JP4863736B2 - 光走査装置および画像形成装置 - Google Patents

光走査装置および画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4863736B2
JP4863736B2 JP2006067323A JP2006067323A JP4863736B2 JP 4863736 B2 JP4863736 B2 JP 4863736B2 JP 2006067323 A JP2006067323 A JP 2006067323A JP 2006067323 A JP2006067323 A JP 2006067323A JP 4863736 B2 JP4863736 B2 JP 4863736B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
power
optical element
optical scanning
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006067323A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007241182A (ja
Inventor
浩司 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2006067323A priority Critical patent/JP4863736B2/ja
Priority to US11/714,162 priority patent/US7443558B2/en
Priority to CNB2007100876788A priority patent/CN100492097C/zh
Publication of JP2007241182A publication Critical patent/JP2007241182A/ja
Priority to US12/230,077 priority patent/US7554708B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4863736B2 publication Critical patent/JP4863736B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Facsimile Scanning Arrangements (AREA)
  • Mechanical Optical Scanning Systems (AREA)
  • Lenses (AREA)

Description

本発明は、デジタル複写機や光プリンタなどの画像形成装置において画像書き込み装置として用いられる光走査装置およびこれを用いた上記のような画像形成装置に関するものである。
光走査装置は、従来から、光プリンタやデジタル複写機、光プロッタ等の画像形成装置における画像書き込み装置として広く知られているが、近時、低価格化とともに環境変動の影響を受け難く、精細の高い画像を形成できるものが求められている。
光走査装置は各種レンズなどの光学部品を備えている。光走査装置に用いられる各種のレンズを樹脂材料で形成すると、樹脂製レンズは、軽量であり、低コストで形成できるとともに、非球面に代表される特殊な面形状の形成が容易であるため、樹脂製レンズに特殊面を採用することにより、光学的な特性を向上させるとともに、光学系を構成するレンズ枚数を低減させることができる。すなわち、樹脂製レンズを採用することによって、光走査装置のコンパクト化・軽量化・低コスト化に資するところが大きい。
しかし、良く知られているように、樹脂製レンズは、環境変化、特に温度変化に伴って形状が変化し、かつ、屈折率が変化するので、光学特性、特にパワー(屈折度)が設計値から変化し、被走査面上の光スポットの径である「ビームスポット径」が環境変動により変動するという問題がある。温度変化に伴う樹脂製レンズのパワー変動は、正レンズと負レンズとで互いに逆に発生するので、光走査装置の光学系内に、正と負の樹脂製レンズを配置し、これら正と負の樹脂製レンズにおいて発生する環境変化に起因する光学特性変化を互いに相殺させる方法は良く知られている。
また、光走査装置の光源として一般的な半導体レーザは、温度が上昇すると発光波長が長波長側へずれるという性質(この性質を「温度変化による波長変化」という)があり、また「モードホップ」による波長変化もある。光源における波長変化は、光走査装置に用いられる光学系の色収差による特性変化を惹起し、この特性変化もビームスポット径変動の原因となる。
したがって、光学系内に樹脂製レンズを含み、光源に半導体レーザを用いる光走査装置では、温度変化に伴う光学特性の変化とともに、光源における波長変化に伴う光学特性の変化をも考慮した光学設計を行う必要がある。
温度変化に伴う光学特性の変化と、光源における波長変化とを考慮し、パワー回折面を採用して光学特性を安定させた光走査装置(レーザ走査装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、レーザ光源から射出されたレーザ光を主走査方向には平行光とし副走査方向には光偏向器の偏向反射面近傍に集光させる光源光学系を、回転対称軸を持たない1面以上の反射面と、2面の透過面とを有し、透過面にパワー回折面を設け、樹脂で構成された1つの光学素子とした光走査装置が開示されている。また、比較例として、半導体レーザからの光ビームをコリメートする樹脂製のコリメータレンズと、コリメートされた光ビームを副走査方向に集束させる樹脂製のシリンダレンズの各々に、1面ずつパワー回折面を設けた光走査装置が開示されている。上記「パワー回折面」は、回折によるレンズパワーを持つ回折面である。
特開2002−287062号公報
特許文献1に開示された「回転対称軸を持たない1面以上の反射面と、2面の透過面とを有し、透過面にパワー回折面を設け、樹脂で構成された1つの光学素子」による光源光学系は、1つの光学素子内に透過面と反射面とを形成しなければならず、曲面形状の反射面が含まれるため、製造が必ずしも容易ではなく、光走査装置の低コスト化の面からなお改善の余地がある。また、一般に、パワー回折面を形成するには微細加工技術が必要な上に、その精度も極めて高いものが要求される。例えば、図9(b)に示すような球面レンズと等価なパワーを有するパワー回折面を図示すると、図9(a)に示すような形状になる。すなわち、球面レンズの球面を等高線に沿って分割し、分割した球面を平坦な基盤上に均一の高さとなるように配置することによって断面を波型にした形状である。さらに換言すれば、光が屈折する傾斜面のみを同心円状に並べた形状である。図9(b)から明らかなように、このパワー回折面は光軸から離れるに従い円弧を描く傾斜面の立ち上がり角度が大きくなって、溝の間隔すなわち隣り合う傾斜面間隔が狭くなり、加工が飛躍的に難しくなる。さらに、バックカットに挟まれたパワー回折面はいずれも球面の一部をなしている必要がある。これを直線として近似することもできるが、この場合には回折効率の低下を免れることができない。しかし、球面の一部をなすようにパワー回折面を形成すると、面形状に粗さが目立ってきて波面収差の劣化によってビームスポット径が太り、また、散乱光の発生でゴーストの発生や光の伝達効率の低下などの問題が発生する。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み、パワー回折面を用いた光走査装置において、温度変動によるビームスポット径変動のみならず、モードホップによる発振波長の変化によるビームスポット径変動をも低減し、より安定したビームスポット径で光走査を行い得る光走査装置を実現すること、さらには、かかる光走査装置を用いた画像形成装置を実現することを目的とする。
本発明はまた、これらの装置に搭載される光学素子に採用される回折面の形状に関して高い精度を要求されることがなく、光学素子を安価で成形しやすいものとすることができる光走査装置および画像形成装置提供することを目的とする。
本発明にかかる光走査装置は、請求項1に記載されているように、複数の発光部を有する半導体レーザアレイからの光ビームの断面形態を所望の形態に変換する第1の光学素子、第1の光学素子を透過した光ビームを光偏向器に導光する第2の光学素子、光偏向器により偏向された光ビームを被走査面上に集光させて光スポットを形成し、被走査面を光走査する第3の光学素子を備えている光走査装置であって、以下のように構成されることを特徴とする。
上記第1、第2、第3の光学素子の少なくとも一つは樹脂製レンズを含む。
この樹脂製レンズの少なくとも一つはパワー回折面を有する。
上記パワー回折面は、上記パワー回折面の回折部のパワーと屈折部のパワーの合成により形成されている。
上記パワー回折面面形状は、上記回折部のパワーと屈折部のパワーが相殺するように設定されており、階段形状となっている。
光走査装置において光源として半導体レーザアレイを用いることにより、複数の半導体レーザを用いるよりも組付け安定性に優れており、またアナモフィック光学素子に対してほぼ同じように光ビームが入射するため、複数の光ビーム間で光学特性のばらつきを低減することができる。
請求項2記載の発明のように、パワー回折面の面形状は、階段構造でかつパワーがなことが好ましい。
請求項4記載の発明のように、請求項1乃至3のいずれかに記載の光走査装置において、パワー回折面は第1の光学素子に採用されており、回転対称な階段構造とすることができる。
請求項5記載の発明のように、請求項4記載の光走査装置において、第1の光学素子のパワー回折面の反対面は回転対称な非球面であることが好ましい。
また、請求項6記載の発明のように、請求項1乃至3のいずれかに記載の光走査装置において、パワー回折面は、これを第2の光学素子に採用し、線対称な階段構造とすることができる。
請求項7記載の発明のように、請求項6記載の光走査装置において、第2の光学素子は、主走査方向にパワーがなく、副走査方向に正のパワーを有するレンズであることが好ましい。
請求項8記載の発明のように、請求項1乃至7のいずれかに記載の光走査装置において、第1、第2、第3の光学素子の全てを樹脂製レンズとすることができる。
また、請求項9記載の発明のように、請求項1〜8のいずれかに記載の光走査装置において、第2の光学素子は、光軸方向に沿って調整可能であることが好ましい。
本発明における第1の光学素子は、半導体レーザからの光ビームの断面形態を所望の形態に変換するが、請求項9記載の発明においては、第1の光学素子の作用をコリメート作用とするのが好ましい。さらに、第2の光学素子は、主走査方向にパワーを持たないようにすることが好ましい。第2の光学素子が主走査方向にパワーを持たない構成になっていると、光学系の初期の組付け時における加工誤差や、組み付け誤差などが発生した場合の副走査方向のビームウエスト位置変動を、第2の光学素子を光軸方向へ変位させることにより、主走査方向の光学特性に影響を与えることなく調整することができる。従って、第2の光学素子に採用される回折面の形状精度を高いレベルで要求しなくても、加工誤差で生じるパワーの変動は、この調整で吸収することが可能である。特に、主走査方向の光学特性に影響を与えることなく調整できれば、主走査方向については第1の光学素子で、副走査方向については第2の光学素子で独立に調整することができるので、調整作業は飛躍的に簡便になる。
なお、上記第2の光学素子のパワーは、屈折面によるパワーとパワー回折面によるパワーとを合成したパワーである。
請求項記載の発明は、感光性の像担持体に対して光走査手段による光走査を行って潜像を形成し、この潜像を現像手段で可視化して画像を得る画像形成部を有する画像形成装置であって、光走査手段は、請求項1乃至8のいずれかに記載の光走査装置であることを特徴とするものである。
画像形成部の数は任意であるから、画像形成部を1つとしてモノクロームの画像形成を行うようにすることもできるし、2以上の画像形成部にして2色画像や多色画像、さらにはカラー画像を形成するように画像形成装置を構成することもできる。
請求項10記載の発明は、感光性の像担持体に対して光走査手段による光走査を行って潜像を形成し、この潜像を現像手段で可視化して画像を得る画像形成部を有する画像形成装置であって、像担持体は複数配置され、光走査手段は請求項1乃至8のいずれかに記載の光走査装置であって各像担持体に対応した光ビームで走査することができ、各光ビームは色成分に対応した画像信号で変調されることにより各像担持体にその色成分に対応した潜像が形成され、現像手段は各潜像をそれに対応した色のトナーで可視化する、カラー対応の画像形成装置であることを特徴とする。
各画像形成部において光走査を行う光走査装置は、画像形成部ごとに別個のものであってもよいし、例えば、特開2004−280056号公報等により知られているように、光学要素の一部、例えば光偏向器や走査光学系の一部を、複数の走査光学系で共有するようにしてもよい。
画像形成部が2以上ある場合、2以上の画像形成部を同一の像担持体に対して異なる位置に設定することもできるし、所謂タンデム式のカラー画像形成装置のように、前後方向に配列した複数の像担持体の個々に対して個別の画像形成部を設定することもできる。
ここで、光走査装置の光学系に樹脂製レンズが含まれる場合に、環境変動や波長変化に対する、被走査面に向かって集光される光ビームのビームウエスト位置の変動について簡単に考察する。先ず、温度変動によるビームウエスト位置変動の原因となるのは、
1.温度変動に伴う樹脂製レンズの屈折率自体の変化、
2.樹脂製レンズの形状変化、
3.半導体レーザの波長変化による樹脂製レンズの屈折率変化(色収差)
が考えられる。
樹脂製レンズの屈折率自体の変化は、温度上昇に伴う膨張による低密度化により屈折率が減少する現象として現れる。
樹脂製レンズの形状変化は、温度上昇に伴う膨張によりレンズ面の曲率が減少する現象として現れる。
半導体レーザの発光波長変化は、一般に温度上昇とともに長波長側へずれる現象として現れる。波長が長波長側へずれると、樹脂製レンズの屈折率は、一般に、減少する側へずれる。
このように、樹脂製レンズは、正レンズであるか負レンズであるかに拘わらず、温度上昇とともに、そのパワーの絶対値が減少するように変化する。
一方、パワー回折面の「回折部」によるパワーは、回折角が波長に比例するところから、パワー回折面の「回折部」のパワーは、それが正であっても負であっても、パワーの絶対値は、波長が長くなると大きくなる傾向を持つ。
従って、例えば、光走査装置の光学系における樹脂製レンズの合成パワーが正(または負)である場合には、パワー回折面の「回折部」のパワーを正(または負)とすることにより、樹脂製レンズにおける温度変動に伴うパワー変化を、パワー回折面の「回折部」における温度変動に伴うパワー変化で相殺することが可能になる。
本発明におけるアナモフィック光学素子のパワー回折面は、必ずしも平面に形成されたものではなく、球面やシリンドリカル面に形成されたものを含んでいて、回折面を形成している基板に当たる部分にもパワーを有することになる。従って、この基板に当たる部分のパワーを除いた回折面のみのパワーという意味で、本明細書中ではこれをパワー回折面の「回折部」と呼んでいる。これをさらに具体的に説明するために、光学系内に含まれる樹脂製レンズのパワーと、パワー回折面の「回折部」のパワーがともに正である場合に、環境温度が上昇した場合を考える。
樹脂製レンズの屈折率の変化によるビームウエスト位置変動量をA、
樹脂製レンズの形状変化によるビームウエスト位置変動量をB、
半導体レーザの発光波長変化に起因する樹脂製レンズの屈折率変化によるビームウエスト位置変動量をC、
半導体レーザの発光波長変化に起因するパワー回折面の「回折部」のパワー変化によるビームウエスト位置変動量をD、
とし、光偏向器から離れる向きの変化を正とすると、
A>0、B>0、C>0で、D<0
である。
そして、この温度変化に伴うトータルのビームウエスト位置変動量は、A+B+C−Dである。A〜Cは、樹脂製レンズを含む光学系が定まれば定まるので、ビームウエスト位置変動量が0となる条件:A+B+C−D=0を満たすように、パワー回折面の「回折部」のパワーを設定することにより、温度変化に伴うビームウエスト位置変動を良好に補正できる。
ところで、前述したように光源である半導体レーザの発光波長の変化は、温度変化によるもののみでなく、モードホップによる波長変化もある。モードホップによる発光波長変化は微視的な物理現象によって引き起こされるため予測が極めて困難である。モードホップによる発光波長変化は温度変化とは無関係であり、基準温度からの温度変化がない状態でモードホップによる発光波長変化が起こると、上記AとBは0であるから、ビームウエスト位置変動量は、C−D<0となって補正されず、ビームウエスト位置は大きく変化する。
このように、光走査装置にパワー回折面を採用した場合、温度変動によるビームウエスト位置変動を補正するだけでなく、モードホップによる発光波長変化によるビームウエスト位置変動を低減するようにしないと、常に安定したビームスポット径を得ることはできない。温度変動によるビームウエスト位置変動を補正するだけでなく、モードホップによる発光波長変化によるビームウエスト位置変動を低減するには、パワー回折面の「回折部」に与えるパワーを適切に設定する必要がある。パワー回折面の「回折部」にあまり大きなパワーを与えてしまうと、モードホップによる発光波長変化によるビームウエスト位置変動を増大させてしまう。
以上の技術的な事情に鑑み、この発明にかかる光走査装置では、半導体レーザにおけるモードホップや温度変化に起因する、主走査方向および/または副走査方向のビームウエスト位置の変動を略0とするように、パワー回折面の「回折部」のパワーを設定する。
このようにしてパワーを設定されたパワー回折面は、一般に様々な形状をとりうるが、前にも述べたように、パワー回折面の形成には微細加工の技術が必要である。さらに、その精度も極めて高いものが要求される。高い加工精度を確保できないと、回折効率の低下、波面収差の劣化、散乱光の発生等、好ましくない現象が多岐に渡り発生する。また、このような高い加工精度を確保するためには、非常に優れた計測技術も不可欠である。しかし、球面を基本形状としたパワー回折面ですらその計測には困難を伴うため、高い品質のパワー回折面を得ることができないのが実情である。
そこで、本発明において用いるパワー回折面は、階段構造でかつほぼノンパワーとすることを最大の特徴としている。階段構造とするためには、パワー回折面の「回折部」のパワーと「屈折部」のパワーを、絶対値が等しく異符号のものとすればよい。このとき得られるパワー回折面は必然的に階段構造となる。このような構造を取ると、回折面とバックカットの関係はどこでもほぼ直角となり、計測が容易になるばかりでなく、加工も非常にしやすいという利点がある。
さらに、上記構成のパワー回折面はノンパワーであるから、反対側の面に対する面間偏心があっても、それによる影響が極めて少ないため、加工精度に対する要求も抑えることが可能となる。また、階段構造であれば、シェーパー加工のように加工痕を発生させないような形成方法を採用することができ、加工時間の短縮化も可能となる。加工時間の短縮化は、加工時の熱の発生の低減など副次的なメリットも派生し、高精度のパワー回折面を得るのに好ましい。
また、レンズそのもののパワーは入射面と射出面のパワーの合成として与えられるが、一方の面がノンパワーでも反対側のパワーを適切に設定することで、所望のレンズパワーを得ることができる。従って、このような階段構造のパワー回折面は、いかなるパワーのレンズにも採用することができる。
もちろん、回折面の面精度も局所的に非平面であるところがないため、非常に滑らかに仕上げることができるので、散乱光やビームスポット径太りの発生もほとんどない。
本発明にかかる光走査装置は、半導体レーザにおけるモードホップや温度変化に起因する、主走査方向および/または副走査方向のビームウエスト位置の変動を略0とするように、パワー回折面のパワーを設定するので、温度変動のみならずモードホップによる発光波長変動に対してもビームウエスト位置変動が有効に補正され、常に安定したビームスポット径で光走査を行うことができる。
このような光走査装置を用いた本発明にかかる画像形成装置によれば、安定した画像形成が可能である。
以下、本発明にかかる光走査装置および画像形成装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、光走査装置の実施例1の光学配置を示している。図1において、符号1は光源である半導体レーザ、符号2は第1の光学素子としてのカップリングレンズ、符号3はアパーチュア、符号4は第2の光学素子としてのアナモフィック光学素子、符号5は光偏向器であるポリゴンミラー(回転多面鏡)、符号6は第3の光学素子としての走査レンズ、符号8は被走査面をそれぞれ示す。また、符号G1はポリゴンミラー5を収納する防音ハウジング(図示されず)の窓を塞ぐ防音ガラスを示し、符号G2は図1に示す光走査装置の光学系を収納するハウジングの偏向光ビームの射出部に設けられた防塵ガラスを示している。
半導体レーザ1から放射された発散性の光ビームは、カップリングレンズ2により所望の断面形態の光ビームに変換され、アパーチュア3によりビーム整形されてアナモフィック光学素子4に入射する。アナモフィック光学素子4を透過した光ビームは、副走査方向に集束しつつ防音ガラスG1を透過してポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に、主走査方向に長い線像として結像する。光ビームはポリゴンミラー5の偏向反射面に反射され、防音ガラスG1を透過して走査レンズ6に入射する。走査レンズ6は1枚のレンズにより構成され、このレンズ6を透過した光ビームは防塵ガラスG2を透過して被走査面8に入射し、走査レンズ6の作用により被走査面8上に光スポットを形成する。
ポリゴンミラー5はモータによって等速回転駆動される。ポリゴンミラー5が等速回転すると、偏向反射面により反射された光ビームは等角速度的に偏向する。走査レンズ6は等角速度的に偏向しつつ入射してくる光ビームによる光スポットが、被走査面8上において主走査方向(図1の上下方向)へ等速的に移動するようにするfθ特性を有しており、光スポットは、被走査面8を等速的に光走査する。走査レンズ6はアナモフィックな光学素子であり、副走査方向においてはポリゴンミラー5の偏向反射面位置と被走査面8の位置とを幾何光学的な共役関係としており、これによりポリゴンミラー5の各偏向反射面の面倒れを補正している。被走査面8は、実体的には感光性媒体例えば感光体ドラムの感光面である。
次に、上記実施例を構成する光学部品の具体的な数値例を挙げる。実施例1において用いられているガラス材料(「ガラス1」と称する。)および樹脂材料(「樹脂1」と称する。)のデータを表1に挙げる。
表1

Figure 0004863736
表1において「中央値」とあるのは、基準温度:25℃における使用波長に対する屈折率、「波長飛び」とあるのは、モードホップにより波長飛びを生じたときの屈折率、「温度変動」とあるのは、温度が基準温度から20度上昇したときの屈折率である。モードホップによる「波長飛び」は、余裕を見て0.8nmの波長変化を想定している。
表2に、光偏向器以降に配置されている光学系データを示す。
表2
Figure 0004863736
表2において、Rは「主走査方向の近軸曲率」、Rは「副走査方向の近軸曲率」であり、D、D(表2では「X」,「Y」と表記)は「各光学素子の原点から次の光学素子の原点までの相対距離」を表している。単位はmmである。例えば、光偏向器に対するそれ以降の光学系のD、Dについてみると、光偏向器(ポリゴンミラー5)の回転軸から見て、走査レンズ6の入射面の原点(入射側面の光軸位置)は、光軸方向(X方向、図1の左右方向)に42.99mm離れ、主走査方向(Y方向、図1の上下方向)に6.91mm離れている。また、走査レンズ6の光軸上の肉厚は13.5mm、走査レンズ6から被走査面8までの距離は176mmである。なお、走査レンズ6と被走査面8の間には、図1に示すようにガラス1を材質とする厚さ:1.9mmの防塵ガラスG2が配置されている。走査レンズ6の各面は非球面であり、各面ともに主走査方向には「式1」で与えられる非円弧形状で、副走査断面(光軸と副走査方向とに平行な仮想的断面)内の曲率が主走査方向に「式2」に従って変化する特殊面である。
上記「非円弧形状」は以下のとおりである。
主走査断面内の近軸曲率半径:R、光軸からの主走査方向の距離:Y、円錐定数:K、高次の係数:A、A、A、A、A、…、光軸方向のデプス:Xとして次の式1で表現される。
式1

Figure 0004863736
上記「副走査断面における曲率の変化」は以下のとおりである。
副走査断面内の曲率:C(Y)(Y:光軸位置を原点とする主走査方向の座標)が主走査方向に変化する状態を表現する式は、光軸を含む副走査断面内の曲率半径:R(0)、B、B、B、…を係数として次の式2の通りである。
式2
Figure 0004863736
走査レンズ6の入射側面(特殊面)の係数を表3に挙げる。
表3
Figure 0004863736
走査レンズ6の射出側面(特殊面)の係数を表4に挙げる。
表4
Figure 0004863736
次に、カップリングレンズ2に、本発明の特徴的な構成であるパワー回折面を採用した例を示す。カップリングレンズ2は、一方の面が階段形状の同心円状のパワー回折面、他方の面が回転対称非球面を有する樹脂製レンズである。
図2はカップリングレンズ2の正面図と光軸を含む面に沿った断面図で、図の左右方向が主走査方向、上下方向が副走査方向である。図2(a)は、カップリングレンズ2のパワー回折面を光軸方向から見た図である。図2(b)は、カップリングレンズ2の、副走査方向と光軸方向とに平行な仮想的切断端面における端面図である。カップリングレンズ2の一方の面には、図(b)にも示すように、階段形状に構成された同心円状の溝の集合による、同心円状のパワー回折面が形成されている。カップリングレンズ2の他方の面(図(b)の右側面)には、回転対称非球面形状の屈折面が形成されている。
光源である半導体レーザ1側から第1の光学素子としてのカップリングレンズ2に入射する光ビーム(発散光ビーム)は、カップリングレンズ2を透過すると、所望の断面形態の光ビームに変換され、第2の光学素子であるシリンドリカルレンズ4に導光される。カップリングレンズ2のパワー回折面は、半導体レーザ1におけるモードホップや温度変化に起因する主走査方向および/または副走査方向のビームウエスト位置の変動を略0とするように、パワーが設定される。
図1に示す実施例1にかかる光走査装置の光学系を構成する各要素の具体的構成は以下のとおりである。
「光源」
光源である半導体レーザ1は、設計上の発光波長:785nmで、標準温度:25℃に対して温度が1℃上昇すると、発光波長が0.25nm、長波長側へずれる。モードホップは上記の如く0.8nmの波長変化を想定している。
「カップリングレンズ」
カップリングレンズ2は、上述したようなパワー回折面を有する樹脂製レンズであり、焦点距離:13.952mmで、弱い発散性の光ビームに変換する機能を有するように配置されている。カップリングレンズ2の片側の面は非球面になっていて、カップリングされた光ビームの波面収差を非球面により十分に補正している。
半導体レーザ1とカップリングレンズ2とは、線膨張係数:7.0×10−5の材質による保持部材に固定的に保持されている。カップリングレンズ2の入射面のパワー回折面は、位相関数:winとして
in=C・r
で表されるものであり、rは
=Y+Z
であり、Yは光軸を原点とする主走査方向の座標、Zは光軸を原点とする副走査方向の座標で、係数:Cは、C=5.693×10−2である。この回折部は、曲率半径−8.783mmの球面を構成している屈折部に形成される。そのため、出来上がったパワー回折面は階段形状となる。
カップリングレンズ2の射出面の屈折面は、回転対称非球面であり、「式3」で与えられる非円弧形状である。すなわち、近軸曲率半径:R、光軸からの距離:H、円錐定数:K、高次の係数をA、A、A、A、A、…、光軸方向のデプス:Xとして、上記回転対称非球面は式3で表される。
式3
Figure 0004863736
カップリングレンズ2の射出側面の係数を表5に挙げる。
表5
Figure 0004863736
図1に示す実施例1の「アパーチュア」の具体的構成を以下に示す。
アパーチュア3は、主走査方向の開口径:2.76mm、副走査方向の開口径:2.36mmの「長方形形状の開口」を有し、カップリングレンズ2によりカップリングされた光ビームの断面形状を所定の形状に整形する。
図1に示す実施例における第2の光学素子としての「アナモフィック光学素子」の具体的構成を以下に示す。
アナモフィック光学素子4は、第1の光学素子である上記カップリングレンズ2を透過した光ビームを光偏向器に導光する第2の光学素子であって、入射側面が平面に形成された直線状のパワー回折面で、射出側面に平面を形成したものである。
入射面のパワー回折面は、位相関数:winとして、
in=C・Z
で表されるものである。係数:Cは、C=−2.5359×10−2である。
図1に示す実施例1における「光偏向器」、「防音ガラスG1」の具体例を以下に示す。
光偏向器としてのポリゴンミラー5は、反射面数:6面で内接円半径:13mmのものである。
防音ガラスG1は、前記ガラス1を材質とし、厚さ:1.9mmで、上記Y方向(図の上下方向)の傾き角:αは12度である。
また、光源側から入射する光ビームの進行方向に対して、ポリゴンミラー5の偏向反射面により被走査面8における像高:0の位置へ向けて反射される光ビームの進行方向がなす角:θは68度である。
実施例1における、主走査方向及び副走査方向のビームウエスト位置変動は、表6のようになっている。
表6
Figure 0004863736
これに対し、仮にカップリングレンズ2にパワー回折面を採用しないとすれば、ビームウエスト位置変動は、表7のようになる。
表7
Figure 0004863736
これらの表からわかるとおり、回折部のパワーと屈折部のパワーが相殺するように設定されているパワー回折面の効果で、それぞれのビームウエスト位置変動が低減されていることがわかる。
図3は、本発明にかかる光走査装置の実施例2を示す光学配置図である。図3において、符号1は光源である半導体レーザ、符号2は第1の光学素子としてのカップリングレンズ、符号3はアパーチュア、符号4は第2の光学素子としてのアナモフィック光学素子、符号5は光偏向器である回転多面鏡のポリゴンミラー、符号6は第3の光学素子としての走査光学系、符号8は被走査面をそれぞれ示す。また、符号G1は、ポリゴンミラー5を収納する防音ハウジング(図示されず)の窓を塞ぐ防音ガラスを示し、符号G2は、図3に示す光走査装置の光学系を収納するハウジングの偏向光ビーム射出部に設けられた防塵ガラスを示している。
半導体レーザ1から放射された発散性の光ビームは、カップリングレンズ2により所望の断面形態の光ビームに変換され、アパーチュア3によりビーム整形されてアナモフィック光学素子4に入射する。アナモフィック光学素子4を透過した光ビームは、副走査方向に集束しつつ防音ガラスG1を透過して、ポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に、主走査方向に長い線像として結像する。ポリゴンミラー5の偏向反射面で反射され他光ビームは、防音ガラスG1を透過して走査光学系6に入射する。走査光学系6は2枚のレンズ6−1、6−2により構成されていて、これらレンズ6−1、6−2を透過した光ビームは防塵ガラスG2を透過して被走査面8に入射し、走査光学系6の作用により被走査面8上に光スポットを形成する。
ポリゴンミラー5が等速回転すると、その偏向反射面により反射された光ビームは等角速度的に偏向する。走査光学系6は等角速度的に偏向しつつ入射してくる光ビームによる光スポットが、被走査面8上において主走査方向(図3の上下方向)へ等速的に移動するようにするfθ特性を有しており、光スポットは、被走査面8を等速的に光走査する。走査光学系6を構成するレンズ6−1、6−2もアナモフィックな光学素子であり、副走査方向においてはポリゴンミラー5の偏向反射面位置と被走査面8の位置とを幾何光学的な共役関係としており、これによりポリゴンミラー5の偏向反射面の面倒れを補正している。被走査面8は、実体的には感光性媒体(例えば、感光体ドラム)の感光面である。
アナモフィック光学素子4は、片面が球面に形成された同心円状のパワー回折面、他方の面はシリンドリカル面に形成された直線状のパワー回折面を有するアナモフィックな樹脂製レンズである。図4は、アナモフィック光学素子4を示すもので、図の左右方向が主走査方向、上下方向が副走査方向である。図4(a)は、アナモフィック光学素子4を光軸方向から見た正面図であり、一方側(正面側)の面には図4(a)(c)(d)に示されているように、同心円状の複数の溝の集合による、同心円状のパワー回折面4Aが形成されている。アナモフィック光学素子4の他方の面(裏面)には、図4(b)(c)(d)に示されているように、直線状の溝の集合による直線状のパワー回折面4Bが形成されている。
図4(c)は、アナモフィック光学素子4の主走査方向と光軸方向とに平行な仮想的切断面における端面図であり、図4(d)は、アナモフィック光学素子4の副走査方向と光軸方向とに平行な仮想的切断面における端面図である。これら端面図に示されているように、片面は球面に形成された同心円状のパワー回折面4A、他方の面はシリンドリカル面に形成された直線状のパワー回折面4Bを有するアナモフィックなレンズになっている。光源側からアナモフィック光学系4に入射する光ビーム(平行光ビーム)は、アナモフィック光学素子4を透過すると、主走査方向には平行で、副走査方向には集束するビーム形態となる。パワー回折面の主・副走査方向のパワーは、半導体レーザ1におけるモードホップや温度変化に起因する、主走査方向および/または副走査方向のビームウエスト位置の変動を略0とするように設定される。
次に、図3に示す実施例2の各構成要素の具体例について説明する。上記実施例および後述する比較例において用いるガラス材料(以下「ガラス1」および「ガラス2」と称する。)および樹脂材料(「樹脂1」と称する。)のデータを表8に挙げる。
表8
Figure 0004863736
表8において「中央値」とあるのは、基準温度:25℃における使用波長に対する屈折率、「波長飛び」とあるのは、モードホップにより波長飛びを生じたときの屈折率、「温度変動」とあるのは、温度が基準温度から20度上昇したときの屈折率である。モードホップによる「波長飛び」は、余裕を見て0.8nmの波長変化を想定している。
光学系の各要素は以下のとおりである。
「光源」
光源である半導体レーザ1は設計上の発光波長:655nmで、標準温度:25℃に対して温度が1℃上昇すると、発光波長が0.2nm、長波長側へずれる。モードホップは上記の如く0.8nmの波長変化を想定している。
「カップリングレンズ」
カップリングレンズ2は、上記ガラス1を材料とするガラスレンズであり、焦点距離:27mmでコリメート作用を有するように、前側主点が半導体レーザ1の発光部から27mm離れた位置に配置される。カップリングレンズ2には非球面が用いられ、コリメートされた光ビームの波面収差を非球面により十分に補正している。半導体レーザ1とカップリングレンズ2とは、線膨張係数:7.0×10−5の材質による保持部材に固定的に保持されている。
「アパーチュア」
アパーチュア3は、主走査方向の開口径:8.14mm、副走査方向の開口径:2.96mmの「長方形形状の開口」を有し、カップリングレンズ2によりコリメートされた光ビームをビーム整形する。
「アナモフィック光学素子」
アナモフィック光学素子4は、入射側面が、球面に形成された同心円状のパワー回折面で、射出側面は、シリンドリカル面に形成された直線状のパワー回折面を形成したものである。入射面のパワー回折面は、位相関数:win
in=C・r
で表されるものであり、入射面のパワー回折面は、位相関数:wout
out=C・Z
で表されるものである。なお、rは
=Y+Z
であり、Yは光軸を原点とする主走査方向の座標、Zは光軸を原点とする副走査方向の座標で、係数:C、Cは、C=−2.0373×10−3、C=−1.5004×10−2である。入射側面の回折部は、曲率半径−246.5mmの球面を構成している屈折部に形成される。そのため、出来上がったパワー回折面は階段形状となる。射出側面の回折部は、曲率半径69.16mmのシリンダ面を構成している屈折部に形成される。
「光偏向器」
光偏向器としてのポリゴンミラー5は、反射面数:5面で、内接円半径:18mmのものである。アナモフィック光学素子4の射出側面と、ポリゴンミラー5の回転軸との距離は、図3に示す配置で、左右方向の距離:x、上下方向の距離:yが、x=82.97mm、y=112.77mmに設定されている。
防音ガラスG1はガラス1を材質とし、厚さ:1.9mmで、上記y方向(図の上下方向)からの傾き角:αは16度である。また、光源側から入射する光ビームの進行方向と、偏向反射面によって被走査面8における像高:0の位置へ向けて反射される光ビームの進行方向とのなす角:θは58度である。
表9に、光偏向器以降の光学系データを示す。
表9
Figure 0004863736
上の表記において、Rは「主走査方向の近軸曲率」、Rは「副走査方向の近軸曲率」であり、D、D(表9では「X」「Y」と表記)は、各光学素子の原点から次の光学素子の原点までの相対距離を表している。単位はmmである。例えば、光偏向器に対する上記相対距離D、Dについてみると、光偏向器(ポリゴンミラー5)の回転軸から見て、走査光学系6のレンズ6−1の入射面の原点(入射側面の光軸位置)は、光軸方向(x方向、図1の左右方向)に79.75mm離れ、主走査方向(y方向、図1の上下方向)に8.8mm離れている。また、レンズ6−1の光軸上の肉厚は22.6mm、レンズ6−1と6−2の間の面間隔は75.85mm、レンズ6−2の光軸上の肉厚は4.9mm、レンズ6−2から被走査面までの距離は158.71mmである。なお、走査光学系6のレンズ6−2と被走査面の間には、図3に示すように、ガラス1を材質とする厚さ:1.9mmの防塵ガラスG2が配置されている。
走査光学系6のレンズ6−1、6−2の各面は非球面である。レンズ6−1の入射側面とレンズ6−2の入射側面および射出側面は、主走査方向には「式1」で与えられる非円弧形状で、副走査断面(光軸と副走査方向とに平行な仮想的断面)内の曲率が主走査方向に「式2」に従って変化する特殊面である。また、レンズ6−1の射出側面は「式3」により表現される回転対称非球面である。
レンズ6−1の入射側面(特殊面)の係数を表10に挙げる。
表10
Figure 0004863736
レンズ6−1の射出側面(回転対称非球面)の係数を表11に挙げる。
表11
Figure 0004863736
レンズ6−2の入射側面(特殊面)の係数を表12に挙げる。
表12
Figure 0004863736
レンズ6−2の射出側面(特殊面)の係数を表13に挙げる。
表13
Figure 0004863736
実施例2における、主走査方向及び副走査方向のビームスポット径と、ビームウエスト位置が被走査面に対してデフォーカスしたときの関係を、図5(a)、(b)に示す。これらの図には、基準温度:25℃のときの関係(以下「常温」という)と、常温に対して20℃の温度上昇があるときの関係(「温度変動」)と、モードホップにより発光波長が0.8nm変化した場合の関係(「波長飛び」)を示している。
図5(a)は主走査方向のビームスポット径、(b)は副走査方向のビームスポット径を示すものであり、何れも光スポットの像高:0のときのものである。図5から明らかなように、実施例2の光走査装置では、ビームスポット径とデフォーカス量との関係は、主・副走査方向とも、常温状態でも温度変動状態でも波長飛び状態でも実質的に変化しない。このことは、主走査方向・副走査方向のビームウエスト位置が、温度変動やモードホップに拘わらず実質的に変化しないことを意味している。
次に、実施例1或いは実施例2のパワー回折面が加工誤差を有している場合について考察する。
例えば、実施例2のアナモフィック光学素子の入射面側に採用されている、球面に形成された同心円状のパワー回折面の溝間隔は、光軸から離れるに従い徐々に短くなるが、この溝間隔は本実施例においては最小値としても100μm程度である。これに対して2μm、4μm、6μmの加工誤差を有しているとする。この加工誤差はアナモフィック光学素子のパワーを大きく変動させ、そのまま光走査装置に搭載すると、光ビームの集光点は被走査面8から大きくずれてしまい、ビームスポットが大きくなってしまう。このような光走査装置を特にカラー光プリンタなどに展開すると、色再現性が劣化し階調性が失われてしまう。しかし、この光ビームの集光点のずれは、全像高に亘ってほぼ同量であるから、このアナモフィック光学素子を光軸方向に変移させれば吸収することができる。
図6は、上記光ビームの集光点ずれを吸収するための機構を示す模式図である。図6において、符号100はアナモフィック光学素子、101はアナモフィック光学素子を固定するホルダーを示す。ホルダー101は、ハウジングに設けられた突き当て基準ピン102とギア103に、図示されないバネの付勢力で押し当てられることによって位置決めされている。ホルダー101の側面にはギア103と接触する部分にラック状のギアがあり、このラック状のギアが上記ギア103と噛み合っている構成をしている。従って、ギア103を回転させるとそれに伴ってホルダー102が光軸方向に沿って稼動する。このような構成であれば、アナモフィック光学素子を光軸方向に変移させることが可能であるので、アナモフィック光学素子に採用されているパワー回折面が加工誤差を有している場合でも、所望のビームスポットを被走査面上に結ばせることができる。
もちろん、このようなメカニカルな機構を採用することを必須の要件とするものではなく、アナモフィック光学素子を光走査装置に固定する際に位置を調整し、接着剤で固定するという方式もある。このようにすると調整機構がなくなり、調整後は不要となる部品を光走査装置内に残さない点で有利である。
なお、この方式の前提として、アナモフィック光学素子に加工誤差があっても、所望の回折効果が得られなければならない。しかし、溝間隔に2μm、4μm、6μmの加工誤差があったとしても、設計中央値と全くかわらない回折効果が期待できる。図7はそのことを示すものであって、温度25℃から、10℃、45℃とアナモフィック光学素子の雰囲気温度が変化した場合に、アナモフィック光学素子の焦点距離変動が全く同じであることが理解できる。
図8は、本発明にかかる光走査装置を用いた画像形成装置の実施例を概略的に示している。この実施例にかかる画像形成装置は、タンデム型フルカラー光プリンタである。図8において、装置下部には、水平方向に配設された給紙カセット30から給紙される転写紙(図示されず)を略水平方向に搬送する搬送ベルト32が設けられている。搬送ベルト32の上面側には、イエローY用の感光体7Y、マゼンタM用の感光体7M、シアンC用の感光体7C、及びブラックK用の感光体7Kが、搬送ベルト32による転写紙の搬送方向上流側から上記の順に等間隔で配設されている。以下、符号中に付するY、M、C、Kでイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを区別する。感光体7Y、7M、7C、7Kは像担持体としても機能し、全て同一径に形成され、その周囲に、電子写真プロセスに従い画像形成プロセスを実行するためのプロセス部材が順に配設されている。感光体3Yを例に採れば、感光体の回転方向である時計方向に、帯電チャージャ40Y、光走査装置50Y、現像装置60Y、転写チャージャ30Y、クリーニング装置80Y等が順に配設されている。他の感光体3M、3C、3Kについても同様である。すなわち、この画像形成装置は、感光体7Y、7M、7C、7Kを色成分毎に設定された被走査面とするものであり、各々に対して光走査装置50Y、50M、50C、50Kが1対1の対応関係で設けられている。
上記光走査装置50Y、50M、50C、50Kは、それぞれが図1、図3に示すような光学配置を有する光走査装置を独立に用いることもできる。また、例えば、特開2004−280056号公報等により従来から知られているもののように、光偏向器(回転多面鏡)を共用し、各光走査装置における走査光学系のレンズ6−1(図3に示す実施例参照)を、感光体7Mと7Yの光走査に共用するとともに、感光体7K、7Cの光走査に共有するものとすることもできる。
搬送ベルト32の周囲には、感光体7Yよりも転写紙搬送方向上流側に位置させてレジストローラ9と、ベルト帯電チャージャ10が設けられ、感光体7Kよりも下流側に位置させてベルト分離チャージャ11、除電チャージャ12、クリーニング装置13等が設けられている。ベルト分離チャージャ11よりも搬送方向下流側には定着装置14が設けられ、排紙トレイ15に向けて排紙ローラ16で結ばれている。
このような構成において、例えば、フルカラーモード時であれば、帯電チャージャによって均一に帯電された各感光体7Y、7M、7C、7Kの表面(すなわち、被走査面)に対し、Y、M、C、K各色の画像信号に基づき各光走査装置50Y、50M、50C、50Kによって光走査すると、上記各感光体表面に静電潜像が形成される。これら静電潜像は、対応する現像装置から対応する色トナーが供給されて現像され、トナー画像となる。これら各色のトナー画像は、搬送ベルト32上に静電的に吸着されて搬送される転写紙上に順次転写されることにより重ね合わせられてフルカラー画像となり、定着装置14により定着された後、排紙トレイ15上に排紙される。
かかる画像形成装置の、露光プロセスを実行する光走査装置として、実施例1、実施例2で説明した光走査装置を用いることにより、常に安定したビームスポット径を得ることができ、高精細な印字に適した画像形成装置をコンパクトで且つ安価に実現することができる。
本発明に係る画像形成装置は、像担持体としての感光体を1個備え、これに対応した光走査装置を備えたモノクロ方式の画像形成装置として構成することもできる。
第1、第2、第3の光学素子の少なくとも一つを樹脂製レンズとし、この樹脂製レンズの少なくとも一つにパワー回折面を形成すればよい。
本発明にかかる光走査装置の実施例1を概略的に示す光学配置図である。 上記実施例1においてパワー回折面を採用したカップリングレンズの例を示す(a)は正面図、(b)副走査方向断面図である。 本発明にかかる光走査装置の実施例2を概略的に示す光学配置図である。 実施例2においてパワー回折面を採用したアナモフィック光学素子の例を示す(a)は正面図、(b)は副走査方向の断面図、(c)は主走査方向の断面図、(d)は背面図である。 実施例2において、主走査方向及び副走査方向のビームスポット径と、ビームウエスト位置が被走査面に対してデフォーカスしたときの関係を示す、(a)は主走査方向の、(b)は副走査方向のグラフである。 本発明に適用可能な光ビームの集光点ずれを吸収するための機構の例を模式的に示す斜視図である。 アナモフィック光学素子に加工誤差があった場合の回折効果の違いを示すグラフである。 本発明にかかる画像形成装置の実施例を示す正面図である。 パワー回折面に関して説明するための図で、(a)と(b)に示すパワー回折面が等価であることを示す光路図である。
符号の説明
1 光源としての半導体レーザ
2 第1の光学素子であるカップリングレンズ
3 アパーチュア
4 第2の光学素子であるアナモフィック光学素子
5 光偏向器としてのポリゴンミラー
6 第3の光学素子
7Y 像担持体としての感光体
7M 像担持体としての感光体
7CY 像担持体としての感光体
7K 像担持体としての感光体
8 被走査面

Claims (10)

  1. 複数の発光部を有する半導体レーザアレイからの光ビームの断面形態を所望の形態に変換する第1の光学素子、第1の光学素子を透過した光ビームを光偏向器に導光する第2の光学素子、光偏向器により偏向された光ビームを被走査面上に集光させて光スポットを形成し、被走査面を光走査する第3の光学素子を備えている光走査装置であって、
    上記第1、第2、第3の光学素子の少なくとも一つは樹脂製レンズを含み、
    この樹脂製レンズの少なくとも一つはパワー回折面を有し、
    上記パワー回折面は、上記パワー回折面の回折部のパワーと屈折部のパワーの合成により形成されており、
    上記パワー回折面面形状は、上記回折部のパワーと屈折部のパワーが相殺するように設定されており、階段形状となっていることを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、パワー回折面の面形状は、階段構造でかつパワーがない光走査装置。
  3. 請求項1または2記載の光走査装置において、パワー回折面は第1の光学素子に採用されており、回転対称な階段構造である光走査装置。
  4. 請求項記載の光走査装置において、第1の光学素子のパワー回折面の反対面は回転対称な非球面である光走査装置。
  5. 請求項1または2記載の光走査装置において、パワー回折面は第2の光学素子に採用されており、線対称な階段構造である光走査装置。
  6. 請求項記載の光走査装置において、第2の光学素子は、主走査方向にパワーがなく、副走査方向に正のパワーを有するレンズである光走査装置。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の光走査装置において、第1、第2、第3の光学素子の全てが樹脂製レンズである光走査装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の光走査装置において、第2の光学素子は、光軸方向に沿って調整可能である光走査装置。
  9. 感光性の像担持体に対して光走査手段による光走査を行って潜像を形成し、この潜像を現像手段で可視化して画像を得る画像形成部を有する画像形成装置であって、
    光走査手段は、請求項1乃至8のいずれかに記載の光走査装置である画像形成装置。
  10. 感光性の像担持体に対して光走査手段による光走査を行って潜像を形成し、この潜像を現像手段で可視化して画像を得る画像形成部を有する画像形成装置であって、
    像担持体は複数配置され、
    光走査手段は請求項1乃至8のいずれかに記載の光走査装置であって各像担持体に対応した光ビームで走査することができ、
    各光ビームは色成分に対応した画像信号で変調されることにより各像担持体にその色成分に対応した潜像が形成され、
    現像手段は各潜像をそれに対応した色のトナーで可視化する、カラー対応の画像形成装置。
JP2006067323A 2006-03-13 2006-03-13 光走査装置および画像形成装置 Active JP4863736B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006067323A JP4863736B2 (ja) 2006-03-13 2006-03-13 光走査装置および画像形成装置
US11/714,162 US7443558B2 (en) 2006-03-13 2007-03-06 Optical scanning device and image forming apparatus
CNB2007100876788A CN100492097C (zh) 2006-03-13 2007-03-13 光学扫描装置和图像形成设备
US12/230,077 US7554708B2 (en) 2006-03-13 2008-08-22 Optical scanning device and image forming apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006067323A JP4863736B2 (ja) 2006-03-13 2006-03-13 光走査装置および画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007241182A JP2007241182A (ja) 2007-09-20
JP4863736B2 true JP4863736B2 (ja) 2012-01-25

Family

ID=38586748

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006067323A Active JP4863736B2 (ja) 2006-03-13 2006-03-13 光走査装置および画像形成装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4863736B2 (ja)
CN (1) CN100492097C (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5022253B2 (ja) 2008-01-31 2012-09-12 株式会社リコー 光走査装置及び画像形成装置
JP2009265614A (ja) 2008-04-03 2009-11-12 Ricoh Co Ltd 光走査装置及び画像形成装置
DE102012107040A1 (de) * 2012-08-01 2014-05-28 Jenoptik Optical Systems Gmbh Achromatische Scaneinrichtung mit monochromatischem f-Theta-Objektiv

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61106901A (ja) * 1984-10-31 1986-05-24 Hitachi Ltd 蒸気タ−ビン翼列装置
JP3224339B2 (ja) * 1995-10-11 2001-10-29 キヤノン株式会社 マルチビーム走査光学装置
JPH09311271A (ja) * 1996-05-20 1997-12-02 ソニー株式会社 対物レンズ及び光学ピックアップ装置
JP4425363B2 (ja) * 1998-12-08 2010-03-03 フジノン株式会社 光走査装置
JP2001235697A (ja) * 2000-02-22 2001-08-31 Canon Inc 光走査装置
JP2003337295A (ja) * 2003-03-27 2003-11-28 Canon Inc 走査光学装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007241182A (ja) 2007-09-20
CN101038369A (zh) 2007-09-19
CN100492097C (zh) 2009-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4976092B2 (ja) 光走査装置、およびそれを用いた画像形成装置
US7688491B2 (en) Diffractive-optical element, scanning optical system, optical scanner, and image forming apparatus
JP5112098B2 (ja) 光走査装置及び画像形成装置
US6791729B2 (en) Adjusting imaging position of optical beam spot in main and sub-scanning directions by individually and/or collectively adjusting position(s) of temperature-compensating lens(es)
US7940292B2 (en) Optical scanning device and image forming apparatus
US8390908B2 (en) Optical scanning apparatus, and image forming apparatus
JP5009574B2 (ja) 回折光学素子および走査光学系および光走査装置および画像形成装置
JP4913347B2 (ja) 光走査装置および画像形成装置
US8624951B2 (en) Optical scanning device and image forming apparatus
JP2009265614A (ja) 光走査装置及び画像形成装置
JP4015249B2 (ja) マルチビーム露光装置
JP2007011113A (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP2007233002A (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP5354047B2 (ja) 光走査装置、およびそれを用いた画像形成装置
JP4863736B2 (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP5316759B2 (ja) 光走査装置、調整方法及び画像形成装置
JP4568618B2 (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP4713377B2 (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP4841268B2 (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP5332087B2 (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP5413244B2 (ja) 光走査装置及び該光走査装置を用いた画像形成装置
JP2007248670A (ja) 光走査装置および画像形成装置
JP4404667B2 (ja) 光走査装置
JP2001305453A (ja) 光走査装置・光走査装置における線像結像光学系・光走査装置における結像調整方法・画像形成装置
JP2008039964A (ja) 光走査装置および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110308

RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20110414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110414

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111108

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111108

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4863736

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150