JP4862422B2 - 車両の状態推定及び制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、路面摩擦係数の推定装置及び車両挙動を安定させる制御装置に関する。
従来、路面摩擦係数と車両のすべり角を推定し、この推定値を車両挙動制御に用いる技術が開示されている。この技術にあっては、車両の横加速度およびヨーレートおよび車両運動方程式などに基づいて、路面摩擦係数や車両のすべり角などの車両状態を推定している(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2003-118554号公報 特開2003-118612号公報
しかしながら上記従来技術にあっては、路面摩擦係数の影響がヨーレートなどの車両挙動として現れた後にはじめて車両状態を推定していたため、推定するまでに時間を要するという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、路面摩擦係数の影響がヨーレートなどの車両挙動として現れる前に、車両状態を推定可能とする車両の状態推定及び制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、車両状態検出値に基づき前輪及び後輪の左右横力和の各々を演算する第1のタイヤ横力和演算手段と、各輪荷重を推定する輪荷重推定手段と、各輪の制駆動反力を推定する制駆動反力推定手段と、各輪の推定輪荷重と推定制駆動反力に基づき、路面摩擦係数及び車体すべり角に対する前輪及び後輪の左右横力和の各々を演算する第2のタイヤ横力和演算手段と、前記第2のタイヤ横力演算手段で演算する路面摩擦係数の探索範囲及び車体すべり角の探索範囲を設定する探索範囲設定手段と、前記探索範囲中であって前記第2のタイヤ横力演算手段にもとづき演算される第2のタイヤ横力和の中から、前記第1のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第1のタイヤ横力和との差が小さくなる条件をみたす、第2のタイヤ横力和を探索する探索手段と、前記探索された第2のタイヤ横力和から推定車体すべり角と推定路面摩擦係数の組合せを決定する推定車体すべり角及び推定路面摩擦係数推定手段と、を備えることとした。

よって、各輪に発生する制駆動路面反力と横力との関係に基づき車両状態を推定することで、路面摩擦係数変化や車体のすべり角変化に伴う横力変化がヨーレート変化などの車両挙動変化となって現れる前にいち早く車両状態を推定することが可能となり、高度な車両運動性能を実現できる。
以下、本発明の車両の状態推定及び制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
[システム構成]
実施例1につき図1ないし図10に基づき説明する。図1は、4輪を独立の電気モータで駆動する電気自動車のシステム構成図である。電気自動車は、永久磁石をロータに設けた3相同期モータ3fl、3fr、3rl、3rrを備えており、各モータ3fl〜3rrは減速機4fl、4fr、4rl、4rrを介して各車輪2fl、2fr、2rl、2rrに連結されている。各モータ3fl〜3rr、各減速機機4fl〜4rr、各車輪2fl〜2rrの出力特性、減速比、車輪半径はいずれも同一である。
ステアリングホイール11はシャフトを介してステアリングラック14に接続し、前輪fl、frの操舵が行われる。また、ステアリングホイール11に対する操舵角STRに基づき各輪3fl〜3rrの転舵角δは転舵角センサ21により検出され、統合コントローラ30へ出力される。
統合コントローラ30はトルク指令値tTFL(左前輪)、tTFR(右前輪)、tTRL(左後輪)、tTRR(右後輪)を演算する演算装置である。ヨーレイトセンサ8、転舵角センサ21、ブレーキペダルセンサ22、アクセルペダルセンサ23、横加速度センサ24、25、前後加速度センサ26からの各検出値に加え、現在のモータ3fl〜3rrの現在回転数と出力トルクが入力される。これらの入力値に基づき、各モータ3fl〜3rrに対するトルク指令値tTFL(左前輪)、tTFR(右前輪)、tTRL(左後輪)、tTRR(右後輪)を演算する。
駆動回路5fl〜5rrは、統合コントローラ30からのトルク指令値tTFL〜tTRRに基づき、バッテリ6の電力を制御して各モータ3fl〜3rrの力行および回生トルクを制御する。
[トルク指令値演算制御]
統合コントローラ30は、ヨーレイトなどの車両挙動が実測値として検出される前に、あらかじめ車両すべり角β、路面摩擦係数μを推定した上でトルク指令値tTFL〜tTRRの演算を行う。推定された車両すべり角β、路面摩擦係数μの値に基づきトルク指令値tTFL〜tTRRを演算することにより、より高精度なモータ制御を行うものである。
[トルク指令値演算制御処理]
図2は、統合コントローラ30で実行されるトルク指令値演算制御処理のメインフローチャートである。これらは一定時間毎、例えば5ms毎に実行する。以下、各ステップごとに説明する。
ステップS201では、各センサ信号、データを取り込む。すなわち、アクセル開度APS、ブレーキ踏力BRK、操舵角STR、横加速度YG1、YG2、前後加速度XG、ヨーレートγの各検出値を取り込み、また各モータ3fl〜3rrの回転数Nfl〜Nrr及びトルク指令値TFL〜TRRの現在値データを取り込んでステップS202へ移行する。なお、横加速度YG1、YG2は2つの横加速度センサ24、25の2つの検出値である。
ステップS202では、車速Vを次式で演算し、ステップS203へ移行する。
(数式1)
V = (Nfl/GG*R + Nfr/GG*R + Nrl/GG*R + Nrr/GG*R) /4
ここで、Rは各車輪fl〜rrの半径、GGは減速機4fl〜4rrの減速比である。
ステップS203では、後述する車両状態推定ルーチンを用いて車体すべり角β、路面摩擦係数μを推定し、ステップS204へ移行する。
ステップS204では、推定された車体すべり角β、路面摩擦係数μに基づき、後述するモータトルク指令値演算制御処理ルーチンを用いて各輪2fl〜2rrのモータトルク指令値TFL〜TRRを演算し、駆動回路5fl〜5rrに出力して制御を終了する。
[車両状態推定ルーチン:車体すべり角及び路面摩擦係数の推定]
図3は、図2ののフローにおけるステップS203での車両状態推定ルーチンにかかる、車体すべり角βと各車両挙動パラメータの関係を示す図である。転舵角センサ21、ブレーキペダルセンサ22、横加速度センサ24、25の検出値である操舵角STR、ブレーキ踏力BRK、横加速度YG1、YG2に基づき、転舵角δ、制駆動路面反力Fx、ヨーモーメントMM及び横力YGを演算し、これに基づき車体すべり角β及び路面摩擦係数μを決定する。
(転舵角の演算)
本願における車両は前輪操舵タイプであるため、後輪転舵角は0である。したがって、前輪及び後輪の操舵角−転舵角マップMAP_STRfl及びMAP_STRfrから、操舵角STRに対応する前輪転舵角δfl、δfrの値を読み込み、以下のように演算する。
(数式2)
δfl = MAP_STRfl(STR)
δfr = MAP_STRfr(STR)
δrl = 0
δrr = 0
(制駆動路面反力の演算)
制駆動路面反力Fxfl〜Fxrrは、モータトルク指令値TFL〜TRRと各輪3fl〜3rrの回転速度変化量から推定する。具体的な推定手法としては、例えば特開平6-98418(数11)に開示される方法を用いる。とりわけ機械式ブレーキを用いる場合、ブレーキ踏力BRKの値から前、後輪制動力マップを読み込んで、ブレーキ制動トルクTBL_FBR(BRK)及びTBL_RBR(BRK)とモータトルクTFL〜TRRとの和に基づき、制駆動路面反力Fxfl〜Fxrrを演算する。また、アンチスキッドブレーキングシステム作動時には、システム作動による制動トルク減少分を検出し、上記制動トルクを補正する。
(横力及びヨーモーメントの演算)
図4は、図2のフローにおけるステップS203での車両状態推定ルーチンにかかる、横加速度と各車両挙動パラメータとの関係を示す図である。横力Fyは車両進行方向左向きを正とする。横加速度センサの取り付け位置を図4の位置とした場合、ヨー角加速度γ'(単位は、rad/s2、反時計回りを正とする)と重心位置の横加速度YG(単位は、m/s2、車両左向きを正とする)は次のように求められる。
(数式3)
γ' = (YG2-YG1)/L2
YG = YG1 + (YG2-YG1)*Lc/L2
上記ヨー角加速度γ'及び横加速度YG値から、車両のヨー慣性設計値Iγ[kgm2]、車両質量設計値M[kg]を用いて、車両に働く横力FyとヨーモーメントMMを次のように演算する。
(数式4)
Fy = M*YG
MM = Iγ*γ'
(前後輪の左右横力和の演算)
図3に示すように、左前輪で発生する横力をFyfl、右前輪で発生する横力をFyfr、左後輪で発生する横力をFyrl、右後輪で発生する横力をFyrrとし、前輪の左右転舵角が等しく(δfl=δfr=δf)と後輪の左右転舵角が等しい(δrl=δrr=δr)とすると、車両に働く横力FyとヨーモーメントMMについて次の関係式が成り立つ。
(数式5)
Figure 0004862422
ここでLf は前輪軸重心点距離[m]、Lr は後輪軸重心点距離[m]、Lt はトレッドベース距離(前後輪同一)[m]であり、それぞれ設計定数である。
上記数式5の第3項の影響は小さいものとして無視し、(Fyfl+Fyfr)および(Fyrl+Fyrr)を次のように求める。
(数式6)
Figure 0004862422
ここでδfとして(δfl+δfr)/2を用い、δrとして(δrl+δrr)/2を用いることとし、(Fyfl+Fyfr)を第1前輪横力和Fy_f、(Fyrl+Fyrr)を第1後輪横力和Fy_rに代入する。
(各輪荷重の演算)
車両静止状態での前輪荷重Wfと車両静止状態での後輪荷重Wr(単位はいずれもN)を次式で演算する。
(数式7)
Wf = M*Lr/(Lf+Lr)/2*9.8
Wr = M*Lf/(Lf+Lr)/2*9.8
次に、車両前後加速度XG、および、数式5で求めた重心位置の横加速度YGから、前後輪荷重移動量ΔWdと左右輪荷重移動量ΔWcを次のように演算する。
(数式8)
Figure 0004862422
ここで、hは重心高[m]、Ltはトレッド幅[m]である。そして、これらの値に基づき、以下の式で各輪の輪荷重を演算する。
(数式9)
Figure 0004862422
この方法以外に、センサを用いて検出した輪荷重値を用いても良い。
(車体すべり角探索範囲の設定)
車体すべり角βの推定にあっては、ある一定範囲の中から条件に適合する値を探索して推定する方法を用いるため、あらかじめ探索すべき一定範囲を確定する必要がある。したがって、車両の基準位置を図3の車体基準位置P(図3における後輪軸の左右中央の点)とし、以下のように第1後輪横力和Fy_rの値に基づきすべり角βの探索範囲を決定する。探索範囲の最小値及び最大値は、それぞれ b_min 及び b_maxで示す。
・第1後輪横力和Fy_rが正のとき
最小値b_min = -π/4 最大値b_max = 0
-π/4≦すべり角β探索範囲≦0
・第1後輪横力和Fy_rが負のとき
最小値b_min = 0 最大値b_max = π/4
0≦すべり角β探索範囲≦π/4
・第1後輪横力和Fy_rが0のとき
最小値b_min = 最大値b_max=0
すべり角β探索範囲なし
とする。更に、探索範囲の探索刻み幅Δbは、例えば次式で設定する。
Δb=(b_max- b_min)/10
なお、車体滑り角は単位をrad、車両前向きに対して点Pの進行の向きが時計周りの状況を正の向きにとるものとする。
(路面摩擦係数探索範囲の設定)
路面摩擦係数μについても、車体すべり角βと同様ある一定範囲の中から条件に適合する値を探索して推定する方法を用いる。したがって、探索範囲の最小値をm_minとして0.1を設定し、最大値をm_maxとして1.0を設定する。また、探索範囲の探索刻み幅Δmを例えば0.1に設定する。
(車体すべり角及び路面摩擦係数の探索)
車体すべり角β及び路面摩擦係数μの探索にあたっては、第1前後輪横力和Fy_f、Fy_rの推定値と実測値の差が望ましくは最小であり、要求検出精度を考慮して最小となる(β、μ)の組み合わせを選択し、(β、μ)の推定値(b_opt、m_opt)とする。なお、最適な組み合わせの選択方法については路面μと滑り角βの探索ルーチンにて後述する。
(各輪スリップ率に基づく路面摩擦係数の演算)
各輪のスリップ率Sfl〜Srrおよび制駆動路面反力の関係からスリップ率Sに基づく路面摩擦係数m0を推定する。ここでは車両が「ほぼ直進状態」であることを次の条件から判定する。
判定条件 : |Fy_f|および|Fy_r|がともに所定値a以下
また、ステアリング操舵量STRの絶対値が所定値以内の場合としてもよく特に限定しない。
この判定条件が満たされ、「ほぼ直進状態」ではないと判定された場合にはm0=1に設定し、「ほぼ直進状態」と判定された場合には、以下の式を用いて各輪のスリップ率Sfl〜Srrと路面反力から路面摩擦係数m0を推定する。所定値aは、例えば車両の質量(0.5など)とする。
(数式10)
m0_fl = MAP_FM(|Sfl|、|Fxfl/Wfl|)
m0_fr = MAP_FM(|Sfr|、|Fxfr/Wfr|)
m0_rl = MAP_rlM(|Srl|、|Fxrl/Wrl|)
m0_rr = MAP_FM(|Srr|、|Fxrr/Wrr|)
m0 = min(m0_fl、 m0_fr、 m0_rl、 m0_rr)
ここで各輪のスリップ率Sfl〜Srrは、以下の式で求める。
(数式11)
左前輪: V- ( Nfl / GG*R ) ≧ 0 のとき Sfl = {V-(Nfl/GG*R)}/V
V- ( Nfl / GG*R ) < 0 のとき Sfl = {V-(Nfl/GG*R)}/(Nfl/GG*R)
右前輪: V- ( Nfr / GG*R ) ≧ 0 のとき Sfr = {V-(Nfr/GG*R)}/V
V- ( Nfr / GG*R ) < 0 のとき Sfl = {V-(Nfr/GG*R)}/(Nfr/GG*R)
左後輪: V- ( Nrl / GG*R ) ≧ 0 のとき Srl = {V-(Nrl/GG*R)}/V
V- ( Nrl / GG*R ) < 0 のとき Srl = {V-(Nrl/GG*R)}/(Nrl/GG*R)
右後輪: V- ( Nrr / GG*R ) ≧ 0 のとき Srr = {V-(Nrr/GG*R)}/V
V- ( Nrr / GG*R ) < 0 のとき Srr = {V-(Nrr/GG*R)}/(Nrl/GG*R)
また、MAP_FM、MAP_RMは、それぞれスリップ率Sfl〜Srrと、各輪fl〜rrにおける路面反力と輪荷重の比であり、MAP_FMは前輪、MAP_RMは後輪における特性マップである。図5に、MAP_FMの一例を示す。
(各輪滑り角の演算)
車体すべり角及び路面摩擦係数の探索で求めた、(β、μ)の推定値(b_opt、m_opt)の内、すべり角b_optから、各輪のすべり角を演算する。車体すべり角βと各輪のタイヤすべり角αfl〜αrrとの関係がおおよそ次の関係にあることは、「自動車の運動と制御(山海堂、著者:安部正人)」の第3章(p.54)に示されている。また、タイヤ回転面の向きに対してタイヤ中央の進行の向きが時計周りの状況を正の向きにとる(図3参照)。
αfl = (V*b_opt+(Lf+Lr)*γ)/(V-Lt*γ/2) - δfl
αfr = (V*b_opt +(Lf+Lr)*γ)/(V+Lt*γ/2) - δfr
αrl = V*b_opt /(V-Lt*γ/2) - δrl
αrr = V*b_opt /(V+Lt*γ/2) - δrr
(各輪横力の演算)
前述の各輪3fl〜3rrの第1すべり角α1fl〜α1rrと、車体すべり角及び路面摩擦係数の探索で求めた、(β、μ)の推定値(b_opt、m_opt)のうち、推定路面摩擦係数m_optを用い、各輪3fl〜3rrの横力Fyfl〜Fyrr(図3参照)を次式で演算する。演算は前後輪におけるタイヤ特性マップMAP_FT、MAP_RTを使用する。
(数式12)
Fyfl = MAP_FT(Wfl、 Fxfl、 m_opt、 α1fl )
Fyfr = MAP_FT(Wfr、 Fxfr、 m_opt、 α1fr )
Fyrl = MAP_RT(Wrl、 Fxrl、 m_opt、 α1rl )
Fyrr = MAP_RT(Wrr、 Fxrr、 m_opt、 α1rr )
[車両挙動推定制御処理]
図6は、図2のステップS203で実行される車両挙動制御処理のルーチンである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS401では、各輪転舵角δfl〜δrrを演算し、ステップS402へ移行する。
ステップS402では、各輪制駆動路面反力Fxfl〜Fxrrを演算し、ステップS403へ移行する。
ステップS403では、ヨーモーメントMM、横力YGを演算し、ステップS404へ移行する。
ステップS404では、第1前後輪横力和Fy_f、Fy_rを求め、ステップS405へ移行する。
ステップS405では、各輪荷重Wfl〜Wrrを演算し、ステップS406へ移行する。
ステップS406では、車体すべり角βの探索範囲最小値b_min、最大値b_max、及び探索刻み幅Δbを決定し、ステップS407へ移行する。
ステップS407では、路面摩擦係数μの探索範囲の最小値m_minとして0.1を設定し、最大値m_maxとして1.0を設定する。また、探索刻み幅Δmを0.1に設定し、ステップS408へ移行する。
ステップS408では、推定路面摩擦係数と推定車体すべり角の組み合わせ(m_opt、b_opt)を選択・演算してステップS409へ移行する。
ステップS409では、各輪スリップ率Sfl〜Srrから、スリップ率を考慮した路面摩擦係数m0を推定し、ステップS411へ移行する。
ステップS411では、推定路面摩擦係数m_optがスリップ率を考慮した路面摩擦係数m0よりも大きいかどうかが判断され、YESであればステップS412へ移行し、NOであればステップS414へ移行する。これにより、車両がほぼ直進状態と判断されるときには、スリップ率を考慮した路面摩擦係数m0により車体すべり角βの推定値b_optを再演算することになる。
ステップS412では、m_opt= m0とし、ステップS413へ移行する。
ステップS413では、車体すべり角βの推定値b_optを再演算し、ステップS414へ移行する。
ステップS414では、各輪の第1タイヤすべり角α1fl〜α1rlを演算し、ステップS415へ移行する。
ステップS415では、各輪横力Fyfl〜Fyrrを演算し、本ルーチンを終了する。
[路面μと滑り角βの探索ルーチン]
(探索初期値設定)
車体すべり角β及び路面摩擦係数μの推定値m_opt、b_optを探索するため、まず探索開始時点の路面摩擦係数m_minと車体すべり角b_minを設定する。
次に、路面摩擦係数の推定値候補m_optの初期値としてm_minを設定し、車体すべり角βの推定値候補b_optの初期値としてb_minを設定する。また、J_opt(後述)として、十分大きな値(例えば1000000)を入力する。
さらに、前述のS412でm_opt= m0を設定して、S413で車体すべり角βを最演算する場合は、路面摩擦係数の探索範囲の下限値m_minおよび上限値m_maxを共にm_optに設定し、刻みΔmを1に設定する。(ステップS503からステップS512を無限に実行しつづけることを回避するため)
(各輪タイヤすべり角演算)
車体すべり角βに対する各輪3fl〜3rrの第2タイヤすべり角α2fl〜α2rrを次式で演算する。車体すべり角βと各輪の第2タイヤすべり角α2fl〜α2rrとの関係がおおよそ次の関係にあることは、「自動車の運動と制御(山海堂、著者:安部正人)」の第3章(p.54)に示されている。また、タイヤ回転面の向きに対してタイヤ中央の進行の向きが時計周りの状況を正の向きにとる(図3参照)。
(数式13)
α2fl = (V*b+(Lf+Lr)*γ)/(V-Lt*γ/2) - δfl
α2fr = (V*b+(Lf+Lr)*γ)/(V+Lt*γ/2) - δfr
α2rl = V*b/(V-Lt*γ/2) - δrl
α2rr = V*b/(V+Lt*γ/2) - δrr
(前後輪横力和推定値演算)
タイヤの特性マップを用い、上記推定路面摩擦係数mに対応する第2前後輪横力和Fymf、Fymrを次式に基づいて演算する。
(数式14)
第2前輪横力和Fymf = MAP_FT(Wfl Fxfl、 m、 α2fl ) + MAP_FT(Wfr、 Fxfr、 m、 α2fr )
第2後輪横力和Fymr = MAP_RT(Wrl Fxrl、 m、 α2rl ) + MAP_RT(Wrr、 Fxrr、 m、 α2rr )
ここで、MAP_FTは、輪荷重、制駆動路面反力、路面摩擦係数、及び第2タイヤすべり角α2fl〜α2rrに対して、前輪タイヤ3fl、3rrが発生する横力を出力するようにデータが入力された4入力1出力のマップである。また、MAP_RTは、輪荷重W、制駆動路面反力Fx、路面摩擦係数μ、第2タイヤすべり角α2に対して、後輪タイヤrl、rrが発生する横力を出力するようにデータが入力された4入力1出力のマップである。
いずれも計測したタイヤの特性のデータマップであり、路面摩擦係数が小さいほど絶対値が小さい特性になっている。また制駆動路面反力が正に大きいあるいは負に大きい時には絶対値が小さい値になる特性を持たせてある。
(第1、第2横力和の差の最小化)
第2前後輪横力和Fymf、 Fymrを推定した後、この第2前後輪横力和推定値(Fymf、Fymr)と、第1前後輪横力和(Fy_f、Fy_r)との差が最小となる車体すべり角βと路面摩擦係数μの組み合わせを探索するため、まず、図6のステップS404で検出された第1前輪横力和Fy_fと第2前輪横力和Fymfが近いほど、また第1後輪横力和Fy_rと第2後輪横力和Fymrが近いほど、小さい値を出力する関数の値Jを演算する。ここでは関数として次のものを使用する。
(数式15)
J = | 第2前輪横力和Fymf -第1前輪横力和Fy_f |
+ | 第2後輪横力和Fymr - 第1後輪横力和Fy_r |
他にも
J=(第2前輪横力和Fymf - 第1前輪横力和Fy_f)2
+ (第2後輪横力和Fymr - 第1後輪横力和Fy_r)2などとしてもよい。
ここで、Jが既に格納してあるJ_opt以下である場合には、それまでの路面摩擦係数であるmと車体すべり角βの組合せの中で、第2前輪横力和Fymfおよび第2後輪横力和Fymrが、第1前輪横力和Fy_fおよび第1後輪横力和Fy_rに最も近いと判断する。Jが既に格納してあるJ_opt以下の場合は評価値J_opt、路面摩擦係数候補値m_opt、車体すべり角候補値b_optを次のように更新する。J_opt以上であれば更新しない。
(数式16)
J_opt=J、 m_opt=m、 b_opt=b
次に、車体すべり角βの次の探索値b(上述の車両挙動推定制御における車体すべり角探索範囲の設定:図6のステップS406参照)としてΔbを加えた値を設定する。ただし、Δbが0の場合には、ステップS503〜ステップS509の無限ループを回避するため、b=b+1としてb値を演算する。
(推定車体すべり角及び推定路面摩擦係数の候補値設定)
車体すべり角βの次の探索値bが探索範囲の上限値b_maxを越えているか否かを判定する。越えていない場合には、その探索値bにて再度第2各輪タイヤすべり角α2fl〜α2rr、第2前後輪横力和 Fymf、Fymr を演算し、第1、第2横力和の差の漸少化を行って次の探索値b+Δbを設定する。上限値b_maxを越えている場合には、推定車体すべり角βの候補値としてb=b_minを設定する。
また、路面摩擦係数μの次の探索候補値mをΔmを加えた値に更新する。更新後、路面摩擦係数μの探索値mが、探索範囲の上限値m_maxを越えているか否かを判定する。越えていない場合には再度第2各輪タイヤすべり角α2fl〜α2rrからやり直し、上限値m_maxを越えている場合には、路面摩擦係数μの推定値の候補値として、この探索値mをとして設定する。
すなわち、この車体すべり角及び路面摩擦係数の探索・推定制御にあっては、車体すべり角範囲b_min〜b_maxと、路面摩擦係数範囲m_min〜m_maxの間で、車体すべり角および路面摩擦係数をそれぞれΔb、Δm刻みで組合せを変更する。変更時におけるmとbの組合せの中で、タイヤ特性マップMAP_FTを用いて演算した第2前後輪横力和Fymf、 Fymrと、第1前後輪横力和Fy_f、 Fy_rとの値が近い組合せ(b_opt、m_opt)を抽出する。
[車体すべり角及び路面摩擦係数の探索・推定制御処理]
図7は、車体すべり角及び路面摩擦係数の探索・推定制御処理ルーチンである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS501では、探索開始時点の路面摩擦係数μとしてm_min、探索開始時点の車体すべり角βとしてb_minを設定し、ステップS502へ移行する。
ステップS502では、m_optの初期値としてm_minを設定し、b_optの初期値としてb_minを設定する。また、J_optに1000000を入力してステップS503へ移行する。
ステップS503では、車体すべり角βに対する各輪3fl〜3rrの第2タイヤすべり角α2fl〜α2rrを演算し、ステップS504へ移行する。
ステップS504では、探索開始時におけるタイヤすべり角b及び路面摩擦係数mに対応する第2前輪横力和Fymf及び第2後輪横力和Fymrをマップから読み込み、ステップS505へ移行する。
ステップS505では、前輪における第1前後輪横力和Fy_f、 Fy_rと第2前後輪横力和Fymf、Fymrが近いほど小さい値を出力する関数の値Jを演算し、ステップS506へ移行する。
ステップS506では、関数Jが既に格納してあるJ_opt以下であるかどうかが判断され、YESであればステップS507へ移行し、NOであればステップS508へ移行する。
ステップS507では、評価値J_opt、路面摩擦係数候補値m_opt、車体すべり角候補値b_optを J_opt=J 、 m_opt=m 、 b_opt=b のように更新し、ステップS508へ移行する。
ステップS508では、車体すべり角βの次の探索値bにΔbを加え、ステップS509へ移行する。
ステップS509では、車体すべり角βの次の探索値bが探索範囲の上限値b_maxを越えているか否かを判断し、YESであればステップS510へ移行し、NOであればステップS503へ戻る。
ステップS510では、推定車体すべり角βの候補値としてb=b_minを設定し、ステップS511へ移行する。
ステップS511では、路面摩擦係数μの次の探索候補値mをΔmを加え、ステップS512へ移行する。
ステップS512では、路面摩擦係数μの探索値mが、探索範囲の上限値m_maxを越えているか否かを判断し、YESであれば路面摩擦係数μの推定値の候補値としてこの探索値mをとして設定し、NOであればステップS503へ戻る。
[モータトルク指令値演算制御]
図2のステップS204におけるモータトルク指令値演算制御では、まず車速-アクセル開度マップMAP_tTD(図8参照)から車両の目標駆動力tTDを読み込む。
次に、次式に基づき各輪fl〜rrのモータトルク指令値tTFL〜tTRRを演算する。なお、tUは目標駆動力車速及びステアリング操舵量STRに基づき図9の V- tU マップを読み込むことで決定される。
(数式17)
左前、後輪 tTFL、tTRL = tTD*R/GG/4-tU*R/GG/4
右前、後輪 tTFR、tTRR = tTD*R/GG/4+tU*R/GG/4
ここで、GGとは減速機4fl〜4rrにおける減速比である。なお、ヨーレートγや車両横加速度YGが所望の過渡応答となるよう補正を行ってもよく特に限定しない。補正方法については文献1.8章などを参照。
演算されたモータトルク指令値tTFL〜tTRRに対し、車両の横力Fy、ヨーモーメントMM、及び車両の前後加速度XGが変化しないよう、各輪fl〜rrの駆動トルクを再配分する。具体的には、各輪の推定輪荷重W、第1タイヤすべり角α1、推定転舵角δ、推定路面摩擦係数μに基づき、前後加速度(縦力)XGに対する横力YGの感度kに応じて再配分するものである。再配分を行った後の各輪fl〜rrのモータトルク指令値tTFL〜tTRRをモータ駆動回路へ出力する。
[モータトルク指令値演算制御処理]
図10は、モータトルク指令値演算制御処理ルーチンである。以下、各ステップにつき説明する。
ステップS601では、目標駆動力tTDを演算し、ステップS602へ移行する。
ステップS602では、各輪3fl〜3rrに対するモータトルク指令値tTFL〜tTRRを演算し、ステップS603へ移行する。
ステップS603では、各輪fl〜rrの駆動トルクを再配分し、ステップS604へ移行する。
ステップS604では、各輪fl〜rrのモータトルク指令値tTFL〜tTRRを出力し、本ルーチンを終了する。
[本願実施例の効果]
(1)本願実施例では、車両状態に基づき、第1の前輪及び後輪の横力和Fy_f、Fy_rを演算する第1の横力和演算手段と、車体すべり角β及び路面摩擦係数μを推定する車両状態推定手段と、推定された車体すべり角βに基づき、第1の各輪すべり角α1fl〜α1rrを演算する第1の各輪すべり角演算手段と、第1の各輪すべり角α1fl〜α1rr及び推定路面摩擦係数m_optに基づき、各輪の横力Fyfl〜Fyrrを演算する各輪横力演算手段とを備え、車両状態推定手段は、車両状態に基づき第2の各輪すべり角α2fl〜α2rrを演算し、車体すべり角βの初期値b_min及び路面摩擦係数の初期値m_minを設定し、車両状態、路面摩擦係数の初期値m_min、及び第2の各輪すべり角α2fl〜α2rrに基づき、第2の前輪及び後輪の横力和Fymf、Fymrを演算する第2の横力和演算手段を備え、第1の横力和Fy_f、Fy_rと第2の横力和Fymf、Fymrの差が最小となるよう、推定車体すべり角b_opt及び推定路面摩擦係数m_optを設定することとした。
これにより、推定には路面摩擦係数やタイヤのすべり角に応じてタイヤの横力が変化する特性を利用し、路面摩擦係数μの変化や車体のすべり角βの変化に伴う横力Fyの変化が車両挙動変化となって現れる前にいち早く車両状態を推定することが可能となり、高度な車両運動性能を実現できる。
(2)車両の横加速度を検出する横加速度センサ24、25と、検出された横加速度YG1、YG2に基づき、車両横力Fxを推定する車両横力推定手段と、検出された横加速度YG1、YG2に基づき、ヨーモーメントγ'を推定するヨーモーメント推定手段と、各輪荷重Wfl〜Wrrを演算する各輪荷重演算手段と、各輪3fl〜3rrの制駆動反力Fxfl〜Fxrrを推定する制駆動反力推定手段と、車両各輪の転舵角δfl〜δrrを演算する転舵角演算手段と、を備え、第1の横力和Fy_f、Fy_rは、推定車両横力Fx及び推定ヨーモーメントγ'に基づき演算され、第2の各輪すべり角α2fl〜α2rrは、車速V、ヨーレイトγ、及び各輪転舵角δfl〜δrrに基づき演算され、第2の横力和Fymf、Fymrは、路面摩擦係数μの初期値m_min、各輪荷重Wfl〜Wrr、各輪制駆動反力Fxfl〜Fxrr、及び第2の各輪すべり角α2fl〜α2rrに基づき演算されることとした。
これにより、路面摩擦係数μやタイヤすべり角αに応じてタイヤの横力Fyが変化する特性を利用し、推定制駆動路面反力Fxmと横力Fyとの関係に基づき推定を行なうことで、車体すべり角βと路面摩擦係数μを高速度で推定することができる。
(3)車両がほぼ直進していると判定する直進判定手段と、各輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段と、車両がほぼ直進していると判定した場合、各輪の制駆動路面反力推定値と前記スリップ率との関係から路面摩擦係数を演算する路面摩擦係数推定手段とを有することとした。
路面摩擦係数μの違いによる横力Fyの差異が小さい車両直進状態の場合には、上記(2)の方法では路面摩擦係数μの推定精度が悪化する傾向にある(極端な例としては、完全に車両が直進している場合には、路面摩擦係数μによらず、前輪横力和Fyfも後輪横力和Fyrもともに0になり、原理的に路面摩擦係数μを推定できない)。したがって、本短所を補うべく、車両がほぼ直進している状態にあっては、車輪のスリップ率Sと制駆動路面反力Fxとの関係から路面摩擦係数μを推定する。これにより、路面摩擦係数μの推定可能な機会を増やすとともに、ほぼ直進状態における路面摩擦係数μの推定精度を向上させることができる。
(4)直進判定手段は、前輪3fl、3frの第1前輪横力和Fy_fおよび後輪3rl、3rrの第1後輪横力和Fy_rの大きさに基づき、車両がほぼ直進しているか否かを判定することとした。これにより、車輪のスリップ率Sと制駆動路面反力Fxとの関係から路面摩擦係数μを精度良く推定した場合に、車体のすべり角βを再探索し、精度の良い路面摩擦係数μに基づき、車体のすべり角βを一層精度良く求めることができる。
(5)車両がほぼ直進と判定された場合、探索手段は、横力推定手段に基づき演算される第2横力和Fymと、第1横力和Fyとの差を最小とする車体すべり角βと路面摩擦係数μの組合せを再探索することとした。
これにより、推定した路面摩擦係数μ、車体すべり角β、及びタイヤ特性マップ等に基づき、各輪の第1タイヤすべり角α1fl〜α1rrや横力Fyfl〜Fyrrを推定する作用を実現している。これらのタイヤ状態を表す量を推定できるようになったことで、図10のステップS603に示すような駆動力配分を行なうことが可能となり、路面摩擦係数μやタイヤ状態に適用させて車両挙動を高度に制御することができる。
(6)探索手段における車体すべり角βの探索範囲は、車体すべり角βの前回探索値を含む範囲とした。これにより、車両運動特性上、車体すべり角βが不連続的に変化しないことを利用し、車体すべりβの探索範囲を限定し演算負荷を低減することができる。
(7)車体すべり角βの探索範囲を、車体すべり角βの変化速度が前回探索値のまま持続すると仮定した際の車体すべり角βの値を含む範囲とした。これにより、車体すべり角βの変化情報も利用することが可能となり、探索範囲を更に適正化させることができる。
(8)統合コントローラ30は、制動力もしくは駆動力を複数輪に独立に分配できる車両に搭載され、車輪3fl〜3rrのうち、ある車輪が十分制駆動路面反力Fxを得られない場合には、推定された第1タイヤすべり角α1及び路面摩擦係数μの推定値m_optに基づいて制駆動力を再配分することとした。これにより、演算されたモータトルク指令値tTFL〜tTRRに対し、車両の横力Fy、ヨーモーメントMM、及び車両の前後加速度XGが変化しないよう、各輪3fl〜3rrの駆動トルクを再配分することが可能となり、車両挙動をより安定させることができる。
(他の実施例)
以上、本発明の操舵装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成についてはこれらに限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り設計の変更や追加等は許容される。
例えば、後輪を操舵する車両でもよい。その場合は、図2のステップS401にて演算する後輪舵角δrl、δrrを常に0とするのではなく、後輪舵角検出値に応じて求めるようにする。
また本発明を適用できる駆動形態としては、図1のように4輪を独立にモータ駆動するものに限られない。駆動源はエンジンであってもよいし、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動のいずれであってもよい。エンジンとモータを併用するハイブリッド車両でもよく、駆動源の駆動形態に応じて、実施例を適宜変更することで同様の作用効果を得ることができる。
4輪を独立の電気モータで駆動する電気自動車のシステム構成図である。 トルク指令値演算制御処理のメインフローチャートである。 車体すべり角と各車両挙動パラメータの関係を示す図である。 横加速度と各車両挙動パラメータとの関係を示す図である。 スリップ率と路面反力/輪荷重の比のマップである。 車両挙動制御処理のルーチンである。 車体すべり角及び路面摩擦係数の探索・推定制御処理ルーチンである。 車速−アクセル開度マップである。 車速−操舵角マップである。 モータトルク指令値演算制御処理ルーチンである。
符号の説明
3fl〜3rr 車輪
4fl〜4rr 減速機
5fl〜5rr 駆動回路
6 バッテリ
8 ヨーレイトセンサ
11 ステアリングホイール
14 ステアリングラック
21 転舵角センサ
22 ブレーキペダルセンサ
23 アクセルペダルセンサ
24、25 横加速度センサ
26 前後加速度センサ
30 統合コントローラ

Claims (8)

  1. 車両状態検出値に基づき前輪及び後輪の左右横力和の各々を演算する第1のタイヤ横力和演算手段と、
    各輪荷重を推定する輪荷重推定手段と、各輪の制駆動反力を推定する制駆動反力推定手段と、各輪の推定輪荷重と推定制駆動反力に基づき、路面摩擦係数及び車体すべり角に対する前輪及び後輪の左右横力和の各々を演算する第2のタイヤ横力和演算手段と、
    前記第2のタイヤ横力演算手段で演算する路面摩擦係数の探索範囲及び車体すべり角の探索範囲を設定する探索範囲設定手段と、
    前記探索範囲中であって前記第2のタイヤ横力演算手段にもとづき演算される第2のタイヤ横力和の中から、前記第1のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第1のタイヤ横力和との差が小さくなる条件をみたす、第2のタイヤ横力和を探索する探索手段と、
    前記探索された第2のタイヤ横力和から推定車体すべり角と推定路面摩擦係数の組合せを決定する推定車体すべり角及び推定路面摩擦係数推定手段と、
    を備える車両状態推定装置。
  2. 請求項1に記載の車両状態推定装置において、
    前記第2のタイヤ横力演算手段は、車速検出手段と、ヨーレート検出手段と、操舵輪舵角を検出する舵角検出手段と、舵角と車速とヨーレートに応じて、車体基準位置の車体すべり角に対応する各輪タイヤすべり角を演算するタイヤすべり角演算手段とを備えること
    を特徴とする車両状態推定装置。
  3. 請求項2に記載の車両の状態推定装置において、
    車両がほぼ直進していると判定する直進判定手段と
    前記各輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段と、
    前記車両がほぼ直進していると判定した場合、前記各輪の制駆動路面反力推定値と前記スリップ率との関係から路面摩擦係数を演算する路面摩擦係数推定手段と
    を有することを特徴とする車両の状態推定装置。
  4. 請求項3に記載の車両の状態推定装置において、
    前記直進判定手段は、演算した前記前輪の左右横力和および前記後輪の左右横力和の大きさに基づき、車両がほぼ直進しているか否かを判定すること
    を特徴とする車両の状態推定装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の車両の状態推定装置において、
    前記探索手段は、前記車両がほぼ直進と判定された場合、前記第2のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第2のタイヤ横力和と前記第1のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第1のタイヤ横力和との差が小さくなる条件をみたす車体すべり角と路面摩擦係数の組合せを再探索すること
    を特徴とする車両の状態推定装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両の状態推定装置において、
    前記探索手段は、前記車体すべり角の前回探索値を含む範囲を、前記車体すべり角の探索範囲とすること
    を特徴とする車両の状態推定装置。
  7. 請求項6に記載の車両の状態推定装置において、
    前記探索手段は、前記車体すべり角の変化速度が前記前回探索値のまま持続すると仮定した際の前記車体すべり角の値を含む範囲とすること
    を特徴とする車両の状態推定装置。
  8. 車両の状態推定値に基づいて各輪に制駆動力を配分する制駆動力配分制御手段を備えた車両の制御装置において、
    前記状態推定値を推定する手段として、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両の状態推定装置を用い、
    前記制駆動力配分制御手段は、ある車輪が目標とする制駆動路面反力を得られないとき、前記タイヤすべり角の推定値及び前記路面摩擦係数の推定値に基づいて、各輪の制駆動力を再配分すること
    を特徴とする車両の制御装置。
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