剤として、リン系光重合開始剤が知られているが、この開始剤を使用して紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させると、硬化物の中に硬化物全体と屈折率が異なる部分(微白部)が生成し、硬化物の透明性が損なわれるという問題がある。この問題に対して、ウレタン(メタ)アクリレートの製造時にウレタン化触媒として第四族金属触媒を使用することにより、均一で透明性の高い保護膜等を形成し得る技術が提案されているが(特許文献1)、従来の組成を変更することなく、均一で透明性の高い硬化物を得る技術が望まれていた。
特開2003−327637号公報
本発明の課題は、高速硬化性に優れ、透明性の高い硬化被膜を与える液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、チオウレタン結合を含む特定構造のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する組成物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(A)下記式(1)で表される構造を含んでなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー 5〜50質量%、
−NHCO−S−R (1)
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、エポキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、またはアリール基を示す)
(B)エチレン性不飽和基含有化合物 1〜60質量%、
(C)リン系光重合開始剤 0.01〜10質量%
を含有する液状硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、当該液状硬化性樹脂組成物を、放射線により硬化せしめることにより得られる硬化被膜、及び当該硬化被膜を有する光ファイバを提供するものである。
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、高速硬化性に優れ、透明性の高い硬化被膜を与え、光ファイバ用被覆材料、特に一次被覆層用材料として有用である。
以下に、本発明の各態様について、詳細に説明する。
本発明で用いる成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、前記式(1)で表される構造を含んでなるもので、基本的には、(a)ポリオール、(b)ポリイソシアネート、(c)水酸基含有(メタ)アクリレート、及び(d)下記式(2)で表されるチオール化合物(以下、「特定チオール化合物」という。)とを反応させることにより製造される。得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、その末端の一方が特定チオール化合物で封止されており、他方の末端が(メタ)アクリロイル基である構造を有する。
R−SH (2)
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、エポキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、またはアリール基を示す)
この反応としては、例えばポリオール、特定チオール化合物、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;ポリオール及びポリイソシアネートを反応させ、次いで、特定チオール化合物を反応させ、その後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ポリイソシアネート、特定チオール化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法;ポリイソシアネート、特定チオール化合物及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられる。
(a)ポリオール:
ここで用いるポリオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールのような一種のイオン重合性環状化合物を開環重合させて得られるポリエーテルポリオール、または二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。イオン重合性環状化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、テトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド、エチレンオキシドの3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
ここまでに述べたこれらのポリエーテルポリオールは、例えばPTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学(株)製)、EXCENOL1010,2020、3020、NPML−2002A、−4002A、−8002A(以上、旭硝子ウレタン(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂(株)製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL1000、PTGL2000(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬(株)製)、アクレーム8200、6300、4200、3201、2200(以上、住化バイエルウレタン(株)製)等の市販品としても入手することができる。
ポリオールとしては、上記のポリエーテルポリオールが好ましいが、この他にポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等も用いることができ、これらのポリオールをポリエーテルポリオールと併用して用いることもできる。これらの構造単位の重合様式は特に制限されず、ランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。
ここで用いるポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の多価アルコールとフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の多塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオール等を挙げることができる。市販品としては、クラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、(株)クラレ製)等が入手できる。
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネート等が挙げられ、市販品としては、DN−980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)等が挙げられる。
さらに、ポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等の2価のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。これらのジオールは、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル化学工業(株)製)等の市販品として入手することができる。
上記以外のポリオールも数多く使用することができる。このようなポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールの好ましい分子量は、数平均分子量で通常50〜15,000であり、特に100〜8,000が好ましい。また、環構造を有するポリオールとして、以下に列挙する物質を用いることができる。例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及びそのアルキレンオキサイド付加ジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等が挙げられ、これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。これらのポリオールは、例えばユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400(以上、日本油脂(株)製)、トリシクロデカンジメタノール(三菱化学(株)製)等の市販品として入手することもできる。
(b)ポリイソシアネート:
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3−(ジメチル−4,4−)ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−(ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−)ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4−(ビフェニレンジイソシアネート)ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、ジイソシアネートが好ましく、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが、特に好ましい。これらのポリイソシアネートは単独で用いても、2種以上併用しても良い。
(c)水酸基含有(メタ)アクリレート:
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記化学式(3)又は式(4)
CH2=C(R1)-COOCH2CH2-(OCOCH2CH2CH2CH2CH2)n-OH (3)
CH2=C(R1)-COOCH2CH(OH)CH2-O-(C6H5) (4)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜15の数を示す)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
(d)特定チオール化合物:
(d)特定チオール化合物は、前記式(2)で表されるチオール化合物である。
具体的には、エタンチオール、アリル メルカプタン、イソプロピル メルカプタン、シクロペンタンチオール、フルフリル メルカプタン、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、ヘキサンチオール、イソブチルチオール、シクロヘキシル メルカプタン、ヘプチル メルカプタン、イソアミル メルカプタン、ベンゼンチオール、ベンジル メルカプタン等が挙げられる。
ポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの使用割合は、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対してポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1〜3当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.2〜1.5当量となるようにするが、ポリオール及びアクリレート中の水酸基の当量とポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量はほぼ等しくするのが好ましい。
これらの化合物の反応においては、通常ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ化合物、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、チタンテトラアルコキシド、ジルコニウムテトラアルコキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート等のウレタン化触媒を、反応物の総量100質量部に対して0.01〜1質量部用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
このようにして得られる成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、全組成中に5〜50質量%含有され、特に、光ファイバ素線等に被覆する際の塗工性、硬化させた後の被覆材料の柔軟性及び長期信頼性を維持するためには、10〜40質量%含有されるのが好ましい。
本発明で用いる成分(B)は、成分(A)及び成分(D)と異なるエチレン性不飽和基含有化合物である。このような、(B)エチレン性不飽和基含有化合物としては、(B1)単官能エチレン性不飽和基含有化合物、あるいは、二官能以上の(B2)多官能エチレン性不飽和基含有化合物がある。
(B1)単官能エチレン性不飽和基含有化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族構造含有(メタ)アクリレートの他、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル及び下記化学式(5)
CH2=C(R2)-COO(R3O)p-C6H4-R4 (5)
(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R4は水素原子又は炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、pは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す)
で表される化合物等が挙げられる。
成分(B1)の市販品としては、例えば、アロニックスM−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亜合成(株)製)等が挙げられる。
(B2)多官能エチレン性不飽和基含有化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
また、成分(B2)の市販品としては、例えば、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学(株)製);ビスコート700(大阪有機化学(株)製); KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA(以上、日本化薬(株)製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亜合成化学(株)製)等が挙げられる。これらのうち、特にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ユピマーUV SA1002)及びKS−HDDAが好ましい。(B2)多官能エチレン性不飽和基含有化合物を用いることにより、光ファイバ被覆のセカンダリ材又はテープ材として適当な硬化後のヤング率が得られるほか、破断強度が向上する効果がある。
これらの(B)エチレン性不飽和基含有化合物は、全組成中に1〜60質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは20〜60質量%含有される。成分(B)の含有量が1質量%以上であれば組成物の粘度が適度に低下して塗工性が良くなるばかりでなく、硬化物の靭性が向上し、硬化収縮率が低くなり、また、60質量%以下であれば十分に速い硬化速度が得られる点で好ましい。
本発明で用いる成分(C)のリン系光重合開始剤は、分子中にリン元素を含有する光重合開始剤である。(C)リン系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、及びその誘導体(IRGACURE819、1700、1800、1850(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
これらの光重合開始剤(C)は、全組成中に0.01〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%含有される。
なお、本発明の液状硬化性組成物には、本発明の効果を妨げない程度で、成分(C)以外の光重合開始剤を添加してもよい。かかる成分(C)以外の光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン等が挙げられる。市販品としては、IRGACURE184、369、651、500、907(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
これらの成分(C)以外の光重合開始剤は、全組成中に0〜5質量%含有するのが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、成分(A)以外のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(D)を含有することもできる。成分(D)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、成分(A)以外の構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであれば特に限定されないが、典型的には、(a)ポリオール、(b)ポリイソシアネート、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。このような(D)成分の製造に好適に用いられる(a)ポリオール、(b)ポリイソシアネート、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートの各成分は、成分(A)について述べたものと同様である。
あるいは、成分(D)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、(b)ポリイソシアネート1モルに対して(c)水酸基含有(メタ)アクリレート化合物2モルを反応させたウレタン(メタ)アクリレートを含有することもできる。かかるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2.5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応物等が挙げられる。
これらのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(D)は、全組成中に5〜80質量%、特に10〜70質量%含有するのが好ましい。また、成分(A)と成分(D)の比率としては、組成物中の成分(A)と成分(D)の合計量を100質量%として、成分(A)が3〜50質量%であることが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、前記の成分以外に、必要に応じて本発明の液状硬化性樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、成分(A)、(B)、(C)以外の硬化性の他のオリゴマー、ポリマー、反応性希釈剤、その他の添加剤等を配合することができる。
硬化性の他のオリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジルメタアクリレートとその他のビニルモノマーとの共重合体とアクリル酸を反応させて得られる反応性ポリマー等が挙げられる。
また、上記成分以外に各種添加剤、例えば酸化防止剤、シランカップリング剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤等を必要に応じて配合することができる。ここで、酸化防止剤としては、例えば、Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Sumilizer GP、GA−80(住友化学工業(株)製)等が挙げられ;紫外線吸収剤としては、例えば、TinuvinP、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ;光安定剤としては、例えば、Tinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、本発明の液状硬化性樹脂組成物の粘度は、通常200〜20,000mPa・s/25℃であり、2,000〜15,000mPa・s/25℃が好ましい。そして、本発明の液状硬化性樹脂組成物を光ファイバ素線のセカンダリ材又は心線のテープ材として使用した場合には、硬化後のヤング率が100〜2,500MPaとなることが好ましく、また、光ファイバ素線のプライマリ材として用いる場合には、硬化後のヤング率が0.5〜3MPaとなることが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、放射線によって硬化されるが、ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。また、放射線硬化と共に熱硬化を併用することもできる。放射線としては、通常、紫外線が用いられる。紫外線を照射して硬化させる場合の典型的な条件は、窒素雰囲気等の嫌気的条件下において、0.1〜1J/cm2の紫外線照射量である。
本発明の硬化被膜は、前記の液状硬化性樹脂組成物を、放射線により硬化せしめることにより得られる。放射線の照射条件は、前述の通りである。本発明の硬化被膜は、透明性に優れる。
本発明の光ファイバは、ガラスファイバが前述の硬化被膜で被覆された構造を有する。具体的には、ガラスファイバの表面に接して、前述の硬化被膜による一次被覆層を有し、その外側に、二次被覆層を有する構造を有している。あるいは、その外側にさらに着色被覆層を有していてもよく、さらには、複数のかかる光ファイバをテープ材等で1本に被覆したテープ構造を有していてもよい。二次被覆層、着色被覆層、及びテープ材層の材質としては、特に限定されるものではなく、公知の放射線硬化性組成物等を用いることができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
合成例1((A)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成)
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が2000のポリプロピレングリコール50.7部、トルエンジイソシアネート6.739部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.014部を仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃となるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.044部を添加した後、攪拌しながら液温度を1時間かけて40℃まで徐々に上げた。その後、液温度を45℃に上げて反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.49質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、1−ブタンチオール0.14部を添加し、液温度約50℃で2時間攪拌した。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.01部を添加し、液温度約55℃にて1時間撹拌して反応させた。さらにメタノール0.251部を添加し、液温度約60℃で1時間攪拌した。その後、残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタン(メタ)アクリレートを「オリゴマーA」とする。オリゴマーAは、オリゴマーA全量を100質量%として、成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを13質量%、及び成分(D)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを87質量%含んでいる。
比較合成例1((D)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの合成)
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が2000のポリプロピレングリコール49.594部、トルエンジイソシアネート6.592部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.014部を仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃となるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.044部を添加した後、攪拌しながら液温度を1時間かけて40℃まで徐々に上げた。その後、液温度を45℃に上げて反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.49質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.964部を添加し、液温度約55℃にて1時間撹拌し反応させた。さらにメタノール0.294部を添加し液温度約60℃で1時間攪拌した。その後、残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを「オリゴマーD」とする。
実施例1、比較例1〜2
撹拌機を備えた反応容器に、表1に示す配合比(質量比)で化合物を仕込み、均一な溶液になるまで液温度50℃で撹拌して、実施例及び比較例の液状硬化性樹脂組成物を得た。
(評価方法)
(1)硬化フィルムの透明度:
250μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気下で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。この硬化フィルムを120℃のオーブンに12時間加熱し、室温まで冷却した後、スガ試験機社製カラーヘーズメーターSC−3Hを用いてヘーズ値を測定した。
(2)硬化速度:
250μmミクロン厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で20mJ/cm2および500mJ/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、硬化膜二種類を得た。この硬化膜二種類からそれぞれ延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%下で引張り試験機AGS−1KND(島津製作所株式会社製)を用いてJIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。20mJ/cm2で硬化させた硬化膜のヤング率(Y20)と500mJ/cm2で硬化させた硬化膜のヤング率(Y500)の比を下記式(1)より算出して、組成物の硬化速度を評価した。
硬化速度(%)=Y20÷Y500×100 (1)
(3)判定方法:
硬化速度が0.70以上で、ヘーズ値が1.0%以下である場合、合格と判定した。
Figure 0004866042
Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)
Sumilizer GA−80:3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン;住友化学工業(株)
表1の結果より、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、硬化速度に優れ、硬化膜の透明性が高いことが明らかである。

Claims (6)

  1. (A)下記式(1)で表される構造を含んでなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー 5〜50質量%、
    −NHCO−S−R (1)
    (式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、エポキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、またはアリール基を示す)
    (B)エチレン性不飽和基含有化合物 1〜60質量%、
    (C)リン系光重合開始剤 0.01〜10質量%
    を含有する光ファイバ被覆材用液状硬化性樹脂組成物。
  2. さらに、(D)成分(A)以外のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを5〜80質量%含有する請求項1記載の光ファイバ被覆材用液状硬化性樹脂組成物。
  3. 成分(A)の含有量が、成分(A)と成分(D)の合計量を100質量%として、3〜50質量%である請求項2記載の光ファイバ被覆材用液状硬化性樹脂組成物。
  4. (C)リン系光重合開始剤が、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドを含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の光ファイバ被覆材用液状硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の光ファイバ被覆材用液状硬化性樹脂組成物を、放射線により硬化せしめることにより得られる硬化被膜。
  6. 請求項記載の硬化被膜を有する光ファイバ。
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