JP4862422B2 - 車両の状態推定及び制御装置 - Google Patents
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Description
実施例1につき図1ないし図10に基づき説明する。図1は、4輪を独立の電気モータで駆動する電気自動車のシステム構成図である。電気自動車は、永久磁石をロータに設けた3相同期モータ3fl、3fr、3rl、3rrを備えており、各モータ3fl〜3rrは減速機4fl、4fr、4rl、4rrを介して各車輪2fl、2fr、2rl、2rrに連結されている。各モータ3fl〜3rr、各減速機機4fl〜4rr、各車輪2fl〜2rrの出力特性、減速比、車輪半径はいずれも同一である。
統合コントローラ30は、ヨーレイトなどの車両挙動が実測値として検出される前に、あらかじめ車両すべり角β、路面摩擦係数μを推定した上でトルク指令値tTFL〜tTRRの演算を行う。推定された車両すべり角β、路面摩擦係数μの値に基づきトルク指令値tTFL〜tTRRを演算することにより、より高精度なモータ制御を行うものである。
図2は、統合コントローラ30で実行されるトルク指令値演算制御処理のメインフローチャートである。これらは一定時間毎、例えば5ms毎に実行する。以下、各ステップごとに説明する。
(数式1)
V = (Nfl/GG*R + Nfr/GG*R + Nrl/GG*R + Nrr/GG*R) /4
ここで、Rは各車輪fl〜rrの半径、GGは減速機4fl〜4rrの減速比である。
図3は、図2ののフローにおけるステップS203での車両状態推定ルーチンにかかる、車体すべり角βと各車両挙動パラメータの関係を示す図である。転舵角センサ21、ブレーキペダルセンサ22、横加速度センサ24、25の検出値である操舵角STR、ブレーキ踏力BRK、横加速度YG1、YG2に基づき、転舵角δ、制駆動路面反力Fx、ヨーモーメントMM及び横力YGを演算し、これに基づき車体すべり角β及び路面摩擦係数μを決定する。
本願における車両は前輪操舵タイプであるため、後輪転舵角は0である。したがって、前輪及び後輪の操舵角−転舵角マップMAP_STRfl及びMAP_STRfrから、操舵角STRに対応する前輪転舵角δfl、δfrの値を読み込み、以下のように演算する。
(数式2)
δfl = MAP_STRfl(STR)
δfr = MAP_STRfr(STR)
δrl = 0
δrr = 0
制駆動路面反力Fxfl〜Fxrrは、モータトルク指令値TFL〜TRRと各輪3fl〜3rrの回転速度変化量から推定する。具体的な推定手法としては、例えば特開平6-98418(数11)に開示される方法を用いる。とりわけ機械式ブレーキを用いる場合、ブレーキ踏力BRKの値から前、後輪制動力マップを読み込んで、ブレーキ制動トルクTBL_FBR(BRK)及びTBL_RBR(BRK)とモータトルクTFL〜TRRとの和に基づき、制駆動路面反力Fxfl〜Fxrrを演算する。また、アンチスキッドブレーキングシステム作動時には、システム作動による制動トルク減少分を検出し、上記制動トルクを補正する。
図4は、図2のフローにおけるステップS203での車両状態推定ルーチンにかかる、横加速度と各車両挙動パラメータとの関係を示す図である。横力Fyは車両進行方向左向きを正とする。横加速度センサの取り付け位置を図4の位置とした場合、ヨー角加速度γ'(単位は、rad/s2、反時計回りを正とする)と重心位置の横加速度YG(単位は、m/s2、車両左向きを正とする)は次のように求められる。
(数式3)
γ' = (YG2-YG1)/L2
YG = YG1 + (YG2-YG1)*Lc/L2
(数式4)
Fy = M*YG
MM = Iγ*γ'
図3に示すように、左前輪で発生する横力をFyfl、右前輪で発生する横力をFyfr、左後輪で発生する横力をFyrl、右後輪で発生する横力をFyrrとし、前輪の左右転舵角が等しく(δfl=δfr=δf)と後輪の左右転舵角が等しい(δrl=δrr=δr)とすると、車両に働く横力FyとヨーモーメントMMについて次の関係式が成り立つ。
(数式5)
ここでLf は前輪軸重心点距離[m]、Lr は後輪軸重心点距離[m]、Lt はトレッドベース距離(前後輪同一)[m]であり、それぞれ設計定数である。
上記数式5の第3項の影響は小さいものとして無視し、(Fyfl+Fyfr)および(Fyrl+Fyrr)を次のように求める。
(数式6)
ここでδfとして(δfl+δfr)/2を用い、δrとして(δrl+δrr)/2を用いることとし、(Fyfl+Fyfr)を第1前輪横力和Fy_f、(Fyrl+Fyrr)を第1後輪横力和Fy_rに代入する。
車両静止状態での前輪荷重Wfと車両静止状態での後輪荷重Wr(単位はいずれもN)を次式で演算する。
(数式7)
Wf = M*Lr/(Lf+Lr)/2*9.8
Wr = M*Lf/(Lf+Lr)/2*9.8
次に、車両前後加速度XG、および、数式5で求めた重心位置の横加速度YGから、前後輪荷重移動量ΔWdと左右輪荷重移動量ΔWcを次のように演算する。
(数式8)
ここで、hは重心高[m]、Ltはトレッド幅[m]である。そして、これらの値に基づき、以下の式で各輪の輪荷重を演算する。
(数式9)
この方法以外に、センサを用いて検出した輪荷重値を用いても良い。
車体すべり角βの推定にあっては、ある一定範囲の中から条件に適合する値を探索して推定する方法を用いるため、あらかじめ探索すべき一定範囲を確定する必要がある。したがって、車両の基準位置を図3の車体基準位置P(図3における後輪軸の左右中央の点)とし、以下のように第1後輪横力和Fy_rの値に基づきすべり角βの探索範囲を決定する。探索範囲の最小値及び最大値は、それぞれ b_min 及び b_maxで示す。
・第1後輪横力和Fy_rが正のとき
最小値b_min = -π/4 最大値b_max = 0
-π/4≦すべり角β探索範囲≦0
・第1後輪横力和Fy_rが負のとき
最小値b_min = 0 最大値b_max = π/4
0≦すべり角β探索範囲≦π/4
・第1後輪横力和Fy_rが0のとき
最小値b_min = 最大値b_max=0
すべり角β探索範囲なし
とする。更に、探索範囲の探索刻み幅Δbは、例えば次式で設定する。
Δb=(b_max- b_min)/10
なお、車体滑り角は単位をrad、車両前向きに対して点Pの進行の向きが時計周りの状況を正の向きにとるものとする。
路面摩擦係数μについても、車体すべり角βと同様ある一定範囲の中から条件に適合する値を探索して推定する方法を用いる。したがって、探索範囲の最小値をm_minとして0.1を設定し、最大値をm_maxとして1.0を設定する。また、探索範囲の探索刻み幅Δmを例えば0.1に設定する。
車体すべり角β及び路面摩擦係数μの探索にあたっては、第1前後輪横力和Fy_f、Fy_rの推定値と実測値の差が望ましくは最小であり、要求検出精度を考慮して最小となる(β、μ)の組み合わせを選択し、(β、μ)の推定値(b_opt、m_opt)とする。なお、最適な組み合わせの選択方法については路面μと滑り角βの探索ルーチンにて後述する。
(各輪スリップ率に基づく路面摩擦係数の演算)
各輪のスリップ率Sfl〜Srrおよび制駆動路面反力の関係からスリップ率Sに基づく路面摩擦係数m0を推定する。ここでは車両が「ほぼ直進状態」であることを次の条件から判定する。
判定条件 : |Fy_f|および|Fy_r|がともに所定値a以下
また、ステアリング操舵量STRの絶対値が所定値以内の場合としてもよく特に限定しない。
この判定条件が満たされ、「ほぼ直進状態」ではないと判定された場合にはm0=1に設定し、「ほぼ直進状態」と判定された場合には、以下の式を用いて各輪のスリップ率Sfl〜Srrと路面反力から路面摩擦係数m0を推定する。所定値aは、例えば車両の質量(0.5など)とする。
(数式10)
m0_fl = MAP_FM(|Sfl|、|Fxfl/Wfl|)
m0_fr = MAP_FM(|Sfr|、|Fxfr/Wfr|)
m0_rl = MAP_rlM(|Srl|、|Fxrl/Wrl|)
m0_rr = MAP_FM(|Srr|、|Fxrr/Wrr|)
m0 = min(m0_fl、 m0_fr、 m0_rl、 m0_rr)
ここで各輪のスリップ率Sfl〜Srrは、以下の式で求める。
(数式11)
左前輪: V- ( Nfl / GG*R ) ≧ 0 のとき Sfl = {V-(Nfl/GG*R)}/V
V- ( Nfl / GG*R ) < 0 のとき Sfl = {V-(Nfl/GG*R)}/(Nfl/GG*R)
右前輪: V- ( Nfr / GG*R ) ≧ 0 のとき Sfr = {V-(Nfr/GG*R)}/V
V- ( Nfr / GG*R ) < 0 のとき Sfl = {V-(Nfr/GG*R)}/(Nfr/GG*R)
左後輪: V- ( Nrl / GG*R ) ≧ 0 のとき Srl = {V-(Nrl/GG*R)}/V
V- ( Nrl / GG*R ) < 0 のとき Srl = {V-(Nrl/GG*R)}/(Nrl/GG*R)
右後輪: V- ( Nrr / GG*R ) ≧ 0 のとき Srr = {V-(Nrr/GG*R)}/V
V- ( Nrr / GG*R ) < 0 のとき Srr = {V-(Nrr/GG*R)}/(Nrl/GG*R)
また、MAP_FM、MAP_RMは、それぞれスリップ率Sfl〜Srrと、各輪fl〜rrにおける路面反力と輪荷重の比であり、MAP_FMは前輪、MAP_RMは後輪における特性マップである。図5に、MAP_FMの一例を示す。
車体すべり角及び路面摩擦係数の探索で求めた、(β、μ)の推定値(b_opt、m_opt)の内、すべり角b_optから、各輪のすべり角を演算する。車体すべり角βと各輪のタイヤすべり角αfl〜αrrとの関係がおおよそ次の関係にあることは、「自動車の運動と制御(山海堂、著者:安部正人)」の第3章(p.54)に示されている。また、タイヤ回転面の向きに対してタイヤ中央の進行の向きが時計周りの状況を正の向きにとる(図3参照)。
αfl = (V*b_opt+(Lf+Lr)*γ)/(V-Lt*γ/2) - δfl
αfr = (V*b_opt +(Lf+Lr)*γ)/(V+Lt*γ/2) - δfr
αrl = V*b_opt /(V-Lt*γ/2) - δrl
αrr = V*b_opt /(V+Lt*γ/2) - δrr
前述の各輪3fl〜3rrの第1すべり角α1fl〜α1rrと、車体すべり角及び路面摩擦係数の探索で求めた、(β、μ)の推定値(b_opt、m_opt)のうち、推定路面摩擦係数m_optを用い、各輪3fl〜3rrの横力Fyfl〜Fyrr(図3参照)を次式で演算する。演算は前後輪におけるタイヤ特性マップMAP_FT、MAP_RTを使用する。
(数式12)
Fyfl = MAP_FT(Wfl、 Fxfl、 m_opt、 α1fl )
Fyfr = MAP_FT(Wfr、 Fxfr、 m_opt、 α1fr )
Fyrl = MAP_RT(Wrl、 Fxrl、 m_opt、 α1rl )
Fyrr = MAP_RT(Wrr、 Fxrr、 m_opt、 α1rr )
図6は、図2のステップS203で実行される車両挙動制御処理のルーチンである。以下、各ステップにつき説明する。
(探索初期値設定)
車体すべり角β及び路面摩擦係数μの推定値m_opt、b_optを探索するため、まず探索開始時点の路面摩擦係数m_minと車体すべり角b_minを設定する。
車体すべり角βに対する各輪3fl〜3rrの第2タイヤすべり角α2fl〜α2rrを次式で演算する。車体すべり角βと各輪の第2タイヤすべり角α2fl〜α2rrとの関係がおおよそ次の関係にあることは、「自動車の運動と制御(山海堂、著者:安部正人)」の第3章(p.54)に示されている。また、タイヤ回転面の向きに対してタイヤ中央の進行の向きが時計周りの状況を正の向きにとる(図3参照)。
(数式13)
α2fl = (V*b+(Lf+Lr)*γ)/(V-Lt*γ/2) - δfl
α2fr = (V*b+(Lf+Lr)*γ)/(V+Lt*γ/2) - δfr
α2rl = V*b/(V-Lt*γ/2) - δrl
α2rr = V*b/(V+Lt*γ/2) - δrr
タイヤの特性マップを用い、上記推定路面摩擦係数mに対応する第2前後輪横力和Fymf、Fymrを次式に基づいて演算する。
(数式14)
第2前輪横力和Fymf = MAP_FT(Wfl Fxfl、 m、 α2fl ) + MAP_FT(Wfr、 Fxfr、 m、 α2fr )
第2後輪横力和Fymr = MAP_RT(Wrl Fxrl、 m、 α2rl ) + MAP_RT(Wrr、 Fxrr、 m、 α2rr )
第2前後輪横力和Fymf、 Fymrを推定した後、この第2前後輪横力和推定値(Fymf、Fymr)と、第1前後輪横力和(Fy_f、Fy_r)との差が最小となる車体すべり角βと路面摩擦係数μの組み合わせを探索するため、まず、図6のステップS404で検出された第1前輪横力和Fy_fと第2前輪横力和Fymfが近いほど、また第1後輪横力和Fy_rと第2後輪横力和Fymrが近いほど、小さい値を出力する関数の値Jを演算する。ここでは関数として次のものを使用する。
(数式15)
J = | 第2前輪横力和Fymf -第1前輪横力和Fy_f |
+ | 第2後輪横力和Fymr - 第1後輪横力和Fy_r |
他にも
J=(第2前輪横力和Fymf - 第1前輪横力和Fy_f)2
+ (第2後輪横力和Fymr - 第1後輪横力和Fy_r)2などとしてもよい。
(数式16)
J_opt=J、 m_opt=m、 b_opt=b
車体すべり角βの次の探索値bが探索範囲の上限値b_maxを越えているか否かを判定する。越えていない場合には、その探索値bにて再度第2各輪タイヤすべり角α2fl〜α2rr、第2前後輪横力和 Fymf、Fymr を演算し、第1、第2横力和の差の漸少化を行って次の探索値b+Δbを設定する。上限値b_maxを越えている場合には、推定車体すべり角βの候補値としてb=b_minを設定する。
図7は、車体すべり角及び路面摩擦係数の探索・推定制御処理ルーチンである。以下、各ステップにつき説明する。
図2のステップS204におけるモータトルク指令値演算制御では、まず車速-アクセル開度マップMAP_tTD(図8参照)から車両の目標駆動力tTDを読み込む。
(数式17)
左前、後輪 tTFL、tTRL = tTD*R/GG/4-tU*R/GG/4
右前、後輪 tTFR、tTRR = tTD*R/GG/4+tU*R/GG/4
ここで、GGとは減速機4fl〜4rrにおける減速比である。なお、ヨーレートγや車両横加速度YGが所望の過渡応答となるよう補正を行ってもよく特に限定しない。補正方法については文献1.8章などを参照。
図10は、モータトルク指令値演算制御処理ルーチンである。以下、各ステップにつき説明する。
(1)本願実施例では、車両状態に基づき、第1の前輪及び後輪の横力和Fy_f、Fy_rを演算する第1の横力和演算手段と、車体すべり角β及び路面摩擦係数μを推定する車両状態推定手段と、推定された車体すべり角βに基づき、第1の各輪すべり角α1fl〜α1rrを演算する第1の各輪すべり角演算手段と、第1の各輪すべり角α1fl〜α1rr及び推定路面摩擦係数m_optに基づき、各輪の横力Fyfl〜Fyrrを演算する各輪横力演算手段とを備え、車両状態推定手段は、車両状態に基づき第2の各輪すべり角α2fl〜α2rrを演算し、車体すべり角βの初期値b_min及び路面摩擦係数の初期値m_minを設定し、車両状態、路面摩擦係数の初期値m_min、及び第2の各輪すべり角α2fl〜α2rrに基づき、第2の前輪及び後輪の横力和Fymf、Fymrを演算する第2の横力和演算手段を備え、第1の横力和Fy_f、Fy_rと第2の横力和Fymf、Fymrの差が最小となるよう、推定車体すべり角b_opt及び推定路面摩擦係数m_optを設定することとした。
以上、本発明の操舵装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成についてはこれらに限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り設計の変更や追加等は許容される。
4fl〜4rr 減速機
5fl〜5rr 駆動回路
6 バッテリ
8 ヨーレイトセンサ
11 ステアリングホイール
14 ステアリングラック
21 転舵角センサ
22 ブレーキペダルセンサ
23 アクセルペダルセンサ
24、25 横加速度センサ
26 前後加速度センサ
30 統合コントローラ
Claims (8)
- 車両状態検出値に基づき前輪及び後輪の左右横力和の各々を演算する第1のタイヤ横力和演算手段と、
各輪荷重を推定する輪荷重推定手段と、各輪の制駆動反力を推定する制駆動反力推定手段と、各輪の推定輪荷重と推定制駆動反力に基づき、路面摩擦係数及び車体すべり角に対する前輪及び後輪の左右横力和の各々を演算する第2のタイヤ横力和演算手段と、
前記第2のタイヤ横力和演算手段で演算する路面摩擦係数の探索範囲及び車体すべり角の探索範囲を設定する探索範囲設定手段と、
前記探索範囲中であって前記第2のタイヤ横力和演算手段にもとづき演算される第2のタイヤ横力和の中から、前記第1のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第1のタイヤ横力和との差が小さくなる条件をみたす、第2のタイヤ横力和を探索する探索手段と、
前記探索された第2のタイヤ横力和から推定車体すべり角と推定路面摩擦係数の組合せを決定する推定車体すべり角及び推定路面摩擦係数推定手段と、
を備える車両状態推定装置。 - 請求項1に記載の車両状態推定装置において、
前記第2のタイヤ横力和演算手段は、車速検出手段と、ヨーレート検出手段と、操舵輪舵角を検出する舵角検出手段と、舵角と車速とヨーレートに応じて、車体基準位置の車体すべり角に対応する各輪タイヤすべり角を演算するタイヤすべり角演算手段とを備えること
を特徴とする車両状態推定装置。 - 請求項2に記載の車両の状態推定装置において、
車両がほぼ直進していると判定する直進判定手段と
前記各輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段と、
前記車両がほぼ直進していると判定した場合、前記各輪の制駆動路面反力推定値と前記スリップ率との関係から路面摩擦係数を演算する路面摩擦係数推定手段と
を有することを特徴とする車両の状態推定装置。 - 請求項3に記載の車両の状態推定装置において、
前記直進判定手段は、演算した前記前輪の左右横力和および前記後輪の左右横力和の大きさに基づき、車両がほぼ直進しているか否かを判定すること
を特徴とする車両の状態推定装置。 - 請求項3または請求項4に記載の車両の状態推定装置において、
前記探索手段は、前記車両がほぼ直進と判定された場合、前記第2のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第2のタイヤ横力和と前記第1のタイヤ横力和演算手段に基づき演算される第1のタイヤ横力和との差が小さくなる条件をみたす車体すべり角と路面摩擦係数の組合せを再探索すること
を特徴とする車両の状態推定装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両の状態推定装置において、
前記探索手段は、前記車体すべり角の前回探索値を含む範囲を、前記車体すべり角の探索範囲とすること
を特徴とする車両の状態推定装置。 - 請求項6に記載の車両の状態推定装置において、
前記探索手段は、前記車体すべり角の変化速度が前記前回探索値のまま持続すると仮定した際の前記車体すべり角の値を含む範囲とすること
を特徴とする車両の状態推定装置。 - 車両の状態推定値に基づいて各輪に制駆動力を配分する制駆動力配分制御手段を備えた車両の制御装置において、
前記状態推定値を推定する手段として、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両の状態推定装置を用い、
前記制駆動力配分制御手段は、ある車輪が目標とする制駆動路面反力を得られないとき、前記タイヤすべり角の推定値及び前記路面摩擦係数の推定値に基づいて、各輪の制駆動力を再配分すること
を特徴とする車両の制御装置。
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