JP4864035B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサに関するものである。
ニオブは従来の固体電解コンデンサの材料であるタンタルに比べて誘電率が約1.8倍大きいことから、次世代の高容量固体電解コンデンサの材料として注目されている。
しかしながら、固体電解コンデンサは、リフロー工程において高熱に晒された場合、酸化ニオブからなる誘電体層中の酸素の一部が陽極に拡散して、誘電体層の厚みが減少する。その結果、誘電体層中で漏れ電流が生じ易くなる。
固体電解コンデンサの実装時のリフロー工程において酸素拡散による静電容量の変化を抑制するために誘電体であるニオブ酸化物層中にニオブ窒化物領域を形成した固体電解コンデンサが提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−329902号公報
しかしながら、上記のように窒化物が形成された従来の固体電解コンデンサにおいても、漏れ電流を十分に低減することができない。
本発明の目的は、漏れ電流が低減された固体電解コンデンサを提供することである。
発明に係る固体電解コンデンサは、表面に窒化ニオブ層が形成されたニオブからなる基体を備え、窒素ニオブ層表面に酸化ニオブからなる誘電体層が形成されたものである。
本発明に係る固体電解コンデンサにおいては、ニオブからなる基体と酸化ニオブからなる誘電体層との間に窒化ニオブ層が存在する。窒化ニオブ層は、化学的に安定かつ耐熱性に優れているため、実装工程で加熱された場合でも、誘電体層の一部の酸素が基体に拡散することを阻止することができる。それにより、酸素の拡散による誘電体層の厚みの減少が防止される。その結果、漏れ電流が低減される。
基体、窒化ニオブ層および誘電体層の総量に対する窒素の含有量が0.001重量%以上0.2重量%以下であることが好ましい。この場合、窒化ニオブ層中にNb2 Nが緻密かつ均一に形成されるので、漏れ電流が十分に低減される。
中でも、基体、窒化ニオブ層および誘電体層の総量に対する窒素の含有量が0.001重量%以上0.08重量%以下であることがより好ましい。この場合、窒化ニオブ層中にNb2 Nがより緻密かつ均一に形成されるので、漏れ電流が一層低減される。
発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、ニオブからなる基体の表面を酸化させることにより酸化ニオブからなる誘電体層を形成し、誘電体層が形成された基体を窒素雰囲気中で熱処理することにより基体と誘電体層との間に窒化ニオブ層を形成し、陽極酸化するものである。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法によれば、ニオブからなる基体と酸化ニオブからなる誘電体層との間に窒化ニオブ層が形成される。窒化ニオブ層は、化学的に安定かつ耐熱性に優れているため、実装工程で加熱された場合でも、誘電体層の一部の酸素が基体に拡散することを阻止することができる。それにより、酸素の拡散による誘電体層の厚みの減少が防止される。その結果、漏れ電流が低減される。
熱処理の温度は300℃以上920℃以下であることが好ましい。この場合、窒化ニオブ層中にNb2 Nが緻密かつ均一に形成されるので、漏れ電流が十分に低減される。
中でも、熱処理の温度は300℃以上800℃以下であることがより好ましい。この場合、窒化ニオブ層中にNb2 Nがより緻密かつ均一に形成されるので、漏れ電流が一層低減される。
本発明によれば、誘電体層の一部の酸素が拡散することを阻止でき、誘電体層の厚み減少を防止できるので、固体電解コンデンサの漏れ電流を低減することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態に係る固体電解コンデンサの構造図である。
図1に示すように、固体電解コンデンサ100においては、陽極1の表面に、誘電体層2、導電性高分子層3、カーボン層4および銀ペイント層5が順に形成されている。陽極1は、ニオブからなる基体(以下、ニオブ基体と呼ぶ。)1aおよびNb2 Nからなる窒化物層1bにより形成される。
銀ペイント層5には、導電性接着剤6を介して陰極端子8が接続され、ニオブ基体1aに陽極端子7が接続されている。陽極端子7および陰極端子8の端部が外部に引き出されるようにモールド外装樹脂9が形成されている。
ニオブ基体1aは、ニオブ粒子の多孔質焼結体からなる。ニオブ粒子の多孔質焼結体は大きな表面積を有するため、大容量化が可能となる。誘電体層2は絶縁性の高い酸化ニオブ(Nb25)からなる。
導電性高分子層3は、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子からなる。なお、本実施の形態では、電解質として導電性高分子層3を用いているが、これに限定されず、電解質として二酸化マンガン等の他の材料を用いてもよい。カーボン層4はカーボンペーストからなり、銀ペイント層5は、銀粒子、保護コロイドおよび有機溶媒を混合することによる銀ペーストからなる。
次に、本発明の実施の形態に係る固体電解コンデンサ100の製造方法について説明する。
まず、ニオブ粒子の粉体を焼結させることにより多孔質焼結体からなるニオブ基体1aを形成する。この場合、ニオブ粒子間が溶着する。
次に、ニオブ基体1aをリン酸水溶液中で酸化させることにより、ニオブ基体1aの表面に酸化ニオブ(Nb25)からなる誘電体層2を形成する。
次いで、誘電体層2が形成されたニオブ基体1aを窒素雰囲気中で加熱する。それにより、誘電体層2が還元され、ニオブ基体1a内に窒素が拡散される。その結果、ニオブ基体1aの表面に窒化ニオブ層1bが形成される。その後、窒化ニオブ層1bが形成されたニオブ基体1aをリン酸水溶液中で再び酸化させる。
続いて、電解重合または気相重合等の方法によりポリピロールまたはポリチオフェン等の導電性高分子からなる導電性高分子層3で誘電体層2の表面を被覆する。この場合、導電性高分子層3が多孔質焼結体の表面の誘電体層2の隙間を埋めるように誘電体層2の表面に形成される。
その後、導電性高分子層3上にカーボンペーストを塗布することにより、導電性高分子層3上にカーボン層4を形成する。さらに、カーボン層4上に銀ペーストを塗布し、所定の温度で乾燥させることによりカーボン層4上に銀ペイント層5を形成する。銀ペイント層5に導電性接着剤6を介して陰極端子8を接続する。また、ニオブ基体1aに陽極端子7を接続する。
その後、陽極端子7および陰極端子8の端部が外部に引き出されるようにモールド外装樹脂9を形成する。以上の方法により、固体電解コンデンサ100が作製される。
本発明の実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、ニオブ基体1aと誘電体層2との間に窒化ニオブ層1bが形成される。窒化ニオブ層1bは、化学的に安定しておりかつ耐熱性に優れているため、リフロー工程等の熱処理においても、誘電体層2の一部の酸素がニオブ基体1aに拡散することを阻止することができる。したがって、誘電体層2の厚みが減少せず、漏れ電流が低減される。
なお、本実施の形態では、固体電解コンデンサのニオブ基体1aとして、ニオブの多孔質焼結体を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、ニオブ箔を用いてもよい。
参考の形態)
図2は参考の実施の形態に係る固体電解コンデンサの構造図である。
図2に示す固体電解コンデンサ100aが図1に示す固体電解コンデンサ100と異なるのは以下の点である。陽極1は、窒化ニオブにより形成される。陽極1の表面に酸化ニオブ(Nb25 )からなる誘電体層2を形成する。
次に、参考の形態に係る固体電解コンデンサ100aの製造方法について説明する。
まず、ニオブ粒子の粉体を窒素雰囲気中で加熱する。その加熱したニオブ粒子の粉体を焼結させることにより多孔質焼結体からなる陽極1を形成する。この場合、ニオブ粒子間が溶着する。
次に、陽極1をリン酸水溶液中で酸化させることにより、陽極1の表面に酸化ニオブ(Nb25 )からなる誘電体層2を形成する。
続いて、電解重合または気相重合等の方法によりポリピロールまたはポリチオフェン等の導電性高分子からなる導電性高分子層3で誘電体層2の表面を被覆する。この場合、導電性高分子層3が多孔質焼結体の表面の誘電体層2の隙間を埋めるように誘電体層2の表面に形成される。
その後、導電性高分子層3上にカーボンペーストを塗布することにより、導電性高分子層3上にカーボン層4を形成する。さらに、カーボン層4上に銀ペーストを塗布し、所定の温度で乾燥させることによりカーボン層4上に銀ペイント層5を形成する。銀ペイント層5に導電性接着剤6を介して陰極端子8を接続する。また、陽極1に陽極端子7を接続する。
その後、陽極端子7および陰極端子8の端部が外部に引き出されるようにモールド外装樹脂9を形成する。以上の方法により、固体電解コンデンサ100aが作製される。
参考の形態の固体電解コンデンサ100aにおいては、陽極1が窒化ニオブよりなる。窒化ニオブは、化学的に安定しておりかつ耐熱性に優れているため、リフロー工程等の熱処理においても、誘電体層2の一部の酸素が陽極1に拡散することを阻止することができる。したがって、誘電体層2の厚みが減少せず、漏れ電流が低減される。
(実施例)
以下の実施例1〜15においては、上記実施の形態に基づいて固体電解コンデンサを作製し、評価を行い、参考例1〜11においては、上記参考の形態に基づいて固体電解コンデンサを作製し、評価を行った。
(実施例1)
実施例1では、次の方法で図3に示す固体電解コンデンサを作製した。
(酸化ステップ1)
まず、ニオブ基体1aとして厚さ0.1mmのニオブ箔を用いた。そのニオブ基体1aを60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液中において45Vの定電圧で30分間酸化させ、ニオブ基体1aの表面に酸化ニオブからなる誘電体層2を形成した。
(窒化ステップ)
次に、誘電体層2が形成されたニオブ基体1aを0.1気圧の窒素雰囲気で600℃に保持した電気炉中に5分間放置した。それにより、ニオブ基体1aと誘電体層2との間に窒化ニオブ層1bが形成される。
(酸化ステップ2)
続いて、ニオブ基体1aを60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液中で再び酸化させた。このようにして、実施例1のコンデンサを作製した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1で用いたニオブ基体1aと同一の厚さ0.1mmのニオブ箔からなるニオブ基体を用い、実施例1の酸化ステップ1のみを行った。このようにして、比較例1のコンデンサを作製した。すなわち、比較例1のコンデンサは、窒化ニオブ層を有さない。
(比較例2)
比較例2では、次の方法でコンデンサを作製した。
(窒化ステップ)
実施例1で用いたニオブ基体1aと同一の厚さ0.1mmのニオブ箔からなるニオブ基体を窒素雰囲気中で600℃の温度で5分間熱処理し、ニオブ基体の表面に窒化ニオブ層を形成した。
(酸化ステップ)
次に、そのニオブ基体を60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液中において45Vの定電圧で30分間酸化させ、ニオブ基体の表面に酸化ニオブからなる誘電体層を形成した。このようにして、比較例2のコンデンサを作製した。
この方法によると、酸化ニオブからなる誘電体層中に窒化ニオブが形成されるとされている(特許文献1参照)。
(評価)
まず、実施例1のコンデンサの窒素の濃度を熱伝導度法(JIS G 1201)により定量分析した。その結果、実施例1のコンデンサには、0.02重量%の窒素が含有されていた。
続いて、粉末X線回折を用いて実施例1のコンデンサの同定を行った結果、ニオブおよびNb2 Nの回折パターンが認められた。また、同様にして比較例2のコンデンサの同定を行った結果、ニオブおよびNb2 Nの回折パターンが認められた。
次に、実施例1および比較例1,2のコンデンサの熱処理後の漏れ電流を測定した。図は、実施例1のコンデンサの漏れ電流の測定方法を示す模式図である。
まず、実施例1のコンデンサを300℃で30分間熱処理を施した。
続いて、図に示すように、容器42中に60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液40を貯え、そのリン酸水溶液40中に熱処理を施した実施例1のコンデンサを浸漬した。この状態で10Vの定電圧を印加し、20秒後の漏れ電流を測定した。
比較例1,2のコンデンサについても、同様の方法で、熱処理後の漏れ電流を測定した。それらの測定結果を表1に示す。なお、表1においては、実施例1および比較例1,2のコンデンサの漏れ電流の測定結果を実施例1の測定結果を100として規格化し、規格化した漏れ電流の値を示している。
Figure 0004864035
表1に示すように、比較例1のコンデンサは、実施例1のコンデンサの10倍の漏れ電流を生じる。また、比較例2のコンデンサは、実施例1のコンデンサの6倍の漏れ電流を生じる。以上のことから、実施例1のコンデンサでは、ニオブ基体1aと誘電体層2との間に形成された窒化ニオブ層1bにより漏れ電流が低減されることがわかる。
実施例2〜10)及び(比較例3〜7)
次に、実施例2〜10及び比較例3〜7においては、窒素の含有量と漏れ電流との相関性についての検証を行った。
ここで、実施例2〜10及び比較例3〜7においては、実施例1のコンデンサの作製工程における窒化ステップの処理温度を120℃〜1000℃まで変化させ、コンデンサを作製した。実施例2〜10及び比較例3〜7における窒化ステップの処理温度は、それぞれ、120℃、200℃、250℃、300℃、600℃、700℃、800℃、850℃、870℃、900℃、920℃、940℃、970℃および1000℃である。他の作製条件は実施例1と同様である。なお、実施例4のコンデンサは、実施例1で作製したコンデンサと同じである。
(評価)
実施例2〜10及び比較例3〜7のコンデンサについて窒素含有量、漏れ電流および粉末X線回折により同定された化合物を表2に表す。
なお、表2においても、表1と同様に、実施例2〜10及び比較例3〜7のコンデンサの漏れ電流の測定結果を実施例1のコンデンサの漏れ電流の測定結果を100として規格化し、規格化した漏れ電流の値を示している。
Figure 0004864035
表2に示すように、処理温度の上昇に伴って窒素含有量が増加している。したがって、処理温度を調整することにより窒素含有量を制御することができる。
窒素含有量が0.001重量%から0.20重量%の範囲で漏れ電流が十分に減少している。また、窒素含有量が0.001重量%から0.08重量%の範囲で漏れ電流が著しく減少している。
したがって、窒素含有量が0.001重量%以上0.20重量%以下であることが好ましく、窒素含有量が0.001重量%以上0.08重量%以下であることがより好ましい。また、処理温度は、300℃以上920℃以下であることが好ましく、処理温度は、300℃以上800℃以下であることがより好ましい。
また、窒素含有量が0.00085重量%から0.20重量%の範囲では、NbおよびNb2 Nが検出された。一方、窒素含有量が0.22重量%以上の場合には、Nb、Nb2 NおよびNbNが検出された。
したがって、窒化ニオブ層1bがNb2 Nからなる場合に漏れ電流が低減され、窒化ニオブ層1bがNbNを含む場合には、漏れ電流の低減効果が小さいことがわかる。これは、Nb2 NがNbNに比べて耐熱性に優れるため、誘電体層2中の酸素がニオブ基体1aに拡散することを十分に阻止することができるためであると推察される。
参考例1
次に、参考例1では、次の方法で図2に示した固体電解コンデンサを作製した。
(ニオブ粉末の作製ステップ)
まず、平均粒径1μmのニオブ粉末を0.1気圧の窒素雰囲気中において1000℃で1時間熱処理した。
(窒化ニオブの作製ステップ)
次に、熱処理されたニオブ粉末を焼結させることにより窒化ニオブからなる陽極1を形成した。
(酸化ステップ)
続いて、陽極1を60℃に保持した0.5重量%のリン酸水溶液中において10Vの定電圧で10時間酸化させ、陽極1の表面に酸化ニオブからなる誘電体層2を形成した。
(固体電解コンデンサの作製ステップ)
次に、電解重合によりポリピロールからなる導電性高分子層3を誘電体層2の表面に被膜した。この場合、導電性高分子層3が多孔質焼結体の表面の誘電体層2の隙間を埋めるように誘電体層2の表面に形成された。その後、導電性高分子層3上にカーボンペーストを塗布することにより、導電性高分子層3上にカーボン層4を形成した。さらに、カーボン層4上に銀ペーストを塗布し、乾燥させることにより銀ペイント層5を形成した。銀ペイント層5に導電性接着剤6を介して陰極端子8を接続した。また、陽極1に陽極端子7を接続する。以上の方法により図2の固体電解コンデンサ100aを作製した。
(比較例
比較例8では、次の方法で固体電解コンデンサを作製した。
比較例では、平均粒径1μmのニオブ粉末を窒素雰囲気中の熱処理を行わずに焼結させることにより陽極を形成した。その後、参考例1と同様に酸化ステップおよび固体電解コンデンサの作製ステップを行い、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例
比較例では、次の方法で固体電解コンデンサを作製した。
比較例では、平均粒径1μmのニオブ粉末を窒素雰囲気中の熱処理を行わずに焼結させることにより陽極を形成した。その後、陽極を300℃で窒素圧力300Torrの雰囲気下に5分間保持し、参考例1と同様に酸化ステップおよび固体電解コンデンサの作製ステップを行い、固体電解コンデンサを作製した。
(評価)
まず、参考例1において熱処理されたニオブ粉末の熱処理前後の重量変化から生成物の組成比を算出する。窒素含有量は、熱処理前後のニオブ粉末の重量変化量に相当する。また、生成物の組成比は、熱処理前のニオブ粉末の重量をニオブの原子量で除算したものと、窒素含有量を窒素の原子量で除算したものとの比によって表される。
窒素含有量=熱処理後のニオブ粉末の重量−熱処理前のニオブ粉末の重量・・・(1)
生成物の組成比=(熱処理前のニオブ粉末の重量÷ニオブの原子量):(窒素含有量÷窒素の原子量)・・・(2)
上式(1)および(2)より参考例1における熱処理されたニオブ粉末(NbNX)の組成比Xは、X=0.2であった。
また、ニオブ粉末の粒子断面を電子エネルギー損失分光法(EELS法)により分析した結果、粒子内部に均一に窒素が分布していることが確認された。
また、比較例におけるニオブ粉末の粒子断面を電子エネルギー損失分光法(EELS法)により分析した結果、粒子表面にのみ窒素が分布していることが確認された。
続いて、参考例1、比較例および比較例の固体電解コンデンサについて、熱処理後の漏れ電流を測定した。それらの測定結果を表3に示す。なお、漏れ電流としては、参考例1、比較例および比較例の固体電解コンデンサを10分間250℃で熱処理した後、5Vの電圧を印加して20秒後の電流を測定した。なお、比較例3の漏れ電流の測定結果を100として規格化し、規格化した漏れ電流の値を示している。
Figure 0004864035
表3に示すように、比較例の固体電解コンデンサでは、参考例1の固体電解コンデンサの2倍の漏れ電流を生じた。また、比較例の固体電解コンデンサでは、参考例1の固体電解コンデンサの1.8倍の漏れ電流を生じた。
以上のことから、陽極1として窒化ニオブを用いた参考例1の固体電解コンデンサでは、誘電体層2の一部の酸素が陽極1に拡散することが阻止され、酸素の拡散による誘電体層2の厚みの減少が防止されたことがわかる。
(参考例2〜10)
次に、参考例2〜10においては、参考例1のニオブ粉末の作製ステップにおける熱処理時間を5分〜4時間まで変化させ、それぞれ固体電解コンデンサを作製した。参考例2〜10における熱処理時間は、それぞれ、5分間、30分間、45分間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間および4時間である。他の作製条件は参考例1と同様である。
参考例11
参考例11においては、参考例1において熱処理されたニオブ粉末と参考例5において熱処理されたニオブ粉末(X=0.5)とを1:1で混合したものを用いた。その他の点は、参考例1と同様にして、固体電解コンデンサを作製した。
(評価)
参考例2〜10において熱処理されたニオブ粉末(NbNX)の組成比Xは、それぞれ0.025、0.05、0.1、0.2、0.50、0.65、0.75、0.9および1であった。
また、参考例2〜11において熱処理されたニオブ粉末(NbNX)の粒子断面を電子エネルギー損失分光法(EELS法)により分析した結果、粒子内部に均一に窒素が分布していることが確認された。
以下、参考例2〜11の固体電解コンデンサについても、熱処理後の漏れ電流を測定した。それらの測定結果を表4に示す。なお、実施例1の漏れ電流の測定結果を100として規格化し、規格化した漏れ電流を示している。
Figure 0004864035
表4に示すように、ニオブ粉末(NbNX)の組成比Xが0.05〜1.0のニオブ粉末を用いることにより漏れ電流を抑制することができる。また、ニオブ粉末(NbNX)の組成比Xが0.05〜0.75のニオブ粉末を用いることによりさらに漏れ電流を抑制することができる。
また、ニオブ粉末(NbNX)の組成比Xが0.05〜1.0内の異なる複数種類の混合物を陽極1として用いた場合でも同様の効果を得ることができることがわかった。
本発明は、漏れ電流が低減された固体電解コンデンサに関するものである。
本発明の実施の形態に係る固体電解コンデンサの構造図である。 参考の実施の形態に係る固体電解コンデンサの構造図である。 実施例1のコンデンサの陽極および誘電体の断面図である。 実施例1のコンデンサの漏れ電流の測定方法を示す模式図である。
符号の説明
1 陽極
1a ニオブ基体
1b 窒化ニオブ層
2 誘電体層
3 導電性高分子層
4 カーボン層
5 銀ペイント層
6 導電性接着剤
7 陽極端子
8 陰極端子
9 モールド外装樹脂
40 リン酸水溶液
42 容器
100 固体電解コンデンサ

Claims (3)

  1. 表面に窒化ニオブ層が形成されたニオブからなる基体を備え、前記窒化ニオブ層表面に酸化ニオブからなる誘電体層が形成された固体電解コンデンサにおいて、
    前記窒化ニオブ層がNbNからなり、
    前記誘電体層は前記基体を酸化することにより形成され、且つ、前記誘電体層は窒素を含有しないことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記基体、前記窒化ニオブ層および前記誘電体層の総量に対する窒素の含有量が0.001重量%以上0.2重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記基体、前記窒化ニオブ層および前記誘電体層の総量に対する窒素の含有量が0.001重量%以上0.08重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
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